(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
後退位置と前進位置との間で移動する移動部材と、前記移動部材を移動させる駆動機構部と、前記移動部材に支持されたディスプレイと、前記ディスプレイの姿勢を変化させる姿勢切換え機構部と、蓋体と、前記蓋体の姿勢を変化させる蓋体切換え機構部と、が設けられた車載用表示装置において、
前記ディスプレイに、前記姿勢切換え機構部に連結された制御腕部が設けられ、
前記姿勢切換え機構部の切換え動作によって、
前記移動部材が前記後退位置に移動させられているときに、前記ディスプレイは、その画面が前記移動部材の移動方向と平行に向く平行姿勢で収納され、前記移動部材が前記後退位置から前進させられると、前記制御腕部が前記蓋体に向けられた姿勢で前記ディスプレイが前記平行姿勢で前進し、前記移動部材が前記前進位置へ移動する途中で、前記制御腕部を介して前記ディスプレイが回動させられ、前記移動部材が前記前進位置に至ったときに、前記ディスプレイは、前記画面が前記移動部材の移動方向の前方に向く回動完了姿勢とされ、
前記蓋体切換え機構部の切換え動作によって、前記蓋体は、
前記移動部材が前記後退位置にあるときに、前記移動部材の前進方向に向けて前傾して前記ディスプレイの前方の隙間の開口幅が最小となる初期姿勢とされ、前記移動部材が前記後退位置から前進し始めると、後傾方向へ移動して、前記開口幅を広げて前記平行姿勢で前進する前記ディスプレイの前端部が前記隙間を通過でき且つ前記制御腕部が前記蓋体と上下で重なる位置へ移動できる第1退避姿勢とされ、前記移動部材がさらに前進すると、さらに後傾し前記開口幅がさらに広げられて、前記隙間内で回動する前記ディスプレイとの衝突を回避する第2退避姿勢とされることを特徴とする車載用表示装置。
前記蓋体の前端部と、それよりも前記ディスプレイの移動領域から離れている後端部との高さの差(h)は、前記蓋体が初期姿勢のときに最大で、第1退避姿勢と第2退避姿勢に向かうにしたがって小さくなる請求項1または2記載の車載用表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された閉鎖パネル装置は、閉鎖パネルが、開口部を塞ぐ姿勢と、開口部から外れる開口姿勢の2つの姿勢の間でのみ移動するものであり、モニタが開口部から突出して立ち上がり姿勢となっているときに、閉鎖パネルは開口部から後退した開放位置に停止している。そして、モニタの基部から延設された腕部が閉鎖パネルに衝突しないように、モニタは収納姿勢から回動完了姿勢に至るまで円弧状に動作するようになっている。そのため、装置全体が大型化してしまう、という問題があった。なお、モニタを収納姿勢から回動完了姿勢に至るまで直線状に移動させれば、装置の大型化は避けられる。しかし、この場合には、腕部と閉鎖パネルの衝突を避けるために閉鎖パネルを大きく退避させる必要があり、大きく退避させると内部機構が露呈し、外観品位を損ねてしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、装置の小型化を図り、ディスプレイと蓋体の衝突を避け、インストルメントパネルの外観を良好に維持できる車載用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、後退位置と前進位置との間で移動する移動部材と、前記移動部材を移動させる駆動機構部と、前記移動部材に支持されたディスプレイと、前記ディスプレイの姿勢を変化させる姿勢切換え機構部と、蓋体と、前記蓋体の姿勢を変化させる蓋体切換え機構部と、が設けられた車載用表示装置において、
前記ディスプレイに、前記姿勢切換え
機構部に連結された制御腕部が設けられ、
前記姿勢切換え機構部の切換え動作に
よって、
前記移動部材が
前記後退位置に
移動させられているときに、
前記ディスプレイは、その画面が前記移動部材の移動方向と平行に向く平行姿勢で収納され、
前記移動部材が前記後退位置から前進させられると、前記制御腕部が前記蓋体に向けられた姿勢で
前記ディスプレイが前記平行姿勢で前進し、
前記移動部材が前記前進位置へ移動する途中で
、前記制御腕部を介して前記ディスプレイが回動させ
られ、前記移動部材が
前記前進位置に至ったときに、
前記ディスプレイは、前記画面が前記移動部材の移動方向の前方に向く回動完了姿勢とされ、
