(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の農業用フィルム。
前記界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の農業用フィルムについて詳細に説明する。
【0016】
本発明の農業用フィルムは、少なくともA層を有する農業用フィルムであって、前記A層は、JIS B0601:2013に準拠して測定した表面の算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであり、且つ、界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0017】
上記農業用フィルムは、A層の表面が、JIS B0601:2013に準拠して測定した表面の算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであるので、ヘイズ値が高く、夏場に直達光線のハウス等の内部への透過が抑制されるので、葉焼けが抑制される。また、上記農業用フィルムは、A層の表面の算術平均粗さRaが上述の範囲であることと、A層が界面活性剤を含有することとがあいまって、当該算術平均粗さRaを示す面がハウス等の内側になるように展張することで、冬場の結露時に農業用フィルムの表面の凹凸に水が充填されて平滑となり、ヘイズ値が低くなる。このため、上記農業用フィルムは冬場の結露時に光線透過量が多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過する。以上より、本発明の農業用フィルムは、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制され、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多くなり、これらの特性を両立することができる。
【0018】
以下、本発明の農業用フィルムについて説明する。
【0019】
本発明の農業用フィルムの層構成は、少なくともA層を有していれば特に限定されない。本発明の農業用フィルムがA層単層で構成される場合は、少なくとも片面が上記算術平均粗さRaを示していればよく、両面が上記算術平均粗さRaを示していてもよい。また、好適な層構成としては、例えば、少なくともA層、B層及びC層をこの順に有する層構成が挙げられる。以下、この好適な層構成を例に挙げて各層について説明する。なお、本発明の農業用フィルムにおいて、A層の少なくとも片面が上記算術平均粗さRaを示していればよく、当該算術平均粗さRaを示す面がA層の表面であり、ハウス等への展張時にハウス等の内面となる面である。また、本発明の農業用フィルムが、少なくともA層、B層及びC層をこの順に有する場合には、A層の面のうち、B層が積層される面とは反対側の面がA層の表面であり、上記算術平均粗さRaを示す面である。
【0020】
(A層)
A層は、JIS B0601:2013に準拠して測定した表面の算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであり、且つ、界面活性剤を含有する層である。A層は、本発明の農業用フィルムを、例えばハウス栽培のハウスに用いる場合には、ハウスの内側に位置する層である。
【0021】
A層は、JIS B0601:2013に準拠して測定した表面の算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmである。Raが0.1μm未満であると、夏場の直達光線を低減することができず、3.0μmを超えると、冬場の結露時にヘイズ値が十分に低下せず光線透過量が少なくなり、太陽光が弱い冬場に太陽光線を十分に透過できない。上記Raは0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがより好ましい。
【0022】
A層は、界面活性剤を含有する。界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系計面活性剤、アニオン系界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、結露水をA層の表面に分散させてヘイズ値をより一層低下させることができる点で、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0023】
上記ノニオン系界面活性剤としては、モノグリセライド、アセチル化モノグリセライド、有機酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸トリグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリン脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを好適に用いることができる。
【0024】
上記ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、グリセリンオレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンステアレート、ソルビタンパルミテートエチレンオキサイド3モル付加物をより好適に用いることができる。
【0025】
上記界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
A層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよい。ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、エチレンまたはα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンまたはα−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレンまたはα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができ、例えば、高密度、低密度又は直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂として上記樹脂を用いることで、農業用フィルムがより一層優れた透明性、耐候性を示すことができ、農業用フィルムを低価格とすることができる。
【0027】
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
【0028】
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、また、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
【0029】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cm
3が好ましく、0.890〜0.920g/cm
3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
【0030】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は0.5〜3.5が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。該分子量分布を好ましい範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行を減らして成形性を高めることができるとともに、農業用フィルムの機械的強度を確保し易くなる。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを用いる場合、当該直鎖状低密度ポリエチレンのJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましく、1.0〜2.5g/10分が最も好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、また、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
【0032】
上記直鎖状低密度ポリエチレンのJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cm
3が好ましく、0.890〜0.925g/cm
3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、当該酢酸ビニル共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましく、0.5〜15g/10分が最も好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、また、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
【0034】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.910〜0.940g/cm
3が好ましく、0.920〜0.935g/cm
3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
