特許第6800734号(P6800734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800734
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】超音波計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20201207BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20201207BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G01N29/24
   H04R1/06 330
   H04R17/00 330H
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-247424(P2016-247424)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-100914(P2018-100914A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004374
【氏名又は名称】日清紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 映雄
(72)【発明者】
【氏名】関森 賢志
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】松林 克征
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−066921(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092908(WO,A1)
【文献】 特開2002−224104(JP,A)
【文献】 特開2001−333494(JP,A)
【文献】 特開2010−158522(JP,A)
【文献】 特開2009−194155(JP,A)
【文献】 特開昭55−047846(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0066885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 − G01N 29/52
H04R 1/00 − H04R 1/02
H04R 1/06
H04R 1/20 − H04R 1/34
H04R 1/40
H04R 1/44
H04R 3/00
H04R 7/00
H04R 9/00
H04R 13/00
H04R 15/00
H04R 17/00
H04R 17/10
H04R 19/00
H04R 23/00
H04R 29/00
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、前記超音波振動子を駆動する回路基板とを備えた超音波計測装置であって、
前記超音波振動子および前記回路基板を収容する筺体を備え、
前記回路基板は、その端部の両面に前記超音波振動子が電気的に接続される回路配線をそれぞれ有し、
前記超音波振動子は、
前記超音波振動子から延出した表面接続ピンであって、前記回路基板の表面の前記回路配線に接続する表面接続ピンと、
前記超音波振動子から延出した裏面接続ピンであって、前記回路基板の裏面の前記回路配線に接続する裏面接続ピンとを有し、
前記筺体は、前記超音波振動子を保持する保持部を有し、
前記回路基板が前記筺体内で固定され、前記超音波振動子が前記保持部に保持されている状態で、前記両接続ピンは、記回路基板を挟み込むことを特徴とする超音波計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波計測装置において、
前記筺体は、
前記回路基板が取り付けられると共に、前記保持部を有するインナーシャーシと、
前記インナーシャーシが固定されるケースと、
を備えることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波計測装置であって、
前記表面接続ピンと、前記裏面接続ピンとのピン本数が異なることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波計測装置であって、
前記超音波振動子は、柱状であることを特徴とする超音波計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波計測装置に関し、特に、超音波振動子を有する超音波計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を発して、その反射波を受信する超音波振動子を用いた超音波計測装置が様々な用途で利用されている。例えば、医療分野における気体の濃度測定及び流量測定や、工場施設におけるガス漏れの検出、自動車を駐車場に駐車する際の障害物の検出等に超音波計測装置が利用されている。
【0003】
この超音波振動子は、超音波を発生させる駆動電圧を超音波振動子に印加するとともに、超音波振動子からの誘起電圧による電圧を処理する回路基板に接続されている。超音波振動子と回路基板との接続に関して、例えば、特許文献1には、超音波振動子から導出されたリード線を回路基板に接続する構成が記載されている。また、特許文献2には、超音波振動子の接続ピンを回路基板に直接接続する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−204552号公報