前記蓋体切換え機構部の切換え動作によって、前記蓋体は、
前記移動部材が
前記後退位置にあるときに、前記移動部材の前進方向に向けて前傾し
て前記ディスプレイの前方の隙間の開口幅が最小となる初期姿勢とされ、前記移動部材が前記後退位置から前進し始めると、後傾方向へ移動して
、前記開口幅を広げて前記平行姿勢で前進する前記ディスプレイの前端部が前記隙間を通過でき且つ前記制御腕部が
前記蓋体と上下で重なる位置へ移動できる第1退避姿勢とされ、前記移動部材がさらに前進すると、さらに後傾し
前記開口幅がさらに広げられて、前記隙間内で回動する前記ディスプレイとの衝突を回避する第2退避姿勢とされることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の車載用表示装置は、前記ディスプレイの基端部が、前記移動
部材に、
基準回動軸によって回動自在に支持され、
前記姿勢切換え機構部には、前記
基準回動軸と離れた位置で前記制御腕部に連結軸を介して連結されたリンク部材、および前記移動部材の前進動作に伴って前記リンク部材を動作させ、前記
基準回動軸を支点として前記ディスプレイを回動させる姿勢制御カム部が設けられており、
前記蓋体が前記第1退避姿勢
から前記第2退避姿勢
へ移動する間に、前記リンク部材が前記制御腕部と共に前記蓋体と
上下に重なる位置を
移動するものである。
【0009】
本発明の車載用表示装置は、前記蓋体の前端部と、それよりも前記ディスプレイの移動領域から離れている後端部との高さの差(h)は、前記蓋体が初期姿勢のときに最大で、第1退避姿勢と第2退避姿勢に向かうにしたがって小さくなることが好ましい。
【0010】
本発明の車載用表示装置は、初期姿勢のときの前記蓋体の前端部が対向するパネル部材が設けられ
、前記蓋体の前記前端部と前記パネル部材との間に前記隙間が形成されるものである。
【0012】
本発明の車載用表示装置は、前記移動部材が
前記前進位置に至ったときに、前記蓋体は、その
前端部が前記第2退避
姿勢よりも前記ディスプレイの移動経路に接近する動作完了姿勢に設定されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車載用表示装置は、ディスプレイが平行姿勢で収納されているときから、ディスプレイが立ち上がった回動完了姿勢となるまでの間に、常に蓋体で姿勢切換え機構部を覆うことができる。また蓋体を、初期姿勢から第1退避姿勢と第2退避姿勢とに2段階で回動させ、第2退避姿勢で水平状態に近い姿勢とすることで、蓋体とその下を移動する姿勢切換え機構部とを接近させることができ、装置の高さ寸法を小さくできる。
また、蓋体は初期姿勢において前傾姿勢であり、第1退避姿勢から第2退避姿勢まで前傾の傾斜角度が小さくなる方向へ後傾して移動するため、
ディスプレイから延びる制御腕部を通過させることができ、しかも装置の薄型化と小型化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<車載用表示装置の全体構造>
本発明の実施の形態の車載用表示装置1を示す各図では、X1方向が左側、X2方向が右側、Y1方向が前方、Y2方向が後方、Z1方向が上方、Z2方向が下方である。
【0016】
図1と
図2に示すように、車載用表示装置1は、金属板で形成された筐体2と、筐体2の内部から外部に向けて移動するディスプレイ10と、
図1に示すように、ディスプレイ10を覆うことができる蓋体4を有している。
【0017】
車載用表示装置1は、自動車のインストルメントパネルの内部やダッシボードの内部に設置される。
図1では、ディスプレイ10が筐体2の内部に収納されて、初期姿勢の蓋体4によってディスプレイ10が上側(Z1側)から覆われている。このとき、初期姿勢の蓋体4の前端部4aが、インストルメントパネルの一部やダッシュボードの一部などのパネル部材5の上縁部5aに隙間6を介して対向している。蓋体4が
図1に示す初期姿勢にあるとき、前記隙間6の開口幅は、最小の初期開口幅H1となる。
【0018】
なお、蓋体4が
図1に示す初期姿勢のとき、インストルメントパネルの一部やダッシュボードの一部である後方パネル部が、蓋体4の後端部4bにきわめて接近した位置から後方(Y2方向)に向けて延びている。したがって、
図1に示すように、蓋体4が初期姿勢のときは、隙間6以外の領域で、車載用表示装置1が、インストルメントパネルの一部やダッシュボードの内部に覆われて、外部から視認できないようになっている。
