特許第6800533号(P6800533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800533
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】移動間仕切装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20201207BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   E04B2/74 561E
   E05D15/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-27557(P2017-27557)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-131857(P2018-131857A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】小花 光広
(72)【発明者】
【氏名】宮田 康彦
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−331956(JP,A)
【文献】 特開2007−154561(JP,A)
【文献】 特開平11−270215(JP,A)
【文献】 米国特許第05930953(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E05D 15/00 −15/58
E05F 15/00 −15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールに沿って転動可能な吊支体により吊支される間仕切パネルにより空間を間仕切るとともに、収納時には収納部に前記間仕切パネルを収納する移動間仕切装置であって、
前記間仕切パネルを前記収納部に配設される前記走行レールに沿って前記収納部の出入口近傍から所定位置まで搬送する搬送ローラと、前記間仕切パネルを前記走行レールに沿って前記所定位置から収納基準位置まで移動させる移動手段と、を備えることを特徴とする移動間仕切装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記間仕切パネルの側端部を前記収納基準位置まで押動する押動部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の移動間仕切装置。
【請求項3】
前記押動部材は、前記走行レールに沿って移動する前記間仕切パネルの側端面を押動するものであることを特徴とする請求項2に記載の移動間仕切装置。
【請求項4】
前記搬送ローラは、前記走行レールに沿って正逆回転可能に複数設けられ、少なくとも1つの前記搬送ローラは、前記間仕切パネルに後続する間仕切パネルを停止可能であることを特徴とする請求項1に記載の移動間仕切装置。
【請求項5】
前記間仕切パネルを前記走行レールに沿って前記収納基準位置から前記所定位置側に移動させる第2の移動手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の移動間仕切装置。
【請求項6】
前記間仕切パネルが前記所定位置に配置されることを検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の移動間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス、展示ホール、会議場等を所定の区画に仕切って使用するための移動間仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動間仕切装置は、例えば天井に設けられる走行レールから吊支体により吊支され、該走行レールに沿って移動可能な間仕切パネルを幅方向に直列に連接して壁面を形成し、オフィス、展示ホール、会議場等の室内空間を所定の区画に仕切る用途で利用されている。また、間仕切パネルを間仕切りとして使用しない場合には、間仕切パネルを走行レールに沿って移動させ、複数の間仕切パネルを走行レールの端部等に形成される収納部にまとめて収納している。
【0003】
また、移動間仕切装置には、収納部において複数の間仕切パネルを収納するために必要なスペースを小さくするために、走行レールに沿って移動してきた複数の間仕切パネルを収納部において水平方向に回動させることなく、その吊支姿勢を維持した状態で間仕切パネルの厚み方向に移動させて複数の間仕切パネルを並列に収納できるようにしたものがある。
【0004】
このような移動間仕切装置としては、特許文献1に開示されているように、ターンテーブルを略90度水平回動させて、移動壁(間仕切パネル)を案内用天井レール(走行レール)から収納用天井レール(収納レール)に移動させるものが提案されている。すなわち、移動壁は、天井に設けられる案内用天井レール内を走行可能な一対の走行体(吊支体)から案内用天井レールの開口部を通して垂下させた懸吊杆を介して吊支されており、案内用天井レールは、室内空間の側壁に形成される出入口から収納庫内まで延設され、収納庫内において案内用天井レールに対して一対の収納用天井レールが直交するように接続されるとともに、案内用天井レールには、一対の収納用天井レールとの接続部分に一対のターンテーブルが形成されている。尚、一対の走行体は移動壁の本体部に対して水平方向に回動可能に取付けられている。移動壁を案内用天井レールに沿って移動させ、一対のターンテーブルに移動壁の一対の走行体が支持される位置で、案内用天井レールの一部であるターンテーブルと共に移動壁の一対の走行体をそれぞれ90度水平回動させることにより、ターンテーブルは収納用天井レールに連接されるため、一対の走行体はターンテーブルから収納用天井レールに移動可能となる。このように、移動壁の走行体は、本体部の吊支姿勢を維持した状態で案内用天井レールと収納用天井レールとの間で移動可能とされている。
【0005】
また、収納庫内には、収納用天井レールに沿って移動壁をその厚み方向に移動させるための移動壁駆動機構が配設されている。移動壁駆動機構は、一対の付勢アームを備え、付勢アームは、移動壁駆動機構の駆動を受けて移動壁の本体部の上端において一対の走行体間に起立して設けられる一対の起立杆をそれぞれ移動壁の厚み方向に押圧できるようになっている。尚、案内用天井レールには、一対の起立杆と対応する位置に収納用天井レール側に向けて開放する切欠部がそれぞれ形成されており、該切欠部を起立杆が通ることにより移動壁を厚み方向に移動させることができるようになっている。
【0006】
