(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記TPCは、ショアD硬度が36ShD〜60ShDの範囲内にあり、前記TPAまたはTPUは、ショアA硬度が60〜90ShAの範囲内にある請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマー組成物の機械特性値は、例えば、引張強度、破断ひずみ、圧縮永久ひずみ(英語では、compression set、CS)および膨潤挙動である。熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いられるTPEのポリマー分類は、エラストマーのゴム弾性特性と、熱可塑性プラスチックの有利な処理特性とを組み合わせている。このように特性を組み合わせることにより、TPE材料の多数の応用の可能性が開け、これらは、いくつか例を挙げるだけでも、例えば自動車内部領域および外部領域、産業機器、産業工具、家庭用機器、医療用消耗品および医療機器、歯ブラシなどの衛生用品、スポーツ用品、浴室備品、おもちゃ、食品用容器などがある。この際、このTPE材料は、密閉機能および緩和機能などの特性を引き継ぎ、または、その快適な触覚性および視覚性から採用される。
【0003】
当業者には、様々な分類の熱可塑性エラストマーが公知である。本願中で記載するTPEは、DIN EN ISO 18064での定義に従うものである。さらにTPEの分類は、「G.ホールデン(Holden)、H.R.クリヒェルドルフ(Kricheldorf)、R.P.キルク(Quirk)(編集者)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers)、カール・ハンザー出版(Carl Hanser Verlag)、第3版、ミュンヘン、2004年」中、または、「http://en.wikipedia.org/wiki/Thermoplastic_elastomer」でも説明されている。
【0004】
DIN EN ISO 18064の3.1.の項目に記載されているように、TPEは2つの主要な分類に分けることができる。ここでは、TPEは、ポリマーまたはポリマー混合物(ブレンド)からなりうる。さらに、上述のDIN EN ISO 18064によれば、TPEは、使用温度では、その特性が、加硫化されたゴムの特性に類似しているが、高温では、熱可塑性プラスチックのように処理可能で、精製可能である。
【0005】
TPEは、1つのポリマーのみからなるが、これは、ほぼもっぱらブロックコポリマー(例えば、ポリアミドベースのTPE(TPA)、コポリエステルベースのTPE(TPC)、ポリスチレンベースのTPE(TPS)、ポリウレタンベースのTPE(TPU))である。ポリマー混合物は、通常、エラストマーと、熱可塑性プラスチックとからなる(例えばTPO(ポリオレフィンベースのTPE))。さらに、当業者には双方の分類の多数の混合形態が公知である。DIN EN ISO 18064は、これらをTPZに分類している。この規格とは異なり、本願書面では、TPZという呼称は用いない。このように、市販されているTPSは、しばしば純粋なブロックコポリマーとしては存在せず、よりしばしばスチレン・ブロック・コポリマーと熱可塑性プラスチックとのブレンドとして存在する。それでもなお、これらは(本願中では)上述の規格とは異なりTPSとして称される。さらにTPV(加硫化され(架橋された)ゴムベースのTPE)の分類内に、加硫化された混合物が存在し、これは、熱可塑性プラスチックとゴム(またはエラストマー)とからなり、これらは統計および/または交互コポリマーとして存在し、ゴムはブロックコポリマーから構築されている。ブロックコポリマーに基づくTPVでは、よりしばしばTPZではなくTPVの概念が用いられる。これらの場合には、本願書面ではDIN EN ISO 18064とは異なり、TPVとの名称を選択する。
【0006】
ブロックコポリマーに基づくTPE(例えば、TPA、TPC、TPS)は、その内部分子構造に基づいて、相(ドメインとも称する)を形成する。ポリマー混合物は、これも同様に相(ドメインとも称する)を形成し、したがってTPE挙動を示す。双方の場合で、硬質で熱可塑性があるドメインと、軟質のエラストマードメインとが形成される。熱が作用すると、熱可塑性領域が融解し、その後、TPEは熱可塑性プラスチックのように加工されうる。冷却の際に、これらの硬質領域は新たに凝固し、その後、この材料は軟質ドメインの弾性特性を示す。
【0007】
非架橋TPEと比較すると、所定のポリマー分類のTPVは、通常機械特性、例えば引張強度、破断ひずみまたは圧縮永久ひずみが改良される。とりわけ、架橋により、TPEの化学的な耐性、およびそれに従って膨潤挙動を明らかに改良することができる。しかしながら、特性の獲得には、製造において高いコストが伴う。したがって、追加的な架橋剤、例えば過酸化物、硫黄化合物またはフェノール樹脂を投入せねばならない。硬質で熱可塑性を有する相は、共に架橋されないまたは分解されない点に注意せねばならない。分解は、例えば、熱可塑性プラスチックとしてPP(ポリプロピレン)の存在下で、過酸化物の使用または劣悪な処理が行われる場合に生じうる。TPV製造時には、一般に、加硫時に生じうる急激な発熱反応を回避するために予防措置を採らねばならない。
【0008】
1960年代の発見以来、TPVの分類内で、動的加硫方法が定着してきた。この場合、融解した熱可塑性相およびエラストマー相を相応の化学物質の存在下で内部混合している間に架橋を行う。最近の数十年で、様々な架橋システムを用いたエラストマー/熱可塑性プラスチックの多数の組み合わせが、TPV製造用に採用された(G.ホールデン(Holden)、H.R.クリヒェルドルフ(Kricheldorf)、R.P.キルク(Quirk)(編集者)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers)、カール・ハンザー出版(Carl Hanser Verlag)、第3版、ミュンヘン、2004年)。161頁以降も参照)。
【0009】
古典的な動的加硫では、1つまたは複数の熱可塑性プラスチックが1つまたは複数のエラストマーと組み合わされるが、この方法以外に、TPVのさらなる製造方法が開発された。したがって、DE 10 2008 012 516 A1号では、エラストマーとして、α−オレフィン−酢酸ビニル−コポリマーを、TPEを有する熱可塑性プラスチックと共にではなく、過酸化物架橋剤と共に、TPVに変える方法を記載している。TPEとして、コポリエステル(TPC)を採用する。DE 692 27 140 T2号も、ゴム以外に、第2の成分として熱可塑性ポリエステル−エラストマーを含有し、熱可塑性プラスチックは含有していない熱可塑性エラストマー組成物を記載している。DE 692 27 140 T2号は、古くから公知の問題を記載しているが、これは、熱可塑性ポリエステル−エラストマーの割合が高すぎる場合には、柔軟性および圧縮率が十分良好ではないという問題である。しかし、熱可塑性ポリエステル−エラストマーの割合が低すぎる場合には、結果として得られる組成物の処理可能性が劣悪で、流動性が小さい。処理可能性が劣悪であることにより、通常、寿命が短くなり、加工寛容度は小さくなる。
【0010】
DIN EN ISO 18064によれば、TPVは「熱可塑性材料と通常のゴムとの混合物からなる熱可塑性加硫ゴムであって、動的加硫プロセスにより、混ぜ物をする過程および混合過程の間に架橋されるゴム」であると称される。動的加硫以外に架橋エラストマー粒子は、別工程でも生成可能であり、その後、熱可塑性プラスチック中に分散される。この種のTPVは、上述のISO規格の定義には準拠しないが、より近い従来技術に属する。DE 44 25 944 A1号は、例えば、ポリカルボナート、ポリスチレンアクリルニトリル、ポリメチルメタクリラート、ポリオキシメチレンおよびこれ以外の共に架橋されたエチレン−ビニルエステル混合重合体からなる熱可塑性プラスチックの混合物を記載している。さらに、これに関して、いわゆる耐衝撃性が改質された熱可塑性プラスチックへの境界が流動的である点が指摘される。この場合、熱可塑性プラスチックの改質のために、少量の架橋エラストマーを熱可塑性マトリックス中に組み入れる。
【0011】
動的加硫とは、熱可塑性プラスチックおよび場合によってはこれ以外の添加物の存在下での、融解および混合のプロセス時のエラストマーの架橋であると理解される。
【0012】
架橋エラストマードメインを有するTPE材料を製造するさらなる可能性は、予め架橋されたエラストマー粒子を熱可塑性エラストマー(TPE)と混合することである。「予め架橋された」エラストマーとは、熱可塑性エラストマーになるように加工する前に、すでに架橋されて存在するエラストマーであると理解される。例として、オムノバ(Omnova)社の製品であるケミガム(Chemigum)(登録商標)(NBR−エラストマー)およびサニガム(Sunigum)(登録商標)(架橋されたアクリラート−テルポリマー)が挙げられるが、これらは、TPC用またはTPU用の重合調整剤として提供される。
【0013】
応用に応じて、TPE材料に対して様々な特性プロフィールが要求される。通常、1つの特性のみならず、複数の特性の組み合わせが高いレベルで要求される。例えば、自動車分野におけるエンジンまたはギヤの密閉部には、高温における低い圧縮永久ひずみ、同時に鉱油に対する良好な耐性、および、例えば、ポリアミドへの付着性が要求される。この際、開発者が向き合う困難は、正反対の効果であり、要求される全ての特性を非常に高い特性レベルで同時に達成するのは、ほとんど不可能または全く不可能であるという点である。
【0014】
