(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮影光学系の異なる瞳領域を通過した一対の光束を受光して光電変換する撮像素子の出力に基づく前記一対の光束に対応する一対の像信号に基づいて相関演算を行う演算手段と、
一対の像信号である第1の像信号と第2の像信号との差分を増幅させ、前記第1の像信号に対応する第3の像信号と前記第2の像信号に対応する第4の像信号とを出力する差分増幅手段と、
前記第3の像信号と前記第4の像信号とに基づく第2の相関演算の結果に基づいて、偽合焦状態であるか否かを判定する偽合焦判定手段と、を有することを特徴とする焦点検出装置。
前記合焦判定手段は、前記第1の相関演算の結果に基づくデフォーカス量が第1の所定値以下の場合には合焦状態であると判定し、前記第1の所定値より大きい場合には合焦状態ではないと判定することを特徴とする請求項2に記載の焦点検出装置。
前記偽合焦判定手段は、前記第2の相関演算の結果に基づくデフォーカス量が第2の所定値以下の場合には合焦状態であると判定し、前記第2の所定値より大きい場合には偽合焦状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
前記差分増幅手段は、前記第1の像信号と前記第2の像信号との信号レベルの正規化を行ってから差分の増幅を行い、第3の像信号と第4の像信号とを出力する事を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
撮影光学系の異なる瞳領域を通過した一対の光束を受光して光電変換する撮像素子の出力に基づく前記一対の光束に対応する一対の像信号に基づいて相関演算を行う演算ステップと、
一対の像信号である第1の像信号と第2の像信号との差分を増幅させ、前記第1の像信号に対応する第3の像信号と前記第2の像信号に対応する第4の像信号とを出力する差分増幅ステップと、
前記第3の像信号と前記第4の像信号とに基づく第2の相関演算の結果に基づいて、偽合焦状態であるか否かを判定する偽合焦判定ステップと、を有することを特徴とする焦点検出装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
【0011】
<実施例1>
以下、
図1のブロック図を参照して、本発明を適用した焦点検出装置について、カメラの例を用いて説明する。
【0012】
本実施例の撮影光学系は、フォーカスレンズ101を少なくとも有する。撮像素子102は撮影光学系を通過した光束を受光する。撮像素子102は、2次元状に配列された複数の画素部を有する。
【0013】
撮像素子102が有する画素部は、いわゆる撮像面位相差式の焦点検出に用いる信号を出力することができる構造となっている。
【0014】
図2(a)では、撮像素子102(本実施例では一例として2次元CMOSセンサ)の画素配列を、4行×4列の画素範囲で示している。X、Y、Zで示される座標軸に関し、X−Y平面は
図2(a)の紙面内に位置し、Z軸は紙面に対して垂直な軸である。
【0015】
各画素部はカラーフィルタ204を有し、カラーフィルタ204の配列は、いわゆるベイヤー配列が採用されている。画素部群において、対角方向の2画素として、G(緑)の分光感度を有する画素部200Gが配置されている。また、他の2画素として、R(赤)の分光感度を有する画素部200R、および、B(青)の分光感度を有する画素部200Bがそれぞれ配置されている。
【0016】
図2(b)は撮像素子102が有する画素部200の断面図である。画素部200はマイクロレンズ201、カラーフィルタ204、A画素202、B画素203を有する。本実施例では、A画素及びB画素は、光信号を電気信号へと光電変換するフォトダイオードである。このように画素部内のフォトダイオードを2つ設けて一対のA画素とB画素とを有するよう構成することで、A画素とB画素は、撮影光学系の異なる瞳領域を通過した、互いに視差を有する一対の光束を受光する。以上の説明した構成の画素部を複数有することにより、撮像素子102は一対の像信号としてA像信号とB像信号とを得ることができる。A画素の出力とB画素の出力とを加算すると、瞳分離されていないベイヤー信号となる。
【0017】
本実施例の焦点検出装置の各処理は、CPU111によって制御されている。
【0018】
撮像素子102の出力は加算部103と分離部105へ入力される。
【0019】
加算部103によりA画素の出力とB画素の出力が加算されベイヤー配列の撮像素子と同じ信号となったものを信号処理回路104へ入力し、カラーの画像信号を生成する。
【0020】
