(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
これらの図は、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
【0013】
本開示の原理の理解を促す目的で、ここで、図面に示される実装形態を参照し、特定の言語を使用してそれらを説明する。しかし、本開示の範囲の限定を意図していないことは理解されるであろう。記載されるデバイス、器具、方法の任意の変更形態及び更なる修正形態、並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示に関係する当業者に通常想定されるものと十分に考えられる。加えて、本開示は、1つ以上の実装形態又は図に関するいくつかの要素又は特徴について、これらの同じ要素又は特徴が後の図で高度の詳細を伴わずに記載される場合には詳細に記載する。1つ以上の実装形態又は図に関して記載される特徴、構成要素及び/又は工程は、本開示の他の実装形態又は図に関して記載される特徴、構成要素及び/又は工程と組み合わせてもよいと十分に考えられる。簡略化のため、場合により、同一又は同様の部品を参照するために図面の全体を通して同一又は類似の参照符号を使用する。
【0014】
本開示は、眼内の組織の照明について記載する。特に、本開示は、全般的に、外科的処置中、照明式輸液ラインを使用して眼の内部を照明するためのデバイス、システム及び方法に関する。光を伝送するように構成された光ファイバーを輸液ラインに組み込み、眼内の照明を提供してもよい。輸液ラインに組み込まれた光ファイバーによって提供される照明は、独立型照明器によって提供される照明に類似し得るが、眼の別個の切開及び別個の照明器具を必要としない。例えば、光ファイバーは、術野を照明するために広角白色光を伝送してもよい。他の例では、光ファイバーは、術野を照明するために他の光の周波数を他の角度発散において提供してもよい。照明式輸液ラインは、眼内の眼圧を維持するなどのために眼内に流体を送達するのと同時に術野内に光を提供する。
【0015】
本開示のデバイス、システム及び方法は多くの利点を提供する。眼内に流体を導入し、それにより眼の外科的処置中に眼圧を維持するために使用される輸液ラインに照明を組み込むことで、眼内に導入される器具の総数を最小にすることが可能になる。すなわち、輸液ラインによって提供される照明によって独立型の照明器を排除してもよい。更に、別個の照明デバイスの排除により、外科的処置中、眼内に必要な切開の数が減少する。この切開の減少により、外科的処置中の合併症のリスクが低下し、術後合併症のリスクが低下し、外科的処置を完了する時間が減少し、外科的処置に関連する手術セットアップを簡略化する。
【0016】
また、本開示の範囲内の照明式輸液ラインは、外科的処置全体を通して高輝度白色広角光を提供してもよい。なぜなら、輸液ラインは、一般に、処置の開始時に配置される最初の構成要素であるとともに、処置の終了時に取り外される最後の構成要素だからである。更に、光源と光通信する光ファイバーは、輸液ラインと流体源とを結合している同一ケーブル内に実装されてもよい。これにより、患者の眼の近傍に取り付けることが必要なケーブルの数が減少する。更に、輸液ラインは流体源への結合を必要とすることから、光源への結合を必要とする光ファイバーを組み込むことで、手術時に多くのセットアップ時間量が付加されることはない。加えて、輸液ラインは眼内の任意の所望の位置に配置されてもよい。特に、照明式輸液ラインは、眼内における影の存在を最小にする位置に配置されてもよい。したがって、輸液ラインの有利な位置は、器具が照明式トロカールカニューレを通じて挿入される場合と比較して術野内の影を最小にするように選択してもよい。場合により、照明式輸液ラインの位置は、外科的処置の最中に選択してもよい。照明は、また、輸液ラインの位置の安全な検出及び制御を促進してもよい。
【0017】
図1は、例示的な眼科手術システム100を示す。システム100は、前区処置、後区処置、硝子体網膜処置、硝子体切除処置、白内障処置及び/又は他の所望の処置などの種々の眼科処置において使用されてもよい。システム100は、照明式輸液ライン110と、光ファイバー118と、手術器具130と、コンソール141とを含む。
図1は、眼120内の本来の場所にある例示的な照明式輸液ライン110を示す。照明式輸液ライン110は輸液機構111を有し、輸液機構111は、流管112と、可撓性長尺状部材114と、可撓性長尺状部材116と、カップリングジョイント140とを含んでもよい。カップリングジョイント140については、以下で本明細書中の他の図を参照してより詳細に記載する。
【0018】
流管112は、眼120の強膜122を通過し、眼120の後区124へと挿入される。一部の実装形態では、流管112は略円筒状の形状を有する。他の実装形態では、流管112は、眼120の内部へと穿通するか又は送られるための任意の適切なサイズ及び/又は形状であってもよい。一部の実装形態では、流管112は剛性材料で形成されている。例えば、剛性の金属又は高分子材料が適している場合がある。一部の流管実装形態では、ステンレス鋼及び/又は他の所望の若しくは適切な材料を使用する。流管112は、外科的処置中に眼120内の眼圧を維持するなどのために、後区124に流体を送達するように構成されている。
【0019】