当業者には、例えば非架橋TPE、例えばポリプロピレン(PP)およびスチレン・ブロック・コポリマーからなるTPSが、PPに対して良好な付着を示し、また非常に良好な引張強度および破断ひずみ特性も設定しうることは一般的である。しかし、これらのTPE材料は、約80℃までの持続動作温度のみにおいて適切である。例えば、ポリアミドなどの極性を有する表面への付着が要求される場合には、当業者は、例えばエラストマーまたは熱可塑性プラスチックにおいて極性改質を行わねばならない(例えばUS8,193,273号参照)。
【0015】
加硫化TPVの採用により、しばしば温度耐性および膨潤挙動も改良されるが(EP2 098 566 A1号およびEP2 098 570 B1号)、しかし、これにより、しばしば処理可能性および弾性特性が損なわれる。
【0016】
当業者には、さらに、採用される原材料の選択が、とりわけ化学的な耐性、動作温度、別の材料への付着に決定的な影響を及ぼすことが公知である。これは、様々なタイプのTPE間で明らかに区別されねばならない。TPC、TPU、TPAおよびTPSなどの純粋なブロックコポリマーでは、モノマーモジュールは可変である。TPS、TPOまたはTPVなどのポリマー混合物では、熱可塑性プラスチックおよびエラストマーのモノマーモジュールも、相応の熱可塑性プラスチックとエラストマーとの組み合わせ自身も可変である。これについては、「G.ホールデン(Holden)、H.R.クリヒェルドルフ(Kricheldorf)、R.P.キルク(Quirk)(編集者)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers)、カール・ハンザー出版(Carl Hanser Verlag)、第3版、ミュンヘン、2004年」を参照されたい。当業者には、しばしば非相溶性の原材料の組み合わせにより、組み合わせの可能性が制限されるが、とりわけポリマーブレンドからなるTPEの場合には、この可能性が制限される。
【0017】
ある応用ないし応用分野で成功裡に機能可能にするためには、TPEの製造業者には、1つの所定の硬度のみを備えたTPE化合物ではなく、むしろ一連の異なる硬度の化合物を提供することが期待される。さらに、これらの一連の化合物内で、可能な限り全ての化合物が、等しく良好で高い特性レベルを有することが期待される。市場におけるこの要求によって、材料特性に影響を与える上述の正反対の効果以外に、この種のTPEの製造をさらに難しくする観点が加わってしまう。
【0018】
要件プロフィールが出て来ると、当業者は、通常まず原材料の選択を行う、すなわち、要求される特性を最も良く満たしうる適切なTPE分類を選択する。しばしば製造パラメータ、例えば、利用可能な生産凝集体、成分および生じる生成物の処理可能性ならびに場合によっては存在しうる製造コストの上限は、原材料選択を非常に制限するような影響を与える。選択を行った後、当業者はまず、要件プロフィールを満たすのに必要な、可能な限り最適な特性プロフィールが生じるように、原材料の割合を最適化する。この最適化後に、続いて、検証のために異なる硬度を有する一連のTPE化合物を生成する。
【0019】
当業者がTPE分類から1つのTPV(これには、本願書面中ですでに上述した架橋されたエラストマーと熱可塑性プラスチックとの混合物であるTPEが含まれる)を選択する場合に、同じ工程が該当する。通常、ポリマーブレンドとして存在するTPE(これには、TPVも含まれる)では、硬度は、含有される熱可塑性プラスチックないし一般的に熱可塑性相の量および/または添加されるプロセス油(可塑剤も)の量を介して設定される。熱可塑性相量の上昇は、TPE(例えばTPC、TPU、TPA)の添加を介しても行われうる。
【0020】
しかしながら、予め最適化された製剤の硬度を合わせることは、一般的にこれ以外の要求される特性の劣化を伴う。したがって、例えば硬度をより高くするためには、より多くの熱可塑性プラスチックを添加するないし一般的により多くの熱可塑性相を生成せねばならない。これには通常、弾性特性、例えば圧縮永久ひずみ、破断ひずみおよび弾性の劣化を伴う。硬度をより小さくするためには、例えば可塑剤ないし油の添加が行われる。しかしながら、エラストマーは、油に対する吸収能力が限定的で、油の添加が多すぎる場合には、油が漏れだす。これによりしばしば機械特性および化学耐性が損なわれる。
【0021】
このように、機械特性は、非極性媒体、例えば鉱油、脂またはガソリンと接触すると劣化する。
【0022】
TPC、TPAおよびTPUはTPEであり、ブロックコポリマーから構築されている。これらは、温度耐性が高くおよび/または化学耐性が良好である。しかしながら、これらのTPE分類は、主にショアD硬度範囲の応用のためのものである。さらに、これらは、弾性特性が中程度で、TPS、TPOまたはTPVと比較すると、著しく高価である。しかし、これらのブロックコポリマーからなるTPEで設定可能な硬度のスペクトルは、現在のところ、上述のポリマーブレンドからなるTPEと類似の範囲で制限されている。ショアA硬度範囲中での高い硬度は、弾性特性が明らかに実質的に損なわれない限りは達成できないが、この理由は、熱可塑性プラスチック相の割合が大きくなり、したがってこれに関連してエラストマーの割合が下降することにより、ますます熱可塑性特性が発揮されるからである。
【0023】
TPEにおいて、異なる硬度のスペクトルを可能な限り広く提供することができるために、これを目標に応じて制御でき、その際に、この材料の本質的な生成物特性、例えば、圧縮永久ひずみおよび弾性を妨げることがないようにする可能性を探らねばならない。加工時に問題が生じないように、結果として得られる組成物の寿命が十分であることも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の課題は、10〜100ShA(ショアA硬度)の広い硬度範囲で、非常に良好な復元特性、良好な永久伸び、良好な圧縮永久ひずみ、非常に良好な温度耐性および化学耐性が可能な限り不変的に維持されるTPE組成物を提供することである。さらなる課題は、個々のTPE組成物のみならず、硬度は異なるがそれ以外の特性レベルは不変で高いままである一連のTPE組成物を提供することができる点にある。このTPEは、さらに、通常の処理技術、例えば、押し出し成形、射出成形またはブロー成形により加工されうるべきである。すなわち加工寛容度は十分大きく、組成物が加工されうる期間は、十分長くなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述の課題は、本発明による熱可塑性エラストマー組成物により解決されるが、これは、熱可塑性相(T)とエラストマー相(EL)とを有し、Tは、ポリエステル、ポリアミドまたはポリウレタンの分類からの少なくとも1つの熱可塑性プラスチック(TP)と、TPC(コポリエステルベースのTPE)、TPA(ポリアミドベースのTPE)またはTPU(ポリウレタンベースのTPE)の分類からの少なくとも1つのTPEを含み、ELは、少なくとも1つの架橋されたまたは非架橋のエラストマーを含み、EL:Tの重量比率は、100:25〜100:80の範囲内、より好適には100:35〜100:70の範囲内、最も好適には100:40〜100:60の範囲内にある。
【0026】
記載した範囲のEL:Tの重量比率は、機械特性、温度耐性、化学耐性および処理性についての最適な妥協を示す。
【0027】
さらなるある代替実施形態は、上述のような本発明による熱可塑性エラストマー組成物に関するが、この際、少なくとも1つの熱可塑性プラスチック(TP)がポリオレフィンであり、少なくとも1つのTPEがTPO(ポリオレフィンベースのTPE)である組成物に関する。しかしながら、本発明によれば、好適には、TPおよびTPEは、より上に示した分類から選択される。
【0028】
本発明による熱可塑性エラストマー組成物のさらなるある実施形態では、より良好な相溶性という理由から、熱可塑性相(T)中で、ポリエステルがTPCと、ないしポリアミドがTPAまたはTPUと組み合わされる場合に好適である。
【0029】
さらなるある実施形態では、本発明による熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくはエラストマー相(EL)を架橋するために、架橋剤を含む。可能な架橋剤は、使用されるエラストマーに応じて、後述するような架橋剤である。したがって、換言すれば、本発明は、架橋された(加硫化される)熱可塑性エラストマー組成物(TPV化合物)も含むべきであるが、この際、エラストマー相の少なくとも1つのエラストマーは架橋されて存在するべきである。エラストマーを架橋するために、架橋剤に追加して、共硬化剤を採用可能である。好適な共硬化剤もさらに後述する。
【0030】
TP対TPEの重量比率は、本発明による熱可塑性エラストマー組成物では、好ましくはTP:TPEが5:95〜95:5の範囲、より好適には10:90〜80:20の範囲、および、最も好適には15:85〜60:40の範囲内にある。
【0031】
熱可塑性相(T)中の熱可塑性エラストマーとしてTPCが用いられる場合、これは、好ましくはショアD硬度が36ShD〜60ShDの範囲である。熱可塑性相(T)中の熱可塑性エラストマーとしてTPAまたはTPUが用いられる場合、これは、好ましくはショアA硬度が60ShA〜90ShAの範囲である。ショア硬度は、エラストマーまたはプラスチックの材料特性値であり、その値はDIN EN ISO 868およびDIN ISO 7619−1の規格で決められる。
【0032】
本発明による熱可塑性エラストマー組成物は、可塑剤、安定剤、助剤、着色剤、充填剤および/または相溶剤も含有しうる。これらについても、後で詳しく述べる。ここで、可塑剤は、好ましくはEL対可塑剤の重量比率(phr)が、100:10〜100:50の範囲、より好適には100:20〜100:40の範囲、最も好適には100:25〜100:35の範囲で投入される。架橋剤は、好ましくはEL対架橋剤の重量比率が100:25〜100:5の範囲、より好適には100:20〜100:10の範囲、および、最も好適には100:13〜100:18以上の範囲で投入される。共硬化剤は、好ましくはEL対共硬化剤の重量比率が100:1〜100:10の範囲、より好適には100:2〜100:8の範囲で投入される。安定剤、助剤および着色剤は、好ましくはEL対上述の投入される物質の重量比率が、100:5〜100:20の範囲、より好適には100:8〜100:15の範囲で投入される。充填剤は、好ましくはEL対充填剤の重量比率が、100:1〜100:10の範囲、より好適には100:2〜100:8の範囲で投入される。
