(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信側の伝送局は、電力を供給する前記交流電圧におけるノイズの振幅を観測し、前記交流電圧における一周期中のタイミングごとの、観測された前記ノイズの振幅を前記第3の送信信号に含め応答し、
前記送信側の伝送局は、前記第3の応答信号による前記ノイズの振幅に基づき、前記伝送パラメータの一つである前記交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定する、
請求項7に記載の電力線搬送通信システム。
前記受信側の伝送局は、予め設定された、前記ゼロクロス計数部により計数されたゼロクロスの回数に対応したタイミングで、前記送信側の伝送局から送信された伝送信号に応答する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電力線搬送通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
[1.構成]
[1−1.システムの全体構成]
図1を参照して本実施形態の電力線搬送通信システム1の一例として灯火監視制御システムについて説明する。
【0012】
本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字(小文字)を付けることで区別する。
【0013】
本灯火監視制御システム1は、電源装置2、制御装置3、フィルタ4、交流電源5、伝送局6、結合器7、灯火器8、電力線9を有する。複数の伝送局6のうち、伝送局6mが親伝送局、伝送局6a、6b〜6nが子伝送局となる。nは任意の数であり、任意の数量の伝送局6a〜6nが電力線搬送通信システム1に接続される。本実施形態において、親伝送局である伝送局6mが、請求項における送信側の伝送局に、子伝送局である伝送局6a〜6nが、請求項における受信側の伝送局に相当する。以降、送信側の伝送局6mを親伝送局6mと、受信側の伝送局6a〜6nを子伝送局6a〜6nと呼ぶ場合がある。
【0014】
交流電源5は、電力会社にて発電及び送電された電力を受電する受電装置であり、本灯火監視制御システムの電源となる電力を供給する。交流電源5は、灯火監視制御システムの制御装置3が設置される制御室等に配置される。
【0015】
電源装置2は、いわゆる安定化電源装置により構成される。電源装置2は、交流電源5に接続される。電源装置2は、交流電源5から供給された電力を、灯火監視制御システムの内部用の電源電圧に変換し、フィルタ4を介し電力線9に電源電圧を出力する。この電源電圧は、灯火器8の電源になるとともに、伝送局6により送信される搬送信号が重畳される。電源装置2は、灯火監視制御システムの制御装置3が設置される制御室等に配置される。
【0016】
制御装置3は、パーソナルコンピュータ等により構成される。制御装置3は、親伝送局6mに接続され、親伝送局6mの制御を行う。制御装置3は、灯火監視制御システムの制御室等に配置される。
【0017】
フィルタ4は、インダクタ(L)や、キャパシタ(C)を組み合わせて構成されたフィルタである。フィルタ4は、電源装置2と電力線9の間に設置される。フィルタ4は、親伝送局6m、子伝送局6a〜6n間の通信に用いられる搬送信号のキャリア周波数に対し高インピダンスとなる定数を有する部材により構成される。フィルタ4により、親伝送局6m、子伝送局6a〜6n間の通信に用いられる搬送信号が、電源装置2側に漏れにくく、電力線9における搬送信号の減衰が軽減される。
【0018】
親伝送局6mは、電力線搬送通信にて通信を行う親局である。親伝送局6mは、制御装置3に接続され、制御装置3近傍の電力線9に設置される。親伝送局6mは、制御装置3からの電文を受信し、電力線9を介し子伝送局6a〜6nと電力線搬送にて通信を行う。
【0019】
親伝送局6mは、子伝送局6a〜6nとの伝送パラメータを決定する。親伝送局6mは、子伝送局6a〜6nに、灯火器8の照度制御および断線診断を行わせるための伝送信号を送信する。親伝送局6mは、子伝送局6a〜6nと同様の内部構成を有する。
【0020】
子伝送局6a〜6nは、電力線搬送通信にて通信を行う子局であり、結合器7を介して電力線9に接続されるとともに、灯火器8に接続される。電力線搬送通信システム1には、複数台の子伝送局6a〜6nが接続される。子伝送局6a〜6nは、電力線9を介し電力線搬送にて親伝送局6mと通信を行う。
【0021】
子伝送局6a〜6nは、親伝送局6mから電力線搬送にて送信された搬送信号の評価を行う。子伝送局6a〜6nは、灯火器8の照度制御および断線診断を行う。子伝送局6a〜6nは、親伝送局6mと同様の内部構成を有する。
【0022】
結合器7は、トランス等により構成され、電力線搬送の搬送信号を重畳及び抽出する装置である。結合器7は親伝送局6mまたは子伝送局6a〜6nと、電力線9との間に設置される。親伝送局6m、子伝送局6a〜6nごとに複数台の結合器7m、7a、7b〜7nが設置される。
【0023】
結合器7m、7a〜7nは、それぞれ親伝送局6mおよび子伝送局6a〜6nから送信された搬送信号を電力線9に重畳させる。また、結合器7m、7a〜7nは、電力線9に重畳された搬送信号を、それぞれ親伝送局6mおよび子伝送局6a〜6nに伝達する。
【0024】
灯火器8は、キセノンランプやLEDライトにより構成された照明器具である。灯火器8は、空港の滑走路毎、誘導路毎に配置され、滑走路、誘導路の位置を照明の光にて表示する。子伝送局6a〜6nごとに複数台の灯火器8a〜8nが設置される。灯火器8a〜8nは、それぞれ子伝送局6a〜6nに接続され、子伝送局6a〜6nにより照度制御および断線診断が行われる。
【0025】
電力線9は、電力を伝達するとともに親伝送局6mおよび子伝送局6a〜6nの電力線搬送通信にかかる搬送信号を伝達する電線である。電力線9は、灯火器8の電源になる電力を供給するとともに、親伝送局6mおよび子伝送局6a〜6nに通信に用いられる搬送信号が重畳される電源電圧を供給する。