【0035】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が1〜50質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、2〜20質量%の範囲が更に好ましく、3〜15質量%の範囲が特に好ましい。該酢酸ビニル含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの硬さを好適化することができるため、ハウスへの展張時にシワや弛みの発生を効果的に抑制することができる。また、夏季の高温下でも農業用フィルムの弛みを抑制することができるため、弛みによるバタツキやハウス構造体との擦れ等による破れを抑制し易くなる。
【0036】
上記ポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
A層は、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなる。
【0038】
A層が、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有する場合、上記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaをより一層調整し易くなる。
【0039】
上記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである場合、当該直鎖状低密度ポリエチレンは、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが1.7g/10分以上の直鎖状低密度ポリエチレン(i)と、メルトフローレートが1.7g/10分未満の直鎖状低密度ポリエチレン(ii)とを含むことが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaをより一層調整し易くなる。
【0040】
上記直鎖状低密度ポリエチレン(i)のメルトフローレートの上限は特に限定されず、50g/10分が好ましく、40g/10分がより好ましく、30g/10分が更に好ましく、20g/10分が特に好ましい。また、上記直鎖状低密度ポリエチレン(ii)のメルトフローレートの下限は特に限定されず、0.01g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1.0g/10分が更に好ましい。
【0041】
上記ポリオレフィン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体である場合、当該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが5.0g/10分以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(i)と、メルトフローレートが5.0g/10分未満のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ii)とを含むことが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaをより一層調整し易くなる。
【0042】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(i)のメルトフローレートの上限は特に限定されず、50g/10分が好ましく、40g/10分がより好ましく、30g/10分が更に好ましく、20g/10分が特に好ましい。また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(ii)のメルトフローレートの下限は特に限定されず、0.01g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1.0g/10分が更に好ましい。
【0043】
A層中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、90〜100質量%が好ましく、95〜99質量%がより好ましい。A層中のポリオレフィン系樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の農業用フィルムの冬場の結露時の光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。
【0044】
A層は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0045】
上記紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
紫外線吸収剤の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムが紫外線抑制効果をより一層発揮できるとともに紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
【0047】
A層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。なお、前記有機基はそれ自体で反応性の少ない、例えばメチル基などを意味し、前記有機の官能基はそれ自体で反応性を有する官能基を意味する。
【0048】
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、いわゆるNR型ヒンダードアミン系光安定剤や、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。なお、NR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に炭素原子が直接結合しているものをいい、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に、酸素原子を介して炭素原子が結合しているものをいう。
【0049】
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(1)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNR型ヒンダードアミンが挙げられる。
【0051】
ここで、式(1)中、R
1は、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基、又は有機の官能基である。
【0052】
上記ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基又は有機の官能基としては、例えば、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物が挙げられる。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物としては、例えばアルキル基が挙げられ、オリゴマーやポリマーも含む。
【0053】
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(2)〜(10)で表されるものが挙げられる。
【0057】
ここで、式(10)中、nは重合度(繰り返し単位の数)を示す自然数である。
【0058】
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(10)で表されるものを用いることが好ましい。
【0059】
上記式(10)で表されるNR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。
【0060】
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
【0061】
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(11)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNOR型ヒンダードアミンが挙げられる。
【0063】
ここで、式(11)中、R
2は有機基、又は有機の官能基である。
【0064】
上記有機基、又は有機の官能基としては、例えば、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物を表す。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物は、オリゴマーやポリマーも含む。具体的には、R
2としては、例えば、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。
【0065】
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(12)で表されるものが挙げられる。
【0067】
上記式(12)で表されるNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」等が挙げられる。また、他のNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」が挙げられる。
【0068】
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
【0069】
