(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−041017号公報
【特許文献2】特開2006−345835号公報
【特許文献3】特開2007−319049号公報
【0006】
上記特許文献1は、「ビートハーベスタのビート列センサ」に関するものであり、下記の記載がある。
[012]
[発明の実施の形態]
以下、本発明の実施例を添付の図面に基づいて説明する。
ビート列センサ1は周囲をフレームで囲んだスイッチボックス2を有し、このスイッチボックス2の底板3に一体形成したボス4の通口5に、スイッチカム6と一体のカム回転軸7が回転可能に嵌合されている。
[016]
この種のビート列センサはのスイッチカム6の近傍にスイッチ11を設置し、スイッチ11の接触子とスイッチカム6のカム面との接触・離反によってON−OFF信号が得られるようにしてあるが、本発明では、カム回転軸7の軸廻りに調整プレート12を独立回動可能に設置し、この調整プレート12の面上に前記スイッチ11を取付けてある。
[019]
図の実施例では、スイッチボックス2のフレームに前記調整プレート12の結合ブラケット15に向けてボルト製の支持杆16を固定するとともに、結合ブラケット15に横方向の長孔17を形成し、この長孔17に前記ボルト製支持杆16をナット18で位置調整可能に係着させてある。
この構成により、調整プレート12はナット18の調節でカム回転軸廻りに回動して所望位置で支持杆16に固定することができ、スイッチ11とスイッチカム6のON−OFF位置関係を調節することができる。
[021]
カム回転軸7は、タイン9がビート列に接触して所定の抵抗を受けたときに回動し、抵抗がなくなると原位置に復帰するように弾発支持手段20を介して支持されている。
図の実施例の弾発支持手段20は、偏心位置に支軸21を固定した回動プレート22をカム回転軸7に一体回転可能に結合し、この支軸21とスイッチボックス2のフレーム間にばね部材23(戻しばね)を介装した構成になり、上記のような所定抵抗の回動と復帰機能が得られるようになっている。
[022]
図の実施例のばね部材23は、前記支軸21に係着するプレート24とブロック25の間に左右一組のばね26、26を介装し、スイッチボックス2のフレームの外側から内部に挿入したボルト27を前記ブロック25に螺合し、ボルトと正逆回転によりブロック25を前後に移動させてばね圧を調整することができるようになっている。
【0007】
上記特許文献2は、「根菜類収穫機の根菜類列検知装置」に関するものであり、下記の記載がある。
[0018]
本第1実施形態の根菜類列検知装置1Aは、
図1に示すように、根菜類収穫機2の進行方向において、堀取口22の前方に設けられている。そして、根菜類列検知装置1Aは、
図2から
図4に示すように、主として、ビート等の根菜類列の左右両側に配置される一対の接触アーム3と、これら接触アーム3を所定の下向傾斜角をもって機体21に支持するY字ブラケット4と、このY字ブラケット4を介して接触アーム3の変位を検知する変位センサ5Aとを有している。
[0021]
Y字ブラケット4は、
図2および
図4に示すように、略Y字状に形成されており、二股の先端部41,41に接触アーム3を固定するとともに、その基端部42が機体21に対して左右方向に揺動自在に支持されている。また、変位センサ5Aは、ポテンショメータあるいはロータリーエンコーダから構成されており、回転軸51の回転量および回転方向に応じて位相の異なるパルスを出力し、このパルス信号をケーブル52を介して
図1に示す方向制御手段15に送信するようになっている。
[0022]
そして、本第1実施形態では、
図2および
図3に示すように、Y字ブラケット4の基端部42近傍から回動伝達ピン43を突設させるとともに、この回動伝達ピン43と変位センサ5Aの回転軸51とを回動伝達ブラケット53で連結している。この回動伝達ブラケット53を介してY字ブラケット4の回転角度および回転方向が変位センサ5Aの回転軸51に伝達されるようになっている。
【0008】
上記特許文献3は、「作物列検知装置」等に関するものであり、下記の記載がある。
[0017]
本実施形態の作物列検知装置1は、
図1に示すように、根菜類収穫機3の進行方向において、堀取口14の前方に設けられている。そして、作物列検知装置1は、
図2から
図4に示すように、主として、根菜類収穫機3に対し上下動自在に支持される上下動支持部材4と、この上下動支持部材4の下端部に設けられる揺動フレーム5と、この揺動フレーム5の一端部に設けられる左右平行リンク6と、この左右平行リンク6に設けられる一対の接触アーム7,7と、これら接触アーム7,7の左右方向の変位を検出する左右変位センサ8とを有している。
[0024]
左右平行リンク6は、