可撓性長尺状部材114は、シリコーン、プラスチック、エラストマー及び/又は他の所望の若しくは適切なチューブなどの任意の医療グレードチューブであってもよい。種々の実装形態において、可撓性長尺状部材114は、略円筒状の形状又は他の所望のサイズ及び/若しくは形状を有してもよい。可撓性長尺状部材114は、カップリングジョイント140を介して流管112と流体連通している。可撓性長尺状部材114は、また、流体源144と流体連通している。可撓性長尺状部材114のルーメンは、流体源144からカップリングジョイント140へと、及び流管112のルーメンへと流体を輸送し、流管112はこの流体を眼120の内部へと送達する。流体源144は、任意の適切な又は所望の液体及び/又はガスを可撓性長尺状部材114に排出するように構成されている。流体源144は、手術システム100の流体カセット若しくは流体サブシステムの一部であってもよく、及び/又はそうでなければ手術システム100の流体カセット若しくは流体サブシステムと流体連通してもよい。例えば、流体源144は、流体のリザーバ、又は例えばこのようなリザーバと流体連通するポンプ若しくは圧縮機などの機構を含んでもよい。一部の実装形態では、流体源144は、眼120の内部に送達するための水、生理食塩水、又は平衡塩類溶液などの灌流流体を提供する。例えば、場合により、6201 South Freeway,Fort Worth,Texas 76134に所在のAlconにより製造されているBSS(登録商標)灌流溶液及び/又はBSS PLUS(登録商標)灌流溶液などの灌流流体である。
【0020】
光ファイバー118は、また、カップリングジョイント140と接続するか、カップリングジョイント140内に延びるか、又はカップリングジョイント140と協働して、流管112が眼120の内部に流体を送達するのと同時に眼120の内部に光を伝送して術野を照明する。したがって、一部の実装形態では、光ファイバー118の少なくとも一部分は強膜122を通過し、後区124へと延びる。光を伝送することが可能な任意の所望の又は適切な光ファイバー118を用いてもよい。一部の実装形態では、光ファイバー118は比較的小さい直径を有し、光ファイバー118を流体流管112内に配置するか、流体流管112に結合するか、又はそうでなければ流体流管112と協働することを可能にしてもよい。
【0021】
図1に示すように、光ファイバー118は光源146に結合されている。光源146は任意の所望の又は好適な種類の光を出力するように構成されてもよい。例えば、わずかな源(slight source)146は、任意の所望の周波数の光及び任意の強度の光を出力するように動作可能であってもよい。光源146は、白熱電球、ハロゲン電球、金属ハロゲン化物電球、キセノン電球、水銀蒸気電球、発光ダイオード(LED)、これらの組み合わせ及び/又は他の光源を含んでもよい。例えば、光源146は、レーザー光を伝送するように構成されたレーザー源であってもよい。光源146は、白色光、赤色光、青色光、緑色光、可視光、近赤外光及び/又は赤外光を伝送するように構成されてもよい。一部の実装形態では、照明式輸液ライン110の光ファイバー118は、眼内の広視野に照明を提供するように構成されている。このようにして、照明式輸液ライン110が術野全体を照明するように動作可能であり得るため、外科的処置用の別の照明源を回避してもよい。
【0022】
可撓性長尺状部材116は、光ファイバー118のカバー、シース、又は他の保護具であってもよい。可撓性長尺状部材116は、プラスチック、エラストマー及び/又は他の所望の若しくは適切なチューブなどの任意の医療グレードチューブで形成されてもよい。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材166はシリコーン材料で形成されてもよい。示される実装形態では、可撓性長尺状部材116の直径は、可撓性長尺状部材114の直径よりも小さい。他の実装形態では、可撓性長尺状部材116の直径は、可撓性長尺状部材114に等しいか、又は可撓性長尺状部材114より大きくてもよい。可撓性長尺状部材116は略円筒状の形状を有してもよい。他の実装形態では、可撓性長尺状部材116は、他の所望のサイズ及び/又は形状を有してもよい。光ファイバー118は可撓性長尺状部材116のルーメン内に配置されてもよい。一部の実装形態では、光ファイバー118は、可撓性長尺状部材116のルーメン内を自由に移動可能であってもよい。他の実装形態では、光ファイバー118は、機械的な取り付け、接着剤及び/又は他の所望の若しくは適切なカップリング機構などによってルーメンの壁に直接的又は間接的に結合されてもよい。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材114と可撓性長尺状部材116とは、照明式輸液ライン110の取り扱いをより簡単にするために、互いに結合及び/又は近接していてもよい。例えば、可撓性長尺状部材114と可撓性長尺状部材116とは、ユーザ(例えば、外科医、看護師、技術者、他の医療専門者等)が、2つの可撓性長尺状部材114及び116を別々に取り扱うのとは対照的に1つの管のみを取り扱うように1つのシースによって接合されてもよい。更に他の実装形態では、可撓性長尺状部材114と可撓性長尺状部材116とは一体形成されてもよい。例えば、一体形成された可撓性長尺状部材114と可撓性長尺状部材116とは、流体源144からの流体を通すための第1のルーメンと、光ファイバー118を通すための第2の通路とを画定する可撓性部材であってもよい。場合により、第1のルーメンと第2のルーメンとは、ルーメンのうちの1つ内の流体がもう一方のルーメンに入ることができないように互いに流体的に分離されていてもよい。他の例では、第1のルーメンは、第2のルーメン内を通過し且つ第2のルーメンから流体的に分離されていてもよく、又はこの逆であってもよい。