この構成によれば、案内用天井レールに沿って移動してきた移動壁は、収納庫内において案内用天井レールに形成されるターンテーブルに走行体が支持される位置(収納基準位置)に手動で位置合わせされた状態で一対の走行体のみが90度水平回動されることにより案内用天井レールに直交する収納用天井レールに対して走行体を移動可能とした後、移動壁駆動機構の付勢アームによって移動壁の本体部の上端に設けられる起立杆が移動壁の厚み方向に押動されることにより収納用天井レールに移送されるため、複数の移動壁を本体部の吊支姿勢が維持された状態で案内用天井レールから収納用天井レールに収納移送して並列に収納することができる。尚、移動壁駆動機構とターンテーブルが収納時と逆動作を行うことにより、収納用天井レールに並列に収納された移動壁を収納用天井レールから案内用天井レールに取出移送し、移動壁を収納庫外に移動させて案内用天井レールに連接して間仕切りとして使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2891153号公報(第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1にあっては、収納庫内において移動壁を案内用天井レールから収納用天井レールに収納移送するために、手動で案内用天井レールに沿って移動させてきた移動壁がターンテーブルを通り過ぎないように停止させた後、最終的にターンテーブルに走行体が支持される位置に位置合わせするための細かい配置調整を行わなければならず、作業が煩雑となり移動壁を案内用天井レールから収納用天井レールに収納移送する作業に長い時間を要してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、間仕切パネルを短時間で収納基準位置に配置することができる移動間仕切装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の移動間仕切装置は、
走行レールに沿って転動可能な吊支体により吊支される間仕切パネルにより空間を間仕切るとともに、収納時には収納部に前記間仕切パネルを収納する移動間仕切装置であって、
前記間仕切パネルを前記収納部に配設される前記走行レールに沿って前記収納部の出入口近傍から所定位置まで搬送する搬送ローラと、前記間仕切パネルを前記走行レールに沿って前記所定位置から収納基準位置まで移動させる移動手段と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、走行レールに沿って収納部の出入口近傍まで移動してきた間仕切パネルを搬送ローラにより収納部の所定位置まで搬送し、移動手段により収納部の所定位置から収納基準位置までの残り距離を移動させることで、間仕切パネルを収納基準位置に機械的に位置決めできるため、間仕切パネルを短時間で収納基準位置に配置することができる。
【0011】
前記移動手段は、前記間仕切パネルの側端部を前記収納基準位置まで押動する押動部材を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、移動手段の押動部材が間仕切パネルの側端部を押動することにより、間仕切パネルに特別な構造を設けることなく、移動手段により間仕切パネルを収納部の所定位置から収納基準位置まで移動させることができる。
【0012】
前記押動部材は、前記走行レールに沿って移動する前記間仕切パネルの側端面を押動するものであることを特徴としている。
この特徴によれば、移動手段の押動部材が間仕切パネルの側端面を押動することにより、走行レールに沿って移動する間仕切パネルに力を作用させやすい。
【0013】
前記搬送ローラは、前記走行レールに沿って正逆回転可能に複数設けられ、少なくとも1つの前記搬送ローラは、前記間仕切パネルに後続する間仕切パネルを停止可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、走行レールに沿って複数設けられる少なくとも1つの搬送ローラが逆回転することにより、間仕切パネルを停止させることができるため、他の搬送ローラにより収納部において間仕切パネルが搬送されている状態で後続する新たな間仕切パネルが収納部の出入口から搬入または搬出されることを防ぐことができる。
【0014】
前記間仕切パネルを前記走行レールに沿って前記収納基準位置から前記所定位置側に移動させる第2の移動手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、第2の移動手段により間仕切パネルを走行レールに沿って収納基準位置から収納部の所定位置側に移動させた後、搬送ローラにより間仕切パネルを収納部の所定位置から出入口近傍まで搬送することができるため、間仕切パネルを走行レールに沿って収納部から出入口近傍まで機械的に移動させ、直ちに間仕切りとして使用できる。
【0015】
前記間仕切パネルが前記所定位置に配置されることを検知する検知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、走行レールに沿って移動する間仕切パネルが収納部の所定位置に達したことを検知する検知手段の検知に基づいて、搬送ローラと移動手段または第2の移動手段の動作を連動させることにより、収納部の出入口近傍と収納基準位置との間で間仕切パネルを走行レールに沿って機械的に短時間で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例における移動間仕切装置を示す斜視図である。
図2】収納部における移動間仕切装置についてレールユニットの上方部分を省略して示す上面図である。
図3】収納部における移動間仕切装置を示す右斜め前方から見た模式斜視図である。
図4】主にローラユニットおよび第1移動手段を示す上面図である。
図5】主に第2移動手段を示す上面図である。
図6】(a)は、移送可能状態における間仕切パネルを示す正面図であり、(b)は、第2移動手段により押動される間仕切パネルを示す正面図である。
図7】(a)は、移送可能状態における間仕切パネルを示す背面図であり、(b)は、第2移動手段により押動される間仕切パネルを示す背面図である。
図8】移動間仕切装置を左側方から見た一部断面図である。
図9】(a)は、走行レールの断面および案内部を示す正面視における一部断面図であり、(b)は、案内部を示す上面図である。
図10】(a)〜(c)は、間仕切パネルを搬送ローラにより搬送させる態様を示す上面図である。
図11】(a)〜(c)は、間仕切パネルを収納基準位置に搬送・移動させる態様を示す上面図である。
図12】(a)〜(c)は、収納基準位置に取出された間仕切パネルを押動し搬送する態様を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る移動間仕切装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0018】
実施例に係る移動間仕切装置につき、図1から図12を参照して説明する。以下、図2の紙面下側を移動間仕切装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0019】
