(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記物品搬送装置による前記引き渡し工程の完了後、前記報知部による前記禁止情報の報知を終了すると共に前記検知部の検知モードを前記非監視モードに設定する、請求項1に記載の物品搬送設備。
前記制御装置は、前記報知部に前記禁止情報を報知させた後、予め規定された待機時間の経過後に前記検知部の検知モードを前記監視モードに設定する、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
前記制御装置は、前記移動工程の完了後、前記引き渡し工程の開始前に、前記報知部に前記禁止情報を報知させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
前記制御装置は、前記移動工程が完了するよりも、予め規定された余裕時間前に、前記報知部に前記禁止予告情報を報知させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は、物品搬送設備100の一例を示している。物品搬送設備100は、物品収納棚102と、物品搬送装置としてのスタッカークレーン1を備えている。物品収納棚102は、物品としての容器Wを収納する収納部101を複数備えている。本実施形態では、容器Wとしてレチクル(フォトマスク)を収容するレチクルポッドを例示している。しかし、容器Wは、レチクルポッドに限らず、半導体ウェハを収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)やコンテナ等でもよい。また、物品は、物を収容する容器に限らず、他の物品であってもよい。また、本実施形態では、物品搬送装置としてスタッカークレーン1を例示しているが、自動運転(リモート運転を含む)される装置であれば、フォークリフトや天井搬送車であってもよい。
【0011】
物品収納棚102は、スタッカークレーン1のマスト13(支柱)を挟んで対向する状態で一対備えられている。一対の物品収納棚102のそれぞれには、収納部101が上下方向及び棚横幅方向(
図1の紙面に直交する方向)に並ぶ状態で複数備えられている。複数の収納部101のそれぞれには、収納した容器Wを載置支持する棚板9が備えられている。
【0012】
物品収納棚102やスタッカークレーン1は、仕切壁106によって覆われた保管用空間S2の内部に設置されている。スタッカークレーン1は、当該保管用空間S2の内部で、容器Wを搬送する。保管用空間S2の中には、メンテナンスなどの実施時を除き、作業者は立ち入らず、自動運転又はリモート運転されるスタッカークレーン1によって容器Wが搬送される。保管用空間S2の外側には、作業者が作業するための作業用空間S1が設けられている。つまり、作業用空間S1は、仕切壁106により保管用空間S2とは区切られて設けられている。
【0013】
物品搬送設備100は、さらに、作業用空間S1に連通する連通部としての第1連通部6を有して、保管用空間S2と作業用空間S1との間に設けられて物品の受け渡しが行われる入出庫部8を備える。この入出庫部8を介して、作業用空間S1から保管用空間S2への容器Wの入庫、及び、保管用空間S2から作業用空間S1への容器Wの出庫が行われる。本実施形態においては、さらに、入出庫部8には、保管用空間S2に連通する第2連通部7も設けられている。
【0014】
第1連通部6には、作業用空間S1から第1連通部6を通って入出庫部8へ進入する検知対象物(物品、作業者H、その他の移載手段など)を検知可能な検知部としての第1ライトカーテン4が備えられている。また、第2連通部7には、保管用空間S2から第2連通部7を通って入出庫部8へ進入する検知対象物(スタッカークレーン1など)を検知可能な第2ライトカーテン5が備えられている。第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5は、複数の光ビームを第1連通部6、第2連通部7の開口面に沿って投光する投光部と各光ビームを受光する受光部とを有し、第1連通部6、第2連通部7を通る検知対象物によって光ビームが遮られたことを検出する。具体的には、第1ライトカーテン4は、
図2に示すように、入出庫部8と作業用空間S1とを連通する連通部としての第1連通部6の開口面に沿って複数の光ビームを投光するように設けられている。また、第2ライトカーテン5は、入出庫部8と保管用空間S2とを連通する第2連通部7の開口面に沿って複数の光ビームを投光するように設けられている。