【0019】
図2に示すように、ディスプレイ10は、パネル枠体11と、このパネル枠体11に保持された表示パネル12とを有している。表示パネル12は、カラー液晶表示パネルやエレクトロルミネッセンス表示パネルである。
図2に示すように、ディスプレイ10が回動完了姿勢になると、表示パネル12の画面12aが、前方(Y1方向)へ向けられる。
【0020】
<駆動機構部と移動部材の構造>
図3と
図4および
図5に示すように、筐体2の内部に駆動機構部20が収納されている。駆動機構部20には、駆動回動体21が設けられている。駆動回動体21は、筐体2の底部2aに固定された支持軸22を支点として回動自在に支持されている。駆動回動体21には、支持軸22を中心とする円弧軌跡にピッチ円が一致した扇歯車部21aが一体に形成されている。筐体2の底部にはモータ23と、モータ23の出力軸の回転を減速する減速歯車列24とが設けられている。減速歯車列24の出力部にピニオン歯車24aが設けられ、ピニオン歯車24aが扇歯車部21aと噛み合っている。
【0021】
図3と
図4および
図5に示すように、駆動回転体21には第1駆動レバー25が一体に形成されている。第1駆動レバー25の中間部に中間連結軸27が設けられており、駆動回転体21と別体に設けられた第2駆動レバー26が中間連結軸27に回動自在に連結されている。
【0022】
図3と
図4に示すように、筐体2の内部に、Y1−Y2方向に延びる第1案内部31設けられている。第1案内部31は2本の平行な案内軸を有しており、Y1−Y2方向に延びて平行に設けられている。それぞれの案内軸のY1側の端部とY2側の端部は、筐体2の底部2aに固定されている。筐体2の内部に第1移動部材30が設けられている。
図3と
図4に示すように、第1移動部材30にはX1−X2方向に間隔を空けた2か所に軸受部32が設けられており、それぞれの軸受部32が案内軸に摺動自在に挿通されている。第1移動部材30には、連結レバー33が回動自在に支持されており、駆動機構部20に設けられた第1駆動レバー25の先端部と連結レバー33とが第1駆動軸34によって回動自在に連結されている。
【0023】
図4に示すように、筐体2の底部2aに、Y1−Y2方向に延びる第2案内部36a,36bが設けられている。第2案内部36a,36bは、筐体2の底部2aに形成された長穴である。筐体2の底部2aの上に第2移動部材35が設けられている。
図5にも示すように、第2移動部材35は板金材料で形成されている。第2移動部材35の2か所に摺動ピン37a,37bが固定されており、摺動ピン37aが第2案内部36aに摺動自在に支持され、第2摺動ピン37bが第2案内部36bに摺動自在に支持されている。前記第2駆動レバー26の先端部は、第2駆動軸38を介して第2移動部材35に回動自在に連結されている。
【0024】
駆動機構部20のモータ23の駆動力が減速歯車列24から駆動回転体21に伝達されて駆動回転体21が回転駆動されると、その回転力が第1駆動レバー25と連結レバー33を介して第1移動部材30に与えられ、第1移動部材30は第1案内部31に案内されてY1−Y2方向へ移動させられる。また、駆動回転体21の回転力は第2駆動レバー26を介して第2移動部材35に伝達され、第2移動部材35は第2案内部36a,36bに案内されてY1−Y2方向へ移動させられる。すなわち、モータ23の回転動力によって、第1移動部材30と第2移動部材35は互いに同期して、しかも互いに独立して前後方向(Y1−Y2方向)へ移動する。
【0025】
<姿勢切換え機構部>
図3に示すように、筐体2の内部に姿勢切換え機構部40が設けられている。姿勢切換え機構部40は、主に第1リンク部材41と第2リンク部材42および固定カム部材43とを有している。
【0026】
図3に示すように、第1移動部材30の2か所から前方(Y1方向)に一体に延び出る先部(連結先部)30a,30aが一体に形成されている。
図6以下に示すように、ディスプレイ10の基端部13は、基準回動軸48によって、前記先部30a,30aのさらに先端部に回動自在に連結されている。なお、ディスプレイ10の基端部13は、
図6に示すようにディスプレイ10が水平姿勢のときのY2方向に向く端部であり、
図3と
図12に示すように、回動完了姿勢に立ち上がったディスプレイ10の下方(Z2方向)に向く端部である。
