特許第6800715号(P6800715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスペック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6800715-環境形成システム 図000002
  • 特許6800715-環境形成システム 図000003
  • 特許6800715-環境形成システム 図000004
  • 特許6800715-環境形成システム 図000005
  • 特許6800715-環境形成システム 図000006
  • 特許6800715-環境形成システム 図000007
  • 特許6800715-環境形成システム 図000008
  • 特許6800715-環境形成システム 図000009
  • 特許6800715-環境形成システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800715
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】環境形成システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20201207BHJP
   G05B 19/02 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G01N17/00
   G05B19/02 H
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-230108(P2016-230108)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-87714(P2018-87714A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】牧野 利明
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−212422(JP,A)
【文献】 特開2011−247751(JP,A)
【文献】 特開2012−013425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の状態を検出する状態センサーと、
前記試料の周囲環境を調整する複数の環境調整処理を所定の順序で一つずつ順次実行する実行部と、
一の前記環境調整処理を実行中に、前記状態センサーの検出値が当該一の環境調整処理の第一の移行条件を満たした場合、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させる順序制御部と、
を備える環境形成システム。
【請求項2】
前記第一の移行条件の設定画面を表示する表示部と、
前記第一の移行条件の設定画面をユーザに操作させるための操作部と、
を更に備える請求項1に記載の環境形成システム。
【請求項3】
前記試料の周囲環境を検出する環境センサーを更に備え、
前記順序制御部は、更に、前記一の環境調整処理を実行中に、前記環境センサーの検出値が当該一の環境調整処理の第二の移行条件を満たした場合に、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させる
請求項1又は2に記載の環境形成システム。
【請求項4】
前記順序制御部は、更に、前記一の環境調整処理を実行中に、当該一の環境調整処理の開始時点からの経過時間が当該一の環境調整処理の第三の移行条件を満たした場合に、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させる
請求項1又は2に記載の環境形成システム。
【請求項5】
第一の前記環境調整処理と、当該第一の環境調整処理の第一の移行条件と、当該第一の環境調整処理の次に実行され得る第二の環境調整処理と、を対応付けた第一の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、
前記順序制御部は、前記第一の環境調整処理の実行中に前記第一の移行条件を満たした場合、前記第二の環境調整処理を前記実行部に実行させる
請求項1から4の何れか一項に記載の環境形成システム。
【請求項6】
第三の前記環境調整処理と、当該第三の環境調整処理の第二及び第三の移行条件と、当該第三の環境調整処理の次に実行され得る第四の環境調整処理と、を対応付けた第二の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、
前記順序制御部は、前記第三の環境調整処理の実行中に前記第二及び第三の移行条件を共に満たした場合、前記第四の環境調整処理を前記実行部に実行させる
請求項1から5の何れか一項に記載の環境形成システム。
【請求項7】
第五の前記環境調整処理と、当該第五の環境調整処理の第四及び第五の移行条件と、を対応付け、更に、前記第四の移行条件と当該第五の環境調整処理の次に実行され得る第六の環境調整処理とを対応付け、更に、前記第五の移行条件と当該第五の環境調整処理の次に実行され得る第七の環境調整処理とを対応付けた第三の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、
前記順序制御部は、前記第五の環境調整処理の実行中において、
前記第四の移行条件を満たした場合、前記第六の環境調整処理を前記実行部に実行させ、
前記第五の移行条件を満たした場合、前記第七の環境調整処理を前記実行部に実行させる
請求項1から6の何れか一項に記載の環境形成システム。
【請求項8】
記憶部と、
一の前記環境調整処理と、当該一の環境調整処理の一以上の移行条件と、当該一の環境調整処理の次に実行され得る一以上の前記環境調整処理と、を対応付けた調整フローの編集画面を表示する表示部と、
前記調整フローの編集画面をユーザに操作させるための操作部と、
ユーザによる前記調整フローの編集画面の操作によって編集された前記調整フローを前記記憶部に記憶する編集部と、
を更に備える請求項1から7の何れか一項に記載の環境形成システム。
【請求項9】
前記調整フローを前記表示部に表示し、前記調整フローに含まれている実行中の前記環境調整処理を強調表示する表示制御部
を更に備える請求項8に記載の環境形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の周囲環境を調整する環境形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境試験装置や熱処理装置等の環境形成装置を備え、温度や湿度等の試料の周囲の環境(以降、周囲環境)を調整する環境形成システムが知られている。また、このような環境形成システムでは、例えば特許文献1(段落〔0029〕、図3)等に記載のように、試料の周囲環境(室温RT)の目標値を所定の時間間隔で自動的に変更するプログラム運転を行うことが知られている。
【0003】
具体的には、プログラム運転を行う事前に、ユーザによって、図9に示すような、試料の周囲環境(例:温度、湿度)の目標値と時間とを対応付けたテーブルが設定される。プログラム運転が開始されると、先ず、試料の周囲環境を当該テーブルの第1行目に設定された目標値(例:「20.0℃」、「30%rh」)となるように調整する環境調整処理が実行される。そして、当該環境調整処理の開始時点からの経過時間(以降、実行時間)が、当該目標値に対応付けられた時間(例:「2:00」)に到達すると、前記周囲環境を第2行目に設定された目標値(例:「10.0℃」、「50%rh」)となるように調整する環境調整処理が実行される。このようにして、試料の周囲環境を調整する環境調整処理の実行時間が所定時間に到達したタイミングで、次の環境調整処理を実行することが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−214933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来技術では、試料の状態を何ら考慮せず、環境調整処理の実行時間が所定時間に到達したタイミングで次の環境調整処理が実行される。このため、試料の状態が次の環境調整処理を実行するために必要な条件(以降、移行条件)を満たしていないにもかかわらず、次の環境調整処理が実行される虞があった。これにより、試料に十分な負荷が与えられないまま、複数の環境調整処理が終了する虞があった。その結果、複数の環境調整処理を最初からやり直すこととなり、複数の環境調整処理を終了するまでに要する時間が長くなる虞があった。