本実施例の移動間仕切装置1は、図1に示されるように、天井部Cに設けられるレールユニット3から吊支部材4,4(連結杆42,42)により吊支され、該レールユニット3に沿って移動可能な複数の間仕切パネル2,2,…を幅方向に直列に連接して壁面を形成し、オフィス、展示ホール、会議場等の室内空間Yを所定の区画に仕切る用途で使用されるものである。
【0020】
本実施例の移動間仕切装置1は、図2,3に示されるように、天井部Cに亘って設置されるレールユニット3と、該レールユニット3に沿って移動可能な左右一対の吊支部材4,4(吊支体)により吊支される間仕切パネル2と、複数の間仕切パネル2,2,…を収納・取出するための収納・取出機構S(後述するローラユニット50,55,…、第1移動手段6、収納移送手段7、取出移送手段8、第2移動手段9)と、から主に構成されている。尚、収納室X(収納部)は、室内空間Yを画成する側壁Wに対して所定の奥行きを形成するように上下方向に亘って凹設されている。さらに尚、側壁Wには、床部から天井部Cに亘って出入口Eが形成されており、出入口Eを介して間仕切パネル2を収納室Xより出入させることができる。
【0021】
間仕切パネル2を間仕切りとして使用しない場合には、収納室Xにおいて収納・取出機構Sにより、間仕切パネル2をレールユニット3の第1レール30(走行レール)に沿って移動させ、第1レール30から後述する交差部35,35’において交差する第2レール31,31に収納移送し、複数の間仕切パネル2,2,…を並列に収納する。また、間仕切パネル2を間仕切りとして使用する場合には、第2レール31,31に並列に収納された間仕切パネル2を、第2レール31,31から第1レール30に取出移送し、その後、第1レール30に沿って室内空間Yに移動させて、間仕切りとして使用可能となる。
【0022】
尚、説明の都合上、図2,4,5,10〜12において、レールユニット3は、後述する下向き開口部30a,31a,32a,33a,…およびレール部30b,31b,32b,33b,…のみを図示しており、後述する収納・取出機構Sの案内部11A,11Bを簡略化して図示している。さらに尚、図3において、ローラユニット50,55,…、第1移動手段6、収納移送手段7、取出移送手段8、第2移動手段9の図示を簡略化している。さらに尚、本実施例の記載内容および各図において、最大で3枚の間仕切パネル2,2,2のみの説明および図示を行っているが、間仕切パネル2の枚数を限定するものではない。
【0023】
まず、レールユニット3について、図2,3,8,9(a)を用いて説明する。図2,3に示されるように、レールユニット3は、収納室X内から収納室Xにアクセス可能な出入口Eを経て室内空間Yまで配設される左右方向に延びる略直線状の第1レール30と、交差部35,35’において第1レール30と略直交する左右一対の第2レール31,31と、交差部35,35’において第1レール30と直交し第2レール31,31と対向する左右一対の第3レール32,32と、交差部35,35’において各レール30,31,32,…を略十字状に連結する上面視略正方形状の接続部材33,33’と、を備えている。
【0024】
尚、説明の都合上、第1レール30のうち、収納室X内において室内空間Y側に位置するものを第1レール30A、接続部材33,33’の間に接続されるものを第1レール30B、接続部材33のみに接続されるものを第1レール30Cとして説明することもある。
【0025】
レール30,31,32,…は、断面視において略同一構成のレール部材を任意の長さに切断・接続することで形成されているため、第2レール31の構造を説明し、第1,第3レール30,32の説明を省略する。
【0026】
図9(a)に示されるように、第2レール31は、金属製であり、押出し成形により断面視下向きコ字状に形成されている。下端部略中央に形成された下向き開口部31aと、下向き開口部31aを挟んで互いに略平行に形成された一対のレール部31b,31bと、一対の側部と、レール部31b,31bと略平行かつ上方に形成された天井部31cと、天井部31cの略中央部に形成された断面視略長方形状のガイド部31dと、を備え、これらは長手方向に亘って連続形成されている。尚、ガイド部31dは、後述する吊支部材4のガイドローラ41,41,…(図8参照)並びに収納移送手段7および取出移送手段8の案内部11A,11B,…のガイドローラ15,15,…の間に挿嵌可能に形成されている。
【0027】
接続部材33(図3参照)は、下端部に亘って下端部略中央から略十字状に形成された下向き開口部33aと、下向き開口部33aを前後左右に挟んで互いに略平行に形成されたレール部33b,33b,…と、レール部33b,33b,…と略平行かつ上方に形成された天井部33c(図8参照)と、天井部33cの略中央部に上面視略正方形状に形成された側部断面視略長方形状のガイド部33d(図8参照)と、から主に構成された中空の部材である。尚、ガイド部33dは、後述する吊支部材4のガイドローラ41,41,…の間に挿嵌可能に形成されている。さらに尚、接続部材33’については、接続部材33と略同一構成のため説明を省略する。
【0028】
レールユニット3は、接続部材33にレール30,31,32がそれぞれ接続されることで、上面視略十字状の交差部35,35’(図3参照)を形成する。交差部35,35’では、接続部材33のレール部33bに対してレール30,31,32のレール部30b,31b,32bがそれぞれ接続されており、同様に接続部材33の下向き開口部33aに対してレール30,31,32の下向き開口部30a,31a,32aがそれぞれ連接されている。このとき、レール31,32,…は、第1レール30に対して略直交して接続部材33,33’に接続されている。
【0029】
第1レール30Bの両端部には、接続部材33,33’が接続されており、接続部材33,33のガイド部33d,33d間の寸法は、間仕切パネル2の上端部2dに連結される吊支部材4,4間の寸法と略同一となっている。また、左右一対の第2レール31,31のガイド部31d,31d間の寸法についても、間仕切パネル2の上端部2dに連結される吊支部材4,4間の寸法と略同一となっており、第3レール32,32についても同様である。
【0030】
これらの寸法関係により、吊支部材4は、第1レール30と第2レール31,31との間を移乗することができるようになっている。尚、本実施例において、吊支部材4は、第3レール32に移乗されることはない。
【0031】
次いで、間仕切パネル2について、図2〜4,6〜8を用いて説明する。図2,3に示されるように、間仕切パネル2は、正面視略長方形状のパネル本体2aと、パネル本体2aの上端部2dに取付けられる吊支部材4,4と、から主に構成されている。尚、図8においては、間仕切パネル2,2,2を収納移送する順番に、間仕切パネル2A,2B,2Cとして記載している。さらに尚、以降、すべての間仕切パネル2A,2B,2Cが収納室X内に配置される状態を「収納完了状態」とする。