【0033】
本発明により相溶剤が投入される場合、これは、好ましくは後述するようなエラストマーである。この場合、相溶剤は、エラストマー相(EL)の成分として見なされることができ、記載した全重量比率において、相応に共に考慮されうる。EL相中の少なくとも1つのエラストマーとエラストマー相溶剤との重量比率は、好ましくは99:1〜80:20の範囲、より好適には95:5〜85:15の範囲、および、最も好適には92:8〜88:12の範囲内にある。
【0034】
さらに本発明の課題の解決は、異なるショア硬度の可能な限り広いスペクトルを網羅する熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる点にもある。驚くべきことに、EL:Tの重量比率は一定に保たれるが、TP:TPEの重量比率が変化する場合に、本発明による熱可塑性エラストマー組成物のショア硬度がより広い範囲で可変になるが、この際に、圧縮永久ひずみ、引張強度および破断ひずみなどの特性が決定的に損なわれることはないことが見いだされた。このようにして、ショアA硬度が10〜100ShAの範囲、好適には40〜90ShAの範囲の熱可塑性エラストマー組成物が実現可能になる。
【0035】
したがって、本発明による熱可塑性エラストマー組成物のショア硬度の設定は、TP対TPEの重量比率を介して行う。この際、より高いショア硬度は、熱可塑性プラスチックの量をより多くすることにより達成される。より低いショア硬度は、それに応じてTPEの量をより多くすることにより達成される。TPEが多すぎることに対して熱可塑性プラスチックを少なくすることは、硬度がより小さくなることを意味する。驚くべきことに、ポリマー可塑剤などのTPEが熱可塑性相(T)で作用することが見いだされた。
【0036】
本発明は、したがって、圧縮永久ひずみおよび/または破断ひずみおよび/または引張強度を実質的に劣化させることなく、熱可塑性エラストマー組成物(好ましくは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物)のショア硬度を変える/設定する方法にも関し、この場合に、前記熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性相(T)と、エラストマー相(EL)とを有し、Tは、熱可塑性プラスチック(TP)と熱可塑性エラストマー(TPE)とを含み、前記熱可塑性エラストマー組成物の製造時には、所定のショア硬度を備えた参照組成物と比較すると、重量比率EL:Tは一定に保たれるが、重量比率TP:TPEは変化し、120℃で24時間後に計測すると、それぞれ前記参照組成物と比較して、前記熱可塑性エラストマー組成物の前記圧縮永久ひずみは、10%ポイント未満高く、ならびに/または、前記熱可塑性エラストマー組成物の破断ひずみおよび/もしくは引張強度は、10%ポイント未満低い。
【0037】
本発明による方法のさらなる利点は、この得られた材料の処理可能性が、TP:TPEの重量比率が変わり、EL:Tの重量比率が相対的に一定に保たれている場合に、実質的に変わらない点である。
【0038】
本発明による方法のさらなるある実施形態では、熱可塑性エラストマー組成物の製造時に、参照組成物と比較して、TP:TPEの重量比率を変化させ、TPまたはTPEの量を少なくとも1重量パーセント、好適には少なくとも3重量%、極めて特に好適には5重量%上昇させ、他方の量をそれぞれ同じ重量パーセントだけ低くすることが好適である。
【0039】
本発明による方法の別のさらなる実施形態では、参照組成物の熱可塑性相が、熱可塑性プラスチックを含有していないことが好適である。
【0040】
熱可塑性エラストマー組成物の特性、例えば、圧縮永久ひずみ、破断ひずみまたは引張強度の最適化は、したがって、好ましくは第1の工程中で行われる。この第1の工程は、採用されるTPE、熱可塑性プラスチック、エラストマー、および存在する場合には架橋システムならびに対応する量比率の選択を含む。この際、本発明による方法の意味合いで参照組成物として機能する組成物が得られるが、これは、硬度が変化する組成物の硬度設定を行う前に得られる。最適な圧縮永久ひずみ、最適な破断ひずみおよび/または最適な引張強度のための正確な原材料および正確なEL:T重量比率が見いだされるとすぐに、第2の工程の間に、TP:TPEの重量比率を変化させることにより、組成物のショア硬度を変更する。換言すれば、熱可塑性組成物のショア硬度の変更/設定を行う本発明による方法は、スクリーニング方法である。このようにして、本発明による熱可塑性エラストマーの特性は、設定され、または所望の方法で変更されることが可能である。本発明による方法は、参照組成物以外に、ショア硬度を変更したさらなる組成物を供給する。したがって応用ないし応用分野の要件にとって最適な考慮が可能になる。最適化されたエラストマー組成物を1つのみではなく、硬度は異なるが、特性レベルは等しく良好で高い一連のエラストマー組成物が市場に提供されうる。
【0041】
さらに、好適には、それぞれ参照組成物と比較すると、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久ひずみは、120℃で24時間後に計測すると、5%未満高く、ならびに/または、熱可塑性エラストマー組成物の引張強度および/もしくは破断ひずみは、5%未満低く、より好ましくは、少なくとも同じ大きさである。極めて特に好適には、圧縮永久ひずみは、参照組成物のこの値よりも小さい。さらに好適には、破断ひずみおよび/または引張強度は、参照組成物のこれらの値よりも大きい。
【0042】
本発明による方法では、好適には、EL:Tの重量比率は100:25〜100:80の範囲であり、より好適には100:35〜100:70の範囲であり、最も好適には100:40〜100:60の範囲である。
【0043】
さらに、好適には、TP:TPEの割合は、5:95〜95:5、より好適には10:90〜80:20の範囲、最も好適には15:85〜60:40の範囲で変化する。
【0044】
本発明のさらなる対象物は、熱可塑性エラストマー組成物(好ましくは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物)の製造方法であって、エラストマー相(EL)と熱可塑性相(T)とを有し、Tは、少なくとも1つの熱可塑性プラスチック(TP)と少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(TPE)とを含み、TPおよびTPEの融点および軟化点より高い温度で混和され、かつ、EL:Tの重量比率は、100:25〜100:80の範囲内にある。
【0045】
熱可塑性エラストマー組成物の本発明による製造においては、エラストマー相(EL)と熱可塑性相(T)とを含有する組成物を、好ましくは連続混合過程に供するが、この際その温度は、TPおよびTPEの最高融点および/または最高軟化点より高い温度で行う。TPおよびTPEの融点および/または軟化点より高い好適な温度は後述する。本発明による製造方法ないしここで投入される成分の様々な好適な変形例も、同様に後述する。
【0046】
本発明による熱可塑性エラストマー組成物、ないし、本発明により変更されまたは製造された熱可塑性エラストマー組成物の特徴は、非常に高い温度耐性および化学耐性と同時に、10〜100ShAという非常に広いショアA硬度範囲中で非常に良好な機械特性値を有する点である。
【0047】
上述の、および、本発明による熱可塑性エラストマー組成物ないし本発明による方法中で採用される成分を、以下のアルファベットで省略して、さらに以下で詳細に説明する。
A:エラストマー
B:熱可塑性エラストマー
C:熱可塑性プラスチック
D:可塑剤
E:架橋剤
F:共硬化剤
G:安定剤、助剤、着色剤
H:充填剤
I:相溶剤
【0048】
成分A:エラストマー
エラストマー相(EL)は、従来技術中で公知のエラストマーを含みうるが、これは、熱可塑性相(T)と相溶性がある、ないしこれと混合可能である。好ましくはこのエラストマーは、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、スチレンブロック−コポリマー(SBC)、ニトリルブタジエン−ゴム(NBR)、水素化ニトリルブタジエン−ゴム(H−NBR)、カルボキシル化ニトリルブタジエン−ゴム(X−NBR)、エチレン−酢酸ビニル−コポリマー(EVM)、エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチル−ゴム(IIR)、ハロブチルゴム(ハロゲン化IIR)、イソプレン−ゴム(IR)、クロロプレン−ゴム(CR)、アクリラート−ゴム(ACM)、エチレン−アクリラート−ゴム(AEM)、エピクロルヒドリン−ゴム(ECO)、エポキシ化天然ゴム、シリコンゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