【0006】
このような問題を回避するため、前記所定時間を長くすることが考えられる。しかし、この場合、各環境調整処理の実行時間が無駄に長くなる虞があった。また、各環境調整処理を実行している間、試料の状態を検出し、当該検出した結果に基づいて前記所定時間を適切な時間に設定することが考えられる。しかし、この場合、複数の環境調整処理を開始する事前の準備に要する時間が長くなる虞があった。
【0007】
また、上記の従来技術では、試料の状態が移行条件を満たしているにも関わらず、当該環境調整処理の実行時間が所定時間に到達していないため、実行中の環境調整処理が無駄に継続される虞があった。その結果、試料に余計な負荷が与えられ、試料を劣化させる虞があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、試料に対する複数の環境調整処理に要する時間が長くなる虞を軽減し、且つ、試料を劣化させる虞を低減することができる環境形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による環境形成システムは、試料の状態を検出する状態センサーと、前記試料の周囲環境を調整する複数の環境調整処理を所定の順序で一つずつ順次実行する実行部と、一の前記環境調整処理を実行中に、前記状態センサーの検出値が当該一の環境調整処理の第一の移行条件を満たした場合、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させる順序制御部と、を備える。
【0010】
本構成によれば、一の環境調整処理を実行中に状態センサーの検出値である試料の状態が、当該一の環境調整処理の第一の移行条件を満たした場合に、次の環境調整処理が実行される。このため、試料の状態が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしたタイミングで、次の環境調整処理を実行することができる。
【0011】
これにより、試料の状態が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしていないタイミングで次の環境調整処理を実行する虞を低減することができる。その結果、試料に十分な負荷が与えられないまま複数の環境調整処理が終了したために、複数の環境調整処理を最初からやり直すことで、複数の環境調整処理を終了するまでに要する時間が長くなる虞を軽減することができる。
【0012】
また、試料の状態が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしているにも関わらず、実行中の環境調整処理を無駄に継続する虞を低減することができる。その結果、環境調整処理を無駄に継続することによる時間の浪費を解消することができる。また、試料に余計な負荷を与えることで、試料を劣化させる虞を低減することができる。
【0013】
また、前記第一の移行条件の設定画面を表示する表示部と、前記第一の移行条件の設定画面をユーザに操作させるための操作部と、を更に備えてもよい。
【0014】
本構成によれば、ユーザは、第一の移行条件の設定画面を操作して、第一の移行条件を意図した通りに設定することができる。
【0015】
また、前記試料の周囲環境を検出する環境センサーを更に備え、前記順序制御部は、更に、前記一の環境調整処理を実行中に、前記環境センサーの検出値が当該一の環境調整処理の第二の移行条件を満たした場合に、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させてもよい。
【0016】
本構成によれば、一の環境調整処理を実行中に、状態センサーの検出値である試料の状態が当該一の環境調整処理の第一の移行条件を満たし、更に、環境センサーの検出値である試料の周囲環境が当該一の環境調整処理の第二の移行条件を満たした場合に、次の環境調整処理が実行される。
【0017】
このため、試料の状態が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしていても、試料の周囲環境が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしていない場合には、次の環境調整処理を実行することを回避することができる。これにより、試料の状態についてのみ移行条件を定める場合と比べて、より多くの移行条件を満たす、より適切なタイミングで次の環境調整処理を実行することができる。
【0018】
また、前記順序制御部は、更に、前記一の環境調整処理を実行中に、当該一の環境調整処理の開始時点からの経過時間が当該一の環境調整処理の第三の移行条件を満たした場合に、前記実行部に当該一の環境調整処理の次の前記環境調整処理を実行させてもよい。
【0019】
本構成によれば、一の環境調整処理を実行中に、状態センサーの検出値である試料の状態が当該一の環境調整処理の第一の移行条件を満たし、更に、当該一の環境調整処理の開始時点からの経過時間が当該一の環境調整処理の第三の移行条件を満たした場合に、次の環境調整処理が実行される。
【0020】
このため、試料の状態が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしていても、実行中の環境調整処理の開始時点からの経過時間が実行中の環境調整処理の移行条件を満たしていない場合には、次の環境調整処理を実行することを回避することができる。これにより、試料の状態についてのみ移行条件を定める場合と比べて、より多くの移行条件を満たす、より適切なタイミングで次の環境調整処理を実行することができる。
【0021】
また、第一の前記環境調整処理と、当該第一の環境調整処理の第一の移行条件と、当該第一の環境調整処理の次に実行され得る第二の環境調整処理と、を対応付けた第一の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、前記順序制御部は、前記第一の環境調整処理の実行中に前記第一の移行条件を満たした場合、前記第二の環境調整処理を前記実行部に実行させてもよい。
【0022】
第一の環境調整処理の実行中に例えば状態センサーの検出値が第一の環境調整処理の第一の移行条件を満たした場合に第二の環境調整処理を実行することにより、試料の周囲環境を調整するものとする。本構成によれば、当該調整を行う度に、第一及び第二の環境調整処理の実行順や第一の環境調整処理の移行条件を定める手間をかけることなく、記憶部に記憶されている第一の調整フローを用いて迅速に当該調整を行うことができる。
【0023】
また、第三の前記環境調整処理と、当該第三の環境調整処理の第二及び第三の移行条件と、当該第三の環境調整処理の次に実行され得る第四の環境調整処理と、を対応付けた第二の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、前記順序制御部は、前記第三の環境調整処理の実行中に前記第二及び第三の移行条件を共に満たした場合、前記第四の環境調整処理を前記実行部に実行させてもよい。
【0024】
第三の環境調整処理の実行中に例えば状態センサーの検出値が第三の環境調整処理の第二及び第三の移行条件を共に満たした場合に、第四の環境調整処理を実行することにより、試料の周囲環境を調整するものとする。上記の従来技術では、環境調整処理の移行条件を一つしか設定できないため、当該調整のように、複数の移行条件を全て満たした場合に次の環境調整処理を実行させることができなかった。
【0025】
しかし、本構成によれば、第三及び第四の環境調整処理の実行順や第三の環境調整処理の第二及び第三の移行条件を定める手間をかけずに、記憶部に記憶されている第二の調整フローを用いて、迅速に当該調整を行うことができる。
【0026】
また、第五の前記環境調整処理と、当該第五の環境調整処理の第四及び第五の移行条件と、を対応付け、更に、前記第四の移行条件と当該第五の環境調整処理の次に実行され得る第六の環境調整処理とを対応付け、更に、前記第五の移行条件と当該第五の環境調整処理の次に実行され得る第七の環境調整処理とを対応付けた第三の調整フローを記憶する記憶部を更に備え、前記順序制御部は、前記第五の環境調整処理の実行中において、記第四の移行条件を満たした場合、前記第六の環境調整処理を前記実行部に実行させ、記第五の移行条件を満たした場合、前記第七の環境調整処理を前記実行部に実行させてもよい。