【0027】
図3に示すように、第1移動部材30には、軸受部32の上方に支持軸44が設けられている。第1リンク部材41は、2個設けられて、第1移動部材30のX1−X2方向の両側に配置されており、それぞれの第1リンク部材41の基端部が支持軸44を介して第1移動部材30に回動自在に連結されている。第2リンク部材42も、2個設けられて、第1移動部材30のX1−X2方向の両側に配置されており、第1リンク部材41と第2リンク部材42とが制御軸45によって互いに回動自在に連結されている。
【0028】
図2などに示すディスプレイ10は、画面12aが現れているのが正面であり、その逆側が背面である。
図6に示すように、ディスプレイ10には、X1−X2方向の両側で、前記基端部13の背面からさらに背部側に延びる制御腕部14が一体に形成されている。それぞれの制御腕部14の先端部と、前記第2リンク部材42とが連結軸46によって回動自在に連結されている。
【0029】
図3に示すように、固定カム部材43は、2個設けられて、第1移動部材30の移動領域のX1−X2方向の両側に動かないように固定して設けられている。固定カム部材43には、姿勢制御カム部47が設けられている。姿勢制御カム部47はカム穴(またはカム溝)であり、第1リンク部材41と第2リンク部材42とを連結している制御軸45が、姿勢制御カム部47に摺動自在に挿入されている。
【0030】
図3に示すように、姿勢制御カム部47は、Y2側の後端部からY1側へ向けて一定の高さで水平に直線的に延びる水平制御部47aと、水平制御部47aのY1側の端部から連続して下方向(Z2方向)へ曲線的に下降する下降制御部47bと、下降制御部47bからY1側へ延びる終端制御部47cとを有している。
【0031】
図6に示すように、最初はY2側の後退位置にある第1移動部材30がY1方向へ移動すると、
図7と
図8に示すように、制御軸45が、姿勢制御カム部47の水平制御部47aを移動し、ディスプレイ10は画面12aが第1移動部材30の移動方向と平行に向けられた平行姿勢のままY1方向へ前進する。このとき、
ディスプレイ10の背部から制御腕部14が上向き(Z1向き)に立ち上がった姿勢で、ディスプレイ10と制御腕部14が前進する。
図9に示すように、制御軸45が下降制御部47b内をZ2方向へ移動していくときに、第1リンク部材41が、
図9において反時計方向へ回動させられ、第2リンク部材42が時計方向へ回動させられて、ディスプレイ10は基準回動軸48を支点として時計方向へ回動し始める。
【0032】
図10と
図11に示すように、第1移動部材30がさらにY1方向へ前進していき、制御軸45が下降制御部47b内をZ2方向へさらに下降する間に、ディスプレイ10が時計方向へ大きく回動する。
図12に示すように、制御軸45が、姿勢制御カム部47の終端制御部47cに至ると、ディスプレイ10が回動完了姿勢となる。回動完了姿勢のディスプレイ10は、前端部15が基端部13よりも後方(Y2方向)へ移動するまでの大きな角度で回動した姿勢となる。
【0033】
<蓋体切換え機構部>
図4に示すように、車載用表示装置1のX1−X2方向の両側に蓋体切換え機構部50が配置されている。
図5には、X2側に設けられている蓋体切換え機構部50の分解斜視図が示されているが、X1側の蓋体切換え機構部50とX2側の蓋体切換え機構部は左右対称構造である。
【0034】
図1と
図4に示すように、蓋体切換え機構部50には、支持案内部材51が設けられている。支持案内部材51は、姿勢切換え機構部40を構成する固定カム部材43の左右外側に固定されている。支持案内部材51の外側には、移動カム部材52が設けられている。
【0035】
図5に示すように、支持案内部材51には、Y1−Y2方向に延びる移動案内部53a,53bが設けられている。移動案内部53a,53bは、支持案内部材51に形成された案内長穴である。移動カム部材52にピン取付け部54a,54bが形成されており、
図4に示すようにピン取付け部54aに摺動ピン55aが固定され、ピン取付け部54bに摺動ピン55bが固定されている。摺動ピン55aが移動案内部53aに摺動自在に挿入され、移動ピン55bが移動案内部53bに摺動自在に挿入されて、それぞれの移動カム部材52が、支持案内部材51の外側でY1−Y2方向へ直線的に移動自在に支持されている。