【0026】
[1−2.伝送局6の構成]
伝送局6の構成について
図2を参照して説明する。親伝送局6mと子伝送局6a〜6nは、同一の内部構成を有する。伝送局6は一例として、記憶部11、通信部12、制御部13、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16、信号受信部17、位相検出部18、復調処理部19、受信データ作成部20、灯火制御部21を有する。送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16が請求項における送信部に、信号受信部17、復調処理部19、受信データ作成部20が請求項における受信部に、位相検出部18が請求項におけるゼロクロス検出部およびゼロクロス計数部に相当する。
【0027】
(記憶部11)
記憶部11は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部11は、制御部13に接続され、データ書込みおよび読出しが行われる。記憶部11は親伝送局6mおよび各子伝送局6a〜6nの送信出力レベル、受信ゲイン、通信するタイミング情報、通信可能時間、搬送周波数、シンボル数、シンボル速度に関する情報を記憶する。伝送局6が親伝送局6mとして使用される場合、記憶部11は、電力線搬送通信にかかる伝送パラメータである伝送速度、変調方式、振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングを記憶する。
【0028】
(通信部12)
通信部12は、有線および無線の通信に対応したインタフェース回路等により構成される。通信部12の一方は、制御部13に接続される。伝送局6が親伝送局6mとして使用される場合、通信部12は、伝送局6外部の制御装置3と接続され通信を行う。
【0029】
(制御部13)
制御部13は、マイクロコンピュータにより構成される。制御部13は、記憶部11、通信部12、送信データ作成部14、受信データ作成部20および灯火制御部21にそれぞれ接続され、これらの制御を行う。
【0030】
伝送局6が親伝送局6mとして使用される場合、制御部13は、電力線搬送通信にかかる伝送パラメータである伝送速度、変調方式、振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定する。
【0031】
伝送局6が子伝送局6a〜6nとして使用される場合、制御部13は、通信部12により受信した灯火器8の照度制御および断線診断に関する伝送信号を中継し、灯火制御部21を介し灯火器8へ出力する。
【0032】
(送信データ作成部14)
送信データ作成部14は、伝送制御用回路により構成される。送信データ作成部14は、入力側が制御部13に接続され、出力側が変調処理部15に接続される。送信データ作成部14は、制御部13により作成されたコードが入力される。送信データ作成部14は、このコードをフレームに割り当て送信電文に変換し、変調処理部15に出力する。この送信電文には、送信データ作成部14により、誤り検出や訂正用の各種FEC符号が付加される。
【0033】
(変調処理部15)
変調処理部15は、変調用回路により構成される。変調処理部15は、入力側が送信データ作成部14に接続され、出力側が信号送信部16に接続される。変調処理部15は、送信データ作成部14にて作成された送信電文を受信し、この送信電文を、周波数変調や位相変調により送信されるアナログ信号の振幅に対応したデジタル信号に変換し、信号送信部16に出力する。
【0034】
変調処理部15は、記憶部11に記憶された伝送パラメータである伝送速度、変調方式、振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングに基づき、周波数変調や位相変調により送信されるアナログ信号の振幅に対応したデジタル信号を作成する。例えば、位相変調方式の場合、変調処理部15は、1bitまたは複数bit単位で規定されたシンボルごとに、対応した位相、時間間隔、搬送周波数を有するデジタル信号を作成する。変調処理部15は、高速、低速等の複数の変調方式に対応する。
【0035】
(信号送信部16)
信号送信部16は、デジタル−アナログ変換用の回路により構成される。信号送信部16は、入力側が変調処理部15に接続され、出力側が結合器7に接続される。信号送信部16は、変調処理部15により作成されたデジタル信号を受信し、このデジタル信号を、アナログ信号である電力線搬送通信の搬送信号に変換する。変換された搬送信号は、結合器7を介し電力線9へ送信される。
【0036】
信号送信部16から送信される搬送信号は、記憶部11に記憶された伝送パラメータである伝送速度、変調方式、振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングに基づき、位相検出部18にて検出された交流電圧のゼロクロスのタイミングにより、送信される。また、1回の送信タイミングで全ての情報が送出できない場合、送信するデータ量に応じ、複数のタイミングで送出するようにしてもよい。
【0037】
(信号受信部17)
信号受信部17は、アナログ−デジタル変換用の回路により構成される。信号受信部17は、入力側が結合器7に接続され、出力側が復調処理部19に接続される。信号受信部17は、アナログ信号の形で電力線9に重畳している電力線搬送通信の搬送信号を、結合器7から受信する。信号受信部17は、受信した搬送信号をアナログ−デジタル変換して振幅に対応したデジタル信号を生成し、復調処理部19に出力する。また、信号受信部17は、電源装置2からフィルタ4を介して出力された、電力線9上の電源電圧波形信号をアナログ−デジタル変換して電源電圧波形信号にかかるデジタル値として位相検出部18に出力する。
【0038】
(位相検出部18)
