(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の端末及び前記第2の端末は、それぞれ、前記作業装置又は前記制御装置の操作を実行可能な状態が確立されているときに、前記作業装置又は前記制御装置に関する予め規定される複数の操作内容のうち、少なくとも一つの操作内容を実行可能であり、且つ、互いに異なる操作内容を実行可能である、
請求項1に記載の射出成形機。
前記複数の操作内容は、前記作業装置に前記作業を実行させる操作、前記作業装置の成形条件を変更する操作、前記成形条件のデータを前記制御装置に送信する操作、前記作業装置の成形条件を参照する操作、前記作業装置の稼働情報を参照する操作、前記作業装置に作業を実行させるソフトウェアを設定する操作、前記ソフトウェアのデータを前記制御装置に送信する操作、及び、設定された前記ソフトウェアのデータを参照する操作を含む、
請求項2に記載の射出成形機。
前記第1の端末は、ネットワークを経由せず、前記制御装置と通信可能に直接接続される、又は、前記所定のネットワークが前記制御装置が属するローカルネットワークの外部ネットワークである場合に、当該ローカルネットワークを経由して、前記制御装置と通信可能に接続される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の射出成形機。
前記制御装置は、当該端末から入力された前記所定の情報が、前記所定のネットワークを通じて接続されていることを表す場合、当該端末による前記作業装置又は前記制御装置の操作を実行可能な状態が確立されているときに、当該端末から前記作業装置に前記作業を実行させる又は実行させうる操作入力があっても、前記作業装置に前記作業を実行させない、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の射出成形機。
前記制御装置は、当該端末から入力された前記所定の情報が、前記所定のネットワークを通じて接続されていることを表す場合、当該端末に対して、全ての操作内容のうちの当該端末による前記作業装置又は前記制御装置の操作を実行可能な状態が確立されているときに操作可能な内容のみ、又は、当該端末による前記作業装置又は前記制御装置の操作を実行可能な状態が確立されているときに操作不可能な内容だけを通知する、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の射出成形機。
前記制御装置は、前記第2の端末による前記作業装置又は前記制御装置の操作を実行可能な状態が確立されているときに、前記第2の端末からの操作入力の場合、前記第2の端末を利用しているユーザに応じて、又は、前記第2の端末と前記制御装置との間のネットワーク経由状況に応じて、操作可能な内容を変更する、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の射出成形機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
[射出成形機の本体]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る射出成形機1の本体2について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る射出成形機1の本体2の構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、射出成形機1の本体2は、作業装置3、コントローラ70、表示装置80を含む。以下、充填時のスクリュ20の移動方向(
図1中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ20の移動方向(
図1中右方向)を後方として説明する。
【0014】
作業装置3は、成形材料から成形品を生成する作業(即ち、後述する充填工程、保圧工程、計量工程等の一連の工程)を行う。以下、充填工程、保圧工程、計量工程等の一連の工程を含む成形材料から成形品を生成する作業を単に「作業」と称する。作業装置3は、加熱シリンダ10、スクリュ20、計量モータ52、射出モータ54、圧力検出器56、材料供給装置60を含む。
【0015】
加熱シリンダ10は、供給口12から供給された成形材料を加熱する。供給口12は、加熱シリンダ10の後部に形成される。加熱シリンダ10の外周には、ヒータ等の加熱源が設けられる。加熱シリンダ10の前端にはノズル14が設けられる。
【0016】
スクリュ20は、加熱シリンダ10内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ20は、主に、スクリュ本体21、及びスクリュ本体21より前方に配設された射出部22で構成される。スクリュ本体21は、フライト部23、及びフライト部23の前端に配設された圧力部24を備える。
【0017】
フライト部23は、棒状の本体部23a、及び該本体部23aの外周面に突出させて形成された螺旋状のフライト23bを備え、該フライト23bに沿って螺旋状の溝26が形成される。フライト部23の後端から前端にかけて、溝26の深さは一定であってよく、スクリュ圧縮比が一定であってよい。
【0018】
圧力部24は、棒状の本体部23aよりも外径が大きい円柱部で構成されてよい。また、本体部23aと円柱部との間には、本体部23aから該円柱部にかけて外径が徐々に大きくなる円錐台状の傾斜部(不図示)が設けられてもよく、傾斜部及び円柱部で圧力部24が構成されてもよい。
【0019】
尚、圧力部24を配設することなく、スクリュ本体21の全体にわたってフライト部を形成してもよい。また、スクリュ本体21は、後端から前端にかけて、供給部、圧縮部、及び計量部として区別されてもよい。この場合、螺旋状の溝の深さは、供給部で深く、計量部で浅く、圧縮部において前方に向かうほど浅い。
【0020】
射出部22は、先端に円錐形の部位を備えたヘッド部31、該ヘッド部31の後方に隣接する態様で形成されたロッド部32、該ロッド部32の周囲に配設された逆止リング33、及び圧力部24の前端に取り付けられたシールリング(チェックリング)34を含む。
【0021】
計量モータ52は、スクリュ20を回転させる。計量モータ52は、エンコーダ52aを有してよい。エンコーダ52aは、計量モータ52の出力軸の回転数を検出することにより、スクリュ20の回転数を検出し、回転数を示す信号をコントローラ70に出力する。コントローラ70は、計量工程において、スクリュ20の回転数が設定値になるように、計量モータ52をフィードバック制御する。
【0022】
