(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め定めた撮像シーケンスに従って、所定の周波数帯域の高周波パルスを被検体に照射し、複数のNMR信号を取得して画像を生成する動作を、前記高周波パルスの周波数を変えながら複数回繰り返し、照射した前記高周波パルスの前記周波数帯域の異なる複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得された画像を合成して合成画像を生成し、画像表示部に表示させる画像合成ステップと、を備え、
操作者に金属アーチファクトを低減した画像を提供する機能を備える画像処理方法であって、
前記画像合成ステップにおいて、前記画像取得ステップにより新たに取得された画像と、先に合成された前記合成画像とを合成することにより合成画像を順次更新し、更新された合成画像を前記画像表示部に表示させ、
前記画像合成ステップは、前記画像取得ステップにより取得された画像を所定数毎に合成して合成画像を生成する画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、単にMRI装置という)は、予め定めた撮像シーケンスに従って、所定の周波数帯域の高周波パルスを被検体に照射し、複数のNMR信号を取得して画像を生成する動作を、高周波パルスの周波数を変えながら複数回繰り返し、照射した高周波パルスの周波数帯域の異なる複数の画像を取得する画像取得部と、画像取得部により取得された画像を合成して合成画像を生成する画像合成部と、画像合成部により合成された画像を表示する画像表示部と、を備えている。そして、画像合成部は、画像取得部により新たに取得された画像と、先に合成された合成画像とを合成することにより合成画像を順次更新し、更新された合成画像を画像表示部に表示させる。
【0013】
<第1の実施形態>
具体的には、
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るMRI装置は、静磁場発生系2、傾斜磁場発生系3、シーケンサ4、送信系5、受信系6、信号処理系7、及び中央処理装置(CPU)8を備えている。
【0014】
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させる。被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源を配置することにより静磁場発生系2を実現する。
【0015】
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向の傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル9と、各傾斜磁場コイル9を駆動する傾斜磁場電源10とを備えている。後述するシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0016】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスを所定のパルスシーケンスで繰り返し印加するように制御する。シーケンサ4は、後述するCPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、及び受信系6に送信する。
【0017】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するものであり、高周波発振器11、変調器12、高周波増幅器13、及び送信側の高周波コイル(送信コイル)14aを備えている。高周波発振器11から出力されたRFパルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
【0018】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するものであり、受信側の高周波コイル(受信コイル)14b、信号増幅器15、直交位相検波器16、及びA/D変換器17を備えている。送信側の高周波コイル14aから照射されたRFパルスによって誘起された被検体1の応答のNMR信号が、被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、計測データとして信号処理系7に送られる。
【0019】
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うものであり、CPU8と、RAM、ROM等の記憶装置18と、磁気ディスク、光ディスク等の外部記憶装置19と、CRT等のディスプレイ20とを備えている。
CPU8は、MRI装置全体を制御し、CPU8に受信系6からのデータが入力されると、CPU8において信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、磁気ディスク等の記憶装置18や外部記憶装置19に記録する。