【0027】
第五の環境調整処理の実行中に、例えば状態センサーの検出値が第五の環境調整処理の第四の移行条件を満たした場合は、第六の環境調整処理を実行し、例えば状態センサーの検出値が第五の環境調整処理の第五の移行条件を満たした場合は、第七の環境調整処理を実行することで、試料の周囲環境を調整するものとする。上記の従来技術では、環境調整処理の移行条件を一つしか設定できないため、当該調整のように、複数の移行条件のうちの何れの移行条件を満たすかに応じて、次に実行させる環境調整処理を個別に設定することができなかった。
【0028】
しかし、本構成によれば、第五、第六及び第七の環境調整処理の実行順や、第五の環境調整処理の第四及び第五の移行条件を定める手間をかけずに、記憶部に記憶されている第三の調整フローを用いて、迅速に当該調整を行うことができる。
【0029】
また、記憶部と、一の前記環境調整処理と、当該一の環境調整処理の一以上の移行条件と、当該一の環境調整処理の次に実行され得る一以上の前記環境調整処理と、を対応付けた調整フローの編集画面を表示する表示部と、前記調整フローの編集画面をユーザに操作させるための操作部と、ユーザによる前記調整フローの編集画面の操作によって編集された前記調整フローを前記記憶部に記憶する編集部と、を更に備えてもよい。
【0030】
本構成によれば、ユーザは、調整フローの編集画面を操作して、ユーザの意図した通りに調整フローを編集し、当該編集した調整フローを記憶部に記憶することができる。
【0031】
また、前記調整フローを前記表示部に表示し、前記調整フローに含まれている実行中の前記環境調整処理を強調表示する表示制御部を更に備えてもよい。
【0032】
本構成によれば、表示部に表示されている調整フローに含まれている実行中の環境調整処理が強調表示される。このため、ユーザは、複数の環境調整処理の進捗状況を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、試料に対する複数の環境調整処理に要する時間が長くなる虞を軽減し、且つ、試料を劣化させる虞を低減することができる環境形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】環境試験システムの全体像の一例を示す図である。
図2】環境試験システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】試験フローの編集画面の一例を示す図である。
図4】試験処理の設定画面の一例を示す図である。
図5】移行条件の設定画面の一例を示す図である。
図6】試験フローに従って複数の試験処理を行う動作を示すフローチャートである。
図7】試験フローに従って複数の試験処理を行う動作を示すフローチャートである。
図8】環境試験システムの全体像の他の一例を示す図である。
図9】従来のプログラム運転で用いられるテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施形態)
(システムの全体像)
以下、本発明に係る環境形成システムの一実施形態である環境試験システム100について説明する。図1は、環境試験システム100の全体像の一例を示す図である。図1に示すように、環境試験システム100は、空気循環ファン8、状態センサー6、環境センサー7、計測器4、制御機器9及び環境試験器コントローラー1を備える。
【0036】
空気循環ファン8は、環境試験器コントローラー1による制御の下、試験槽3内の空気を循環させる。図1における矢印は、空気循環ファン8によって循環された試験槽3内の空気の流れを示している。
【0037】
状態センサー6は、試験槽3内に収容された試料2の状態を検出するセンサーである。試料2には、例えばスマートフォン等の電気機器や、制御基板や、電子部品等が含まれる。試料2の状態には、試料2に流れる電圧、試料2に印加される電圧、試料2の表面温度等が含まれる。本実施形態では、状態センサー6は、電圧電流センサー61及び表面温度センサー62を備えているものとする。
【0038】
電圧電流センサー61は、試料2に取り付けられている。電圧電流センサー61は、試料2における電圧電流センサー61の取り付け箇所に流れる電流(状態)又は試料2における当該取り付け箇所に印加される電圧(状態)を検出し、当該検出した電流又は電圧を示す検出信号を計測器4へ出力する。
【0039】
表面温度センサー62は、試料2に取り付けられている。表面温度センサー62は、試料2における表面温度センサー62の取り付け箇所の表面温度(状態)を検出し、当該検出した温度を示す検出信号を計測器4へ出力する。ただし、表面温度センサー62は、これに限らず、試料2の表面から放射される赤外線に基づき試料2の表面温度を検出する温度センサー等、試料2に接触することなく、試料2の表面温度を検出する所謂非接触型の温度センサーであってもよい。
【0040】
尚、状態センサー6は、電圧電流センサー61及び表面温度センサー62に限らず、例えば、試料2の状態として、試料2の外観の状態を検出するために試料2の外観を撮影するカメラ等を更に備えてもよい。
【0041】
環境センサー7は、試料2の周囲環境を検出するセンサーである。試料2の周囲環境には、試料2の周囲の空気の温度及び湿度等が含まれる。本実施形態では、環境センサー7は、温度湿度センサー71を備えているものとする。当該温度湿度センサー71は、試料2の周囲へ流れる空気の温度及び湿度を検出し、当該検出した温度及び湿度を示す検出信号を環境試験器コントローラー1へ出力する。
【0042】
尚、環境センサー7は、温度湿度センサー71に限らず、例えば、試料2の周囲環境として、試料2の周囲の空気の圧力や、試料2に与えられる試料2の周囲の振動や、試料2の周囲に降らせている人工的な雨や雪の量を検出するために、これらを検出するセンサーであってもよい。
【0043】
計測器4は、環境試験器コントローラー1による制御の下、試験槽3内に収容された試料2へ所定の電圧を供給する通電制御や、試験槽3内に収容された試料2へ所定の電気信号を出力する信号制御を行う。また、計測器4は、所謂アナログデジタル変換器(ADコンバーター)を備え、状態センサー6が出力した検出信号をデジタル信号に変換し、環境試験器コントローラー1へ出力する。尚、環境試験システム100に、計測器4を備えないようにし、環境試験器コントローラー1に、前記通電制御及び前記信号制御を行わせるようにしてもよい。また、環境試験器コントローラー1に、計測器4と同様のアナログデジタル変換器を設けるようにしてもよい。そして、状態センサー6が検出信号を環境試験器コントローラー1が備える当該アナログデジタル変換器に出力するようにしてもよい。
【0044】
制御機器9は、環境試験器コントローラー1によって、試料2に対する試験に関連して制御される。具体的には、制御機器9は、不図示の冷却器、加熱器及び加湿器等の試料2の周囲環境を制御する機器であって、試験槽3内に収容された試料2の周囲の温度や湿度等を調整する。
【0045】
環境試験器コントローラー1は、試料2に対する試験を実行する。具体的には、環境試験器コントローラー1は、試料2に対する試験において、複数の試験処理(環境調整処理)を所定の順序で一つずつ順次実行する。ここで、試験処理とは、制御機器9によって試料2の周囲の温度及び湿度を所定の目標値に調整させる等、制御機器9によって試料2に対する試験に関連する各種制御を行わせる処理である。
【0046】
(機能構成)
次に、環境試験システム100の機能構成について説明する。図2は、環境試験システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。状態センサー6、環境センサー7、空気循環ファン8及び制御機器9については、図1において説明したのでここでの説明は省略する。
【0047】
図2に示すように、環境試験器コントローラー1は、制御部10、インターフェイス部20、表示部30、操作部40及び記憶部50として機能する。
