(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流路は、前記液体吐出ヘッド内に形成されているヘッド内流路と、前記ヘッド内流路に接続されるヘッド外流路と、を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
前記記録素子基板は、吐出口から液体を吐出させる吐出エネルギーを発生させる吐出エネルギー発生素子と、前記吐出エネルギー発生素子と前記吐出口との間に液体が供給される圧力室と、を備え、
前記吐出エネルギー発生素子にて吐出エネルギーを発生させたとき、前記圧力室に存在する液体のうち、70%以上の液体が前記吐出口から吐出されることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室とを備え、前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環される、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に関わる液体吐出装置について説明する。なお、インク等の液体を吐出する本発明の液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置は、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。例えば、バイオチップ作製や電子回路印刷や半導体基板作製などの用途としても用いることができる。なお、以下に述べる実施形態は、技術的に好ましい種々の条件が付けられているが、本発明の思想に沿うものであれば、本発明はこれら種々の条件に限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1ないし7は、本発明に係る液体吐出装置の第1実施形態を示す図である。なお、本実施形態では、液体吐出装置として、インクを記録媒体に吐出して画像を形成するインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)である。ここで、インクとは、記録媒体に画像を形成するための色材を含んだ液体だけでなく、記録媒体上に形成される画像の定着性、耐候性などを向上させるための処理液などを含むものとする。
【0013】
図1は、本実施形態における記録装置1000の基本構成を示す模式図である。記録装置1000は、インクを吐出する液体吐出ヘッド1と、液体吐出ヘッド1へ供給すべきインクを収容する収容体8を備える。さらに、記録装置1000は、液体収容体8と液体吐出ヘッド1とを連結するヘッド外流路2および、ヘッド外流路2においてインクを流動させるための送液手段3を備える。
【0014】
本実施形態におけるヘッド外流路2は、液体収容体(液体供給源)8から液体吐出ヘッド1へと液体を流動させるための上流側流路2aと、液体吐出ヘッド1から液体収容体8へと液体を流動させるための下流側流路2bとを備える。また、本実施形態における送液手段3は、上流側流路2aに接続されたポンプ3aと、下流側流路2bに接続されたポンプ3bとを含む。以下、2つのポンプ3a、3bを特に区別する必要がない場合には、両ポンプを総称してポンプ3と記すこともある。
【0015】
図2は、本実施形態に用いる液体吐出ヘッド1を示す斜視図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のIIB−IIB´線断面図、(c)は(a)のIIC−IIC´線断面図、(d)は(c)のD部拡大図である。
図2(a)に示すように、複数の吐出口60(
図2(d)参照)を配列してなる吐出口列61が複数(
図2(a)では4本)配列された記録素子基板6と、流路形成部材としての流路プレート5とを備える。流路プレート5には、
図2(a)、(b)に示すように、インクが矢印F1方向に流動する共通流路51と、
図2(c)に示すように、共通流路51と複数の吐出口列61とを個別に連通させる複数(
図2(c)では4本)の個別流路52が形成されている。また、共通流路51の一端部は前述の上流側流路2aに連通し、他端部は前述の下流側流路2bに連通している。なお、流路プレート5に形成される共通流路51と個別流路52とを総称してプレート内流路50ともいう。
【0016】
図2(d)に示すように、記録素子基板6は、インクを吐出する複数の吐出口60が形成された吐出口形成部材12と、吐出口60からインクを吐出させるための吐出エネルギー発生素子(以下、記録素子という)11が形成されたヒータボード10を有する。記録素子としては、電気熱変換素子(ヒータ)や電気機械変換素子(ピエゾ)などが適用可能であるが、本実施形態では、ヒータを用いている。また、記録素子基板6には、記録素子11と吐出口60とが対向する領域に圧力室62が形成され、さらに圧力室62には、素子基板内流路63を介して、流路プレート5に形成された個別流路52に連通している。なお、プレート内流路50と、素子基板内流路63とにより、ヘッド内流路100が構成されている。