位相検出部18は、デジタルの比較回路により構成される。位相検出部18は、入力側が信号受信部17に、出力側が信号送信部16および受信データ作成部20に接続される。位相検出部18は、信号受信部17から出力された電源電圧波形信号にかかるデジタル値に基づき、電源波形のゼロクロス点を検出する。また位相検出部18は、検出したゼロクロス点をカウントし、信号送信部16および受信データ作成部20に出力する。位相検出部18が、請求項のゼロクロス検出部およびゼロクロス計数部に相当する。
【0039】
(復調処理部19)
復調処理部19は、復調用回路により構成される。復調処理部19は、入力側が信号受信部17に、出力側が受信データ作成部20に接続される。復調処理部19は、信号受信部17にて変換されたデジタル信号が入力される。復調処理部19は、このデジタル信号を復調し受信電文に変換し受信データ作成部20に出力する。
【0040】
復調処理部19は、記憶部11に記憶された伝送パラメータである伝送速度、変調方式、振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングに基づき、周波数変調や位相変調により送信されたアナログ信号の振幅に対応したデジタル信号を、受信電文に復調する。例えば、一定間隔でシンボルを抽出し、フーリエ変換等で信号強度と位相を検出し、変調前の通信フレームのデータを復元する。復調処理部19は、高速、低速等の複数の変調方式に対応する。
【0041】
(受信データ作成部20)
受信データ作成部20は、伝送制御用回路により構成される。受信データ作成部20は、入力側が復調処理部19に、出力側が制御部13に接続される。受信データ作成部20は、復調処理部19にて復調されたデジタルの受信電文が入力され、誤り検出や訂正用の各種FEC符号を適用し、誤り検出および訂正を行い、受信電文にかかるコードを制御部13に出力する。
【0042】
(灯火制御部21)
灯火制御部21は、有線のローカル通信に対応したインタフェース回路等により構成される。灯火制御部21の一方は、制御部13に接続される。伝送局6が子伝送局6a〜6nとして使用される場合、灯火制御部21は、伝送局6外部の灯火器8と接続され通信を行う。
【0043】
[1−3.制御装置3]
制御装置3は、パーソナルコンピュータ等の機器により構成される。制御装置3は、有線および無線の通信に対応したインタフェース回路による構成された通信部を備える。制御装置3の通信部は、親伝送局6mに接続される。制御装置3は、通信部を介し、親伝送局6mと灯火器8の点灯、消灯、照度調整、異常監視に関するデータ通信を、親伝送局6mと行う。
【0044】
また、制御装置3は、子伝送局6a〜6nの伝送に関する情報を蓄積して記憶する。子伝送局6a〜6nの伝送に関する情報は、親伝送局6mから制御装置3に送信される。親伝送局6mは、各子伝送局6a〜6nから伝送に関する情報を受信する。
【0045】
また、制御装置3は、上位通信部を備える。制御装置3の上位通信部は、上位装置(図中不示)に接続される。制御装置3は、上位通信部を介し、制御装置3外部の管制制御装置やオペレータコンソール等の上位装置と通信を行う。
【0046】
[2.作用]
[2−1.キャリア周波数の決定]
次に、本実施形態の電力線搬送通信システムのキャリア周波数の決定にかかる動作の概要を
図1〜5に基づき説明する。キャリア周波数の決定にかかる通信動作の概要を
図3に示す。
【0047】
親伝送局6mの制御部13は、
図4に示すプログラムに従ってキャリア周波数の決定に関する動作を行う。以下に、親伝送局6mの制御部13のキャリア周波数の決定にかかる動作を
図4に示すプログラムに沿って説明する。
図4に示すプログラムは、親伝送局6mの制御部13に内蔵される。
図4に示すプログラムは、制御部13により、電源投入時または一定周期ごとに実行される。
【0048】
(S11:交流電源通電検知)
最初に親伝送局6mの制御部13は、電源装置2の電源が投入され、交流電源が通電されたことを検出する。これにより、親伝送局6mは、起動し送受信可能な状態となる。また、各子伝送局6a〜6nは、起動され初期化される。これにより、親伝送局6m、各子伝送局6a〜6nとも送受信可能な状態となる。
【0049】
(S12:通電通知を制御装置3に送信)
親伝送局6mの制御部13は、親伝送局6m、各子伝送局6a〜6nの起動が完了した旨のコードである通電通知を制御装置3に送信する。通電通知は、親伝送局6mの通信部12から制御装置3に送信される。
【0050】
(S13:初期通信の伝送方式を選択)
次に、親伝送局6mの制御部13は、複数の伝送方式のうち各子伝送局6a〜6nと初期通信を行うための伝送方式を選択する。初期通信は、各子伝送局6a〜6nの存在不存在の検出、および各子伝送局6a〜6nにおけるキャリア周波数の強度を検出するためのものである。
【0051】
したがって初期通信を行うための伝送方式は、複数の伝送方式のうち、通信エラーが少ないと見込まれる伝送方式が選択されることが望ましい。複数の伝送方式は、変調方式、伝送速度、キャリア周波数、振幅、交流電圧における一周期中のタイミングにおいて異なる。本実施形態では、初期通信を行うための伝送方式の一例として[変調方式:振幅変調、伝送速度:100bps(電源周波数に同期)、キャリア周波数:1000〜2000Hz]を選択する。
【0052】
(S14:確認信号F1を送信する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nに対し、キャリア周波数:1000〜2000Hzのうち第1の周波数を有する確認信号F1を送信する。確認信号F1は、一例としてf1=1000Hzの周波数を有する振幅変調された信号であるものとする。
【0053】
振幅変調は、交流電圧における一周期中の、予め定められたタイミングに重畳された信号の有無にて1ビットを構成する。つまり一周期中の予め定められたタイミングに1000Hzの周波数を有する信号が存在する場合、マーク(論理「1」)を表し、1000Hzの周波数を有する信号が存在しない場合、スペース(論理「0」)を表す。確認信号F1は、マークのみ送信されるものであってもよい。確認信号F1は、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16により各子伝送局6a〜6nに対し一括にて送信される。