射出モータ54は、スクリュ20を進退させる。スクリュ20と射出モータ54との間には、射出モータ54の回転運動をスクリュ20の直線運動に変換する運動変換部が設けられる。射出モータ54は、エンコーダ54aを有してよい。エンコーダ54aは、射出モータ54の出力軸の回転数を検出することにより、スクリュ20の前進速度を検出し、スクリュ20の前進速度を示す信号をコントローラ70に出力する。コントローラ70は、充填工程において、スクリュ20の前進速度が設定値になるように、射出モータ54をフィードバック制御する。
【0023】
圧力検出器56は、例えば、射出モータ54とスクリュ20との間に配設され、圧力検出器56に作用する圧力を検出する。かかる圧力は、スクリュ20の背圧やスクリュ20が押す成形材料の圧力を示す。圧力検出器56は、圧力検出器56に作用する圧力を示す信号をコントローラ70に出力する。コントローラ70は、保圧工程において、スクリュ20が押す成形材料の圧力が設定値になるように射出モータ54をフィードバック制御する。また、コントローラ70は、計量工程において、スクリュ20の背圧が設定値になるように、射出モータ54をフィードバック制御する。
【0024】
充填工程では、射出モータ54を駆動してスクリュ20を前進させ、スクリュ20の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置内に充填させる。スクリュ20の前進速度の設定値は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更されてもよい。スクリュ20が所定位置(所謂V/P切換位置)まで前進すると、保圧工程が開始される。
【0025】
尚、充填工程開始からの経過時間が所定時間に達すると、保圧工程が開始されてもよい。
【0026】
保圧工程では、射出モータ54を駆動してスクリュ20を前方に押し、金型装置内の成形材料に圧力をかける。これにより、不足分の成形材料が補充できる。成形材料の圧力の設定値は、一定でもよいし、経過時間等に応じて段階的に変更されてもよい。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0027】
計量工程では、計量モータ52を駆動してスクリュ20を回転させ、スクリュ20の螺旋状の溝26に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ20の前方に送られ加熱シリンダ10の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ20が後退させられる。スクリュ20の回転数の設定値は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更されてもよい。
【0028】
計量工程では、スクリュ20の急激な後退を制限すべく、射出モータ54を駆動してスクリュ20に対して背圧を加えてよい。背圧が設定値になるように射出モータ54が駆動される。スクリュ20が所定位置まで後退し、スクリュ20の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が終了する。
【0029】
尚、本実施形態の射出装置は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式でもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。また、可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
【0030】
材料供給装置60は、設定された供給速度で加熱シリンダ10の供給口12に成形材料を供給する。材料供給装置60は、ホッパ61、フィードシリンダ63、筒状の案内部65、フィードスクリュ67、及びフィードモータ69等を備える。
【0031】
尚、材料供給装置60は、供給速度を変更可能であれば、任意の構成であってよく、例えば、フィードスクリュ67の代わりに、真空ローダを含んでもよい。
【0032】
フィードシリンダ63は、ホッパ61の下端から水平に延び、ホッパ61内から供給される成形材料を収容する。
【0033】
尚、フィードシリンダ63は、必ずしも水平方向に延在する必要はなく、例えば、水平方向に対して斜めに延在してもよく、出口側が入口側よりも高くてもよい。
【0034】
フィードスクリュ67は、フィードシリンダ63内に回転自在に配設される。
【0035】
フィードモータ69は、フィードスクリュ67を回転させる。フィードモータ69は、エンコーダ69aを有してよい。エンコーダ69aは、フィードモータ69の出力軸の回転数、即ち、フィードスクリュ67の回転数を検出し、かかる回転数を示す信号をコントローラ70に出力する。コントローラ70は、計量工程において、フィードスクリュ67の回転数が設定値になるように、フィードモータ69をフィードバック制御する。
【0036】
フィードモータ69は、フィードスクリュ67を回転させることにより、フィードスクリュ67の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。成形材料は、フィードシリンダ63の前端から案内部65へ送られ、案内部65内を落下し、加熱シリンダ10の供給口12に供給される。
【0037】
計量工程では、フィードモータ69を駆動してフィードスクリュ67を回転させ、加熱シリンダ10の供給口12に成形材料を供給する。その供給速度はフィードスクリュ67の回転数に比例する。フィードスクリュ67の回転数の設定値は、スクリュ20の回転数の設定値と同様に、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更されてもよい。
【0038】
フィードスクリュ67とスクリュ20とは、同期して回転されてよく、同時に回転開始され、同時に回転終了されてよい。成形材料は、供給口12で滞留することなく、スクリュ20の回転によって前方に送られる。スクリュ20の溝26内における成形材料の充填状態は、密の状態ではなく、疎の状態(飢餓状態)とされる。
【0039】
尚、フィードスクリュ67は、スクリュ20よりも早く回転開始され、早く回転終了されてもよい。その時間差は、例えば、案内部65内における成形材料の落下時間であってよい。
【0040】
コントローラ70(制御装置の一例)は、メモリ等の記憶部72、CPU(Central Processing Unit)74、タイマー76等を有し、記憶部72に記憶される各種プログラムをCPU74に実行させることにより、作業装置3の各種動作を制御する。具体的には、コントローラ70は、表示装置80や、後述するPC100からの操作入力に応じて、各種成形条件(例えば、上述した各種設定値等)を設定したり、作業装置3に成形材料から成形品を生成する作業(上述した各工程)を実行させたり等をする。コントローラ70の機能の詳細は、後述する。