エチレン−酢酸ビニル−コポリマー(EVM)は、α−オレフィン好ましくはエチレンおよび酢酸ビニルからなる共重合体である。EVMは、例えば、ランクセス・ドイツ(Lanxess Deutschland)有限会社の商品名レバプレン(Levapren)(登録商標)またはレバメルト(Levamelt)(登録商標)で市販されている。本発明により好適に採用されるα−オレフィン−共重合体は、エチレン−酢酸ビニル−コポリマーであるLevamelt(登録商標)400、Levamelt(登録商標)450、Levamelt(登録商標)452、Levamelt(登録商標)456、Levamelt(登録商標)500、Levamelt(登録商標)600、Levamelt(登録商標)700、Levamelt(登録商標)800およびLevamelt(登録商標)900で、60±1.5重量パーセントの酢酸ビニル、70±1.5重量パーセントの酢酸ビニル、80±2重量パーセントの酢酸ビニルないし90±2重量パーセントの酢酸ビニルを有し、ないし対応するLevapren(登録商標)タイプであり、この中で、Levamelt(登録商標)600が特に好適である。本発明による組成物中では、成分として1つのα−オレフィン−酢酸ビニル−コポリマーが採用されうるが、しかし、2つ以上のα−オレフィン−酢酸ビニル−コポリマーからなる混合物を採用することも同様に可能である。EVMにおける架橋は過酸化物で行われる。
【0050】
ニトリルブタジエン−ゴム(NBR)は、アクリルニトリル(ACN)と1.3−ブタジエンとからなる共重合体である。この際、ニトリル割合は可変である。NBRは、その含有する二重結合に基づいて、過酸化物でも、フェノール樹脂または硫黄を介しても架橋可能である。本発明による熱可塑性エラストマー組成物では、好ましくは過酸化物架橋およびフェノール樹脂を介した架橋も採用可能である。本発明により採用されたNBRの例としては、商品名ペルブナン(Perbunan)(登録商標)、クライナック(Krynac)(登録商標)、ブナ(Buna)(登録商標)N、またはユーロプレン(Europrene)(登録商標)Nが公知であり、これらは市販されている。
【0051】
水素化ニトリルブタジエンゴム(H−NBR)は、NBR中に含有される二重結合の水素化により得られる。H−NBRは、過酸化物で架橋されうる。本発明により採用されうるH−NBRの例としては、商品名テルバン(THERBAN)(登録商標)(Lanxess)およびTHERBAN(登録商標)AT(Lanxess)が公知であり、これらは市販されている。
【0052】
いわゆるカルボキシル化ニトリルブタジエン−ゴム(X−NBR)は、ブタジエンの二重結合においてカルボン酸基を含有するNBRである。このカルボン酸基は、統計的にポリマーを介して分布していて、好ましくは、この種のポリマーは、ポリマー中のカルボキシル化可能な炭素−炭素−二重結合の可能な数に対して、10%未満のカルボン酸基を含有する。ポリマー中にカルボキシル基が含有されていることにより、X−NBRは過酸化物架橋およびフェノール樹脂による架橋以外に、金属イオンを介しても架橋可能であり、これが、(脱プロトン化)カルボン酸基により配位結合可能である。本発明により採用可能なX−NBRの一例は、商品名Krynac(登録商標)X(Lanxess)で公知であり、これらは市販されている。
【0053】
スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)は、スチレンと1,3−ブタジエンとからなる共重合体であり、本発明によれば、スチレン含有量は、(ブタジエン含有量に比して)25%未満であるべきであるが、この理由は、スチレン含有量がより高い場合に、ゴムが熱可塑性特性を得るからである。SBRは、過酸化物架橋も、フェノール樹脂による架橋も、また、硫黄による架橋も可能である。本発明による組成物中では、ここで、好ましくは過酸化物架橋およびフェノール樹脂を介した架橋が採用される。本発明により採用可能なSBRの一例は、商品名クラレックス(KRALEX)(登録商標)SBRおよびEuroprene(登録商標)SBRが公知であり、これらは市販されている。
【0054】
スチレン・ブロック・コポリマー(SBC)は、様々なポリマーブロックからなるコポリマーであり、このうちで少なくとも1つのブロックは、ポリスチレンブロックである。しかし、より好適には、SBCは、トリブロックコポリマーの構造を有し、中央のブロックが、ポリスチレンとは異なるポリマーから構築されていて、両端にある双方のブロックは、それぞれポリスチレンブロックを形成する。熱可塑性エラストマーとして、これらは、本発明によれば特殊な例である。本発明によれば、SBCは、架橋可能なSBC(SBC−V)と非架橋SBCとに区分される。
【0055】
非架橋SBCの一例は、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)である。SEBSは1,3−ブタジエンとスチレンとからなるトリブロックコポリマーである。SEBSポリマーは、3つのブロックから構築され、両端のブロックは、ポリスチレンにより、かつ、中央のブロックはブタジエンから重合化される。ポリマーは、これに続いて水素化される。本発明により採用可能でかつ非架橋SBCのさらなる一例は、SEPS(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン)である。さらに、ここでは、例として、水素化されていて、したがってC−C−二重結合を含まない全てのさらなる公知のSBCも挙げるべきである。本発明による水素化SBC(例えば、SEBS、水素化SEPS、水素化SEEPSなど)をエラストマー相(EL)中に用いる場合、これらは、熱可塑性エラストマー組成物の製造のために、好ましくは熱可塑性相(T)と徹底的に混合される。本発明により採用されうる水素化SBCの例は、商品名クレイトン(Kraton)(登録商標)、セプトン(Septon)(登録商標)、Europrene(登録商標)およびタイポール(Taipol)(登録商標)が公知であり、これらは市販されている。
【0056】
SBC−Vは、架橋可能な基を含有するSBCであるが、これらは、例えばSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SIBS(スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン)、α−メチルスチレンブロックおよびイソプレンブロックを有するSBC、または、(軟質)ビニルポリジエンブロックを有するスチレンブロック−コポリマーである。
【0057】
α−メチルスチレンブロックとイソプレンブロックとを有するSBCは、トリブロック−コポリマーであり、これは、α−メチルスチレンとイソプレンとから共重合化される。両端のブロックは、α−メチルスチレンから重合化され、この際、中央ブロックは、重合化されたイソプレン−モノマーからなる。商品名がSepton(登録商標)V(クラレ(Kuraray))である製品は、この種のポリマーであり、過酸化物で架橋されうるが、本発明によれば非架橋でも採用可能である。本発明によれば、この場合、好ましくは過酸化物架橋が採用される。
【0058】
軟質ビニルポリジエンブロックを備えたスチレンブロック−コポリマーは、トリブロック−コポリマーであり、これは、スチレンと主にビニル重合化されたイソプレンとから共重合化される。両端のブロックはスチレンから重合化され、中央ブロックは主にビニル特性を有する重合化されたイソプレン−モノマーからなる。商品名がハイブラー(Hybrar)(登録商標)(クラレ)である製品が、この種のポリマーであり、過酸化物で、およびフェノール樹脂または硫黄で架橋されうるが、本発明によれば非架橋でも採用可能である。本発明によれば、この場合、好ましくは過酸化物での架橋およびフェノール樹脂を介した架橋が採用される。
【0059】
SBSは、スチレンと1,3−ブタジエンとから共重合化されるトリブロック−コポリマーである。両端のブロックは、スチレンから重合化され、中央ブロックは重合化された1,3−ブタジエン−モノマーからなる。商品名がクレイトン(登録商標)D(Kraton)である製品は、この種のポリマーであり、過酸化物で、およびフェノール樹脂または硫黄で架橋可能であるが、本発明によれば非架橋でも採用される。本発明によれば、この場合好ましくは過酸化物での架橋およびフェノール樹脂を介した架橋が採用される。
【0060】
本発明により、エラストマーとして、エチレン−アクリラート−ゴム(AEM)を採用する場合、架橋は、過酸化物により、金属イオンにより、またはジアミン化合物により行いうる。AEMは、エチレンとアクリル酸メチルとからの共重合体である。これは、例えば、デュポン(Du Pont)社のベイマック(Vamac)(登録商標)として市販されている。
【0061】
アクリラート−ゴム(ACM)は、アクリル酸−アルキルエステルとさらなるビニルポリマーとからなるコポリマー、例えばアクリル酸エステルと2−クロロエチルビニルエーテルとからなるコポリマー、または、アクリル酸エステルとアクリルニトリルとからなるコポリマーである。この種のポリマーの架橋の様式は、用いられるコモノマーに応じる。
【0062】
天然ゴム(NR)は、ほぼ1,4−シス−結合のみを有するイソプレンの単独重合体である。典型的には、平均モル重量Mwは約2*10
6g/molである。本発明によりエラストマーとして天然ゴムを用いる場合、これは、好ましくは過酸化物架橋、フェノール架橋または硫黄を用いた架橋を行う。
【0063】
イソプレン−ゴム(IR)は、天然ゴムの合成生成変形例である。これは、まず第1に、天然ゴムよりも、化学純度が少し低い点が相違点である。これは、重合化用に投入される触媒が、自然で発生する酵素よりも有効性が小さいことによる。天然ゴムの純度は、好ましくは99.9%を上回る一方で、合成製造されたIRは、投入される触媒によるが、約92%〜97%の純度しか達成しない。天然ゴムと同様、IRも、過酸化物架橋、フェノール架橋または硫黄を用いた架橋が可能である。好ましくは、架橋は、フェノールによりまたは過酸化物を用いて行われる。
【0064】
エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム(EPDM)は、テルポリマーである合成ゴムである。EPDMは、飽和ポリマー骨格を備えた統計コポリマーに属する。この製造は、好ましくはバナジウム−化合物とアルミニウム−アルキル−塩化物とをベースにして、メタロセンまたはチーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)−触媒を用いて行われる。ジエンとして、非共役のジエンが採用されるが、この中で、1つの二重結合のみがポリマー鎖形成に関与し、その結果、さらなる二重結合は、直接鎖骨格の外側に留まり、硫黄、過酸化物またはフェノールで架橋されうる。ジエン成分としては、ジシクロペンタジエン(DCP)、1,4−ヘキサジエンまたはエチリデンノルボルネン(ENB、IUPACで5−エチリデン−2−ノルボルネン)が採用される。これらのジエンは、架橋速度が異なる。DCPの反応性が最も低く、ENBの反応性が最も高い。
【0065】
ブチル−ゴム(IIR)は、イソブテン−イソプレン−ゴムとも称される。これは、エラストマー群のプラスチックであり、合成ゴムと見なされる。これは、イソブテンとイソプレンとからなる共重合体であり、好ましくは、全モル重量に対して、イソブテンを95〜99モル%の量、イソプレンを1〜5モル%の量含む。ブチル−ゴムは、本発明によれば、好ましくはフェノールでまたは硫黄を用いて架橋される。
【0066】
ハロブチル−ゴム(ハロゲン化IIR)は、好ましくは塩素またはブロムでハロゲン化されたブチル−ゴムである。このために、このゴムは、好ましくは不活性溶媒中で溶解させ、激しく撹拌しながら塩素気体または液体ブロムを添加する。結果として得られるハロゲン化水素は、苛性ソーダで中和される。
【0067】
クロロプレン−ゴム(CR)は、ポリクロロプレンまたは塩素ブタジエン−ゴムとも称され、合成ゴムであり、ネオプレン(Neopren)(登録商標)の商標名でも公知である。Neopren(登録商標)は、DuPont社の商標で、別の製造業者の商品名は、例えば、Lanxess社のバイプレン(Baypren)(登録商標)である。この製造は、2−塩素−1,3−ブタジエン(クロロプレン)の重合化により行われる。
【0068】
エピクロルヒドリン−ゴム(ECO)は、エピクロルヒドリンの開環重合により、場合によってはさらなるコモノマーの存在下で製造される。市場では、エピクロルヒドリン−ゴムは、例えばゼオン(Zeon)社の商品名ヒドリンエコ(HydrinECO)(登録商標)が入手可能である。
【0069】
シリコン−ゴムは、ゴム弾性状態に移行可能なバルクから製造されるが、これは、ポリ(オルガノ)シロキサンを含有し、これは架橋反応のためにアクセス可能な基を有する。換言すれば、シリコンゴムは、架橋剤で架橋されているポリ(オルガノ)シロキサンである。架橋は、(有機)過酸化物を介して行うことができるが、しかし、これにより、Si−H−基が触媒によりシリコンに結合されたビニル基に加えられ、双方の基が、ポリマー鎖中ないしその端部に挿入される状態にもなりうる。
【0070】
エポキシ化天然ゴムとは、上で定義したように、エポキシ化された天然ゴムであると理解される。
【0071】
成分B: 熱可塑性エラストマー(TPE)
上述したように、本発明によれば、熱可塑性エラストマーはTPC、TPA、TPOまたはTPUであり、本発明によればTPCおよびTPAが好適である。当業者には、相応のTPEおよびその製造については公知である。
【0072】
好ましくは本発明による適切なTPC(コポリエステルベースのTPE)は、一般的に、ポリマー主鎖中にモノマーモジュールを有し、これらがエステル基(−C(=O)−O−)を介して連結されているコポリマーの形態のコポリエステルである。この種の熱可塑性コポリエステルエラストマーは、重縮合により製造可能である。この種のコポリエステルは、好適には、マルチブロック−コポリエステルであり、これは、通常硬質ブロック(X)からなる結晶セグメントと、軟質ブロック(Y)からなる非晶質セグメントを有する。マルチブロック−コポリエステル中で硬質ブロック(X)と軟質ブロック(Y)とを構築するための適切なモノマー成分は、当業者には公知である。本発明により好適に採用されるコポリエステルは、160℃〜300℃、好適には165℃〜270℃、特に好適には170℃〜220℃の範囲の融点ないし軟化点を有する。本発明の好適なTPCは、高融点の硬質のポリエステルブロックと、低融点の軟質の、ポリエステルブロックとが統計的に分布されている直鎖マルチブロック−ポリエステルである。この際、硬質ブロックは結晶領域を形成し、軟質ブロックは非晶質領域を形成するが、これは、TPCの応用温度では弾性挙動を前提とする。硬質ポリエステルブロックは、好ましくは4つ未満のC原子を有する短鎖ジカルボン酸、または芳香族ジカルボン酸、または複数のジカルボン酸の混合物からなる。好適には芳香族ジカルボン酸であり、特に好適にはイソフタル酸またはテレフタル酸である。アルコール成分は、好適にはこれも同様に二官能性であり、3つ未満の繰り返し単位を有する短鎖ポリオキシアルキレンジオールまたは短鎖アルキルジオールまたは様々なジオールの混合物である。好適には短鎖ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、特に好適には1,4−ブタンジオールである。軟質ポリエステルブロックは、好ましくは脂肪族または芳香族ジカルボン酸、好適には芳香族ジカルボン酸、極めて特に好適にはイソフタル酸またはテレフタル酸からなる。TPCにおいて軟質領域を製造するためには、異なるタイプのジオールが用いられ、これは、例えば、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−コ−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)、または軟質ポリエステルジオール(アルカンのジカルボン酸、例えばアジピン酸またはセバシン酸から構築される)、およびアルカンのジオール、またはポリカプロラクトンジオールまたは脂肪族ポリカルボナートジオールである。しかし、複数のジオールの混合物も採用可能である。好適には、テレフタル酸と、短鎖ジオール、特に好適には1,4−ブタンジオールとから構築される硬質TPC領域を、好適にはテレフタル酸とポリエーテルジオールと、極めて特に好適にはポリテトラメチレングリコールとから構築される軟質領域と組み合わせうる。本発明による組成物中で成分Bとして適切なコポリエステルは、当業者には公知の方法により製造可能であり、ないし市販されている。市販されている適切なコポリエステルは、例えば、ティコナ(TICONA)−ライトフレックス(Riteflex)(登録商標)、Pグループ(P.GROUP)−ピビフレックス(PIBIFLEX)(登録商標)、DSM−アーニテル(Arnitel)(登録商標)、コロン(Kolon)−コペル−ペル(KOPEL−PEL)(登録商標)、PTS−ユニフレックス(Uniflex)(登録商標)、リア−ポリマーズ(Ria Polymers)−リアフレックス(Riaflex)(登録商標)、LG化学(LG Chem.)−キーフレックス(KEYFLEX)(登録商標)およびDuPont−ハイトレル(Hytrel)(登録商標)である。
【0073】
本発明のTPAの特徴は、硬質の結晶セグメントとして、ポリアミドを有する点である。軟質で非晶質の領域は、ポリエーテルおよび/またはポリエステルからなる。ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリカルボナートエステルアミドおよびポリエーテルブロックアミドとは区別される。ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよびポリカルボナートエステルアミドは、芳香族ジイソシアナートを、ポリアミドブロックを形成する脂肪族ジカルボン酸と反応させることにより形成され、これは、カルボキシル末端脂肪族ポリエステル(結果としてポリエステルアミドが得られる)、カルボキシル末端脂肪族ポリエステルエーテル(結果としてポリエーテルエステルアミドが得られる)、および、カルボキシル末端ポリカルボナートジオール(結果としてポリカルボナートエステルアミドが得られる)である。ポリエーテルブロックアミドは、カルボキシル末端ポリアミドとヒドロキシ末端ポリエーテルジオールとの反応により形成される。好適であるのは、TPAとしてポリエーテルブロックアミド、特に好適にはポリテトラメチレングリコールを軟質セグメントとして有するポリエーテルブロックアミドである。市販されている適切なTPAは、アルケマ(Arkema)−ペバックス(Pebax)(登録商標)、DK クンストシュトッフサービス(DK Kunststoffservice)有限会社−マルチフレックス(Multiflex)(登録商標)、およびエボニック インダストリーズ/デグサ(EVONIK Industries/Degussa)−ベスタミド(VESTAMID)(登録商標)Eである。
【0074】
本発明によるTPOとして、「G.ホールデン(Holden)、H.R.クリヒェルドルフ(Kricheldorf)、R.P.キルク(Quirk)(編集者)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers)、カール・ハンザー出版(Carl Hanser Verlag)、第3版、ミュンヘン、2004年」の第5章に記載されたポリマーであって、好適にはブロックコポリマーが該当する(5.3章)。ここで記載されている応用にとって特に好適であるのは、PPとPEとのブロックコポリマーから構築されたTPOである。
【0075】
本発明の意味合いで好適なTPUは、ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマーであり、例えばバイエル(Bayer)より入手可能なデスモパン(Desmopan)(登録商標)、テキシン(Texin)(登録商標)、ウテクラン(Utechllan)(登録商標)タイプのものである。
【0076】
成分C:熱可塑性プラスチック(TP)
成分Cとして本発明により適切な熱可塑性プラスチックは、好ましくは熱可塑性相(T)中でTPEと各割合で混合可能である。特に好適であるのは、採用されるTPEのブロックのうちの1つの化学組成に相当するような化学的な組成を有する熱可塑性プラスチックである。