【0023】
光ファイバー118は、照明式輸液ライン110の輸液機構111に結合されても、協同的に取り付けられてもよい。一部の実装形態では、
図1に示すように、光ファイバー118はカップリングジョイント140内を通過してもよく、流管112内に配置されてもよい。場合により、光ファイバー118は、灌流流体を眼120に送るために使用されるルーメンとは別に、流管112の通路内に配置されてもよい。他の例では、光ファイバー118は流管112のルーメン内に延びてもよい。場合により、光ファイバー118は流管112内、例えば、そのルーメン又は別個の隔室若しくは通路内を自由に移動可能である。更に他の例では、光ファイバー118は、機械的な取り付け、接着剤及び/又は他の所望の若しくは適切なカップリング機構などによって流管112の内壁に直接的又は間接的に結合されてもよい。場合により、内壁は流管112のルーメンを画定してもよい。一部の実装形態では、以下で
図8及び
図8Aに示し、
図8及び
図8Aに関して記載するように、光ファイバー118は、流管112の外部に結合されてもよい。このような実装形態では、光ファイバー118は、機械的な取り付け、接着剤及び/又は他の所望の若しくは適切なカップリング機構などによって流管112の外壁に直接的又は間接的に結合されてもよい。
【0024】
図1は、外科的処置中における使用時の照明式輸液ライン110を示す。したがって、この例では、手術システム100は、本明細書中で手術用デバイス130として参照した、眼の状態を処置するための手術器具を含む。手術用デバイス130は、強膜122内の別の切開を通じて挿入され、後区124へと延びてもよい。ユーザは、手術用デバイス130を使用して、標的手術部位の組織に対して切除、操作、除去及び/又は他の外科的作業を実施してもよい。例えば、ユーザが対象とするか、又は手術用デバイス130により標的とされる組織をユーザが見ることができるように、光ファイバー118によって伝送される光は術野を照明する。
図1に示される手術用デバイス130は硝子体切除プローブである。しかしながら、手術用デバイス130は任意の所望の又は適切な手術器具であってもよいと理解される。一部の実装形態では、手術用デバイス130は、切除プローブ、超音波水晶体乳化吸引プローブ、大型はさみ(shear)、鉗子、はさみ、へら、ピック(pic)又は他の種類の医療器具若しくはデバイスを含む。手術用デバイス130は、空気式、電気式、圧電式及び/又は他の適切なドライバなどのドライバ148に動作的に結合されてもよい。ドライバ148を用いて手術用デバイス130を作動してもよい。
【0025】
実装形態により、コンソール141は、流体源144、光源146、及び/又はドライバ148を含んでもよい。コンソール141は、また、流体源144、光源146、及び/又はドライバ148と通信的に結合されたコンピューティングデバイス142を含んでもよい。コンピューティングデバイス142は、プロセッサ、メモリ、及び/又は他の適切な構成要素などの任意の所望の処理アーキテクチャを含んでもよい。コンピューティングデバイス142は、制御信号を生成し、照明式輸液ライン110及び/又は手術用デバイス130を動作するために、この制御信号を流体源144、光源146及び/又はドライバ148に送信してもよい。コンピューティングデバイス142は、コンピューティングデバイス142に通信的に結合された1つ以上のユーザ入力機構を介して受信したユーザ入カに応答して、制御信号を生成し、送信してもよい。例えば、コンピューティングデバイス142は、流体流を作動若しくは停止させるための、及び/又は照明式輸液ライン110に伝送される光を発生させるための制御信号を送信してもよい。コンピューティングデバイス142は、また、流体流及び/又は照明に関連付けられたパラメータを制御するための信号を送信してもよい。例えば、ユーザは、パラメータの中でもとりわけ、光源146によって伝送される光の波長、流体源144によって提供される流体の流量、ドライバ148の駆動周波数を選択してもよい。コンピューティングデバイス142は、眼圧、眼120が特定の波長の光に曝された時間量等などの術野に関連するデータを受信してもよい。コンピューティングデバイス142は、受信したデータに基づき制御信号を生成し、送信してもよい。
【0026】
図1の示される実装形態では、コンピューティングデバイス142、流体源144、光源146及び/又はドライバ148は、手術用コンソール141に組み込まれており、及び/又は手術用コンソール141内に配置されている。したがって、可撓性長尺状部材114と可撓性長尺状部材116とは手術用コンソール141に直接的又は間接的に結合され、それぞれ、流体源144との流体連通及び光源146との光通信を確立してもよい。他の実装形態では、コンピューティングデバイス142、流体源144、光源146、及び/又はドライバ148は、コンソール141から独立していてもよく、及び/又は離れていてもよい。例えば、流体連通は、可撓性長尺状部材114を流体源144に直接的又は間接的に接続することによって確立されてもよい。同様に、光通信は、可撓性長尺状部材116及び/又は光ファイバー118を光源146に直接的又は間接的に接続することによって確立されてもよい。
【0027】
