(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態例の全体システムの説明]
以下、図面を参照して、本発明のエレベーター利用者案内システムの実施形態例(以下、「本例」という)を詳細に説明する。
図1に示すように、本例のエレベーター利用者案内システムは、管理対象である複数のビル1と、管理センター装置11と、スケジュール登録装置12が通信回線10により接続されている。
【0011】
ビル1には、複数台のエレベーター2(または、エレベーター号機2)、複数のエレベーター制御盤3、複数台のエレベーター2を群管理するエレベーター群管理装置4及び通信装置9が設けられる。また、各階層または1階エレベーターホールなど一部の階層のエレベーターホール5には、エレベーターホール5に入ってくる人物や車椅子等の映像を監視するための監視カメラ7と、監視カメラ7で撮影した映像を記録する映像記録装置6が設けられている。
【0012】
また、エレベーターホール5には、優先利用者であるVIPや車椅子利用者などの案内を行うための案内ロボット8が配置されており、この案内ロボット8は、通信装置9を介してエレベーター群管理装置4及び映像記録装置6と有線または無線により接続されている。案内ロボット8は、通信装置9経由でビル1内の各装置と相互に通信可能になっており、さらにインターネットなどの通信回線10を介して管理センター装置11と接続されている。管理センター装置11は、各ビル1に配置された案内ロボット8を含む各装置を一元的に管理する装置である。
【0013】
また、本例のエレベーター利用者案内システムには、スケジュール登録装置12が設けられている。このスケジュール登録装置12は、通信回線10を介して管理センター装置11に接続され、管理センター装置11のVIPスケジュール管理テーブル11dにVIPの来訪予定などを登録する。なお、VIPスケジュール管理テーブル11dについては
図6で後述する。
【0014】
ビル1内に設けられるエレベーター群管理装置4は、群管理制御部4a、群管理テーブル(TBL)4b、運転割当演算部4c、到着時間演算部4d及び通信インターフェース(IF)4eを備える。
群管理制御部4aは、複数台のエレベーター号機2を群として管理する。群管理テーブル4bは、各エレベーター号機2の運行状況を管理するための様々な情報が記録されるテーブルである。なお、群管理テーブル4bの詳細は、
図4で後述する。
【0015】
運転割当演算部4cは、ホール呼びまたは専用運転や優先運転の呼びに対応してどのエレベーター号機2を割り当てるかを演算して決定する。そして、到着時間演算部4dは、運転割当演算部4cで割り当てたエレベーター号機2が、呼びがあった階床に到着するまでの時間を演算する。通信インターフェース4eは、エレベーター制御盤3や通信装置9との通信を行う。
【0016】
[案内ロボットの構成と機能]
図2は、案内ロボット8の機能的な構成を示すブロック図である。案内ロボット8は、移動手段としての車輪または脚部を有する移動型のロボットである。
図2に示すように、案内ロボット8は、ロボット全体制御部20、駆動機構21、カメラ22、マイク23、スピーカ24、映像処理部25、発話制御部26、VIPスケジュール管理テーブル27及び車椅子識別用画像データベース28を備える。
【0017】
ロボット全体制御部20は、案内ロボット8が備える各機能の全体的な制御を司る。駆動機構21は、案内ロボット8の車輪または脚部を駆動する動力源となるアクチュエータである。映像処理部25は、カメラ22からの映像を元に人物(例えば、VIP)または車椅子の識別処理を行う。また、発話制御部26は、マイク23からの音声を元に優先利用者(VIPまたは車椅子利用者)の会話を聞き取り、それを受けてスピーカ24により優先利用者への発話を制御する。
【0018】
VIPスケジュール管理テーブル27は、後述する管理センター装置11のVIPスケジュール管理テーブル11dと同じ構成である。案内ロボット8はVIPスケジュール管理テーブル27を持つことで、VIPのスケジュールを管理センター装置11と共有することができる。
