(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
(全体構成)
図1は、自動原稿搬送機構を搭載した画像読取装置の構成図である。画像読取装置1は、原稿Dの一方の面の原稿画像を読み取る第1読取ユニット22を備えるリーダ部3と、原稿Dの他方の面の原稿画像を読み取る第2読取ユニット23を備える自動原稿搬送部(以下、「ADF」という。)10とを備える。ADF10は、リーダ部3に対して開閉自在に設けられる。シェーディング補正時には、ADF10は閉じられた状態となる。
【0012】
ADF10は、読み取り前の原稿Dが載置される原稿トレイ24、読み取り後の原稿Dが排出される排紙トレイ25、及び原稿トレイ24から排紙トレイ25までの原稿Dの搬送経路を備える。原稿Dは、原稿トレイ24から、搬送経路上の第1読取ユニット22による読取位置及び第2読取ユニット23による読取位置を介して、排紙トレイ25まで搬送される。画像読取装置1は、各読取位置に搬送された原稿Dの両面の原稿画像を第1、第2読取ユニット22、23により読み取る。なお、以下の説明において第1読取ユニット22が原稿画像を読み取る面を「表面」、第2読取ユニット23が原稿画像を読み取る面を「裏面」という。
【0013】
リーダ部3は、原稿Dが載置可能な原稿台ガラス26を備える。第1読取ユニット22は、不図示の駆動機構により、原稿台ガラス26に対して平行(
図1の矢印方向)に往復移動可能になっている。駆動機構は、第1読取ユニット22のホームポジションを基準にして正転及び逆転することで、第1読取ユニット22を往復移動させる。ADF10を用いずに原稿画像を読み取る場合、原稿Dは、表面を第1読取ユニット22側に向けて原稿台ガラス26上に載置される。ADF10がリーダ部3に対して開閉自在であるために、ユーザはADF10を持ち上げて原稿台ガラス26に原稿Dを載置する。第1読取ユニット22は、往復移動しながら原稿Dの表面全体の原稿画像を読み取ることができる。駆動機構は、例えばステッピングモータを備えており、入力パルス数により回転量が決められる。そのために、第1読取ユニット22の位置は、駆動機構への入力パルス数により制御される。
【0014】
第1読取ユニット22は、原稿台ガラス26に載置された原稿Dの他に、ADF10により搬送される原稿Dから原稿画像を読み取ることも可能である。本明細書では、原稿台ガラス26に載置された原稿Dから原稿画像を読み取る動作モードを「固定読取モード」、ADF10により搬送される原稿Dから原稿画像を読み取る動作モードを「流し読みモード」という。各動作モードは、例えば画像読取装置1が原稿Dの載置位置を検出することで設定される。上記の通り、固定読取モードでは、第1読取ユニット22が移動する。第1読取ユニット22は、移動方向に直交する方向にライン状の発光部及び受光部を備える。そのために第1読取ユニット22は、発光部及び受光部が並ぶ方向が主走査方向、移動方向が副走査方向となる。
【0015】
流し読みモードでは、第1読取ユニット22は位置22aに停止する。第1読取ユニット22のADF10側には、流し読みガラス21が設けられる。流し読みガラス21上が、搬送経路が第1読取ユニット22の読取位置となる。ADF10により搬送経路を搬送される原稿Dは、流し読み位置21の上を通過する際に第1読取ユニット22により表面が読み取られる。
【0016】
ADF10の構成について説明する。上記の通りADF10は、原稿トレイ24、搬送経路、及び排紙トレイ25を備える。原稿トレイ24は、一対の規制板24aが、原稿Dの搬送方向に直交する方向(幅方向)にスライド自在に設けられる。一対の規制板24aは、原稿トレイ24に載置される原稿Dの幅方向を規制して、原稿供給時の原稿Dの幅方向の位置を揃える。搬送経路には、ピックアップローラ12、分離ローラ13、引抜ローラ対14、レジストローラ対15、第1リードローラ対16、第2リードローラ対18、及び排紙ローラ対19が設けられる。
【0017】
ピックアップローラ12は、分離ローラ13と連携して回転し、原稿トレイ24に積載された原稿DをADF10内に取り込む。ピックアップローラ12は、ユーザによる原稿トレイ24への原稿Dの載置を妨害しないように、通常、ホームポジションである原稿トレイ24上方に待避している。ピックアップローラ12は、原稿Dの取り込み時に下方(破線の位置)に移動して、原稿Dに当接する。そのためにピックアップローラは、不図示のアームに軸支され、アームの揺動により昇降する。