信号処理回路104で生成された画像信号は、記録部112で記録され又は表示部113で表示される。
【0021】
分離部105では混在して転送される各画素部のA画素からの出力とB画素からの出力とを、A像信号とB像信号とに分離して、タイミングを合わせて出力する。分離部105の出力は差分増幅部107および相関演算部106へ入力される。
【0022】
差分増幅部107は、A像信号(第1の像信号)とB像信号(第2の像信号)の差分を増幅する処理を行う。差分を増幅されたA’像信号(第3の像信号)及びB’像信号(第4の像信号)は、相関演算部108に入力される。
【0023】
相関演算部106及び相関演算部108は公知の相関演算を行うための回路部である。詳しくは後述する。
【0024】
相関演算部106及び相関演算部108の出力はCPU111の一部分である焦点検出部109へ入力される。焦点検出部109では、相関演算部106と相関演算部108の少なくとも一方の結果を用いて、二像の一致度が高い位相差の検出が行われる。また、当該位相差に基づいてデフォーカス量が検出される。
【0025】
CPU111は、焦点検出部109が算出したデフォーカス量に基づいてフォーカス制御部110を通してフォーカスレンズ101を駆動する。
【0026】
図5は差分増幅部107の回路図である。演算器503はA像信号501、B像信号502の差分を検出する。そしてA像信号から差分504を減算し、B像信号には差分504を加算することで、差分を増幅させたA’像信号506(第3の像信号)及びB’像信号507(第4の像信号)を出力している。差分増幅部107での処理の詳細は後述する。
【0027】
図6(a)は相関演算部106の回路図である。相関演算部106では、遅延回路607と遅延回路608によりA像信号とB像信号との出力のタイミングを調節している。複数のSAD(差の絶対値の総和)回路609のそれぞれに、B像に対して遅延の異なるA像信号が入力される。
【0028】
図6(b)はSAD回路609の回路図である。SAD回路609はA像信号とB像信号の差の絶対値の積分を行う回路である。例えば、A像信号601とB像信号602の差分を演算器603にて演算し、この差分を絶対値回路604で絶対値にして、積算回路605で積算する。これにより、ある位相差における差の絶対値の総和が出力される。前述のように各SAD回路609にはB像に対して遅延の異なるA像信号が入力されることから、各SAD回路609からは異なる位相差に応じた差の絶対値の総和が出力される。各SAD回路609から出力された差の絶対値の総和は、焦点検出部109に出力される。
【0029】
相関演算部108の回路図も相関演算部106の回路図と同様であるため、相関演算部106に着目して説明し、相関演算部108については説明を省略する。ただし、相関演算部108では、A像信号とB像信号に代えてA’像信号、B’像信号を用いて相関演算を行う点で相関演算部106とは異なる。
【0030】
[ボケの程度と偽合焦状態との関係]
ここで、
図3(a)〜(c)を用いてボケの程度に応じたA像信号及びB像信号の波形の形状について説明する。
【0031】
図3(a)は黒い背景に2本の白い部分が存在するような被写体(例えば
図3(e)のような被写体)に合焦しているときのA像信号とB像信号の信号波形である。合焦状態にある場合、瞳分離されていてもA像信号とB像信号の重心が一致しており、A像信号もB像信号も、ともにシャープな像となっている。
【0032】
図3(b)は同じ被写体に対して、
図3(a)よりも若干デフォーカスした(ボケた)状態である。A像信号301とB像信号302とでそれぞれの像の重心がずれている。この像のずれを検出してデフォーカス方向とデフォーカス量を算出することができる。
【0033】
図3(c)は、
図3(b)からさらにデフォーカスした状態におけるA像信号及びB像信号を示す図である。デフォーカスが大きい状態では、
図3(c)のように、A像信号とB像信号で左右のボケ状態とシェーディング状態が逆方向に偏りを持つため、像信号に崩れ(像くずれとも称する)が生じる。この像くずれは、画素構造において瞳分離を行う撮像面位相差式の焦点検出を行うことができる撮像素子の場合には、特に顕著である。個々の瞳の形状は真円形状ではないうえにボケており、ケラレの影響により重心が偏ったいびつな感度分布となることから、分離されたもう一方に対して逆側に偏った特性となりやすいためである。以上のような像くずれの影響により、
図3(c)では、合焦状態には対応していないにも関わらず、二像の一致度が高いと判断される。
【0034】