【0041】
表示装置80は、コントローラ70による制御下で各種画面(操作画面)を表示する。表示装置80は、操作入力を受け付ける操作部(不図示)と、各種画面を表示する表示部(不図示)を含む。表示装置80は、操作部と表示部を一体に有してよく、例えば、タッチパネル型のディスプレイであってよい。ユーザは、表示装置80の操作部に対する操作入力を行うことにより、コントローラ70或いは作業装置3を操作することができる。具体的には、ユーザは、コントローラ70を介して、作業装置3の動作に関する操作を行うことができる。「作業装置3の動作に関する操作」には、作業装置3に作業を実行させる操作(第1の操作)、作業装置3の成形条件を変更する操作(第2の操作)、作業装置3の成形条件を参照する操作(第3の操作)、作業装置3の動作履歴データ(例えば、エンコーダ52a,54a,69a等の各種センサの検出値、停止履歴、及び成形条件の変更履歴等)を含む作業装置3の稼働情報を参照する操作(第4の操作)等が含まれうる。また、「作業装置3の動作に関する操作」には、作業装置3に作業を実行させるソフトウェア(プログラム)等のデータを設定(インストール)したり、変更(アップデート)したり等する操作(第5の操作)、当該ソフトウェア(プログラム)のデータを参照する操作(第6の操作)等が含まれうる。また、第1の操作(作業装置3に作業を実行させる操作)は、作業装置3の成形材料から成形品を生成する全行程のうちの少なくとも一部の作業を実行させるものであってよい。
【0042】
尚、「第1の操作」は、作業装置3を動作させるための操作であるため、作業装置3の操作に該当する。また、「第2の操作」〜「第6の操作」は、コントローラ70の内部メモリ等に格納される、作業装置3の動作に関連するデータの参照(具体的には、参照データの開示)やプログラム等の変更を要求する操作であるため、コントローラ70の操作に該当する。また、作業装置3の操作は、コントローラ70を介さず、表示装置80の操作部や後述するPC100等から直接的に作業装置3に送信される指令に基づき実行可能であってもよい。また、表示装置80の操作部或いは後述するPC100等から実行可能な操作には、他の操作、例えば、コントローラ70や作業装置3に対する各種データ(例えば、追加機能に関連する新たなプログラム、既にインストールされるソフトウェアのアップデートプログラム、及び成形条件の設定値やプログラム内の条件値等の変更用のパラメータ等を含む更新情報に関するデータ)の送信が含まれてよい。また、「第5の操作」は、ソフトウェアのデータ書き換え操作であるため、書き換え内容に依っては、作業装置3に作業を実行させることも可能である。そのため、「第5の操作」は、作業装置3に作業を実行させうる操作の一例である。
【0043】
[射出成形機の操作系]
次に、
図2を参照して、射出成形機1の操作系の構成について説明する。
【0044】
図2は、本実施形態に係る射出成形機1の操作系の構成の一例を示す図である。
【0045】
図2に示すように、射出成形機1は、本体2(作業装置3、コントローラ70、表示装置80)に加えて、PC(Personal Computer)100,PC200を含む。
【0046】
尚、射出成形機1は、本体2、PC100、及びPC200のうちの本体2だけを含む構成とし、射出成形機1(本体2)、及びPC100,PC200は、射出成形機1(本体2)を操作するための操作システムとして構成されてもよい。
【0047】
PC100(第1の端末の一例)は、本体2と別に設けられ、コントローラ70と1対1で、即ち、直接接続される。PC100は、表示装置80の操作部を用いる場合と同様、作業装置3の動作に関する操作を行うことができる。例えば、PC100には、所定のOS(Operating System)がインストールされると共に、当該OS上で動作する操作用アプリケーションがインストールされ、当該操作用アプリケーションを通じて、コントローラ70に対する操作入力を含む各種要求(コマンド)を出力することができる。PC100を利用するユーザは、PC100の起動時にディスプレイに表示されるログイン画面で、各ユーザに固有のユーザID(Identifier)と、該ユーザIDと紐付けられるパスワードを入力し、認証を受けることにより、PC100にログインすることができる。そして、当該ユーザは、操作用アプリケーションを起動することより、操作用アプリケーションを通じて、コントローラ70に各種コマンドを出力することができる。以下、「コマンド」は、作業装置3に関する操作に対応する要求である前提で説明を行う。
【0048】
尚、本実施形態において、PC100から実行可能な操作は、上述した第1の操作〜第6の操作のうち、第3の操作〜第6の操作である。また、PC100とコントローラ70との接続態様は、有線接続であっても、無線接続であってもよい。また、PC100は、工場内に設置されるローカルネットワーク、例えば、イーサネットプロトコル(イーサネットは、登録商標)に基づくLAN(Local Area Network)を介して、本体2(具体的には、コントローラ70)と通信可能に接続されてもよい。また、PC100は、例えば、タブレット端末、或いは、本体2に対して脱着可能なパネル型の端末等の携帯端末に置換されてもよい。この場合、パネル型の端末は、例えば、上述した表示装置80を一体として含む態様であってよい。
【0049】
PC200は、通信ネットワーク150(所定のネットワークの一例であり、例えば、インターネットを利用するVPN(Virtual Personal Network:仮想プライベートネットワーク)等を通じて、PC100と通信可能に接続され、PC100を遠隔操作することができる。例えば、PC200には、所定のOSがインストールされると共に、当該OS上で動作しPC100を遠隔操作可能なアプリケーション(例えば、リモートデスクトップ機能等)が予めインストールされる。PC200を利用するユーザは、当該アプリケーションを用いて、PC100を遠隔操作してよい。具体的には、PC200を利用するユーザは、当該アプリケーションを起動すると共に、各ユーザに固有のユーザIDと、該ユーザIDと紐付けられるパスワードを入力し、認証を受けることにより、PC100に接続し遠隔操作を行うことができる。これにより、PC200を利用するユーザは、PC100を介して、作業装置3の動作に関する操作を行うことができる。即ち、PC200のユーザは、PC100を遠隔操作することにより、操作用アプリケーションを起動し、コントローラ70に対して、コマンドを出力させることができる。以下、PC100からコントローラ70に入力されるコマンド等の各種入力が、PC100を直接利用して行われたのか、PC200を通じてPC100を間接的に利用して行なわれたかを区別せずに説明を行う。