【0018】
分離ローラ13は、ピックアップローラ12により取り込まれた原稿Dを1枚ずつ分離して、搬送経路を引抜ローラ対14へ搬送する。搬送経路を挟んで分離ローラ13に対向する位置に、分離パッド13aが設けられる。分離パッド13aは、分離ローラ13に圧接されており、ピックアップローラ12から供給される原稿Dを分離ローラ13と協働して1枚ずつ分離させる。
【0019】
引抜ローラ対14は、分離ローラ13で1枚ずつ分離された原稿Dをレジストローラ対15へ搬送する。レジストローラ対15は、原稿Dの斜行を補正して第1リードローラ対16へ搬送する。第1リードローラ対16は、原稿Dを第1読取ユニット22の読取位置及び第2読取ユニット23の読取位置を介して第2リードローラ対18へ搬送する。第1読取ユニット22の読取位置には、上記の通り流し読みガラス21が設けられる。第2読取ユニット23の読取位置には、読取ガラス4が設けられる。原稿Dは、第1読取ユニット22の読取位置で表面の原稿画像が読み取られ、第2読取ユニット23の読取位置で裏面の原稿画像が読み取られる。第2リードローラ対18は、各読取位置を通過した原稿Dを排紙ローラ対19へ搬送する。排紙ローラ対19は、原稿Dを排紙トレイ25へ排出する。
【0020】
流し読みガラス21の搬送方向下流側には、流し読みガラス21(読取位置)を通過した原稿Dをすくい上げるためのジャンプ台5が設けられる。第1読取ユニット22で表面の原稿画像が読み取られた原稿Dは、ジャンプ台5により第2読取ユニット23の読取位置へ誘導される。第2読取ユニット23の読取位置の搬送方向下流側には、読取位置を通過した原稿Dをすくい上げるための傾斜部材27が設けられる。第2読取ユニット23で裏面の原稿画像が読み取られた原稿Dは、傾斜部材27により第2リードローラへ誘導される。流し読みモードでは、原稿Dが、第1読取ユニット22及び第2読取ユニット23により両面の原稿画像を一度の搬送で読み取られる。そのために原稿Dは、表裏の反転搬送されることなく、最小限の搬送距離で短時間に両面の原稿画像が読み取られる。
【0021】
第2読取ユニット23は、第1読取ユニットと同様の構成であり、原稿Dの搬送方向に直交する方向にライン状の発光部及び受光部を備える。第1読取ユニット22の移動方向は原稿Dの搬送方向と同じである。そのために第1読取ユニット22及び第2読取ユニット23は、搬送方向に直交する方向が主走査方向、搬送方向が副走査方向となる。
【0022】
第2読取ユニット23は、原稿Dが読取ガラス4と搬送経路との間を搬送されるタイミングで原稿画像を読み取る。搬送経路を挟んで第2読取ユニット23に対向する位置に、シェーディング補正に用いるシェーディング係数を算出するための白基準部材28が設けられる。そのために白基準部材28は、第2読取ユニット23からの距離が原稿Dが実際に読み取られる位置よりも長くなる。
【0023】
第2読取ユニット23は、本実施形態ではCIS(Contact Image Sensor)により構成される。第2読取ユニット23は、読取位置に搬送された原稿Dに対して発光部から出射される光を照射する導光体、受光部であるラインセンサ、及びラインセンサに原稿Dによる反射光を集光させるレンズを備える。発光部は、LED(Light Emitting Diode )等の発光素子が、主走査方向に複数直線状に列べられて構成される。ラインセンサは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が、発光部と同様に、主走査方向に複数直線状に列べられて構成される受光部である。第2読取ユニット23は、ラインセンサで受光した原稿Dの反射光を光電変換し、受光した反射光量に応じたアナログの電気信号であるアナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号は、原稿画像の濃度に応じて値が変化する。
【0024】
(制御系統)
図2は、画像読取装置1の動作を制御するための制御系統の構成図である。制御系統は、画像読取装置1に内蔵される。この制御系統は、第2読取ユニット23のシェーディング補正を行う構成について示しているが、第1読取ユニット22についても同様の制御系統でシェーディング補正を行うことができる。制御系統は、ディスクリート品で構成する他に、例えばワンチップの半導体製品により実現される。ワンチップの半導体製品には、例えばMPU(Micro-Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SOC(System-On-a-Chip)がある。