【0015】
第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5は、監視モードと非監視モードとの間で検知モードを切り換え可能に構成されている。検知モードの切り換えは、
図3を参照して後述する設備制御装置11によって制御される。検知モードが監視モードの場合、複数の光ビームが照射され、第1連通部6及び第2連通部7において検知対象物が検知可能となる。非監視モードの場合には、例えば複数の光ビームが照射されず、第1連通部6及び第2連通部7において検知対象物を検知しない。尚、非監視モードにおいても、光ビームが照射されることを妨げるものではない。光ビームが照射されていても、非監視モードにおいて検知結果を無視すれば(設備制御装置11などの制御装置が検知結果を利用しなければ)、検知対象物を検知しないことと等価となる。
【0016】
図1に示すように、スタッカークレーン1は、一対の物品収納棚102の間の床面に敷設されたレール15(移動経路)に沿って走行する走行台車12と、その走行台車12に立設されたマスト13に沿って昇降移動する昇降体14と、昇降体14に支持されて収納部101や内部移載箇所との間で容器Wを移載する移載装置3とを備えている。つまり、スタッカークレーン1は、物品収納棚102に沿って設定された移動経路に沿って移動して容器Wを搬送する。移載装置3は、例えばフォークやスカラーアームなどである。スタッカークレーン1は、不図示の走行用アクチュエータによって走行台車12を走行させ、不図示の昇降用アクチュエータによって昇降体14を昇降させ、不図示のリンク機構及び移載用アクチュエータによって移載装置3を出退させて、収納部101や入出庫部8との間で容器Wを搬送する。
【0017】
図3は、物品搬送設備100のシステム構成の一部を模式的に示している。設備制御装置11は、物品搬送設備100の全体の稼働状況を管理すると共に、スタッカークレーン1(STK-C)を用いた容器Wの入出庫を制御する。設備制御装置11は、スタッカークレーン1の不図示の制御装置と通信可能に構成されている。設備制御装置11は、スタッカークレーン1による容器Wの搬送スケジュール(入出庫スケジュール)を管理し、スタッカークレーン1に搬送指令(入庫指令・出庫指令等)や、異常時の停止指令等を出力する。設備制御装置11は、スタッカークレーン1から送信される情報や、保管用空間S2に設置された不図示の位置センサ等からの情報によって、スタッカークレーン1の稼働状況を把握している。設備制御装置11は、保管用空間S2の中に設置された不図示の異常検出センサや、第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5などの検知結果を取得して、例えば、停止指令を送信してスタッカークレーン1の動作を停止させることもできる。尚、搬送スケジュールには、予め計画された搬送計画に沿って容器Wを搬送するスケジュールに限らず、作業者による手動の搬送指示に基づいて容器Wを搬送する際のスケジュールも含む。
【0018】
図3に示すように、設備制御装置11は、報知部2としての入庫ランプ21及び出庫ランプ22の点灯状態を制御する。また、設備制御装置11は、第1ライトカーテン4(検知部)及び第2ライトカーテン5の検知モード(監視モード/非監視モード)を切り換えると共に、監視モードにおける第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5による検知結果を受信する。設備制御装置11は、検知結果に基づいてスタッカークレーン1の動作を制限するなど、物品搬送設備100の制御を行う。また、設備制御装置11は、入庫スイッチ10を介した作業者からの入庫指示を受け取り、入出庫部8から収納部101へ容器Wを搬送するように、スタッカークレーン1に指令する。
【0019】
入出庫部8には、スタッカークレーン1と作業者Hとが共にアクセスする。例えば、スタッカークレーン1が入出庫部8にアクセスする際には、第1ライトカーテン4の検知モードが監視モードに設定されている。このとき、作業用空間S1から入出庫部8へ検知対象物が進入すると、スタッカークレーン1の作動が制限される場合がある。このため、報知部2としての入庫ランプ21及び出庫ランプ22が入出庫部8に備えられて、作業者Hが入出庫部8に対してアクセスすることを許可するか否かを報知している(
