(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
折り畳み状態から開いて周壁部を立体化することによって底部が組み合わせられるように構成された箱体を、保持部を有するロボットによって搬送しながら組み立てる組立方法であって、
前記保持部により前記箱体を保持し、前記ロボットにより前記保持部を3次元空間で移動させて前記箱体を下流工程に送る搬送工程と、
前記搬送工程中において前記箱体の前記底部に介助手段を当接させて嵌め合わせることで該底部の完成を介助する介助工程と、
前記保持部に設けられたストッパーにより前記介助手段による力の作用方向への前記箱体の位置ずれを規制する工程と、
を有する、
ことを特徴とする組立方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る組立装置10の構成について説明する。
図1は、組立装置10の動作を時系列で示す上面概略図であり、
図2は、組立装置10によって組み立てるワンタッチ箱XA1を示す図であって、同図(a)が組み立て前の折り畳んだ状態のワンタッチ箱XA1の外観図であり、同図(b)、(c)が組み立て途中の底部B部分を示す図である。なお、本図および以降の各図においては、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また本図および以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0027】
図1を参照して、本実施形態の組立装置10は、物品を箱詰めするラインなどで用いられ、保持部11を備えるロボット12と、介助手段13と、を有し、組立て前の折り畳み状態のワンタッチ箱XA1を立体的に組み立て、底部Bの嵌め込みを完了させた状態で、下流工程に搬送する。保持部11は、3次元空間を移動可能であり、ワンタッチ箱XA1の保持および組み立てを行うことが可能である。
【0028】
ここでの詳細な図示は省略するが、ロボット12は例えば、保持部として複数(例えば、2本)のアーム部11を備える双腕ロボットである。ロボット12は、各アーム部11の先端に設けられたエンドエフェクタを用途に応じて付け替えることで、様々な作業に利用することができる。あるいは、ロボット12は、1つのアーム部11を供える単腕ロボットを2台用いて、2台のロボット(単腕ロボット)12のそれぞれのアーム部11を協調させて作業する構成であってもよい。
【0029】
介助手段13は、ロボット12によってワンタッチ箱XA1が下流工程に搬送される途中(搬送途中)に設けられ、搬送途中においてワンタッチ箱XA1の底部Bの完成を介助する。
【0030】
これら組立装置10の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0031】
図2に示すようにワンタッチ箱XA1は、周壁部Sを筒状に貼り合わせ、かつ4枚の組み合わせ4枚の組み合わせにした底面の2か所を貼り合わせ、折り畳み状態から周壁部Sを立体化することによって底部Bが組み合わせられるように構成された箱体である。ここでは一例として、組み立てた状態で上方の開口部を覆う蓋部Fが、後方側の周壁部Sの上端に連続して設けられているワンタッチ箱を用いて説明する。
【0032】
具体的は、同図(a)に示す折り畳んだ状態において山折りされている、対向する側部Tを矢印の方向に寄せる(近接させる)ようにすると、周壁部Sが立体化し、これに伴って自動的に底部Bが組み合わされる(同図(b)、(c))。一例としては、対向する側部Tを矢印の方向に付勢するか、折り畳んだ状態では上下に重なっている2つの周壁部S(
図2では前方側と後方側の周壁部S)を引き離すようにすると、周壁部Sが立体化する。なお、本実施形態では同図に示す箱体を「ワンタッチ箱」と称するが、ワンタッチ底、ワンタッチ底箱やワンタッチカートンなどと言われる場合もある。
【0033】
再び
図1を参照して、一例として、組立装置10の上流部にワンタッチ箱XA1のストッカー14が設けられている。このストッカー14内には、折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1が収容されている。ロボット12はアーム部(保持部)11を移動させ、アーム部11に設けられた、例えば吸着手段17で吸着するなどして、ストッカー14からワンタッチ箱XA1を一枚ずつ取り出して保持し(同図(a))、所定の動作によって、
図2(b)に示すようにワンタッチ箱XA1の周壁部Sの立体化を行う。周壁部Sの立体化は、アーム部11の動作、および必要に応じて、ステージ(搬送面)16やステージ16上またはその近傍に設けた補助部材等を利用して行われる(同図(b))。立体化の工程については、後述する。
【0034】
また、周壁部Sの立体化が行われた後、またはそれと同時に、ロボット12は例えば、搬送中の所定位置で待機する介助手段13の位置までアーム部11を移動させ、介助手段13によって底部Bの組み込み(嵌め込み)を完成させる(同図(c))。そしてロボット12は、完成したワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を更に移動させて、下流工程にワンタッチ箱XA1の開口部を上側に向けた状態で供給する(同図(d))。
【0035】
以下、
図3〜
図5を参照して、本実施形態の組立装置10におけるワンタッチ箱XA1の組立方法について、具体的に説明する。
【0036】
まず、
図3は、ロボット12の一例を示す図であり、例えば
図1において介助手段13の方向から見た正面図である。
【0037】
本実施形態のロボット12は、一例として同図(a)に示すように、2つのアーム部11(アーム部11Aとアーム部11B)とを双腕とする双腕ロボットである。アーム部11A、11Bは、それぞれ複数の関節軸を備える多軸(多関節)アームであり、アーム部11A、11Bの先端にはそれぞれ、エンドエフェクタとして吸着手段17が取り付けられている。吸着手段17は吸着部17Aを有し、吸着部17Aをワンタッチ箱XA1に当接(密着)させて吸引することにより、これを保持する。
【0038】
同図(a)に示すように、アーム部11Aおよびアーム部11Bは、例えば、ロボット12の本体部の両肩部分にそれぞれ取り付けられており、本体部11も胴回りを中心として回転可能に構成されている。これにより、ロボット12のアーム部11(11A,11B)は、3次元空間を移動可能となっている。