車椅子識別用画像データベース28には、車椅子に関する多種の画像が保存されており、案内ロボット8は、カメラ22からの映像を車椅子識別用画像データベース28に保存されている画像と照合して車椅子利用者を識別する。通信インターフェース29は、案内ロボット8がエレベーター群管理装置4や管理センター装置11との通信を行うためのインターフェースである。
【0019】
[管理センター装置の構成と機能]
再び
図1に戻って説明すると、管理センター装置11は、案内システム全体制御部11a、映像データ格納領域11b、ロボット管理テーブル11c、VIPスケジュール管理テーブル11d、VIP識別映像処理部11e、車椅子識別映像処理部11f及び通信インターフェース11gを備える。
案内システム全体制御部11aは、本例のエレベーター利用者案内システム全体を制御する機能を持つ。映像データ格納領域11bは、各ビル1の監視カメラ7または映像記録装置6から通信回線10を通して配信された映像データを格納する格納領域である。
【0020】
ロボット管理テーブル11cは、各ビル1のエレベーターホール5に配備される案内ロボット8を管理するためのテーブルである。なお、ロボット管理テーブル11cの詳細は
図5で後述する。VIPスケジュール管理テーブル11dは、VIP識別用画像データを含むVIP情報及びVIP来訪日時のスケジュールを管理するためのテーブルであり、詳細は
図6で後述する。
【0021】
また、VIP識別映像処理部11eは、各ビル1内に設置された監視カメラ7または映像記録装置6から配信される映像データの中からVIP画像を識別する。このVIP画像の識別に際しては、管理センター装置11の映像データ格納領域11bに予め格納されているVIP識別用画像データが用いられる。
車椅子識別映像処理部11fは、各ビル1の監視カメラ7または映像記録装置6から配信された映像データから車椅子画像を識別する。この車椅子画像の識別の際には、映像データ格納領域11bに予め格納されている車椅子画像が用いられる。
なお、VIP識別映像処理部11eと車椅子識別映像処理部11fを総称する場合には「優先利用者識別映像処理部」と述べることにする。
通信インターフェース11gは、管理センター装置11と各ビル1の各装置、及びスケジュール登録装置12との通信を行うためのインターフェースである。
【0022】
[案内ロボット及び管理センターのハードウェア構成]
図3は、本例のエレベーター利用者案内システムに用いられる、案内ロボット8と管理センター装置11のハードウェア構成を示す図である。
図3Aは、案内ロボット8のハードウェア構成を示し、
図3Bは、管理センター装置11のハードウェア構成を示す。
【0023】
図3Aに示すように、案内ロボット8は、バス30に接続されたCPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、不揮発性ストレージ34を備える。また、外部との通信を行うための通信インターフェース(通信IF)35を備える。
【0024】
CPU31は、案内ロボット8の各部の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM32から読み出して実行する。RAM33には、案内ロボット8内で行われる演算処理の途中で発生した変数等が一時的に書き込まれる。CPU31がROM32に記録されているプログラムコードを実行することにより、案内ロボット8内の各種機能が実現される。
通信インターフェース35は、
図2に示す通信インターフェース29と同じものであり、通信インターフェース35には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられる。この通信インターフェース35を通して、案内ロボット8はビル1内の通信装置9との通信を行う。
【0025】
不揮発性ストレージ34は、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性のメモリで構成され、CPU31が動作するために必要なプログラムやデータ等が、半永久的に記憶され格納される。この不揮発性ストレージ34には、
図2に示すVIPスケジュール管理テーブル27及び車椅子識別用画像データ28が格納される記憶領域が設けられる。
また、案内ロボット8は、入力部36と出力部37を備える。入力部36には、例えば
図2の案内ロボット8の具備するカメラ22、マイク23が該当し、出力部37には、
図2の案内ロボット8のスピーカ24が該当する。