【0048】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の不揮発性メモリー、現在時刻を計時するタイマー回路等を備えたマイクロコンピューターによって構成される。制御部10は、不揮発性メモリーに記憶された制御プログラムをCPUに実行させることにより、編集部11、実行部12、順序制御部13及び表示制御部14として動作する。編集部11、実行部12、順序制御部13、及び表示制御部14の詳細については後述する。
【0049】
インターフェイス部20は、環境試験器コントローラー1がLAN(Local Area Network)やインターネット等の不図示のネットワークを介してパソコン等の外部装置と通信するための通信インターフェイス回路によって構成される。また、インターフェイス部20は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の外部記憶装置が着脱可能なコネクター及び制御部10が当該コネクターに装着された外部記憶装置と通信するための外部インターフェイス回路によって構成される。インターフェイス部20は、外部装置や外部記憶装置と通信を行う。
【0050】
表示部30は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、制御部10による制御の下、環境試験器コントローラー1の操作画面や後述する試験フローの編集画面等の各種画面及び操作を案内するメッセージ等の各種情報を表示する。
【0051】
操作部40は、例えば、表示部30が有する各種情報の表示面上に設けられたタッチパネル装置によって構成される。操作部40は、前記表示面に表示された各種画面内のソフトキーが操作されると、当該ソフトキー及び操作に対応付けられた指示の入力を受け付ける。尚、ソフトキーには、リストボックスやボタン等が含まれる。また、当該操作には、タッチ操作、ドラッグ操作、ロングタップ(長押し)操作、ダブルタップ操作等が含まれる。また、操作部40は、タッチパネル装置に限らず、各種情報を入力するためのキーボードや各種画面内のソフトキーを操作するためのマウス等を備えて構成してもよい。
【0052】
記憶部50は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成される。記憶部50には、表示部30に表示される各種情報や、制御部10による制御に用いられる後述する試験フロー(調整フロー)等が記憶されている。また、記憶部50には、制御部10による制御の下、各種データや電子ファイルが記憶される。
【0053】
以下、編集部11の詳細について説明する。
【0054】
編集部11は、ユーザが操作部40を用いて試験フロー(調整フロー)の編集画面W0を操作することによって編集した試験フローを、記憶部50に記憶する。試験フローとは、試料2に対する試験において実行する一以上の試験処理と、各試験処理の一以上の移行条件と、各試験処理の次に実行され得る一以上の試験処理と、を対応付ける情報である。
【0055】
図3は、試験フローの編集画面W0の一例を示す図である。具体的には、編集部11は、ユーザによる操作部40の操作により、試験フローの編集画面W0の表示指示が入力されると、図3に示す試験フローの編集画面W0を表示部30に表示する。
【0056】
試験フローの編集画面W0は、パーツ画面W1、試験フロー表示編集画面W2及びメニュー画面W3によって構成される。
【0057】
(パーツ画面W1)
パーツ画面W1には、試験フローを設定するための7個のパーツP1〜P7が表示されている。各パーツP1〜P7は、ユーザによるドラッグ操作によって試験フロー表示編集画面W2内に配置可能に構成されている。
【0058】
パーツP1は、試料2に対する試験の開始及び終了を設定するためのパーツである。以降、パーツP1を開始終了パーツP1と記載する。
【0059】
パーツP2は、試料2に対する試験において行われる試験処理を設定するためのパーツである。以降、パーツP2をステップパーツP2と記載する。
【0060】
パーツP3は、試験フロー表示編集画面W2において、ステップパーツP2の次(矢印−Y側)に配置可能に構成されている。パーツP3は、自身の前(矢印+Y側)に配置されたステップパーツP2が示す試験処理の移行条件を設定するためのパーツである。以降、パーツP3を移行条件パーツP3と記載する。
【0061】
パーツP4は、試験フロー表示編集画面W2において、後述のOR分岐パーツP6が示す何れかの移行条件の次に配置可能に構成されている。パーツP4は、自身の前に配置された移行条件を満たした場合の移行先(ジャンプ先)を設定するためのパーツである。以降、パーツP4をジャンプパーツP4と記載する。
【0062】
具体的には、OR分岐パーツP6が示す何れかの移行条件(例:「移行条件5」)の次にジャンプパーツP4がドラッグ操作されると、編集部11は、ジャンプ元を表す画像を当該移行条件の次に配置し、当該ジャンプ元を表す画像の付近にジャンプ先を表す画像を表示する。当該表示されたジャンプ先を表す画像は、試験フロー表示編集画面W2において、ドラッグ操作によって何れかのステップパーツP2(例:「ステップ2」)の前に配置可能に構成されている。
【0063】
パーツP5は、試験フロー表示編集画面W2において、ステップパーツP2の次に配置可能に構成されている。パーツP5は、自身の前に配置されたステップパーツP2が示す試験処理の次の試験処理を実行するために満たすべき複数の移行条件を設定するためのパーツである。以降、パーツP5をAND分岐パーツP5と記載する。
【0064】
パーツP6は、試験フロー表示編集画面W2において、ステップパーツP2の次に配置可能に構成されている。パーツP6は、自身の前に配置されたステップパーツP2が示す試験処理の次に実行され得る複数の試験処理をそれぞれ実行するために満たすべき複数の移行条件を設定するためのパーツである。以降、パーツP6をOR分岐パーツP6と記載する。
【0065】
パーツP7は、試験フロー表示編集画面W2において、移行条件パーツP3と当該移行条件パーツP3の次に配置されたステップパーツP2と、の間に配置可能に構成されている。パーツP7は、自身の次に配置されているステップパーツP2が示す試験処理を実行するために、自身の前に配置された移行条件パーツP3が示す移行条件を満たすべき回数(以降、繰り返し回数)を設定するためのパーツである。以降、パーツP7を繰り返しパーツP7と記載する。
【0066】
(試験フロー表示編集画面W2)
試験フロー表示編集画面W2には、ユーザによるドラッグ操作で配置された各パーツP1〜P7により設定された試験フローが表示される。試験フロー表示編集画面W2に配置された各パーツP1〜P7は、ユーザによるドラッグ操作によって、試験フロー表示編集画面W2内で配置位置を変更可能に構成されている。
【0067】
また、試験フロー表示編集画面W2に配置された各パーツP1〜P7は、削除可能に構成されている。具体的には、試験フロー表示編集画面W2に配置された各パーツP1〜P7がユーザによりロングタップ(長押し)操作されると、編集部11は、当該パーツP1〜P7を削除するか否かを選択するタッチ操作が可能な画面を当該パーツP1〜P7付近に表示する。当該画面において削除することを選択するタッチ操作が行われた場合、編集部11は、当該パーツP1〜P7を削除する。
【0068】
また、試験フロー表示編集画面W2に配置されたステップパーツP2がダブルタップ操作されると、編集部11は、当該ステップパーツP2が示す試験処理の設定画面W4(図4)を、当該ステップパーツP2付近に表示する。
【0069】
(試験処理の設定画面W4)
図4は、試験処理の設定画面W4の一例を示す図である。例えば、図4に示すように、試験処理の設定画面W4には、試験処理中の環境条件の設定を行うための領域E41と、試験処理中のデータ収録の設定を行うための領域E42と、閉じるキーB41と、が含まれる。
【0070】
領域E41では、設定画面W4に対応する試験処理において、制御機器9に試料2の周囲の温度及び湿度を調整させるときの温度及び湿度の目標値が設定可能となっている。例えば、図4では、温度の目標値が「25℃」、湿度の目標値が「60%」に設定されている。また、勾配が「OFF」に設定されている。ここで、勾配とは、制御機器9が試料2の周囲の温度及び湿度を目標値となるように調整するときの温度及び湿度の時間当たりの増減量を示す。つまり、勾配が「OFF」に設定されている場合、制御機器9は、試料2の周囲の温度及び湿度を目標値となるように調整するときの、温度及び湿度の時間当たりの増減量が一定となるように制御しない。勾配は、例えば「1℃、1%/分」等の所定の増減量に設定することが可能となっている。