図3および
図5に示すように、揺動フレーム5の他端部に固定される固定ブラケット61と、この固定ブラケット61の左右端部に垂下されて回動自在に軸支される一対の回動垂下ブラケット62,62と、これら回動垂下ブラケット62,62に軸支されて左右方向に揺動自在に連結される揺動ブラケット63とから構成されている。そして、各回動垂下ブラケット62,62の下端部には、一対の接触アーム7,7の基端部がボルト等によって固定されている。
[0029]
左右変位センサ8は、接触アーム7,7の変位を検出するものであり、アナログセンサやアブソリュート型ロータリーエンコーダ等から構成されている。本実施形態において、左右変位センサ8は、
図3および
図5に示すように、固定ブラケット61に対する各回動垂下ブラケット62,62の回転軸64のうち、いずれか一方の回転軸64に設けられている。そして、この回転軸64の回転量および回転方向に応じて位相の異なるパルスを発生させ、このパルス信号を後述する制御手段に出力するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のビート列センサは、センサーロッド(タイン9)をビート列に接触させて回動させる。この回動によってカム回転軸7が回転し、スイッチカム6が動作してスイッチ11を操作する。このスイッチ11操作によってON−OFF信号を得るようになっている。
このように、センサーロッド(タイン9)の回動をスイッチ11の操作に変換するため、スイッチカム6を設けたカム回転軸7を使用する。このようなカム回転軸7は、形状が複雑なうえに高い加工精度が必要で、製作コストが嵩んでしまう。
また、センサーロッド(タイン9)が所定の角度になるとスイッチカム6がスイッチ11を操作するよう、組み立て時にはスイッチカム6やスイッチ11の位置調整をシビアに行って検知感度を調整しなければならない。
また、センサーロッド(タイン9)の回動に対する抵抗を与え、回動を復帰させるため、ばね部材23を使用している。スイッチ11操作に大きな荷重が要求されるため、上記ばね部材23には高荷重の専用引張りばねを2本必要とする。この占領スペースが大きく、センサ全体のサイズが大型化している。
しかも、上述したスイッチカム6やスイッチ11や2本のばね部材23等からなる複雑な構造を、限られたスペースに収めている。このため、上述した位置調整の作業が行いにくく、製造工数も増え、コストアップの要因となっている。
センサの要であるスイッチカム6やスイッチ11は、スイッチボックス2の中に密閉された構造である。これらに破損や狂いが生じた場合、現場での修理が容易でない為、本体センサごと交換することになり、修理費用の増大になっている。
【0010】
特許文献2の根菜類列検知装置は、接触アーム3の揺動を変位センサ5Aで検知し、回転軸51の回転量および回転方向に応じて位相の異なるパルスを出力する。
しかしながら、この装置では、接触アーム3の揺動を変位センサ5Aに伝達するためのY字ブラケット4等の伝達構造部が、剥きだしで露出している。このため、土や塵埃の付着によって汚染されると、上記伝達構造部がスムーズに動作しなくなる。そうなると、根菜類列検知の誤検知や誤作動が生じ、根菜の破損や堀残しが起こってしまう。
【0011】
特許文献3の作物列検知装置は、接触アーム7,7の揺動を左右変位センサ8で検知し、回転軸64の回転量および回転方向に応じて位相の異なるパルスを出力する。
しかしながら、この装置では、接触アーム7,7の揺動を左右変位センサ8に伝達するための左右平行リンク6等の伝達構造部が、剥きだしで露出している。このため、土や塵埃の付着によって汚染されると、上記伝達構造部がスムーズに動作しなくなる。そうなると、根菜類列検知の誤検知や誤作動が生じ、根菜の破損や堀残しが起こってしまう。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決した作物列検知装置およびそれを用いた作物収穫機を提供することにある。
つまり、部品点数が少なく組み立て作業が容易でコストを節減し、誤作動を起こしにくく修理も容易な、作物列検知装置およびそれを用いた作物収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の作物列検知装置は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
畝に植え付けられた作物または当該畝に対して接触することにより変位するセンサーロッドと、
上記センサーロッドの根元側が結合されるシャフトと、
上記シャフトを、上記センサーロッドの変位によって回転しうる状態に収容するケースとを備え、
上記ケースの外側に、上記シャフトの回転変位を検知する回転変位センサが設けられ、
上記シャフトに、