【0026】
図3Bは、
図1の管理センター装置11のハードウェア構成を示す。
図3Bに示すCPU41、ROM42、RAM43は、
図3Aに示すCPU31、ROM32、RAM33と同じなのでここでは説明を省略する。
不揮発性ストレージ44は、SSD等の不揮発性のメモリで構成され、不揮発性ストレージ44内に、
図1に示す映像データ格納領域11b、ロボット管理テーブル11c及びVIPスケジュール管理テーブル11dに対応する記憶領域が形成される。また、ROM42と不揮発性ストレージ44には、CPU41が動作するために必要なプログラムやデータ等が、半永久的に記憶され格納されている。
通信インターフェース(通信IF)45には、例えば、NIC等が用いられ、この通信インターフェース45を通して、通信回線10を経由した通信装置9及びスケジュール登録装置12との通信が行われる。
【0027】
[各種テーブルの説明]
図4は、エレベーター群管理装置4の群管理制御部4aで用いられる群管理テーブルF1(
図1では群管理テーブル4b)のデータ構造を示している。
図4に示すように、群管理テーブルF1は、エレベーターの号機フィールドF1a、運転フィールドF1b、状態フィールドF1c、次の行先階への到着予測時間フィールドF1dを備える。
また、群管理テーブルF1は、走行中(□)または待機中(■)のかご位置、かご呼び(○)、上りホール呼び(▲)または下りホール呼び(▼)等の割当状況を各階床(1階〜4階)毎に格納するためのフィールドF1e〜F1hを備える。群管理制御部4aは、この群管理テーブルF1の各フィールドF1a〜F1hに格納される運行状況を用いて、エレベーター号機2の群管理を行う。
【0028】
図4に示すように、エレベーター1号機は、3階に上りホール呼び(▲)が、4階にかご呼び(○)が登録されている。そして、エレベーター1号機は、群管理運転で1階を走行中(□)であり、3階へ到着するまでの到着予測時間が25秒後であることを示している。また、エレベーター2号機は、4階で待機中(■)であることを示している。
エレベーター3号機は、3階に下りホール呼び(▼)とかご呼び(○)が登録されており、群管理運転で2階を走行中(□)であり、3階への到着予測時間が15秒後であることを示している。また、エレベーター4号機はVIP運転が指定されており、1階で待機中(■)であることを示している。
【0029】
ここでエレベーター群管理装置4の到着時間演算部4dは、各エレベーター号機2の運転の状態及びかご位置が変化したエレベーター号機2に対する演算を行う。例えば、エレベーター1号機の到着予測時間25秒は、1階床分だけ移動するのに10秒、かごが到着後に扉を開くまでに5秒という設定になっている。この演算は、予め現地のエレベーター仕様に合わせた予測時間により、エレベーター1号機が1階から走行を開始して3階に向かうことを前提としている。つまり、
図4では、2階床分×10秒+扉開5秒=25秒という演算結果が、エレベーター1号機の到着予測時間として、到着予測時間フィールドF1dに格納される。
【0030】
図5は、管理センター装置11のロボット管理テーブルF2(
図1ではロボット管理テーブル11c)のデータ構造を示している。
図5に示すように、ロボット管理テーブルF2は、ロボット番号フィールド(ロボットNo.)F2a、ビル名フィールドF2b、階層フィールドF2c、稼働状態フィールドF2d及び案内状態フィールドF2eを備える。
ここで、ロボット番号フィールドF2aには、各階層の案内ロボット8を特定するための番号(または符号)が格納される。ここでは案内ロボット8をロボット1号〜4号までの番号で特定している。ビル名フィールドF2bは、案内ロボット8が配備されているビル名を表し、階層フィールドF2cは案内ロボット8が配置される階層を表している。
【0031】
稼働状態フィールドF2dには、各案内ロボット8(ここではロボット1号〜4号)が稼働中であるか、待機中であるか、あるいは停止中であるかが示されている。また、案内状態フィールドF2eには、案内ロボット8が誰を案内しているかが示されている。ここでは、ロボット1号はAビルの1階でVIPを案内中であり、ロボット4号はBビルの1階で車椅子利用者を案内中であることがわかる。
【0032】