【0039】
ロボット12は例えば、同図(b)に示すように折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1を、各吸着手段17で吸着することによって保持し、同図(c)に示すように、各吸着手段17によりワンタッチ箱XA1の両面を吸着した状態で、アーム部11Aおよびアーム部11Bを駆動させることによって折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1の周壁部Sを立体的に展開(立体化)する。
【0040】
図4および
図5を参照して、周壁部Sを立体的に展開(立体化)し、物品を収容するワンタッチ箱X1として完成させる工程について更に説明する。
図4は、
図3に示した各アーム部11、および各アーム部11に設けられた吸着手段(吸引手段)17を用いて、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sを立体化させる方法(立体化工程)の一例を示す図であり、
図5は底部Bの底部の完成を介助する方法(介助工程)の一例を示す図である。なお、
図4および
図5においては、ロボット12の各アーム部11の図示を省略し、
図3に示すロボット12の吸着手段17部分のみを抜き出して示している。
【0041】
まず、
図4(a)に示すように、ロボット12はアーム部11、すなわち吸着手段17を移動させ、ストッカー14から折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1を取り出す。ロボット12は例えば、ストッカー14に載置されたワンタッチ箱XA1の両面をアーム部11A,11Bのそれぞれの吸着手段17を用いて吸着する。具体的には、ロボット12は、折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1の上面(周壁部Sの一つの面(例えば、組み立てた状態で前方側となる面))を一方のアーム部(例えば、アーム部11A)の吸着手段17を用いて吸着し、下面(周壁部Sの他の一つの面(例えば、組み立てた状態で後方側となる面))を他方のアーム部(例えば、アーム部11B)の吸着手段17を用いて吸着する(
図3(b)参照)。吸着手段17はアーム部11によって3次元空間を移動可能であるが、例えば、エアシリンダ等からなるアクチュエータ(不図示)などで独立して昇降自在となっていてもよい(以下の実施形態において同様である)。
【0042】
その後、に示すように、周壁部Sを保持した2つの吸着手段17を互いに異なる方向(反対方向)に、この例では上下方向に回転させつつ移動させる(
図3(c)参照)。
【0043】
これにより、
図4(b)に示すように、吸着手段17によって保持されたワンタッチ箱XA1の両面が引き離されるように広がり、山折りされている対向する側部Tが
図2(b)で示す矢印の方向に寄せられて、周壁部Sが立体化する。なお、同図(b)ではワンタッチ箱XA1の底部Bが示されており、このとき上方の吸着手段17側から見たワンタッチ箱XA1の状態を、同図(c)に示している。
【0044】
このアーム部11による立体化工程では、例えば、対向する側部Tを含む2つの角部の角度αが、同図(b)に示すように90度以下で且つなるべく90度に近い角度まで開くように、吸着手段17(アーム部11)を移動させる(以下同様である)。つまり、この立体化工程が終了した状態では、同図(c)に破線で示すように、ワンタッチ箱XA1の底部Bは、広げられてはいるが、嵌め合わせ(組み込み)が不十分となっている。
【0045】
なお、ここでは、アーム部11Aおよびアーム部11Bの双方を駆動させる場合の例を示すが、ロボット12は、一方のアーム部(たとえば、アーム部11B)の位置を固定させた状態で、他方のアーム部(たとえば、アーム部11A)のみを駆動させてもよい。
【0046】
図5は、
図4に示した立体化工程に続き、介助手段13によって底部Bを完成させる介助方法(介助工程)の一例を示す図である。なお、
図5(a)〜(c)は、例えば、
図1に示す組立装置10の下流側から見た図であり、同図(d)は完成したワンタッチ箱XA1の正面図である。
【0047】
ロボット12は、ワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を、同図(a)、
図1(b)および
図1(c)に示すようにワンタッチ箱XA1の搬送途中の所定位置に待機する介助手段13の位置まで移動させる。この場合の介助手段13は一例として、ワンタッチ箱XA1の搬送途中に固定されて底部Bの内側に当接可能なガイド部材13Aである。
【0048】
ガイド部材13Aは例えば、その一端がロボット12の対向位置にある固定部30などに固定され、他端が開放された固定ガイド部材であり、基準面(例えば、ステージ16の面(搬送面)に対して水平に延在(突出)する棒状体である。
【0049】
ロボット12は、ガイド部材13Aの先端がワンタッチ箱XA1の開口部OPから底部Bに向かって進入するように(同図では右方向に)アーム部11を移動させ、ワンタッチ箱XA1の底部Bの内側にガイド部材13Aの先端を当接させ(
図5(b))、更にガイド部材13A方向に押し込む(同図(c))。
【0050】
これにより、同図(d)に示すように底部Bは内側から押されてその嵌め合わせ(組み込み)が十分となり(ロックされた状態となり)、ワンタッチ箱XA1が完成する。
【0051】
その後ロボット12は、完成した状態のワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11A、11Bを用いてワンタッチ箱XA1を下流に搬送する(
図1(d)参照)。ロボット12から開放されたワンタッチ箱XA1は不図示の他の搬送手段(移載手段)などにより、更に下流に搬送されて物品が収容される。ワンタッチ箱XA1は、間欠運転、又は連続運転される箱詰め装置のバケットコンベアと同期して供給されてもよい。
【0052】
このように、本実施形態のロボット12は、上流側から下流側に向かってワンタッチ箱XA1を移動させつつ組み立て、下流側の所定位置でワンタッチ箱XA1を開放する、ワンタッチ箱XA1の搬送手段である。