上記シャフトの初期位置設定と、上記シャフトの回転変位の回復
とを行うためのカムが設けられ、
上記ケースには、上記カムに当接してシャフトの初期位置を設定する初期位置設定手段が設けられ、
上記初期位置設定手段は、上記ケースの外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成されている。
【0016】
請求項
2の作物列検知装置は、上記請求項
1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記ケースには、上記カムに当接してシャフトの回転変位を回復させる回転変位回復手段が設けられ、
上記回転変位回復手段は、上記ケースの外側において上記回転変位の回復強度の調節を行いうるように構成されている。
【0017】
請求項
3の作物列検知装置は、上記請求項
2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記回転変位回復手段は、
上記回転変位を回復させる方向に上記カムを付勢する圧縮バネと、
上記圧縮バネを収容する筒状部と、
上記圧縮バネの一端側で上記カムに当接する当接部材と、
上記圧縮バネの他端側で上記圧縮バネの付勢力を調節する付勢力調節手段とを備えて構成されている。
【0018】
請求項
4の作物収穫機は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
請求項1〜
3のいずれか一項に記載の作物列検知装置と、
畝に植え付けられた作物を収穫する取入口と、
上記作物列検知装置が検知した作物列に従うように上記取入口の左右位置を制御する制御手段とを備えた。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の作物列検知装置は、センサーロッドとシャフトとケースと、回転変位センサを備えている。上記センサーロッドの根元側に上記シャフトが結合されている。上記シャフトは、上記センサーロッドの変位によって回転しうる状態で、上記ケースに収容される。上記ケースの外側には、上記回転変位センサが設けられ、上記シャフトの回転変位を検知する。上記センサーロッドは、畝に植え付けられた作物または当該畝に対して接触することにより変位する。このセンサーロッドの変位によりシャフトが回転し、その回転変位をケースの外にある回転変位センサが検知する。
このように、センサーロッドによる作物や畝の検知を、スイッチのON−OFFではなく回転変位センサを利用する。このため、検知感度の調整が電気制御系統のプログラム上で可能になり、従来のような組み立て時のシビアな位置調整が不要になる。また、シャフトの精度も、従来より緩やかな基準を許容できる。このため、大幅なコスト削減となる。また、部品点数が少なく、全体の構造が簡略化するため、必要な機構を省スペースで実現できるため、検知装置自体がコンパクト化する。さらに、上記センサーロッドの変位を回転変位センサに伝達するシャフトがケース内に収容されているため、土や泥の汚れが付着しにくく誤検知や誤作動を起こしにくい。また、回転変位センサはケースの外側にあるため、破損したり狂ったりしても、交換修理が容易である。
【0020】
請求項
1の作物列検知装置は、上記シャフトにカムが設けられている。上記カムは、上記シャフトの初期位置設定を行うため、シャフトの初期位置が狂いにくい。また、上記カムは、上記シャフトの回転変位の回復を行うため、回転変位が回復しないトラブルが防止される。上記カムがケース内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
【0021】
請求項
1の作物列検知装置は、上記ケースに初期位置設定手段が設けられている。上記初期位置設定手段は、上記ケースの外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成され、上記カムに当接してシャフトの初期位置を設定する。このように、ケースの外側から容易に初期位置が調節できる。上記カムがケース内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくい。
【0022】
請求項
2の作物列検知装置は、上記ケースに回転変位回復手段が設けられている。上記回転変位回復手段は、上記ケースの外側において上記回転変位の回復強度の調節を行いうるように構成され、上記カムに当接してシャフトの回転変位を回復させる。このように、ケースの外側から容易に回復強度が調節できる。上記カムがケース内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
【0023】
請求項