上述したように、各ビル1に配置される複数の監視カメラ7の映像データは、映像記録装置6を介して一定の周期で管理センター装置11に送られる。そして、管理センター装置11の案内システム全体制御部11aは、監視カメラ7からの映像データを、どの監視カメラ7からの映像であるかを示す識別子とともに、映像データ格納領域11bに格納する。
また、各ビル1の案内ロボット8は、
稼働状態などを一定の周期で管理センター装置11に送信する。管理センター装置11の案内システム全体制御部11aは、案内ロボット8から送信された稼働状態等の情報をロボット管理テーブル11c(
図5のロボット管理テーブルF2)に格納する。
【0033】
管理センター装置11は、ロボット管理テーブルF2のロボットの
稼働状態フィールドF2d及び案内状態フィールドF2eに格納されたデータを用いて案内ロボット8を管理する。
図5の例では、案内ロボット8の中のロボット1号は、Aビルの1階でVIPを案内中であり、ロボット2号はAビル3階で停止中であることを示している。また、ロボット3号はAビルの4階で待機中であり、ロボット4号はBビルの1階で車椅子利用者の案内中であることを示している。
【0034】
図6は、VIPスケジュール管理テーブルF3(
図1ではVIPスケジュール管理テーブル11d)のデータ構造を示している。
図6に示すように、VIPスケジュール管理テーブルF3は、予定時刻フィールドF3a、ビル名フィールドF3b、乗階フィールドF3c、降階フィールドF3d、VIP名フィールドF3e、判別用画像フィールドF3f、及び入方向フィールドF3gを備える。
【0035】
予定時刻フィールドF3aには、VIPスケジュールが登録された日時が格納され、ビル名フィールドF3bにはVIP登録が為されたビル名が格納される。また、乗階フィールドF3cにはVIPがエレベーターに乗車する階が格納され、降階フィールドF3dにはVIPがエレベーターから降車する階が格納される。さらに、VIP名フィールドF3eにはVIPがどのような人物であるか(例えば、当社社長または他社(B社)社長等)が格納され、判別用画像フィールドF3fにはVIPの顔画像が格納される。また、入方向フィールドF3gには、VIPが入ってくる方向が格納される。
【0036】
管理センター
装置11は、このVIPスケジュール管理テーブルF3を用いて、VIPのスケジュールを管理する。例えば、
図6のNo.1レコードは、3月21日8時50分に社長(当社社長)がAビルの1階入口から入り、4階で降りることを示している。またNo.2レコードは、3月21日12時に社長がAビルの4階大会議室から退室する予定であることを示している。また、No.3レコードは、3月22日12時50分にB社社長がAビルの1階入口から来訪して4階で降車することを示し、No.4レコードは、3月22日13時50分にB社長が4階C室から退室し、1階で降りる予定であることを示している。
【0037】
[スケジュール登録装置の説明]
図1に示すスケジュール登録装置12は、インターネット等の通信回線10を介して管理センター装置11に接続されている。そして、スケジュール登録装置12は、不図示のスケジュール登録画面を用いて、VIPのスケジュールを管理センター
装置11に登録することができる。管理センター装置11の案内システム全体制御部11aは、スケジュール登録装置12によってVIPのスケジュールが登録されると、登録されたVIPのスケジュールをVIPスケジュール管理テーブル11dに格納する。
【0038】
[VIP案内の処理手順の説明]
次に、
図7を参照して、本例のエレベーター利用者案内システムにおいて、エレベーター利用者がVIPである場合の処理手順について説明する。
まず、スケジュール登録装置12は、管理センター装置11のVIPスケジュール管理テーブルF3にVIPスケジュールの登録を行う(ステップS1)。このVIPスケジュールの登録が為されると、管理センター装置11はVIPスケジュール管理テーブルF3の予定時刻フィールドF3aを検索し、当日分のVIPスケジュール登録があるか否かを判定する(ステップS2)。当日分のVIPスケジュール登録がなければ(ステップS2のNO)、待機して待つ。
【0039】
ステップS2で当日分のVIPスケジュールがあると判定された場合(ステップS2のYES)には、当日分のスケジュールに登録されているビル(ビル名フィールドF3b)の乗階(乗階フィールドF3c)に配備されている案内ロボット8に、VIP案内のスケジュールが入っている旨のレコード(例えば、