図2、
図4〜
図7等参照。)。
【0020】
物品搬送設備100の制御装置である設備制御装置11は、スタッカークレーン1、第1ライトカーテン4、第2ライトカーテン5、及び報知部2を制御する。設備制御装置11は、第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5の検知モードを、検知対象物を検知可能な監視モードと検知対象物を検知しない非監視モードとに切り換えると共に、報知部2に、作業用空間S1から入出庫部8への検知対象物の進入を禁止する禁止状態であることを示す禁止情報、及び禁止状態となることを予告する禁止予告情報を報知させる。
【0021】
スタッカークレーン1は、
図8等を参照して後述するように、収納部101から物品を受け取る受け取り工程T1、収納部101から入出庫部8に移動する移動工程T2、入出庫部8に物品を引き渡す引き渡し工程T3を行って物品を搬送する。設備制御装置11は、例えば監視モードで動作する第1ライトカーテン4により検知対象物を検知した場合には、入出庫部8において検知対象物(物品、作業者H、その他の移載手段)とスタッカークレーン1の移載装置3とが接触しないように、引き渡し工程T3の実行を禁止するようにスタッカークレーン1を制御する。つまり、設備制御装置11は、第1ライトカーテン4の検知結果に基づいて、フェールセーフ制御を実行する。
【0022】
このようなフェールセーフ制御が実行されると、物品搬送設備100の稼働率を低下させるため、第1ライトカーテン4が監視モードの場合には、作業者Hが入出庫部8にアクセスしないように、設備制御装置11は、適切なタイミングで報知部2に情報を報知させる。また、設備制御装置11は、少なくとも第1ライトカーテン4が適切なタイミングで監視モードとなるように、第1ライトカーテン4の検知モードを制御する。本実施形態では、第2ライトカーテン5の検知モードも制御される。詳細は後述するが、設備制御装置11は、搬送対象の物品である容器Wが収納されている収納部101と入出庫部8との間を移動するスタッカークレーン1の移動量に基づいて、第1ライトカーテン4、第2ライトカーテン5、報知部2を制御する。尚、「移動量」についても詳細は後述するが、スタッカークレーン1の移動距離であってもよいし、移動時間であってもよい。
【0023】
設備制御装置11は、移動量が予め規定された設定量以上の場合には、受け取り工程T1の完了に応じて報知部2としての入庫ランプ21に禁止予告情報を報知させ、入出庫部8へのスタッカークレーン1の到着に応じて入庫ランプ21に禁止情報を報知させ、第1ライトカーテン4の検知モードを監視モードに設定する。また、設備制御装置11は、移動量が予め規定された設定量未満の場合には、受け取り工程T1の開始に応じて入庫ランプ21に禁止予告情報を報知させ、入出庫部8へのスタッカークレーン1の到着に応じて入庫ランプ21に禁止情報を報知させ、第1ライトカーテン4の検知モードを監視モードに設定する。ここで、「Aに応じてBを行う」とは、Aと同時にBを行うことも含むが、これに限定されず、Aを起因(トリガ)としてBを行うことも含み、例えばAから規定時間後にBを行うことも含む。
【0024】
以下、入出庫部8を介して、作業用空間S1と保管用空間S2との間で、容器Wの入出庫を行う形態について説明する。本実施形態では、入出庫部8には、作業用空間S1から保管用空間S2へ容器Wを入庫するための第1入出庫部81と、保管用空間S2から作業用空間S1へ容器Wを出庫するための第2入出庫部82との2つが隣接して設けられている形態を例示する。
【0025】
報知部2としての入庫ランプ21は、第1入出庫部81に作業者が容器Wを載置することを許可することを示す情報を作業者に報知する。具体的には、
図4に示すように、「INPUT OK」と表示された入庫ランプ21を点灯させることによって、容器Wを搬入するために、作業用空間S1から入出庫部8へ検知対象物(容器Wや作業者H)が進入することを許容することを報知する。出庫ランプ22は、スタッカークレーン1によって第2入出庫部82に載置された容器Wを作業者Hが作業用空間S1へ取り出すことを許可することを示す情報を作業者に報知する。具体的には、
図4に示すように、「OUTPUT OK」と表示された出庫ランプ22を点灯させることによって、容器Wを搬出するために、作業用空間S1から入出庫部8へ検知対象物(作業者Hやその他の移載手段)が進入することを許容することを報知する。