【0025】
制御系統は、CPU(Central Processing Unit)206により画像読取装置1の動作制御を実行する。CPU206には、第2読取ユニット23、駆動部208、バックアップ用メモリ207、RAM(Random Access Memory)205、及びシェーディング補正部204が接続される。駆動部208には原稿搬送モータ209が接続される。制御系統は、この他にA/D変換部203を備える。
【0026】
CPU206は、駆動部208により原稿搬送モータ209の駆動制御を行う。原稿搬送モータ209は、搬送経路に設けられるピックアップローラ12、分離ローラ13、引抜ローラ対14、レジストローラ対15、第1リードローラ対16、第2リードローラ対18、及び排紙ローラ対19を回転駆動する。CPU206は、駆動部208により各ローラの動作を制御することで、原稿Dを搬送経路に搬送させる。
【0027】
CPU206は、第2読取ユニット23の発光部202の発光制御を行い、ラインセンサ201にアナログ画像信号を出力させる。ラインセンサ201は、アナログ画像信号をA/D変換部203に入力する。A/D変換部203は、ラインセンサ201から入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換部203は、デジタル画像信号をシェーディング補正部204に入力する。シェーディング補正部204は、発光部202の光量の不均一性の影響やラインセンサ201の受光素子の感度のバラツキの影響を抑制するシェーディング補正を行う。
【0028】
バックアップ用メモリ207は、不揮発性メモリであり、シェーディング補正の際に必要な各種データを記憶する。バックアップ用メモリ207は、CPU206によりデータの書き込み及び読み出しが行われる。CPU206は、バックアップ用メモリ207とシェーディング補正部204との間のデータの送受信を行う。RAM205は、CPU206が処理を行う際の一時記憶領域を提供する。本実施形態では、RAM205は、シェーディング補正の際のデータの一時記憶に用いられる。
【0029】
(シェーディング補正)
シェーディング補正部204によるシェーディング補正について説明する。ラインセンサ201から出力されるアナログ画像信号は、主走査方向の画素毎の輝度値を含む。A/D変換部203でアナログ画像信号から変換されたデジタル画像信号は、主走査方向の画素毎の輝度値のデジタル値を含む。シェーディング補正部204は、主走査方向の画素毎の輝度値のデジタル値を原稿読取値としてシェーディング補正を行い、シェーディング補正出力値を導出する。シェーディング補正部204は、例えば以下の式によりシェーディング補正出力値を決定する。
【0030】
シェーディング補正出力値(n)=原稿読取値(n)/シェーディング係数(n)×読取目標値 …(式1)
n:主走査方向の画素の位置
シェーディング係数:シェーディング補正を行うための係数
読取目標値:白基準部材28を読み取ったときの読取値の目標値
【0031】
シェーディング係数は、白基準部材28を読み取った結果得られる主走査方向の照明輝度分布データと、後述の白基準シートを読み取った結果得られる主走査方向の照明輝度分布データとの相関を表す相関データに基づいてCPU206により生成される。相関データ及び読取目標値は、バックアップ用メモリ207に保存される。シェーディング補正部204は、CPU206からシェーディング係数を取得し、CPU206を介してバックアップ用メモリ207から読取目標値を取得する。
【0032】
図3は、照明輝度分布データの説明図である。この照明輝度分布データは、線光源である発光部202により光を照射して読み取った結果得られるデータである。点線は白基準部材28の読取結果を表し、実線は後述の白基準シートの読取結果を表す。
【0033】
図4は、第2読取ユニット23による白基準部材28の読取状態の説明図である。第2読取ユニット23の読取位置には、透明部材であるプラテンガラス29が設けられる。白基準部材28は、第2読取ユニット23から見てプラテンガラス29の後方に設けられる。プラテンガラス29により白基準部材28が汚れにくい構成となっている。白基準部材28は、第2読取ユニット23から、原稿Dの搬送経路よりもプラテンガラス29の厚さ分、遠い位置に配置される。