【0071】
また、領域E41では、設定画面W4に対応する試験処理において、計測器4に、通電制御を行わせる設定、信号制御を行わせる設定、又は、通電制御及び信号制御の何れも行わせない設定が可能となっている。例えば、図4では、計測器4に、試料2に対して所定の直流電圧(「DCV」)を供給する通電制御を行わせることが設定されている。この場合、試験処理において、計測器4は、試料2に所定の直流電圧を供給する通電制御を行う。
【0072】
領域E42では、設定画面W4に対応する試験処理において、データ収録を有効にするか否かが設定可能となっている。データ収録とは、環境試験器コントローラー1に入力される信号が示すデータを電子ファイル化して記憶部50に記憶することを示す。データ収録が有効に設定されている場合、当該電子ファイルのファイルパスの設定が可能となっている。また、設定画面W4に対応する試験処理において環境試験器コントローラー1に入力される信号が示すデータを、当該試験処理の前の試験処理における当該データが記憶されている電子ファイルに追加するか否か(「前ステップログへ追加保存」)を設定することが可能となっている。
【0073】
閉じるキーB41は、設定画面W4を閉じるためのソフトキーである。閉じるキーB41がタッチ操作されると、編集部11は、設定画面W4を非表示にする。
【0074】
図3に参照を戻す。試験フロー表示編集画面W2に配置された移行条件パーツP3(例:「移行条件1」、「移行条件3」)、AND分岐パーツP5が示す各移行条件(例:「移行条件2−1」、「移行条件2−2」)、及びOR分岐パーツP6が示す各移行条件(例:「移行条件4」、「移行条件5」)がダブルタップ操作されると、編集部11は、当該ダブルタップ操作された移行条件の設定画面W5(図5)を、当該移行条件付近に表示する。
【0075】
(移行条件の設定画面W5)
図5は、移行条件の設定画面W5の一例を示す図である。例えば、図5に示すように、移行条件の設定画面W5には、試験の実行環境を移行条件として設定するための領域E51と、試料2の状態を移行条件として設定するための領域E52と、領域E51を有効にするためのラジオボタンR51と、領域E52を有効にするためのラジオボタンR52と、閉じるキーB51と、が含まれる。
【0076】
領域E51では、試験処理の実行時間を移行条件として設定可能となっている。尚、当該試験処理は、試験フロー表示編集画面W2において、設定画面W5に対応する移行条件を示すパーツP3、P5、P6の前に配置されているステップパーツP2が示す試験処理を示す。また、領域E51では、温度湿度センサー71が環境試験器コントローラー1へ出力した検出信号が示す試料2の周囲の空気の温度又は湿度を移行条件として設定可能となっている。
【0077】
例えば、図5では、試験処理の実行時間が「20分以上」であることを移行条件として設定可能であることを示している。尚、図5では、ラジオボタンR51が選択されていないので、領域E51は有効となっていない。このため、試験処理の実行時間が「20分以上」であることは、移行条件として設定されない。
【0078】
領域E52では、環境試験器コントローラー1に入力される信号が示す試料2の状態を移行条件として設定可能となっている。このため、ユーザは、移行条件の設定画面Wを操作して、試料2の状態に関する移行条件を意図した通りに設定することができる。尚、当該試験処理は、試験フロー表示編集画面W2において、設定画面W5に対応する移行条件を示すパーツP3、P5、P6の前に配置されているステップパーツP2が示す試験処理を示す。
【0079】
例えば、領域E52では、1)電圧電流センサー61の検出信号が示す電圧若しくは電流、又は、2)表面温度センサー62の検出信号が示す試料2の表面温度を移行条件として設定することが可能となっている。例えば、図5では、ラジオボタンR52が選択され、領域E52が有効となっている。そして、電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が「20mA」であることが、上記1)の移行条件として設定されている。
【0080】
閉じるキーB51は、設定画面W5を閉じるためのソフトキーである。閉じるキーB51がタッチ操作されると、編集部11は、設定画面W5を非表示にする。
【0081】
図3に参照を戻す試験フロー表示編集画面W2に配置された繰り返しパーツP7(例:「繰り返し □□/△△回」)がダブルタップ操作されると、編集部11は、当該繰り返しパーツP7の付近に、当該繰り返しパーツP7が示す繰り返し回数(例:「△△回」)の設定を行わせるためのソフトキー(例:「+」キー、「−」キー等)を表示する。そして、編集部11は、ユーザによる当該表示したソフトキーの操作に応じて繰り返し回数を設定し、当該設定した繰り返し回数(例:「△△回」)を当該繰り返しパーツP7の付近に表示する。
【0082】
(試験フローの具体例)
例えば、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験の開始「スタート」を示す開始終了パーツP1の次に、試験処理「ステップ1」を示すステップパーツP2が配置され、その次に、移行条件「移行条件1」を示す移行条件パーツP3が配置され、その次に、試験処理「ステップ2」を示すステップパーツP2が配置されている。
【0083】
つまり、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ1」(第一の環境調整処理)と、試験処理「ステップ1」の移行条件「移行条件1」(第一の移行条件)と、試験処理「ステップ1」の次に実行され得る試験処理「ステップ2」(第二の環境調整処理)と、を対応付けた試験フローF1(第一の調整フロー)が設定されている。
【0084】
また、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ2」を示すステップパーツP2の次に、移行条件「移行条件2−1」と移行条件「移行条件2−2」とを示すAND分岐パーツP5が配置され、その次に、試験処理「ステップ3」を示すステップパーツP2が配置されている。
【0085】
つまり、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ2」(第三の環境調整処理)と、試験処理「ステップ2」の次の試験処理「ステップ3」を実行するために満たすべき、試験処理「ステップ2」の二つの移行条件「移行条件2−1」(第二の移行条件)、「移行条件2−2」(第三の移行条件)と、試験処理「ステップ2」の次に実行され得る試験処理「ステップ3」(第四の環境調整処理)と、を対応付けた試験フローF2(第二の調整フロー)が設定されている。
【0086】
また、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ3」を示すステップパーツP2の次に配置された移行条件「移行条件3」を示す移行条件パーツP3と、試験処理「ステップ4」を示すステップパーツP4との間に、移行条件「移行条件3」を「△△」回満たすべきであることを示す繰り返しパーツP7が配置されている。
【0087】
つまり、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ3」と、試験処理「ステップ3」の移行条件「移行条件3」と、試験処理「ステップ3」の次に実行され得る試験処理「ステップ4」と、試験処理「ステップ4」を実行するために試験処理「ステップ3」の移行条件「移行条件3」を満たすべき回数(繰り返し回数)「△△回」とを対応付けた試験フローF3が設定されている。
【0088】
また、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ4」を示すステップパーツP2の次に、移行条件「移行条件4」と移行条件「移行条件5」とを示すOR分岐パーツP6が配置されている。移行条件「移行条件4」の次には、試験処理「ステップ5」を示すステップパーツP2が配置されている。移行条件「移行条件5」の次には、移行条件「移行条件5」を満たした場合の移行先を試験処理「ステップ2」にすることを示すジャンプパーツP4が配置されている。
【0089】