【0036】
図5に示すように、筐体2の底部2aを移動する第2移動部材35には、X1側の端部とX2側の端部のそれぞれにおいて上向き(Z1向き)に折り曲げられた連結曲げ部35aが設けられている。第1移動部材35の左右方向に延びる腕部は、支持案内部材51と筐体2の底部2aとの隙間内に移動自在に介在しており、連結曲げ部35aは、支持案内部材51の左右外側において上向きに曲げられている。それぞれの連結曲げ部35aには、X1側とX2側に延びる伝達軸56が固定されており、伝達軸56は、移動カム部材52に形成された伝達穴57に挿入されている。前記伝達軸56により、2個の移動カム部材52は、第2移動部材35と共にY1−Y2方向へ移動できるようになっている。
【0037】
図13に示すように、蓋体4はブラケット61の上に固定されている。
図4に示すようにブラケット61は、筐体2のX1側とX2側のそれぞれに設けられており、蓋体4のX1側の端部とX2側の端部のそれぞれがブラケット61に固定されている。
【0038】
図5に示すように、ブラケット61は、第1回動部材62と第2回動部材63によって、支持案内部材51に回動動作できるように支持されている。第1回動部材62は、連結軸64によってブラケット61に回動自在に連結され、第2回動部材63は、連結軸65によってブラケット61に回動自在に連結されている。支持案内部材51の内面に、支持軸66と支持軸67が固定されている。第1回動部材62に形成された支持穴68が支持軸66に回動自在に支持され、第2回動部材63に形成された支持穴69が支持軸67に回動自在に支持されている。
【0039】
図5に示すように、第1回動部材62に第1切換え軸71が固定されており、第1切換え軸71は、支持案内部材51に形成された退避案内長穴72に挿入されている。退避案内長穴72は、支持軸66を中心とする円弧軌跡上に形成されている。第2回動部材63に第2切換え軸73が固定されており、第2切換え軸73は、支持案内部材51に形成された円弧状の復帰案内長穴74に挿入されている。復帰案内長穴74は、支持軸67を中心とする円弧軌跡上に形成されている。
【0040】
図5と
図13に示すように、移動カム部材52に切換えカム部75が設けられている。切換えカム部75はカム穴またはカム溝である。退避案内長穴72を通過した第1切換え軸71は、切換えカム部75に摺動自在に挿入されている。切換えカム部75は、Y1側端部に上向き(Z1向き)に延びる第1退避切換え部75aが形成されている。第1退避切換え部75aの下端からY1−Y2方向に延びる水平部75bが形成されており、水平部75bのY2側端部に、さらにZ2方向に下がってから水平方向に延びる第2退避切換え部75cが形成されている。第2退避切換え部75cよりもY2側に逃げ部75dが形成されている。
【0041】
図5と
図13に示すように、移動カム部材52には、切換えカム部75の上に復帰カム部76が形成されている。第2回動部材63に固定された第2切換え軸73は、支持案内部材51に形成された復帰案内長穴74内を通過して、復帰カム部76と嵌合可能な位置に突出している。復帰カム部76は、Y1方向に解放された導入部76aと、導入部76aに連続してZ2方向に延びる引き込み部76bを有している。
【0042】
図5に示すように、駆動機構部20では、モータ23の動力によって、第1駆動レバー25と第2駆動レバー26が同期して駆動され、第1駆動レバー25で第1移動部材30が移動させられ、第2駆動レバー26で第2移動部材35が移動させられる。
図6に示すように、第1移動部材30がY2側の移動端部の後退位置にあるとき、第2移動部材35も
図13に示す後退位置にある。また、第2移動部材35に連結されている移動カム部材52もY2側へ移動した後退位置にある。
【0043】
図13では、移動カム部材52に設けられた切換えカム部75の第1退避切換え部75aで第1切換え軸71がY2方向へ引かれ、第1切換え軸71が、支持案内部材51に形成された円弧状の退避案内長穴72のY2側端部に位置している。したがって、第1回動部材62は第1支持軸66を中心として、
図13において、反時計方向へ回動させられており、これに応じて蓋体4も、反時計方向へ回動させられて、後端部4bが上方(Z1方向)へ持ち上げられた前傾姿勢の初期姿勢となっている。また、蓋体4の回動に追従して、第2回動部材63が第2支持軸67を中心として反時計方向へ回動させられるため、初期姿勢の蓋体4は、前端部4aがパネル部材5の上縁部5aに最も接近する。