【0032】
まず、間仕切パネル2のうち、パネル本体2aについて説明する。尚、説明の都合上、パネル本体2aの側端部のうち正面視右側を右側端部2b、正面視左側を左側端部2c、上面視前側を前面部20(パネル面)、後方を後面部25(パネル面)、として説明する。
【0033】
前,後面部20,25は、上端部2d側において左右方向に延設された上面視略等脚台形状の突出部21,26(詳しくは、図2,3参照)を備えており、間仕切パネル2の後側に位置する後面部25の突出部26は、間仕切パネル2の前側に位置する前面部20の突出部21よりも上方に配設されている(図8参照)。
【0034】
前面部20の突出部21は、左右方向の端部が中央に向かって前面部20から漸次突出するテーパ面22,22(図2,6参照)と、テーパ面22,22と左右方向に連続し前面部20と略平行な突出面23と、から構成されている。前面部20の突出部21は、左右方向に連続して延設されていることから一体感があり、見栄えがよい。尚、後面部25の突出部26については、図7に示されるように、テーパ面27,27と、突出面28と、を備えており、配設された位置を除いて略同一構成であるため、説明を省略する。
【0035】
突出部21,26は、詳しくは後述するが、収納室Xに対して間仕切パネル2を搬入・搬出可能な前後一対のローラユニット50,55,…により、前後から挟圧可能に形成されている。詳しくは、前面部20の突出部21がローラユニット50,50’に当接(図6(b)参照)し、後面部25の突出部26がローラユニット55,55’に当接(図7(b)参照)する。
【0036】
図7,8に示されるように、間仕切パネル2の後面部25には、垂直方向に軸支される複数のローラ29a,29a,…を備えるローラ部29が、後面部25の突出部26の下方に複数配設されている。このローラ部29のローラ29a,29a,…の後端部は、後面部25の突出部26の突出面28と略同一面状に位置している。
【0037】
また、ローラ部29は、隣接する間仕切パネル2の前面部20の突出部21の突出面23の上下方向略中央部に接触可能(図8参照)となっている。
【0038】
次いで、間仕切パネル2のうち、吊支部材4について、図2,3,6(a),7(a),8を用いて説明する。図2に示されるように、吊支部材4は、上面視略正方形状の箱状に形成された本体部45と、本体部45の前後左右それぞれの側端部の略中央にボルト43によって略水平に軸支される走行ローラ40,40,…と、本体部45の上端部の各角部にボルト44によって本体部45の上端部に対して略垂直に軸支されるガイドローラ41,41,…(図6(a),7(a)参照)と、本体部45の上面視略中央から下方に突出し間仕切パネル2の上端部2dに連結される軸状の連結杆42(図8参照)と、から主に構成されている。
【0039】
尚、説明の都合上、走行ローラ40,40,…のうち、前後一対に配設されるものを走行ローラ40A,40A(図8参照)、左右一対に配設されるものを走行ローラ40B,40B(図7(a)参照)として説明することもある。
【0040】
また、連結杆42は、レールユニット3の下向き開口部30a,31a,32a,33aに対して挿通可能(詳しくは、図8参照)に形成されている。
【0041】
走行ローラ40は、本体部45の下端部より下方に突出するように形成・軸支されており、吊支部材4に連結された間仕切パネル2を移動させる際に、前後一対の走行ローラ40A,40Aは、第1レール30および接続部材33,33’に沿ってレール部30b,33b,…上を走行可能であり、左右一対の走行ローラ40B,40Bは、左右一対の第2レール31,31および接続部材33,33’に沿ってレール部31b,33b…上を走行可能となっている。
【0042】
また、走行ローラ40は、前後一対の走行ローラ40A,40Aが第1レール30および接続部材33,33’のレール部30b,33b,…上を走行する際に、左右一対の走行ローラ40B,40Bが第1レール30および接続部材33,33’の下向き開口部30a,33a上に位置する(詳しくは、図8参照)ため走行の妨げになり難い。
【0043】
また、吊支部材4は、直接の図示は省略するが、接続部材33の下向き開口部33aの略中央部(上面視略十字状に形成された下向き開口部33aの交点部分)に位置すると、レール部33b,33b,…それぞれの端部間によって支持された状態(以降、「下向き開口部33aに略挿嵌された状態」または「移送可能状態」とする)となり、移動方向を切替可能な位置(以降、「収納基準位置」とする)に位置決めされやすい。従って、いずれの走行ローラ40A,40Bも移送可能状態であるときは、走行ローラ40,40に対して所望の進行方向に力を加えることで、走行ローラ40,40は下向き開口部33aに略挿嵌された状態から脱し、接続部材33,33’から第1レール30または第2レール31,31に移送される。
【0044】
これらにより、吊支部材4は、レールユニット3の接続部材33において移動方向を切り替えることができる。
【0045】
ガイドローラ41,41,…間には、レールユニット3の各ガイド部30d(図3参照),31d,32d,33dを挿嵌可能となっており、吊支部材4に連結された間仕切パネル2を移動させる際に、ガイドローラ41,41,…が各ガイド部30d,31d,32d,33dに当接することで間仕切パネル2を進行方向に案内させるとともに、間仕切パネル2の揺れや傾きを防ぐことができる。
【0046】
次いで、収納・取出機構Sの構成について図2を用いて説明する。収納・取出機構Sは、収納室X内において第1レール30Aを挟んで取付けられた前後一対のローラユニット50,55,50’,55’(搬送ローラ)と、一対のローラユニット50,55の前方に配設される第1移動手段6(移動手段)と、第3レール32に配設される収納移送手段7と、第2レール31に配設される取出移送手段8と、第1レール30の一方の端部に配設される第2移動手段9(移動手段,第2の移動手段)と、から主に構成されており、出入口Eを介して収納室X内外に間仕切パネル2を進退させて収納・取出可能となっている。
【0047】
まず、収納・取出機構Sのうち、前後一対のローラユニット50,55,50’,55’について、図4,6,7,10,11を用いて説明する。図4,6に示されるように、ローラユニット50,50’は、所定間隔をおいて第1レール30Aの正面側に固定されており、ローラユニット55,55’は、第1レール30Aのローラユニット50,50’と対向した位置に固定されている。尚、ローラユニット50,50’はともに略同一の構成であり、ローラユニット55,55’についても同様である。さらに尚、ローラユニット50,55は、上面視左側に固定され、ローラユニット50’,55’は、上面視右側に固定されている。
【0048】