図4(a)は横軸に位相差、縦軸にA像信号とB像信号の差の絶対値の総和を各位相差ごとに示している。当該差の絶対値の総和は、
図3(c)で示したA像信号及びB像信号の、各位相差ごとの相関演算部106の出力を示している。
図3(c)で示した状態に対応する位相差における絶対値の総和402が最も値が小さく、二像の一致度が高いことを示している。つまり、
図3(c)の状態は位相差が0の状態であり、焦点検出部109は現在の焦点状態を合焦状態であると判断するにもかかわらず、実際は合焦位置ではない、いわゆる偽合焦状態となっている。
【0035】
本実施例では、このような偽合焦状態を検出して、偽合焦状態を脱するようにフォーカスレンズ101を動かすようCPU111が制御する。
【0036】
[差分増幅部/相関演算部による処理]
本実施例では、差分増幅部107(
図5)により、
図3(c)のA像信号とB像信号の差分を、A像信号からは差し引き、B像信号へは加算することで、差分が増幅されたA’像信号とB’像信号とを、偽合焦状態を判定するために用いる。以下、詳しく説明する。
【0037】
差分増幅部107でA像信号に施される差分増幅処理を式で表わすと、以下の通りである。nは画素位置を示す。A(n)はA像信号、B(n)はB像信号、A’(n)は差分が増幅されたA’像信号を示す。
A’(n)=A(n)+(A(n)−B(n)) (n=0,1…,n) (式1)
【0038】
また、差分増幅部107でB像信号に施される差分増幅処理を式で表わすと、以下の通りである。nは画素位置を示す。A(n)はA像信号、B(n)はB像信号、B’(n)は差分が増幅されたB’像信号を示す。
B’(n)=B(n)+(B(n)−A(n)) (n=0,1…,n) (式2)
【0039】
このように、A像信号のうちB像信号よりも信号値が大きい画素位置については、その差分がA像信号に加算され、B像信号よりも信号値が小さい画素位置については、その差分がA像信号から減算されることで、
図3(d)のA’像信号305が生成される。また、B像信号のうちA像信号よりも信号値が大きい画素位置については、その差分がB像信号に加算され、A像信号よりも信号値が小さい画素位置については、その差分がB像信号から減算されることで、
図3(d)のB’像信号306が生成される。つまり、A像信号303とB像信号304との差分に対して、A’像信号305とB’像信号306との差分は3倍となる。
【0040】
このようにA像信号とB像信号の差分を増幅する処理を行うことで、像のくずれの影響により偏りのある差分が生じていたA像信号303の左側のピークとB像信号304の右側のピークが強調されたA’像信号305及びB’像信号306が生成される。
【0041】
このA’像信号305及びB‘像信号306を相関演算部108に入力して得られる波形は
図4(b)のようになる。差の絶対値の総和403に対応する位相差において、A像信号及びB像信号の一致度が高く(差の絶対値の総和が小さく)なっている。差の絶対値の総和403に対応する位相差を採用することで、デフォーカス方向とデフォーカス量が得ることができる。そして、当該デフォーカス方向及びデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ101を駆動することにより、
図3(c)の偽合焦状態から脱却することができる。
図3(c)の状態は特定のデフォーカス状態において発生するため、特定のデフォーカス状態を抜け出すことにより偽合焦状態から脱却することができる。
【0042】
なお、
図3(a)のような合焦状態においては、差分増幅部107を用いたことで異なる相関演算結果は検出されない。A像信号とB像信号との差が小さく、また、その差はまばらに生じているためである。
【0043】
したがって、相関演算部106の結果だけでなく、相関演算部108の結果からも合焦状態であると判断できれば、偽合焦状態ではなく合焦状態であると言える。
【0044】
[差分増幅処理による効果]
上述したように、A像信号とB像信号との差分を増幅し、波形の形状を変形することにより、上述のA’像信号305の重心とB’像信号306の重心が離れるため、フォーカスレンズ101の現在の位置とは別の合焦位置を検出できるようになる。例えばDC成分の大きさがA像信号とB像信号とでさほど変わらない場合であっても、A像信号とB像信号の各信号の波形が強調されることで、従来技術と比較してより精度よく偽合焦状態を判定することができる。
【0045】
すなわち、本実施例によれば、A像信号とB像信号との差分が増幅されたA’像信号とB’像信号とに基づく相関演算結果を用いることで、偽合焦状態に陥った場合であっても、偽合焦状態か否かをより精度良く判定することができる。