図2は、輸液機構211を有する例示的な照明式輸液ライン200を示す。輸液機構211は、可撓性長尺状部材210と、可撓性長尺状部材220内に配置された光ファイバー222とを含む。可撓性長尺状部材210及び/又は光ファイバー222を有する可撓性長尺状部材220は、それぞれ単一セグメント可撓性長尺状部材として形成されてもよく、又は任意の所望の長さを得るために連続して接合された複数の単一セグメント可撓性長尺状部材で形成されてもよい。したがって、単一セグメント光ファイバー222を有する単一セグメント可撓性長尺状部材220は、コネクタ224を介して、
図1に示される光源146に類似する光源などの光源に直接結合されるほど十分に長くてもよい。同様に、単一セグメント可撓性長尺状部材210は、コネクタ212を介して、
図1に示される流体源144に類似する流体源などの流体源に直接結合されるほど十分に長くてもよい。或いは、可撓性長尺状部材210、可撓性長尺状部材220、及び/又は光ファイバー222は、それぞれ、その所望の長さを得るために連続して整列及び結合された2つ、3つ、4つ、又はそれより多いセグメントなどの複数のセグメントを含んでもよい。
図2の例は、可撓性長尺状部材210を、より長い可撓性長尺状部材220と比較して相対的に短いものとして示す。場合により、所望の長さを得るために1つ以上の更なるセグメントがコネクタ212において可撓性長尺状部材210に結合されてもよい。他の実装形態では、可撓性長尺状部材210と可撓性長尺状部材220とは同じ長さであってもよい。更に他の実装形態では、可撓性長尺状部材210は可撓性長尺状部材220より長くてもよい。
【0028】
図3及び
図4は、例示的な照明式輸液ライン200の遠位部を示す。
図3は、遠位部の側面図を提供し、
図4は、照明式輸液ライン200の遠位部の斜視断面図である。輸液ライン200は輸液機構211を含み、輸液機構211は、眼に挿入されるようにように構成された流管230と、可撓性長尺状部材210及び220と、剛性部材232と、カップリングジョイント240とを含む。流管230はカップリングジョイント240から延び、一部の実装形態では、流管230は剛性部材232と一体形成されてもよい。しかしながら、他の実装形態では、流管230は剛性部材232とは別個に形成されるものの、剛性部材232に取り付けられ、剛性部材232によって支持されてもよい。剛性部材232は、流管230の剛性を付与するとともに支持を安定させる中空体であってもよい。
図4に示されるように、剛性部材232はカップリングジョイント240のボア249内に受け入れられている。例えば、剛性部材232は、圧入、締まり嵌め及び/又は任意の他の結合手法によってボア249内に固定されてもよい。例えば、剛性部材232は、接着剤、溶接、ねじ結合、又は他の接合手法によってボア249内に全体的に又は部分的に固定されてもよい。また、他の動き嵌めを使用してもよく、剛性部材232は、接着剤又は他の構造によってカップリングジョイント240に取り付けられてもよい。一部の実装形態では、流管230は剛性部材232のうちの最小半径を有する部分であってもよい。したがって、外科的処置中、流管230を使用して組織を穿通してもよい。実装形態により、カップリングジョイント240と剛性部材232とは同一材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。一部の例では、剛性部材232が金属材料で形成される一方、カップリングジョイント240はプラスチック又は高分子材料で形成してもよい。
【0029】
カップリングジョイント240は可撓性長尺状部材210と可撓性長尺状部材220とを結合する。
図3及び
図4に示すように、カップリングジョイント240は、近位コネクタ242及び近位コネクタ244を含む。可撓性長尺状部材210は近位コネクタ242に接続し、カップリングジョイント240及び流管230との流体連通を確立する。この点に関して、可撓性長尺状部材210は、可撓性長尺状部材210がカップリングジョイント240から意図せず分離されないようにする状態で近位コネクタ242の周り又は上及び近位コネクタ242のリップ241上に配置されてもよい。例えば、リップ241の外径は、可撓性長尺状部材210内に形成された通路の内径よりも大きくてもよい。したがって、可撓性長尺状部材210の遠位端は、リップ241上を通過するときに拡張してインターロック接続を形成し、可撓性長尺状部材210の遠位端を近位コネクタ242上に維持する。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材210はカップリングジョイント240に着脱可能に結合されてもよい一方、他の実装形態では、可撓性長尺状部材210は永久的に取り付けられる。
【0030】
可撓性長尺状部材220は、光ファイバー222がカップリングジョイント240及び流管230内に延びるように近位コネクタ244に接続されてもよい。示される例では、可撓性長尺状部材220は、近位コネクタ244によって画定されるボア246内に受け入れられている。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材220はカップリングジョイント240に着脱可能に結合されている。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材220は、圧入、締まり嵌め及び/又は任意の他の結合手法によってボア246内に固定されてもよい。例えば、可撓性長尺状部材の遠位端は、接着剤、溶接、ねじ結合、又は他の接合手法によってボア249内に全体的に又は部分的に固定されてもよい。また、他の動き嵌めを使用してもよく、可撓性長尺状部材220は、接着剤又は他の構造によってカップリングジョイント240に取り付けられてもよい。