【0026】
入庫スイッチ10は、作業者Hが第1入出庫部81に容器Wを載置した後に操作するスイッチである。作業者Hが入庫スイッチ10を操作することで、設備制御装置11に対して、容器Wの入庫を要求することができる。設備制御装置11は、入庫スイッチ10からの入庫リクエスト信号に基づいて、スタッカークレーン1に入庫搬送指令を送信する。入庫搬送指令を受け取ったスタッカークレーン1は、第1入出庫部81から容器Wを受け取って設備制御装置11によって指示された収納部101まで容器Wを搬送して、当該収納部101に収納する。尚、この入庫スイッチ10は、入庫スイッチ10への操作が許可されている場合に点灯し、許可されていない場合には消灯して、操作の可否を明示すると好適である。
【0027】
以下、
図4〜
図7の説明図、
図8及び
図9のタイムチャートも参照して説明する。
図4は、容器Wを入庫可能な状態の入出庫部8を示している。この状態は、
図8における時刻t2よりも前の時間、並びに
図9における時刻t3よりも前の時間に相当する。この状態では、第1ライトカーテン4(LC1)は、非監視モード(OFF)に制御されており、
図4に示すように、作業者Hは、容器Wを第1入出庫部81へ進入させることができる。この時、
図8及び
図9に示すように、設備制御装置11によって、「INPUT OK」と表記された入庫ランプ21(LAMP1)が点灯するように制御されている(ON)。この際、
図4に破線で示すように、第2入出庫部82に容器Wが載置されている場合には、「OUTPUT OK」と表記された出庫ランプ22が点灯され、この容器Wを出庫してもよいことが示される。また、この状態では、第2ライトカーテン5(LC2)は、監視モード(ON)に制御されており、誤ってスタッカークレーン1が入出庫部8へアクセスした場合には、スタッカークレーン1の作動を停止することができるようになっている。
【0028】
ここで、スタッカークレーン1に対して、容器Wを出庫させる出庫搬送指令が与えられると、スタッカークレーン1は当該容器Wが収納された収納部101まで移動して、容器Wを受け取り、搬送して、入出庫部8に引き渡す。つまり、スタッカークレーン1は、収納部101から容器Wを受け取る受け取り工程T1、収納部101から入出庫部8に移動する移動工程T2、入出庫部8に容器Wを引き渡す引き渡し工程T3を行って容器Wを搬送する。尚、移動工程T2には、マスト13に沿って昇降体14が昇降移動する工程(昇降行程)と、レール15に沿って走行台車12が走行する工程(走行工程)とを含む。
図8及び
図9では、スタッカークレーン1が受け取り工程T1及び引き渡し工程T3を行っている状態を「TRANS」で示し、収納部101から入出庫部8へ向かう移動工程T2を行っている状態を「APR」で示し、入出庫部8から別の場所(他の収納部101など)の移動など、上述した受け取り工程T1、引き渡し工程T3、移動工程T2以外の工程を行っている状態を「OTHERS」で示している。
【0029】
図8のタイミングチャートは、移動工程T2におけるスタッカークレーン1の移動量が予め規定された設定量以上の場合を例示しており、
図9のタイミングチャートは、移動工程T2におけるスタッカークレーン1の移動量が設定量未満の場合を例示している。ここで、「移動量」は、スタッカークレーン1の移動距離であってもよいし、移動時間であってもよい。スタッカークレーン1の移動距離は、移載装置3を支持する昇降体14が昇降移動する距離、及びマスト13を介して昇降体14を支持する走行台車12がレール15に沿って走行する距離を含む。また、スタッカークレーン1の移動時間は、昇降体14が昇降移動する時間、及び走行台車12が走行する時間を含む。
【0030】
移動量が設定量以上の場合、例えば容器Wを受け取る収納部101が
図2に例示する第1収納部101aのように入出庫部8から比較的遠くて入出庫部8との水平距離D(第1距離D1)が比較的長い場合には、設備制御装置11は、受け取り工程T1の完了(時刻t2)に応じて、入庫ランプ21の点灯形態を変更する。具体的には、設備制御装置11は、点灯していた入庫ランプ21を点滅させることによって、まもなく入庫ランプ21を消灯することを予告する。なお、
図8に示す例では、受け取り工程T1の完了(時刻t2)と同時に入庫ランプ21の点灯形態を変更する。入庫ランプ21の消灯は、作業用空間S1から入出庫部8への検知対象物の進入を禁止する禁止状態であること(禁止情報)を表している。従って、入庫ランプ21の消灯を予告する入庫ランプ21の点滅は、禁止状態となることを予告する禁止予告情報を表す。