【0046】
[焦点調節処理]
図9のフローチャートを用いて、焦点検出部109の動作を説明する。
【0047】
ステップ901で焦点調節処理を開始すると、ステップ902で撮像素子102の露光を行い、画像信号を読み出すようCPU111が制御する。そして、相関演算部106がA像信号とB像信号とを用いて相関演算1を行う。そして、相関演算1の結果に基づいて焦点検出部109がデフォーカス方向とデフォーカス量を算出する。
【0048】
続いて、ステップ903で、ステップ902の相関演算結果を用いて焦点状態が合焦状態であるか否かの合焦判定を行う。位相差がない、すなわちA像信号とB像信号が概ね一致していれば、合焦しているとCPU111が判断する。一例として、当該相関演算結果に基づくデフォーカス量が略合焦と判断できる第1の所定値以下であれば、CPU111は焦点状態が合焦状態であると判定する。ここで、その他の指標も用いて合焦状態であるか否かをCPU111が判定しても良い。例えば公知の方法として、A像信号とB像信号との一致度が高くなる位相差でのA像信号とB像信号との差分の絶対値の総和を閾値と比較する方法がある。
【0049】
ステップ903で合焦状態ではないとCPU111が判定した場合はステップ904へ、合焦状態であると判定した場合はステップ905へと分岐する。
【0050】
ステップS903で合焦状態ではないとCPU111が判定した場合に、ステップ904では、ステップ902で算出されたデフォーカス方向とデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ101を駆動するようCPU111が制御する。そして、ステップ902へ戻り、撮像素子102の露光からやりなおす。
【0051】
ステップ905では差分増幅部107でA像信号とB像信号の差分を増幅し、A’像信号とB’像信号を出力するようCPU111が制御する。そして、相関演算部108がA’像信号とB’像信号とを用いて相関演算2を行う。そして、相関演算2の結果に基づいて焦点検出部109がデフォーカス方向とデフォーカス量を算出する。
【0052】
ステップ906で、焦点状態が偽合焦状態であるか否かの偽合焦判定をCPU111が行う。一例として、相関演算2の結果に基づくデフォーカス量が第2の所定値以下であれば、CPU111は焦点状態が偽合焦状態ではないと判定する。なお、第2の所定値は、前述の第1の所定値と同じ値でよい。
【0053】
ステップ903でCPU111により合焦状態であると判定されているにもかかわらずステップ906で偽合焦状態であるとCPU111が判定した場合にはステップ904へ分岐する。偽合焦状態ではないとCPU111が判定した場合には、焦点状態は合焦状態であるので、ステップ907へと進み本フローを終了する。
【0054】
ステップ905で焦点検出部109が相関演算2の結果を用いて算出したデフォーカス方向とデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズを駆動するよう、CPU111が制御する。そして、ステップ906で偽合焦状態ではないとCPU111が判定するまで、本フローを繰り返す。
【0055】
[実施例1による効果]
以上説明したように相関演算部106と相関演算部108の結果を用いて、偽合焦状態であるか否かを判定する。これにより、より精度よく偽合焦状態を判定することができる。また、偽合焦状態であるとCPU111が判定した場合には、差分増幅部107によって処理され、差分が増幅されたA’像信号とB’像信号とを用いた相関演算部108による相関演算結果を用いてフォーカスレンズ101を駆動する。このように、実施例1によれば、偽合焦状態を脱却するようフォーカスレンズ101を駆動することができる。
【0056】
<実施例2>
以下、
図7、
図8及び
図10を参照して、本発明を適用した実施例2の焦点検出装置について説明する。なお、実施例1と共通する構成については説明を省略し、相違点に着目して説明する。
【0057】
実施例2の
図7のブロック図は、
図1のブロック図に対して相関演算部106と差分増幅部107がなく、代わりに差分増幅部107とは構成が異なる差分増幅部801を有する。
【0058】
分離部105の出力は差分増幅部801へ入力され、その出力が相関演算部108に入力されている。
【0059】
図8は差分増幅部801の回路図である。CPU111からの制御信号701によりスイッチ702を切り替え、A像信号とB像信号との差分増幅処理のオン、オフを切り替えられるようになっている。
【0060】
