特許第6800525号(P6800525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6800525電源バスバーユニットおよび給電キャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800525
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】電源バスバーユニットおよび給電キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20201207BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H02B1/20 Z
   H02B1/20 H
   H02B1/30 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-209187(P2016-209187)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-74667(P2018-74667A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 友広
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−184521(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3113266(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3073393(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00− 1/38
G06F 1/00
G06F 1/16−1/18
H02B 1/40− 1/44
H02B 1/46− 7/08
H02B 11/00−11/22
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の銅バーで構成される電源バスバーと、電源バスバーの端部を絶縁部材を介して保持するバー固定部と、を備え、バー固定部は前面及び後面を開放可能なキャビネットの横フレームに取り付け可能である電源バスバーユニットであって、
長手方向の中間部にキャビネットの縦フレームに固定可能な中間バー固定部を備え、
電源バスバーは、長手方向に分割する分割部を備え、中間バー固定部は、該分割部の端部を支持する電源バスバーユニット。
【請求項2】
請求項に記載の電源バスバーユニットと縦フレームと横フレームを備えた筐体と、電源バスバーに電源を供給する電源ユニットとをキャビネット内部に備え、該電源ユニットは分割部に跨って電源バスバーに接続した給電キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源バスバーユニットおよび給電キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、キャビネット内部の機器に対して直流電源を給電可能な直流給電キャビネットが知られている。この特許文献1に記載の直流給電キャビネットは電源バスバーをキャビネットのコーナー部分に配置した構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−230071号公報
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電源バスバーを固定する際には、キャビネットの縦フレームに対して、支持部材、負極バー、絶縁部材、正極バーという順に個々に固定する。このため、電源バスバーなどの給電部の固定作業に時間がかかっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、電源バスバーの筐体への取り付けを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、次のような手段を採用する。第一の手段は、複数本の銅バーで構成される電源バスバーと、電源バスバーの端部を絶縁部材を介して保持するバー固定部と、を備えた電源バスバーユニットであって、バー固定部は前面及び後面を開放可能なキャビネットの横フレームに取り付け可能である電源バスバーユニットである。
【0007】
第一の手段において、長手方向の中間部にキャビネットの縦フレームに固定可能な中間バー固定部を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、電源バスバーは、長手方向に分割する分割部を備え、中間バー固定部は、該分割部の端部を支持する構成とすることが好ましい。
【0009】
また、第一の手段と、縦フレームと横フレームを備えた筐体と、電源バスバーに電源を供給する電源ユニットとをキャビネット内部に備え、該電源ユニットは分割部に跨って電源バスバーに接続した給電キャビネットとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電源バスバーのキャビネットへの取り付けを容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1におけるキャビネットと電源バスバーユニットの分解斜視図である。ただし、キャビネットの後面側からみており、キャビネットの外面を形成する扉と側板は省略している。