【0054】
(S15:応答信号G1を受信する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nから、確認信号F1に対する応答信号G1を受信する。子伝送局6aは、親伝送局6mから確認信号F1を受信した場合、応答信号G1aにより応答する。子伝送局6aが不存在であるか受信不調の場合、応答信号G1aは返信されない。
【0055】
同様に子伝送局6b〜6nは、親伝送局6mから確認信号F1を受信した場合、応答信号G1b〜G1nにより応答する。子伝送局6b〜6nが不存在であるか受信不調の場合、応答信号G1b〜G1nは返信されない。
【0056】
応答信号G1は、各子伝送局6a〜6nに予め設定された、位相検出部18により計数されたゼロクロスの回数に対応したタイミングで、各子伝送局6a〜6nから返信される。応答信号G1a〜G1nには、子伝送局6a〜6nごとに検出された、確認信号F1の受信強度に関するデータが含まれる。
【0057】
位相検出部18は
図5に示すように、交流電圧のゼロクロスを計数する。例えば子伝送局6aには、「1」が、子伝送局6nには「n」が、予め設定されている。子伝送局6aは、親伝送局6mから確認信号F1を受信したのちの1回目の交流電圧のゼロクロスで応答信号G1aを返信する。子伝送局6nは、親伝送局6mから確認信号F1を受信したのちのn回目の交流電圧のゼロクロスで応答信号G1nを返信する。
【0058】
(S16:応答信号G1の確認を行う)
次に、親伝送局6mは、各子伝送局6a〜6nから、応答信号G1a〜G1nにより応答があったか判断する。親伝送局6mは、各子伝送局6a〜6nに予め設定された、ゼロクロスの回数に基づき、各子伝送局6a〜6nから応答信号G1a〜G1nが返信されたか判断を行う。
【0059】
応答信号G1により応答がなかった場合、応答がなかった子伝送局6(例えば子伝送局6n)が不存在、または、確認信号F1にかかる周波数に対し子伝送局6(例えば子伝送局6n)が受信不調であると判断する。親伝送局6mの制御部13は、確認信号F1に対し応答があった子伝送局6、および子伝送局6a〜6nごとに検出された確認信号F1の受信強度に関するデータを抽出し、記憶部11に蓄積して記憶させる。
【0060】
(S17:データを、制御装置3に送信)
次に、親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nからの応答信号G1a〜G1nによる応答の有無、および子伝送局6a〜6nごとに検出された確認信号F1の受信強度に関するデータを、通信部12を介し制御装置3に送信する。
【0061】
その後、親伝送局6mは、ステップS14〜S17にかかる動作を、キャリア周波数:1000〜2000Hzのうち第2の周波数f2=1200Hzを有する確認信号F2、第3の周波数f3=1400Hzを有する確認信号F3、第4の周波数f4=1600Hzを有する確認信号F4、第5の周波数f5=1800Hzを有する確認信号F5、第6の周波数f6=2000Hzを有する確認信号F6について繰り返し実行する。親伝送局6mの制御部13は、各確認信号F2〜F6に対し応答があった子伝送局6、および子伝送局6a〜6nごとに検出された確認信号F2〜F6の受信強度に関するデータを抽出し蓄積して記憶部11に記憶させる。
【0062】
(S18:キャリア周波数を決定する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、記憶部11に記憶された各確認信号F1〜F6に対する子伝送局6a〜6nによる応答の有無、および子伝送局6a〜6nごとに検出された確認信号F1〜F6の受信強度に関するデータに基づきキャリア周波数を決定する。
【0063】
最初に、親伝送局6mの制御部13は、確認信号F1〜F6のうち子伝送局6a〜6nから最多の応答があった確認信号を抽出する。
【0064】
次に、親伝送局6mの制御部13は、確認信号F1〜F6のうち子伝送局6a〜6nから最多の応答があった確認信号について、受信強度の平均値を算出する。受信強度の平均値は、記憶部11に記憶された子伝送局6a〜6nごとの確認信号F1〜F6の受信強度に関するデータに基づき、算出される。親伝送局6mの制御部13は、確認信号F1〜F6のうち算出した受信強度の平均値が最大である確認信号にかかるキャリア周波数を、電力線搬送通信にかかるキャリア周波数として決定する。
【0065】
(S19:キャリア周波数を子伝送局6a〜6nに通知する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、決定したキャリア周波数を、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16を介し、子伝送局6a〜6nに通信により通知する。また、親伝送局6mの制御部13は、決定したキャリア周波数を、通信部12を介し制御装置3に通知する。
【0066】
以降、親伝送局6mは、決定したキャリア周波数により、子伝送局6a〜6nとの間で通信を行う。例えば、決定したキャリア周波数がf2=1200Hzである場合、以降、親伝送局6mは、キャリア周波数f2=1200Hzの位相変調にかかる伝送方式により、子伝送局6a〜6nとの間で通信を行う。
【0067】
確認信号F1〜F6が、請求項における複数のキャリア周波数により送信される第1の伝送信号に相当する。応答信号G1〜G6が、請求項における第1の応答信号に相当する。以上が、キャリア周波数の決定にかかる手順である。
【0068】
[2−2.キャリア振幅の決定]
次に、本実施形態の電力線搬送通信システムのキャリア振幅の決定にかかる動作の概要を
図6〜10に基づき説明する。親伝送局6mは、