【特許文献2】特開2006−279567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、超音波振動子と回路基板との間にリード線が必要であり、小型化を図ることが困難である。また、特許文献2に記載の構成では、超音波振動子の接続ピンを回路基板に直接接続しているので、リード線が不要であり、小型化を図ることが可能である。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の構成は、超音波振動子が、回路基板の基板平面に対して垂直な方向に取り付けられている構成であり、基板平面方向における小型化、すなわち、基板の厚さ方向の薄型化は困難である。このため、超音波測定装置の小型化も困難である。
【0007】
また、特許文献1に記載のように、回路基板の側方に超音波振動子を配置することにより、回路基板の厚さ方向の薄型化を図ることが可能であるが、上述したように、超音波振動子と回路基板との間にリード線が必要であり、部品点数が増加して小型化の妨げになる。さらに、超音波振動子と回路基板とを固定する固定構造も必要になり、超音波測定装置の小型化が困難である。
【0008】
そこで、本発明では、超音波振動子と回路基板との電気的接続及び固定構造を簡素化して、超音波計測装置の小型化、特に、回路基板の厚さ方向における小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波計測装置は、超音波振動子と、前記超音波振動子を駆動する回路基板とを備えた超音波計測装置であって、前記超音波振動子および前記回路基板を収容する筺体を備え、前記回路基板は、その端部の両面に前記超音波振動子が電気的に接続される回路配線をそれぞれ有し、前記超音波振動子は、前記超音波振動子から延出した表面接続ピンであって、前記回路基板の表面の前記回路配線に接続する表面接続ピンと、前記超音波振動子から延出した裏面接続ピンであって、前記回路基板の裏面の前記回路配線に接続する裏面接続ピンとを有し、前記筺体は、前記超音波振動子を保持する保持部を有し、前記回路基板が前記筺体内で固定され、前記超音波振動子が前記保持部に保持されている状態で、前記両接続ピンは、記回路基板を挟み込むことを特徴とする。望ましくは、前記筺体は、前記回路基板が取り付けられると共に、前記保持部を有するインナーシャーシと、前記インナーシャーシが固定されるケースと、を備える。また、望ましくは、前記表面接続ピンと前記裏面接続ピンとのピン本数が異なる。望ましくは、超音波振動子は、柱状である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超音波振動子と回路基板との電気的接続及び固定構造を簡素化することにより、超音波計測装置の小型化、特に、回路基板の厚さ方向における小型化を図ることができる。また、超音波振動子と回路基板との電気的接続の信頼性及び固定強度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】超音波計測装置の分解斜視図である。
図2】超音波振動子、アナログPCB及びインナーシャーシの分解斜視図である。
図3】超音波振動子の接続ピン配列を示す超音波振動子の端面図である。
図4】超音波振動子と回路基板との接続部分の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態における超音波計測装置1は、例えば、車両に搭載されて車両におけるガス漏れ等を検出するために用いられる。図1に示すように、超音波計測装置1は、超音波計測装置1の筺体を構成する箱形状のフロントケース10と、フロントケース10に収容されるPCBユニット20と、フロントケース10の開口部を閉塞するリアカバー30とを備えている。
【0013】
フロントケース10の側面には、フロントケース10の内外を通気する一対の側方通気孔11,11が設けられている。側方通気孔11,11には、水等の浸入を抑制する蓋12,12がそれぞれ取り付けられている。また、フロントケース10の内側面には、超音波を反射する反射面13が形成されている。
【0014】
PCBユニット20は、アナログPCB(PrintedCircuit Board)21と、アナログPCB21に接続される一対の超音波振動子22,23と、デジタルPCB24と、アナログPCB21、超音波振動子22,23、デジタルPCB24を保持するインナーシャーシ25とを備えている。
【0015】
アナログPCB21は、超音波振動子22,23を駆動するとともに、超音波振動子22,23からの信号を処理する回路基板である。
【0016】
超音波振動子22,23は円柱形状であり、内部に圧電素子やバッキング部材が組み込まれている。また、図2に示すように、超音波振動子22,23の一端面には、超音波振動子22,23の圧電素子への電圧供給や信号出力を行うための接続ピン22a,23aが設けられている。
【0017】
超音波振動子22,23は、超音波を発する先端が互いに近接するように傾いてそれぞれ配置されている。一方の超音波振動子22の振動面から超音波を発して、フロントケース10の反射面13で反射した超音波を他方の超音波振動子23が受信する。この超音波の伝搬速度(伝搬時間)を計測して、この伝搬速度の変化に基づいて、フロントケース10の内部のガス等の気体の濃度を判断する。
【0018】
デジタルPCB24は、アナログPCB21からの信号を処理して外部に出力し、また、信号を生成してアナログPCB21に入力する。
【0019】
インナーシャーシ25は、フロントケース10に位置決めされて固定されている。インナーシャーシ25は、フロントケース10に固定されることにより超音波計測装置1の筺体の一部を構成している。インナーシャーシ25は、一方側からアナログPCB21が取り付けられるとともに、他方側からデジタルPCB24が取り付けられる枠25aと、超音波振動子22,23を保持する保持部25bとを備えている。
【0020】
リアカバー30は、フロントケース10の開口部を覆って、フロントケース10を密閉する。リアカバー30には、フロントケース10の内部に気体を導入する通気孔31が設けられている。通気孔31には、格子状の複数の開口を有するカバー32が取り付けられている。
【0021】