図2】実施例1における給電キャビネットを後面側から見た斜視図である。ただし、給電キャビネットの外面を形成する扉と側板は省略している。
図3】実施例1における電源バスバーユニットの斜視図である。
図4】実施例1における電源バスバーユニットの分解斜視図である。
図5】実施例1におけるバー保持部周りの部分拡大図である。
図6】実施例1における中間バー固定部周りの分解斜視図である。
図7】実施例1における中間バー固定部の取り付け状態を示す部分拡大図である。
図8】実施例1におけるバー固定部周りの分解斜視図である。
図9】実施例1におけるバー固定部の取り付け状態を示す部分拡大図である。
図10】実施例2における電源バスバーユニットの斜視図である。
図11】実施例2における電源バスバーユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図4に示す事項から理解されるように、電源バスバーユニット1は、複数本の銅バーで構成される電源バスバー11と、電源バスバー11の端部を絶縁部材を介して保持するバー固定部12と、を備えている。また、バー固定部12は前面及び後面を開放可能なキャビネット2の横フレーム22に取り付け可能に構成されている。この電源バスバーユニット1を用いれば、電源バスバー11の筐体23への取り付けを容易にすることが可能となる。なお、キャビネット2は、本実施形態の電源バスバーユニット1と、縦フレーム21と横フレーム22を備えた筐体23と、この筐体23の内部に搭載されており、電源バスバー11と接続される電源ユニット24と、を備えている。また、本実施形態では、電源バスバーユニット1が筐体23へ取り付けられた状態では、電源バスバー11が筐体23の内側に配置され、バー固定部12が筐体23の横フレーム22に取り付けられている。
【実施例1】
【0013】
本実施例のキャビネット2には、垂直方向に延びる縦フレーム21と水平方向に延びる横フレーム22が、キャビネット2の背面側から見て、略矩形状となるように組まれている。また、このキャビネット2には、電源24が搭載され、本実施例では交流を直流に変換することが可能な直流電源24を例とする。この直流電源24は電源バー11に接続する。本実施例においては、直流電源24の背面に設けられた接続部25によって電源バー11と直流電源24を接続すれば、電源バー11に直流電流を供給することが可能となる。したがって、キャビネット2に搭載したサーバーなどの電気機器を電源バー11に接続すれば、電源バー11を介して直流電源24から電気機器へ直流電流を供給することができる。なお、図1に示した例では、キャビネット2の中央に直流電源24を配置しているが、直流電源24の配置は適宜定めることができる。
【0014】
本実施例では、キャビネット2の後面側に複数本で一組となる電源バスバー11を配置して給電キャビネットとするが、この電源バスバーユニット1は、図3及び図4に示すことから理解されるように、電源バスバー11と、バー固定部12と、中間バー固定部13と、保護カバー14を備えている。本実施例は、垂直方向に延びる縦フレーム21に取り付けられる中間バー固定部13を、電源バスバーユニット1の中間部に備えた構成であるため、キャビネット2に対する左右方向への負荷に抗する強度を高めることができる。なお、キャビネット2の前面側は開放可能であって、通常使用時に使用者が開閉する扉が備えられている。また、キャビネット2の開放可能な後面側には、電源バスバーユニット1の取付時には使用されるが、通常使用時には開閉されることのないメンテナンス用若しくは、セキュリティ用の扉が備えられている。なお、本実施例では、キャビネット2の後面側に電源バスバー11を配置しているが、キャビネットの前面側に電源バスバー11を配置していても構わない。また、本実施例では、前面側の縦フレーム21と、後面側の縦フレーム21とを接続する奥行きフレームの端部に横フレーム22を配置することで、筐体23のフレームを構成しているが、奥行きフレームの中間部にも横フレーム22を配置し、その横フレーム22にバー固定部12を取り付ける構造としてもよい。また、縦フレーム21についても同様であり、奥行きフレームの中間部に配置された縦フレーム21に中間バー固定部13を取り付けてもよい。
【0015】
電源バスバー11は、各々が正極バーと負極バーを構成する二本の銅バーにより構成されている。この正極バーと負極バーとの間には、一定の絶縁距離を設ける必要がある。このため、本実施例では、図5に示すように、一定の大きさの絶縁部材91を正極バーと負極バーとの間に設けることで、銅バー間の絶縁距離を保っている。なお、本実施例の電源バスバー11は、長手方向が上下方向となるように、つまりは、キャビネット2の縦フレーム21に対して平行となるように固定されている。
【0016】
ところで、本実施例では、キャビネット2の上部に位置する横フレーム22と、下部に位置する横フレーム22との間を架け渡すように電源バスバーユニット1が設けられているが、一本の銅バーでこれに対応する長さにしようとすると、銅バーが長くなる。そこで、本実施例では、電源バスバー11に分割部26を設ける構成としている。つまり、本実施例の電源バスバーユニット1は、図4に示すように、二つの電源バスバー11を上下に並べた配置としている。また、中間バー固定部13が、電源バスバー11の分割部26の端部を支持する構成としており、各電源バスバー11の端部をバー固定部12と中央バー固定部13とで支持している。このような構成とすれば、各々の銅バーの長さを短くすることができるため、銅バーの撓みを抑制することができる。また、電源バスバー11の長さが短くなることにより、固定作業の作業性を高めることも可能となる。