【0020】
すなわち、CPU8は、撮像制御部30、画像取得部31、画像合成部32の機能を実現する。これらの機能は、記憶装置18内のプログラムをCPUにより読み込んで実行することによりソフトウェアとして実現することもでき、また、ASIC等のハードウェアにより実現することもできる。
【0021】
撮像制御部30は、後述する入力部23により入力された撮像条件に基づく撮像シーケンスに従って撮像を制御するためにシーケンサ4を制御する。特に、撮像制御部30は、本実施形態においては、金属アーチファクト低減計測として、予め定めた撮像シーケンスに従って、所定の周波数帯域の高周波パルスを被検体に照射し、複数のNMR信号を取得して画像を生成する動作を、高周波パルスの周波数を変えながら複数回繰り返し、照射した高周波パルスの周波数帯域の異なる複数の画像を取得するシーケンサ4を制御する。
【0022】
画像取得部31は、取得したNMR信号に対して画像再構成等の各種処理を行う。特に、金属アーチファクト低減計測において取得した高周波パルスの周波数毎に得た複数のNMR信号に対して夫々画像再構成を行い、3次元画像を取得する。そして、取得した3次元画像を画像合成部32に受け渡す。
【0023】
画像合成部32は、画像取得部31により金属アーチファクト低減計測において高周波パルスの周波数毎に得られた複数の画像を合成し、一枚の合成画像を生成する。このとき、画像合成部32は、1回の計測において取得する画像のうち、画像取得部31により新たに取得された画像と、先に合成された合成画像とを合成することにより合成画像を順次更新し、合成画像が更新される毎に、更新された合成画像を画像表示部としてのディスプレイ20に表示させる。なお、画像合成部32は、生成または更新された合成画像を記憶装置18等に記憶する。
【0024】
画像取得部31は、1bin分の撮像から画像を取得するたびに取得した画像を画像合成部32に送信する。画像合成部では、画像取得部31から画像を受信する都度、合成画像を生成又は更新し、当該合成画像をディスプレイ20に表示させる。
【0025】
例えば、金属アーチファクト低減計測が開始されると、画像取得部31により順次画像が取得される。
図2(A)に示すように、画像合成部32では、1bin目の画像合成対象の画像が存在しないため、このまま画像をディスプレイに表示させ、2bin目の画像を取得した時に、1bin目の画像と2bin目の画像とを合成した合計2枚の画像を合成した合成画像を生成し、表示させる。続いて、3bin目の画像を取得した時に、この3bin目の画像と先に生成された合成画像とを合成することにより合成画像を更新し、更新した合成画像をディスプレイ20に表示させる。
【0026】
画像合成部32は、このような処理を繰り返すことにより、順次合成画像を更新すると共に、更新した合成画像をディスプレイ20に表示させる。ユーザは、ディスプレイに表示された合成画像を確認して、アーチファクトが十分に低減されていると判断できる場合には、撮像を終了させることができる。
【0027】
一方、
図2(B)に示すように、従来のMRI装置では、金属アーチファクト低減計測が開始されると、画像取得部31では、予め定めたbin数の撮像を行い所定数の画像を取得し、取得した画像全てを用いて合成画像を生成しディスプレイに表示させることとなる。
このように、本実施形態における金属アーチファクト低減計測では、画像を取得するたびにそれまでに合成された合成画像を更新し、都度ディスプレイ20に表示させるので、アーチファクトが十分に低減されたと判断できるときは、撮影を終了させることができる。このため、アーチファクトを低減させた画像を取得しながらも、計測時間を短縮することができ、被験者の負担を軽減させることができる。
【0028】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するものであり、入力部23を備えている。入力部23としては、マウス、キーボード又はトラックボール等の入力デバイスを1つ又は複数組み合わせて適用することができる。また、入力部23は撮像条件の入力をユーザから受け付け、入力された撮像条件をCPU8に送信する。ここで、撮像条件には、撮像対象の部位、総bin数、高周波磁場の帯域幅、スライスエンコード数、位相エンコード数、シーケンス、GAP、撮像範囲等が含まれる。
操作部25を、ディスプレイ20に近接して配置することで、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御することができる。
【0029】
なお、
図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0030】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0031】