つまり、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ4」(第五の環境調整処理)と、試験処理「ステップ4」の二つの移行条件「移行条件4」(第四の移行条件)、「移行条件5」(第五の移行条件)とを対応付け、更に、移行条件「移行条件4」と試験処理「ステップ4」の次に実行され得る試験処理「ステップ5」(第六の環境調整処理)とを対応付け、更に、移行条件「移行条件5」と試験処理「ステップ4」の次に実行され得る試験処理「ステップ2」(第七の環境調整処理)とを対応付けた試験フローF4(第三の調整フロー)が設定されている。尚、移行条件「移行条件5」の次には、ジャンプパーツP4に代えて、ステップパーツP2が配置されてもよい。
【0090】
また、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ5」を示すステップパーツP2の次に、移行条件「移行条件6」を示す移行条件パーツP3が配置され、その次に、試験の終了「終了」を示す開始終了パーツP1が配置されている。
【0091】
つまり、図3に示す試験フロー表示編集画面W2では、試験処理「ステップ5」と、試験処理「ステップ5」の移行条件「移行条件6」と、試験処理「ステップ5」の次に実行され得る試験の終了処理と、を対応付けた試験フローF5が設定されている。
【0092】
メニュー画面W3には、試験フローの編集操作に関連する6個のソフトキーB1〜B5が表示されている。
【0093】
ソフトキーB1は、新たな試験フローを設定するためのソフトキーである。ソフトキーB1がタッチ操作されると、編集部11は、試験フロー表示編集画面W2に表示されている試験フローを非表示にする。これにより、ユーザは、試験フロー表示編集画面W2において新たな試験フローを設定できるようになる。以降、ソフトキーB1を新規キーB1と記載する。
【0094】
ソフトキーB2は、記憶部50に記憶されている試験フローを読み出すためのソフトキーである。ソフトキーB2がタッチ操作されると、編集部11は、記憶部50に記憶されている試験フローの一覧が選択可能に表示された選択画面を表示する。当該選択画面において試験フローが選択されると、編集部11は、記憶部50から当該選択された試験フローを読み出して、試験フロー表示編集画面W2に表示する。以降、ソフトキーB2を開くキーB2と記載する。
【0095】
ソフトキーB3は、試験フロー表示編集画面W2に表示されている試験フローを記憶部50に記憶するためのソフトキーである。ソフトキーB3がタッチ操作されると、編集部11は、試験フロー表示編集画面W2に表示されている試験フローを記憶部50に記憶する。以降、ソフトキーB3を保存キーB3と記載する。これにより、ユーザは、試験フローの編集画面W0を操作して、ユーザの意図した通りに試験フローを編集し、当該編集した試験フローを記憶部50に記憶することができる。
【0096】
ソフトキーB4は、試験フロー表示編集画面W2に表示されている試験フローに従って試験を実行するためのソフトキーである。ソフトキーB4がタッチ操作されると、順序制御部13は、試験フロー表示編集画面W2に表示されている試験フローに従って、実行部12に複数の試験処理を一つずつ順次実行させる。順序制御部13が、試験フローに従って、実行部12に複数の試験処理を一つずつ順次実行させる動作については後述する。以降、ソフトキーB4を実行キーB4と記載する。
【0097】
ソフトキーB5は、試験フローの編集画面W0を閉じるためのソフトキーである。ソフトキーB5がタッチ操作されると、編集部11は、試験フローの編集画面W0を非表示にする。以降、ソフトキーB5を終了キーB5と記載する。
【0098】
(試験フローに従った試験の動作)
以下では、順序制御部13が、試験フローに従って実行部12に複数の試験処理を一つずつ順次実行させる動作について説明する。また、当該説明の中で、実行部12、順序制御部13、及び表示制御部14の詳細について説明する。図6及び図7は、試験フローに従って複数の試験処理を行う動作を示すフローチャートである。
【0099】
試験フロー表示編集画面W2(図3)に試験フローが表示されている場合において実行キーB4がタッチ操作されると、順序制御部13は、試験フローに従って実行部12に複数の試験処理を順次実行させることを開始する。当該開始後、順序制御部13は、試験フローに表示されている試験の開始を示す開始終了パーツP1の次に配置されているパーツから順に、各パーツがパーツP1〜P7のうちの何れのパーツであるかを判定し、当該判定結果に応じた処理を実行する。以降、当該判定の対象となるパーツを対象パーツと記載する。
【0100】
図6に示すように、順序制御部13は、先ず、試験の開始を示す開始終了パーツP1の次に配置されているパーツを対象パーツとする。そして、順序制御部13は、対象パーツがステップパーツP2であるか否かを判定する(S11)。
【0101】
S11において、対象パーツがステップパーツP2であると判定された場合(S11;YES)、表示制御部14は、ステップパーツP2をハイライト表示する(S12)。ハイライト表示とは、明るい色や網掛け模様を付して表示する等して、他のパーツと異なる表示形態で強調表示することを示す(例:図3に示すステップパーツP2「ステップ4」)。これにより、ユーザは、複数の試験処理の進捗状況を容易に把握することができる。
【0102】
次に、順序制御部13は、実行部12に、当該ステップパーツP2の設定画面W4で設定された内容に従って試験処理を実行させる(S13)。
【0103】
具体的には、S13において、実行部12は、実行対象の試験処理の設定画面W4で設定された環境条件の設定に従い、制御機器9に試料2の周囲の温度や湿度を設定された目標値となるように調整させる。また、実行部12は、実行対象の試験処理の設定画面W4で設定された環境条件の設定に従い、計測器4に通電制御若しくは信号制御を行わせる、又は、計測器4に通電制御及び信号制御の何れも行わせない。また、実行部12は、当該設定画面W4で設定されたデータ収録の設定に従い、環境試験器コントローラー1に入力される信号が示すデータを電子ファイル化して記憶部50に記憶する。尚、順序制御部13は、S13において、タイマー回路によって計時された現在時刻を実行対象の試験処理の開始時刻として揮発性メモリー等に記憶する。
【0104】
次に、順序制御部13は、対象パーツを当該対象パーツの次に配置されているパーツに移行し(S14)、S21の判定を行う。また、順序制御部13は、S11において、対象パーツがステップパーツP2ではないと判定した場合も(S11;NO)、S21の判定を行う。
【0105】
S21では、順序制御部13は、対象パーツが移行条件パーツP3であるか否かを判定する(S21)。S21において、順序制御部13は、対象パーツが移行条件パーツP3であると判定した場合(S21;YES)、当該移行条件パーツP3が示す移行条件の設定画面W5で設定された移行条件を満たしたか否かを判定する(S22)。
【0106】
S22において、順序制御部13は、移行条件を満たしていないと判定している間(S22;NO)、待機する。S22において移行条件を満たしたと判定された場合(S22;YES)、表示制御部14は、ハイライト表示されているステップパーツP2のハイライト表示を消去し、当該ステップパーツP2を通常通りに表示する(S23)。
【0107】
S23の後、順序制御部13は、対象パーツを当該対象パーツの次に配置されているパーツに移行し(S24)、処理をS11に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0108】
例えば、S22における判定に用いる移行条件が、図5に示す設定画面W5で設定されたとする。つまり、電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が「20mA」であることが、移行条件として設定されているとする。
【0109】
この場合、S22において、順序制御部13は、電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が「20mA」であるか否かを判定する。そして、順序制御部13は、当該試料2に流れる電流が「20mA」であった場合、移行条件を満たしたと判定する(S22;YES)。この場合、S24が行われ、移行条件パーツP3の次に配置されたステップパーツP2が示す試験処理が実行される。
【0110】
