特許第6800785号(P6800785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800785
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】切離装置及び切離方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   B66C1/34 M
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-47473(P2017-47473)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-150140(P2018-150140A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 克昌
(72)【発明者】
【氏名】草刈 成直
(72)【発明者】
【氏名】草柳 孝義
(72)【発明者】
【氏名】竹村 和也
(72)【発明者】
【氏名】武藤 健一
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−089279(JP,U)
【文献】 実開平07−015679(JP,U)
【文献】 特開2010−229656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00− 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上の吊り下げ手段により吊り下げられる吊荷を、水面上或いは水中に解き放つための切離装置であって、
前記吊り下げ手段と前記吊荷との双方に取り付けられる連結部と、
該連結部へ圧縮空気を供給するための圧縮空気供給部と、
該圧縮空気供給部からの圧縮空気の供給を制御するための制御信号を無線で送信するための操作部と、
該操作部から受信する制御信号に応じて、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気の供給を制御する制御手段と、
前記吊り下げ手段と前記連結部との間に連結され、前記圧縮空気供給部及び前記制御手段を搭載するベース部と、を含み、
前記連結部に、前記吊り下げ手段による前記吊荷の吊り下げ方向と平行な方向へと分離可能な雌雄一対の連結機構と、該連結機構に含まれ、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を受けて前記連結機構を分離させる分離動作部と、が設けられていることを特徴とする切離装置。
【請求項2】
前記連結部の連結機構は、前記ベース部に連結されるソケット部と、前記吊荷に固定されるプラグ部とで構成され、
前記ソケット部は、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を取り込むための取込部と、前記プラグ部との結合状態を維持するためのロック機構とを含み、該ロック機構は、前記取込部を介した圧縮空気の供給を受けて、前記ソケット部と前記プラグ部との分離方向と平行に移動するリニアスライド部と、該リニアスライド部の移動を受けて前記プラグ部との結合状態を維持又は解除する施錠子とを備えることを特徴とする請求項1記載の切離装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気供給路上に設置されるソレノイドバルブと、前記操作部から受信する制御信号に応じて前記ソレノイドバルブへ開閉信号を送信する受信部と、前記ソレノイドバルブ及び前記受信部へ電力を供給する電力供給部と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の切離装置。
【請求項4】
前記圧縮空気供給部がエアタンクであり、前記電供給部がバッテリーであることを特徴とする請求項3記載の切離装置。
【請求項5】
前記ベース部が水上に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の切離装置。
【請求項6】
水上の吊り下げ手段により吊り下げられる吊荷を、水面上或いは水中に解き放つための切離方法であって、
前記吊り下げ手段に、圧縮空気供給部及び制御手段を搭載したベース部と、分離可能な雌雄一対の連結機構及び該連結機構に含まれ該連結機構を分離させる分離動作部を設けた連結部と、前記吊荷とを、この順序で直列に連結し、
前記制御手段により、操作部から無線で送信される制御信号に応じて、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気の供給を制御し、
前記圧縮空気供給部から前記連結部の分離動作部へ圧縮空気を供給することによって、前記連結機構を前記吊り下げ手段による前記吊荷の吊り下げ方向と平行な方向に分離させることを特徴とする切離方法。
【請求項7】
前記連結部の連結機構を、前記ベース部に連結するソケット部と、前記吊荷に固定するプラグ部とで構成し、