ローラユニット50は、鉛直方向に延びる回転軸を有するモータ51と、モータ51の回転軸に固定され水平方向に回動可能な送りローラ52と、モータ51を固定するブラケット53とから主に構成されている。
【0049】
また、ローラユニット50は、ブラケット53の上部に穿設された図示しない取付孔を挿通する図示しないボルトによって、第1レール30Aに固定されており、上述したように、送りローラ52は間仕切パネル2の前方に位置する前面部20の突出部21と当接可能(図7(b)参照)となっている。
【0050】
また、図10(c)に示されるように、ローラユニット50,55は、間仕切パネル2の突出部21,26を挟圧・挟持した状態で、モータ51を上面視において反時計回り、モータ56を上面視において時計回りに回動させることで、間仕切パネル2を収納室X内方へ搬送することができる。同様に、図12(b)に示されるように、モータ51を上面視において時計回り、モータ56を上面視において反時計回りに回動させることで、間仕切パネル2を収納室X外方へ搬送することができる。
【0051】
モータ51は、図示しない制御装置により、回転軸を中心に時計回り、または、反時計回りに選択的に回動可能となっている。
【0052】
尚、ローラユニット50’に関しては、ローラユニット50と略同一の構成であるため説明を省略する。
【0053】
ローラユニット55は、送りローラ57の下端部がブラケット58の下端部よりわずかに高い位置(図7(a)参照)にて、モータ56および送りローラ57が図示しないボルトナットによりブラケット58に固定されている。言い換えれば、ローラユニット55の送りローラ57は、ローラユニット50の送りローラ52よりも高い位置に配設されており、上述したように、間仕切パネル2の後方に位置する後面部25の突出部26と当接可能(図7(b)参照)となっている。
【0054】
モータ56の回動方向は、ローラユニット50のモータ51の回転に対して逆回転となる様に図示しない制御装置によって制御されている。
【0055】
尚、ローラユニット55’は、ローラユニット55と略同一の構成であるため説明を省略する。さらに尚、ローラユニット55,55’のそれ以外の説明に関してはローラユニット50,50’と略同一の構成であるため説明を省略する。
【0056】
図10(b)〜11(b)に示されるように、ローラユニット50,55は、ローラユニット50,55に対して間仕切パネル2が移動してきた際、間仕切パネル2の突出部21,26のテーパ面22,27(図2,6,7参照)がローラユニット50,55の送りローラ52,57にそれぞれ接触し、テーパ面22,27によって送りローラ52,57が拡開方向に付勢されながら、突出部21,26の突出面23,28に送りローラ52,57が拡開方向に付勢された状態でとなる。言い換えれば、対向するローラユニット50,55の送りローラ52,57は突出部21,26を挟圧・挟持した状態となる。
【0057】
次いで、収納・取出機構Sのうち、第1移動手段6について説明する。図4に示されるように、第1移動手段6は、進退動作可能なロッド61を備える電動シリンダ60と、ロッド61の先端部61aに接続されるリンク機構63と、電動シリンダ60およびリンク機構63が載置・支持される設置ユニット67と、から主に構成されている。
【0058】
設置ユニット67は、上面視略矩形状に形成されたフレーム部材68と、フレーム部材68上に取付けられた上面視略矩形状の載置パネル69a,69b,69cと、から構成されている。載置パネル69a,69bは、フレーム部材68の左右端部に架設され、図示しないボルトによりフレーム部材68に設けられた図示しない雌ネジ部に固定されている。
【0059】
載置パネル69cは、載置パネル69a,69bより左右方向に短尺に形成されており、フレーム部材68から上面視右方向に突出した状態で、フレーム部材68の前端右側部に図示しないボルトによりフレーム部材68に設けられた図示しない雌ネジ部に固定されている。
【0060】
尚、設置ユニット67は、図示しない吊支部材により、天井部Cに吊支・固定されており、上下方向において、第1レール30Aおよびローラユニット50,55,…より下方に第1移動手段6が配設されている。これにより、第1移動手段6は、後述する進出動作または後退動作の際に、第1レール30Aおよびローラユニット50,55,…に接触しない。
【0061】
電動シリンダ60は、載置パネル69cに固定された一対の脚部62,62の軸部60a,60aに軸支されている。
【0062】
また、電動シリンダ60は、載置パネル69cの長尺方向から略45度傾いた角度で載置パネル69c上に固定されているため、ロッド61の先端部61aは、接続部材33’に対向するように進退動作する。
【0063】
リンク機構63は、略同一形状の一対のリンク部材64,64’と、押動部材65と、から主に構成されている。リンク部材64は、長尺部材であり、両端部に図示しない挿通孔と、略中央部から外方に突出する上面視長方形状の接続部64bと、略中央部の裏面にキャスタ64cとを備えている。また、接続部64bには接続部64bの長尺方向と略平行の長孔64aが形成されている。尚、リンク部材64’は、リンク部材64と略同一形状であるため説明を省略する。
【0064】
押動部材65は、長尺部材であり、一端部から略中央部近傍にかけて外方に突出する押動部65aと、略中央部から外方に突出し図示しない挿通孔を備える接続部65bと、他端部から外方に突出し図示しない挿通孔を備える接続部65cと、を備えている。
【0065】
リンク機構63は、リンク部材64の一端部と押動部材65の接続部65cにそれぞれ設けられた図示しない挿通孔がボルト66aと図示しないナットにより回動可能に軸支され、リンク部材64’の一端部と押動部材65の接続部65bにそれぞれ設けられた図示しない挿通孔がボルト66a’と図示しないナットにより回動可能に軸支され、リンク部材64の他端部が図示しない挿通孔を介してフレーム部材68の図示しない雌ネジ部に固定されるボルト66bによって回動可能に軸支され、リンク部材64’の他端部が図示しない挿通孔を介してフレーム部材68の図示しない雌ネジ部に固定されるボルト66b’によって回動可能に軸支され、上面視略平行四辺形状の枠体に形成されている。尚、押動部材65は、第1レール30Aに対して略垂直となっている。
【0066】
また、リンク機構63は、リンク部材64,64’の下方にキャスタ64c,64c’が取付けられているため、後述する進出動作または後退動作をする際に、キャスタ64c,64c’が載置パネル69b,69a上で転動するため進出動作または後退動作の妨げになり難く、キャスタ64c,64c’以外のリンク機構63が設置ユニット67に接触し難くなっている。
【0067】
また、リンク機構63は、リンク部材64の接続部64bの長孔64aに挿通される図示しないボルトナットによって電動シリンダ60のロッド61の先端部61aと接続されている。
【0068】