図6のNo.1レコード)を配信する(ステップS3)。この案内ロボット8は、管理センター装置11のロボット管理テーブル11c(
図5のロボット管理テーブルF2)によって特定されるロボットである。
【0040】
例えば、該当するレコードが、例えば
図6のVIPスケジュール管理テーブルF3のNo.1レコードであるとする。この場合の該当する案内ロボット8は、
図5のロボット管理テーブルF2のNo.1に示すAビル1階に配備されたロボット1号である。したがって、管理センター装置11は、このロボット1号に対して該当するNo.1レコード、すなわち、社長が3月21日8時50分に1階のエレベーターに乗車することを伝える。
【0041】
次に、管理センター装置11は、VIPスケジュール管理テーブルF3の予定時刻フィールドF3aに登録された予定時刻である8時50分の所定時間前(例えば、30分前)になったか否かを判定する(ステップS4)。そして、所定時間前になっていない場合(ステップS4のNO)には、現在時刻が予定時刻の30分前、つまり8時20分になるまで、ロボット1号を待機させる。
【0042】
ステップS4で予定時刻30分前(8時20分)になったと判定されると(ステップS4のYES)、管理センター装置11のVIP識別映像処理部11eは、該当するNo.1レコードの判別用画像フィールドF3fの中の社長顔画像を使用して、入口からビル内に入ってくるVIP(当社社長)の判別を開始する(ステップS5)。ここでは、VIPスケジュール管理テーブルF3の入方向フィールドF3gに登録されている入口の監視カメラ7の最新映像データを読み出し、この最新映像データを管理センター装置11の映像データ格納領域11bに格納する。
【0043】
次に、管理センター装置11のVIP識別映像処理部11eで、入方向の監視カメラ7による最新映像データと、既に登録されているVIP画像とを照合し、所定以上(例えば、80%以上)一致する画像であるか否かを判定する(ステップS6)。ステップ6では、所定以上一致する画像が判別されるまで判別処理を繰り返す。ステップS6で、例えば80%以上一致する画像が判別された場合(ステップS6のYES)、先に伝送済みのスケジュールに登録されたVIPが、入方向から入来したことをロボット1号へ通知する(ステップS7)。
【0044】
VIP入来の通知を受けたロボット1号は、入方向に方向展開し、既に伝送されたスケジュールに登録された判別用画像の顔画像を基に、カメラ22で捉えた映像データからVIP検索を行い、所定以上一致する画像を識別する判別処理を行う(ステップS8)。なお、このVIP検索及び判別処理は、ロボット1号(案内ロボット8)の映像処理部25で行われる。映像処理部25は、カメラ22で捉えた映像データ(顔画像)と所定以上一致する画像が判別されるまで、検索と判別処理を繰り返す(ステップS9)。
【0045】
ステップS9で、例えば80%以上一致する画像が判別された場合には(ステップS9のYES)、ロボット1号は、発話制御部26及びスピーカ24によりVIPである社長に対してエレベーターまで案内する旨を伝え、VIP案内を開始する(ステップS10)。
ロボット1号は、VIPの案内開始に当たって、まずエレベーター群管理装置4へロボット1号が配備された階(1階)におけるVIP案内についての問合わせを行う。すなわち、ロボット1号はVIPをどのエレベーター号機2に案内すればよいかを問い合わせる(ステップS11)。
【0046】
VIP運転の問合せを受けたエレベーター群管理装置4は、運転割当演算部4cによりVIP運転に最も早く遷移できるエレベーター号機2を算出し、VIP運転に遷移するため、算出されたエレベーター号機2に対してホール呼びへの割当てを抑制してVIP運転の仮登録を行う(ステップS12)。
そして、エレベーター群管理装置4は、到着時間演算部4dにより、当該エレベーター号機2が問合せしてきたロボット1号が配備された階(ここでは、1階)に到着するまでの予測時間を再演算し、ロボット1号にVIPを案内するエレベーター号機2(当該エレベーター号機2)及び到着予測時間を通知する(ステップS13)。
【0047】