【0031】
一方、移動量が設定量未満の場合、例えば容器Wを受け取る収納部101が
図2に例示する第2収納部101bのように入出庫部8から比較的近くて入出庫部8との水平距離D(第2距離D2)が比較的短い場合には、移動工程T2に要する時間も短くなる。一方、スタッカークレーン1が入出庫部8に到着した後、例えば引き渡し工程T3に移行するまの時間は、収納部101と入出庫部8との距離に関係なく一定である。引き渡し工程T3においては、作業用空間S1から入出庫部8への検知対象物の進入を禁止する禁止状態となる。従って、禁止予告情報は、少なくとも引き渡し工程T3の開始よりも前に作業者Hに報知される必要があり、さらには移動工程T2が完了する前に作業者Hが認知可能な時間を確保して報知されることが好ましい。
【0032】
このため、設備制御装置11は、
図9に示すように、移動工程T2が完了するよりも、予め規定された余裕時間TY前に、入庫ランプ21に禁止予告情報を報知させる。但し、収納部101の場所によっては、移動工程T2の開始(受け取り工程T1の完了)から移動工程T2の完了までの時間が、余裕時間TYを下回る可能性がある。従って、移動量が設定量未満の場合には、設備制御装置11は、受け取り工程T1の開始(時刻t3)に応じて、入庫ランプ21の点灯形態を変更する。具体的には、入庫ランプ21を点滅させる(禁止予告情報を報知させる)。なお、
図9に示す例では、受け取り工程T1の開始(時刻t3)と同時に入庫ランプ21の点灯形態を変更する。
【0033】
この余裕時間TYの最大値を“TYmax”とすると、例えば
図8に例示するように、移動工程T2に要する時間が、最大値TYmax以上となる場合がある。このような場合には、上述したように、受け取り工程T1の完了(時刻t2)に応じて、入庫ランプ21の点灯形態を変更してもよいし、移動工程T2が完了するよりも、予め規定された余裕時間TY前に、入庫ランプ21に禁止予告情報を報知させてもよい。
【0034】
図5は、禁止予告情報が報知されている状態、つまり「INPUT OK」と表記された入庫ランプ21が点滅するように制御されている状態の入出庫部8を示している。この状態でも、第1ライトカーテン4(LC1)は、非監視モード(OFF)に制御されており、
図5に示すように、作業者Hは、容器Wを第1入出庫部81へ搬入することができる。禁止状態となることが予告されているので、新たな容器Wを第1入出庫部81へ搬入することは控えることが好ましいが、例えば第1入出庫部81への搬入途中の容器Wが存在する場合は当該容器Wを適切に第1入出庫部81へ搬入することができる。尚、この状態では、スタッカークレーン1は、第2入出庫部82に到着していないため、第2ライトカーテン5(LC2)は、引き続き監視モード(ON)に制御されている。
【0035】
スタッカークレーン1が第2入出庫部82に到着すると、つまり移動工程T2が完了すると、設備制御装置11は、入庫ランプ21を消灯して禁止情報を報知させると共に、第1ライトカーテン4の検知モードを監視モードに設定する。設備制御装置11は、移動工程T2の完了後、引き渡し工程T3の開始前に、入庫ランプ21に禁止情報を報知させる。本実施形態では、
図8及び
図9に示すように、設備制御装置11は、移動工程T2が完了した時刻t5において入庫ランプ21を消灯し、その後、予め規定された待機時間TWを経過後の時刻t6に第1ライトカーテン4の検知モードを監視モードに設定する。本実施形態では、時刻t6の時点では、第2ライトカーテン5は、引き続き監視モードである。
【0036】
尚、本実施形態では、移動工程T2が完了した時刻t5において入庫ランプ21が消灯し、その後、予め規定された待機時間TWを経過後の時刻t6に第1ライトカーテン4の検知モードが監視モードとなる形態を例示している。禁止情報が報知された後も、待機時間TWを経過するまでは検知モードが非監視モードであるため、作業者Hは余裕を持って入出庫部へのアクセスを控えることができる。しかし、入庫ランプ21が消灯するタイミングと、第1ライトカーテン4が監視モードとなるタイミングとがほぼ同時であることを妨げるものではない。
【0037】