【0017】
以上のように、本実施形態における記録装置1000には、液体吐出ヘッド1の吐出口60へとインクを供給するための流路として、液体吐出ヘッド1外に形成されるヘッド外流路2と、液体吐出ヘッド1内に形成されるヘッド内流路100とが構成されている。
【0018】
また、記録装置1000は、記録媒体Sを液体吐出ヘッド1に対して相対的に移動させる搬送機構を備える。本実施形態では、記録媒体Sの搬送方向(Y方向)と直交する方向(
図1中、紙面と直交する方向)に液体吐出ヘッド1を移動させつつインク滴drを吐出させることにより記録媒体Sに記録を行うシリアル型の記録装置となっている。但し、本発明は、シリアル型の記録装置に限らず、記録媒体を連続的に送りつつ、記録媒体の幅以上の範囲に吐出口を配列した長尺な液体吐出ヘッドを用いて記録を行うフルライン型の記録装置にも適用可能である。
【0019】
上記構成において、ポンプ3a、3bを駆動することにより、液体収容体8に貯留されているインクは、上流側供給流路2aを介して液体吐出ヘッド1の流路プレート5aに形成された共通流路5aに送られる。共通流路5aに流入したインクは、その一部が個別流路52を経て素子基板内流路63に供給される。素子基板内流路63に供給されたインクはさらに圧力室62および吐出口60に供給される。これにより吐出口60にはメニスカスが形成される。また、共通流路51における残りのインクは下流側流路2bおよびポンプ3bを経て液体収容体8に回収される。
【0020】
記録動作時には、記録素子としてのヒータを駆動し、圧力室内のインクを加熱して圧力室62内に気泡を発生させる。この気泡発生時の圧力によって、メニスカスが形成されている吐出口60からは滴状のインクが吐出される。
【0021】
ところで、記録装置1000におけるヘッド外流路2およびヘッド内流路100を流れるインクには、流路の内面との摩擦抵抗などによって圧力損失が生じる。
【0022】
一般的に、流路内に流れる流体の圧力損失は流路抵抗とインク流量の関係より以下の式で示される。
ΔP=R×Q ・・・(式1)
ΔP:圧力損失
R:流路抵抗
Q:インク流量
ここで、流路抵抗Rは管路(流路)の定常流れとして導かれるポアゾイユ流れから導出される以下の式が一般的に用いられる。
【0023】
R=128×η×L/(π×a^4) ・・・(式2)
η:インク粘度
L:管路の長さ
a:管路の等価直径
しかし、
図1で示すようにポンプ3a、3bから送出された液体は周期的に圧力が変動する脈動流となることが知られている。この脈動流は、一定の圧力の下で形成されるポアゾイユ流れではなく、管内非定常流れ(調和振動流)となる。特に、一様断面の円管路内の流体に生じる非定常な流速分布は、以下に示す指標の大きさに応じて異なることが知られている。
【0024】
指標:√(ω/2ν)×a・・・(式3)
ω:脈動の角振動数
ν:インク動粘性係数
a:管路の等価直径
図3は、指標√(ω/2ν)×aが変化した場合の流速分布の変化を示す図であり、図中、横軸は流速を、縦軸は円管の正規化した寸法をそれぞれ表している。ここでは、指標√(ω/2ν)×aが異なる場合の過渡的な流速分布の一例を示している。
【0025】
図4は、指標√(ω/2ν)×aが変化した場合の粘性抵抗比を示す図である。
図4における横軸は指標√(ω/2ν)×aを、縦軸は粘性抵抗比(管内非定常流れにおける粘性抵抗/定常流れ(ポアゾイユ流れ)における粘性抵抗)を表している。ここに示す曲線において、粘性抵抗比=1となる状態(図中、破線にて示す状態)は、流体がポアゾイユ流れである場合の粘性抵抗を示している。これに対し、図中の実線は、流体が管内非定常流れである場合を示している。
【0026】
図5は、指標√(ω/2ν)×aが変化した場合の流量比を示す図である。
図5において横軸は指標√(ω/2ν)×aを、縦軸は流量比(管内非定常流れにおける流量/定常流れ(ポアゾイユ流れ)における流量)をそれぞれ表している。流量比=1は流体がポアゾイユ流れ(非振動時における流量)である場合を示している。
【0027】
図3、
図4、
図5で示すように、指標√(ω/2ν)×aの特徴として以下の点が挙げられる。
特徴1(指標<1の場合)
・流速分布 :ポアゾイユ流れと同様になる(
図3参照)。
・粘性抵抗比 :ポアゾイユ流れと同様になる(
図4参照)。
・流量比 :ポアゾイユ流れと同様になる(
図5参照)。
特徴2(指標>1の場合)
・流速分布 :指標の増加に伴ってポアゾイユ流れとの差が生じる(
図3参照)。
・粘性抵抗比 :指標の増加に伴ってポアゾイユ流れより増加する(
図4参照)。
・流量比 :指標の増加に伴ってポアゾイユ流れより減衰する(
図5参照)。
【0028】