このため、試料2に流れる電流が移行条件を満たしたタイミングで、次の試験処理を実行することができる。これにより、試料2に流れる電流が移行条件を満たしていないタイミングで次の試験処理を実行する虞を低減することができる。その結果、試料2に十分な負荷が与えられないまま複数の試験処理が終了したために、複数の試験処理を最初からやり直すことで、複数の試験処理を終了するまでに要する時間が長くなる虞を軽減することができる。
【0111】
また、試料2に流れる電流が移行条件を満たしているにも関わらず、実行中の試験処理を無駄に継続する虞を低減することができる。その結果、試験処理を無駄に継続することによる時間の浪費を解消することができる。また、試料2に余計な負荷を与えることで、試料を劣化させる虞を低減することができる。
【0112】
又は、図5に示す移行条件パーツP3の設定画面W5において、ラジオボタンR51が選択され、試験処理の実行時間が「20分以上」であることが、S22における判定に用いる移行条件として設定されているとする。
【0113】
この場合、S22において、順序制御部13は、S13で揮発性メモリー等に記憶した、対象パーツの前に配置されたステップパーツP2が示す試験処理の開始時刻(開始時点)から、タイマー回路により計時された現在時刻までの経過時間を算出する。そして、順序制御部13は、当該算出した経過時間が「20分以上」であるか否かを判定する。そして、順序制御部13は、当該経過時間が「20分以上」であると判定した場合、移行条件を満たしたと判定する(S22;YES)。
【0114】
一方、S21において、順序制御部13は、対象パーツが移行条件パーツP3ではないと判定した場合(S21;NO)、S31の判定を行う。
【0115】
S31では、順序制御部13は、対象パーツがジャンプパーツP4であるか否かを判定する(S31)。S31において、対象パーツがジャンプパーツP4であると判定された場合(S31;YES)、表示制御部14は、ハイライト表示されているステップパーツP2のハイライト表示を消去し、当該ステップパーツP2を通常通りに表示する(S32)。そして、順序制御部13は、対象パーツを当該ジャンプパーツP4が示すジャンプ先のパーツに移行し(S33)、処理をS11に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0116】
一方、S31において、順序制御部13は、対象パーツがジャンプパーツP4ではないと判定した場合(S31;NO)、図7に示すように、S41の判定を行う。
【0117】
S41では、順序制御部13は、対象パーツがAND分岐パーツP5であるか否かを判定する(S41)。S41において、順序制御部13は、対象パーツがAND分岐パーツP5であると判定した場合(S41;YES)、S22と同様にして、当該AND分岐パーツP5が示す複数の移行条件の設定画面W5でそれぞれ設定された複数の移行条件を全て満たしているか否かを判定する(S42)。
【0118】
S42において、順序制御部13は、複数の移行条件のうち一以上の移行条件を満たしていないと判定している間(S42;NO)、待機する。S42において複数の移行条件を全て満たしたと判定された場合(S42;YES)、表示制御部14は、ハイライト表示されているステップパーツP2のハイライト表示を消去し、当該ステップパーツP2を通常通りに表示する(S43)。そして、順序制御部13は、対象パーツを当該対象パーツの次のパーツに移行し(S44)、処理をS11(図6)に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0119】
例えば、S22において説明した具体例と同様に、AND分岐パーツP5が示す二個の移行条件の設定画面W5で、(1)電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が「20mA」であることと、(2)試験処理の実行時間が「20分以上」であることと、の二つの移行条件が設定されていたとする。
【0120】
この場合、順序制御部13は、S42において、電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が上記(1)の移行条件を満たし、更に、対象パーツの前に配置されたステップパーツP2が示す試験処理の実行時間が上記(2)の移行条件を満たした場合、複数の移行条件を全て満たしていると判定する(S42;YES)。この場合、S44が行われ、AND分岐パーツP5の次に配置されたステップパーツP2が示す試験処理が実行される。
【0121】
このため、試料2に流れる電流が上記(1)の移行条件を満たしていても、実行中の試験処理の実行時間が上記(2)の移行条件を満たしていない場合には、次の試験処理を実行することを回避することができる。これにより、一の移行条件のみを定める場合と比べて、より多くの移行条件を満たす、より適切なタイミングで次の試験処理を実行することができる。
【0122】
又は、AND分岐パーツP5が示す二個の移行条件の設定画面W5で、(3)電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が「20mA」であることと、(4)温度湿度センサー71の検出信号が示す試料2の周囲へ流れる空気の温度が「80℃以上」であることと、の二つの移行条件が設定されていたとする。
【0123】
この場合、順序制御部13は、S42において、電圧電流センサー61の検出信号が示す試料2に流れる電流が上記(3)の移行条件を満たし、更に、温度湿度センサー71の検出信号が示す試料2の周囲へ流れる空気の温度が上記(4)の移行条件を満たした場合、複数の移行条件を全て満たしていると判定する(S42;YES)。この場合、S44が行われ、AND分岐パーツP5の次に配置されたステップパーツP2が示す試験処理が実行される。
【0124】
このため、試料2に流れる電流が上記(3)の移行条件を満たしていても、試料2の周囲の温度が上記(4)の移行条件を満たしていない場合には、次の試験処理を実行することを回避することができる。これにより、一の移行条件のみを定める場合と比べて、より多くの移行条件を満たす、より適切なタイミングで次の試験処理を実行することができる。
【0125】
一方、S41において、順序制御部13は、対象パーツがAND分岐パーツP5ではないと判定した場合(S41;NO)、S51の判定を行う。
【0126】
S51では、順序制御部13は、対象パーツがOR分岐パーツP6であるか否かを判定する(S51)。S51において、順序制御部13は、対象パーツがOR分岐パーツP6であると判定した場合(S51;YES)、S22と同様にして、当該OR分岐パーツP6が示す複数の移行条件の設定画面W5でそれぞれ設定された複数の移行条件のうち、何れか一の移行条件を満たしているか否かを判定する(S52)。
【0127】
S52において、順序制御部13は、複数の移行条件のうち何れの移行条件も満たしていないと判定している間(S52;NO)、待機する。S52において複数の移行条件のうちの一の移行条件を満たしたと判定された場合(S52;YES)、表示制御部14は、ハイライト表示されているステップパーツP2のハイライト表示を消去し、当該ステップパーツP2を通常通りに表示する(S53)。そして、順序制御部13は、対象パーツを、S52で満たしていると判定した一の移行条件を示す移行条件パーツP3の次のパーツに移行し(S54)、処理をS11(図6)に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0128】
一方、S51において、順序制御部13は、対象パーツがOR分岐パーツP6ではないと判定した場合(S51;NO)、S61の判定を行う。
【0129】
S61では、順序制御部13は、対象パーツが繰り返しパーツP7であるか否かを判定する(S61)。S61において、順序制御部13は、対象パーツが繰り返しパーツP7であると判定した場合(S61;YES)、当該繰り返しパーツP7の前に配置された移行条件パーツP3が示す移行条件を満たした回数を1回分カウントアップする。また、表示制御部14は、順序制御部13がカウントアップした後の回数を、当該繰り返しパーツP7が示す繰り返し回数の付近(例:図3の試験フロー表示編集画面W2における繰り返し回数△△回の左の□□部)に表示する(S62)。
【0130】