図6に示す確認信号V1を送信し、子伝送局6a〜6nから返信された応答信号Ua〜Unに基づき、複数の伝送方式におけるキャリア振幅を決定する。キャリア振幅の決定は、親伝送局6mの制御部13により行われる。
【0069】
親伝送局6mの制御部13は、
図7に示すプログラムに従ってキャリア振幅の決定に関する動作を行う。以下に、親伝送局6mの制御部13のキャリア振幅の決定にかかる動作を
図7に示すプログラムに沿って説明する。
図7に示すプログラムは、親伝送局6mの制御部13に内蔵される。
図7に示すプログラムは、制御部13により、電源投入時または一定周期ごとに実行される。
【0070】
(S21:確認信号V1を送信する)
親伝送局6mの制御部13は、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16を介し、各子伝送局6a〜6nに対し確認信号V1を送信する。確認信号V1は、キャリア周波数の決定にかかる手順により決定されたキャリア周波数、例えば1200Hzの、複数の振幅を有する位相変調された信号である。確認信号V1が、請求項における第2の伝送信号に相当する。確認信号V1は、キャリア周波数の決定にかかる手順により決定されたキャリア周波数を有する周波数変調された信号であってもよい。
【0071】
確認信号V1は、例えば電力を供給する交流電圧の一周期中に配置されたシンボルA、B、Cにより構成される。シンボルA、B、Cは、マーク(「1」)、スペース(「0」)に対応して位相変調された、電文における一つのカラムである。電力を供給する交流電圧の一周期中に2カラムの、4方位位相変調されたシンボルが配置される場合、交流電圧一周期で4bitのデータを送信することができる。交流電圧が50Hzの場合、1秒間に200bitのデータを送信することができ、伝送速度は200bpsとなる。
【0072】
確認信号V1のシンボルA、B、Cは、例えば、順に5Vp−p、2Vp−p、0.5Vp−pの振幅を有する信号である。電力を供給する交流電圧の一周期中に、シンボルA、B、Cとも含まれ、送信される。同じデータを構成する、振幅の異なるシンボルA、B、Cが、電力を供給する交流電圧における一周期中に含まれる。
【0073】
(S22:応答信号Ua〜Unを受信する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、信号受信部17、復調処理部19、受信データ作成部20を介し、各子伝送局6a〜6nから応答信号Ua〜Unを受信する。各子伝送局6a〜6nは、親伝送局6mから送信された確認信号V1を受信し、
図8に示すように、各子伝送局6a〜6nは、確認信号V1のシンボルA、B、Cの振幅ごとの受信強度を測定する。子伝送局6a〜6nの受信部である信号受信部17、復調処理部19、受信データ作成部20は、
図10に示すように、電力を供給する交流電圧のノイズの振幅より大きい入力信号を符号化する分解能を有する。
【0074】
各子伝送局6a〜6nは、確認信号V1のシンボルA、B、Cの振幅ごとの受信強度を、応答信号Ua〜Unとして親伝送局6mに返信する。応答信号Ua〜Unには、各子伝送局6a〜6nにおける、確認信号V1のシンボルA、B、Cの受信の可否も含まれる。親伝送局6mの制御部13は、応答信号Ua〜Unを受信する。応答信号Ua〜Unが、請求項における第2の応答信号に相当する。
【0075】
(S23:受信強度が所定値以上のシンボルは存在するか)
次に、親伝送局6mの制御部13は、シンボルA、B、Cのうち、受信強度が所定値以上のシンボルが存在するかの判断を行う。親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nから返信された応答信号Ua〜Unに基づき、シンボルA、B、Cのうち、各子伝送局6a〜6nの全てにおける受信強度が、予め設定された受信強度値以上であるシンボルが存在するかの判断を行う。
【0076】
設定された受信強度値以上であるシンボルが存在すると判断した場合(ステップS23のYES)、ステップS24に移行する。設定された受信強度値以上であるシンボルが存在すると判断しない場合(ステップS23のNO)、ステップS25に移行する。
【0077】
(S24:最小振幅をキャリア振幅とする)
ステップS23にて設定された受信強度値以上であるシンボルが存在すると判断された場合、親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nの全てにおける受信強度が、設定された受信強度値以上であるシンボルA、B、Cにかかる振幅を選択する。さらに親伝送局6mの制御部13は、選択されたシンボルA、B、Cにかかる振幅のうち最少の振幅を、キャリア振幅として決定する。
【0078】
電力線搬送通信におけるキャリア振幅は、接続される灯火器8に対してはノイズ成分となる。また、電力線搬送通信におけるキャリア振幅が過大である場合、他の電力線へのクロストークを引き起こす可能性がある。電力線搬送通信におけるキャリアは、できる限り小さな通信可能である振幅を有することが望ましい。このため、選択されたシンボルA、B、Cにかかる振幅のうち最少の振幅が、キャリア振幅とされる。
【0079】
例えば、子伝送局6a〜6n−1におけるシンボルA、B、Cにかかる振幅の受信強度が、予め設定された所定値以上であるが、子伝送局6nにおけるシンボルCにかかる振幅の受信強度が、予め設定された所定値未満である場合、親伝送局6mは、シンボルBにかかる振幅を、キャリア振幅として決定する。
【0080】
また、例えば、子伝送局6a〜6nにおけるシンボルA、B、Cにかかる振幅の受信強度が、予め設定された所定値以上である場合、親伝送局6mは、
図9に示すように送信したシンボルA、B、Cにかかる振幅より小さい振幅であり、かつ、理論下限値より大きい振幅を、キャリア振幅として決定してもよい。
【0081】
(S25:最大振幅をキャリア振幅とする)