図4の例では、第2読取ユニット23から原稿Dの搬送経路までの距離293よりも遠い距離291の位置に白基準部材28が設けられる。そのために白基準部材28に照射される光の絶対輝度が搬送経路上よりも低くなる。また、第2読取ユニット23から白基準部材28までの光路長が、第2読取ユニット23から搬送経路までの光路長よりも長くなる。そのために、第2読取ユニット23から照射される光が主走査方向に拡散されて、白基準部材28を読み取って得られた照明輝度分布データが主走査方向にブロードなデータとなる(
図3の点線)。
【0034】
図5は、白基準シートの説明図である。
図5(a)は、白基準シート40の全体図であり、
図5(b)は白基準シート40の断面図である。白基準シート40は、白基準部41及び係止部42が一体に形成されるシート状部材である。白基準部41は、シェーディング補正の際の基準として読み取られる均一な濃度の色(ここでは白色)の面を有する。係止部42は、白基準部41を第2読取ユニット23の読取位置に安定して配置させるために、該読取位置の近傍に係止される。係止部42は開口42aを有している。白基準シート40が第2読取ユニット23の読取位置に装着される場合、搬送方向に対して上流側に白基準部41が位置し、下流側に係止部42が位置する。画像読取装置1の工場出荷時や第2読取ユニット23の交換時に、白基準シート40は作業者により第2読取ユニット23の読取位置に装着される。その際に係止部42は、白基準部41が第2読取ユニット23の読取位置に正確に配置されるように位置を決める。白基準部41は、係止部42よりも主走査方向に短く形成される。そのために白基準部41の主走査方向の両端側に係止部42に対して段差45が生じる。つまり、白基準部41の主走査方向の長さ46が、係止部42の主走査方向の長さ43よりも2つの段差45分短く形成される。
【0035】
白基準部41は、絶縁基板64上に形成される艶消し用の銀フィルム63上に形成される。白基準部41上には、白基準部41が露出するように、絶縁部材61が設けられる。係止部42は、白基準部41の下部から延伸される絶縁基板64に開口42aを設けることで形成される。
【0036】
図6は、白基準シート40の第2読取ユニット23の読取位置への装着状態の説明図である。
図6(a)は、第2読取ユニット23から搬送経路側を見た読取位置を示す。原稿Dの搬送方向上流側から順に、第1読取ユニット22の読取位置に設けられる流し読みガラス21、ジャンプ台5、第2読取ユニット23の読取位置に設けられるプラテンガラス29、傾斜部材27が設けられる。プラテンガラス29の後方に白基準部材28が設けられる。
図6(b)は白基準シート40が装着された状態を示す。白基準シート40は、第2読取ユニット23の読取位置に載置される場合に、作業者により、係止部42の開口42aの長手部分48が傾斜部材27の長手部分271に突き当てられる。係止部42の開口42aには傾斜部材27が嵌合されて係止される。傾斜部材27は、読取位置の近傍に設けられる位置決め部材となる。これにより白基準シート40の副走査方向の位置決めが容易に行われる。
【0037】
図7は、白基準シート40の第2読取ユニット23の読取位置への装着状態の説明図である。
図7では、主走査方向側から見た状態を説明する。
図7(a)、
図7(b)は第2読取ユニット23の外観を示す。第2読取ユニット23は、主走査方向の両端部にそれぞれ突起部材50を備える。突起部材50は、プラテンガラス29に着座することで、原稿Dの搬送空間を確保する。
図7(c)は、白基準シート40が装着された状態を示す。白基準シート40は、厚さ65(
図5(b)参照)が搬送空間よりも大きくなるように構成される。つまり白基準シート40の厚さ65は、突起部材50の高さ67よりも大きい。これは、搬送空間の方が大きい場合、白基準シート40を装着したときに白基準部41に波打ちや反りが発生する可能性があり、正確なシェーディング補正の妨げになるためである。白基準シート40の段差45は、装着時に突起部材50が白基準シート40に乗り上げないように設けられる。また、段差45は、突起部材50に対応する位置に設けられており、装着時に突起部材50が嵌合される開口部となる。白基準シート40は、装着時に原稿Dが搬送される原稿通紙面68上に白基準部41が位置するように、絶縁基板64及び銀フィルム63の厚さが決定される。
【0038】