【0044】
図1と
図6および
図13に示すように、蓋体4が初期姿勢のとき、パネル部材5の上縁部5aと蓋体4の前端部4aとの隙間6の開口幅H1が最小となる。
図6に示すように、このときの隙間6の開口幅H1は、ディスプレイ10の厚さ寸法よりも狭く、水平姿勢のディスプレイ10は隙間6を通過することができない。
【0045】
図13の状態から、第2移動部材35と移動カム部材52が、Y1方向へ前進すると、切換えカム部75の第1退避切換え部75aに保持されている第1切換え軸71が退避案内長穴72に沿ってY1方向へ移動するため、第1回動部材62が時計方向へ回動し始める。これに追従して、蓋体4が時計方向へ回動させられ、第2回動部材63も時計方向へ回動させられる。そして、
図14に示すように、蓋体4が第1退避姿勢となる。その後、移動カム部材52がY1方向へ前進する間に、第1切換え軸71が移動カム部材52の水平部75b内に位置し続けるため、蓋体4は第1退避姿勢で停止したままとなる。第1退避姿勢では、
図13に示す初期姿勢よりも、蓋体4は前傾角度が小さくなり後傾方向へ回動し且つY2方向へ移動する。
【0046】
図8と
図9および
図14に示すように、蓋体4が第1退避姿勢のとき、パネル部材5の上縁部5aと蓋体4の前端部4aとの隙間6の開口幅H2が初期姿勢のときのH1よりも広がって、水平姿勢のディスプレイ10が隙間6内を通過できるようになる。
【0047】
第2移動部材35と移動カム部材52が、
図14の位置からY1方向へ前進すると、移動途中の過程である
図15において、第1切換え軸71が、切換えカム部75の水平部75bから第2退避切換え部75cに導かれ、第1切換え軸71が、退避案内長穴72内をさらにY1方向に移動する。これにより、第1回動部材62が
図14に示す第1退避姿勢よりもさらに時計方向へ回動させられ、第1回動部材62の回動に伴って蓋体4と第2回動部材63も時計方向へ回動させられる。
【0048】
そして、
図16に示すように、移動カム部材51のY1方向の移動に伴って、第1切換え軸71が第2退避切換え部75cを移動する間に、蓋体4は時計方向に最も回動した第2退避姿勢となる。
図10と
図16に示すように、第2退避姿勢の蓋体4は、
図9と
図14に示す第1退避姿勢よりも、前端部4aが上方に持ち上げられて前傾角度が小さくなって後傾方向へ回動し、且つ後方(Y2方向)へ移動させられる。その結果、第2退避姿勢の蓋体4の前端部4aとパネル部材5の上縁部5aと蓋体4の前端部4aとの隙間6の開口幅がH3に広げられる。
【0049】
第2移動部材35と移動カム部材52が、
図15の位置まで前進したときは、移動カム部材52のY1側の先部に設けられた復帰カム部76は、第2回動部材63に設けられた第2切換え軸73から未だ離れている。第2移動部材35と移動カム部材52が、
図16の位置まで前進すると、第2切換え軸73が、復帰カム部76の導入部76aに入り込む。
図16の状態では、蓋体4は第2退避姿勢のままであり、隙間6の開口幅はH3である。
【0050】
第2移動部材35と移動カム部材52が、
図16の位置からさらにY1方向へ前進する間に、第2切換え軸73が復帰カム部76の引き込み部76bに保持される。移動カム部材52が、
図17の位置まで前進すると、引き込み部76bに保持されている第2切換え軸73が、支持案内部材51に形成された復帰案内長穴74内でY1方向へ移動させられ、復帰案内長穴74に沿って第2回動部材63が
図17において反時計方向へ回動させられる。これに追従して蓋体4が反時計方向へ回動し、動作完了姿勢となる。また、第1回動部材62に設けられた第1切換え軸71は、移動カム部材52に形成された切換えカム部75の逃げ部75dに移行し、第1切換え軸71は移動カム部材52で拘束されなくなる。よって、第1回動部材62は、蓋体4の回動動作に追従して反時計方向へ回動する。
【0051】
図17に示すように、蓋体4が動作完了姿勢に移行すると、パネル部材5と蓋体4との隙間6の開口幅がH1になる。すなわち、動作完了姿勢の蓋体4は、
図13に示す初期姿勢と同じ姿勢に復帰する。
【0052】
<ディスプレイ10と蓋体4の相対動作>
前述のように、共通の駆動機構部20によって第1移動部材30と第2移動部材35とが同期してY1−Y2方向へ移動させられる。第1移動部材30が、