前記ソケット部に、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を取り込むための取込部と、リニアスライド部及び施錠子を備え、前記プラグ部との結合状態を維持するためのロック機構とを設け、前記取込部を介して前記ロック機構に圧縮空気を供給して、前記ソケット部と前記プラグ部との分離方向と平行に前記リニアスライド部を移動させることで、前記施錠子により前記プラグ部との結合状態を維持又は解除することを特徴とする請求項6記載の切離方法。
【請求項8】
前記制御手段を、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気供給路上に設置するソレノイドバルブと、前記操作部から受信する制御信号に応じて前記ソレノイドバルブへ開閉信号を送信する受信部と、前記ソレノイドバルブ及び前記受信部へ電力を供給する電力供給部と、で構成することを特徴とする請求項6又は7記載の切離方法。
【請求項9】
前記圧縮空気供給部をエアタンクによって構成し、前記電供給部をバッテリーによって構成することを特徴とする請求項8記載の切離方法。
【請求項10】
前記ベース部を常に水上に配置することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項記載の切離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上の吊り下げ手段により吊り下げられる吊荷を、水面上或いは水中に解き放つための切離装置及び切離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船上のクレーン等を利用して吊り下げている吊荷を、水面上や水中に投入する際には、一般的に、潜水士による吊荷の玉外し作業が行われている。又、船上から玉外しを行う場合には、フックとロープとを組み合わせた玉外し装置(レッコフック)等を用いることもある。更に、水中に没している吊り索の端部近傍に設置された水圧式シリンダーに、水圧を供給して切り離し動作を行わせることで、コンクリート構造物等の吊荷を水底に設置する方法(例えば、特許文献1参照)等が発案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−226484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、潜水士による玉外し作業を行う場合には、波浪の動揺等に起因して、潜水士が吊荷、吊り具、船体等に接触することが懸念されるため、特に万全に対策を施す必要がある。又、レッコフックを用いる投入方法では、船体と吊荷との距離を十分にとることができず、吊荷と船体との接触が懸念される。一方、上述した水圧シリンダーを利用する方法は、船上から水圧を供給する必要があるため、こちらの場合も船体と吊荷との距離に制約を受ける。更に、船上の水圧の供給源から水中の切り離し部までの距離が長く、回路構成も複雑であるため、切り離しの操作を行ってから実際に切り離しが行われるまでの、タイムラグの発生が想定される。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吊荷の接触を発生させることなく、吊荷を迅速に投入することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)水上の吊り下げ手段により吊り下げられる吊荷を、水面上或いは水中に解き放つための切離装置であって、前記吊り下げ手段と前記吊荷との双方に取り付けられる連結部と、該連結部へ圧縮空気を供給するための圧縮空気供給部と、該圧縮空気供給部からの圧縮空気の供給を制御するための制御信号を無線で送信するための操作部と、該操作部から受信する制御信号に応じて、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気の供給を制御する制御手段と、前記吊り下げ手段と前記連結部との間に連結され、前記圧縮空気供給部及び前記制御手段を搭載するベース部と、を含み、前記連結部に、前記吊り下げ手段による前記吊荷の吊り下げ方向と平行な方向へと分離可能な雌雄一対の連結機構と、該連結機構に含まれ、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を受けて前記連結機構を分離させる分離動作部と、が設けられている切離装置(請求項1)。
【0008】
本項に記載の切離装置は、連結部、圧縮空気供給部、操作部、制御手段及びベース部を含み、連結部は、クレーン等の吊り下げ手段と吊荷との双方に取り付けられ、吊り下げ手段と連結部との間にはベース部が連結される。すなわち、吊り下げ手段、ベース部、連結部及び吊荷は、この順序で直列に連結される。又、圧縮空気供給部は、ベース部に搭載され、ベース部に連結されている連結部に対して、圧縮空気を供給するように構成される。同じくベース部に搭載される制御手段は、操作部から無線で送信される制御信号を受信し、この制御信号に応じて、圧縮空気供給部から連結部への圧縮空気の供給、例えば供給の可否を制御する。又、操作部は、上述したように、制御手段に対して無線で制御信号を送信するためのものであり、例えば、吊り下げ手段が設置されている船上や陸上等から、作業員により操作される。
【0009】