このように構成されたMRI装置における、金属アーチファクト低減計測処理について
図3のフローチャートに従って説明する。
まず、金属アーチファクト低減計測処理の開始に先立って、MRI装置に被検体登録を行う。具体的には、入力部23が、操作者による被検体の氏名、年齢、等被検体に係る情報の入力を受け付ける。入力部23は、入力された被検体情報をCPU8に送信し、CPU8が被検体情報を記憶装置18等に記憶させることによりMRI装置に対して被検体登録を行う。そして、入力部23が操作者による金属アーチファクト低減計測に総bin数、高周波磁場の帯域幅等の撮像条件の入力を受け付け、CPU8が入力部23から撮像条件を受け取り、撮像条件に基づく撮像シーケンスを設定する。これにより
図4のようにbin毎の高周波磁場の周波数帯域を設定する。
【0032】
図3に戻り、ステップS101において、撮像制御部30は、CPU8が設定した撮像シーケンスの1回目のbinの周波数帯域の高周波磁場を励起パルスとして用いて、CPU8が設定した撮像シーケンス(例えば、3D−FSE)により、3次元撮像を行う。ただし、この撮像シーケンスにおいて、スライス選択傾斜磁場は印加せず、高周波コイル14a,14bによる高周波の照射範囲及び受信範囲の全体を撮像範囲とする。
【0033】
これにより、1回目のbinの周波数帯域の高周波磁場の励起パルス及び反転パルスを印加して、被検体1の所定の元素のスピンを励起し、スライスエンコード及び位相エンコードの各方向の傾斜磁場を印加した後、周波数エンコード方向の傾斜磁場を印加しながら、被検体1からのNMR信号を受信する。
【0034】
このシーケンスを、入力部23がユーザから受け付けたスライスエンコード数及び位相エンコード数の回数ずつスライスエンコード及び位相エンコードをそれぞれ変化させながら繰り返し行って、1つの3次元画像(bin)を再構成するために必要な数のNMR信号を取得する。画像取得部31は、撮像制御部30が取得した複数のNMR信号を用いて、3次元画像(bin)を再構成する。なお、ステップS101において画像の取得が開始されるとすぐに次のステップS102に進み、画像取得部31は、ステップS102以降の処理と並行して画像の取得を継続する。
【0035】
次のステップS102では、画像合成部32が、画像取得部31により再構成した画像(bin)を用いて合成画像を生成する。画像合成部32は、先に取得した画像が存在しない場合は、画像取得部31から受け渡された画像をそのまま合成画像とし、既に合成画像が存在する場合には、当該合成画像を記憶装置18から読出して、画像取得部31から受け取った画像と合成することにより合成画像を更新する。生成又は更新された合成画像はディスプレイ20に送信される。
【0036】
ステップS103では、ディスプレイ20が、ステップS102で画像合成部32により生成又は更新された合成画像を受信して、これを表示する。これにより、ユーザが、ディスプレイ20に表示された合成画像を確認することができる。ディスプレイ20には、例えば
図5に示すように合成画像が表示されると共に、予め定めた全bin数と、撮影済みのbin数、及び、撮影の終了を指示するためStopボタン52が表示される。
【0037】
続いて、ステップS104では、CPU8が、ディスプレイ20に表示された合成画像がOKであるか否かの判定を行う。すなわち、ディスプレイ20に表示された合成画像において、アーチファクトが所定量以下であるか(例えば、十分に低減されているか)否かを判定する。これは、入力部23に入力される、ユーザからの画像がOKであるか否か、すなわち、金属アーチファクト低減計測を終了させるか否かの指示に係る入力に基づいて判定する。又は、画像合成部32が、合成画像のノイズ量を画像処理により算出して、ノイズ量に基づいてアーチファクトが所定量以下であるかを判断してもよい。
【0038】
ユーザは、ディスプレイ20に表示された画像を確認し、アーチファクトが十分に低減されていると判断できた場合には、ディスプレイ20に表示されたStopボタン52をマウス等からなる入力部23により押下する。一方、ユーザは、アーチファクトが低減されていないと判断した場合には、Stopボタン52を押下せず、そのまま撮影を継続する。つまり、合成画像のアーチファクトが低減されておりStopボタン52が押下された場合には、次のステップS105に進み、Stopボタン52が押下されなかった場合には、ステップS106に進む。
【0039】
ステップS105では、画像取得部31がステップS104における指示に従って金属アーチファクト対応計測を終了する。ステップS106では、ユーザから受け付けた予め定めた数のbinの撮影が終了しているか否かをCPU8により判定する。全てのbinの撮影が終了していないと判定された場合には、ステップS101に戻り、次のbinの周波数帯域の高周波磁場を用いて上記処理を繰り返す。一方、全てのbinの撮影が終了したと判定された場合には、ステップS107に進み、金属アーチファクト低減計測を終了する。