図6に示す後退位置から
図12に示す前進位置まで移動する間に、ディスプレイ10は水平姿勢で筐体2の内部に収納されている状態から、Y1方向へ前進し、第1移動部材30に設けられた基準回転軸48を中心として回動し、回動完了姿勢となると、画面12aが前方に向けられた立ち上がり姿勢となる。一方で、第2移動部材35が
図13に示す後退位置から
図17に示す前進位置へ移動する間に、蓋体4は前傾状態の初期姿勢から前傾角度が小さくなり且つY2方向へ後退して第1退避姿勢へ移動し、さらに第2退避姿勢ではさらに前傾角度が小さく後傾方向へ回動しながらY2方向へ移動し、その後に動作完了姿勢に復帰する。
図6ないし
図12には、この一連の動作における、ディスプレイ10と蓋体4の相対姿勢が示されている。
【0053】
(蓋体4が初期姿勢)
図6に示すように、第1移動部材30と第2移動部材35がY2方向の後退位置にあるとき、蓋体4は初期姿勢である。このとき、初期姿勢の蓋体4は前傾姿勢でディスプレイ10を覆っており、ディスプレイ10は蓋体4とパネル部材5の背後に収納されている。蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅H1は最小であり、開口幅H1はディスプレイ10が通過できない間隔である。
【0054】
(蓋体4が第1退避姿勢)
水平姿勢のディスプレイ10が前進していくと、
図7から
図8に移行して、蓋体4が第1退避姿勢となり、蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅がH2に広まって、水平姿勢のディスプレイ10が隙間6内を通過できるようになる。
図9では、蓋体4は未だ第1退避姿勢であるが、この時点で、ディスプレイ10は、さらに前進して、前端部15が上へ向くように回動し始める。
【0055】
(蓋体4が第2退避姿勢)
図9からさらにディスプレイ10が前進し、ディスプレイ10の回動角度が徐々に大きくなっていくと、
図10と
図11に示すように、蓋体4は、第1退避姿勢よりも時計方向へ回動し、さらに蓋体4がY2方向へ後退して、第2退避姿勢となり、隙間6の開口幅が最大のH3に広がる。
【0056】
蓋体4は、
図6に示す初期姿勢から、
図9に示す第1退避姿勢まで時計方向(後傾方向)へ回動し、且つ後方(Y2方向)へ移動する。
図6に示すように、初期姿勢の蓋体4は前端部4aとこれよりも上方に位置する後端部4bとの高さの差がh1であるが、
図9に示すように、蓋体4が第1退避姿勢になると、前記高さの差はh1からh2と小さくなる。蓋体4は、
図9に示す
第1退避姿勢から
図10に示す第2退避姿勢にいたる間に、さらに時計方向へ回動し、且つ後方へ向けて移動する。第2退避姿勢の蓋体4は、前端部4aとこれよりも上方に位置する後端部4bとの高さの差が、h2からh3にさらに狭められる。h1>h2>h3である。
【0057】
図8と
図9に示すように、ディスプレイ10が平行姿勢でY1方向へ前進しさらにディスプレイ10が回動し始める直後まで、姿勢切換え機構部40では、ディスプレイ10に設けられた制御腕部14がZ1方向に立ち上がった姿勢であり、第2リンク部材42は、制御軸45よりも連結軸46が上方に位置するように、Y1側の前端が立ち上がる姿勢となっている。また、制御腕部14と第2リンク部材42とを連結する連結軸46が、ディスプレイ10よりも上方に離れた位置をY1方向へ移動する。
【0058】
図8と
図9に示す状態では、第1退避姿勢の蓋体4は、前端部4aと後端部4bの高さの差がh2の前傾姿勢であるため、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42とが、前傾姿勢の蓋体4の下側へ後方から入り込むことができる。ただし、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42が
図9の姿勢よりもさらにY1方向へ前進しようとすると、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42のいずれか、が第2退避姿勢の蓋体4の下面に当たることになる。
【0059】
そこで、
図10から