3の作物列検知装置は、上記回転変位回復手段は、圧縮バネと筒状部と当接部材と付勢力調節手段とを備えて構成されている。ケースに設けられた筒状部に圧縮バネが収容され、上記圧縮バネの一端側で当接部材がカムに当接する。これにより、上記圧縮バネは、上記シャフトの回転変位を回復させる方向にカムを付勢する。また、上記圧縮バネの他端側で付勢力調節手段が圧縮バネの付勢力を調節する。
このように、使用するバネを、従来の引張りから圧縮にすることで、汎用の高荷重圧縮バネを使用できるようになり、コスト削減に有利である。また、圧縮バネの付勢力を調節するときは、ケースの外側から行えるので、作業性が向上する。
【0024】
請求項
4の作物収穫機は、請求項1〜
3のいずれか一項に記載の作物列検知装置を備えている。
上記作物列検知装置は、センサーロッドによる作物や畝の検知を、スイッチのON−OFFではなく回転変位センサを利用する。このため、検知感度の調整が電気制御系統のプログラム上で可能になり、従来のような組み立て時のシビアな位置調整が不要になる。また、シャフトの精度も、従来より緩やかな基準を許容できる。このため、大幅なコスト削減となる。また、部品点数が少なく、全体の構造が簡略化するため、必要な機構を省スペースで実現できるため、検知装置自体がコンパクト化する。さらに、上記センサーロッドの変位を回転変位センサに伝達するシャフトがケース内に収容されているため、土や泥の汚れが付着しにくく誤検知や誤作動を起こしにくい。また、回転変位センサはケースの外側にあるため、破損したり狂ったりしても、交換修理が容易である。
また、上記シャフトにカムが設けられている。上記カムは、上記シャフトの初期位置設定を行うため、シャフトの初期位置が狂いにくい。また、上記カムは、上記シャフトの回転変位の回復を行うため、回転変位が回復しないトラブルが防止される。上記カムがケース内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
さらに、上記ケースに初期位置設定手段が設けられている。上記初期位置設定手段は、上記ケースの外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成され、上記カムに当接してシャフトの初期位置を設定する。このように、ケースの外側から容易に初期位置が調節できる。上記カムがケース内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜
図8は、本発明の一実施形態を説明する図である。
【0027】
◆作物収穫機
図1は、本実施形態の作物収穫機100を示す側面図である。本実施形態は、根菜の一種であるビートを収穫するためのビートハーベスタへの適用例である。
【0028】
この作物収穫機100は、図示しないトラクタに牽引される。機体103の下部に、畝に植え付けられた作物を収穫する取入口101が設けられている。上記取入口101を作物列に合わせて走行させることで、ビートを掘り起こしながら取り入れて収穫するようになっている。
【0029】
上記作物収穫機100は、機体103の下方における取入口101の前方に、左右一対の作物列検知装置1A,1Bを配置している。図では左用の作物列検知装置1Bしか見えない)。
【0030】
上記作物収穫機100は、機体103の前方に、トラクタに連結されるヒッチ102が突出している。上記ヒッチ102の左右には、方向変換装置としての油圧シリンダ104が配置されている(図では左側のものしか見えない)。上記油圧シリンダ104の伸縮により、機体103の進行方向を左右に変えるようになっている。
【0031】
上記作物収穫機100は、上記作物列検知装置1A,1Bが検知した作物列に従うよう、上記油圧シリンダ104を伸縮させて機体103の進行を左右に変えることにより、上記取入口101の左右位置を制御するようになっている。したがって、上記油圧シリンダ104は、本発明の制御手段の一部として機能する。
【0032】
◆作物列検知装置
〔概要〕
図2は、本実施形態の作物列検知装置1A,1Bを機体103に取付けた状態を説明する図である。
機体103の下部に配置される支持フレーム105の右と左にそれぞれ、右用の作物列検知装置側1A,左用の作物列検知装置1Bが取り付けられる。
【0033】
上記左右一対の作物列検知装置1A,1Bでは、左右から内側に向かってセンサーロッド10が延びている。上記センサーロッド10が畝に植え付けられた作物または当該畝に対して接触することにより、作物列を検知する。
【0034】
図3〜
図7は、本実施形態の作物列検知装置1Aを説明する図である。左右一対の作物列検知装置1A,1Bのうち、代表して右用の作物列検知装置1Aを説明する。左用の作物列検知装置1Bは、左右が逆になるだけで構造と動作は右用と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