次いで、第1移動手段6の動作について、図11(a)〜(c)を用いて説明する。尚、図11(a)に示される、第1移動手段6は、駆動していない状態であり、この状態を待機状態とする。
【0069】
まず、待機状態である第1移動手段6は、進出動作するにあたり、電動シリンダ60のロッド61の先端部61aが電動シリンダ60側から接続部材33’に向かって進出する。
【0070】
次いで、リンク部材64は、リンク機構63がボルト66a,66a’,66b,66b’によって各端部が軸支された略平行四辺形状の枠体であることから、電動シリンダ60のロッド61に押されることでボルト66b,66b’を軸として、リンク部材64,64’上面視反時計回りに回動する。
【0071】
このとき、押動部材65は、ボルト66a,66a’を軸としてリンク部材64,64’に軸支されているため、リンク部材64,64’の回動に従動し、ボルト66b,66b’に対して略平行のまま回動する。
【0072】
これにより、第1移動手段6は、図11(b)に示されるように、電動シリンダ60のロッド61が進出動作することで、リンク機構63の押動部材65が第1レール30Aに対して略垂直に支持されたまま水平方向に回動し、第1レール30Aの下方に押動部65aが進出し(間仕切パネル2の走行軌道に対して厚み方向に進出し)、押動部材65の押動部65aが間仕切パネル2の右側端部2b(側端部,側端面)に対して略平行に当接し、間仕切パネル2を上面視左側へ押動することができる。
【0073】
第1移動手段6により押動される間仕切パネル2は、図11(c)に示されるように、吊支部材4,4がそれぞれレールユニット3の接続部材33,33’の下向き開口部33a,33a’に略挿嵌された位置になると、電動シリンダ60の進出動作を停止させ、間仕切パネル2の状態で移動が停止する。
【0074】
また、第1移動手段6は、間仕切パネル2の押動を終えると、電動シリンダ60のロッド61が後退することで、押動部材65が間仕切パネル2の走行軌跡と接触しない位置に後退し、待機状態となる。尚、第1移動手段6の後退動作は、進出動作とは逆方向への動作であって略同一動作であるため説明を省略する。
【0075】
次いで、収納・取出機構Sのうち、収納移送手段7について説明する。図2、8に示されるように、収納移送手段7は、第3レール32,32に沿って移動して第1レール30Aに対して前後方向略垂直に進出動作および後退動作を行うことにより、収納基準位置に配置される間仕切パネル2を第1レール30から第2レール31,31に収納移送し、複数の間仕切パネル2,2,…を並列に収納することができる。
【0076】
次いで、収納・取出機構Sのうち、取出移送手段8について説明する。図2、8に示されるように、取出移送手段8は、第2レール31,31に沿って移動して第1レール30Aに対して前後方向略垂直に進出動作および後退動作を行うことにより、第2レール31,31に並列に収納された間仕切パネル2を、第2レール31,31から第1レール30の収納基準位置に取出移送することによって、間仕切りとして使用可能とすることができる。
【0077】
次いで、収納・取出機構Sのうち、第2移動手段9について図5〜8を用いて説明する。図5に示されるように、第2移動手段9は、電動シリンダ90と、リンク部材93と、設置ユニット97と、から主に構成されている。尚、電動シリンダ90については、電動シリンダ60と略同一構成であるため説明を省略する。
【0078】
設置ユニット97は、図示しない吊支部材により、第1レール30Cの延伸上にて天井部Cに吊支されている。これにより、第2移動手段9は、上下方向においてレール30B,32…等より下方に配設(詳しくは、図8参照)され、取出操作後に、間仕切パネル2の左側端部2c(側端部)を押圧することができる。
【0079】
リンク部材93は、上端部に押動ローラ96を備え、下端部が設置ユニット97の右側端部に回動可能に軸支されている。また、リンク部材93の略中央部には、電動シリンダ90のロッド91の先端部91aが回動可能に軸支されており、リンク部材93が垂直方向に回動可能となっている。
【0080】
次いで、第2移動手段9の動作について説明する。第2移動手段9は、詳しくは、図6,7に示されるように、電動シリンダ90のロッド91の先端部91aが電動シリンダ90側からレールユニット3の接続部材33に向けて進出する。このとき、リンク部材93は脚部92,92の軸部90a,90aによって軸支されているため、電動シリンダ90は軸部90a,90aを軸としてロッド91の先端部91aが下方に移動するように回動する。これにより、リンク部材93は、設置ユニット97に軸支される下端部を軸に回動し、押動ローラ96は接続部材33に向かって弧を描くように回動する。
【0081】
また、第2移動手段9の後退動作については、進出動作とは逆方向への動作であって略同一動作であるため説明を省略する。
【0082】
これまで、移動間仕切装置1の構造について説明してきたが、これより収納・取出機構Sによる間仕切パネル2の収納・取出について説明する。まずは、間仕切パネル2の収納について、図2,8,10,11を用いて説明する。
【0083】
間仕切りとして使用している複数の間仕切パネル2,2,…を収納室Xに収納する際には、図示は省略するが複数の間仕切パネル2,2,…の連接を解除した後、収納室X側に配設されている間仕切パネル2Aから順に手動により、図10(a)に示されるように、第1レール30に沿って室内空間Yから出入口E(図1参照)を介して収納室X内に移動させる。
【0084】
図10(a),(b)に示されるように、手動により移動される間仕切パネル2Aは、ローラユニット55’の上面視右側において第1レール30Aの下端部に取付けられている接触式のリミットスイッチ10a(検知手段)に間仕切パネル2の左側端部2c(図2参照)が接触すると、ローラユニット50’の送りローラ52’が上面視反時計回りに、ローラユニット55’の送りローラ57’が上面視時計回りに、それぞれ回転する。
【0085】
これにより、手動にて間仕切パネル2をローラユニット50’,55’間に押し込むと、図11(b)に示されるように、間仕切パネル2の突出部21,26は送りローラ52’,57’によって挟持された状態となり、送りローラ52’,57’の回転により間仕切パネル2を第1レール30に沿って上面視左側に搬送することができる。
【0086】
尚、リミットスイッチ10aは、詳しくは図10(b)〜11(b)に示されるように、間仕切パネル2Aの右側端部2b(図2参照)がリミットスイッチ10a前を通過するまでは間仕切パネル2に接触し続けているため、その間ローラユニット50’,55’の送りローラ52’,57’の回転は継続される。さらに尚、ローラユニット50’,55’の送りローラ52’,57’の回転は、リミットスイッチ10aから間仕切パネル2Aが離間した後も、所定時間回転を継続するようになっており、確実に間仕切パネル2Aがローラユニット50’,55’から離間する。
【0087】