また、本実施形態では、設備制御装置11は、移動工程T2の完了後、引き渡し工程T3の開始前に、入庫ランプ21に禁止情報を報知させている。移動工程T2が実行されている時には、スタッカークレーン1が入出庫部8にアクセスすることはない。従って、禁止情報を報知して作業者Hによる入出庫部8へのアクセスを制限すると設備全体の稼働率を低下させる可能性がある。一方、引き渡し工程T3が実施される際には、スタッカークレーン1が入出庫部8にアクセスするため、入出庫部8への作業者Hのアクセスを制限する必要があり、禁止情報が報知されている必要がある。従って、移動工程T2の完了後、引き渡し工程T3の開始前に、入庫ランプ21が禁止情報の報知を開始することは好適である。
【0038】
しかし、入出庫部8への作業者Hのアクセスの制限を徹底する上では、移動工程T2の完了前に入庫ランプ21が禁止情報の報知を開始することも好適である。上述したように、移動工程T2が完了するよりも、予め規定された余裕時間TY前に、入庫ランプ21に禁止予告情報を報知させる場合には、設備制御装置11は、移動工程T2の完了時刻を演算等によって予測している。従って、設備制御装置11は、予測された移動工程T2の完了時刻より前に、入庫ランプ21に禁止情報を報知させてもよい。
【0039】
図6は、禁止情報が報知され、第1ライトカーテン4が非監視モードの状態(時刻t5〜時刻t6の間)の入出庫部8を示しており、
図7は、禁止情報が報知され、第1ライトカーテン4が監視モードの状態(時刻t6〜時刻t11)の入出庫部8を示している。
図6では、「INPUT OK」と表記された入庫ランプ21が消灯するように制御されて、禁止情報が報知されている。つまり、作業者Hによる容器Wの第1入出庫部81へ搬入は禁止されている。但し、この状態でも、第1ライトカーテン4(LC1)は、非監視モード(OFF)に制御されており、作業者Hが、容器Wを第1入出庫部81へ搬入することは許容される。禁止情報が報知されているので、原則として作業者Hが新たな容器Wを第1入出庫部81へ搬入することはない。しかし、第1入出庫部81への搬入途中の容器Wは適切に第1入出庫部81へ搬入することができる。尚、この状態では、第2ライトカーテン5(LC2)は、引き続き監視モード(ON)に制御されている。
【0040】
図8及び
図9に示す時刻t6から時刻t7の間は、第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5が共に監視モードに制御されている。つまり、入出庫部8へアクセスする主体を作業者Hからスタッカークレーン1に変更するに際して両者が共にアクセスしてしまうことがないように、両者のアクセスを禁止する期間が設けられている。時刻t7の後、第2ライトカーテン5が非監視モードに制御される。これにより、
図7に示すように、スタッカークレーン1が第2入出庫部82に容器Wを移載することができるようになる。
図8及び
図9に示す時刻t8から時刻t9は、スタッカークレーン1が引き渡し工程T3を実行する期間である。
【0041】
設備制御装置11は、スタッカークレーン1による引き渡し工程T3の完了後、入庫ランプ21による禁止情報の報知を終了すると共に第1ライトカーテン4の検知モードを非監視モードに設定する。具体的には、以下のようなシーケンスで実行される。
【0042】
引き渡し工程T3が完了した後、時刻t10において第2ライトカーテン5は非監視モードから監視モードに遷移する。その後、時刻t11において第1ライトカーテン4が監視モードから非監視モードに遷移する。時刻t10から時刻t11の間は、時刻t6から時刻t7の間と同様に、第1ライトカーテン4及び第2ライトカーテン5が共に監視モードに制御され、作業者H及びスタッカークレーン1から入出庫部8へのアクセスが共に禁止されている。第1ライトカーテン4が非監視モードに遷移した後、時刻t12において設備制御装置11は、入庫ランプ21を点灯させる。尚、この時点において、第2入出庫部82には容器Wが載置されており、作業者Hは当該容器Wを取り出すことができる。従って、図示は省略するが、入庫ランプ21を点灯させると共に、「OUTPUT OK」と表記された出庫ランプ22を点灯させると好適である。
【0043】
また、作業者Hが第1入出庫部81に容器Wを載置すると、不図示の着荷センサ等の検知結果が設備制御装置11に通知され、入庫ランプ21を消灯させると共に、「INPUT REQ」と表記された入庫スイッチ10を点灯させてもよい。作業者Hが入庫スイッチ10を操作すると、設備制御装置11からの指令に基づいて、スタッカークレーン1が第1入出庫部81に載置された容器Wを受け取り、指定された収納部101まで搬送して当該収納部101に移載する。
