特許第6800802号(P6800802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6800802アルカリ蓄電池用バイポーラ電極及びアルカリ蓄電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800802
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】アルカリ蓄電池用バイポーラ電極及びアルカリ蓄電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/24 20060101AFI20201207BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H01M4/24 Z
   H01M4/70 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-87485(P2017-87485)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-185999(P2018-185999A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 聡
(72)【発明者】
【氏名】愛清 仁
(72)【発明者】
【氏名】杉本 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
(72)【発明者】
【氏名】篠田 英明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−071788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00 − 4/62
H01M 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の山状部と、上記山状部同士の間に形成された多数の谷状部とを備えた金属箔と、
上記金属箔の一方の面における上記山状部及び上記谷状部に配置された正極活物質層と
上記金属箔の他方の面における上記山状部及び上記谷状部に配置された負極活物質層と、を有し、
上記谷状部に配置された上記正極活物質層及び上記負極活物質層の表面は、当該谷状部の形状に沿った凹面状に湾曲しており、
上記谷状部の底における上記正極活物質層の厚みは、上記山状部の頂点における上記正極活物質層の厚みよりも厚く、
上記谷状部の底における上記負極活物質層の厚みは、上記山状部の頂点における上記負極活物質層の厚みよりも厚い、アルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項2】
上記谷状部は、一定のピッチで配置されている、請求項1に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項3】
上記谷状部は、上記山状部に取り囲まれている、請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項4】
隣り合う上記谷状部が上記山状部を介して連なっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項5】
上記金属箔のいずれか一方の面において、上記山状部が格子状に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項6】
上記山状部及び上記谷状部は直線状を呈しており、上記山状部と上記谷状部とが交互に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用バイポーラ電極と、セパレータとが交互に積層された電極組立体を有するアルカリ蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ蓄電池用バイポーラ電極及びアルカリ蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ蓄電池は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリーに用いられている。この種のアルカリ蓄電池は、複数の電極がセパレータを介して積層された電極組立体を有している。また、セパレータとしては不織布が使用されており、不織布を構成する繊維同士の隙間に電解液が保持されている。セパレータは、その内部に保持された電解液を迅速に電極に供給することができるように、電極に密着して配置されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−164036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルカリ蓄電池においては、充電中に正極が収縮し、負極が膨張する。このときの正極の収縮量は、負極の膨張量と厳密に同一ではないため、電極組立体の積層方向における電極間の距離は、充電率に応じて変動する。また、放電中には、充電中とは逆に、正極が膨張し、負極が収縮する。このときの正極の膨張量は、負極の収縮量と厳密に同一ではないため、充電時と同様に、電極組立体の積層方向における電極間の距離は、充電率に応じて変動する。
【0005】