次に、VIP運転となるエレベーター号機2及びその到着予測時間の通知を受けたロボット1号は、現在ロボット1号がいる位置からエレベーターホール5の当該エレベーター号機2までの距離を算出するとともに、ロボット1号自体の通常移動速度による移動時間から案内時間を算出する(ステップS14)。
そして、ロボット1号は、エレベーター群管理装置4に対して、当該エレベーター号機2へのVIP運転を仮登録から本登録に変更し、VIP運転状態へ遷移するように指令する(ステップS15)。
【0048】
次に、エレベーター群管理装置4は、ロボット1号が配備された階へのエレベーター号機2の到着予測時間とロボット1号がVIPを当該エレベーター号機2の乗場まで案内するための案内時間を比較し、かご到着がロボット1号の案内時間より遅いかどうかを判定する(ステップS16)。ロボット1号が配備された階へ当該エレベーター号機2が到着するまでの時間がロボット1号の案内時間より遅い(到着予測時間>案内時間)場合(ステップS16のYES)には、次にその時間差がどの程度あるかどうかを判断する(ステップS17)。
【0049】
ステップS17で、エレベーター号機2の到着予測時間とロボット1号のVIP案内時間の時間差が大きいとき、つまり当該エレベーター号機2の到着まで相当の時間がかかるとき(ステップS17のYES)は、エレベーター群管理装置4は、ロボット1号の発話制御部26に、ロボット1号が案内するVIPと会話をすることで時間稼ぎをするように指令する(ステップS18)。また、ロボット1号に対して通常移動速度よりゆっくりした速度で当該エレベーター号機2まで移動するように指令する(ステップS19)。
【0050】
ステップS16で、当該エレベーター号機2がロボット1号の配備された階へ到着するまでの時間がロボット1号の案内時間より速い(到着予測時間<案内時間)場合(ステップS16のNO)には、ロボット1号は通常の速度(通常移動)で当該エレベーター号機2の場所に向かう(ステップS26)。
また、ステップS17で、エレベーター号機2の到着予測時間とロボット1号のVIP案内時間の時間差が余り大きくないとき(ステップS17のNO)は、ステップS18(VIPと会話)を省いて、ステップ19に進む。
【0051】
次に、エレベーター群管理装置4は、ロボット1号が、当該エレベーター号機2の乗場付近に到達したか否かを判定する(ステップS20)。そして、ロボット1号が当該エレベーター号機2の乗場付近に到達すると(ステップS20のYES)、ロボット1号は、エレベーター群管理装置4に当該エレベーター号機2のドア開指令を行い(ステップS21)、VIPスケジュール管理テーブルF3の降階フィールドF3dに登録された、4階へのかご呼びを指令する(ステップS22)。
【0052】
次に、ロボット1号は、VIPがエレベーター号機2のかごへの乗込みが完了したことを確認し(ステップS23)、エレベーター群管理装置4に対してドア閉指令を行い(ステップS24)、ドアが閉まり切った時点でVIP案内を終了する(ステップS25)。
図7では、
図6のNo.1レコードに従ってロボット1号がVIP案内を行い、当該エレベーター号機2の専用運転を行う手順について説明したが、他の案内ロボット8についても同様に考えることができることは言うまでもない。
【0053】
[車椅子案内の処理手順の説明]
次に、
図8を参照して、本例のエレベーター利用者案内システムにおいて、優先利用者が車椅子利用者である場合の処理手順を説明する。
ここで、車椅子利用者としては、車椅子を利用する障害者以外にも、例えばベビーカーを利用する子供連れの来館者も含まれるものとする。
【0054】
まず、管理センター装置11は、各ビル1が開館しているか否かを判断する(ステップS41)。各ビル1が開館していない場合には開館するまで待機する(ステップS41のNO)。そして、管理センター装置11は、車椅子識別映像処理部11
fにより、開館したビル1の各階のエレベーターホール5のエリアに入ってくる車椅子利用者を監視するカメラ7の映像データを得る。
【0055】
管理センター装置11は、カメラ7で撮影した映像データと、映像データ格納領域11bに予め格納された判別用の車椅子画像とを照合し、所定以上一致するか否かを判別するための画像判別処理を行う。そして、カメラ7で撮影した映像データと映像データ格納領域11bに予め格納された判別用の車椅子画像とが、例えば80%以上一致する画像であるか否かを判別する(ステップS42)。ステップS42の画像判別は、80%以上一致する画像が見つかるまで繰り返される(ステップS42のNO)。