【0050】
尚、PC200は、PC100と同様、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末であってもよい。
【0051】
コントローラ70は、PC100から入力されるコマンドに応じて、作業装置3を含む本体2の制御を行う。コントローラ70は、内部のROM(Read Only Memory)等のメモリ(例えば、記憶部72)に格納されるプログラムをCPUで実行することにより実現される機能部として、送受信制御部702、コマンド制御部704、ユーザ管理部705を含む。
【0052】
送受信制御部702は、PC100と、コマンド制御部704及びユーザ管理部705との間のやり取りを制御する。送受信制御部702の具体的な動作については、後述する。
【0053】
コマンド制御部704は、表示装置80から入力される第1の操作に対応するコマンドに応じて、作業装置3(具体的には、作業装置3に含まれる計量モータ52、射出モータ54、フィードモータ69等のハードウェア)に作業を実行させる各種指令を出力する。例えば、コマンド制御部704は、上述した計量モータ52、射出モータ54、フィードモータ69のフィードバック制御に対応する制御指令を生成する。また、コマンド制御部704は、表示装置80から入力される第2の操作に対応するコマンドに応じて、成形条件の設定を変更する。また、コマンド制御部704は、表示装置80或いはPC100から入力される第3の操作に対応するコマンドに応じて、成形条件の設定状態を示す参照データを生成し、送受信制御部702を通じて、表示装置80或いはPC100に開示する。また、コマンド制御部704は、作業装置3の動作履歴データを蓄積すると共に、表示装置80或いはPC100から入力される第4の操作に応じて、作業装置3の動作履歴データ(参照データ)を生成し、送受信制御部702を通じて、表示装置80或いはPC100に開示する。また、コマンド制御部704は、PC100から入力される第5の操作に対応するコマンドに応じて、作業装置3に作業を実行させるソフトウェア(プログラムデータ)の変更(書き換え)を行う。また、コマンド制御部704は、PC100から入力される第6の操作に対応するコマンドに応じて、作業装置3に作業を実行されるソフトウェア(プログラムデータ)の参照データを生成し、送受信制御部702を通じて、PC100に開示する。
【0054】
ユーザ管理部705は、PC100或いはPC200を利用して作業装置3の動作に関する操作を行う各ユーザに関する情報、即ち、ユーザ情報(識別情報の一例)を管理する。ユーザ管理部705は、ユーザ情報DB7051を有し、ユーザ情報は、ユーザ情報DB7051に予め登録される。後述の如く、コントローラ70(送受信制御部702)は、PC100から入力されるユーザ情報(ユーザID及びパスワード)と、ユーザ情報DB7051に登録されたユーザ情報(ユーザID及びパスワード)を照合し、ユーザ認証を行う。以下、
図3を参照して、ユーザ情報DB7051に登録されたユーザ情報(以下、「登録ユーザ情報」と称する)について説明する。
【0055】
図3は、登録ユーザ情報の一例を示す図である。以下、PC100を利用するユーザをローカルユーザ(第1のユーザの一例)と称し、PC200を利用するユーザをリモートユーザ(第2のユーザの一例)と称する。
【0056】
図3に示すように、登録ユーザ情報には、各ユーザに固有のユーザID、ユーザ属性(属性情報の一例)、パスワード、パスワードの有効期限が含まれる。
【0057】
ユーザIDは、例えば、所定のアルゴリズムで生成された或いはユーザから入力された文字列等により規定される。ユーザIDは、PC100を利用するため(即ち、PC100にログインするため)に入力するユーザIDと同じものであっても、異なるものであってもよい。以下、PC100を利用するためのユーザIDと同じである前提で説明を行う。
【0058】
ユーザ属性は、ユーザがローカルユーザであるかリモートユーザであるかの区別を表す。
【0059】
尚、ユーザ属性は、ユーザがローカルユーザであるかリモートユーザであるかの区別以外の内容を含んでもよい。例えば、ユーザ属性は、会社や組織の職位や職能の区別(クラス分け)等の情報を含んでもよい。具体的には、ユーザ属性は、経験値が高い作業者を表す"エキスパート"と、経験値の低い作業者を表す"初心者"を含んでよい。そして、後述するパスワード、パスワードの期限、許可コマンド、及び拒否コマンドの設定は、"初心者"のユーザが"エキスパート"のユーザよりも作業装置3の動作に関する操作が制限されるように設定されてよい。
【0060】
パスワードは、PC100から作業装置3の動作に関する操作を可能にするための認証用であり、ユーザIDと対応づけられる。本例では、ユーザ属性がローカルユーザである旨を表す"ローカル"の場合、パスワード、及びその有効期限は設定されない。一方、ユーザがリモートユーザである旨を表す"リモート"である場合、パスワード、及びその有効期限が設定される。即ち、リモートユーザは、ローカルユーザよりもユーザ認証を受けにくくなるように、換言すれば、作業装置3の動作に関する操作が制限されるように、パスワード及びその有効期限が設定されている。これにより、本体2を視認できない環境でPC200を利用するユーザが、作業装置3の動作に関する操作、特に、作業装置3に作業を実行させうる操作(第5の操作)を容易に行うことが可能な状況を抑制できる。
【0061】
尚、リモートユーザがローカルユーザよりもユーザ認証を受けにくくなる態様であれば、任意にパスワード及びパスワードの有効期限は設定されてよい。例えば、ローカルユーザにも有効期限がない或いは有効期限がリモートユーザよりも後であるパスワードが設定されてもよい。また、例えば、ローカルユーザにはパスワードの設定がなく、リモートユーザには、有効期限がないパスワードが設定される態様であってもよい。
【0062】
また、ユーザ情報には、作業装置3の動作に関する操作に対応するコマンドのうちの実行を許可するコマンド(許可コマンド)と、実行を拒否する(許可しない)コマンド(拒否コマンド)が含まれる。許可コマンド及び拒否コマンドは、ユーザ属性と紐づけられる態様で予め規定される。即ち、ユーザ属性が"リモート"であるか"ローカル"であるかにより、予め規定される対応関係に基づき、自動的に、許可コマンドと拒否コマンドが設定、登録される。具体的には、