【0053】
そして、ガイド部材13A(介助手段13)は、搬送手段(ロボット12)によって搬送されるワンタッチ箱XA1の搬送途中の所定位置に待機し、ワンタッチ箱XA1の底部Bの内側に当接して外方に向かって押し込まれ、底部Bの完成を介助する。これによって、ワンタッチ箱XA1が完成する。
【0054】
本実施形態によれば、ロボット(搬送手段)12が、ワンタッチ箱XA1を展開して完成させる動作と、完成したワンタッチ箱XA1を下流の工程に移動させる動作とを連続して行うことにより、組み立て作業の効率を高めることができる。
【0055】
特に、ロボット(搬送手段)12が、ワンタッチ箱XA1を下流の工程に移動させる搬送途中において、介助手段13によって底部Bの嵌め合わせを十分にし、底部Bを完成させることができるため、ロボット12の下流工程に、搬送後に底部Bを完成させるための別途の専用装置および当該専用装置の制御が不要となる。これにより、ワンタッチ箱XA1の組み立て作業の効率をさらに高め、また専用装置を設けることによるコストや占有面積の削減に寄与することができる。
【0056】
また、ロボット12による搬送動作の途中でロボット12が固定された介助手段13に向けてワンタッチ箱XA1を移動させるため、例えばワンタッチ箱XA1を保持して待機するロボット12に向けて介助手段13を移動させる場合と比較して、タイミング合わせ等の複雑な制御が不要となる。
【0057】
また、ロボット12(アーム部11)が下流側においてワンタッチ箱XA1を開放した状態で、既にワンタッチ箱XA1は安定した箱体として完成しているため、すぐに物品を収容することが可能となる。
【0058】
図6は、本実施形態のロボット12の他の形態を示す図である。ロボット12は、1つのアーム部11を供える単腕ロボットであり、当該単腕ロボット12を2台用いて、それぞれのアーム部11を協調させて作業する構成であってもよい。
【0059】
ロボット(単腕ロボット)12Aは、複数の関節軸を備える1つのアーム部11Aを備えた多軸(多関節)ロボットであり、ロボット(単腕ロボット)12Bも同様に、複数の関節軸を備える1つのアーム部11Bを備えた多軸(多関節)ロボットである。そして、それぞれのアーム部11A、11Bの先端部にはエンドエフェクタとして吸着手段17が取り付けられている。
【0060】
この場合、単腕ロボット12A、12Bのそれぞれのアーム部11A、11Bを協調させ、
図3〜
図5に示す双腕ロボット12のアーム部11A、11Bと同様の作業を行うように制御することによって、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sの立体化工程、底部Bを完成させる介助工程を行うとともに、下流工程にワンタッチ箱XA1を搬送する。
【0061】
なお、以降の説明において参照する図面では、ロボット12およびアーム部11の図示を省略しているが、特に明記が無い場合は、上述の双腕ロボット12または2台の単腕ロボット12A、12Bの協調によって、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sの立体化工程、底部Bを完成させる介助工程を行うものとする。また、上記の例において、ワンタッチ箱11を保持するエンドエフェクタとして吸着手段17の場合について説明したが、ワンタッチ箱XA1を保持できる構成であれば、これに限らない。例えば、エンドエフェクタは、貼着手段、把持手段あるいはローラなどであってもよく、以降の実施形態においても同様である。
【0062】
図7は、介助工程の他の例を示す図である。
図5に示す介助工程の例では、ガイド部材13Aは、基準面に対して水平に延在する場合を例に説明したが、ガイド部材13Aは、
図7(a)に示すように基準面(例えば、ステージ16の面)に対して傾斜して固定されていてもよく、
図7(b)に示すように基準面に対して垂直(鉛直)に固定されていてもよい。これらの場合、
図7に示すように開放されている先端部(開放端部)が固定されている端部(固定端部)と同等かそれよりも下方に位置するように設けるとよい。このような構成によれば、開放端部が固定端部よりも上方に位置する場合と比較して、ロボット12によるワンタッチ箱XA1の移動量を少なくすることができる。
【0063】
また、いずれの場合も、アーム部11によって周壁部Sが立体化された直後の状態における開口部OPに対向(正対)するように、ガイド部材13Aの開放端部(先端部)を配置するとよい(
図5(a)、
図7)。
【0064】
このようにすることで、周壁部Sを立体化した状態から底部Bの完成までの経路を短縮(最短)にすることができる。
【0065】
また、ガイド部材13Aは、軸方向(延在方向)に付勢される付勢手段を備え、軸方向(延在方向)に伸縮可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、ガイド部材13Aに所定以上の負荷がかかった場合、先端部が後退してワンタッチ箱XA1の破損を防止することができる。
【0066】
また、ガイド部材13Aは、固定部30に着脱可能に構成され、ワンタッチ箱XA1のサイズや形状によって交換や、固定部30への取り付け位置の変更が可能となるように構成されていてもよい。
【0067】
なお、ガイド部材13Aは、棒状体の場合を例に説明したが、周壁部Sが立体化された後に、底部Bを内側から押し出せる構成であればこれに限らず、球体(卵形)や山型など、その先端部(開放端部)が固定端部よりも、ワンタッチ箱XA1の深さ以上に突出するものであればよい。
【0068】
図8は、他の実施形態を示す図であり、
図8(a)、(b)は
図5(b)、(c)に対応した図であるが、この場合は、ロボット12は、一つのアーム部の先端に吸着手段17が設けられた単腕ロボットであって、例えば、後述する
図13、又は
図14に示す方法でワンタッチ箱XA1を立体化し、保持している場合を示す。
【0069】
同図(a)、(b)に示すように、ロボット12のアーム部11または吸着手段17には、少なくともワンタッチ箱XA1の底部Bを外側から支持するストッパー15を設けてもよい。ストッパー15は、ロボット12がワンタッチ箱XA1の底部Bの内側をガイド部材13Aに押し当てる際に、ワンタッチ箱XA1が、特にガイド部材13Aに対して後退する方向に位置ずれしないように、これを支持する。