このように白基準シート40は、第2読取ユニット23とプラテンガラス29とで挟持される。そのために第2読取ユニット23は、白基準シート40の波打ちや反りを矯正して読み取ることができ、正確なシェーディング補正を実現する。
【0039】
白基準シート40の白基準部41がプラテンガラス29上に容易に装着されるように、プラテンガラス29の装着面から傾斜部材27の頂点までの距離272(
図4参照)は、白基準シート40の厚さ65より大きく構成される。白基準シート40の主走査方向の位置決めは、係止部42の開口42aに傾斜部材27が嵌合されることで行われる。白基準シート40は、各部品の寸法公差を考慮しても白基準部41が確実に第2読取ユニット23の読取位置に配置されるように構成される。即ち、白基準部41の短手寸法47及び長手寸法46(
図5(a)参照)が白基準部材28の短手寸法及び長手寸法よりも大きく構成される。
【0040】
このような白基準シート40を第2読取ユニット23の読取位置に装着して読み取った結果は、以下のような特徴を有する。
【0041】
白基準シート40の白基準部41が原稿通紙面68上に位置するために、白基準部41に照射される光の絶対輝度は、白基準部材28に照射される光の絶対輝度よりも高くなる。また、第2読取ユニット23から白基準シート40の白基準部41までの光路長が、第2読取ユニット23から白基準部材28までの光路長よりも短くなる。そのために、第2読取ユニット23から白基準シート40の白基準部41に照射される光の主走査方向への拡散量が、白基準部材28の場合よりも小さく、略同一輝度になる。その結果、白基準シート40の白基準部41を線光源で読み取った結果の照明輝度分布データ(
図3の実線)は、主走査方向の中央部及び端部で略同一輝度になる。
【0042】
(相関データ格納処理)
図8は、バックアップ用メモリ207への照明輝度分布データの相関データの格納方法を表すフローチャートである。
【0043】
CPU206は、
図4に示すように第2読取ユニット23がプラテンガラス29に当接した状態で読取設定を行う(S401)。CPU206は、図示しない操作部から入力される読取開始信号に応じて読取設定を行う。CPU206は、読取設定により、例えば発光部202を点灯させ、ラインセンサ201による読取制御を行う。
【0044】
CPU206は、第2読取ユニット23による白基準部材28の読取結果を表すデータをサンプリングする(S402)。CPU206は、サンプリングした白基準部材28の読取結果であるデータXをRAM205に格納する。データXは、例えば
図3の点線で表す照明輝度分布データである。
【0045】
白基準部材28のデータのサンプリング後に、作業者は、
図6(b)及び
図7(c)に示すように、第2読取ユニット23の読取位置であるプラテンガラス29上に白基準部41が配置されるように、白基準シート40を装着する。白基準シート40の装着後に作業者は、操作部により読取開始信号をCPU206に入力する。これによりCPU206は、第2読取ユニット23による白基準シート40の白基準部41の読取結果を表すデータをサンプリングする(S403)。CPU206は、サンプリングした白基準部41の読取結果であるデータYをRAM205に格納する。データYは、例えば
図3の実線で表す照明輝度分布データである。
【0046】
CPU206は、白基準部材28の読取結果であるデータX及び白基準シート40の白基準部41の読取結果であるデータYにより、相関データを導出する(S404)。ここでは、CPU206は、RAM205からデータX及びデータYを読み出す。CPU206は、読み出したデータYをデータXで除算することで、相関データZを算出する(Z=Y/X)。なお、CPU206は、データX及びデータYと、相関データZとの関係を表すテーブルを予め所持し、このテーブルを参照することで相関データZを導出してもよい。CPU206は、導出した相関データZをバックアップ用メモリ207に格納して、この処理を終了する(S405)。
【0047】
バックアップ用メモリ207への相関データの格納は、画像読取装置1の工場出荷時や第2読取ユニット23の交換時、バックアップ用メモリ207が搭載された制御基板の故障、交換時等のタイミングで行われる。
【0048】
(白基準シートの変形例1)
図9は、白基準シートの変形例が装着される第2読取ユニット23の読取位置の説明図である。第2読取ユニット23の読取位置の近傍である主走査方向両端に突起部材71が設けられる。即ち突起部材71は、搬送経路に対して直交する方向の両端にそれぞれ設けられる。突起部材71の高さは、傾斜部材27の頂点の高さと同等である。突起部材71は、読取位置の近傍に設けられる位置決め部材となる。