A層は、更に、ピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤(いわゆるNH型ヒンダードアミン系光安定剤)を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムがより耐候性に優れる。
【0070】
NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(13)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNH型ヒンダードアミンが挙げられる。
【0072】
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(14)〜(17)で表されるものが挙げられる。
【0074】
式(14)中、R
3は、tert−オクチル基であり、nは重合度を示す自然数である。
【0076】
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(14)で表されるものを用いることが好ましい。
【0077】
上記式(14)で表されるNH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。
【0078】
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NH型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
【0079】
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。このようなヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、本発明の農業用フィルムが初期紫外線劣化抑制効果に優れ、且つ、紫外線劣化抑制効果の長期持続性に優れる。NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むヒンダードアミン系光安定剤(NR−NH混合型ヒンダードアミン系光安定剤)としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」とBASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」との混合物であるBASF社製 商品名「TINUVIN 783」などが挙げられる。
【0080】
A層が上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.3〜1質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムがより一層良好な耐候性を示すことができる。
【0081】
A層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0082】
A層は、無機保温剤等の無機粒子を含有していてもよいが、無機粒子を含有しないことが好ましい。A層が無機粒子を含有しないことにより、本発明の農業用フィルムの冬場の結露時の光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。
【0083】
(B層)
本発明の農業用フィルムは、A層の表面とは反対側の面に、B層を有していてもよい。B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層に無機保温剤を含むことが好ましい。
【0084】
B層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。B層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、農業用フィルムがより一層柔軟になり、展張作業がより一層し易くなる点で、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0085】
B層は、上記ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなる。B層の層数は特に限定されないが、1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。
【0086】
本発明の農業用フィルムのB層を構成する少なくとも1層には、無機保温剤を含有していてもよい。
【0087】
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。ここで、押出変動とは、例えば、防曇剤(例えば高級脂肪酸エステル類)等を練り込んだフィルムを押出成膜する場合に低融点の防曇剤が多く練り込まれていると押出機内でスリップしてしまい樹脂組成物が押し出しにくくなるような現象をいう。
【0088】
B層中の無機保温剤の含有量は、B層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムに良好な保温性を付与し易いことに加えて、押出成形による製膜時の押出変動改善効果が十分に得られ易い。
【0089】
B層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より一層耐候性に優れる。
【0090】
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
【0091】
B層は、更にピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より一層耐候性に優れる。
【0092】
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
【0093】
B層が複数の層からなる場合、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤と同一の層に含まれていてもよいし、異なる層に含まれていてもよい。同一層内でヒンダードアミン系光安定剤の濃度が高くなることに起因する押出効果により生じる、ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制することができる点から、上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤とは異なる層に含まれることが好ましい。
【0094】
B層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と基本的に同じである。B層に含まれるヒンダードアミン光安定剤の含有量については、B層が複数の層からなる場合であっても当該B層(B層全体)に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対する質量部を意味する。
【0095】
B層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0096】
(C層)
本発明の農業用フィルムは、B層の面のうち、A層が積層される面とは反対側の面に、C層を有していてもよい。C層は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
【0097】
C層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。
【0098】
C層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より耐候性に優れる。
【0099】
C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
【0100】
C層は、更にピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より耐候性に優れる。C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
【0101】
C層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と同じである。
【0102】
C層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0103】
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。無機保温剤を含有することで、得られる農業用フィルムの保温性が向上するとともに、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。樹脂組成物に無機保温剤が含まれていると押出変動が抑制される効果が得られる。
【0104】
本発明の農業用フィルムが無機保温剤を含有する場合、当該無機保温剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムに良好な保温性を付与し易いことに加えて、押出成形による製膜時の押出変動改善効果が十分に得られ易い。
【0105】
本発明の農業用フィルムが上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの良好な耐候性を確保できることに加えて、光安定剤の含有量が適切な範囲であることで農業用フィルムに含まれる紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
【0106】