特徴2において、指標=2、5、10の場合の流量比は、それぞれポアゾイユ流れの約1/2、約1/5、約1/10倍になる。従って、上記の指標が1より大きくなるような等価直径の内面を有する拡径部分を、ポンプ3a、3bが設けられたヘッド外流路2の少なくとも一部に設ける。すなわち、上流側流路2aと下流側流路2bのいずれか一方または双方の一部、あるいは両流路2a、2bの全てに上記の拡径部分を設ける。つまり、上記関係を満足する拡径部分は、定常流れを形成し得る長さであれば良く、必ずしも流路全体である必要はない。なお、本実施形態においては、ヘッド内流路100の指標は、1より小さい(√(ω/2ν)×a<1)となっているものとする。
【0029】
上記のように、ヘッド外流路2に、指標が1よりも大きくなる拡径部分を形成したことにより、ヘッド外流路2を流れる液体の流速が抑制され、吐出口に連通する個別流路における圧力が抑制される。その結果、吐出口内の圧力変動が抑制されてメニスカス変動が抑制され、吐出口から吐出される吐出量変動ΔVdが抑制される。
【0030】
以下に、本実施形態における共通流路5aの圧力変動、有効径と指標との関係、および共通流路における吐出量変動などの測定結果を示す。
図6は、本実施形態に使用するポンプ3a、3bの圧力脈動によって生じる圧力変動の測定値を示す図である。なお、この測定では、指標<1のヘッド外流路2が形成されている構成においてポンプ3a、3bを駆動した際に、流路プレート5の共通流路5aに生じる圧力変動を示している。
図6に示すように、ポンプ3a、3bの最大振幅を有する周波数は、約0.5秒(2Hz付近)であることがわかる。
【0031】
図7は、動粘性係数(粘度2.4cP/密度1μg/μm3)のインクを、前述の2Hzの脈動周波数を示すポンプ3a、3bで流動させたときの、ヘッド外流路2の最大等価直径と、指標√(ω/2ν)×aとの関係を示す図である。
【0032】
図8では、ヘッド外流路2の最大の等価直径の中から下記の3種類の最大等価直径を設定した場合の脈動抑制効果を以下に示す。
・インク流路の最大等価直径が1mm以下の場合
この場合、
図7に示すように、指標(√(ω/2ν)×a)<1となるため、
図5に示すように、流量比は1となり、調和振動流の脈動の抑制効果は生じない。
・インク流路の最大有効径(等価直径)が2.5mmの場合
この場合、
図7に示すように、指標(√(ω/2ν)×a)=2となるため、
図5に示すように、流量比は0.5となり、調和振動流の脈動は、約1/2倍となる。
・インク流路の最大有効径12.0mmの場合
この場合、
図7に示すように、指標(√(ω/2ν)×a)=10となるため、
図5に示すように、流量比は0.1となり、調和振動流の脈動は約1/10倍となる。
【0033】
図8は、流路プレート5における共通流路5aの等価直径(最大有効係数)を、
図7に示す1mm、2.5mm、12.0mmとして、指標(√(ω/2ν)×a)を、1、2、10に設定したときの、圧力△Pに対する吐出量変動ΔVdの値を示す図である。
図8に示すように、各圧力変動値△Pにおいて指標(√(ω/2ν)×a)を2に設定したときの吐出量変動値は、指標を1にしたときの1/2に抑制され、指標を10に設定した場合の吐出量変動値は、指標を1にしたときの1/10に抑制されていることがわかる。このことから、同一の圧力変動(脈動)ΔPが生じていたとしても、ヘッド外流路の等価直径に基づいて設定された指標が大きいほど、吐出量変動値ΔVdは抑制されることがわかる。
【0034】
従って、本実施形態によれば、ポンプ3a、3bで液体を流動させることによって脈動流が発生する記録装置において、素子基板内流路63の圧力損失を抑制することが可能になる。その結果、吐出口のメニスカス変動を抑制することが可能になり、吐出口からのインクの吐出量の変動を抑制することが可能になる。また、素子基板内流路63を、ポンプ3a、3bによる圧力変動に関係なく、必要に応じて細径化することが可能となり、記録素子基板6の小型化を図ることが可能になる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、記録素子11と吐出口周辺の構成を示す模式図であり、(a)はインク吐出前の状態、(b)はインク吐出中の状態、(c)はインク吐出後の状態をそれぞれ示している。
【0036】
本実施形態では、圧力室内のエネルギー発生素子上のインク(液体)13は70%以上、すなわちほぼ全てがインク滴(液滴)14aとなって吐出される、高効率な構成を有する。このような液体吐出ヘッドにおいて、より大きな吐出量を吐出させるためには、吐出口径をさらに大きくする必要がある。しかし、吐出口を大きくした場合、吐出口のメニスカス変動は圧力変動に対して大きくなる結果、吐出量変動ΔVdが増加し、画像劣化が生じ易い。
【0037】
そのため、第2の実施形態では、ヘッド外流路2の指標(√(ω/2ν)×a)を1よりも大きな値、例えば、2、あるいは3以上に設定している。これによれば、上記のような高効率な構成を有する液体吐出ヘッドにあっても、液体吐出ヘッドに供給される液体の圧力変動を抑制することが可能になり、吐出口に形成されるメニスカスの変動量を抑制することができる。このため、吐出口からのインクの吐出量は安定し、高品質な画像形成が可能になる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0039】