【0044】
ところで、
図4〜
図9を参照して上述した形態では、入庫ランプ21の消灯により、禁止情報が報知される。つまり、点灯や点滅に限らず、消灯も情報を報知する1つの形態である。入庫ランプ21は消灯を含めて全ての状態で、情報を報知するということができる。出庫ランプ22についても同様である。当然ながら、入庫ランプ21のように、「INPUT OK」と表記された「許容ランプ」ではなく、例えば、「INPUT STOP」と表記された「禁止ランプ」の点灯によって禁止情報を報知し、点滅によって禁止予告情報を報知し、消灯によって許容情報(許可情報)が報知される形態であってもよい。また、「許容ランプ」と「禁止ランプ」との双方を備える形態であってもよい。
【0045】
また、上記においては、入出庫部8が、入庫用の第1入出庫部81と出庫用の第2入出庫部82とを備える形態を例示した。しかし、入庫用と出庫用とが固定されておらず、一方が入庫用として利用されている場合には他方が出庫用として利用される形態であってもよい。また、第1入出庫部81及び第2入出庫部82の双方が入庫用及び出庫用として任意に利用される形態であってもよい。つまり、双方が入庫用として使われたり、双方が出庫用として使われたりする形態であってもよい。或いは、入庫用と出庫用とに共用される一つの入出庫部8のみが設けられた形態であってもよい。
【0046】
また、上記においては、入庫用の第1入出庫部81と出庫用の第2入出庫部82とに用途が固定されている形態を例示したため、入庫ランプ21、出庫ランプ22、入庫スイッチ10が1組のみ備えられている形態を例示した。しかし、入庫用と出庫用とが固定されていないような形態では、第1入出庫部81と第2入出庫部82との双方に、入庫ランプ21、出庫ランプ22、入庫スイッチ10が1組ずつ備えられていると好適である。
【0047】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について簡単に説明する。
【0048】
1つの態様として、物品搬送設備は、
物品を収納する収納部を複数備えた物品収納棚と、
前記物品収納棚に沿って設定された移動経路に沿って移動して前記物品を搬送する物品搬送装置と、
前記物品収納棚及び前記移動経路が設けられた保管用空間と、
作業者が作業するための空間であり、仕切壁により前記保管用空間とは区切られて設けられた作業用空間と、
前記作業用空間に連通する連通部を有して、前記保管用空間と前記作業用空間との間に設けられて前記物品の受け渡しが行われる入出庫部と、
前記作業用空間から前記連通部を通って前記入出庫部へ進入する検知対象物を検知可能な検知部と、
前記作業用空間から前記入出庫部へ前記検知対象物が進入することを許容するか否かの情報を前記作業者に報知する報知部と、
前記物品搬送装置、前記検知部、及び前記報知部を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記検知部の検知モードを、前記検知対象物を検知可能な監視モードと前記検知対象物を検知しない非監視モードとに切り換えると共に、前記報知部に、前記作業用空間から前記入出庫部への前記検知対象物の進入を禁止する禁止状態であることを示す禁止情報、及び前記禁止状態となることを予告する禁止予告情報を報知させるものであり、
前記物品搬送装置は、前記収納部から前記物品を受け取る受け取り工程、前記収納部から前記入出庫部に移動する移動工程、前記入出庫部に前記物品を引き渡す引き渡し工程を行って前記物品を搬送するものであり、
前記制御装置は、前記監視モードの前記検知部により前記検知対象物を検知した場合には、前記引き渡し工程の実行を禁止するように前記物品搬送装置を制御し、
更に、前記制御装置は、搬送対象の前記物品が収納されている前記収納部と前記入出庫部との間を移動する前記物品搬送装置の移動量に基づいて、前記検知部及び前記報知部を制御し、
前記制御装置は、前記移動量が予め規定された設定量以上の場合には、前記受け取り工程の完了に応じて前記報知部に前記禁止予告情報を報知させ、前記入出庫部への前記物品搬送装置の到着に応じて前記報知部に前記禁止情報を報知させると共に前記検知部の検知モードを前記監視モードに設定し、
前記制御装置は、前記移動量が前記設定量未満の場合には、前記受け取り工程の開始に応じて前記報知部に前記禁止予告情報を報知させ、前記入出庫部への前記物品搬送装置の到着に応じて前記報知部に前記禁止情報を報知させると共に前記検知部の検知モードを前記監視モードに設定する。