本発明の農業用フィルムは、乾燥時のヘイズ値(Hzd)が20〜50%であることが好ましく、25〜45%であることがより好ましい。乾燥時のヘイズ値が上記範囲であることにより、夏場の乾燥時に光線透過量をより一層抑制することができ、栽培物の葉焼けをより一層抑制することができる。
【0107】
なお、本明細書において、上記乾燥時のヘイズ値は、本発明の農業用フィルムのA層の上記算術平均粗さRaを示す面から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従ってヘイズメーターを使用して測定した値である。
【0108】
本発明の農業用フィルムは、結露時のヘイズ値(Hzd)が20%未満であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。乾燥時のヘイズ値が上記範囲であることにより、冬場の結露時に光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。また、上記結露時のヘイズ値の下限は特に限定されず、1%が好ましく、5%がより好ましく、10%が更に好ましい。
【0109】
なお、本明細書において、上記結露時のヘイズ値の測定方法は、以下の通りである。すなわち、結露時を想定して、本発明の農業用フィルムのA層の上記算術平均粗さRaを示す面から流動パラフィンを滴下し、ガラス板を被せて結露時のヘイズ値の測定用試料を調製する。測定用試料のガラス板の方向から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って測定用試料のヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定する。
【0110】
本発明の農業用フィルムは、乾燥時のヘイズ値(Hzd)と結露時のヘイズ値(Hzw)との差(Hzd−Hzw)が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差が上記範囲であることにより、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制されており、栽培物の葉焼けを抑制することができ、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するので、農業用作物の栽培に好適に用いることができるという本発明の効果をより一層効率よく発揮することができる。乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差の上限は特に限定されず、50%が好ましく、45%がより好ましく、40%が更に好ましく、30%が特に好ましい。
【0111】
本発明の農業用フィルムがA層、B層及びC層をこの順に有する場合の層構成の一例を示す断面図を
図1に示す。本発明の農業用フィルムをハウス栽培やトンネル栽培に用いる際は、A層がハウス等の内側となるようにして用いることにより、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制されており、栽培物の葉焼けを抑制することができ、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するので、農業用作物の栽培に好適に用いることができるという本発明の効果をより一層効率よく発揮することができる。
【0112】
本発明の農業用フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜300μmが好ましく、40〜200μmがより好ましく、50〜150μmが更に好ましい。該厚みを好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムが適度なコシを有し、良好な取扱い性と施工性が得られ易くなる。
【0113】
本発明の農業用フィルムを構成する各層の厚み比は、A層:B層:C層=1:1:1〜1:6:1であることが好ましく、1:2:1〜1:4:1がより好ましい。
【0114】
本発明は、また、上記農業用フィルムを有する農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルでもある。上記農業用フィルムを、A層の上記算術平均粗さRaを示す表面を内側にして農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルに展張することで、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制されており、栽培物の葉焼けを抑制することができ、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するので、本発明の農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルは、農業用作物の栽培に好適である。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0116】
実施例1〜7、比較例1〜4
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるようにポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、光安定剤、防曇剤及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を投入し、溶融混練した。
【0117】
なお、表1で用いられる各原料は、表2に示すものを用いた。
【0118】
A層、B層、及びC層の各層の厚さがA層:B層:C層=1:3:1(厚み比20:60:20)になるようインフレーション法で3層を共押出しし、厚さ150μmの農業用フィルムを得た。
【0119】
得られた実施例及び比較例の農業用フィルムについて、以下の評価を行った。
【0120】
<A層の表面の算術平均粗さRa>
JIS B0601:2013に準拠した測定方法によりA層の表面(B層が積層されている面とは反対側の面)の算術平均粗さRaを測定した。
【0121】
<乾燥時のヘイズ値(Hzd)>
A層の表面から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って乾燥時の農業用フィルムのヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定した。
【0122】
<結露時のヘイズ値(Hzw)>
結露時を想定して、農業用フィルムのA層の上記算術平均粗さRaを示す面から流動パラフィンを滴下し、ガラス板を被せて結露時のヘイズ値の測定用試料を調製した。測定用試料のガラス板の方向から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って測定用試料のヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定した。
【0123】
<乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差(Hzd−Hzw)>
上記方法により測定された乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差を、下記式に基づいて算出した。
(Hzd−Hzw)(%)=[乾燥時のヘイズ値(Hzd)−結露時のヘイズ値(Hzw)]
【0124】
<葉焼け防止性>
稲の葉に、白熱灯照射ランプを用い、120W、12時間、稲と白熱灯の距離50cmの条件で白熱灯を照射した。白熱灯照射後の葉の状態を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:葉焼けが全く、又は、殆ど見られない。
△:葉焼けがやや見られるが、問題のない程度である。
×:葉焼けが強く発生している。
【0125】
<トンネル内部又はハウス内部視認性>
結露時のトンネル内部又はハウス内部の視認性を想定して、視認性を評価した。具体的には、結露時の農業用フィルムの視認性を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:内部の栽培作物がはっきりと視認できる。
△:内部の栽培作物の輪郭がややぼやけるが、視認できる。
×:内部の栽培作物がぼやけて視認できない。
【0126】
<トンネル内部又はハウス内部保温性>
分光放射計(英弘精機株式会社製:型番MS−720)から50cm離れた位置に120Wの白熱灯を設置した。分光放射計と白熱灯との間に、分光放射計から20cmの位置に農業用フィルムを設置し、波長1050nmでの光の放射量(強度)A1を測定した。また、フィルムを設置しない場合の波長1050nmでの光の放射量(強度)A0を測定した。下記式に従って放射量比率を算出し、下記評価基準に従って評価した。
(放射量比率)(%)=[A1/A0]×100
なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:放射量比率が95%以上である。
△:放射量比率が90%以上95%未満である。
×:放射量比率が90%未満である。
【0127】
結果を表1に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
なお、表2において、MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定された値である。