ステップS23にて設定された受信強度値以上であるシンボルが存在すると判断されない場合、親伝送局6mの制御部13は、シンボルA、B、Cにかかる振幅のうち最大の振幅を、キャリア振幅として決定する。例えば、各子伝送局6a〜6nにおけるシンボルA、B、Cにかかる振幅の受信強度が、予め設定された所定値未満である場合、親伝送局6mは、最大振幅であるシンボルAにかかる振幅を、キャリア振幅として決定する。キャリア振幅は、親伝送局6mの制御部13により、子伝送局6a〜6nごとに異なるキャリア振幅が決定されるようにしてもよい。
【0082】
その後、一連のプログラムを終了する。以上が、キャリア振幅の決定にかかる手順である。
【0083】
[2−3.キャリア送信タイミングの決定]
次に、本実施形態の電力線搬送通信システムのキャリア送信タイミングの決定にかかる動作の概要を
図11〜
図15に基づき説明する。キャリア送信タイミングの決定にかかる通信動作の概要を
図11に示す。
【0084】
親伝送局6mの制御部13は、
図12に示すプログラムに従ってキャリア送信タイミングの決定に関する動作を行う。以下に、親伝送局6mの制御部13のキャリア送信タイミングの決定にかかる動作を
図12に示すプログラムに沿って説明する。
図12に示すプログラムは、親伝送局6mの制御部13に内蔵される。
図12に示すプログラムは、制御部13により、電源投入時または一定周期ごとに実行される。
【0085】
(S31:確認信号P1を送信する)
親伝送局6mの制御部13は、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16を介し、各子伝送局6a〜6nに対し確認信号P1を送信する。確認信号P1は、交流電圧における一周期中の第1のタイミングで送信される。第1のタイミングは、例えば
図13に示す指定時間Aにかかる、交流電圧におけるゼロクロス点から0ms〜8msである。
【0086】
確認信号P1は、キャリア周波数の決定にかかる手順により決定された、例えば1200Hzのキャリア周波数を有する。親伝送局6mの制御部13は、送信データ作成部14、変調処理部15、信号送信部16を、例えば8方位位相変調にかかる伝送速度は400bpsの高速変調に切替え、確認信号P1を送信する。
【0087】
確認信号P1は、キャリア振幅の決定にかかる手順により決定されたキャリア振幅を有する信号であってもよい。
【0088】
(S32:応答信号Q1a〜Q1nを受信する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、信号受信部17、復調処理部19、受信データ作成部20を介し、各子伝送局6a〜6nから応答信号Q1a〜Q1nを受信する。各子伝送局6a〜6nは、親伝送局6mから送信された確認信号P1を受信し、受信の正常異常を示す応答信号Q1a〜Q1nを返信する。
【0089】
返信を確実に行うため、応答信号Q1a〜Q1nは、各子伝送局6a〜6nから低速の変調方式にて送信される。例えば、応答信号Q1a〜Q1nは、周波数変調にかかる伝送速度100bpsの低速変調により送信される。親伝送局6mの制御部13は、応答信号Q1a〜Q1nを受信する。
【0090】
(S33:応答信号Q1の確認を行う)
次に、親伝送局6mの制御部13は、各子伝送局6a〜6nから、応答信号Q1a〜Q1nにより応答があったか判断する。親伝送局6mは、各子伝送局6a〜6nに予め設定された、ゼロクロスの回数に基づき、各子伝送局6a〜6nから応答信号Q1a〜Q1nが返信されたか判断を行う。
【0091】
応答信号Q1により応答がなかった場合、確認信号F1にかかる周波数に対し子伝送局6(例えば子伝送局6n)が受信不調であると判断する。親伝送局6mの制御部13は、子伝送局6a〜6nごとの受信可否を、
図14に示す通信良否テーブルとして記憶部11に蓄積して記憶させる。
【0092】
図14に示す通信良否テーブルは、子伝送局6a〜6nからの応答の有無、および子伝送局6a〜6nから返信された受信の正常異常を示す応答信号Q1a〜Q1nに基づき作成される。
【0093】
図14に示す通信良否テーブルは、
図13に示す指定時間A、B、Cごとの子伝送局6a〜6nの受信可否として、記憶部11に蓄積して記憶される。親伝送局6mの制御部13は、記憶部11に蓄積して記憶された通信良否テーブルを、制御装置3に送信する。
【0094】
その後、親伝送局6mの制御部13は、ステップS31〜S33にかかる動作を、交流電圧における一周期中の第2のタイミングで送信される確認信号P2、第3のタイミングで送信される確認信号P3について繰り返し実行する。第2のタイミングは、例えば
図13に示す指定時間Bにかかる、交流電圧におけるゼロクロス点から8ms〜10msである。第3のタイミングは、例えば
図13に示す指定時間Cにかかる、交流電圧におけるゼロクロス点から10ms〜12msである。
【0095】
子伝送局6a〜6nは、確認信号P2に対し応答信号Q2a〜Q2nを、確認信号P3に対し応答信号Q3a〜Q3nを返信する。応答信号Q1a〜Q1n、Q2a〜Q2n、Q3a〜Q3nが、請求項における第3の応答信号に相当する。確認信号P1、P2、P3が、請求項における第3の伝送信号に相当する。
【0096】
(S34:キャリア送信タイミングを選択する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、子伝送局6a〜6nごとの受信可否を示す通信良否テーブルに基づき、キャリア送信タイミングを選択する。親伝送局6mの制御部13は、指定時間A、B、Cのうち、
図14に示す通信良否テーブルにおいて最も通信成功率が高い指定時間を選択し、キャリア送信タイミングとして決定する。
【0097】
例えば、
図14において指定時間Aの通信成功率が、最も高い。親伝送局6mの制御部13は、最も通信成功率が高い指定時間Aにかかる、交流電圧におけるゼロクロス点から0ms〜8msをキャリア送信タイミングとして決定する。
【0098】