【0070】
すなわち、ストッパー15は少なくともワンタッチ箱XA1の底部Bを支持する形状を有していることが好ましく、例えば同図(c)に示すようにワンタッチ箱XA1の周壁部Sと底部Bのそれぞれの少なくとも一部を同時に支持できるよう、L字状に構成されていると更に好適である。また、
図8ではワンタッチ箱XA1の例えば上側の周壁部Sを保持する吸着手段17にストッパー15を設ける例を示しているが、ワンタッチ箱XA1の下側の周壁部Sを保持する吸着手段17にストッパー15を設けてもよい。
【0071】
また、図示は省略するが、ストッパー15を移動(待避)可能に構成し、周壁部Sの立体化工程においてストッパー15が吸着手段17等と干渉するような場合には、ストッパー15は所定の位置に退避させ、ガイド部材13Aによって底部Bを押し込むタイミングで周壁部Sと底部Bを支持するように進出可能に構成するとよい。
【0072】
また、
図8に示した実施形態は、2台の単腕ロボット12により、各アーム部11(吸着手段17)を協調して制御させるものであってもよいし、1台の双腕ロボット12を用いても良い。
【0073】
図9は、介助手段13の他の実施形態を示す図であり、
図5(b)、(c)に対応した図である。
図9に示すように、介助手段13は、組み込みが不十分な底部Bを外側から吸引する吸引手段13Bであってもよい。
【0074】
同図(a)に示すように、ロボット12(双腕ロボット12、または2台の単腕ロボット12、以下同様)は、上記したような方法で周壁部Sが立体化されたワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を、ワンタッチ箱XA1の搬送途中の所定位置に待機する介助手段13の位置まで移動させる。この場合の介助手段13は一例として、固定部30(
図5参照)に固定されるなどしてワンタッチ箱XA1の搬送途中で待機し、底部Bの外側に吸着可能な吸引部材(例えば、吸引ノズル)13Bである。
【0075】
吸引ノズル13Bは、同図(b)に示すように底部Bに吸着し、さらに外側方向に底部Bを吸引する。これにより、底部Bが内側から外側に押し込まれ、嵌め合わせ(組み込み)が十分となって安定したワンタッチ箱XA1が完成する。
【0076】
また、
図9(c)に示すように、ロボット12は、ワンタッチ箱XA1の開口部OPが斜め下方に向くように傾斜させた状態で、介助手段13(吸引ノズル13B)の位置まで移動し、吸着ノズル13Bの吸着面と、内側にやや折り込まれた状態の底部B(破線で示す)とが密着するように、すなわち、吸着ノズル13Bが吸着する底部Bの吸着領域(面)に対して、吸引ノズル13Bの吸引方向が略垂直となるようにしてもよい。
【0077】
そして、吸着ノズル13Bを底部Bに密着させた後は、ロボット12はワンタッチ箱XA1の開口部OPが、ステージ16に対して水平になる様に回転させつつ、ワンタッチ箱XA1の底部Bとは反対方向(開口部OPの方向)にワンタッチ箱XA1を移動させ、引き戻すようにして底部Bを嵌め合わせるようにしてもよい。
【0078】
底部Bが完成する前の状態(嵌め合わせが不十分な状態)では、底部Bの中央が窪み(凹部となっており)があり、吸着ノズル13Bでの吸着が不安定となる恐れがある(同図(a)参照)が、同図(c)のように底部Bに吸着ノズル13Bを密着させることにより、確実に吸着することができる。
【0079】
また、
図3〜
図7および
図9に示した実施形態の吸着手段17は、ワンタッチ箱XA1の周壁Sの4つの面のうち1つの面を吸着する手段(装置)であってもよい。
【0080】
図10は、介助手段13の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は
図4(b)に対応した図である。また、
図10(b)は、
図4(c)に対応した図である。
【0081】
介助手段13は、アーム部11の一部によって構成されていてもよい。この場合のアーム部11は、
図3と同様の吸着手段17を有している。
【0082】
図4に示した周壁部Sの立体化工程では、周壁部Sを保持した2つの吸着手段17を互いに異なる方向(反対方向)に移動させることによって、対向する側部Tを含む2つの角部の角度αが、90度以下で且つなるべく90度に近い角度まで開くように、吸着手段17を移動させて当該立体化工程を終了し(
図4(b)、(c))、底部Bを完成させる介助工程に進む。
【0083】
これに対し本実施形態では、
図10(a)、(b)に示すように立体化工程の終了後に、周壁部Sを保持する吸着手段17を、立体化工程と同じ方向に(対向する側部Tを含む2つの角部の角度βが角度αより大きくなるように)わずかに過剰に移動させる。これにより底部Bに接触することなく、ワンタッチ箱XA1のわずかな撓み変形によって、底部Bの嵌め合わせが完了する(同図(c)、(d))。
【0084】
この場合、アーム部11の吸着手段17は、周壁部Sに当接し、立体化させる立体化動作と、立体化動作と同方向にわずかに移動する過剰動作とを行う。つまり、過剰動作によって底部Bの嵌め合わせを行う吸着手段17が、本実施形態における介助手段13といえる。
【0085】
図11は、アーム部11による周壁部Sの立体化工程の他の実施形態を示す図である。
【0086】
図3〜
図10に示した実施形態においてアーム部(保持部)11に設けられている吸着手段17に代えて、立体化させた周壁部Sの対向する2面または対角位置にある2つの角部(立体化させるときに近接させる角部)を把持する把持部18Aを備えた把持手段18としてもよい。この場合、アーム部11は既述のとおり3次元空間を移動可能であるが、把持手段18も、エアシリンダ等からなるアクチュエータ(不図示)などで独立して昇降自在に構成してもよい。
【0087】
すなわち、同図(a)に示すように、ロボット12はアーム部11を移動させ、例えば、アーム部11に設けられた把持手段18の把持部18Aによって、折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の山折りされている対向する側部T(
図2参照)を把持し、ストッカー14からワンタッチ箱XA1を一枚ずつ取り出す。
【0088】
その後、