【0031】
使用時、輸液(infusion fluid)は、可撓性長尺状部材210からカップリングジョイント240に入り、引き続き剛性部材232及び流管230内を進み、患者の眼に入る。場合により、光ファイバー222は、カップリングジョイント240、剛性部材232、及び/又は流管230内において流体と接触してもよい。光ファイバー222の直径は、光ファイバー222が流管230から出て眼に入る流体の流れを遮らないように十分に小さくてもよい。
【0032】
照明式輸液ライン200の輸液機構211は、カップリングジョイント240、流管230、光ファイバー222、可撓性長尺状部材210及び/又は可撓性長尺状部材220の間に任意の適切な又は所望の機械、流体及び/又は光カップリングを用いてもよい。流体を輸送するものと同一の可撓性長尺状部材(例えば、可撓性長尺状部材210)内に光ファイバー222が配置されていない、
図3及び
図4に示されるような実装形態では、カップリングジョイント240は、光ファイバー222と可撓性長尺状部材210とを結合するための任意の適切なサイズ及び形状であってもよい。この点に関して、光ファイバー222は可撓性長尺状部材220内に配置されていてもよい。カップリングジョイント240は、光ファイバー222が流管230内に略直線状に延びることを可能にするような大きさ及び形状にされてもよい。示される例では、カップリングジョイント240は、その中に形成された案内部251を含む。案内部251は光ファイバー222を直線配置に構造的に支持及び維持し、光ファイバー222が望ましくなく曲がり、場合により損傷することを確実に回避する。この例では、案内部251は、カップリングジョイント240内において、近位コネクタ244と整列し且つ流管230によって形成された軸線245に平行に配置されている。しかしながら、本開示の範囲はこのように限定されない。むしろ、案内部251は、近位コネクタ244又はカップリングジョイント240の他の部品に対して他の配向を有してもよい。
【0033】
可撓性長尺状部材210からカップリングジョイント240を通る流体流の経路は、直線であっても非直線であってもよい。
図3及び
図4に示す実装形態では、流体は、カップリングジョイント240内に軸線243に沿って湾曲移行ゾーン247に達し、軸線245に沿って流れてもよい。したがって、軸線243は軸線245からオフセットしていてもよい。ここで、
図4の示される実装形態において、流管230及び光ファイバー222並びに軸線243は軸線245に略平行に配置されている。一部の実装形態では、(例えば、以下に記載される
図5で示されるように)光ファイバーが流体を輸送する可撓性長尺状部材内に配置されているときなどはカップリングジョイント240を省略してもよい。このような実装形態では、光ファイバーと流体流とが同一軸線に沿って略整列していることから、カップリングジョイント240は排除してもよい。場合により、カップリングジョイント240は、単回使用又は使い捨ての構成要素であってもよい。他の例では、カップリングジョイント240は再利用可能であってもよい。例えば、場合により、カップリングジョイント240は滅菌された後に再利用されてもよい。
【0034】
図5、
図6及び
図6Aは、カップリングジョイント240などのカップリング要素を使用していない照明式輸液ラインの別の実装形態を示す。これらの実装形態では、輸液ラインは、光ファイバーを支持する単一の可撓性長尺状部材である。
図5は、眼520内の本来の場所にある照明式輸液ライン510の別の例示的な実装形態を示す。照明式輸液ライン510は輸液機構511を含む。輸液機構511は、可撓性長尺状部材516によって画定されるルーメン518を通じて輸液を輸送するように構成された可撓性長尺状部材516を有する。輸液機構511は、また、ルーメン518内に延びる光ファイバー514を含む。輸液機構511は流管512を更に含む。流管512は、眼520の強膜522など、眼520を穿通し、光ファイバー514を通じて後区524に流体及び光を送達するように構成されている。一部の実装形態では、光ファイバー514は、可撓性長尺状部材516のルーメン518内を自由に移動可能であるか又は自由に浮動する。他の実装形態では、光ファイバー514は、機械的な取り付け、接着剤及び/又は他の所望の若しくは適切なカップリング機構などによってルーメン518の壁に直接的又は間接的に結合されている。外科的処置中、光ファイバー514は、眼520に送達される流体と接触しながら術野に光を伝送してもよい。この点に関して、流管512が流体を後区524に提供する際、光ファイバー514は、流管512内に延びて後区524に達してもよい。
【0035】
図5に見られるように、光ファイバー514は視野又は領域526を照明する。光ファイバー514によって放出される光により照明される視野526は角度αにわたる。種々の実装形態では、角度αは、約30度〜約150度、約30度〜約120度、約30度〜約90度の値、及び/又は他の所望の若しくは適切な値を有してもよい。したがって、一部の実装形態を使用してより広い範囲の照明を提供してもよい一方、他の実装形態を使用してより狭い範囲の照明を提供してもよい。他の例では、光ファイバー514は、より狭い視野を標的とした照明を提供するように構成してもよい。このような実装形態では、角度αは、約1度〜約30度、約10度〜約30度、約20度〜約30度の値、及び/又は他の所望の若しくは適切な値を有してもよい。
【0036】
図6及び
図6Aは、別の例示的照明式輸液ライン600の遠位部を示す。この照明式輸液ライン600は、多くの点で