図3に示すように、ユーザ属性が"ローカル"である場合、全てのコマンド(第3〜第6の操作に対応するコマンド)が許可コマンドであり、拒否コマンドはない。一方、ユーザ属性が"リモート"である場合、全てのコマンドのうち、データ参照コマンド(第3の操作に対応するコマンド)、ログ参照コマンド(第4の操作に対応するコマンド)、及びプログラムデータ参照コマンド(第6の操作に対応するコマンド)は、許可コマンドであるが、プログラムデータ変更コマンド(第5の操作に対応するコマンド)は、拒否コマンドである。即ち、リモートユーザは、作業装置3の動作に関するデータを参照することはできるが、作業装置3に作業を実行させるプログラムデータを変更することができない。これにより、本体2を視認できない環境でPC200を利用するユーザが、作業装置3の動作に関する操作のうち、作業装置3に作業を実行させうる操作(第5の操作)をできないようにすることができる。一方、リモートユーザであっても、作業装置3の動作に関するデータを参照するための操作(第3の操作、第4の操作及び第6の操作)は、許可される。そのため、作業装置3の動作に関するデータを参照して、遠隔地から通信ネットワーク150を経由して本体2の保守・点検等のメンテナンスを行うことができる。また、各ユーザ(ユーザID)に対応づけられる許可コマンド及び拒否コマンドは、ユーザ属性(ローカルユーザであるかリモートユーザであるかの別)に対して予め規定される対応関係に基づき、自動的に設定、登録される。従って、ユーザ情報DB7051にユーザ情報を登録する際に、許可コマンド及び拒否コマンドを手動で入力する必要がないため、許可コマンド及び拒否コマンドが書き換えられる可能性を抑制し、書き換えにより、リモートユーザが作業装置3に作業を実行させることが可能になるような状況を抑制できる。
【0063】
尚、本実施形態では、上述の如く、ユーザは、PC100から本体2(コントローラ70)に対して、第1の操作及び第2の操作を行うことができないが、PC100から第1操作及び第2の操作を行うことが可能な態様であってもよい。この場合、ユーザ属性が"ローカル"の場合、第1の操作及び第2の操作に対応するコマンドが許可コマンドに設定され、ユーザ属性が"リモート"の場合、第1の操作及び第2の操作に対応するコマンドが拒否コマンドに設定されるようにするとよい。これにより、本体2を視認できない環境でPC200を利用するユーザが、作業装置3の動作に関する操作のうち、作業装置3に作業を実行させる操作(第1の操作)や作業装置3が作業を行う際の成形条件の変更を行う操作(第2の操作)をできないようにすることができる。
【0064】
コントローラ70(送受信制御部702)は、ユーザ管理部705が管理する登録ユーザ情報に基づき、作業装置3を制御する。以下、コントローラ70(送受信制御部702)を中心とする射出成形機1における操作系に関する処理動作について説明する。
【0065】
[射出成形機1における各種処理動作]
次に、
図4〜
図12を参照して、コントローラ70(送受信制御部702)を中心とする射出成形機1の操作系に関する処理動作について説明する。
【0066】
最初に、
図4〜
図6を参照して、ユーザ認証に関連する射出成形機1における処理動作について説明する。
【0067】
図4は、コントローラ70(送受信制御部702)によるユーザ認証処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、PC100から接続要求が入力されると実行される。
【0068】
尚、PC100は、例えば、操作用アプリケーションがユーザにより起動されると、コントローラ70に接続要求を出力する。
【0069】
ステップS102にて、送受信制御部702は、PC100に対して、ユーザから入力されたユーザ情報(ユーザID及びパスワード。以下、ログインユーザ情報と称する)を要求する旨の信号(ログインユーザ情報要求)を送信する。
【0070】
ステップS104にて、送受信制御部702は、PC100からログインユーザ情報を受信したか否かを判定する。送受信制御部702は、PC100からログインユーザ情報を受信した場合、ステップS106に進み、何等かの理由(例えば、通信異常やPC100の操作用アプリケーションの異常等)により、ログインユーザ情報を受信していない場合、今回の処理を終了する。
【0071】
尚、送受信制御部702は、ログインユーザ情報を受信していない場合、再度、ログインユーザ情報要求を送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよい。
【0072】
ステップS106にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705に対して、ログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報(具体的には、パスワード及びパスワードの有効期限)を要求する信号(パスワード要求)を送信する。即ち、送受信制御部702は、ユーザ管理部705に対して、ログインユーザ情報のユーザIDを含むパスワード要求を送信する。
【0073】
ステップS108にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があったか否かを判定する。送受信制御部702は、応答があった場合、ステップS110に進み、何等かの理由で応答がなかった場合、今回の処理を終了する。
【0074】
尚、ユーザ管理部705は、パスワード要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDがユーザ情報DB7051に既に登録されている場合、当該ユーザIDに対応するパスワード及びその有効期限を含む応答を行い、登録されていない場合、登録されていない旨の応答を行う。また、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答がない場合、再度、パスワード要求を送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよい。
【0075】
ステップS110にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705からの応答の内容に基づき、ログインユーザ情報のユーザIDが登録済みであるか否かを判定する。送受信制御部702は、ログインユーザ情報のユーザIDが登録済である場合、ステップS112に進み、登録されていない場合、ステップS118に進む。
【0076】
ステップS112にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705からの応答の内容に基づき、ログインユーザ情報のパスワードが有効であるか否かを判定する。即ち、送受信制御部702は、ログインユーザ情報のパスワードと、ユーザ管理部705からの応答に含まれるパスワード(登録ユーザ情報のパスワード)を照合し、一致するか否かを判定する。送受信制御部702は、ログインユーザ情報のパスワードが有効である場合、ステップS114に進み、有効でない場合、ステップS118に進む。