図11(b)に示すように、把持手段18を互いに異なる方向(反対方向)に移動させる。また、把持手段18の移動に伴い、ワンタッチ箱XA1を保持している把持部18を開いていく。これにより、対向する側部Tが引き寄せられるようにして周壁部Sが立体化する(同図(c))。
【0089】
その後、把持手段18が対向する側部T(立体化した後は対向する角部)を引き続き把持した状態で、ロボット12はアーム部11を移動し、
図5、
図7〜
図9に示す場合と同様にしてガイド部材13Aによって底部Bを内側から外方に向かって押し込み、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0090】
また、
図10に示した過剰動作によって底部Bの完成を介助する実施形態において、アーム部11が把持手段18を備え、把持手段18の過剰動作によって、ワンタッチ箱XA1の底部を完成させるものであってもよい。
【0091】
図12は、アーム部11による周壁部Sの立体化工程の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は折り畳み状態のワンタッチ箱XA1を上面から見た図であり、同図(b)は組み立てた状態の斜視図である。
【0092】
図12に示す例では、アーム部11が、形状の変化が可能な吸着手段19を備えている。具体的には、吸着手段19は、例えば平板状の第一の吸着手段(吸着パッド)19Aと第二の吸着手段(吸着パッド)19Bとを蝶番などの固定具19C1、19C2で開閉可能に連結させたものである。具体的には、第一の吸着パッド19Aが第一の固定具19C1に固定され、第二の吸着パッド19Bが第二の固定具19C2に固定されてアーム部11に取り付けられており、第一の固定具19C1が第二の固定具19C2に対して回転可能となっている。
【0093】
この場合まず、同図(a)に示すように、ロボット12はアーム部11を移動させ、第一の吸着パッド19Aと第二の吸着パッド19Bとが同一平面上となるように開き、それぞれの吸着パッド19A、19Bを、折り畳まれた状態のワンタッチ箱XA1の隣り合う2つの周壁部Sに吸着させる。
【0094】
その後ロボット12は、同図(b)に示すように、アーム部11を上昇させてワンタッチ箱XA1持ち上げ、第一の吸着パッド19Aを第二の吸着パッド19Bに対して回転させる。つまり、ロボット12は、第一の固定具19C1に対して第二の固定具19C2が90度を成すように第二の固定具19C2を回転させる。これにより、第一の吸着パッド19Aに対して第二の吸着パッド19Bが90度を成すように回転し、この結果両者に保持されたワンタッチ箱XA1の周壁部Sが立体化する。
【0095】
その後、ロボット12はワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を移動し、
図5、
図7〜
図9の場合と同様にしてガイド部材13Aによって底部Bを内側から外方に向かって押し込み、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0096】
図13は、アーム部11による周壁部Sの立体化工程の他の実施形態を示す図である。
【0097】
本実施形態では、例えば、ステージ16に設けられた(固定された)当接手段20に当接させながら、周壁部Sの立体化を行う。
【0098】
図13(a)の場合の当接手段20は、ステージ16の面(搬送面)16Sに固定されるベース20A0と、ステージ16の面16Sに対して所定の角度で傾斜する傾斜面20A1を有する固定傾斜ガイド部材20Aである。傾斜面20A1は、ベース20A0との連結部よりも先端部が広がるように傾斜している。具体的には、折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の一方の側部Tの移動軌跡と漸次接近して交差する角度に傾斜している。
【0099】
またこの場合、アーム部11は折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の一面を吸着手段17などにより吸着保持しており、ロボット12は、アーム部11を傾斜面20A1に沿って回転させるように、移動する。
【0100】
つまりロボット12によって、アーム部11(吸着手段17)が移動(回動)し、一方の側部Tを傾斜面20A1に圧摺接させて、周壁部Sを立体化する。なお、傾斜面20A1の下方には、垂直面20A2を連設して該垂直面20A2と、水平なステージ16の面16SとをL形状に形成している。そして、垂直面20A2とステージ16の面16S上のワンタッチ箱XA1の側部Tが係合することにより、安定して周壁部Sを立体化させることができる。
【0101】
その後、ロボット12はワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を移動し、
図5、
図7〜
図9の場合と同様にしてガイド部材13Aによって底部Bを内側から外方に向かって押し込み、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0102】
また、同図(b)に示すように、ステージ16に爪状の当接手段20(20B)を設け、例えば、把持手段18等によって折り畳み状態のワンタッチ箱XA1を横倒し状態にてステージ(搬送面)16上で押送して一方の側部Tを当接手段20Bに当接させる。その後、当該一方の側部Tを当接部材20Bに押圧させるようにして他方の側部Tを把持手段18で把持して斜め上方に持ち上げることで周壁部Sを立体化させるようにしてもよい。
【0103】
図14は、アーム部11による周壁部Sの立体化工程の他の実施形態を示す図である。
【0104】
本実施形態では、例えば、ステージ(搬送面)16上に横倒しの状態で載置される折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の一部の移動を規制した状態で、周壁部Sの一部を他の周壁部Sから引き離すことにより、周壁部Sの立体化を行う。
【0105】
例えば、ステージ(搬送面)16の下方には、アーム部11とは別体で、ワンタッチ箱XA1の一部を保持する保持手段22が設けられている。保持手段22は、ワンタッチ箱XA1の一部を保持する吸着手段22Aを有する。
【0106】