【0056】
ステップS42で80%以上一致する画像が判別された場合(ステップS42のYES)には、管理センター
装置11は、監視カメラ7の設置位置とロボット管理テーブル11cの情報を基に、該当ビル1の該当階に配備された案内ロボット8を特定し、その稼働状態の読み出しを行う(ステップS43)。
そして、当該案内ロボット8が現在VIPまたは他の車椅子利用者(優先利用者)を案内中であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0057】
ステップS44で案内ロボット8が優先利用者を案内中であると判定された場合(ステップS44のNO)には、管理センター装置11は、カメラ7で撮影した車椅子検知結果を破棄してステップS42に戻る。一方、該当階に配備された案内ロボット8が案内中でない場合、つまり待機中であれば(ステップS44のYES)、管理センター装置11は、案内ロボット8に対して、車椅子利用者がどの入方向から入って来たかを通知する(ステップS45)。ここでは、案内ロボット8として、
図5のNo.4レコードに示されているBビルの1階で車椅子利用者を案内するロボット4号を例に、車椅子利用者の案内手順について説明する。
【0058】
車椅子利用者来訪の通知を受けたロボット4号は、入方向に方向展開し、映像処理部25により予め格納されている車椅子識別用画像データベース28の中から所定以上一致する画像を識別する車椅子検索及び判別処理を開始する(ステップS46)。この判別処理は、所定以上一致する画像が判別されるまで繰り返される(ステップS47)。
【0059】
そして、ステップS47で、例えば80%以上一致する画像が判別された場合(ステップS47のYES)には、ロボット4号は、車椅子利用者に対して発話制御部26により案内する旨を伝えるなどして車椅子利用者の案内を開始する(ステップS48)。
次に、ロボット4号は、エレベーター群管理装置4に対してロボット4号が配備されたBビルの1階での車椅子運転の問合せを行う(ステップS49)。すなわち、車椅子利用者をどのエレベーター号機2に案内すればよいかを問い合わせる。
【0060】
ロボット4号から、車椅子案内の問合せを受けたエレベーター群管理装置4は、運転割当演算部4cにより車椅子優先運転に最も早く遷移できるエレベーター号機2を算出し、車椅子優先運転に遷移するため、当該エレベーター号機2に対するホール呼びへの割当てを抑制し、車椅子優先運転の仮登録を行う(ステップS50)。
そして、エレベーター群管理装置4は、到着時間演算部4dにより、ロボット4号が配備されているBビルの1階に当該エレベーター号機2が到着するまでの予測時間を再演算し、問合せしてきたロボット4号に対して、当該エレベーター号機2及び到着予測時間を通知する(ステップS51)。
【0061】
次に、車椅子運転となるエレベーター号機2及び到着予測時間の通知を受けたロボット4号は、現在ロボット4号がいる位置からエレベーターホール5の当該エレベーター号機2の乗場までの距離を算出するとともに、ロボット4号自体の通常移動速度による移動時間に基づいて車椅子利用者の案内時間を算出する(ステップS52)。
【0062】
その後、ロボット4号は、エレベーター群管理装置4に対して当該エレベーター号機2への車椅子運転を仮登録から本登録して車椅子運転状態へ遷移するように指令する(ステップS53)。そして、ロボット4号は、ロボット4号が配備された1階までの当該エレベーター号機2の到着予測時間と、ロボット4号が車椅子利用者を当該エレベーター号機2まで案内する案内時間を比較し、かご到着が遅いか否か、つまり到着予測時間>案内時間であるか否かを判別する(ステップS54)。
【0063】
そして、当該エレベーター号機2がロボット4号の配備される階へ到着するのがロボット4号の案内時間より遅い(到着予測時間>案内時間)と判定された場合(ステップS54のYES)には、次にその時間差がどの程度あるかどうかが判断される(ステップS55)。
【0064】