[焦点調節処理]
図10は実施例2の焦点調節処理のフローチャートである。
【0061】
ステップ901で焦点調節処理を開始すると、ステップ902で撮像素子102の露光を行い、画像信号を読み出すようCPU111が制御する。そして、相関演算部108がA像信号とB像信号とを用いて相関演算1を行う。そして、相関演算1の結果に基づいて焦点検出部109がデフォーカス方向とデフォーカス量を算出する。このとき、CPU111は差分増幅部801のスイッチ702をオフにするよう制御して、差分増幅処理を行わずに、相関演算部108で相関演算1を行う。
【0062】
ステップ903で、ステップ902の相関演算1の結果に基づいて焦点状態が合焦状態であるか否かを判断する。一例として、ステップ902で算出したデフォーカス量が略合焦と判断できる第1の所定値以下であれば、CPU111は焦点状態が合焦状態であると判定する。合焦状態であるとCPU111が判定した場合には、ステップ1001へ分岐する。ステップS903で合焦状態ではないとCPU111が判定した場合には、ステップ904では、ステップ902で算出されたデフォーカス方向とデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ101を駆動するようCPU111が制御する。そして、ステップ902へ戻り、撮像素子102の露光からやりなおす。
【0063】
ステップ1001では再び撮像素子102の露光、画像信号の読み出しを行うようCPU111が制御する。そして、差分増幅部801のスイッチ702をオン状態にするようCPU111が制御し、差分増幅部801がA像信号とB像信号との差分を増幅して、A’像信号とB’像信号とを出力する。相関演算部108はA’像信号とB’像信号とを用いて相関演算2を行う。
【0064】
ステップ906で、焦点状態が偽合焦状態であるか否かをCPU111が判定する。一例として、相関演算2の結果に基づくデフォーカス量が第2の所定値以下であれば、CPU111は焦点状態が偽合焦状態ではないと判定する。ステップ906で偽合焦状態ではないとCPU111が判定した場合には、ステップ907で本フローを終了する。ステップ1001の結果に基づいて偽合焦状態であるとCPU111が判定した場合はステップ904へ分岐し、ステップ1001で算出したデフォーカス方向とデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ101を駆動するようCPU111が制御する。そして、ステップ1001で偽合焦状態ではないとCPU111が判定するまで、本フローを繰り返す。
【0065】
[実施例2による効果]
このように実施例2では差分増幅部801のスイッチ702を切り替えながら2度露光する構成をとっている。これにより、実施例1と同様の効果を有しているとともに、相関演算部が1つで足りることから、実施例1と比較してより低コストに構成することができるという効果を有する。
【0066】
<実施例3>
前述の実施例では、差分増幅処理を差分増幅部107又は差分増幅部801が行う例を説明した。実施例3では、差分増幅処理をCPU111がメモリ114に記憶しているプログラムを用いて行う例を説明する。実施例1との共通点については説明を省略し、相違点に着目して説明する。
【0067】
図11のブロック図は、
図1のブロック図に対して相関演算部106、差分増幅部107、相関演算部108を有していない点で異なる。実施例3では、実施例1において相関演算部106、差分増幅部107及び相関演算部108のそれぞれが行っていた各処理を、CPU111がCPU111内のメモリ114に記憶したプログラムを実行することで行う。
【0068】
[焦点調節処理]
図12は実施例3の焦点調節処理を説明する図である。
図12では
図9のステップ905に相当する処理をステップ1205とステップ1206とに分けて示している。
【0069】
CPU111によるステップ1205の差分増幅処理については、
図13のサブフローを用いてより詳しく説明する。
【0070】
ステップ1206では、ステップ1205で取得したA’像信号とB’像信号を用いて、CPU111内の焦点検出部109が、CPU111内のメモリ114に記憶したプログラムを実行することで、相関演算2を行う。
【0071】
なお、ステップ1202の相関演算1も同様に、分離部105で分離されたA像信号とB像信号とを用いて、CPU111内の焦点検出部109が、CPU111内のメモリ114に記憶したプログラムを実行することで行う。
【0072】
[差分増幅処理]