【0077】
ステップS114にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705からの応答の内容に基づき、パスワードの有効期限内であるか否か(即ち、パスワードの有効期限を過ぎているか否か)を判定する。送受信制御部702は、パスワードの有効期限内である(有効期限を過ぎていない)場合、ステップS116に進み、パスワードの有効期限内でない(有効期限を過ぎている)場合、ステップS118に進む。
【0078】
尚、送受信制御部702は、例えば、コントローラ70に内蔵される時計(不図示)に基づき、パスワードの有効期限内であるか否かを判定してよい。
【0079】
ステップS116にて、送受信制御部702は、認証成功と判断し、PC100からコントローラ70への接続、即ち、PC100からコントローラ70へのコマンドの入力を許可し、接続を許可する旨の通知(接続許可通知)をPC100に送信する。
【0080】
一方、ステップS118にて、送受信制御部702は、認証失敗と判断し、PC100からコントローラ70への接続を拒否し、接続を拒否する旨の通知(接続拒否通知)をPC100に送信する。
【0081】
図5は、
図4に示すコントローラ70(送受信制御部702)によるユーザ認証処理を含む射出成形機1の一連の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0082】
図5を参照するに、PC100は、接続要求をコントローラ70に送信する(ステップS510)。
【0083】
送受信制御部702は、コントローラ70の所定のインターフェースを通じて、PC100からの接続要求を受信すると、ログインユーザ情報要求をPC100に送信する処理を行う(ステップS520)。
【0084】
尚、ステップS520は、
図4のステップS102に相当する。
【0085】
PC100は、コントローラ70(送受信制御部702)からログイン情報要求を受信すると、ログインユーザ情報(ユーザID及びパスワード)を含む応答信号(ログインユーザ情報応答)をコントローラ70に送信する(ステップS530)。
【0086】
送受信制御部702は、PC100からのログインユーザ情報応答を受信すると、ログインユーザ情報のユーザIDを含むパスワード要求をユーザ管理部705に送信する(ステップS540)。
【0087】
尚、ステップS540の処理は、
図4のステップS104〜S106の処理に相当する。
【0088】
ユーザ管理部705は、送受信制御部702からパスワード要求を受け付けると、パスワード要求に含まれるユーザIDの登録状況をユーザ情報DB7051で検索する。そして、ユーザ管理部705は、登録されている場合、当該ユーザIDに対応するパスワード及びその有効期限を含む応答信号(パスワード応答)を送受信制御部702に送信する(ステップS550)。
【0089】
尚、ユーザ管理部705は、ユーザ情報DB7051に当該ユーザIDが登録されていない場合、送受信制御部702に対して、登録されていない旨の応答を行う。
【0090】
送受信制御部702は、ユーザ管理部705からパスワード応答を受け付けると、パスワード応答の内容に基づき、接続の許否判定を行う(ステップS560)。具体的には、送受信制御部702は、上述した
図4のステップS110〜S114に示す処理を行うことにより、接続の許否判定を行う。
【0091】
送受信制御部702は、接続を許可する判定をすると、PC100に対して、接続許可通知を送信する(ステップS570)。
【0092】
尚、ステップS570の処理は、
図4のステップS116の処理に相当する。また、送受信制御部702は、上述の如く、接続を拒否する判定をすると、PC100に対して、接続拒否通知を送信する。
【0093】
本例(
図4、
図5)では、送受信制御部702が、PC100からの接続要求を受け付けてからログインユーザ情報(ユーザID及びパスワード)をPC100に要求するが、接続要求にログインユーザ情報を含めてもよい。以下、
図6を参照して、当該他の例について説明する。
【0094】
図6は、コントローラ70(送受信制御部702)によるユーザ認証処理を含む射出成形機1の一連の処理動作の他の例を示すシーケンス図である。
【0095】
図6を参照するに、PC100は、ログインユーザ情報(ユーザID及びパスワード)を含む接続要求をコントローラ70に送信する(ステップS610)。
【0096】
送受信制御部702は、PC100から接続要求を受信すると、接続要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDを含むパスワード要求をユーザ管理部705に送信する(ステップS620)。
【0097】
尚、ステップS620の処理は、
図4のステップS106の処理に相当し、本例の場合、
図4のステップS102,104の処理は、省略される。
【0098】
ステップS630〜S650の処理は、
図5のステップS550〜S570の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
このように、本実施形態では、本体2のコントローラ70のユーザ管理部705がPC100,200を利用して作業装置3の動作に関する操作を行うユーザの登録ユーザ情報を管理する。そして、本体2のコントローラ70(送受信制御部702)は、ユーザ管理部705が管理する(即ち、ユーザ情報DB7051に登録される)登録ユーザ情報と、PC100から入力されるログインユーザ情報に基づき、ユーザ認証(即ち、PC100からコントローラ70への接続の許否判定)を行う。従って、PC200から通信ネットワーク150経由で不正にPC100を操作できたとしても、本体2側、具体的には、本体2のコントローラ70がユーザ認証を行うため、通信ネットワーク150経由で作業装置3を容易に作動できないようにすることができる。
【0100】
また、上述の如く、ユーザ管理部705は、リモートユーザとローカルユーザを識別可能な態様、具体的には、登録ユーザ情報にリモートユーザとローカルユーザの別を表すユーザ属性を含む態様で、登録ユーザ情報を管理する。従って、ユーザ管理部705は、PC200を利用するリモートユーザが、PC100を利用するローカルユーザよりもコントローラ70に接続しにくい状況にすることができる。具体的には、ユーザ管理部705は、上述の如く、リモートユーザには、ローカルユーザには設定されないパスワードを設けたり、ローカルユーザよりも早く過ぎるパスワードの有効期限を設けたり等をする。これにより、本体2を視認できない環境でPC200を利用するユーザが、作業装置3の動作に関する操作、特に、作業装置3に作業を実行させる操作(第1の操作)や作業装置3に作業を実行させうる操作(第5の操作)を容易に行うことが可能な状況を抑制できる。