ステップS55で、エレベーター号機2の到着予測時間とロボットの車椅子案内時間の時間差が大きいと判定されたとき、つまり当該エレベーター号機2の到着まで相当の時間がかかるとき(ステップS55のYES)は、エレベーター群管理装置4は、ロボット4号の発話制御部26に対して、ロボット4号に案内する車椅子利用者と会話をすることで時間稼ぎをするように指令する(ステップS56)。また、ロボット4号に対して通常移動速度よりゆっくりした速度で当該エレベーター号機2まで移動するように指令する(ステップS57)。
【0065】
ステップS54で、当該エレベーター号機2がロボット4号の配備される階へ到着するのがロボット4号の案内時間より速い(到着予測時間<案内時間)場合(ステップS54のNO)には、ロボット4号は通常の速度で当該エレベーター号機2の乗場に向かう(ステップS64)。また、ステップS55で、エレベーター号機2の到着予測時間と車椅子利用者の案内時間の時間差が余り大きくないとき、つまり当該エレベーター号機2のロボット4号の階までの到着時間がさほど大きくないとき(ステップS55のNO)は、ステップS56(車椅子利用者との会話)を省いて、ステップ57に進む。
【0066】
次に、ロボット4号は、車椅子利用者を案内して、当該エレベーター号機2の乗場付近に到達したか否かを判定する(ステップS58)。そして、ロボット4号が当該エレベーター号機2の乗場付近に到達した場合には(ステップS58のYES)、ロボット4号は、エレベーター群管理装置4に当該エレベーター号機2のドア開指令を行い(ステップS59)、車椅子利用者から会話により聞き出した行き先階までのかご呼びを指令する(ステップS60)。
【0067】
次に、ロボット4号は、車椅子利用者がエレベーター号機2のかごへの乗込みが完了したことを確認し(ステップS61)、エレベーター群管理装置4に対してドア閉指令つまり車椅子運転による走行開始指令を行い(ステップS62)、ドアが閉まり切った時点で車椅子案内を終了する(ステップS63)。
【0068】
以上説明したように、本例のエレベーター利用者案内システムでは、案内ロボット8が配置されたエレベーターホール5の入口付近を撮影する監視カメラ7からの映像データと、優先利用者(VIPまたは車椅子利用者)を判別するための識別用画像データを用いている。そして、管理センター装置11と案内ロボット8とを連携させて優先利用者が入ってくるのを検知し、案内ロボット8がエレベーター群管理装置4に優先利用者への運転切替えを行うようにした。
【0069】
また、優先利用者への運転切替えを行うエレベーター号機2及びその案内ロボット8の配置階への到着予測時間を得て、優先利用者を当該エレベーター号機2の乗場まで、案内移動速度を調整しながら案内するようにした。そして、エレベーター号機2に到着した案内ロボット8が、エレベーター群管理装置4に対してドア開指令を行うことができるようにすることで、優先利用者用運転の場合のドア開状態での長時間待ちを抑止できるようにした。
【0070】
これにより、当該エレベーター号機2のかご到着タイミングと、案内ロボット8が当該エレベーター号機の乗場まで案内する案内時間とをほぼ一致させることができるので、優先利用者に対して特別な案内人を専任させる必要がない。
【0071】
また、本例のエレベーター利用者案内システムにおいては、
図1及び
図2に示すように、管理センター装置11と案内ロボット8の役割分担を、機能を分けて説明したが、案内ロボット8が備える機能と、管理センター装置11が備える機能とは、機能分担を交換することも可能である。つまり、管理センター装置11の中の一部の機能を案内ロボット8に組み込んだり、逆に案内ロボット8が持つ機能を管理センター装置11に組み込むことも可能である。
【0072】
上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現することもできる。また、上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0073】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、本発明は、明細書または図面に開示した実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない限りにおいて、他の応用例及び変形例を含むことは勿論である。