更に、連結部には、連結機構と、連結機構に含まれる分離動作部とが設けられており、連結機構は、吊り下げ手段による吊荷の吊り下げ方向と平行な方向、すなわち、吊荷を投入する方向へと分離可能な雌雄一対の構造を備えている。分離動作部は、圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を受けて、連結機構を分離させるものである。
上記のような構成により、本項に記載の切離装置は、例えば作業員により操作部に対して圧縮空気を供給するための操作がなされると、そのための制御信号が、船上や陸上の操作部から吊り下げ手段に連結されたベース部上の制御手段へと、無線で送信される。制御手段は、その制御信号を受信すると、ベース部上の圧縮空気供給部からベース部に連結された連結部に対する圧縮空気の供給を許可する。そして、圧縮空気供給部から連結部に圧縮空気が供給されると、連結部の分離動作部により連結機構が分離され、連結部に取り付けられていた吊荷が、水面上や水中に解き放たれることとなる。
【0010】
このように、本項に記載の切離装置は、船上や陸上に配置される操作部から、遠隔操作によって吊荷の投入が行われるため、吊荷と船体や岸壁等との距離が十分にあけられ、吊荷と船体や岸壁等との接触が防止される。又、潜水士による吊荷の玉外し作業が不要となるため、潜水士の吊荷や船体等への接触が発生することはない。更に、構造が単純であり、又、圧縮空気の供給経路が、ベース部上の圧縮空気供給部からベース部に連結された連結部までの長さであるため、切り離しの操作が行われると迅速に吊荷が投入されるものである。加えて、連結部に対して圧縮空気が供給されると分離可能な状態になるものであるため、例えば、空気漏れ等によって圧縮空気の供給に弊害が生じた場合であっても、連結部が分離されることはなく、フェールセーフが図られている。又、分離動作の駆動力として、油圧ではなく圧縮空気を利用するため、油漏れ等によって水中を汚すことがないものである。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記連結部の連結機構は、前記ベース部に連結されるソケット部と、前記吊荷に固定されるプラグ部とで構成され、前記ソケット部は、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を取り込むための取込部と、前記プラグ部との結合状態を維持するためのロック機構とを含み、該ロック機構は、前記取込部を介した圧縮空気の供給を受けて、前記ソケット部と前記プラグ部との分離方向と平行に移動するリニアスライド部と、該リニアスライド部の移動を受けて前記プラグ部との結合状態を維持又は解除する施錠子とを備える切離装置(請求項2)。
【0012】
本項に記載の切離装置は、連結部の連結機構が、ベース部に連結されるソケット部と、吊荷に固定されるプラグ部とで構成されている。すなわち、ベース部に連結される雌型のソケット部と、吊荷に固定される雄型のプラグ部とが、吊り下げ手段による吊荷の吊り下げ方向と平行な方向へ分離可能に結合された構造を有している。ソケット部は、圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を取り込むための取込部と、ソケット部とプラグ部との結合状態を維持するためのロック機構とを含んでおり、このロック機構は、リニアスライド部と施錠子とを備えている。リニアスライド部は、取込部から取り込まれた圧縮空気を受けて、ソケット部とプラグ部との分離方向と平行に移動するものであり、圧縮空気の供給が停止すると、供給時とは反対の方向へ移動する。そして、施錠子は、そのようなリニアスライド部の移動を受けて、ソケット部とプラグ部との結合状態を維持又は解除するものである。このような構成により、圧縮空気を利用して、連結部の連結機構を確実かつ迅速に分離させるものである。
【0013】
(3)上記(2)項において、前記プラグ部は、外周に溝が設けられた円筒状部を有し、前記ソケット部は、円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に配置される円筒状の内筒部と、該内筒部の内側に形成され、前記プラグ部の前記円筒状部が挿入される挿入穴と、を含み、前記ロック機構は、前記内筒部の円周側に該内筒部を貫通する態様で、該内筒部の円周方向に間隔を空けて設けられる複数の施錠子保持孔と、該複数の施錠子保持孔の各々の内部に各施錠子保持孔の貫通方向へと変位可能に配置され、前記内筒部の各施錠子保持孔が形成された部分の肉厚よりも大きい直径を有し、前記挿入穴に挿入された状態の前記プラグ部の円筒状部の溝に係合可能な、前記施錠子を成す複数の球体と、前記外筒部と前記内筒部との間に摺動可能に設置され、前記リニアスライド部を成す円筒状のスリーブと、前記取込部から圧縮空気が取り込まれていない状態において、前記複数の施錠子保持孔を覆う位置に前記スリーブを変位させ、前記取込部から圧縮空気が取り込まれている状態において、前記複数の施錠子保持孔を覆わない位置に前記スリーブを変位させる変位手段と、で構成されている切離装置。
【0014】
本項に記載の切離装置は、プラグ部に、外周に溝が設けられた円筒状部が形成され、ソケット部に、円筒状の外筒部と、その内側に配置される円筒状の内筒部とが設けられ、更に内筒部の内側に、プラグ部の円筒状部が挿入される挿入穴が形成されている。そして、ソケット部のロック機構が、複数の施錠子保持孔と、施錠子を成す複数の球体と、リニアスライド部を成す円筒状のスリーブと、変位手段とで構成されているものである。