【0077】
すでに上述したように、熱可塑性プラスチックは、ポリエステル、ポリアミドまたはポリウレタンである。
【0078】
ポリエステルを熱可塑性プラスチックとして使用する場合には、実際に熱可塑性特性を有するポリエステルのみが採用されることに注意すべきである。この点で、本発明によれば、明示的に、熱可塑性特性を有さないポリエステル、とりわけ可塑剤として投入されるポリエステル、またはポリエステル樹脂は除外されるべきである。好適には、本発明によれば平均分子量が>10,000g/molであるポリエステルが採用される。熱可塑性プラスチックとしてポリアミドまたはポリウレタンが採用される場合にも同様の点が該当する。さらに、好適には、ポリマー主鎖中に芳香族単位を有するポリエステルが採用される。
【0079】
本発明により使用可能なポリエステルの例は、ポリアルキレンテレフタラートまたはポリアルキレンフタラートであり、ポリアルキレンテレフタラートがより好適である。特に好適であるとして、ここで、ポリブチレンテレフタラート(PBT)が挙げられるが、これは、TPC中の硬質セグメントに相当し、したがって、例えば好適には熱可塑性相(T)中でこれを有するように採用される。
【0080】
したがって、例えば、熱可塑性相(T)中でTPAを使用する(硬質セグメント中にPA12を担持する)場合には、特にポリアミド(PA)も適している。
【0081】
TPUを成分Bとして使用する場合には、ウレタン−セグメントがアミド基の成分Bに類似し、その結果、PAとTPUとは混合可能で、熱可塑性相(T)中にも共に投入されうる。さらに、本発明によれば、TPUの場合には、成分Bとしてさらにポリカルボナート(PC)が、および、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)が成分Cとして適している。
【0082】
ポリアルキレンテレフタラートは、好ましくはテレフタル酸とアルキルジオールとの重縮合により製造される。特に好適には、アルキルジオールとして、1,4−ブタンジオールを用い、その結果、ポリブチレンテレフタラート(PBT)が生じる。本発明により好適に採用されるポリアルキレンテレフタラートは、融点ないし軟化点が160℃〜300℃、好適には175℃〜270℃、特に好適には200℃〜230℃の範囲である。公知の商品名およびその製造業者は、アルナイト(Arnite)(登録商標)(DSM)、セラネックス(Celanex)(登録商標)(ティコナ(Ticona))、クラスティン(Crastin)(登録商標)(DuPont)、デュロックス(DYLOX)(登録商標)(ホフマン+ボス(Hoffmann+Voss)有限会社)、ラーター(Later)(登録商標)(LATI)、ポカン(Pocan)(登録商標)(Lanxess)、シュラドゥール(Schuladur)(登録商標)(A.シュールマン(Schulman))、ウルトラデュアー(Ultradur)(登録商標)(BASF)、バロックス(Valox)(登録商標)(サビック イノベーティブ プラスチックス(Sabic Innovative Plastics))およびベストデュア(VESTODUR)(登録商標)(Evonik Industries株式会社)である。
【0083】
ポリアミド(PA)は、アミノカルボン酸、ラクタムおよび/またはジカルボン酸ならびにジアミンからなる縮合製品である。本発明により用いられるPAは、当業者には公知の広いスペクトルの様々なポリアミド(PA6 PA6.6 PA12など)に属する。本発明により好適に採用されるPAの融点ないし軟化点は、160℃〜300℃、好適には165℃〜270℃、特に好適には180℃〜230℃の範囲である。公知の商品名およびそれらの製造業者は、アクロン(Akulon)(DSM)、ドゥレタン(Durethan)(Lanxess)、フリアニル(Frianyl)(ニリット プラスチックス ヨーロッパ(NILIT Plastics Europe)、旧フリゼッタ ポリマー(Frisetta Polymer))、アクロミド(Akromid)(アクロロイ(Akroloy))、シュールアミド(Schulamid)(A.Schulman)、テクニール(Technyl)(ローディア(Rhodia))、トルゼン(Torzen)(インビスタ(Invista))、ウルトラミッド(Ultramid)、ミラミッド(Miramid)(BASF)、ユニロン(UNYLON)(ユニロンポリマーズ(UNYLON Polymers))、ベスタミド(Vestamid)(Evonik Industries)およびザイテル(Zytel)(DuPont)である。
【0084】
成分D:可塑剤
適切な可塑剤は、基本的に当業者には公知である。極性を有するエラストマー(EVM、NBR、H−NBR、X−NBR、AEM、ACMなど)用の適切な可塑剤は、例えば、エステル可塑剤、例えば、フタル酸エステル(例えば、ジオクチルフタラート、ジイソオクチルフタラート、ジノニルフタラートまたはジイソデシルフタラート)、脂肪族エステル(例えば、ジオクチル酸エステルまたはセバシン酸ジオクチル)、リン酸エステル(例えば、リン酸トリクレシル、クレシル酸ジフェニルまたはリン酸トリオクチル)、ポリエステル(例えば、ポリフタル酸エステル、ポリアジピン酸エステルまたはポリエステルエーテル)などである。
【0085】
非極性エラストマー(SBR、EPDM、SBCなど)用の適切な可塑剤は、技術用または医療用の鉱油またはホワイト油、天然油(例えば、大豆油または菜種油)、アルキルスルホン酸エステル、とりわけアルキルスルホン酸フェニルエステルであり、アルキル置換基は、>5Cの原子を備えた直鎖および/または分岐アルキル鎖を含む。さらにメリト酸のジまたはトリアルキルエステルもあり、この際、アルキル置換基は、好ましくは>4Cの原子を備えた直鎖および/または分岐アルキル鎖を含有する。さらに、ジ、トリおよびより大きいポリカルボン酸であって、アルキル置換基が好ましくは直鎖および/または分岐アルキル鎖であるポリカルボン酸のアルキルエステルも、相応の可塑剤として使用される。例として、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルエステルおよび0−アセチルクエン酸トリブチルが挙げられる。さらに、モノおよび/またはポリアルキレングリコールのカルボン酸エステルも、可塑剤として採用可能であり、これは、例えば、アジピン酸エチレングリコールである。適切な可塑剤として、上述の物質分類の混合物も採用可能である。
【0086】
成分 E:架橋剤
用いられるエラストマーに応じて、当業者には、架橋を達成するためにいずれの架橋剤を用いうるかは公知である。本発明によれば、上述のエラストマーが、過酸化物、フェノール樹脂、硫黄または金属イオンのいずれかを添加することにより架橋可能である。
【0087】
ラジカル架橋開始剤(架橋剤)として適切な過酸化物は、当業者には公知である。この例は、有機過酸化物、例えばアルキル過酸化物およびアリール過酸化物、アルキル−過酸化エステル、アリール−過酸化エステル、過酸化ジアシル、多価の過酸化物で、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(例えば、トリゴノックス(Trigonox)(登録商標)145−E85またはTrigonox(登録商標)145−45B)、ジ−tert−ブチルペルオキシド(例えば、Trigonox(登録商標)B)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン(例えば、Trigonox(登録商標)101)、tert−ブチル−クミル−ペルオキシド(例えば、Trigonox(登録商標)T)、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゾイル(例えば、ペルカドックス(Perkadox)(登録商標)14−40)、ジクミル−ペルオキシド(例えば、Perkadox(登録商標)BC 40)、ベンゾイル−ペルオキシド、2,2’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゾイル(例えば、ブルカップ(Vulcup)(登録商標)40 AE)、3,2,5−トリメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサンおよび(2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(例えば、Trigonox(登録商標)311)である。
【0088】
好適には、成分Aの融点ないし軟化点の温度より高い架橋温度を有するこの種の過酸化物が採用される。成分BおよびCとして採用される本発明による熱可塑性相の融点ないし軟化点の温度が高いので、本発明によれば、熱可塑性エラストマー組成物の製造のために、エラストマー相の架橋が、好ましくは相応の熱い溶解物中で行われる。これは、ある好適な実施形態では、架橋温度が高い過酸化物の採用を必要とする。より低い(常温の)架橋温度の過酸化物は、ポリマー溶解物と最初に接触する際にすでに壊れ、均一に混ぜられずエラストマー相の架橋が十分行われない、または不均一にしか行われない。したがって、特に好適には、本発明によれば、架橋温度が≧175℃、特に好適には≧180℃、極めて特に好適には≧185℃、とりわけ極めて特に好適には≧190℃、さらに極めて特に好適には≧200℃である過酸化物が採用される。
【0089】
過酸化物を架橋剤として使用する際には、さらに、本発明によれば、好適には、(これから架橋可能な)熱可塑性エラストマー組成物が、過酸化物をエラストマー相(EL)100重量部に対して0.2〜10重量部(phr)、好適には0.5〜8phr、特に好適には1〜6phrの量だけ有する。
【0090】