図5の輸液ライン510に類似しており、解釈を容易にするために、類似する特徴について再度詳細には記載しない。照明式輸液ライン600は、流管630及び可撓性長尺状部材610を有する輸液機構611を含む。可撓性長尺状部材610はルーメン612を画定する。光ファイバー622が照明式輸液ライン600に沿って延びている。場合により、光ファイバー622はルーメン612の少なくとも遠位部内に配置されてもよい。場合により、光ファイバー622はルーメン612内の全体に又は実質的に全体に延びてもよい。したがって、場合により、ルーメン612は、したがって、光ファイバー622と、流管630を通じて眼に送達されるべき流体とを支持するように構成されている。この点に関して、可撓性長尺状部材610及び流管630は、ルーメン612と流管630のルーメン625との間に流体が流れ、及び/又は光ファイバー630が延びるように構造的に配置されてもよい。
【0037】
一部の実装形態では、光ファイバー622は、照明式輸液ライン600の長さの一部に沿って可撓性長尺状部材610から分離していても離れていてもよい。例えば、場合により、光ファイバー622は、照明式輸液ライン600の近位部(例えば、流体源及び/又は光源のより近くに配置された照明式輸液ラインの部分)に沿って可撓性長尺状部材から分離していても離れていてもよい。したがって、一部の実装形態では、光ファイバー622は、照明式輸液ライン600の長さの一部のみにわたって可撓性長尺状部材610内に配置されていてもよい。例えば、光ファイバー622は、照明式輸液ライン600の遠位部に沿って可撓性長尺状部材610のルーメン612とともに配置されてもよい。他の実装形態では、光ファイバー622は、流体源及び/若しくは光源において又は流体源及び/若しくは光源の近傍において可撓性長尺状部材610のルーメン612内に配置されてもよい。すなわち、光ファイバー622は、光源/流体源と術野との間の距離の実質的に全体にわたってルーメン612可撓性長尺状部材610内に配置されてもよい。他の例では、光ファイバー622は、可撓性長尺状部材610の長さの全体又は一部にわたり、可撓性長尺状部材610を形成する材料中に埋設されていてもよい。例えば、光ファイバー622は、可撓性長尺状部材610内に形成された、ルーメン612から分離及び/又は隔離された空洞又は通路内に配置されてもよい。
【0038】
図6Aは、照明式輸液ライン600の遠位端を示す。光ファイバー622は、流管630のルーメン625内に配置されている。例えば、光ファイバー622はルーメン625の内壁631に沿って延びてもよい。この点に関して、光ファイバー622は、例えば、機械的カップリング、接着剤、又は任意の他の取付法などによって内壁631に取り付けられてもよく、そうでなければ結合されてもよい。他の実装形態では、光ファイバー622は流管630内に自由に配置されてもよい。
【0039】
光ファイバー622の遠位先端部624は流管630の遠位先端部632に対して配置され、眼の内部を照明してもよい。
図6Aに示される実装形態では、遠位先端部624は流管630の遠位先端部632を越えて遠位に延びる。他の実装形態では、光ファイバー622の遠位先端部624は流管630の遠位先端部632の近位に配置されてもよい。更に他の例では、光ファイバー622の遠位先端部624は流管630の遠位先端部632と一直線に揃っていてもよい。更に、異なる実装形態において、光ファイバー622の遠位先端部624のサイズ及び形状は異なってもよい。例えば、
図6Aに示すように、遠位先端部624はテーパ状であってもよい。或いは、
図8Aに示されるように、遠位先端部624は、また、球形又はボール形であってもよい。更に他の実装形態では、遠位先端部624は他の適切な又は所望のサイズ又は形状を有してもよい。光ファイバー622の遠位先端部624のサイズ及び形状並びに/又は流管630の遠位先端部632に対するその位置は、所望の照明角度α(
図5に関して記載されるように)などの術野内の所望の照明を得るように選択してもよい。
【0040】
図7、
図8及び
図8Aは、ここでは番号700によって参照される別の例示的照明式輸液ラインを示す。一部の実装形態では、照明式輸液ラインの光ファイバーは1つ以上の保護層によって囲まれてもよい。この保護層は、本明細書中に記載される可撓性長尺状部材の1つ以上を含んでもよい。その代わりに又は併せて、保護層は、本明細書中に記載される可撓性長尺状部材と異なる、光ファイバー上に直接塗布された又はそうでなければ配置されたコーティング又はシースを含んでもよい。保護層は、流管又はトロカールカニューレなどの別の構成要素に直接接触することで生じる光ファイバーの損傷の可能性を低下させてもよい。
【0041】
眼科照明輸液ライン700は、光ファイバー722と、輸液機構711とを含む。輸液機構711は、輸液を送るための可撓性長尺状部材710と、ルーメン735を画定する可撓性長尺状部材720と、組織を穿通し、手術部位に照明及び輸液を提供するように構成された流管730とを含む。光ファイバー722はルーメン735内に延び、可撓性長尺状部材720によって保護されている。ここで、光ファイバー722は更なる保護層723を含む。保護層723は、流管730に結合されているか又は可撓性長尺状部材720内に配置されている一方、光ファイバー722を保護してもよい。保護層723は、また、可撓性長尺状部材720の遠位端721と流管730との間の移行領域内の光ファイバー722を保護してもよい。
【0042】
図8及び