充放電中に電極間距離が狭くなった場合は、電極同士の間に配置されたセパレータが圧縮され、セパレータ内に保持された電解液が、セパレータの側周面を介して電極組立体の外部へ押し出される。一方、電極間距離が広くなった場合は、電極同士の距離の増大に伴ってセパレータの厚みが復元される。そして、セパレータの厚みの復元に伴って、セパレータから押し出された電解液がセパレータ内に吸収される。
【0006】
このとき、セパレータ外に存在する電解液は、セパレータの側周面から吸収され、不織布における繊維同士の間の隙間を通ってセパレータの内側へ移動する。そのため、セパレータ内における側周面からの距離が比較的大きい部位は、当該距離が比較的小さい部位に比べて、電解液が到達するまでに長い時間を要する。また、場合によっては、セパレータ内に局所的に電解液の存在しない部分が生じ、内部抵抗の増大を招くおそれもある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電極やセパレータへの電解液の供給を迅速に行うことができ、内部抵抗を低減できるアルカリ蓄電池用バイポーラ電極及びこの電極を備えたアルカリ蓄電池を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、多数の山状部と、上記山状部同士の間に形成された多数の谷状部とを備えた金属箔と、
上記金属箔の一方の面における上記山状部及び上記谷状部に配置された正極活物質層と
上記金属箔の他方の面における上記山状部及び上記谷状部に配置された負極活物質層と、を有し、
上記谷状部に配置された上記正極活物質層及び上記負極活物質層の表面は、当該谷状部の形状に沿った凹面状に湾曲しており、
上記谷状部の底における上記正極活物質層の厚みは、上記山状部の頂点における上記正極活物質層の厚みよりも厚く、
上記谷状部の底における上記負極活物質層の厚みは、上記山状部の頂点における上記負極活物質層の厚みよりも厚い、アルカリ蓄電池用バイポーラ電極にある。
【発明の効果】
【0009】
上記アルカリ蓄電池用バイポーラ電極(以下、単に「電極」という。)は、多数の山状部と、多数の谷状部とを備えた金属箔を有している。また、谷状部に配置された活物質層の表面は、当該谷状部の形状に沿った凹面状に湾曲している。そのため、上記電極とセパレータとを交互に積層した際に、活物質層の表面とセパレータとの間に隙間を形成することができる。
【0010】
このように、活物質層の表面とセパレータとの間に隙間を形成することにより、充放電時に圧縮されたセパレータから押し出された電解液を当該隙間に保持することができる。また、セパレータの厚みが復元する際に、上記隙間に保持された電解液を再びセパレータや電極の各部に供給することができる。
【0011】
また、上記電極においては、谷状部の底における活物質層の厚みが山状部の頂点における活物質の厚みよりも厚くなっているため、比較的厚みの厚い谷状部により多くの電解液を供給する必要がある。これに対し、上記隙間は、上記電極における谷状部に対応する位置に形成される。そのため、上記隙間に保持された電解液を、谷状部上に配置された活物質層に迅速かつ円滑に供給することができる。
【0012】
以上のように、上記電極によれば、電極やセパレータへの電解液の供給を迅速に行うことができ、アルカリ蓄電池の内部抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1における、電極の平面図である。
図2図1のII−II線一部矢視断面図である。
図3図2に相当する断面のSEM像である。
図4】実施例1の金属箔における、山状部及び谷状部の拡大斜視図である。
図5】実施例2における、金属箔の断面が波状を呈する電極の一部断面図である。
図6】実施例2の金属箔における、曲面から構成された山状部及び谷状部の拡大斜視図である。
図7】実施例3における、電極を備えたアルカリ蓄電池の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電極は、金属箔の一方の面上に正極活物質層を有するとともに、他方の面上に負極活物質層を有するバイポーラ電極である
【0015】
バイポーラ電極を電極組立体に組み込む場合には、セパレータを介して複数枚のバイポーラ電極を積層するという単純な構成により、正極活物質層と負極活物質層とがセパレータを介して対面した単セルを直列に接続することができる。その結果、アルカリ蓄電池の起電力をより高くすることができる。
【0016】
また、バイポーラ電極を用いる場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて、電極の総数に対する単セルの数を増やすことができる。それ故、電極の総数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて単セルの数を多くすることができる。また、単セルの数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて電極の総数を少なくし、積層方向におけるアルカリ蓄電池の寸法をより小さくすることができる。
【0017】
集電体としての金属箔は、多数の山状部と、山状部同士の間に形成された多数の谷状部とを有している。このような凹凸形状は、例えば、表面に凹凸を形成した圧延ロール等を用い、金属箔に当該ロール等の表面形状を転写することにより容易に形成することができる。
【0018】