具体的には、同図(a)に示すようにアーム部11が吸着手段17によって折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の周壁部Sの一面を吸着保持した状態で、吸着手段22Aの吸着面にワンタッチ箱XA1のステージ16に対向する面が当接するようにアーム部11(吸着手段17)を移動させる。
【0107】
アーム部11が停止すると、吸着手段22Aは、ワンタッチ箱XA1のステージ16に対向する面を吸引保持する(同図(b))。この状態で吸着手段17は、吸着面の向き(下向き)を維持しつつ、ステージ16と当接する周壁部Sと隣接する周壁部Sの周方向の長さを回転半径として回転させて斜め上方に移動する。つまり、同図に示す下方の周壁部Sが保持手段22によって移動が規制された状態で、上方の周壁部Sが引き離されて対向する側部Tが近づき、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sが立体化される(同図(c))。
【0108】
次いで、保持手段22がワンタッチ箱XA1を開放(吸引を解除)する。
【0109】
その後、ロボット12はワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を移動し、
図5、
図7〜
図9の場合と同様にしてガイド部材13Aによって底部Bを内側から外方に向かって押し込み、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0110】
なお、折り畳み状態のワンタッチ箱XA1をアーム部11の吸着手段17と保持手段22とで吸着保持し吸着手段17によってワンタッチ箱XA1の上方側の周壁部Sの移動が規制された状態で、保持手段22が下降する構成であってもよい。
【0111】
また、ステージ16に開口部を設け、ワンタッチ箱XA1がアーム部11によって開口部上に移動された場合に、保持手段22が当該開口部から露出するようにしてもよい。
【0112】
同図(d)、(e)は、保持手段22として、アーム部11(この例では吸着手段17)に取り付けられ、アーム部11(吸着手段17)に対してスライド自在可能なストッパー22Bを設ける例である。
【0113】
同図(d)に示すように、ストッパー22Bは、例えば、吸着手段17に対してスライド自在なスライド部材22B1とその先端に固定された錘22B2等により構成される。アーム部11の吸着手段17が折り畳み状態のワンタッチ箱XA1の周壁部Sを吸着保持した状態で、ストッパー22の錘22B2はワンタッチ箱XA1の蓋部Fを押さえる。
【0114】
そして、同図(e)に示すように、吸着手段17を上昇させると、蓋部Fの移動が規制された状態で、吸着手段17が保持する周壁部Sが上昇するため、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sが立体化される。
【0115】
その後、ロボット12はワンタッチ箱XA1を保持するアーム部11を移動し、
図5、
図7〜
図9の場合と同様にしてガイド部材13Aによって底部Bを内側から外方に向かって押し込み、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0116】
また、
図11〜
図14の実施形態による立体化工程の立体化動作を、
図10のように過剰動作させることによって、底部をはめ合わせるようにしてもよい。
【0117】
図15は、介助手段13の他の実施形態を示す図である。同図は、
図4示した立体化工程に続き、介助手段13によって底部Bを完成させる介助方法(介助工程)の一例を示す図である。
【0118】
同図(a)に示すようにこの場合の介助手段13は一例として、ワンタッチ箱XA1の搬送途中に移動可能に設けられたガイド部材(可動ガイド部材)13Cである。可動ガイド部材13Cは、ガイド部材13C0と、ガイド部材13C0に取り付けられたスライダ13Dと、ガイド部材13C0を移動自在に支持するレール13Eにより構成される。この例の介助手段13(可動ガイド部材13C)も、ロボット12によるワンタッチ箱XA1の搬送途中に設けられている。
【0119】
ガイド部材13C0は、例えば、立体化されたワンタッチ箱XA1の周壁部S内側と底部Bとに当接可能に曲折した棒状体である。より詳細には、周壁部Sの高さ方向に延在し、スライダ13Dが取り付けられる支持部13C1と、支持部13C1の一端(スライダ13Dの取り付け位置とは逆側の端部)からワンタッチ箱XA1の底部Bに沿うように支持部13C1に対して略垂直に延在する連結部13C2と、連結部13C2の先端から更に階段状に曲折するように、周壁部Sの高さ方向に突出する押し込み部13C3を有する。連結部13C2の長さは例えば、対向する周壁部S間の距離(ワンタッチ箱XA1の蓋部Fに連続する後面とそれに対向する前面の間の距離)の略1/2である。つまり、支持部13C1がワンタッチ箱XA1の前面の内側に当接した場合、押し込み部13C3は底部Bの略中心位置に当接するように構成されている(同図(b)参照)。
【0120】
レール13Eは、基準面(例えば、ステージ16の面(搬送面)に対して傾斜して配置される。また、、ロボット12は、可動ガイド部材13Cによってガイドする際は、起立状態(開口部OPが上方を向いた状態)のワンタッチ箱XA1を基準面(例えば、ステージ16の面(搬送面)に対して水平に搬送する。つまり、レール13Eは、起立状態のワンタッチ箱XA1の搬送方向に対して上流側が高く、下流側が低くなるように、傾斜して配置され、スライダ13Dは、レール13Eに沿って移動可能となっている。スライダ13Dは不図示の付勢手段(例えば、引っ張りバネなど)によってレール13Eの上流に向かって付勢され、これによりガイド部材13C0は、底部Bの押し込みを介助しない状態では、レール13Eの上流の所定位置に待機する。当該付勢手段の付勢力は、ロボット12によるワンタッチ箱XA1の搬送力よりも小さい。
【0121】
引き続き同図を参照して、介助手段13によって底部Bを完成させる介助方法(介助工程)の一例について説明する。
【0122】
例えば、後述する
図13、又は
図14に示す立体化工程に続き、同図(a)に示すように、ロボット12は例えば、ワンタッチ箱XA1の前面の周壁部Sを吸着し、ワンタッチ箱XA1をその開口部OPが斜め上方となるように保持して、可動ガイド部材13C(ガイド部材13C0)の待機位置まで搬送する。