図8Aを参照すると、流管730のルーメン725は可撓性長尺状部材710のルーメン712と流体連通している。光ファイバー722は可撓性長尺状部材720のルーメン735内に延びている。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材720は可撓性長尺状部材710に実質的に平行に延びてもよい。一部の実装形態では、可撓性長尺状部材710と可撓性長尺状部材720とは互いに離間していてもよい一方、他の実装形態では、可撓性長尺状部材710と可撓性長尺状部材720とは互いに隣接している。一部の実装形態では、操作の容易さを促すために、可撓性長尺状部材710と可撓性長尺状部材720とは互いに取り付けられている。例えば、可撓性長尺状部材710と可撓性長尺状部材720とは、例えば、機械的カップリング、接着剤、ラッピング若しくはシースにより又は他の機構により互いに結合されてもよい。一部の実装形態では、ユーザが1つの導管を物理的に扱うことのみを要するように、可撓性長尺状部材710と可撓性長尺状部材720とはシースによって被覆されてもよい。
図8は、流管730の近位に配置されたガード740を示す。ガード740は、眼又は眼内に配置されたカニューレに対する照明式輸液ライン700の適切な位置決めを容易にしてもよい。カニューレは眼の強膜を穿通して通路を提供してもよく、この通路を通じて流管730を挿入し、それにより眼の内部への流管730の導入を可能にしてもよい。カニューレの使用により、眼に形成された切開又は傷を通じた照明式輸液ラインなどの器具又はデバイスの導入及び抜去の繰り返しによって生じるおそれのある眼の外傷の繰り返しを防止してもよい。カニューレは、本明細書中に記載される任意の照明式輸液ラインと併せて使用してもよい。
【0043】
図8に最も良く見られるように、光ファイバー722は可撓性長尺状部材720の遠位端721を越えて延出してもよい。保護層723は光ファイバー722を囲んでもよく、光ファイバー722を他の物品又は材料との接触による損傷から保護してもよい。保護層723によって提供される保護は、例えば、流管730、トロカールカニューレ等が剛性部材である場合など、剛性材料との接触に起因し得る損傷に対して特に有利であり得る。保護層723は、また、可撓性長尺状部材720の遠位端721と流管730との間の移行領域内の光ファイバー722を保護してもよい。損傷の可能性は、光ファイバー722の一部が環境に曝され、別の構成要素(可撓性長尺状部材710、720又は流管730など)上又は内に配置されていない光ファイバー722の移行領域において大きくなる場合がある。
図8において最も良く見える更なる保護層734が流管730の全体又は一部を囲んでもよい。例えば、保護層734は、流管730が挿入される強膜の切開の周囲で眼に接触するか、又は眼に照明式輸液ラインを導入するために使用されるカニューレに接触する流管730の一部を囲んでもよい。保護層734は、光ファイバー722及び/又は流管730が解剖学的構造に直接接触することを防止してもよい。
【0044】
更に
図8及び
図8Aを参照すると、光ファイバー722は流管730の外部に結合されていてもよい。例えば、流管730の外部表面733は、光ファイバー722を受け入れるような大きさ及び形状にされた溝738を含んでもよい。他の例では、流管730は、光ファイバー722が受け入れられる溝を含まなくてもよい。光ファイバー722は、機械的な取り付け、接着剤、及び/又は他の適切なカップリングなどによって流管730の外部表面(例えば、示される実装形態では溝738内に、又は異なる実装形態では別の手法で)に取り付けられてもよい。他の実装形態では、光ファイバー722を受け入れるように構成されたスペース、溝、チャネル及び/又は他の特徴が流管730の内部表面に沿って設けられてもよい。場合により、このような特徴は、流管730の内壁737に沿って設けられてもよい。上で示したように、一部の実装形態では、流管730は、光ファイバー722を受け入れるように構成された特徴を含まなくてもよく、光ファイバー722は流管730の外部又は内部に直接結合されてもよい。種々の実装形態では、光ファイバー722の遠位先端部724は、流管730の遠位先端部736の近位に配置されていても、流管730の遠位先端部736と一直線に揃えられていても、及び/又は流管730の遠位先端部736を遠位に越えて延出していてもよい。種々の異なる実装形態のいずれにおいても、遠位先端部724は術野への所望の光の伝送を容易にするような大きさ及び形状にされてもよい。場合により、示されるように、遠位先端部724はボール形又は球形である。しかしながら、他の実装形態では、先端部は異なる形状であってもよい。例えば、
図6Aに示すように、光ファイバーの遠位先端部はテーパ状であってもよい。更に他の例では、光ファイバーの遠位先端部は平坦であってもよい。しかしながら、光ファイバーの遠位先端部は、任意の所望の形状又は構成を有してもよい。
【0045】
図9は、眼の外科的処置を実施する例示的方法900の流れ図を示す。示されるように、方法900は、いくつかの列挙された工程を含むが、方法900の実装形態は、列挙された工程の前、その後及びその間に更なる工程を含んでもよい。一部の実装形態では、列挙された工程の1つ以上を省略しても、異なる順序で実施してもよい。
【0046】
工程910において、方法900は、照明式輸液ラインを流体源に結合することを含む。工程920において、方法900は、照明式輸液光(illuminated infusion light)の光ファイバーを光源に結合することを含む。例えば、