次に、順序制御部13は、S62でカウントアップした後の回数と、試験フロー表示編集画面W2において設定された当該繰り返しパーツP7の繰り返し回数と、を比較する(S63)。
【0131】
S63において、順序制御部13は、S62でカウントアップした後の回数が、繰り返しパーツP7の繰り返し回数に一致すると判定した場合(S63;YES)、対象パーツを当該対象パーツの次のパーツに移行し(S64)、処理をS11(図6)に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0132】
S63において、順序制御部13は、S62でカウントアップした後の回数が、繰り返しパーツP7の繰り返し回数に一致しないと判定した場合(S63;NO)、対象パーツを当該対象パーツの前の前に配置されているステップパーツP2に戻し(S65)、処理をS11(図6)に戻す。以降、S11以降の処理が行われる。
【0133】
一方、S61において、順序制御部13は、対象パーツが繰り返しパーツP7ではないと判定した場合(S61;NO)、試験フローに従って実行部12に複数の試験処理を一つずつ順次実行させる動作を終了する。
【0134】
(具体例)
例えば、試験フロー表示編集画面W2(図3)において、開くキーB2がタッチ操作され、記憶部50に記憶されている試験フローが読み出された結果、図3に示す試験フローF1〜F5を含む試験フローが表示されているとする。この場合に、実行キーB4がタッチ操作されたとする。
【0135】
この場合、試験フローF1に従って、S11〜S14、S21〜S24、S11〜S14が順次実行される。つまり、順序制御部13は、試験処理「ステップ1」の実行中に(S11〜S14)、移行条件「移行条件1」を満たした場合(S21〜S24)、試験フローF1において、試験処理「ステップ1」と移行条件「移行条件1」とに対応付けられている試験処理「ステップ2」を実行部12に実行させる(S11〜S14)。
【0136】
このため、試験処理「ステップ1」の実行中に移行条件「移行条件1」を満たした場合に試験処理「ステップ2」を実行する試験を行う度に、試験処理「ステップ1」及び試験処理「ステップ2」の実行順や移行条件「移行条件1」を定める手間をかけることなく、記憶部50に記憶されている試験フローF1を用いて迅速に当該試験を行うことができる。
【0137】
また、試験フローF2に従って、S11〜S14、S41〜S44、S11〜S14が順次実行される。つまり、順序制御部13は、試験処理「ステップ2」の実行中に(S11〜S14)、移行条件「移行条件2−1」及び移行条件「移行条件2−2」を共に満たした場合(S41〜S44)、試験フローF2において、試験処理「ステップ2」と移行条件「移行条件2−1」及び移行条件「移行条件2−2」とに対応付けられている試験処理「ステップ3」を実行部12に実行させる(S11〜S14)。
【0138】
上記の従来技術では、試験処理の移行条件を一つしか設定できないため、試験フローF2に従った試験のように、複数の移行条件を全て満たした場合に次の試験処理を実行させることができなかった。しかし、本構成によれば、記憶部50に記憶されている試験フローF2を用いて、迅速に当該試験を行うことができる。
【0139】
また、試験フローF4に従って、S11〜S14、S51〜S54、S11〜S14が順次実行される。つまり、順序制御部13は、試験処理「ステップ4」の実行中に(S11〜S14)、移行条件「移行条件4」を満たした場合(S51〜S54)、試験フローF4において、試験処理「ステップ4」と移行条件「移行条件4」とに対応付けられている試験処理「ステップ5」を実行部12に実行させる(S11〜S14)。
【0140】
又は、試験フローF4に従って、S11〜S14、S51〜S54、S31〜S33、S11〜S14が順次実行される。つまり、順序制御部13は、試験処理「ステップ4」の実行中に(S11〜S14)、移行条件「移行条件5」を満たした場合(S51〜S54)、試験フローF4において、試験処理「ステップ4」と移行条件「移行条件5」とに対応付けられている試験処理「ステップ2」を実行部12に実行させる(S31〜S33、S11〜S14)。
【0141】
上記の従来技術では、試験処理の移行条件を一つしか設定できないため、試験フローF4に従った試験のように、複数の移行条件のうちの何れの移行条件を満たすかに応じて、次に実行させる試験処理を個別に設定することができなかった。しかし、本構成によれば、記憶部50に記憶されている試験フローF4を用いて、迅速に当該試験を行うことができる。
【0142】
(変形実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0143】
(1)図8は、環境試験システム100の全体像の他の一例を示す図である。図8に示すように、環境試験システム100が、環境試験器コントローラー1と同様の構成の外部コントローラー5を更に備え、環境試験器コントローラー1に代えて、外部コントローラー5と通信可能な既存の環境試験器コントローラー1aを備えるようにしてもよい。
【0144】
そして、計測器4が電圧電流センサー61及び表面温度センサー62から出力された検出信号を外部コントローラー5に出力するようにしてもよい。又は、電圧電流センサー61及び表面温度センサー62から出力された検出信号を、計測器4を介さずに外部コントローラー5に出力するようにしてもよい。
【0145】
環境試験器コントローラー1aは、制御部10(図2)と同様のマイクロコンピューターからなる制御部を備え、上述の実行部12として動作するが、編集部11、順序制御部13、及び表示制御部14として動作しなくてもよい。また、環境試験器コントローラー1aが備える当該制御部は、温度湿度センサー71から入力された検出信号を外部コントローラー5に出力するようにしてもよい。そして、外部コントローラー5が備える制御部10(図2)と同構成の制御部が、編集部11、順序制御部13及び表示制御部14として動作し、当該順序制御部13が、環境試験器コントローラー1aの実行部12を制御するようにしてもよい。
【0146】
(2)制御部10が表示制御部14として動作しないようにし、図6に示すS12、S23及びS32と、図7に示すS43及びS53と、を省略してもよい。
【0147】
(3)パーツ画面W1(図3)にパーツP6を表示しないようにしてもよい。これに合わせて、パーツ画面W1(図3)に、パーツP4を表示しないようにしてもよい。そして、図6に示すS31〜S33と、図7に示すS51〜S54と、を省略してもよい。
【0148】
(4)パーツ画面W1(図3)にパーツP5を表示しないようにしてもよい。これに合わせて、図7に示すS41〜S44を省略してもよい。
【0149】
(5)制御部10(図2)が編集部11として動作しないようにし、編集部11で編集可能な試験フローと同様の試験フローをパソコン等の外部装置において編集してもよい。そして、当該外部装置で編集した試験フローを、インターフェイス部20(図2)を介して記憶部50に記憶するようにしてもよい。
【0150】
上記実施形態及び変形実施形態では、本発明に係る環境形成システムの一実施形態として環境試験システム100について説明した。しかし、本発明に係る環境形成システムは、上記実施形態及び変形実施形態における環境試験器コントローラー1に代えて当該環境試験器コントローラー1と同構成の熱処理器コントローラーを備え、試料2に対して複数の試験処理を行うことに代えて複数の熱処理を行う熱処理システムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 環境試験器コントローラー
1a 環境試験器コントローラー
2 試料
3 試験槽
4 計測器
5 外部コントローラー
6 状態センサー
7 環境センサー
8 空気循環ファン
9 制御機器
10 制御部
11 編集部
12 実行部
13 順序制御部
14 表示制御部
20 インターフェイス部
30 表示部
40 操作部
50 記憶部
61 電圧電流センサー
62 表面温度センサー
71 温度湿度センサー
100 環境試験システム
F1〜F5 試験フロー
W0 試験フローの編集画面
W1 パーツ画面
W2 試験フロー表示編集画面
W3 メニュー画面
W4 試験処理の設定画面
W5 移行条件の設定画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9