【0049】
図10は、白基準シートの構成図である。白基準シート80は、矩形の白基準部41の長手方向の両端に、装着時に第2読取ユニット23の突起部材50(
図7参照)に対応する位置に開口部81が設けられる。また白基準シート110は、矩形の白基準シート80の長手方向の両端に、突起部材71を係止するための係止部82を構成する凹型が形成される。即ち白基準シート80は、装着時に搬送経路に対して直交する方向の両端に、それぞれ凹型の係止部82が設けられる。画像読取装置1の工場出荷時や第2読取ユニット23の交換時に、白基準シート80は作業者により第2読取ユニット23の読取位置に装着される。
【0050】
図11は、白基準シート80の装着状態の説明図である。作業者は、突起部材71に白基準シート80の係止部82を係合することで白基準シート80(白基準部41)の位置決めを行う。係止部82は突起部材71を挟み込む。この状態で開口部81は、突起部材71に対して主走査方向及び副走査方向に間隙を有する。また、白基準部41は、白基準部材28に対して短手寸法及び長手寸法のいずれもが大きく形成される。白基準シート80の開口部81は、ADF10がリーダ部3に対して閉じられたときに、第2読取ユニット23の突起部材50と白基準シート80とが干渉しないように設けられている。
【0051】
このような白基準シート80は、係止部82で突起部材71を挟み込むように載置されて位置決めが行われる。そのために白基準部41が第2読取ユニット23の読取位置に容易に配置される。
【0052】
(白基準シートの変形例2)
図12は、白基準シートの変形例が装着される第2読取ユニット23の読取位置の説明図である。第2読取ユニット23の読取位置の近傍である主走査方向両端にそれぞれ2個の突起部材100が設けられる。即ち突起部材100は、搬送経路に対して直交する方向の両端に、それぞれ複数設けられる。突起部材100の高さは、傾斜部材27の頂点の高さと同等である。2個の突起部材100は、原稿Dの搬送方向に並んで形成される。突起部材100は、読取位置の近傍に設けられる位置決め部材となる。
【0053】
図13は、白基準シートの構成図である。白基準シート110は、矩形の白基準部41の長手方向の両端に、装着時に第2読取ユニット23の突起部材50(
図7参照)に対応する位置に開口部111が設けられる。また白基準シート110は、矩形の白基準シート80の長手方向の両端に、突起部材100に係止されるための係止部112を構成する凸型が形成される。即ち白基準シート110は、装着時に搬送経路に対して直交する方向の両端に、それぞれ凸型の係止部112が設けられる。画像読取装置1の工場出荷時や第2読取ユニット23の交換時に、白基準シート110は作業者により第2読取ユニット23の読取位置に装着される。
【0054】
図14は、白基準シート110の装着状態の説明図である。作業者は、突起部材100に白基準シート110の係止部112を係合することで、白基準シート110(白基準部41)の位置決めを行う。係止部112は突起部材100に挟み込まれる。この状態で係止部112は、突起部材100に対して主走査方向及び副走査方向に間隙を有する。また、白基準部41は、白基準部材28に対して短手寸法及び長手寸法のいずれもが大きく形成される。白基準シート110の開口部111は、ADF10がリーダ部3に対して閉じられたときに、第2読取ユニット23の突起部材50と白基準シート110とが干渉しないように設けられている。
【0055】
このような白基準シート110は、係止部112が突起部材100に挟み込まれるように載置されて位置決めが行われる。そのために白基準部41が第2読取ユニット23の読取位置に容易に配置される。
【0056】
なお
図9の突起部材91及び
図12の突起部材100は、ADF10が閉じた際にADF10の下面に接触してリーダ部3内に収納される構成であってもよい。
【0057】
以上のような本実施形態の画像読取装置1は、白基準シート40、80、110を第2読取ユニット23の読取位置に容易に装着することができる。白基準部41は、波打ちや反りを矯正して読み取られるために正確に読み取られる。そのために画像読取装置1は、正確なシェーディング補正が可能となり、画像ムラ等の読み取り画像不良の発生を抑制することができる。