【0017】
また、縦フレーム21の長手方向に並列した電源バスバー11の分割部26に跨るように電源ユニット24を接続することで、複数の電源バスバー11に直流電流を供給することができ、銅バー一本に供給する直流電流値を分散することができる。そのため、銅バー一本の場合に比べて、電流容量を小さくすることができることになり、銅バーの断面積を小さくすることができる。なお、上下方向に並列配置した二つの電源バスバー11を一つの電源ユニット24の接続部25に接続することで、各々の電源バスバー11に電流を供給することができる。このとき、銅バーの長さが等しい場合には、同じ容量の電流が供給される。
【0018】
本実施例では、電源バスバー11をキャビネット2のフレームに固定するために用いる部材であるバー固定部12を用いて、電源バスバー11をキャビネット2に取り付けている。また、電源バスバーユニット1の中間部を固定するため、電源バスバーユニット1には、キャビネット2の縦フレーム21に取付けられる中間バー固定部13を備えた構造としている。
【0019】
図6乃至図9に示すことから理解されるように、バー固定部12や中間バー固定部13は、電源バスバー11を保持する絶縁部材からなるバー保持部16と、感電の虞のある導体を保護する保護部17と、フレームに固定されるフレーム固定部18で構成されている。なお、これらは全て別々の部材で構成されてもいいし、全て一体で構成されてもよい。
【0020】
バー保持部16は、電源バスバー11の外側から挟み込むようにねじ固定することで、電源バスバー11に固定される。保護部17は、電源バスバー11とバー保持部16との接続箇所を覆うように設けられ、接続箇所に接触することによって生じる感電を防ぐ。なお、電源バスバー11を覆う保護カバー14と一体化できる場合には、一体の部材で感電を防止できる構造とすればよい。
【0021】
フレーム固定部18は、横フレーム22又は縦フレーム21にバー固定部12を固定する。固定方法として、実施例では、フレームに設けられた溝部に、ナットを挿入し、ナットにネジ止めすることでバー固定部12を固定する。なお、フレームにネジ孔を設け、直接バー固定部12をネジ止めしてもよい。また、バー固定部12をフレームに固定できるなら、ネジの使用をしない方法でも構わない。
【0022】
電源バスバー11の後面側は保護カバー14で覆われており、電源バスバー11との接触による感電を防止する。本実施例の保護カバー14は断面コ字状で形成され、電源バスバー11の前面以外を覆っている。この保護カバー14の前面側から、直流電源24や電気機器が接続される。保護カバー14の後面には、スリットが設けられており、通電による銅バーの温度の上昇を防止する。また、保護カバー14は、バー固定部12に固定される。
【実施例2】
【0023】
実施例1では、電源バスバーユニット1が一つの場合について記載した。しかし、図10に示した実施例2のように、キャビネット2の後面側に電源バスバーユニット1を複数本備えた構造も想定される。この実施例の場合、バー固定部12の左右方向の長さを大きくしており、保持できる電源バスバー11の数を複数とすることができる構造である。また、本実施例では、図11に示すように、バー固定部12から電源バスバー11を着脱することが可能な構造としており、電源バスバー11が一つとすることもできる。本実施例のバー固定部12については、バー保持部16、保護部17、フレーム固定部18で構成されている基本的な構造については、実施例1の固定部と差異がない。
【0024】
以上、二つの実施例を中心に実施形態を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、電源バスバーユニットを筐体の左右何れかの側に偏らせて配置することも可能である。
【0025】
実施形態では、電源バスバーの上下端部に設けられるバー固定部は、キャビネットの横フレームに取付けられているが、バー固定部は縦フレームのみに取付けされてもいいし、縦フレームと横フレームの両方に取付けられてもよい。
【0026】
実施例では、電源バスバーの分割部に跨るように電源ユニットを接続する構造を示したが、例えば、電源バスバーに分割部を二つ設け、三つの電源バスバーを上下に並べた構造であっても構わない。このような構成の場合、三つの電源バスバーそれぞれに電源ユニットを接続する構造であってもよいし、三つのうちの最も上側の電源バスバーと二つのうちの下側の分割部に電源ユニットを接続するなど、一つの電源バスバーと一つの分割部にそれぞれ電源ユニットを接続することで、電源バスバー毎に電流値を異なる構造としてもよい。後者のような構成とすると、電源ユニットと一対一対応している電源バスバーにはパワーを必要とする機器を接続するようにし、そうで無い電源バスバーには、低パワーで十分な機器を接続するというような構成とすることが可能となり、効率的な利用が可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 電源バスバーユニット
2 キャビネット
11 電源バスバー
12 バー固定部
13 中間バー固定部
21 縦フレーム
22 横フレーム
23 筐体
24 電源ユニット
26 分割部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11