図1に示す例で示すように、照明式輸液ライン110の可撓性長尺状部材114は流体源144に結合されてもよい。光ファイバー118は光源146に結合されてもよい。一部の実装形態では、流体源及び/又は光源は手術用コンソール(例えば、
図1のコンソール141)に組み込まれてもよい。このような実装形態では、照明式輸液ライン又はその可撓性長尺状部材を流体源に結合することは、照明式輸液ライン又は可撓性長尺状部材を手術用コンソールに結合することを含んでもよい。同様に、光ファイバーを光源に結合することは、光ファイバーを手術用コンソールに結合することを含んでもよい。
【0047】
工程930において、方法900は、眼の強膜において、眼の内部にアクセスするための1つ以上の切開を形成することを含む。ユーザは、毛様体扁平部の強膜内において、例えばトロカールを使用して1つ以上の切開を作成してもよい。この切開は強膜切開と呼ばれる。その後、トロカールカニューレが切開内に残り、眼の後区へのルーメンを画定している状態で、トロカールブレードを抜去してもよい。ユーザは、外科的処置中、手術用顕微鏡を使用して眼を観察してもよい。手術用顕微鏡の光源により、工程930中に外科医が使用するための照明を提供してもよい。この光源は、照明式輸液ラインが眼に挿入される前に照明を提供してもよい。種々の実装形態では、工程930中、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多い切開を作成してもよい。手術用プローブ(吸引プローブ、切除プローブ、硝子体切除プローブ等)、照明器、及び/又は輸液ラインなどの種々の手術用デバイスが1つ以上の切開を通じて後区へと挿入されてもよい。一部の実装形態では、外科的処置の開始時、少なくとも3つの切開(例えば、手術用プローブ、照明器及び輸液ラインに対してそれぞれ1つ)を同時に作成してもよい。一部の実装形態では、2つの切開のみが作成される。例えば、1つの切開は照明式輸液ラインのために形成されてもよく、1つの切開は手術用デバイスのために形成されてもよい。切開の数を減らすことで、手術中及び手術後、患者に害が及ぶリスクが低下する可能性がある。
【0048】
工程940において、方法900は、照明式輸液ラインの流管を複数の切開のうちの第1の切開を通じて挿入することを含む。一部の実装形態では、流管の挿入前に切開にカニューレが挿入されてもよい。上で説明したように、カニューレは、眼に更なる外傷を生じさせること、又はそうでなければ切開を更に拡張すること、又は切開の周囲の組織を損傷することなく、流管などのデバイスの眼への挿入及び眼からの抜去を繰り返すことを可能にする。例えば、
図1の例に示すように、照明式輸液ライン110の流管112(
図1)は、流管112が後区へと挿入される際に眼を穿通する。流管は流体源と流体連通してもよい。したがって、工程950において、方法900は、流管を通じて眼の内部に流体を送達することを含む。流体は、眼内の眼圧を維持するために眼に送達されてもよい。
図1の例に示すように、流体源144からの流体は、可撓性長尺状部材114のルーメンに、その後、流管112に提供され、眼120内に送達されてもよい。流管は、また、光ファイバーに結合されてもよい。したがって、工程960において、方法900は、光ファイバーによって伝送される光を使用して眼の内部を照明することを含む。
図1の例に示すように、光源146からの光は光ファイバー118に提供され、眼120内の術野を照明してもよい。場合により、工程950と工程960とを同時に実施してもよい。したがって、一部の実装形態では、照明式輸液ラインが眼圧を維持するために眼の内部に流体を送達するのと同時に、照明式輸液ラインは眼の内部を照明してもよい。
【0049】
工程970において、方法900は、強膜の複数の切開のうちの第2の切開を通じて手術用デバイスを挿入することを含む。
図1の例に示すように、手術用デバイス130は強膜122を通じて眼120の後区へと挿入されてもよい。手術用デバイスが眼に挿入される際に眼内に発生する影を、光が照明式輸液ラインによって提供されることにより最小限にしてもよい。輸液ラインの有利な位置は、術野内の影が最小限になるように選択してもよい。工程980において、方法900は、眼の内部が光ファイバーによって伝送される光によって照明されている間、手術用デバイスを使用して眼を手術することを含む。再度、
図1に示す例に示されるように、手術用デバイス130を使用して、眼内の組織を切除又は吸引してもよい。外科医は照明式輸液ラインによって提供される光を使用して術野を観察してもよい。
【0050】
当業者であれば、本開示に包含される実装形態は上述の特定の例示的な実装形態に限定されないことを理解するであろう。この点に関して、例証的な実装形態を示し、記載してきたが、前述の本開示では、広範な修正形態、変化形態、組み合わせ及び置換形態が企図される。本開示の範囲から逸脱することなく、前述の記載に対してこのような変更形態がなされ得ることは理解される。したがって、添付の特許請求の範囲が広く且つ本開示に合致するように解釈されることが適切である。
【0051】
本明細書中に記載される種々の図、例及び実装形態は、特徴の特定の組み合わせを示す又は特徴の特定の組み合わせを有するものとして記載されているが、本明細書中に開示される特徴の部分集合又は全てを含む他の実装形態も企図される。更に、1つ以上の実装形態に関連して記載されている特徴を他の実装形態に付加してもよいと特に考えられる。また、場合により、1つ以上の実装形態に関して記載されている特徴の全てがこれらの実装形態の他の変形形態に必要なわけではない。