【0123】
そして同図(b)に示すように、ロボット12は、ガイド部材13C0がワンタッチ箱XA1の内部に収容されるようにワンタッチ箱XA1の姿勢を起立状態(開口部OPが上方を向く状態)に変化させ、ワンタッチ箱XA1を基準面(例えば、ステージ16の面(搬送面))に対して水平に搬送する。つまり、ワンタッチ箱XA1は、破線矢印に示すように、吸着手段17の吸着面(前面)に直交する方向に吸引され、実線矢印に示すように基準面に対して水平に上流(同図(b)では右)から下流(同図(b)では左)に向かって搬送される。
【0124】
ロボット12によってワンタッチ箱XA1が実線矢印の方向に搬送されると、ワンタッチ箱XA1の内部にガイド部材13C0が当接する。より詳細には、前面の周壁部Sの内側にガイド部材13C0の支持部13C1が当接する。
【0125】
同図(c)に示すように、ガイド部材13C0は、スライダ13Dの付勢手段の付勢力に抗い、スライダ13Dとレール13Eによって、一点鎖線矢印で示すように、搬送方向(実線矢印で示す)に対して傾斜しながら下降する。これにより、ワンタッチ箱XA1は前面内側が支持部13C1に当接した状態で下流側に搬送される。ワンタッチ箱XA1の底部Bは基準面に対して略水平に移動するが、ガイド部材13C0は、基準面に対して傾斜して徐々に下降するため、同図(b)の状態では非接触であって押し込み部13C3が底部Bに当接し、更に搬送が進むと底部B(の略中央部)は押し込み部13C3によって下方に撓むように押し込まれる。そしてその嵌め合わせ(組み込み)が十分となり(ロックされた状態となり)、ワンタッチ箱XA1が完成する。
【0126】
図5の例では、底部Bを嵌め合わせるための押し込み方向は、吸着手段17の吸着方向に対して直交する方向(吸着面に略平行な方向)であり、押し込みによって吸着手段17と吸着面(ワンタッチ箱XA1の周壁部Sの前面、後面)とのズレが生じ、保持や底部Bの嵌め合わせが不十分となる場合がある。
【0127】
しかしながらこの例では、吸着手段17の吸着方向(破線矢印)とロボット12による搬送方向(実線矢印)とが同方向かつ逆向きであるため、吸着手段17が吸着面からズレたり、離間することなく確実に底部Bの嵌め合わせが可能となる。
【0128】
なお、押し込み部13C3は、底部Bを押し込み可能となるように連結部13C2よりも周壁部Sの高さ(深さ)方向に突出していればよく、同図に示すように棒状に突出する構成に限らず、連結部13Bの先端に取り付けられた球体または半球体などであってもよい。
【0129】
また、
図15に示した例において、ガイド13を下方に付勢する付勢手段を設けてもよい。ガイド13によりワンタッチ箱の底部Bに所定以上の力が加わった場合、ガイド13が上昇することにより、ワンタッチ箱が破損することを防止できる。
図16を参照して、介助手段13の他の実施形態について説明する。同図(a)は、介助手段13の全体の構成を示す正面図であり、同図(b)〜同図(d)は介助工程の一例を示す上面図であり、同図(e)〜(g)は、同図(b)〜同図(d)の正面図である。
【0130】
この例の介助手段13は、リニアモータを用いたバケットコンベア31の可動バケット13Fである。可動バケット13Fは、ワンタッチ箱XA1を保持するバケット13F1と、これを移動させる可動子13F2によって構成される。
【0131】
可動子13F2は、基台32(に設けられたレール)上を摺動可能に複数設けられ、それぞれ、その摺動面に対して垂直方向に立設するバケット13F1が固定される。隣り合う2つの可動子13F2は、バケット13F1の2つの面同士が対向するように配置されて一対(一組)の可動バケット13Fを構成し、基台41上には複数組の可動バケット13Fが配置される。
【0132】
図16(a)、同図(b)、同図(e)に示すように、ロボット12は、立体化工程が終了した、あるいは途中まで立体化された状態(例えば、
図4(a)〜同図(b)の間の、底部Bが平行四辺形となっている状態)のワンタッチ箱XA1を、底部Bが可動子13F2の摺動面と対向するように(開口部OPを上方にして)バケットコンベア31の一対の可動バケット13F間に位置させる。また、ロボット12は、吸着手段17によってワンタッチ箱XA1を保持した状態で(開放することなく)、所定期間、バケットコンベア31と同期して同方向に移動する。
【0133】
なお、この例では、ワンタッチ箱XA1を変形させて(撓ませて)底部Bの嵌め合わせを十分にするために、バケット13F1の幅W1(摺動方向(搬送方向)に直交する方向の幅)は、ワンタッチ箱XA1の搬送方向に直交する方向の幅W2より短く、一対のバケット13F1はワンタッチ箱XA1の搬送方向に直交する方向にバケット13F1端部の位置をずらして可動子13F2に取り付けられている。
【0134】
図16(a)、同図(c)、同図(f)に示すように、ワンタッチ箱XA1が一対の可動バケット13F間に配置されると、その一組の可動子13F2は、当該ワンタッチ箱XA1を両端から挟んで互いの距離が相対的に短縮するように(ワンタッチ箱XA1の対向する側部Tを近づかせるように)移動する。一組の可動子13F2は、ワンタッチ箱XA1を挟むバケット13F1の距離が、例えば、完成状態のワンタッチ箱XA1のバケットコンベア31の搬送方向に沿う幅W3よりも小さくなるまで移動する。このとき、ワンタッチ箱XA1はロボット12に保持された状態が継続している。
【0135】
そして一組の可動バケット13Fによる挟み込み(完成状態のワンタッチ箱XA1の幅より小さくなるまで挟み込む過剰動作)によって、底部Bの嵌め込みを行い、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0136】
その後、
図16(a)、同図(d)、同図(g)に示すように、ロボット12は吸着手段17によるワンタッチ箱XA1の吸着を開放し、ワンタッチ箱XA1はバケットコンベア5によって下流側に搬送される。
【0137】
本実施形態では、一組の可動子13F2でワンタッチ箱XA1を挟み込む際に、ロボット12がワンタッチ箱XA1を保持しているため、ワンタッチ箱XA1が移動状態(ロボット12とバケットコンベア51によって移動している状態)であってもこれを安定させることができ、底部Bを確実に嵌め合わせることができる。