【0040】
このように本実施形態によれば、画像の取得に係る処理と、合成画像の生成及びその表示に係る処理とを並行して行い、生成される合成画像を都度ディスプレイに表示させることで、ユーザに計測の進行状況を提示することができる。このため、ユーザは予め定めた全てのbinの計測の終了を待たなくとも、計測中に画像を確認することができ、当該画像を確認することにより、計測の終了を判断することができる。従って、被検体内に金属が含まれる場合であっても、アーチファクトを低減させて取得する画像の画質を向上させると共に、取得する画像数を最適化して過剰な撮影を抑制することができる。
【0041】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態に係るMRI装置では、画像取得部31が画像を取得する度に画像合成部32において、合成画像の生成又は更新を行う例について説明した。画像合成部32における合成画像生成処理は、必ずしも画像取得の都度行う必要はなく、例えば、所定数の画像を取得する毎に合成画像を生成してもよい。
【0042】
なお、本実施形態に係るMRI装置の構成は、上記した第1の実施形態におけるMRI装置と同様である。また、本実施形態のMRI装置は、画像合成部における合成画像生成時に使用する画像数が異なるものの、その他の処理は上記した第1の実施形態における処理と同様である。このため、第1の実施形態と同様の構成及び処理については、その詳細な説明を省略する。
【0043】
以下、本実施形態に係るMRI装置における、金属アーチファクト低減計測処理について
図6のフローチャートに従って説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態に係るMRI装置における金属アーチファクト低減計測処理と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0044】
まず、金属アーチファクト低減計測処理の開始に先立って、MRI装置に被検体登録を行い、ステップS201で、入力部23により合成画像生成頻度を設定する。例えば、画像合成部32により合成画像を生成するbin数がいくつであるかをユーザが設定する。より具体的には、例えば
図7に示すように、合成画像を生成するbin数を「3」とユーザが設定した場合には、画像合成部32は、3bin毎に合成画像を生成しディスプレイ20に表示させる。この間、画像取得部31は継続して画像を撮像しており、画像合成部32は、次の3binを取得した時に、先に生成した合成画像に更にこの3binを加えて合成画像を更新し、ディスプレイ20に表示させる。
【0045】
ステップS202は、撮像制御部30と画像取得部31が、
図3のフローチャートにおけるステップS101と同様に撮像シーケンスによってbin毎にそれぞれの周波数帯域の高周波磁場を用いて計測を実施し、bin毎の画像を生成する動作を、ステップS201において設定した回数だけ繰り返し、得られた画像を画像合成部に送信する。撮像制御部30及び画像取得部31は、以降の処理と並行して画像の取得を継続する。
【0046】
次のステップS203では、画像合成部32が、取得した画像(bin)を用いて予め定めてbin数毎に(ここでは、
図7の例に従って3binとする)合成画像を生成する。画像合成部32は、上述したように、3bin分の画像を取得してから合成画像を生成し、次の合成画像を更新する際も3bin分の画像を取得してから、既に生成された合成画像合成画像を記憶装置18から読出して合成することにより合成画像を更新する。生成又は更新された合成画像はディスプレイ20に送信される。
【0047】
ステップS204では、ディスプレイ20が、画像合成部32により生成又は更新された合成画像を受信して、これを表示する。続いて、ステップS205では、CPU8が、ディスプレイ20に表示された合成画像がOKであるか否かの判定を行う。すなわち、ディスプレイ20に表示された合成画像において、アーチファクトが十分に低減されているか否かを、ユーザによるStopボタン52(
図4参照)の押下の有無に基づいて判定する。
【0048】
ユーザは、ディスプレイ20に表示された画像を確認し、アーチファクトが十分に低減されていると判断できた場合には、ディスプレイ20に表示されたStopボタン52をマウス等からなる入力部23により押下する。一方、ユーザは、アーチファクトが低減されていないと判断した場合には、Stopボタン52を押下せず、そのまま撮影を継続する。つまり、合成画像のアーチファクトが低減されておりStopボタン52が押下された場合には、次のステップS206に進み、Stopボタン52が押下されなかった場合には、ステップS207に進む。
【0049】