〔基本構造〕
上記作物列検知装置1Aは、センサーロッド10とシャフト30とケース50と、回転変位センサ70を備えている。
【0036】
上記センサーロッド10の根元側に上記シャフト30が結合されている。上記シャフト30は、上記センサーロッド10の変位によって回転しうる状態で、上記ケース50に収容される。上記ケース50の外側には、上記回転変位センサ70が設けられている。上記回転変位センサ70は、上記シャフト30の回転変位を検知する。上記センサーロッド10は、畝に植え付けられた作物または当該畝に対して接触することにより変位する。このセンサーロッド10の変位によりシャフト30が回転し、その回転変位をケース50の外にある回転変位センサ70が検知する。
【0037】
〔センサーロッド10〕
上記センサーロッド10は、途中に弾性コイル部11を有し、先端側が後方を向くように折り曲げられた鋼製のロッドである。上記センサーロッド10は、根元部にL字状に屈曲した屈曲部12が設けられている。
上記センサーロッド10は、結合ブロック20を介して上記シャフト30の第1端部に対して結合される。
【0038】
〔結合ブロック20〕
上記結合ブロック20は、上記センサーロッド10をシャフト30の第1端部に対して結合する際の媒介物となる部材である。上記結合ブロック20はその中央に、上記シャフト30の第1端部が嵌合されて一体回転可能となる嵌合穴21が形成されている。上記嵌合穴21の外側には、センサーロッド10の屈曲部12が嵌め込まれてその位置を規制する規制溝22が形成されている。
【0039】
上記嵌合穴21は、シャフト30が一体回転可能に嵌合されるものである。
本実施形態では、上記シャフト30の第1端部に形成したオス側テーパ面32と、上記嵌合穴21の内面に形成したメス側テーパ面23とを接合させて嵌合させるようになっている。これにより、結合ブロック20の嵌合穴21にシャフト30の第1端部を嵌合するだけで、シャフト30と結合ブロック20が一体回転可能に嵌合される。
【0040】
上記規制溝22は、上記嵌合穴21の両側に設けられた2本の横溝22bと、上記横溝22bに対して直角に交わる1本の縦溝22aとで構成されている。上記横溝22bに上記屈曲部12の先端側の横曲部が嵌め込まれる。上記縦溝22aにセンサーロッド10の本体側が嵌め込まれる。これにより、ケース50に対するセンサーロッド10の張出し長さと傾斜角度が一定に規制されるようになっている。なお、右用の作物列検知装置1Aと左用の作物列検知装置1Bとで部品を共通化するため、横溝22bが2本設けられている。
【0041】
このような構造により、上記センサーロッド10が、作物や畝に接触して変位すると、シャフト30が軸を中心にして回転するようになっている。
【0042】
〔シャフト30〕
上記シャフト30は、上述したように、第1端部にオス側テーパ面32が形成され、結合ブロック20が一体回転可能に嵌合される。
【0043】
上記シャフト30には、上記シャフト30の初期位置設定と、上記シャフト30の回転変位の回復
とを行うためのカム31が設けられている。上記カム31は、上記シャフト30の途中部において鍔のように張り出して形成された板状の部分である。
【0044】
図6に示すように、上記カム31は、第1当接部31aと第2当接部31bを備えたカム形状に形成されている。上記第1当接部31aは、後述する初期位置設定手段40に当接してカムとして機能する。上記第2当接部31bは、後述する回転変位回復手段60に当接してカムとして機能する。
【0045】
上記シャフト30には、第2端部の端面に、回転変位センサ70の回転軸71が挿入される軸穴33が形成されている。上記軸穴33には、ゴムブッシュ33aを介して回転軸71が挿入される。これにより、上記シャフト30がその軸を中心に回転すると、回転変位センサ70の回転軸71を回転変位させるようになっている。
【0046】
これにより、上記センサーロッド10が、作物や畝に接触して変位するとシャフト30が軸を中心にして回転し、その回転変位を回転変位センサ70が検知するようになっている。
【0047】
〔回転変位センサ70〕
上記回転変位センサ70には、たとえばポテンショメーター等の変位センサを使用することができる。
【0048】
〔ケース50〕
上記ケース50は、鋼板製の箱体であり、上記シャフト30が、上記センサーロッド10の変位によって軸を中心に回転しうる状態で収容される。
【0049】
図7に示すように、上記ケース50には、そのひとつの壁面に、上記シャフト30を保持するための第1保持筒51が設けられている。上記第1保持筒51の上部と下部にそれぞれベアリング52a,52bが嵌め込まれている。上記2つのベアリング52a,52bに、上記シャフト30が軸回転可能に支持されている。この状態で上記シャフト30の第1端部はケース50の外側に突出している。この突出した第1端部にセンサーロッド10が結合される。