複数の施錠子保持孔の各々は、内筒部の円周側に内筒部を貫通する態様で設けられ、内筒部内側の挿入穴と連通する状態となる。又、複数の施錠子保持孔は、内筒部の円周方向に間隔を空けて設けられ、例えば、90度の等間隔で設けられる場合は、4つの施錠子保持孔が内筒部に設けられることになる。
【0015】
施錠子を成す複数の球体の各々は、各施錠子保持孔の内部に、各施錠子保持孔の貫通方向に変位可能に配置されるものである。例えば複数の施錠子保持孔が、上述したように、内筒部の円周側に90度の等間隔で設けられている場合には、合計で4つの球体が配置されることになる。更に、複数の球体の各々は、内筒部の各施錠子保持孔が形成された部分の肉厚(施錠子保持孔の貫通方向の深さ)よりも大きい直径を有している。
【0016】
リニアスライド部を成すスリーブは、円筒状を成し、外筒部と内筒部との間に、ソケット部とプラグ部との分離方向と平行に摺動可能に設置される。そして、このスリーブを摺動させて変位させるものが変位手段であり、変位手段は、取込部から圧縮空気が取り込まれていない状態において、内筒部の外側から複数の施錠子保持孔を覆う位置にスリーブを変位させる。すなわち、この状態では、各施錠子保持孔の外筒部側の開口がスリーブにより覆われるため、各施錠子保持孔内部に配置された球体は、内筒部の各施錠子保持孔が形成された部分の肉厚(施錠子保持孔の貫通方向の深さ)より大きい直径を有していることから、各施錠子保持孔から内筒部内側の挿入穴へ突出した状態になる。一方、取込部から圧縮空気が取り込まれている状態において、変位手段は、内筒部の外側から複数の施錠子保持孔を覆わない位置にスリーブを変位させる。すなわち、この状態では、各施錠子保持孔の外筒部側の開口がスリーブにより覆われていないため、各施錠子保持孔内部に配置された球体は、各施錠子保持孔の外筒部側の開口から外筒部側に突出可能な状態になる。
【0017】
上記のような構成により、本項に記載の切離装置は、ソケット部の挿入穴にプラグ部の円筒状部が挿入された状態、かつ、圧縮空気が圧縮空気供給部から供給されずに取込部から取り込まれない状態では、各施錠子保持孔から挿入穴へ突出した球体が、円筒状部に設けられた溝に係合して、ソケット部とプラグ部との結合状態が維持される。そして、そのような状態から、圧縮空気供給部から供給される圧縮空気が取込部から取り込まれ、変位手段によってスリーブが変位されると、各施錠子保持孔の外筒部側の開口から球体が突出可能な状態になる。この状態で、吊荷に連結機構の分離方向と平行な力が加わると、各施錠子保持孔の外筒部側の開口から突出するように球体が変位して、円筒状部の溝に対する各球体の係合状態が解除されるため、ソケット部とプラグ部とが瞬時に分離される。これにより、例えば、水面上に吊荷を解き放つ場合に、上下動する水面に吊荷を浮かばせ、水面が上昇して下降し始める直前のタイミングで、吊荷を投入する操作が行われることで、吊荷が損傷を受けることなく瞬時に投入されることとなる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)項において、前記制御手段は、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気供給路上に設置されるソレノイドバルブと、前記操作部から受信する制御信号に応じて前記ソレノイドバルブへ開閉信号を送信する受信部と、前記ソレノイドバルブ及び前記受信部へ電力を供給する電力供給部と、を含む切離装置(請求項3)。
本項に記載の切離装置は、制御手段が、ソレノイドバルブ、受信部及び電力供給部を備えるものである。ソレノイドバルブは、圧縮空気供給部から連結部への圧縮空気供給路上に設置され、その開閉動作によって圧縮空気の供給を開始及び停止させる。受信部は、操作部から無線で送信される制御信号を受信して、受信した制御信号に応じてソレノイドバルブへ開閉制御信号を送信する。又、電力供給部は、ソレノイドバルブと受信部とへ電力を供給するものである。これにより、無線の制御信号の受信から圧縮空気供給路の開閉動作までが、ベース部に搭載される電気回路のみで行われることになるため、信頼性及び応答性が高められることになる。
【0019】
(5)上記(4)項において、前記圧縮空気供給部がエアタンクであり、前記電供給部がバッテリーである切離装置(請求項4)。
本項に記載の切離装置は、圧縮空気供給部がエアタンクであり、電供給部がバッテリーであることで、小型軽量化が図られるものである。特に、ベース部に搭載される部材の中でも、比較的大きくなることが懸念されるこれらの部材が、小型軽量化されることで、ベース部の小型軽量化が図られることになる。このため、ベース部に必要な強度や、吊り下げ手段にかかる荷重が低減される。
【0020】
(6)上記(1)から(5)項において、前記ベース部が水上に配置される切離装置(請求項5)。