【0138】
特に、一組の可動子13F2が完成状態のワンタッチ箱XA1のバケットコンベア31の搬送方向に沿う幅よりも小さくなるまで移動する場合、上記の過剰動作となり、例えば、ワンタッチ箱XA1の材質の弾性が強い場合などに弾かれてバケット13F1から逃げやすくなる。しかしながら、本実施形態ではこの期間もロボット12がワンタッチ箱XA1を保持しているため、ワンタッチ箱XA1がバケット13F1から逃げてしまうことがなく、底部Bを確実に嵌め合わせることができる。
【0139】
図17は、
図16に示したバケットコンベア31による他の実施形態を示す図であり、同図(a)〜同図(e)が上面図であり、同図(f)〜(j)が同図(a)〜同図(e)の正面図である。
【0140】
ワンタッチ箱XA1は、ロボット12に保持された状態で、バケットコンベア31によって立体化工程、および介助工程が行われてもよい。
【0141】
この場合の介助手段13は、
図16と同様の一対の可動バケット13Fである。この例の可動バケット13Fは、各バケット13F1はワンタッチ箱XA1の搬送方向に直交する方向に端部の位置を揃えて可動子13F2に取り付けられている。
【0142】
同図(a)、同図(f)に示すように、ロボット12は、ストッカー14からワンタッチ箱XA1を一枚ずつ取り出す。そしてロボット12の吸着手段17および、ロボット12とは別の吸着手段BQによってワンタッチ箱XA1を保持し、摺動面に対して起立状態で、一組の可動バケット13Fの間に引き込み可能な位置に配置する。
【0143】
そして、同図(a´)に示すように、吸着手段17と別の吸着手段BQによって、ワンタッチ箱XA1を保持し、吸着手段17を手前(同図の下方)に移動させてワンタッチ箱XA1を開いた後、別の吸着手段BQの吸引を解除する。そして、立体化途中のワンタッチ箱XA1を上流側のバケット13F1をガイドにして、一対のバケット13F1の間隔を狭めながら、ワンタッチ箱XA1をバケットコンベアの搬送方向と直交する方向の別の吸着手段から離れる方向に移動させて立体化する。
【0144】
同図(b)、(g)に示すように、ワンタッチ箱XA1が一対の可動バケット13F間に配置されると、その一組の可動子13F2は、当該ワンタッチ箱XA1の対向する側部Tと当接し、互いの距離が相対的に短縮するように(ワンタッチ箱XA1の対向する側部Tを近づかせるように)移動する。
【0145】
その後、同図(c)、(h)に示すように、一組のバケット13F1の距離が、例えば、完成状態のワンタッチ箱XA1のバケットコンベア31の搬送方向に沿う幅W3と同等になるまで移動することにより、ワンタッチ箱XA1の立体化工程が終了する。このとき、ワンタッチ箱XA1はロボット12に保持された状態が継続している。
【0146】
その後、同図(d)、(i)に示すようにロボット12は、ワンタッチ箱XA1をバケット13F1の上方に移動させる。このタイミングでは、ワンタッチ箱XA1は、バケットコンベア31の搬送方向と直交方向にバケット13F1から突出するとともに、上方に持ち上げられた状態でバケット13F1の先端で把持されている。そして、バケット13F1に対して、吸着手段17を相対的に上流側へ移動させることにより、ワンタッチ箱XA1の対向する側部Tがより近接する方向に過剰動作させて底部Bを嵌め合わせ、ワンタッチ箱XA1を完成させる。
【0147】
そして再びロボット12は、同図(e)、(j)に示すように一組の可動バケット13F間にワンタッチ箱XA1を位置させ、この後に(底部Bの嵌め合わせが完了した後に)ワンタッチ箱XA1を開放する。これにより、完成したワンタッチ箱XA1は、バケットコンベア31によって下流に搬送される。
【0148】
なお、この実施形態の同図(d)において、一組の可動子13F2は、ワンタッチ箱XA1を挟むバケット13F1の距離が、例えば、完成状態のワンタッチ箱XA1のバケットコンベア31の搬送方向に沿う幅W3よりも小さくなるまで移動することにより、すなわち、一組の可動バケット13Fによって完成状態のワンタッチ箱XA1の幅より小さくなるまで挟み込む過剰動作によって、底部Bの嵌め込みを行い、ワンタッチ箱XA1を完成させてもよい。
【0149】
また、
図16および
図17に示す実施形態において、ロボット12がワンタッチ箱XA1を可動バケット13F1の間に配置した後(底部Bが完成する前)のタイミング(例えば、
図16(c)またはそれ以前のタイミングや、
図17(b)またはそれ以前のタイミング)において、吸着手段17によるワンタッチ箱XA1の吸着を開放するものであってもよい。
【0150】
また、
図16および
図17に示す実施形態において、リニアモータを用いたバケットコンベアは、箱詰め装置のバケットコンベアとして用いてもよい。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0151】
例えば、ワンタッチ箱XA1の供給方法は
図1に示す構成に限らず、例えばアーム部11の待機位置に上流工程から一枚ずつ供給されるような構成であってもよい。具体的には、上流の搬送手段によって横倒し状態で一枚ずつ搬送手段によって搬送される折り畳まれた状態のワンタッチ箱を吸着等によって保持するようにしてもよい。この場合、ワンタッチ箱XA1はランダムに供給されるものであってもよい。
【0152】
また、周壁部Sは、上記の例以外の既知の方法により立体化が行われるものであってもよい。
【0153】
また、上記実施形態の周壁部Sの組立方法と、介助手段による底部Bの完成の介助方法は、適宜選択して組み合わせることができる。
【0154】
また、介助手段は、ロボット12によるワンタッチ箱XA1の搬送途中において待機し、ロボット12の搬送途中の動作によって、底部Bの完成を介助するものであれば、上記の例に限らない。
【0155】
また、図示は省略するが、ロボット12は、3次元動作が可能なハンド部(保持部)を備えた単腕ロボットであってもよい。この場合のハンド部は、ワンタッチ箱XA1を保持するとともに、周壁部Sを立体化させることが可能な所定の手段(例えば、それぞれに3次元動作が可能な複数の吸着手段や把持手段など)を備えているものであってもよい。
【0156】
また、箱詰め装置は、ワンタッチ箱XA1の周壁部Sを立体化し、開口部が側方となるように横倒しにした状態で物品を箱内に供給してもよい。