図13は差分増幅処理のサブフローである。ステップ1301で差分増幅処理を開始すると、ステップ1302で画素位置を示すポインタを先頭に設定するようCPU111が制御する。
【0073】
次に、ステップ1303で現在ポインタが示している画素位置のA像信号とB像信号とをメモリ114から読み出すようCPU111が制御する。
【0074】
次に、ステップ1304で現在ポインタが示している画素位置のA像信号とB像信号との差をA像信号に加算し、メモリ114へ記憶するようCPU111が制御する。
【0075】
次に、ステップ1305で現在ポインタが示している画素位置のB像信号とA像信号との差をB像信号に加算し、メモリ114へ記憶するようCPU111が制御する。
【0076】
次に、ステップ1306でポインタが最後の画素位置に設定されているか否かをCPU111が判定する。ポインタが最後の画素位置に設定されているとCPU111が判定した場合は、ステップ1308で本フローの処理を終了する。ポインタが最後の画素位置に設定されていないとCPU111が判定した場合は、ステップ1307で画素位置を示すポインタを次の画素位置へと進め、ステップ1303へと戻るようCPU111が制御する。そして、ステップ1306でポインタが最後の画素位置に設定されているとCPU111が判定するまでステップ1303〜1307の処理を繰り返すようCPU111が制御する。
【0077】
[差分増幅処理(C言語)]
上述の式1及び式2で示した差分増幅処理をC言語で示すと、例えば下記リスト1の通りになる。iは画素位置を示す。
<リスト1>
01:for(i=0;i<Length;i++){
02:a_prime[i]=a[i]+(a[i]−b[i]);
03:b_prime[i]=b[i]+(b[i]−a[i]);
04:}
【0078】
01行目は変数iを初期化し、A像信号とB像信号の長さだけ02行から04行までを繰り返すループの定義である。
【0079】
02行目はA像信号の配列のi番目の要素である画素値に対してB像信号のi番目の画素との差を加算している。
【0080】
03行目ではB像信号の配列のi番目の要素である画素値に対してA像信号のi番目の画素との差を加算している。
【0081】
01行から04行までのループを実行する事でA像信号とB像信号の全画素に対して差分増幅処理が行われる。
【0082】
[実施例3による効果]
このように実施例3では実施例1と同様の効果を有するとともに、相関演算部106、差分増幅部107及び相関演算部108を有さず、CPU111がプログラムを実行することから、実施例1及び実施例2と比較してより低コストに構成することができる。
【0083】
[その他の実施例]
上述の実施例では、A像信号とB像信号との差分をA像信号及びB像信号に1倍反映しているため、差分が元の3倍になっている。しかしながら、差分の付加は本発明の目的を達成することができる範囲内であれば1倍でなくても良い。
【0084】
また、A像信号及びB像信号は差分増幅部107で差分を増幅する前に、振幅(信号レベル)をシェーディング補正やAGCなどでAB像の振幅が揃うような正規化処理をすることが望ましい。
【0085】
また、第2の所定値を第1の所定値より大きい値としても良い。第2の所定値が偽合焦状態を判定することができる閾値であれば、上述の実施例と同様の効果を有する。
【0086】
また、これまでカメラがフォーカスレンズ101を有する構成について説明したが、レンズ交換式のカメラであっても良い。この場合であっても上述の実施例と同様の効果を有する。
【0087】
また、実施例1ではA像信号及びB像信号をそのまま相関演算しているが、バンドパスフィルターを用いて特定の周波数帯域に着目した場合であっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、実施例1ではA像信号/B像信号及びA’像信号/B’像信号をそれぞれ別々の回路である相関演算部106と相関演算部108の回路図で処理する例を説明した。ここで、例えば相関演算部106のみを有するようにし、相関演算部106に対し一対の像信号としてA像信号/B像信号又はA’像信号/B’像信号が入力され、相関演算を行うように構成した場合も、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、本発明は上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み取り実行する処理でも実現できる。更に、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。