本項に記載の切離装置は、吊り下げ手段と連結部との間に連結されたベース部が水上に配置されることで、ベース部に搭載される圧縮空気供給部及び制御手段(ソレノイドバルブ、受信部、電力供給部)が、水上に配置されるものである。すなわち、圧縮空気の供給源である圧縮空気供給部と、圧縮空気供給の制御を行う制御手段との双方が、圧縮空気の供給先である連結部と可能な限り近接されながらも、水上に配置される。これにより、圧縮空気の供給と供給制御とを水上で行うことになるため、圧縮空気を利用した切り離し動作の信頼性が向上される。又、吊荷を水面上に投入する場合には、連結部も水上に配置されることになるため、圧縮空気供給部から連結部への圧縮空気の供給配管が、可能な限り短く構成されるものとなる。
【0021】
(7)水上の吊り下げ手段により吊り下げられる吊荷を、水面上或いは水中に解き放つための切離方法であって、前記吊り下げ手段に、圧縮空気供給部及び制御手段を搭載したベース部と、分離可能な雌雄一対の連結機構及び該連結機構に含まれ該連結機構を分離させる分離動作部を設けた連結部と、前記吊荷とを、この順序で直列に連結し、前記制御手段により、操作部から無線で送信される制御信号に応じて、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気の供給を制御し、前記圧縮空気供給部から前記連結部の分離動作部へ圧縮空気を供給することによって、前記連結機構を前記吊り下げ手段による前記吊荷の吊り下げ方向と平行な方向に分離させる切離方法(請求項6)。
【0022】
(8)上記(7)項において、前記連結部の連結機構を、前記ベース部に連結するソケット部と、前記吊荷に固定するプラグ部とで構成し、前記ソケット部に、前記圧縮空気供給部から供給される圧縮空気を取り込むための取込部と、リニアスライド部及び施錠子を備え、前記プラグ部との結合状態を維持するためのロック機構とを設け、前記取込部を介して前記ロック機構に圧縮空気を供給して、前記ソケット部と前記プラグ部との分離方向と平行に前記リニアスライド部を移動させることで、前記施錠子により前記プラグ部との結合状態を維持又は解除する切離方法(請求項7)。
【0023】
(9)上記(8)項において、前記プラグ部に、外周に溝を設けた円筒状部を形成し、前記ソケット部に、円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に配置する円筒状の内筒部とを設け、該内筒部の内側に前記プラグ部の前記円筒状部を挿入するための挿入穴を形成し、前記内筒部の円周側に該内筒部を貫通する態様で、該内筒部の円周方向に間隔を空けて複数の施錠子保持孔を設け、前記内筒部の前記複数の施錠子保持孔の各々が形成された部分の肉厚よりも大きい直径を有し、前記挿入穴に挿入された状態の前記プラグ部の円筒状部の溝に係合可能な、前記施錠子を成す複数の球体の各々を、前記複数の施錠子保持孔の各々の内部に各施錠子保持孔の貫通方向へと変位可能に配置し、前記外筒部と前記内筒部との間に、前記リニアスライド部を成す円筒状のスリーブを摺動可能に設置し、前記取込部から圧縮空気が取り込まれていない状態において、前記複数の施錠子保持孔を覆う位置に前記スリーブを変位させ、前記取込部から圧縮空気が取り込まれている状態において、前記複数の施錠子保持孔を覆わない位置に前記スリーブを変位させる変位手段を設ける切離方法。
【0024】
(10)上記(7)から(9)項において、前記制御手段を、前記圧縮空気供給部から前記連結部への圧縮空気供給路上に設置するソレノイドバルブと、前記操作部から受信する制御信号に応じて前記ソレノイドバルブへ開閉信号を送信する受信部と、前記ソレノイドバルブ及び前記受信部へ電力を供給する電力供給部と、で構成する切離方法(請求項8)。
(11)上記(10)項において、前記圧縮空気供給部をエアタンクによって構成し、前記電供給部をバッテリーによって構成する切離方法(請求項9)。
【0025】
(12)上記(7)から(11)項において、前記ベース部を常に水上に配置する切離方法(請求項10)。
そして、(7)から(12)項に記載の切離方法は、各々、上記(1)から(6)項の切離装置を利用して実行されるものであり、上記(1)から(6)項の切離装置と同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記のような構成であるため、吊荷の接触を発生させることなく、吊荷を迅速に投入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態に係る切離装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る切離装置の各構成部材の配置例を示すイメージ図である。
図3】本発明の実施の形態に係る切離装置に用いられる連結部の構造の一例を示す、一部が破断されて断面で図示された正面図であり、分離状態の連結部を示している。
図4】結合状態の図3の連結部を示す、一部が破断されて断面で図示された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。なお、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る切離装置10の構成の一例を示すブロック図であり、図2は、作業船80に搭載されたクレーン等の吊り下げ手段82により、吊荷88を水面上に解き放つ場合の、切離装置10の配置例を示すイメージ図である。図1に示されているように、本発明の実施の形態に係る切離装置10は、連結部12、圧縮空気供給部60、操作部62、制御手段64、及び、ベース部74を含んでいる。図2の例では、吊り下げ手段82の先端82aに、圧縮空気供給部60と制御手段64とを搭載したベース部74が連結され、ベース部74に連結索84を介して連結部12が連結され、連結部12に連結具86を介して吊荷88が取り付けられている。