【0050】
上記ケース50には、上記第1保持筒51と対向する壁面に、四角い開口部53が設けられている。上記開口部53は、上記シャフト30をケース50内に組付ける際に利用される。上記開口部53は蓋部材54で塞がれる。上記蓋部材54には、上記シャフト30の第2端部側が支持されるとともに、上記回転変位センサ70が取り付けられる。
【0051】
上記蓋部材54は、上記開口部53よりも一回り大きい四角形の板状材で、その板面の中程に、上記シャフト30を保持するための第2保持筒55が設けられている。上記第2保持筒55には、ベアリング52cが嵌め込まれている。上記ベアリング52cに、上記シャフト30の第2端部が軸回転可能に支持されている。
【0052】
上記蓋部材54の外側には、上記回転変位センサ70が取り付けられる。このとき、上記回転変位センサ70の回転軸71が、シャフト30の端面に形成された軸穴33に、ゴムブッシュ33aを介して挿入される。これにより、上記シャフト30がその軸を中心に回転すると、回転変位センサ70の回転軸71が回転変位する。このような構造により、上記ケース50の外側に、上記回転変位センサ70が設けられる。
【0053】
上記ケース50の外側に設けられた回転変位センサ70は、保護カバー56で覆われ、土・泥・水などから保護される。
【0054】
〔初期位置設定手段40〕
上記ケース50には、上記カム31に当接してシャフト30の初期位置を設定する初期位置設定手段40が設けられている。
【0055】
上記初期位置設定手段40は、ケース50の壁面に形成されたねじ穴41に、緩止ナット43がついたボルト42がねじ込まれて構成されている。この状態で、上記ボルト42の先端が、カム31の第1当接部31aに当接することにより、シャフト30の初期位置を決めるようになっている。つまり、センサーロッド10が作物や畝に接触していないときは、カム31の第1当接部31aがボルト42の先端に当接しているのであり、この状態が初期位置である。
【0056】
初期位置となるシャフト30の回転角度位置を調節するときは、上記緩止ナット43を緩めてボルト42をねじ回転させ、その先端を進退させる。調節が終わったら緩止ナット43を締めてボルト42の位置を固定する。つまり、上記初期位置設定手段40の調節により、初期位置となるシャフト30の回転角度位置(初期位置となるセンサーロッド10の回転角度位置)が決まる。
【0057】
このような構造により、上記初期位置設定手段40は、上記ケース50の外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成されている。
【0058】
〔回転変位回復手段60〕
上記ケース50には、上記カム31に当接してシャフト30の回転変位を回復させる回転変位回復手段60が設けられている。
【0059】
上記回転変位回復手段60は、圧縮バネ61と、筒状部62と、当接部材63と、付勢力調節手段64とを備えて構成されている。
【0060】
上記圧縮バネ61は、上記回転変位を回復させる方向に上記カム31を付勢する。上記筒状部62は、上記圧縮バネ61を収容する。上記当接部材63は、上記圧縮バネ61の一端側で上記カム31に当接する。上記付勢力調節手段64は、上記圧縮バネ61の他端側で上記圧縮バネ61の付勢力を調節する。
【0061】
上記筒状部62は、上記ケース50の壁面を貫通するように当該壁面に接合され、筒状部62の内部空間とケース50の内部空間が連通している。上記圧縮バネ61は、上記筒状部62に収容されている。上記ケース50の内側に位置する圧縮バネ61の端部には、上記当接部材63が配置されている。上記当接部材63は、軸部が圧縮バネ61に差し込まれ、頭部がカム31の第2当接部31bに当接している。上記筒状部62の内側には、ケース50の外側寄りの部分に雌ねじ部が設けられている。上記雌ねじ部に、上記付勢力調節手段64がねじ込まれている。
【0062】
上記付勢力調節手段64は、六角レンチでねじ回転できる無頭ねじである。上記付勢力調節手段64のねじ込み量を調節することにより、カム31に対する圧縮バネ61の付勢力を調節できる。上記ねじ込み量を大きくすると上記付勢力が大きくなり、上記ねじ込み量を小さくすると上記付勢力が小さくなる。
【0063】
上記付勢力を大きくすると、シャフト30が初期位置から回転するときの抵抗が大きくなる。つまり、上記センサーロッド10が作物や畝に接触した変位により、上記シャフト30が初期位置から軸回転するときの回転抵抗が大きくなる。これとともに、上記センサーロッド10の作物や畝への接触がなくなったときの回転変位の回復力も大きくなる。