【0101】
続いて、
図7、
図8を参照して、PC100からコントローラ70に入力されるコマンドに関連する処理動作について説明する。
【0102】
図7は、コントローラ70(送受信制御部702)によるコマンド処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、
図4のフローチャートの処理により接続が許可されたPC100からコマンドが入力されると実行される。
【0103】
ステップS202にて、送受信制御部702は、登録ユーザ情報を要求する信号(登録ユーザ情報要求)、具体的には、ログインユーザ情報のユーザIDを含む登録ユーザ情報要求をユーザ管理部705に送信する。
【0104】
ステップS204にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があったか否かを判定する。送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があった場合、ステップS206に進み、何等かの理由で応答がない場合、今回の処理を終了する。
【0105】
尚、ユーザ管理部705は、送受信制御部702から登録ユーザ情報要求を受け付けると、登録ユーザ情報要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報を含む応答信号(登録ユーザ情報応答)を送受信制御部702に送信する。また、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答がない場合、再度、登録ユーザ情報要求を送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよい。
【0106】
ステップS206にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705からの応答の内容、即ち、登録ユーザ情報応答に含まれる登録ユーザ情報に基づき、PC100からのコマンドが許可コマンドであるか否かを判定する。送受信制御部702は、PC100からのコマンドが許可コマンドである場合、ステップS208に進み、許可コマンドでない(即ち、拒否コマンドである)場合、ステップS214に進む。
【0107】
ステップS208にて、送受信制御部702は、コマンド実行を許可し、コマンド制御部704に対して、コマンドの実行要求を送信する。
【0108】
ステップS210にて、送受信制御部702は、コマンド制御部704からコマンドの実行応答があったか否かを判定する。送受信制御部702は、コマンド制御部704からコマンドの実行応答があった場合、ステップS212に進み、何等かの理由で応答がなかった場合、今回の処理を終了する。
【0109】
尚、送受信制御部702は、コマンド制御部704からコマンドの実行応答がなかった場合、再度、コマンドの実行要求をコマンド制御部704に送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよい。
【0110】
ステップS212にて、送受信制御部702は、コマンド実行の通知(コマンド実行通知)をPC100に送信し、今回の処理を終了する。
【0111】
一方、ステップS206にて、PC100からのコマンドが拒否コマンドであると判定されると、ステップS214にて、送受信制御部702は、コマンドの実行を拒否し、PC100に対して、コマンド実行の拒否通知を送信する。
【0112】
図8は、
図7に示すコントローラ70(送受信制御部702)によるコマンド処理を含む射出成形機1の一連の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0113】
図8を参照するに、PC100は、ユーザから入力されたコマンドをコントローラ70に送信する(ステップS810)。
【0114】
送受信制御部702は、PC100からコマンドを受け付けると、ユーザ管理部705に対して、ログインユーザ情報のユーザIDを含む登録ユーザ情報要求を送信する(ステップS820)。
【0115】
尚、ステップS820の処理は、
図7のステップS202の処理に相当する。
【0116】
ユーザ管理部705は、送受信制御部702から登録ユーザ情報要求を受け付けると、登録ユーザ情報要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報をユーザ情報DB7051から取得する。そして、ユーザ管理部705は、取得した登録ユーザ情報の一部(少なくとも許可コマンドを含む)又は全部を含む登録ユーザ情報応答を送受信制御部702に送信する(ステップS830)。
【0117】
送受信制御部702は、ユーザ管理部705から登録ユーザ情報応答を受け付けると、登録ユーザ情報応答の内容(即ち、少なくとも許可コマンドを含む登録ユーザ情報)に基づき、コマンドの実行を許可するか否かの判定(許否判定)を行う(ステップS840)。具体的には、送受信制御部702は、上述した
図7のステップS206の処理を行うことにより、コマンドの実行の許否判定を行う。
【0118】
送受信制御部702は、PC100から入力されたコマンドの実行を許可すると、コマンド制御部704に対して、コマンドの実行要求を送信する(ステップS850)。
【0119】
尚、ステップS850の処理は、
図7のステップS208の処理に相当する。
【0120】
コマンド制御部704は、PC100からコマンドの実行要求を受け付けると、コマンドを実行する。そして、コマンド制御部704は、コマンドの実行応答を送受信制御部702に送信する(ステップS860)。
【0121】
送受信制御部702は、コマンド制御部704からコマンドの実行応答を受け付けると、PC100に対して、コマンドの実行通知を送信する(ステップS870)。
【0122】
尚、ステップS870の処理は、
図7のステップS210,S212の処理に相当する。
【0123】
このように、本実施形態では、コントローラ70は、PC100からの操作入力の場合と、PC200からの操作入力の場合とで、作業装置3及びコントローラ70に対する操作可能な内容を異ならせる。具体的には、ユーザ管理部705は、リモートユーザとローカルユーザを識別可能な態様で、登録ユーザ情報を管理し、コントローラ70は、PC100から入力されるログインユーザ情報と、当該登録ユーザ情報に基づき、作業装置3を制御する。より具体的には、コントローラ70は、ログインユーザ情報と登録ユーザ情報を照合する。そして、コントローラ70は、ログインユーザ情報(ユーザID)がローカルユーザであることを表す場合、操作可能な内容の全て(第1の操作〜第6の操作、或いは、第3の操作〜第6の操作)の実行を許可する。一方、コントローラ70は、ログインユーザ情報(ユーザID)がリモートユーザであることを表す場合、作業装置3に作業を実行させる操作(第1の操作)、成形条件を変更する操作(第2の操作)、及び作業装置3に作業を実行させるプログラムデータを変更する(第5の操作)が行われても、実行を拒否する。