【0029】
操作部62は、作業船80上の作業員等によって操作され、切離装置10の切り離し動作に係る制御信号を、無線で制御手段64に対して送信するものである。操作部62には、任意の無線送信手段が利用でき、例えば、後述する受信部68との組み合わせで、所謂テレコンが用いられてもよい。操作部62に求められる無線送信距離は、吊り下げ手段82の大きさ等を考慮して、作業船80と、吊り下げ手段82により吊り下げられるベース部74上の制御手段64との間で無線通信が可能な、必要十分な距離であればよく、例えば数十〜百メートル程度が想定される。
【0030】
ベース部74は、圧縮空気供給部60及び制御手段64を搭載し、それらが連結部12の近傍に配置されるように、吊り下げ手段82と連結部12との間に連結されている。図2の例では、ベース部74は、フレーム構造のものが採用されている。しかしながら、ベース部74は、搭載する圧縮空気供給部60及び制御手段64の重量や、吊荷88からかかる負荷等を考慮した強度を有するものであれば、箱状等の他の形状のものであってもよい。ベース部74は、常に水上に配置される。
ベース部74に搭載される圧縮空気供給部60は、連結部12に対して圧縮空気を供給するためのものであり、例えば、エアコンプレッサやエアタンク等が用いられる。小型軽量化の観点からはエアタンクが好ましく、この場合には、吊荷88の投入作業に先立ち、エアタンクに圧縮空気が充填される。
【0031】
ベース部74に搭載される制御手段64は、ソレノイドバルブ66、受信部68、電力供給部70を含んでいる。受信部68は、操作部62から無線で送信される制御信号を受信し、それをソレノイドバルブ66の開閉動作に係る開閉制御信号に変換して、ソレノイドバルブ66へ送信する。ソレノイドバルブ66は、圧縮空気供給部60から連結部12への圧縮空気の供給路上に設置され、受信部68から受信する開閉制御信号に応じて開閉動作を行い、それによって圧縮空気の供給を開始及び停止させるものである。又、電力供給部70は、ソレノイドバルブ66と受信部68とに電力を供給するものであり、例えば、バッテリーや発電機が利用される。小型軽量化の観点からはバッテリーが好ましく、この場合には、吊荷88の投入作業に先立ち、バッテリーに充電されるか、或いは、充電済みのバッテリーが搭載される。
【0032】
制御手段64が上記のような構成であることで、無線の制御信号の受信から圧縮空気供給路の開閉動作までを、ベース部74に搭載される電気回路のみで行うことができるため、信頼性及び応答性を高めることが可能となる。更に、上述したように、圧縮空気供給部60がエアタンクであり、電供給部70がバッテリーであることで、ベース部74に搭載される部材の中でも、比較的大きくなることが懸念されるこれらの部材が小型軽量化され、ベース部74の小型軽量化を図ることができる。このため、ベース部74に必要な強度や、吊り下げ手段82にかかる荷重を低減することができる。
【0033】
連結部12は、連結機構14と、連結機構14に含まれる分離動作部16とを含んでいる。連結機構14は、吊り下げ手段82による吊荷88の吊り下げ方向と平行な方向、すなわち、吊荷88を投入する方向(図2における上下方向)へと分離可能な雌雄一対の構造を備えており、分離動作部16は、ソレノイドバルブ66を介して圧縮空気供給部60から供給される圧縮空気を受けて、連結機構14を分離させるように構成されている。このため、ベース部74上で圧縮空気供給部60に接続されているソレノイドバルブ66と、ベース部74に連結索84を介して連結されている連結部12とは、図2で確認できるように、圧縮空気の供給配管76によって接続されている。
【0034】
上記のような構成の切離装置10は、作業員等によって操作部62に対して切り離し動作に係る操作が行われるまでは、ソレノイドバルブ66が常に閉状態になるように構成されている。このため、その状態では、圧縮空気供給部60から連結部12へ圧縮空気が供給されず、連結部12の連結機構14が分離されずに、連結機構14の結合状態が維持される。そして、作業員等によって操作部62に対して切り離し動作に係る操作が行われると、そのための制御信号が、無線で、作業船80上の操作部62から、吊り下げ手段82に連結されたベース部74上の制御手段64の受信部68へ送信される。制御手段64は、その制御信号を受信すると、ベース部74上の圧縮空気供給部60から、ベース部74に連結された連結部12に対する、圧縮空気の供給を許可する。具体的に、制御手段64の受信部68により受信された制御信号は、ソレノイドバルブ66を開くための信号へと変換されて、ソレノイドバルブ66へ送信され、この信号を受信したソレノイドバルブ66が開状態になる。すると、圧縮空気供給部60からソレノイドバルブ66を介して連結部12へ圧縮空気が供給され、この圧縮空気を受けて、分離動作部16によって連結機構14が分離され、連結部12に固定されていた吊荷88が水面上に投入される。
【0035】