反対に、上記付勢力を小さくすると、シャフト30が初期位置から回転するときの抵抗が小さくなる。つまり、上記センサーロッド10が作物や畝に接触した変位により、上記シャフト30が初期位置から軸回転するときの回転抵抗が小さくなる。これとともに、上記センサーロッド10の作物や畝への接触がなくなったときの回転変位の回復力も小さくなる。
【0064】
このような構造により、上記回転変位回復手段60は、上記ケース50の外側において上記回転変位の回復強度の調節を行いうるように構成されている。
【0065】
〔ストッパーピン80〕
上記ケース50の外側には、変位するセンサーロッド10に接触するストッパーピン80が設けられている。上記ストッパーピン80は、センサーロッド10が作物や畝に接触して変位したときに結合ブロック20が接触する。上記ストッパーピン80に対して接触したあと、それ以上センサーロッド10が変位するときは、弾性コイル部11の弾性変形により、それより先端側だけが変位する。つまり、シャフト30はそれ以上回転しない。これにより、センサーロッド10に不測の外力が加わったときに、シャフト30のオーバー回転を防止し、付勢力調節手段64やカム31が破損するのを防止する。
【0066】
〔作物列検知動作〕
図8は、上記作物列検知装置1Aの作物列検知動作を説明する図である。
【0067】
図8(A)はセンサーロッド10およびシャフト30の初期位置である。
この初期位置では、上記初期位置設定手段40は、ボルト42の先端がカム31の第1当接部31aに当接している。また、上記回転変位回復手段60は、上記当接部材63の頭部がカム31の第2当接部31bに当接し、圧縮バネ61の付勢力がシャフト30に作用している。
【0068】
図8(B)はセンサーロッド10が変位し、それにともないシャフト30が回転変位した状態である。センサーロッド10が作物や畝に接触して変位すると、それに伴いシャフト30が回転変位する。このとき、上記回転変位回復手段60は、圧縮バネ61の付勢力がシャフト30に作用する強度を高め、回転抵抗として作用する。また、この状態からセンサーロッド10が作物や畝から離れると、圧縮バネ61の付勢力がカム31に作用してシャフト30の回転変位を回復する。
【0069】
センサーロッド10の変位にともないシャフト30が回転変位すると、その回転変位により上記回転変位センサ70の回転軸71が回転変位し、その回転変位を回転変位センサ70が検知する。つまり、センサーロッド10が作物や畝に接触して変位すると、その回転変位の程度を回転変位センサ70が検知するのである。
【0070】
〔作物収穫動作〕
図1および
図2に示すように、作物収穫機100には、左右一対の作物列検知装置1A,1Bが取り付けられる。上記作物収穫機100は、図示しないトラクタに牽引され、機体103の下部に設けられた取入口101を作物列に合わせて走行させる。
【0071】
右用の作物列検知装置1Aにおいてセンサーロッド10が作物や畝に接触して変位すると、その回転変位を回転変位センサ70が検知し、左右の油圧シリンダ104を伸縮させて機体103の進行を右に変える。
左用の作物列検知装置1Bにおいてセンサーロッド10が作物や畝に接触して変位すると、その回転変位を回転変位センサ70が検知し、左右の油圧シリンダ104を伸縮させて機体103の進行を左に変える。
【0072】
上記作物収穫機100は、上記作物列検知装置1A,1Bが検知した作物列に従うよう、上記油圧シリンダ104を伸縮させて機体103の進行を左右に変えることにより、上記取入口101の左右位置を制御し、ビート等の作物を掘り起こしながら取り入れて収穫する。
【0073】
〔実施形態の効果〕
本実施形態の装置は、つぎの作用効果を奏する。
【0074】
本実施形態の作物列検知装置1Aは、センサーロッド10とシャフト30とケース50と、回転変位センサ70を備えている。上記センサーロッド10の根元側に上記シャフト30が結合されている。上記シャフト30は、上記センサーロッド10の変位によって回転しうる状態で、上記ケース50に収容される。上記ケース50の外側には、上記回転変位センサ70が設けられ、上記シャフト30の回転変位を検知する。上記センサーロッド10は、畝に植え付けられた作物または当該畝に対して接触することにより変位する。このセンサーロッド10の変位によりシャフト30が回転し、その回転変位をケース50の外にある回転変位センサ70が検知する。
このように、センサーロッド10による作物や畝の検知を、スイッチのON−OFFではなく回転変位センサ70を利用する。このため、検知感度の調整が電気制御系統のプログラム上で可能になり、従来のような組み立て時のシビアな位置調整が不要になる。また、シャフト30の精度も、従来より緩やかな基準を許容できる。このため、大幅なコスト削減となる。また、部品点数が少なく、全体の構造が簡略化するため、必要な機構を省スペースで実現できるため、検知装置自体がコンパクト化する。さらに、上記センサーロッド10の変位を回転変位センサ70に伝達するシャフト30がケース50内に収容されているため、土や泥の汚れが付着しにくく誤検知や誤作動を起こしにくい。また、回転変位センサ70はケース50の外側にあるため、破損したり狂ったりしても、交換修理が容易である。