ステップS206では、ステップS205における指示に従って金属アーチファクト対応計測を終了する。ステップS207では、予め定めた数のbinの撮影が終了しているか否かをCPU8により判定する。全てのbinの撮影が終了していないと判定された場合には、ステップS202に戻り上記処理を繰り返す。一方、全てのbinの撮影が終了したと判定された場合には、ステップS208に進み、金属アーチファクト低減計測を終了する。
【0050】
このように本実施形態によれば、画像の取得に係る処理と、合成画像の生成及びその表示に係る処理とを並行して行い、生成される合成画像を都度ディスプレイに表示させることで、ユーザに計測の進行状況を提示することができる。このため、ユーザは予め定めた計測の終了を待たなくとも、計測中に画像を確認することができ、当該画像を確認することにより、計測の終了を判断することができる。
【0051】
従って、被検体内に金属が含まれる場合であっても、アーチファクトを低減させて取得する画像の画質を向上させると共に、取得する画像数を最適化して過剰な撮影を抑制することができる。また、画像の表示頻度を設定することで、合成画像の処理に要する時間等を削減することができる。
【0052】
なお、上述の例では、合成画像生成頻度の設定について、画像合成部32により合成画像を生成するbin数がいくつであるかを設定する例について説明した。この他、画像表示頻度の設定は、例えば、撮影が予定されている全bin数に鑑みて、全binを何回に分けて合成画像を生成するか定めることもできる。
【0053】
具体的には、金属アーチファクト低減計測として総数30binの撮影が予定されていると仮定すると、例えば、これを6回に分けて合成画像を生成する、と定めることができる。このように定めた場合、CPU8が全bin数と合成画像生成回数とから、合成画像を生成する際に使用するbin数を算出し、これに基づいて画像合成部32が合成画像を生成又は更新する。
【0054】
(変形例1)
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、照射する周波数帯域について特段の定めていない。本変形例では、撮像する周波数帯域の全範囲のうち、中心から優先的にbinを撮像する。
ここで、金属アーチファクトが発生していない場合と発生している場合における信号の周波数帯域の分布について説明する。
図4に示すように、金属アーチファクトの影響で信号が分布する周波数帯域802は、金属アーチファクトが発生してないときに信号が分布する周波数帯域801に比して、周波数帯域幅が広いことがわかる。
【0055】
このため、金属アーチファクト低減計測では、照射および受信の周波数帯域を複数回変更して複数のbinを取得している。この時、
図4中の帯状に区切った帯域幅を1つずつずらしながら、撮影対象の周波数帯域の端から順に周波数帯域を変更してbinを撮像している。
図4の例では、左端から2つに区切られた帯域幅を1bin目、左から2つ目と3つ目の帯域幅を2bin目、左から3つ目と4つ目の帯域幅を3bin目・・・と順次ずらしながら撮影する。
【0056】
一方、
図8に示すように、本変形例では、binの撮像順を異ならせ、周波数帯域の中心から外側に向かってbinを撮像する。周波数帯域の中心付近にはより多くの信号が分布していることから、中心から順にbinを撮像することで、撮像の早い段階でより多くの信号データを収集することができる。したがって、周波数帯域の端のbinを合成しなくとも十分な金属アーチファクト低減効果が得られる場合などは、端のbinから撮像した場合と比べて、より早い段階で撮像を終了することができる。
【0057】
(変形例2)
本変形例は、所謂、繰り返し撮像において、前の撮像までに取得したbinデータを再利用して合成した画像を作成し表示する。ここで、繰り返し撮像とは、一度被検体を撮像した後、例えば、造影剤等を被検体に注入した後等一定時間経過後に再び撮像を行う撮像をいう。
図9(A)は、1回目のbinの撮像状況を、(B)は2回目のbinの撮像状況を、(C)は、3回目のbinの撮像状況を夫々示している。
【0058】
図9(A)中、ハッチングのある領域902が繰り返し1回目で撮像したbinを示しており、
図9(B)中、ハッチングのある領域904が2回目の繰り返しで撮像したbinを示している。この際、繰り返し2回目で撮像しないbinは1回目の繰り返しで撮像したbinのデータを再利用する。また、
図9(C)中、ハッチングのある領域906は、3回目の繰り返しで撮像したbinを示している。この際、繰り返し3回目で撮像しないbinは1回目の繰り返しで撮像したbinのデータを再利用する。
【0059】
このように、例えば造影剤などを注入して繰り返し撮像を実施する場合などで、繰り返し撮像によって変化する部分のbinを撮像するだけで、金属アーチファクトを低減した造影剤画像を得ることができる。