ここで、操作部62に対して行われる操作は、切り離しの実行操作と停止操作とが別々に入力されるものであってもよく、切り離しの実行操作が連続的に入力され、その入力の終了をもって停止操作とみなすものであってもよい。
なお、水面上に解き放つ吊荷88としては、例えばボートや水上探査艇等が想定される。一方、水中に解き放つ吊荷88としては、例えば消波ブロック等が挙げられ、この場合には、ベース部74より先の連結索84や連結具86と共に吊荷88を水中に沈ませた状態で、上記のような切り離し動作を行えばよい。又、切離装置10を利用して投入される吊荷88の重さとしては、10t程度までが想定される。
【0036】
このように、本発明の実施の形態に係る切離装置10は、作業船80上に配置される操作部62から、遠隔操作によって吊荷88の投入が行われるため、吊荷88と作業船80との距離を十分にあけることができ、吊荷88と作業船80の船体との接触を防止することができる。又、潜水士による吊荷88の玉外し作業が不要となるため、潜水士の吊荷88や作業船80等への接触が発生することはない。更に、構造が単純であり、又、圧縮空気の供給経路が、ベース部74上の圧縮空気供給部60からベース部74に連結された連結部12までの長さであるため、切り離しの操作が行われると迅速に吊荷88を投入することが可能となる。加えて、連結部12に対して圧縮空気が供給されると分離可能な状態になるものであるため、例えば、空気漏れ等によって圧縮空気の供給に弊害が生じた場合であっても、連結部12が分離されることはなく、フェールセーフが図られている。又、分離動作の駆動力として、油圧ではなく圧縮空気を利用するため、油漏れ等によって水中を汚すことがないものである。
【0037】
又、本発明の実施の形態に係る切離装置10は、吊り下げ手段82と連結部12との間に連結されたベース部74が水上に配置されることで、ベース部74に搭載される圧縮空気供給部60及び制御手段64(ソレノイドバルブ66、受信部68、電力供給部70)が、水上に配置されるものである。すなわち、圧縮空気の供給源である圧縮空気供給部60と、圧縮空気供給の制御を行う制御手段64との双方が、圧縮空気の供給先である連結部12と可能な限り近接されながらも、水上に配置される。これにより、圧縮空気の供給と供給制御とを水上で行うことになるため、圧縮空気を利用した切り離し動作の信頼性を向上することができる。又、図2の例のように、吊荷88を水面上に投入する場合には、連結部12も水上に配置されることになるため、圧縮空気供給部60から連結部12への圧縮空気の供給配管76を、可能な限り短く構成することができる。
【0038】
続いて、本発明の実施の形態に係る切離装置10に用いられる連結部12の構造の一例について、図3及び図4を参照しながら更に詳しく説明する。なお、図3には分離状態の連結部12を示しており、図4には結合状態の連結部12を示している。
図3に示されているように、連結部12は、分離可能な連結機構14の雌雄一対の構造として、ソケット部18とプラグ部40とを備えている。ソケット部18は、連結索84及びシャックル46を介してベース部74側に連結され、プラグ部40は、連結具86を介して吊荷88側に固定される(図2参照)。すなわち、ベース部74に連結される雌型のソケット部18と、吊荷88に固定される雄型のプラグ部40とが、吊り下げ手段82による吊荷88の吊り下げ方向と平行な方向(図2中上下方向)へ分離可能に結合された構造を有している。なお、図3及び図4に示されているソケット部18は、その中心軸Cより図中右側が断面として示されている。
【0039】
プラグ部40は、溝44が外周に設けられた円筒状部42と、フランジ部48と、連結具86が固定される固定部50とを有している。
ソケット部18は、取込部20、ロック機構22、外筒部32、内筒部34、及び、挿入穴36を含んでいる。内筒部34は、図中下方の内部に挿入穴36が設けられた略円筒状をなしており、断面L字型をなす略円筒状の外筒部32が、内筒部34の外側に装着されている。外筒部32は、その断面L字型の短辺部の先端に相当する部位が、内筒部34の外周に嵌合しており、外筒部32の断面L字型の長辺部に相当する部位と、内筒部34の外周との間には、隙間が設けられている。取込部20は、圧縮空気供給部60から供給される圧縮空気を取り込むためのものであり、ベース部74上のソレノイドバルブ66から延びる圧縮空気の供給配管76と接続される(図2参照)。取込部20とシャックル46とは、内筒部34に設けられている。内筒部34の内部に設けられた挿入穴36は、連結部12の結合時にプラグ部40の円筒状部42が挿入される部位であり、円筒状部42が挿入可能な大きさの略円筒状をなしている。
【0040】