また、キャリア送信タイミングは送信されるシンボルごとに決定されるようにしてもよい。例えば、ステップS31〜S33を繰り返し実行し、複数のシンボルごとに確認信号P1、P2、P3を送信し、
図15に示すようなシンボルごとの通信良否テーブルを作成するようにしてもよい。ステップS34において、シンボルごとにキャリア送信タイミングが決定されるようにしてもよい。
【0099】
(S35:キャリア送信タイミングを子伝送局6a〜6n、制御装置3に通知する)
次に、親伝送局6mの制御部13は、決定したキャリア送信タイミングを子伝送局6a〜6n、および制御装置3に通信により通知する。
【0100】
以降、親伝送局6mは、決定したキャリア周波数、キャリア振幅、キャリア送信タイミングにより、子伝送局6a〜6nとの間で通信を行う。
【0101】
その後、一連のプログラムを終了する。以上が、キャリア送信タイミングの決定にかかる手順である。
【0102】
[3.効果]
(1)本実施形態によれば、電力線搬送通信システム1は、電力を供給する交流電圧のゼロクロスを検出する位相検出部18に相当するゼロクロス検出部と、ゼロクロス検出部により検出されたゼロクロスに基づくタイミングにて、複数の伝送方式にて伝送信号を送信する送信部14、15、16と、ゼロクロス検出部により検出されたゼロクロスに基づくタイミングにて、複数の伝送方式にて送信された伝送信号を受信する受信部17、19、20と、交流電圧の所定の時刻からのゼロクロスの回数を計数するゼロクロス計数部と、を有する複数の伝送局6を備え、複数の伝送局のうち送信側の伝送局6mは、複数の伝送局のうち受信側の伝送局6a〜6nとの電力線搬送通信にかかる伝送方式の伝送パラメータを決定するので、送信側の伝送局6m、受信側の伝送局6a〜6n間の伝送パラメータを容易に決定することができ、通信品質を向上させることができる電力線搬送通信システムおよび電力線搬送通信方法を提供することができる。
【0103】
(2)本実施形態によれば、前記伝送パラメータは、電力線搬送通信にかかるキャリア周波数、キャリア振幅、交流電圧における一周期中の送信タイミングのうちの少なくとも一つであるので、送信側の伝送局6m、受信側の伝送局6a〜6n間の伝送パラメータを容易に決定することができ、通信品質を向上させることができる電力線搬送通信システムおよび電力線搬送通信方法を提供することができる。
【0104】
(3)本実施形態によれば、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nに対し、複数のキャリア周波数により第1の伝送信号を送信し、受信側の伝送局6a〜6nは、送信側の伝送局6mから複数のキャリア周波数により送信された前記第1の伝送信号を受信し、第1の応答信号により応答し、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nからの第1の応答信号に基づき、伝送パラメータの一つであるキャリア周波数を決定するので、容易に電力線搬送通信にかかる伝送方式の伝送パラメータの一つであるキャリア周波数を決定することができ、より通信品質の良好なキャリア周波数を選択することができる。
【0105】
(4)本実施形態によれば、受信側の伝送局6a〜6nは、複数のキャリア周波数の受信強度を第1の応答信号に含め応答するので、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nの受信可否のみならず受信強度を定量的に把握することができ、より通信品質の良好なキャリア周波数を選択することができる。
【0106】
(5)本実施形態によれば、第1の伝送信号は振幅変調方式で送信されるので、受信側の伝送局6a〜6nは、より確実に送信側の伝送局6mから送信された第1の伝送信号を受信することができる。
【0107】
(6)本実施形態によれば、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nに対し複数のキャリア振幅により第2の伝送信号を送信し、受信側の伝送局6a〜6nは、送信側の伝送局6mから複数のキャリア振幅により送信された第2の伝送信号を受信し、第2の応答信号により応答し、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nからの第2の応答信号に基づき、伝送パラメータの一つであるキャリア振幅を決定するので、容易に電力線搬送通信にかかる伝送方式の伝送パラメータの一つであるキャリア振幅を決定することができ、より通信品質の良好なキャリア振幅を選択することができる。
【0108】
(7)本実施形態によれば、受信側の伝送局6a〜6nは、複数のキャリア振幅の受信強度を第2の応答信号に含め応答するので、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nの受信可否のみならず受信強度を定量的に把握することができ、より通信品質の良好なキャリア振幅を選択することができる。
【0109】
(8)第2の応答信号に基づき、複数のキャリア振幅にて送信した第2の伝送信号より、受信可能振幅が小さいと判断した場合、送信側の伝送局6mは、送信した複数のキャリア振幅より小さい振幅であり理論下限値より大きい振幅に、キャリア振幅を決定するので、電力線搬送通信にかかる伝送信号の電力線間のクロストークを軽減することができる。また電力線に接続された機器に対し、ノイズ成分の少ない電力を供給することができ、機器の誤動作や故障発生の可能性を軽減することができる。
【0110】
(9)本実施形態によれば、第2の伝送信号は、位相変調方式または周波数変調方式で送信されるので、送信側の伝送局6m、受信側の伝送局6a〜6n間で行われる制御用の電力線搬送通信に近い条件で、伝送パラメータの一つであるキャリア振幅を決定することができる。
【0111】