上記第1の実施形態では、ヘッド内流路100における指標が1以下(√(ω/2ν)×a≦1)であり、ヘッド外流路2の少なくとも一部に、指標が1より大きくなる拡径部分を形成した例を示した。これに対し、第3の実施形態は、液体吐出ヘッド内に形成されているヘッド内流路における指標を1より大きく構成している。
【0040】
図10は、第3の実施形態における液体吐出ヘッド200の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のXB−XB´線断面図、(c)は(a)のXC−XC´線断面図、(d)は(c)のD部拡大図である。なお、
図10において、
図2に示した液体吐出ヘッド1と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。
【0041】
液体吐出ヘッド200は、第1の実施形態と同様の記録素子基板6および流路プレート5とを備えるが、記録素子基板6と流路プレート5との間に、液室部材22が設けられており、この点が上記第1の実施形態と異なる。
【0042】
液室部材22には、
図10(b)に示すように、流路プレート5に形成されているプレート内流路50と記録素子基板6に形成されている素子基板内流路63とを連通させる液室内流路23を有する。この液室内流路23の寸法A1(
図10(c)、(d)参照)は、
図2(a)に示すように寸法Aに比べて非常に大きくなっている。このため、液室内流路23における等価直径は非常に大きくなり、この流路での指標(√(ω/2ν)×a)おけるaの値が非常に大きくなり、指標(√(ω/2ν)×a)は、1を大幅に上回る値となる。その結果、本実施形態の液体吐出ヘッド200では、ポンプ3によりインクを流動させた際に発生する圧力変動を、記録素子基板に連通する液室内流路23によって抑制することが可能になり、吐出口に形成されるメニスカスの変動量を抑制することが可能になる。このため、吐出口からのインクの吐出量は安定し、高品質な画像形成が可能になる。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を、
図11ないし
図13に基づき説明する。
図11は、圧力変動ΔP、吐出口径Φが変化した場合の吐出量変化率を示す図である。図示のように、圧力変動ΔPの増加、吐出口径Φ大化に伴い、吐出量の変化率が増加していることがわかる。つまり、圧力変動ΔPの増加に伴ってインクの脈動流が発生し、吐出口におけるメニスカス変動が増加する結果、吐出時の吐出量変動が増大することがわかる。そのため、インクの脈動流を抑制するには、指標(√(ω/2ν)×a)を1より増加させる必要がある。
【0044】
図12、
図13は、圧力変動△Pが生じている場合における、吐出口径Φと指標との関係を示す図であり、
図12は吐出量変化率を1.5%に抑える場合に必要な指標の大きさを示している。また、
図13は吐出量変化率を3.0%に抑える場合に必要な指標の大きさをそれぞれ示している。ここでは、圧力変動△Pが、100mmAq、200mmAq、300mmAqである場合を示している。
図12および
図13から明らかなように、指標(√(ω/2ν)×a)は、圧力変動ΔPの増加、吐出口径Φの増大に伴って増加する。従って、吐出量変化率を1.5%、3.0%に抑えるために、ポンプによって流動する液体の圧力の脈動と、吐出口の径Φとの関係を以下のように設定する。
【0045】
すなわち、
・吐出量変化率を1.5%に抑える場合には、
√(ω/2ν)×a>Φ(-0.0243+0.0023P)+0.2636-0.0176P ・・・(式4)
の関係を満足するようにする。また、
・吐出量変化率を3.0%に抑える場合には、
√(ω/2ν)×a>Φ(-0.0122+0.0012P)+0.1318-0.0088P ・・・(式5)
の関係を満足するようにする。
【0046】
ω:脈動の角振動数
ν:インク動粘性係数
a:管路の等価直径
Φ:液体吐出ヘッドの吐出口径[μm]
P:送液機構から送液される液体の圧力脈動[mmAq]
以上のような関係を満足するように、液体吐出ヘッド、流路、ポンプおよびインクを定めることにより、吐出量変化率を1.5%、3.0%に抑えること可能となり、液体吐出ヘッドからのインクの吐出を安定させることが可能になる。
【0047】
本発明は上述した各実施形態に代表されるように、ポンプ等の液送機構により液体を供給する形態の液体吐出装置および液体吐出ヘッドに適用可能である。記録媒体に対してスキャンを行い記録を行うシリアルタイプ、記録媒体の幅に対応した長さを備えるフルラインタイプの双方に適用可能である。また、タンク(収容体)から液体吐出ヘッドに液体を供給した後、液体吐出ヘッドからタンクに液体を回収する、所謂循環タイプにも適用可能である。特にフルラインタイプの液体吐出ヘッドで、エネルギー発生素子を内部に備える圧力室内の液体が圧力室の外部との間で循環されるタイプの液体吐出ヘッドおよび吐出装置には好適に適用可能である。