ロック機構22は、ソケット部18に対するプラグ部40の結合状態を維持するためのものであり、本実施例では、内筒部34に設けられた複数の施錠子保持孔24と、各施錠子保持孔24の内部に設置された複数の球体(施錠子)28と、外筒部32と内筒部34との間の隙間に設置されたスリーブ(リニアスライド部)26と、変位手段30とで構成されている。複数の施錠子保持孔24は、内筒部34の、挿入穴36が設けられた部位の円周側に、内筒部34を貫通する態様で、本実施例では内筒部34の円周方向に90度の等間隔を空けて4つ設けられ、図3及び図4ではそのうちの1つのみが図示されている。すなわち、複数の施錠子保持孔24の各々は、内筒部34内側の挿入穴36と連通する状態となる。そして、各施錠子保持孔24の内部に設置された複数の球体28は、本実施例では施錠子保持孔24と同様に合計で4つ配置され、図3及び図4ではそのうちの1つのみが図示されている。更に、複数の球体28の各々は、内筒部34の施錠子保持孔24が形成された部分の肉厚よりも大きい直径を有している。一方、各施錠子保持孔24は、図3の上下方向の幅が、球体28の図中左右方向(円筒部34の半径方向)への変位を許容する大きさに形成されている。
【0041】
略円筒状のスリーブ26は、外筒部32と内筒部34との間の隙間に、ソケット部18とプラグ部40との分離方向と平行(図中上下方向)に摺動可能に設置されており、図中上方向への摺動限界位置が外筒部32によって、図中下方向への摺動限界位置が内筒部34によって規定されている。変位手段30は、スリーブ26を摺動させるためのものである。具体的に、変位手段30は、取込部20から圧縮空気が取り込まれていない状態(図3及び図4(a)の状態)では、例えば図示の例のごとくバネ等の弾性体を利用して、図中下方向の摺動限界位置へとスリーブ26を付勢する。このとき、図から確認できるように、各施錠子保持孔24の、中心軸Cを基準として外側の開口が、スリーブ26により覆われる状態になる。一方、変位手段30は、取込部20から圧縮空気が取り込まれている状態(図4(b)の状態)では、その取り込まれた圧縮空気の圧力を利用して、バネ等の弾性体による付勢力に勝る力をスリーブ26に付与し、図中上方向の摺動限界位置へとスリーブ26を摺動させる。このとき、図から確認できるように、各施錠子保持孔24の、中心軸Cを基準として外側の開口が、スリーブ26により覆われない状態になる。
【0042】
図3及び図4に示す連結部12は、以下のように動作する。すなわち、切り離し動作を行う前の、吊り下げ手段82により吊荷88を吊り下げている状態では、図4(a)に示されているように、ソケット部18の挿入穴36にプラグ部40の円筒状部42が挿入され、ソケット部18とプラグ部40とが結合される。このとき、圧縮空気供給部60から取込部20へ圧縮空気が供給されないため、変位手段30は、弾性体を利用して図4(a)に示す位置へとスリーブ26を付勢する。すると、各施錠子保持孔24の、中心軸Cを基準として外側の開口が、スリーブ26により覆われるため、各施錠子保持孔24の内部に配置されている球体28は、各施錠子保持孔24の外側の開口よりも外側への変位がスリーブ26によって規制される。このため、内筒部34の各施錠子保持孔24が形成された部分の肉厚よりも、大きい直径を有する各球体28は、各施錠子保持孔24の、中心軸Cを基準として内側の開口よりも内側へ突出し、プラグ部40の円筒状部42に設けられた溝44に係合する。これにより、ソケット部18とプラグ部40との結合状態が維持される。
【0043】
そして、図3及び図4に示す連結部12が切り離し動作を行う際には、圧縮空気供給部60から圧縮空気が供給されて、取込部20からソケット部18へ圧縮空気が取り込まれる。すると、図4(b)に示されているように、変位手段30は、取り込まれた圧縮空気の圧力を利用して、各施錠子保持孔24の外側の開口を覆わない位置まで、図中上方にスリーブ26を摺動させる。これにより、各施錠子保持孔24の内部に配置されている球体28は、各施錠子保持孔24の外側の開口よりも外側への変位が可能になる。このため、各球体28は、例えば吊荷88に連結されているプラグ部40に分離方向への負荷が加わるタイミングで、内筒部34の半径方向外側へ変位し、溝44への係合状態が解除される。そして、図3に示すように、ソケット部18とプラグ部40との結合が解除されて、切り離し動作が行われるものである。なお、図3に示されているソケット部18は、圧縮空気の供給が停止されて、既にスリーブ26が図中下方に下げられた状態である。このような構成であるため、図3及び図4に示す連結部12は、図1に示した分離動作部16が、取込部20とロック機構22とで構成されている。
【0044】
上記のような構成により、本発明の実施の形態に係る切離装置10は、ソケット部18とプラグ部40とを瞬時に分離することができる。これにより、図2の例のように、水面上に吊荷88を解き放つ場合に、上下動する水面に吊荷88を浮かばせ、水面が上昇して下降し始める直前のタイミングで、吊荷88を投入する操作を行うことで、損傷を与えることなく吊荷88を瞬時に投入することが可能となる。
一方、本発明の実施の形態に係る切離方法は、上述した本発明の実施の形態に係る切離装置10を利用して実行されるものであり、本発明の実施の形態に係る切離装置10と同等の作用効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0045】
10:切離装置、12:連結部、14:連結機構、16:分離動作部、18:ソケット部、20:取込部、22:ロック機構、26:リニアスライド部(スリーブ)、28:施錠子(複数の球体)、40:プラグ部、60:圧縮空気供給部、62:操作部、64:制御手段、66:ソレノイドバルブ、68:受信部、70:電力供給部、74:ベース部、82:吊り下げ手段、88:吊荷
図1
図2
図3
図4