【0075】
本実施形態の作物列検知装置1Aは、上記シャフト30にカム31が設けられている。上記カム31は、上記シャフト30の初期位置設定を行うため、シャフト30の初期位置が狂いにくい。また、上記カム31は、上記シャフト30の回転変位の回復を行うため、回転変位が回復しないトラブルが防止される。上記カム31がケース50内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
【0076】
本実施形態の作物列検知装置1Aは、上記ケース50に初期位置設定手段40が設けられている。上記初期位置設定手段40は、上記ケース50の外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成され、上記カム31に当接してシャフト30の初期位置を設定する。このように、ケース50の外側から容易に初期位置が調節できる。上記カム31がケース50内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくい。
【0077】
本実施形態の作物列検知装置1Aは、上記ケース50に回転変位回復手段60が設けられている。上記回転変位回復手段60は、上記ケース50の外側において上記回転変位の回復強度の調節を行いうるように構成され、上記カム31に当接してシャフト30の回転変位を回復させる。このように、ケース50の外側から容易に回復強度が調節できる。上記カム31がケース50内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
【0078】
本実施形態の作物列検知装置1Aは、上記回転変位回復手段60は、圧縮バネ61と筒状部62と当接部材63と付勢力調節手段64とを備えて構成されている。ケース50に設けられた筒状部62に圧縮バネ61が収容され、上記圧縮バネ61の一端側で当接部材63がカム31に当接する。これにより、上記圧縮バネ61は、上記シャフト30の回転変位を回復させる方向にカム31を付勢する。また、上記圧縮バネ61の他端側で付勢力調節手段64が圧縮バネ61の付勢力を調節する。
このように、使用するバネを、従来の引張りから圧縮にすることで、汎用の高荷重圧縮バネを使用できるようになり、コスト削減に有利である。また、圧縮バネ61の付勢力を調節するときは、ケース50の外側から行えるので、作業性が向上する。
【0079】
本実施形態の作物収穫機100は、上記作物列検知装置1Aを備えている。
上記作物列検知装置1Aは、センサーロッド10による作物や畝の検知を、スイッチのON−OFFではなく回転変位センサ70を利用する。このため、検知感度の調整が電気制御系統のプログラム上で可能になり、従来のような組み立て時のシビアな位置調整が不要になる。また、シャフト30の精度も、従来より緩やかな基準を許容できる。このため、大幅なコスト削減となる。また、部品点数が少なく、全体の構造が簡略化するため、必要な機構を省スペースで実現できるため、検知装置自体がコンパクト化する。さらに、上記センサーロッド10の変位を回転変位センサ70に伝達するシャフト30がケース50内に収容されているため、土や泥の汚れが付着しにくく誤検知や誤作動を起こしにくい。また、回転変位センサ70はケース50の外側にあるため、破損したり狂ったりしても、交換修理が容易である。
また、上記シャフト30にカム31が設けられている。上記カム31は、上記シャフト30の初期位置設定を行うため、シャフト30の初期位置が狂いにくい。また、上記カム31は、上記シャフト30の回転変位の回復を行うため、回転変位が回復しないトラブルが防止される。上記カム31がケース50内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくく、回転変位の回復の誤作動が防止される。
さらに、上記ケース50に初期位置設定手段40が設けられている。上記初期位置設定手段40は、上記ケース50の外側において上記初期位置の調節を行いうるように構成され、上記カム31に当接してシャフト30の初期位置を設定する。このように、ケース50の外側から容易に初期位置が調節できる。上記カム31がケース50内にあるため、土や泥の汚れが付着しにくく、設定した初期位置が狂いにくい。
【0080】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。