(10)本実施形態によれば、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nに対し、電力を供給する交流電圧における一周期中の複数の送信タイミングにより第3の伝送信号を送信し、受信側の伝送局6a〜6nは、送信側の伝送局6mから複数の送信タイミングにより送信された第3の伝送信号を受信し、第3の応答信号により応答し、送信側の伝送局6mは、受信側の伝送局6a〜6nからの第3の応答信号に基づき、伝送パラメータの一つである交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定するので、容易に電力線搬送通信にかかる伝送方式の伝送パラメータの一つである交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定することができ、より通信品質の良好な送信タイミングを選択することができる。
【0112】
(11)本実施形態によれば、送信側の伝送局6mは、複数のシンボルごとに第3の伝送信号を送信し、受信側の伝送局6a〜6nは、複数のシンボルごとの受信強度を第3の応答信号に含め応答するので、送信側の伝送局6mは、シンボルごとに交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定することができ、より通信品質の良好な電力線搬送通信を行うことができる。
【0113】
(12)本実施形態によれば、受信側の伝送局6a〜6nは、電力を供給する交流電圧におけるノイズの振幅を観測し、交流電圧における一周期中のタイミングごとの、観測された前記ノイズの振幅を第3の応答信号に含め応答し、送信側の伝送局6mは、第3の応答信号によるノイズの振幅に基づき、伝送パラメータの一つである交流電圧における一周期中の送信タイミングを決定するので、ノイズの少ないタイミングで、より通信品質の良好な電力線搬送通信を行うことができる。
【0114】
(13)本実施形態によれば、受信側の伝送局6a〜6nからの応答信号に基づく情報は、送信側の伝送局6mに接続された制御装置3に、蓄積されて記憶されるので、受信側の伝送局6a〜6nの受信に関する情報を一括して管理することができる。これにより、受信側の伝送局6a〜6nの受信に関する情報の時間的な経過、複数の電力線搬送通信システムにおける受信側の伝送局6a〜6nの受信に関する情報を管理することができる。
【0115】
(14)本実施形態によれば、受信部17、19、20は、電力を供給する交流電圧のノイズの振幅より大きい入力信号を符号化する分解能を有するので新たな測定部を受信側の伝送局6a〜6nに設けずにノイズのレベルを観測することができる。
【0116】
[他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0117】
(1)上記実施形態では、電源装置2の電源が投入された時にキャリア周波数の決定、キャリア振幅の決定、キャリア送信タイミングの決定にかかる動作が行われるものとしたが、これらのパラメータ決定にかかる動作が行われるタイミングはこれに限られない。これらのパラメータ決定にかかる動作は一定周期にて行われるようにしてもよい。また、これらのパラメータ決定にかかる動作は作業者によりコマンドが入力されることにより実行されるようにしてもよい。
【0118】
(2)上記実施形態では、キャリア振幅の決定手順において、電力を供給する交流電圧の一周期中に、シンボルA、B、Cとも含まれるものとしたが、シンボルA、B、Cは、電力を供給する交流電圧の複数の周期中に含まれるものであってもよい。例えば、交流電圧の複数の周期を用いたシンボルAの伝送の後に、複数の周期を用いたシンボルB、Cの伝送が行われるようにしてもよい。
【0119】
(3)上記実施形態では、キャリア送信タイミングの決定手順において、親伝送局6mの制御部13は、8方位位相変調にかかる伝送速度は400bpsの高速変調にて、確認信号P1を送信するものとしたが、確認信号P1が送信される変調方式、伝送速度はこれに限られない。確認信号P1は、任意の変調速度、伝送速度により送信されてもよい。
【0120】
(4)上記実施形態では、キャリア送信タイミングの決定手順において、確認信号P1、P2、P3が上記のタイミングで送信されるものとしたが確認信号の数量および送信タイミングはこれに限られない。任意の数量の確認信号P1〜Pn、および交流電圧におけるゼロクロス点から任意の送信時間が選択され、確認信号として送信されるものであってもよい。
【0121】
(5)上記実施形態では、キャリア送信タイミングの決定手順において、キャリア送信タイミングは、子伝送局6a〜6nからの応答の有無、および子伝送局6a〜6nから返信された受信の正常異常を示す応答信号Q1a〜Q1nに基づき決定されるものとした。
【0122】
しかしながら、キャリア送信タイミングは、電力を供給する交流電圧における一周期中のノイズ量を含め、決定されるようにしてもよい。例えば、子伝送局6a〜6nの受信部である信号受信部17、復調処理部19、受信データ作成部20により交流電圧における一周期中のノイズ量の測定を行うようにする。
【0123】
測定されたノイズ量は、子伝送局6a〜6nにより応答信号Q1a〜Q1nに含め返信される。親伝送局6mの制御部13は、上記のステップS32において応答信号Q1a〜Q1nを受信し、
図16に示す子伝送局6a〜6nにて測定されたノイズ量の平均値を算出する。
【0124】
その後、親伝送局6mの制御部13は、
図16に示すノイズ量の平均値に基づき、
図17に示す通信タイミングテーブルを作成する。
図17に示す通信タイミングテーブルは、子伝送局6a〜6nごとの交流電圧における一周期中の良好なキャリア送信タイミングを示す。
図17に示す新たな通信良否テーブルに基づき、子伝送局6a〜6nごとにキャリア送信タイミングを決定するようにしてもよい。
【0125】
(6)上記実施形態では、親伝送局6mによりキャリア周波数の決定、キャリア振幅の決定、キャリア送信タイミングの決定が実行されるものとしたが、子伝送局6a〜6nによりキャリア周波数の決定、キャリア振幅の決定、キャリア送信タイミングの決定が実行されるものであってもよい。