山状部は、金属箔の厚み方向から視た平面視において、点在していてもよいし、直線状に延在していてもよい。前者の場合には、山状部は、角錐状、円錐状、錐台状等の種々の形態を採り得る。また、後者の場合には、山状部は、延在方向に垂直な断面において、三角形状、台形状、弧状等の種々の断面形状を採り得る。
【0019】
谷状部は、山状部同士の間に形成されている。谷状部は、一定のピッチで配置されていることが好ましい。この場合には、電極とセパレータの間の隙間を、電極の全面に均等に設けることができる。これにより、電解液の局所的な消失をより効果的に抑制し、アルカリ蓄電池の内部抵抗をより低減することができる。
【0020】
谷状部は、山状部に取り囲まれていることが好ましい。この場合には、電極とセパレータとの間の隙間が山状部上に配置された活物質層によって区画されるため、各隙間から当該隙間に隣接する隙間への電解液の移動を抑制することができる。その結果、電解液を各隙間に保持し、谷状部に配置された活物質層に電解液をより確実に供給することができる。
【0021】
上記電極において、活物質層は、集電体としての金属箔の片面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。金属箔を裏側から視た場合に上述した山状部と谷状部とによって形成される金属箔の凹凸は、金属箔を表側から視た場合の凹凸を反転させた形状となる。即ち、金属箔を表側から視た場合の谷状部は、裏側から視たときの山状部となる。同様に、金属箔を表側から視たときの山状部は、裏側から視たときの谷状部となる。
【0022】
このように、金属箔は、表側及び裏側のいずれから視ても、多数の山状部と多数の谷状部とを有している。それ故、活物質層を金属箔の両面に設ける場合には、いずれの面においても、上記特定の形状を有する活物質層を形成することができる。その結果、各活物質層に電解液を迅速かつ円滑に供給することができる。
【0023】
活物質層は、通常、活物質とバインダとを含んでいる。活物質としては、例えば、水酸化ニッケルや水素吸蔵合金等の、アルカリ蓄電池用として公知の活物質を採用することができる。
【0024】
山状部の頂点における活物質層の厚みは10〜50μmの範囲で適宜設定することができる。また、谷状部の底における活物質層の厚みは50〜150μmの範囲で適宜設定することができる。活物質層の厚みを上記特定の範囲とすることにより、セパレータから押し出された電解液を活物質層とセパレータとの隙間に保持するとともに、谷状部上に配置された活物質層に電解液を迅速かつ円滑に供給することができる。
【0025】
上記電極とセパレータとを交互に積層することにより、アルカリ蓄電池に組み込まれる電極組立体を作製することができる。セパレータとしては、例えば、親水性官能基を有する不織布等の、ニッケル水素蓄電池用として公知のセパレータを使用することができる。この不織布を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂を採用することができる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
上記アルカリ蓄電池用バイポーラ電極の実施例を、図を用いて説明する。図1図3に示すように、電極1は、多数の山状部21と、山状部21同士の間に形成された多数の谷状部22とを備えた金属箔2と、山状部21及び谷状部22に配置された活物質層3(3p、3n)とを有している。図2及び図3に示すように、谷状部22に配置された活物質層3の表面31(31p、31n)は、当該谷状部22の形状に沿った凹面状に湾曲している。また、谷状部22の底221における活物質層3の厚みは、山状部21の頂点211における活物質層3の厚みよりも厚くなっている。
【0027】
図2及び図3に示すように、本例の電極1は、金属箔2の一方の面上に正極活物質層3pが配置され、他方の面上に負極活物質層3nが配置されたバイポーラ電極として構成されている。図1に示すように、正極活物質層3pは、金属箔2の周縁部23よりも内側に配置されている。また、図には示さないが、負極活物質層3nも、正極活物質層3pと同様に、金属箔2の周縁部23よりも内側に配置されている。以下において、便宜上、電極1及び金属箔2の表裏方向に関して、正極活物質層3pが配置されている側を「表側」といい、負極活物質層3nが配置されている側を「裏側」ということがある。
【0028】
金属箔2は、厚み10μmのニッケル箔から構成されている。金属箔2における正極活物質層3p及び負極活物質層3nが配置される部分には、多数の山状部21と、山状部21同士の間に形成された多数の谷状部22とが設けられている。図1及び図2に示すように、表側、即ち、正極活物質層3pが配置される側から視た金属箔2の平面視において、山状部21は格子状に配置されている。また、図4に示すように、これらの山状部21によって区画された部分には、四角錐状を呈する谷状部22が形成されている。このように、本例の谷状部22は、山状部21に取り囲まれている。本例における谷状部22の一辺の長さは0.5mmであり、谷状部22の深さは0.4mmである。
【0029】
図には示さないが、金属箔2を裏側から視た場合には、上述した山状部21と谷状部22とが入れ替わっている。即ち、裏側から視た金属箔2の平面視においては谷状部が格子状に配置されており、谷状部によって区画された部分に四角錐状を呈する山状部が形成されている。
【0030】