とりわけ、成分Aとしてジエン含有ゴム、例えば、SBRまたはNBRおよびH−NBRまたはEPDMを使用する場合には、過酸化物架橋以外に、成分Aの架橋のためにフェノール樹脂も適している。この場合、好ましくは混合温度が少なくとも220℃である十分高い反応性を有するフェノール樹脂を採用する。この場合、ブロム化フェノール樹脂を挙げうる。
【0091】
フェノール樹脂架橋を加速するために、当業者には公知である無機化合物を採用する。反応を加速し触媒するために、例えばSnCl
2および/またはZnOおよび/またはZnCl
2を採用しうる。しかし、ハロゲン含有エラストマーを採用することも可能である。特に好適にはZnOを採用するが、この理由は、これがさらに触媒としても作用するからである。
【0092】
非ブロム化フェノール樹脂の場合にも、ルイス酸またはクロロプレンゴムの形態でのハロゲン供与体を添加することが有意義である。したがって本発明による熱可塑性エラストマー組成物では、少なくとも1つのフェノール樹脂と、少なくとも1つのCl含有ルイス酸、好適にはSnCl
2との組み合わせを、架橋剤として投入することができる。Cl含有ルイス酸として、好ましくはZnCl
2またはSnCl
2が採用されるが、好適には、SnCl
2を採用する際には、追加的にZnOを投入する。あるいは、上述のルイス酸に加えて、クロロプレン−ゴムとZnOとの混合物も投入可能である。ブロム化フェノール樹脂を使用する場合には、ルイス酸の採用が、好ましくは必須ではないが、しかしながら、好ましくは追加的にZnOが採用される。このために適切なフェノール樹脂は当業者には公知であり、これは、通常、フェノールをアルデヒドと反応させることにより得られる(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)。このために適切なフェノール樹脂は、例えばオクチルフェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であり、例えば、メチロール基を含有するオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂であるシュネクタディ インターナショナル社(Schenectady International Inc.))製のSP−1045 H(SP−1045、HRJ−10518 H)が適切である。またはブロム化フェノール樹脂の場合には、ブロム化オクチルフェノール樹脂が適切で、例えば商品名がSP−1055 SP−1056である。適切なCl含有ルイス酸は、当業者には公知である。好適にはSnCl
2またはクロロプレン−ゴムが採用される。
【0093】
少なくとも1つのフェノール樹脂と、少なくとも1つのCl含有ルイス酸好適にはSnCl
2との組み合わせを採用する際には、好ましくは少なくとも1つのフェノール樹脂を、熱可塑性エラストマー組成物の全量に対して、2〜5重量部の量投入し、Cl含有ルイス酸は、熱可塑性エラストマー組成物の全量に対して、好ましくは0.2〜0.7重量部の量だけ投入する。
【0094】
硫黄を用いた架橋は、ゴムの架橋の可能性の中で最も古いものの一つであり、当該分野の当業者には公知である。
【0095】
成分 F:共硬化剤
本発明によるある好適な実施形態では、熱可塑性エラストマー組成物は、追加的に少なくとも1つの共硬化剤を成分Fとして含有する。共硬化剤は、エラストマー対共硬化剤の重量比率が、100:10〜100:2の範囲で、より好適には100:8〜100:3の範囲で採用される。
【0096】
架橋剤としての、過酸化物用の適切な共硬化剤は、例えば、以下の群から選択され、この群は、トリアリルイソシアヌラート(TAIC)(例えば、DuPontのDIAK7(登録商標))、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TRIM)(例えば、ラインケミー(Rheinchemie)のレノグラン(Rhenogran)TRIM(登録商標)S)、N,N’−m−フェニレンジマレイミド(例えば、デュポン・ダウ(DuPont Dow)のHVA−2(登録商標))、シアヌル酸トリアリル(TAC)、液体ポリブタジエン(例えば、ライコン・レザンズ(Ricon Resins)社のライコン(Ricon)(登録商標)D153)、p−キノディクソン、p,p’−ジベンゾイルキノジオキシン、N−メチル−N,N−ジニトロソアニリン、ニトロベンゾイル、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンマレイミド、N−メチル−N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、多官能性メタクリラートモノマー、例えば、エチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラートおよびメタクリル酸アリル、および多官能性ビニルモノマー、例えばビニル酪酸およびビニルステアリン酸からなる。好適に採用される共硬化剤は、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TRIM)、トリアリルイソシアヌラート(TAIC)、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、シアヌル酸トリアリル(TAC)および液体ポリブタジエンからなる群から選択されている。特に好適にはトリメチロールプロパントリメタクリラート(TRIM)が共硬化剤として採用される。本発明による架橋可能な組成物中に、1つの共硬化剤または2つ以上の共硬化剤を共に採用することが可能である。
【0097】
成分G〜I
適切な成分G〜Iは、当業者には基本的に公知である。適切な充填剤、安定剤、助剤、着色剤および相溶剤は、以下に挙げるとおりである。
【0098】
成分H:充填剤
適切な充填剤は、例えばすす、チョーク(炭酸カルシウム)、カオリン、珪土、滑石(ケイ酸マグネシウム)、酸化アルミニウム−水和物、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、焼成カオリン(例えば、ポールスター(Polestar)(登録商標)200P)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シラン処理されたカオリン、シラン処理されたケイ酸塩、コーティングされたチョーク、処理されたカオリン、発熱性のケイ酸、疎水性発熱性のケイ酸(例えば、アエロジル(Aerosil)(登録商標)972)、合成された非晶質沈降性ケイ酸(シリカ)、工業用すす、黒鉛、ナノサイズの充填剤、例えば、炭素−ナノフィブリル、粒子プラートレット形状のナノ粒子またはナノサイズの二酸化シリコン−水和物および鉱物である。
【0099】
成分G:安定剤、助剤および着色剤(添加剤)
適切な添加剤は、例えば処理助剤、金属せっけん、脂肪酸および脂肪酸誘導体、ファクティス(Faktis)([人工語]:ゴムに似た物質で、例えば硫黄または塩化硫黄を乾性油上に作用させて得られる物質。これはゴムを伸ばすために機能する)、経年劣化防止剤、UV防止剤、例えばオゾン劣化防止ワックスなどのオゾン劣化防止剤、酸化防止剤、例えばポリカルボジイミド(例えば、レノグラン(Rhenogran)(登録商標)PCD−50)、置換フェノール、置換ビスフェノール、ジヒドロキノリン、ジフェニルアミン、フェニル−ナフチルアミン、パラフェニルジアミン、ベンズイミダゾール、パラフィンワックス、マイクロ結晶のワックス、顔料、例えば二酸化チタンなどの着色剤、リトポン、酸化亜鉛、酸化鉄、群青、酸化クロム、硫化アンチモン、熱安定剤などの安定剤、風化に対する安定剤、酸化防止剤(例えば、p−ジクミルジフェニルアミン(例えば、ナウガード(Naugard)(登録商標)445)、スチレン化ジフェニルアミン(例えば、ヴルカノックス(Vulcanox)(登録商標)DDA)、亜鉛−メチルメルカプトベンズイミダゾールの塩(例えば、Vulcanox(登録商標)ZMB2)、重合化された1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(例えば、Vulcanox(登録商標)HS)、チオジエチレン−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシナマート、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](例えば、イルガノックス(Irganox)(登録商標)1035))、潤滑剤、離型剤、難燃剤、接着促進剤、トレーサ、鉱物ならびに結晶化促進剤および結晶化遅延剤である。
【0100】
さらなる添加剤として、加工助剤、安定剤または充填剤を添加しうる。プロセス油は、必要時に添加されうるが、好ましくは<5重量%で、好適には<2重量%添加される。本発明のさらなるある実施形態によれば、プロセス油は添加されない。
【0101】
加工助剤および安定剤として、以下を挙げる。帯電防止剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、離型剤、ブロッキング防止剤、ラジカルキャッチャー、酸化防止剤、殺生物剤、防かび剤、紫外線安定剤、これ以外の光安定剤、金属不活性化剤、さらに、発泡助剤、推進剤、難燃剤、排煙抑制剤、衝撃改質剤、接着剤、かぶり防止剤、着色剤、着色顔料、カラーマスターバッチ、粘度調整剤などの添加剤も挙げられる。充填剤としては、例えばカオリン、雲母、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、シリカ、滑石、すす、黒鉛または合成繊維が挙げられる。
【0102】
成分I:相溶剤
本発明による組成物ないし本発明により製造された組成物は、さらに、好ましくは熱可塑性相(T)をエラストマー相(EL)と結合するために、少なくとも1つの相溶剤を含有可能である。
【0103】