図10(b),(c)に示されるように、ローラユニット50’,55’により搬送される間仕切パネル2は、ローラユニット55の上面視右側において第1レール30Aの下端部に取付けられている接触式のリミットスイッチ10b(検知手段)に間仕切パネル2の左側端部2cが接触し、ローラユニット50,55の送りローラ52,57が回転し、ローラユニット50’,55’とともに間仕切パネル2を上面視左側に搬送することができる。それ以外は、ローラユニット50’,55’と略同一であるため、説明を省略する。
【0088】
ローラユニット50,55により搬送される間仕切パネル2Aは、突出部21,26がローラユニット50,55から離間すると、ローラユニット50,55から離間した位置(所定位置)(以降、「所定位置」とする)でローラユニット50,55による搬送が終了する。
【0089】
図11(c)に示されるように、ローラユニット50,55による搬送が終了した間仕切パネル2Aは、第1移動手段6の進出動作により進出する押動部65aによって間仕切パネル2Aの右側端部2b(図2参照)が上面視左側へ押動され、間仕切パネル2Aの吊支部材4,4が接続部材33,33’の下向き開口部33a,33a’に略挿嵌され、収納基準位置に案内された状態となる。
【0090】
尚、第1移動手段6は、間仕切パネル2Aを押動・案内するにあたり、図11(b)に示されるように、間仕切パネル2Aの右側端部2bがリミットスイッチ10bから離間した際に進出動作を開始しており、間仕切パネル2Aの停止時間を短縮している。さらに尚、図11(c)に示されるように、間仕切パネル2Aの押動・案内を終えた第1移動手段6は、後退動作を行い、待機状態となる。
【0091】
尚、直接の図示は省略するが、ローラユニット50’,55’は、間仕切パネル2Bがリミットスイッチ10aに接触した際に、第1移動手段6が間仕切パネル2Aを収納基準位置に押動・案内後、待機状態に復帰していなければ、ローラユニット50’の送りローラ52’が上面視時計回りに、ローラユニット55’の送りローラ57’が上面視反時計回りに、それぞれ回転する。これにより、間仕切パネル2Bの上面視左側への移動が規制されるため、第1移動手段6の進出動作および後退動作の際の妨げとならないとともに、後続する間仕切パネル2Bが先行する間仕切パネル2Aに衝突することを防止できる。尚、ローラユニット50’,55’は、回転を停止することで間仕切パネル2Bの上面視左側への移動を規制してもよい。
【0092】
尚、収納移送手段7は、間仕切パネル2Aが収納基準位置に案内されると進出動作を開始し、収納基準位置に配置される間仕切パネル2Aを第1レール30から第2レール31,31に収納移送することができる。また、移動間仕切装置1は、収納移送を繰り返し行うことにより、複数の間仕切パネル2A,2B,2Cを収納室X内(第1レールおよび第2レール31,31)に収納することができる(図2,8参照)。
【0093】
次いで、間仕切パネル2の取出について、図2,8,12を用いて説明する。尚、間仕切パネル2の取出について説明するにあたり、例えば図2,8のように、収納完了状態の間仕切パネル2A,2B,2Cを例に説明を行う。
【0094】
収納完了状態にある間仕切パネル2A,2B,2Cのうち、収納基準位置に配置されている間仕切パネル2Cの左側端部2c(図2参照)を、図12(a)に示されるように、第2移動手段9の進出動作によって、上面視右側へと押動させる。
【0095】
第2移動手段9に押動され第1レール30に沿って移動する間仕切パネル2Cは、ローラユニット50,55の送りローラ52,57に略挟持される。尚、第2移動手段9は、間仕切パネル2Cがローラユニット50,55の送りローラ52,57に略挟持されるまで間仕切パネル2Cを押動すると、後退動作を行い、図12(b)に示されるように、待機状態に復帰する。
【0096】
ローラユニット50,55は、第2移動手段9の進出動作と略同時に、ローラユニット50の送りローラ52が時計回りに、ローラユニット55の送りローラ57が反時計回りに、それぞれ回転しており、図12(b),(c)に示されるように、略挟持した間仕切パネル2Cを上面視右側へと搬送することができる。尚、ローラユニット50,55の回転は、間仕切パネル2Cの左側端部2c(図2参照)がリミットスイッチ10bを通過するまで継続される。さらに尚、ローラユニット50’,55’およびリミットスイッチ10aについては、ローラユニット50,55と略同一であるため、説明を省略する。
【0097】
図12(c)に示されるように、ローラユニット50’,55’およびリミットスイッチ10aから間仕切パネル2Cが離間すると、取出移送手段8のモータ81が左側面視反時計回りに回転を始め、進出動作を開始する。尚、間仕切パネル2Cは、ローラユニット50’,55’およびリミットスイッチ10aから離間し、収納室Xから取出された後、手動によって所定の位置まで移動される。
【0098】
尚、取出移送手段8は、第2レール31,31に並列に収納される間仕切パネル2B,2Aを第2レール31,31から第1レール30に取出移送することにより、収納基準位置に配置して第2移動手段9およびローラユニット50,55,…によって順次押動・搬送させることができる。
【0099】
これまで説明してきたように、本実施例における移動間仕切装置1は、第1レール30に沿って収納室Xの出入口E近傍まで移動してきた間仕切パネル2をローラユニット50,55,…により収納室Xの所定位置まで搬送し、第1移動手段6により収納室Xの所定位置から収納基準位置までの残り距離を移動させることで、間仕切パネル2を収納基準位置に機械的に位置決めできるため、間仕切パネル2を短時間で収納基準位置に配置することができる。
【0100】
第1移動手段6の押動部材65が間仕切パネル2の右側端部2bを押動することにより、間仕切パネル2に特別な構造を設けることなく、第1移動手段6により間仕切パネル2を収納室Xの所定位置から収納基準位置まで移動させることができる。また、第1移動手段6の押動部材65が間仕切パネル2の右側端部2bを押動することにより、第1レール30に沿って移動する間仕切パネル2に力を作用させやすい。
【0101】
第1移動手段6の押動部材65を第1レール30に沿って移動する間仕切パネル2の軌道に対して厚み方向に進退させることにより、ローラユニット50,55,…による間仕切パネル2の搬送を邪魔することなく、ローラユニット50,55,…により搬送された間仕切パネル2の右側端部2bを押動して収納室Xの所定位置から収納基準位置まで移動させることができる。
【0102】
ローラユニット50’,55’が逆回転することにより、間仕切パネル2を停止させることができるため、他のローラユニット50,55により収納室Xにおいて間仕切パネル2が搬送されている状態で後続する新たな間仕切パネル2が収納室Xの出入口Eから搬入されることを防ぐことができる。
【0103】