図1図3に示すように、正極活物質層3pは、金属箔2の表側面上に配置され、山状部21及び谷状部22の両方を覆っている。図2及び図3に示すように、金属箔2を表側から視た場合において、谷状部22に配置された正極活物質層3pの表面31pは、谷状部22の形状に沿った凹面状を呈している。
【0031】
本例の正極活物質層3pは、水酸化ニッケルを含む正極活物質32pと、正極活物質32p同士を接着するバインダ(図示略)とを有している。正極活物質層3pの目付は、例えば20〜50mg/cm2の範囲で適宜設定することができる。本例における正極活物質層3pの目付は23mg/cm2である。また、山状部21の頂点211における正極活物質層3pの厚みは25μmであり、谷状部22の底221における正極活物質層3pの厚みは135μmである。
【0032】
また、負極活物質層3nは、金属箔2の裏側面上に配置され、山状部及び谷状部の両方を覆っている。図2及び図3に示すように、金属箔2を裏側から視た場合において、谷状部に配置された負極活物質層3nの表面31nは、谷状部の形状に沿った凹面状を呈している。
【0033】
本例の負極活物質層3nは、水素吸蔵合金からなる負極活物質32nと、負極活物質32n同士を接着するバインダ(図示略)とを有している。負極活物質層3nの目付は、例えば20〜60mg/cm2の範囲で適宜設定することができる。本例における負極活物質層3nの目付は48mg/cm2である。また、山状部21の頂点211における負極活物質層3nの厚みは45μmであり、谷状部22の底221における負極活物質層3nの厚みは145μmである。
【0034】
本例の電極1は、例えば、以下の方法により作製することができる。まず、表面に四角錐状の突起を多数有する圧延ロールを準備し、この圧延ロールの表面形状を凹凸のない金属箔に転写する。これにより、図4に示すように、金属箔2に山状部21と谷状部22とを形成することができる。
【0035】
次に、活物質32(32p、32n)、バインダ及び溶媒を含むスラリーを準備し、バーコーターやロールコーター等の公知の方法を用いてスラリーを金属箔2の両面に塗布する。このとき、バーコーター等を用いてスラリーを塗布する場合には、金属箔2上のスラリーの液面が平坦になる。また、ロールコーター等を用いてスラリーを塗布する場合にも、金属箔2上のスラリーの液面が表面張力によって平坦になる。それ故、谷状部22上のスラリーの厚みを山状部21上のスラリーの厚みよりも厚くすることができる。
【0036】
その後、スラリーを乾燥させて溶媒を除去することにより、金属箔2上に正極活物質層3p及び負極活物質層3nを形成することができる。上述したように、谷状部22に塗布されたスラリーの厚みは、山状部21に塗布されたスラリーの厚みよりも厚いため、スラリーを乾燥させることにより、谷状部22の底221における各活物質層3の厚みを、山状部21の頂点211における各活物質層3の厚みよりも厚くすることができる。
【0037】
スラリーを乾燥させた後、活物質層3p、3nを厚み方向にプレスし、正極活物質層3p及び負極活物質層3nを金属箔2に密着させることにより、電極1を得ることができる。
【0038】
次に、本例の作用効果を説明する。電極1は、多数の山状部21と、多数の谷状部22とを備えた金属箔2を有している。また、谷状部22に配置された活物質層3の表面31は、当該谷状部22の形状に沿った凹面状に湾曲している。そのため、電極1とセパレータ4とを交互に積層した際に、図2に示すように、活物質層3の表面31とセパレータ4との間に隙間Cを形成することができる。
【0039】
そして、活物質層3の表面31とセパレータ4との間に隙間Cを形成することにより、充放電時に圧縮されたセパレータ4から押し出された電解液を当該隙間Cに保持することができる。また、セパレータ4の厚みが復元する際に、隙間Cに保持された電解液を再びセパレータ4や電極1の各部に供給することができる。
【0040】
また、電極1とセパレータ4との間の隙間Cは、電極1における谷状部22に対応する位置に形成される。そのため、隙間Cに保持された電解液を、谷状部22上に配置された活物質層3に迅速かつ円滑に供給することができる。
【0041】
本例の谷状部22は、一定のピッチで配置されているため、電極1とセパレータ4の間の隙間Cを、電極1の全面に均等に設けることができる。これにより、電解液の局所的な消失をより効果的に抑制し、アルカリ蓄電池の内部抵抗をより低減することができる。
【0042】
また、電極1の表側において、各谷状部22が格子状の山状部21に取り囲まれている。そのため、電極1とセパレータ4との間の隙間Cを山状部21上に配置された活物質層3によって区画することができる。その結果、各隙間Cから当該隙間Cに隣接する隙間Cへの電解液の移動を抑制し、谷状部22に配置された活物質層3に電解液をより確実に供給することができる。
【0043】
以上のように、電極1によれば、電極1やセパレータ4への電解液の供給を迅速に行うことができ、アルカリ蓄電池の内部抵抗を低減することができる。
【0044】
(実施例2)
本例は、山状部24及び谷状部25の形状を変更した例である。なお、本実施例以降において用いる符号のうち、既出の実施例において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り、既出の実施例における構成要素等と同様の構成要素等を表す。
【0045】