相溶剤は、基本的に当業者には公知である。例えば、官能化されたポリオレフィンないしポリオレフィン−コポリマーが相溶剤として適切である。この官能化されたポリオレフィンまたはポリオレフィン−コポリマーの適切な官能基は、カルボキシ基、カルボニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基またはオキサゾリン基である。好適にはポリオレフィンないしポリオレフィン−コポリマーは、カルボキシ基で官能化される。カルボキシ基で官能化された適切なポリオレフィンの製造方法は、例えば、DE 41 23 963 A1号およびこの文献中に挙げられた参考文献中に開示されている。
【0104】
好適には、本発明による組成物中の相溶剤は、本発明による対応する成分Aベースのコポリマーであり、この場合、EVMが成分Aの例では、ポリマー骨格がα−オレフィン−酢酸ビニル−コポリマーで、カルボキシ基、カルボニル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基またはオキサゾリン基、好適にはカルボキシ基で官能化されている。特に好適には本発明による組成物中では、α、β−エチレン性不飽和モノおよび/またはジカルボン酸もしくはその誘導体をα−オレフィン−酢酸ビニル−コポリマー骨格上にグラフトすることにより得られる相溶剤が採用される。特に好適な相溶剤の適切な製造方法は、当業者には公知であり、例えば、EP 1 801 162 A1号中に挙げられている。
【0105】
本発明による組成物の製造および熱可塑性エラストマー組成物への架橋または混合
本発明による熱可塑性エラストマー組成物は、成分A、B、C、D、E、F、G、HおよびIを(この組成物中に存在する限り)混合することにより製造されうる。この混合は、この際、ゴム技術およびプラスチック技術において公知である混合システムを使用して行われるが、これは、例えば内部ミキサ、例えば互いに噛み合うまたは互いに接するロータの幾何学形状を備えた内部ミキサを用い、また連続して混合する施設中、例えば混合押し出し機中、例えば2〜4以上のシャフトスクリューを備えた混合押し出し機中でも行われる。
【0106】
本発明による製造方法を実施する上で重要であるのは、成分BおよびCが可塑状態に移行可能であるが、その場合破損しない程度に混合温度を十分高くする点に注意することである。これは、温度が成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高く選択される場合に確保される。特に好適にはこれらの成分の混合は(この組成物中に存在する限り)150℃〜350℃、好適には150℃〜280℃、特に好適には170℃〜240℃の範囲の温度で行われる。
【0107】
基本的に個々の成分の混合には様々な変形例が可能である。
【0108】
変形例1: A、B、C、D、E、F、G、HおよびIは、(本発明による組成物中に含有されている限り)共に入れられ、成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高い温度で、内部で混合される。
【0109】
変形例2: A、B、C、D、G、HおよびIは、(本発明による組成物中に含有されている限り)共に入れられ、成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高い温度で、内部で混合される。続いて、成分EおよびF(本発明による製剤中に存在する限り)が添加され、達成した温度を維持してさらに混合される。
【0110】
変形例3: A、D、E、F、G、HおよびIは(本発明による組成物中に含有されている限り)共に入れられ、成分Eの反応温度以下になるまで内部混合される。その後、成分BおよびC(本発明による製剤に含有されている限り)が添加され、混合が停止して、BおよびCの軟化温度まで加熱される。BおよびC(本発明による製剤に含有されている限り)の添加温度は、BおよびC(本発明による製剤に含有されている限り)の軟化温度より高いまたは低い温度にすることができる。
【0111】
変形例4: B、CおよびHは(本発明による組成物中に含有されている限り)共に入れられ、成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高い温度で、内部で混合される。成分A、D、E、F、GおよびI(本発明による製剤に含有されている限り)が添加され、成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高い温度で、さらに内部混合される。
【0112】
内部ミキサでの製造について特に好適であるのは、変形例1である。連続混合施設における製造について特に好適であるのは、変形例3である。
【0113】
ここで挙げた方法についての変形例、とりわけ方法変形例1および3により、成分Aならびに成分BおよびCを、製造終了後に可能な限り細かくおよび均等に分布させるようにする。典型的には、エラストマー粒子(本発明による製剤に含有されている限り)の架橋前における粒径は、<5μmである。
【0114】
成分BおよびCの上述および後述の最高融解温度または最高軟化温度より高い温度は、採用される成分BおよびCに応じている。好適にはこの成分BおよびCの最高融解温度または最高軟化温度より高い温度は、150℃〜350℃、特に好適には170℃〜240℃である。
【0115】
さらに、成分EおよびFの添加時間、温度、形状および量は、以下のように選択されるべきであるが、すなわち、成分Eが、および場合によってはFがエラストマー相中で確実に良好に分布するように、エラストマー相と熱可塑性プラスチック相(B、C)が上述の状態で存在し、その後初めてエラストマー相の架橋が(架橋される場合にはである。例外は架橋不可能なSBCである。上記参照)行われ、その結果、相変換が起こり、またはエラストマー相と熱可塑性相との共連続的な相構造が起こる(とりわけ、スチレンブタジエン−ポリマーを成分Aとして使用する場合、ないしこのエラストマーが、熱可塑性相中で、<5μmの粒子で分散されて存在する)ように選択されるべきである。
【0116】
本発明による組成物は、広い硬度範囲で、バランスの取れた特性、とりわけ非常に良好な温度耐性および化学耐性を有し、同時に非常に良好な弾性特性(圧縮永久ひずみ、破断ひずみおよび引張強度)を備えた熱可塑性エラストマーを提供するのに特に適している。
【0117】
さらに、成分BとCとの組み合わせを使用することにより、コスト効率よく本発明による製剤の硬度を設定する可能性が提供されるが、この理由は、通常用いられる成分Bが本発明により用いられる成分Cよりも高価であるからである。さらに、驚くべきことに、本発明による製剤の温度性能は、成分Cを適切に選択することにより、より高い温度にシフトさせうることが分かったが、これは、DSC計測(示差走査熱量測定法)により確認可能なとおりである。
【0118】
本発明によれば、好適には、エラストマー相(EL)が熱可塑性相(T)との混和中またはその後に架橋され、すなわち架橋は動的に行われる。好ましくは分散エラストマー相(EL)の架橋は、好ましくは成分A〜I(これらが混合物中に存在する限り)の混合中に行われる。この架橋は、好ましくは、成分BおよびCの融解温度または軟化温度より高い温度で、成分Eおよび場合によってはFの存在下で、混和が少なくとも15秒の期間続けられる際に始まる。
【0119】
相変換が行われた後ないし共連続的な相が形成された後に、得られた生成物、すなわち、熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、成分BおよびCの融解温度または軟化温度より低い温度に冷却される。
【0120】
本発明のさらなる対象物は、本発明による方法により得られる熱可塑性エラストマー組成物である。
【0121】
本発明によるまたは本発明により製造された熱可塑性エラストマー組成物は、本発明によると、エラストマー成分Aが、微細分布した形態で、または(SBCの場合には)微細分散された共連続ネットワークで、熱可塑性相(T)中に存在することを特徴とする。本発明により得られた熱可塑性エラストマー組成物は、非常に良好な温度耐性、媒体耐性と同時に非常に良好な弾性特性(引張強度、破断ひずみおよび圧縮永久ひずみ)が広い硬度範囲に渡っていることを特徴とする。また、とりわけ自動車製造において要求されるような高温においても、素晴らしい物理的および動的特性、例えば突出した圧縮永久ひずみが利用可能である。熱可塑性相(T)の融解後に初めて、全システムが熱可塑性加工可能であり、したがって熱可塑性エラストマーのための必須の前提条件を満たす。
【0122】
本発明のさらなる対象物は、したがって本発明によるないし本発明により製造された熱可塑性エラストマー組成物を、熱可塑性エラストマーからなる成形部品(例えばベルト、密閉部、ピストンリング、ホース、膜、ダンパ、輪郭を有する部品、ケーブル被覆部、溶融接着剤、フィルム)の製造のために、プラスチック−ゴム−共押し出し成形のために、または共−成形部品−射出のために使用することである。
【0123】
さらに、本発明は、本発明による熱可塑性エラストマー組成物を含む成形部品に関し、これは、例えば、ケーブル被覆部、溶融接着剤またはフィルムである。
【0124】
本発明による成形部品は、広い硬度範囲での突出した物理的特性、とりわけ突出した弾性、ならびに高い温度耐性および媒体耐性、とりわけ油耐性を特徴とする。これらの特性は、とりわけ自動車用およびこれ以外の産業応用用のホース、ベルト、膜、密閉部、ベローズ、ケーブル被覆部、溶融接着剤、フィルム、およびピストンリングにとって非常に重要である。これらの成形部品は、例えば単純に単一段階プロセスで製造可能である。
【0125】
本願中で用いられる「含む」、「含有する」および「有する」の概念は、いずれにせよ、「からなる」との概念を共に含むことを意図し、その結果、これらの実施形態も、本願中で開示されている。
【0126】
本発明は、以下の実施形態を通じてより詳細に説明しうる。以下の実施形態は、例示的な特徴を持つのみで、本発明をその実施形態に制限するためには機能しない。