【0049】
作業用空間から入出庫部への検知対象物の進入を禁止する禁止状態となる前に、禁止状態となることを予告する禁止予告情報を報知するので、作業者は、禁止状態となる前に余裕を持って入出庫部へのアクセスが禁止されることを認識することができる。従って、禁止状態となった後に作業者が入出庫部へアクセスして物品搬送装置の引き渡し工程の実行が禁止されることにより、物品搬送設備の稼働率が低下することを抑制できる。また、移動量が設定量以上の場合には、移動量が設定量未満の場合に比べて、受け取り工程を完了してから入出庫部に対応する位置までの物品搬送装置の移動に要する時間が長くなる。従って、受け取り工程の完了に応じて報知部に禁止予告情報を報知させても、入出庫部への進入が禁止される禁止状態となることを作業者に充分に認知させることができる。一方、移動量が設定量未満の場合には、禁止状態となることを作業者に認知させるための時間を充分に確保できない可能性がある。受け取り工程の開始に応じて報知部に禁止予告情報を報知させることで、禁止状態となることを作業者に認知させるための時間を増やすことができる。このように、本構成によれば、物品搬送装置と作業者とが共通して利用する物品の移載箇所に対して、物品搬送装置の作動状態に応じて作業者のアクセスを適切に制限すると共に、制限されることを適切に作業者に報知することができる。
【0050】
また、前記制御装置は、前記物品搬送装置による前記引き渡し工程の完了後、前記報知部による前記禁止情報の報知を終了すると共に前記検知部の検知モードを前記非監視モードに設定すると好適である。
【0051】
この構成によれば、引き渡し工程が完了すると、作業者による入出庫部へのアクセスの制限を解除すると共に、制限が解除されたことを作業者に適切に報知することができる。これにより、物品搬送設備に対する作業者の作業の制限が大きくなり過ぎることが抑制される。
【0052】
また、前記制御装置は、前記報知部に前記禁止情報を報知させた後、予め規定された待機時間の経過後に前記検知部の検知モードを前記監視モードに設定すると好適である。
【0053】
禁止予告情報の報知によって、作業者は、禁止状態となる前に余裕を持って入出庫部へのアクセスが禁止されることを認識することができる。また、禁止情報が報知された後も、待機時間を経過するまでは検知部の検知モードが非監視モードであるため、仮に作業者が禁止状態となる前後に入出庫部にアクセスした場合であっても、検知部に検出対象物が不用意に検出されて引き渡し工程の実行が禁止されることにより、物品搬送設備の稼働率が低下することを抑制できる。
【0054】
また、前記制御装置は、前記移動工程の完了後、前記引き渡し工程の開始前に、前記報知部に前記禁止情報を報知させると好適である。
【0055】
移動工程が実行されている期間には、物品搬送装置が入出庫部にアクセスすることはない。従って、この期間に禁止情報を報知して作業者による入出庫部へのアクセスを制限すると設備全体の稼働率を低下させる可能性がある。一方、引き渡し工程が実施される際には、物品搬送装置が入出庫部にアクセスするため、入出庫部への作業者のアクセスを制限する必要があり、禁止情報が報知されている必要がある。移動工程の完了後、引き渡し工程の開始前に、禁止予告情報に続いて禁止情報が報知されることで、適切に入出庫部への作業者のアクセスを制限することができる。
【0056】
また、前記制御装置は、前記移動工程が完了するよりも、予め規定された余裕時間前に、前記報知部に前記禁止予告情報を報知させると好適である。
【0057】
禁止予告情報は、入出庫部への進入が禁止される禁止状態となることを認知させるために、移動工程が完了して引き渡し工程が開始される前に、適切な期間に亘って報知されることが好ましい。制御装置は、物品搬送装置の移動量に基づいて移動工程が完了する時刻を演算することができる。従って、移動工程が完了するよりも余裕時間前に報知部に禁止予告情報を報知させると、禁止状態となることを作業者に適切に認知させることができる。
【0058】
また、前記検知対象物は、前記入出庫部へ進入する入庫用の前記物品を少なくとも含むと好適である。
【0059】
例えば、入出庫部への入庫の際には、作業者の手や移載手段(リフトや台車等)によって物品が入出庫部へ運び入れられる。従って、検知対象物は、少なくとも入庫用の物品を含むと好適である。