図5及び図6に示すように、本例の電極102における金属箔202は、表側から視た平面視において格子状に配置された山状部24を有している。そして、これらの山状部24によって区画された部分には、滑らかな曲面からなる谷状部25が形成されている。その他は実施例1と同様である。
【0046】
図5に示すように、本例の電極102においては、実施例1と同様に、谷状部25に配置された活物質層3の表面31が谷状部25の形状に沿った凹面状を呈している。また、谷状部25の底251における活物質層3の厚みは、山状部24の頂点241における活物質層3の厚みよりも厚くなっている。それ故、本例の電極102は、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
(実施例3)
本例は、バイポーラ電極11と、セパレータ4とが交互に積層された電極組立体51を有するアルカリ蓄電池5の例である。
【0048】
図7に示すように、本例のアルカリ蓄電池5は、複数の電極11、12がセパレータ4を介して積層された電極組立体51を有している。電極組立体51は、その積層方向の両端にそれぞれ配置された終端電極12(12p、12n)と、これらの終端電極12p、12nの間に配置されたバイポーラ電極11とを有している。電極組立体51の積層方向における各端部には拘束部材52が当接している。電極組立体51の側周面はシール部53により覆われている。
【0049】
バイポーラ電極11は、実施例1の電極1と同様の構成を有している。なお、図7においては、便宜上、金属箔2の形状を簡略化したが、バイポーラ電極11の金属箔2は、山状部21及び谷状部22を有している。
【0050】
2つの終端電極12のうち一方の終端電極12pは、平坦な金属箔121と、金属箔121の片面に設けられた正極活物質層3pとを有している。また、他方の終端電極12nは、平坦な金属箔121と、金属箔121の片面に設けられた負極活物質層3nとを有している。
【0051】
本例の電極組立体51において、各電極11、12は、正極活物質層3pと負極活物質層3nとが積層方向において交互に並ぶように配置されている。これにより、セパレータ4と、当該セパレータ4に面した正極活物質層3p及び負極活物質層3nとにより構成される複数の単セルが電気的に直列に接続されている。
【0052】
電極組立体51の積層方向における両端には、金属製の拘束部材52が配置されている。拘束部材52は、図示しない保持板により、終端電極12の金属箔121に当接した状態で保持されている。また、拘束部材52は、ケース外に配置された電極端子と電気的に接続されている。これにより、電極組立体51と電極端子とが、拘束部材52を介して電気的に接続されている。
【0053】
電極組立体51の側周面は、シール部53により覆われている。また、シール部53には、バイポーラ電極11における金属箔2の周縁部23、及び、終端電極12における金属箔121の周縁部122が保持されている。
【0054】
本例のアルカリ蓄電池5は、バイポーラ電極11における正極活物質層3pとセパレータ4との間、及び、負極活物質層3nとセパレータ4との間に多数の隙間C(図3参照)を有している。そのため、充放電時に圧縮されたセパレータ4から押し出された電解液を当該隙間Cに保持することができる。また、セパレータ4の厚みが復元する際に、隙間Cに保持された電解液を再びセパレータ4や電極1の各部に供給することができる。その結果、アルカリ蓄電池5の内部抵抗を低減することができる。
【0055】
また、アルカリ蓄電池5は、セパレータ4を介して複数枚のバイポーラ電極11が積層された電極組立体51を有している。これにより、正極活物質層3pと負極活物質層3nとがセパレータ4を介して対面した単セルを直列に接続することができる。その結果、アルカリ蓄電池5の起電力をより高くすることができる。
【0056】
また、バイポーラ電極11を用いることにより、単極性の電極を用いる場合に比べて、電極の総数に対する単セルの数を増やすことができる。それ故、電極の総数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて単セルの数を多くすることができる。また、単セルの数が同じ場合には、単極性の電極を用いる場合に比べて電極の総数を少なくし、積層方向におけるアルカリ蓄電池5の寸法をより小さくすることができる。
【0057】
本発明に係るアルカリ蓄電池用バイポーラ電極及びアルカリ蓄電池の態様は、上述した実施例1〜3の態様に限定されるものではなく、その趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。例えば、実施例1及び実施例2においては、谷状部22、25が一定のピッチで配置された金属箔2、202の例を示したが、谷状部を無秩序に形成することもできる。
【0058】
また、実施例1及び実施例2では、表側から視た場合に山状部21、24が格子状を呈し、谷状部22、25が点在している金属箔2、202の例を示したが、山状部及び谷状部の両方を直線状とし、山状部と谷状部とを交互に配置することもできる。
山状部21、24の頂部は平坦になっていてもよい。同様に、谷状部22、25の底も平坦になっていてもよい
【符号の説明】
【0059】
1、11、102 アルカリ蓄電池用バイポーラ電極
2、202 金属箔
21、24 山状部
211、241 頂点
22、25 谷状部
221、251 底
3 活物質層
31 活物質層の表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7