図11に示すように、第2退避姿勢では、蓋体4が時計方向へ回動し、前端部4aと後端部4bとの高さの差h3が小さくなって、蓋体4が初期姿勢および第1退避姿勢の前傾姿勢よりも、水平姿勢に近い姿勢となる。その結果、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42が蓋体4の下を前進できるようになる。
【0060】
また、第2退避姿勢の蓋体4はY2方向に後退し、蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅が最大のH3に広がるため、
図10と
図11に示すように、ディスプレイ10はY1方向へ前進しながら、前端部15が上に向くように回動し始めることができる。このとき、回動動作するディスプレイ10は蓋体4と当たるのを回避することができる。
【0061】
(ディスプレイ10の回動完了姿勢と、蓋体4の動作完了姿勢)
図12に示すように、第1移動部材30がY1方向の終端である前進位置に移動すると、第1リンク部材41と第2リンク部材42とを連結している制御軸45が、固定カム部材43に形成された姿勢制御カム部47の終端制御部47cに移動し、第1リンク部材41が反時計方向へ最大角度まで回動する。その結果、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42がY1−Y2方向に向けて直線状に並び、しかも、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42が、第1移動部材30においてディスプレイ10を回動自在に支持されている先部30aと平行になり、制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42と、先部30aとがX1−X2方向で並ぶようになる。
【0062】
図12に示すように、ディスプレイ10が回動完了姿勢になると、蓋体4が反時計方向へ回動して動作完了姿勢となる。動作完了で姿勢は、
図6に示す初期姿勢と同じであり、蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅はH1である。制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42と、第1移動部材30の先部30aは、前記隙間H1内に位置する。
【0063】
すなわち、蓋体4が
図6に示す初期姿勢のときと
図12に示す動作完了姿勢のときとで、蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅H1は、ディスプレイ10の厚さ寸法よりも狭いが、ディスプレイ10が回動完了姿勢となったときに、姿勢切換え機構部40の一部である制御腕部14と連結軸46および第2リンク部材42と、第1移動部材30の一部である先部30aとが介在できる寸法に設定されている。
【0064】
前記車載用表示装置1では、
図1に示すように、初期姿勢の蓋体4とパネル部材5との隙間6の開口幅H1を最小にできるため、車内にいる搭乗者が見たときに、隙間6を介してパネル部材5の内側を目視しにくい構造とすることができる。また、ディスプレイ10が
図2に示すように回動完了姿勢に立ち上がったときに、動作完了姿勢となった蓋体4が、
図1に示す初期姿勢のときと同じ姿勢であるため、
図1の状態と
図2の状態とで、ディスプレイ10が存在しているか否かの違いがあるが、それ以外の変化が生じなくなる。
【0065】
すなわち、
図2の状態で、あたかも蓋体4が動いていないかのような外観を呈することができ、インストルメントパネルやダッシボードの外観に高級感を維持させることができる。特に、蓋体4とパネル部材5のX方向の幅寸法が、ディスプレイ10の幅寸法よりも大きいときに、
図1と
図2においてディスプレイ10のX方向の両側に位置しているパネル部材5と蓋体4が、同じ状態となるため、インストルメントパネルやダッシボードの外観に高級感を維持させることができる。
【0066】
また、
図2に示すように、ディスプレイ10が回動完了姿勢のときに、隙間6の開口幅がH1と狭いため、蓋体4の下側に異物が入り込みにくくなる。
【0067】
なお、
図12に示すように、ディスプレイ10が回動完了姿勢で、蓋体が動作完了姿勢の状態からモータ23を逆転させて、第1移動部材30と第2移動部材35をY2方向へ移動させると、
図6に示すように、ディスプレイ10が収納姿勢となり、蓋体が初期姿勢となる。