第2移動手段9により間仕切パネル2を第1レール30に沿って収納基準位置から収納室Xの所定位置側に移動させた後、ローラユニット50,55,…により間仕切パネル2を収納室の所定位置から出入口E近傍まで搬送することができるため、間仕切パネル2を第1レール30に沿って収納室Xから出入口E近傍まで機械的に移動させ、直ちに間仕切りとして使用できる。
【0104】
第1レール30に沿って移動する間仕切パネル2が収納室Xの所定位置に達したことを検知するリミットスイッチ10a,10bの検知に基づいて、ローラユニット50,55,…と第1移動手段6の動作を連動させることにより、収納室Xの出入口E近傍と収納基準位置との間で間仕切パネル2を第1レール30に沿って機械的に短時間で移動させることができる。
【0105】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0106】
例えば、前記実施例では、間仕切パネル2は、収納室X外の室内空間Yにおいて手動により移動される態様として説明したが、これに限らず、自走可能な間仕切パネルであってもよい。
【0107】
また、収納移送手段7は、間仕切パネル2を押動する態様として説明したが、これに限らず、押動方向とは反対方向に間仕切パネル2を引張する態様であってもよい。この態様であれば、収納移送手段7のみで間仕切パネル2を収納移送および取出移送することができる。また、取出移送手段8についても同様である。
【0108】
また、収納移送手段7は、間仕切パネル2の前面部20の突出部21を押動する態様として説明したが、これに限らず、吊支部材4,4を押動する態様であってもよく、押動する箇所を突出部21に限定するものではない。また、取出移送手段8についても同様である。
【0109】
また、収納移送手段7は、移送ユニット73を備える態様として説明したが、これに限らず、電動シリンダ70により直接間仕切パネル2を押動してもよく、複数の電動シリンダ70を用いる態様や、第1移動手段6、取出移送手段8、第2移動手段9等を用いる態様であってもよく、収納移送手段7に限定するものではない。さらに、電動シリンダ70ではなく、油圧シリンダや他のアクチュエータ等の往復動を行う駆動装置を用いてもよい。
【0110】
また、取出移送手段8は、シャフト88を介すことでモータ81が連結ローラチェーン82,82を回動させる態様として説明したが、これに限らず、複数のモータ81により連結ローラチェーン82,82を直接回動させる態様や、第1移動手段6、収納移送手段7、第2移動手段9等を用いる態様であってもよく、収納移送手段7に限定するものではない。さらに、モータ81ではなく、電動シリンダや他のアクチュエータ等の往復動を行う駆動装置を用いてもよい。
【0111】
また、間仕切パネル2は、吊支部材4,4を備える態様として説明したが、これに限らず、吊支部材4を一つ備える態様でもよく、3つ以上備える態様であってもよい。この態様の際には、交差部35を吊支部材4の位置に併せて設置すればよいことから、間仕切パネルに合わせた構造の変更が容易である。
【0112】
また、交差部35,35’は、レール30,31,32,…および接続部材33,33’により、上面視略十字状に形成されている態様として説明したが、これに限らず、異なる方向に配設されるレールが交差していればよい。この態様であれば、収納部の形状に合わせて構造を変更させることができる。
【0113】
また、突出部21,26は、左右方向に延設された態様として説明したが、これに限らず、複数に分割されていてもよく、収納移送手段7および取出移送手段8の押動ローラ76,86,…が接触する位置にのみ形成されていてもよい。
【0114】
また、突出部21,26は、後面部25の突出部26が間仕切パネル2の前面部20の突出部21よりも上方に配設されている態様として説明したが、これに限らず、下方に配設されていてもよく、一方が他方よりも上下方向に延設されていてもよい。さらに、ローラ部29,29,…についても、突出部21,26の配設位置に応じて配設位置が変更されてもよい。
【0115】
また、ローラ部29は、複数のローラ29a,29a,…を備える態様として説明したが、水平方向に回動可能なローラ29aを一つだけ備える態様であってもよく、その構造を限定するものではない。
【0116】
また、ローラユニット50,55,…は、二組のローラユニット50,55,50’,55’を備える態様として説明したが、これに限らず、一組であってもよく、3組以上備える態様であってもよく、ベルトコンベアにより間仕切パネル2を搬送する態様であってもよい。
【0117】
また、ローラユニット50,55は、逆回転することにより、他のローラユニット50’,55’により収納室Xにおいて間仕切パネル2が搬送されている状態で後続する新たな間仕切パネル2が収納室Xの出入口Eから搬出されることを防ぐことができる態様であってもよい。
【0118】
また、第1移動手段6は、押動部材65が第1レール30Aに対して略垂直に支持されたまま水平方向に回動する態様として説明したが、これに限らず、第1レール30Aに向かって略垂直に移動し、第1レール30Aの下方に進出後上面視左側に駆動する態様であってもよい。また、第1移動手段6は、間仕切パネル2を上面視右側に引張可能であってもよく、この態様であれば、第2移動手段9を省略することができる。さらに、第1移動手段6は、第2移動手段として用いてもよい。
【0119】
また、第2移動手段9は、間仕切パネル2を上面視右側に押動する態様として説明したが、これに限らず、上面視左側に引張可能であってもよい。この態様であれば、第1移動手段6を省略することができる。
【0120】
また、第2移動手段9は、取出移送される間仕切パネル2を検知するリミットスイッチにより進退動作を開始する態様であってもよい。この態様であれば、収納室Xの出入口E近傍と収納基準位置との間で間仕切パネル2を第1レール30に沿って機械的に短時間で移動させることができる。
【0121】
リミットスイッチ10a,10bは、接触式であるとして説明したが、これに限らず、感圧式や、光学式等の様式であってもよい。また、リミットスイッチの代わりに、タイマー制御やオペレータ制御等の制御方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 移動間仕切装置
2 間仕切パネル
2b 右側端部(側端部,側端面)
2c 左側端部(側端部)
4 吊支部材(吊支体)
6 第1移動手段(移動手段)
9 第2移動手段(移動手段、第2の移動手段)
10a,10b リミットスイッチ(検知手段)
30 第1レール(走行レール)
31 第2レール(収納レール)
50,50’ ローラユニット(搬送ローラ)
55,55’ ローラユニット(搬送ローラ)
65 押動部材
93 リンク部材(押動部材)
C 天井部
E 出入口
S 取出機構
W 側壁
X 収納室(収納部)
Y 室内空間(空間)
図1
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