このように、超音波計測装置1では、外気がリアカバー30の通気孔31からフロントケース10の内部に流入する。流入した気体に対して、超音波振動子22から反射面13に向けて超音波が発せられて、反射面13で反射した超音波が超音波振動子23で受信される。この間の超音波の伝搬時間に基づいて、流入した気体のガス濃度を判断することにより、ガス漏れの有無を判定する。
【0022】
次に、超音波振動子22,23の固定構造について図1〜4を参照して説明する。図2は、図1におけるPCBユニット20を上下反転した状態を示している。なお、デジタルPCB24の図示を省略している。
【0023】
図2に示すように、インナーシャーシ25の枠25aは、アナログPCB21の形状に対応した形状である。インナーシャーシ25の枠25aには、アナログPCB21の位置決め孔21a,21aに係合する位置決めピン25c、25cが設けられている。また、アナログPCB21が取り付けられたときに、アナログPCB21を係止する爪25d、25dも設けられている。このため、アナログPCB21は、インナーシャーシ25の枠25aに取り付けられたとき、位置決めピン25c、25cに位置決めされて、爪25d、25dによって保持される。
【0024】
図2〜4に示すように、アナログPCB21の一端部の表面には、3つの回路配線21b,21b,21bが設けられている。回路配線21b,21b,21bは互いに平行に配列されており、アナログPCB21の縁の近傍まで形成されている。また、図3、4に示すように、アナログPCB21の回路配線21b,21b,21bに対応する裏面には、2つの回路配線21c,21cが設けられている。回路配線21c,21cも互いに平行に配列されており、アナログPCB21の縁の近傍まで形成されている。なお、図3、4において、回路配線21b,21b,21b,21c,21cを明確にするために、アナログPCB21から突出して示しているが、回路配線21b,21b,21b,21c,21cはアナログPCB21と略同一面である。
【0025】
図3に示すように、超音波振動子22の端面には、5本の接続ピン22aが互いに平行に延出している。これら5本の接続ピン22aは3本と2本とに2列配列されている。1列目には3本の接続ピン22a1,22a2,22a3が配列されており、2列目には2本の接続ピン22a4,22a5が配列されている。1列目の3本の接続ピン22a1,22a2,22a3は、アナログPCB21の回路配線21b,21b,21bに電気的にそれぞれ接続される。また、2列目の2本の接続ピン22a4,22a5は、アナログPCB21の回路配線21c,21cに電気的にそれぞれ接続される。
【0026】
図4に示すように、1列目の接続ピン22a1,22a2,22a3と2列目の接続ピン22a4,22a5との間隔L1は、アナログPCB21の回路配線21b,21cを含めた厚さL2と略同じに設定されている。すなわち、1列目の接続ピン22a1,22a2,22a3と2列目の接続ピン22a4,22a5とでアナログPCB21を表裏面の両面から挟み込むように設定されている。この状態において、1列目の接続ピン22a1,22a2,22a3を回路配線21b,21b,21bにそれぞれはんだ付けする。また、2列目の接続ピン22a4,22a5を回路配線21c,21cにそれぞれはんだ付けする。これらはんだ付けによって、超音波振動子22がアナログPCB21に電気的に接続されるとともに固定される。超音波振動子23についても同様にアナログPCB21に電気的に接続されて固定される。
【0027】
このように、超音波振動子22,23の接続ピン22a,23aを、アナログPCB21の回路配線21b,21cに直接接続しているので、超音波振動子22,23とアナログPCB21とを接続するリード線やソケット等が不要になり、PCBユニット20、すなわち、超音波計測装置1を小型化することができる。
【0028】
特に、超音波振動子22,23をアナログPCB21の側方に配置して、アナログPCB21に固定しているので、アナログPCB21の厚さ方向における小型化を図ることができる。このため、超音波計測装置1を扁平形状とすることができ、車両における隙間等に超音波計測装置1を設置することが可能になる。
【0029】
また、超音波計測装置1が小型、かつ、扁平形状となるので、作業者のポケットに入れて携帯することも可能になり、医療現場や工場等において、作業者が常時身に付けて作業を行うことも可能になる。
【0030】
また、超音波振動子22,23の接続ピン22a,23aで、アナログPCB21を表裏面から挟み込んでいるので、超音波振動子22,23とアナログPCB21とを強固に固定することができる。このため、超音波振動子22,23とアナログPCB21との固定部にアナログPCB21が撓む方向の応力が作用しても、接続ピン22a,23aが回路配線21b,21cから剥離することを抑制でき、電気的接続の信頼性及び固定強度を向上できる。
【0031】
さらに、超音波振動子22,23の接続ピン22a,23aの本数を、アナログPCB21の表面と裏面とで異なる本数、すなわち、アナログPCB21の表面では3本、裏面では2本としているので、超音波振動子22,23をアナログPCB21に取り付けるときの誤取り付けを抑制することができる。
【0032】
本実施形態における超音波計測装置1は、車両に搭載されるものとして説明したが、そのような用途以外にも、医療現場、工場施設等において携帯するポータブル計測装置として使用してもよい。また、ガス漏れの測定以外に、気体の温度、湿度、気圧、流速、ガスの組成の測定に用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 超音波計測装置、10 フロントケース、10a 湾曲面、10b 突条、11 側方通気孔、12 蓋、13 反射面、20 PCBユニット、21 アナログPCB、21a 位置決め孔、21b,21c 回路配線、22,23 超音波振動子、22a,23a 接続ピン、22b,23b 溝、24 デジタルPCB、25 インナーシャーシ、25a 枠、25b 保持部、25c 位置決めピン、25d 爪、25e 湾曲面、25f 突条、30 リアカバー、31 通気孔、32 カバー。
図1
図2
図3
図4