【0124】
PC200のような端末を利用して、ネットワーク経由で射出成形機1(本体2)等を遠隔から操作する場合が有り得る。具体的に、遠隔地から射出成形機1等の動作履歴データ等を確認し、保守・点検等のメンテナンスを行うようなケースである。かかる場合、現地、即ち、射出成形機1の本体2の近くに作業者がいない状況で、ネットワークを経由して射出成形機等が操作され、射出成形機1(作業装置3)が実際の作業(例えば、成形品を生成する作業)を行ってしまう可能性がある。
【0125】
これに対して、本実施形態では、本体2を視認できない環境でPC200を利用するユーザが、作業装置3の動作に関する操作のうち、作業装置3に作業を実行させる操作(第1の操作)、作業装置3が作業を行う際の成形条件の変更を行う操作(第2の操作)、及び作業装置3に作業を実行させるプログラムデータを変更する操作(第5の操作)をできないようにすることができる。そのため、ネットワーク経由での操作に応じて、現地に作業者がいない状況で、実際の作業を行うことがないようにすることができる。これにより、本体2を視認できない場所から通信ネットワーク150を介して接続されるPC200からの作業装置3操作内容を制限し、安全性を確保することができる。
【0126】
また、コントローラ70は、ログインユーザ情報(ユーザID)がリモートユーザであることを表す場合であっても、例えば、第3の操作、第4の操作、第6の操作等の各種データの参照(開示)を要求する操作が行われると、その実行を許可する。これにより、本体2を視認できない場所から接続するPC200からでも、作業装置3の稼働情報等を参照することができるため、例えば、遠隔地からメンテナンスを行うことが可能になる等、ユーザの利便性を確保することができる。即ち、本実施形態によれば、安全性とユーザの利便性の両立を図ることができる。
【0127】
換言すれば、本体2を視認可能な環境でユーザが利用するPC100は、PC200からの操作入力に基づき、コントローラ70或いは作業装置3に対して実行させることが可能な全ての操作内容を、自己からの操作入力に基づき、コントローラ70或いは作業装置3に対して実行させることができる。そして、PC200からの操作入力に基づき、コントローラ70或いは作業装置3に対して実行させることが不可能な操作内容を、自己からの操作入力に基づき、コントローラ70或いは作業装置3に対して実行させることができる。これにより、安全性とユーザの利便性の両立を図ることができる。
【0128】
続いて、
図9、
図10を参照して、PC100からコントローラ70に入力される登録ユーザ情報の参照要求に関連する処理動作について説明する。
【0129】
図9は、コントローラ70(送受信制御部702)による登録ユーザ情報参照処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、
図4のフローチャートの処理により接続が許可されたPC100から登録ユーザ情報の参照要求(登録ユーザ情報参照要求)が入力されると実行される。
【0130】
ステップS302にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705に対して、登録ユーザ情報を要求する信号(登録ユーザ情報要求)、具体的には、ログインユーザ情報のユーザIDを含む登録ユーザ情報要求を送信する。
【0131】
ステップS304にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があったか否かを判定する。送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があった場合、ステップS306に進み、何等かの理由で応答がない場合、今回の処理を終了する。
【0132】
尚、ユーザ管理部705は、送受信制御部702から登録ユーザ情報要求を受け付けると、登録ユーザ情報要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報を含む応答信号(登録ユーザ情報応答)を送受信制御部702に送信する。また、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答がない場合、再度、登録ユーザ情報要求を送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよいし、登録ユーザ情報の参照不可である旨の通知をPC100に送信してもよい。
【0133】
ステップS306にて、送受信制御部702は、登録ユーザ情報(参照データ)を通知する信号(登録ユーザ情報通知)をPC100に送信し、今回の処理を終了する。
【0134】
図10は、
図9に示すコントローラ70(送受信制御部702)による登録ユーザ情報参照処理を含む射出成形機1の一連の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0135】
PC100は、ユーザからの入力に応じて、登録ユーザ情報参照要求をコントローラ70に送信する(ステップS1010)。
【0136】
送受信制御部702は、PC100から登録ユーザ情報参照要求を受信すると、ユーザ管理部705に対して、ログインユーザ情報のユーザIDを含む登録ユーザ情報要求を送信する(ステップS1020)。
【0137】
尚、ステップS1020の処理は、
図9のステップS302の処理に相当する。
【0138】
ユーザ管理部705は、送受信制御部702から登録ユーザ情報要求を受け付けると、登録ユーザ情報要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報をユーザ情報DB7051から取得する。そして、ユーザ管理部705は、取得した登録ユーザ情報を含む登録ユーザ情報応答を送受信制御部702に送信する(ステップS1030)。
【0139】
送受信制御部702は、ユーザ管理部705から登録ユーザ情報応答を受け付けると、登録ユーザ情報応答に含まれる登録ユーザ情報(参照データ)を通知する信号(登録ユーザ情報通知)をPC100に送信する(ステップS1040)。
【0140】
尚、ステップS1040の処理は、
図9のステップS304,S306の処理に相当する。
【0141】
このように、本実施形態では、コントローラ70は、PC100からの参照要求に応じて、認証を受けた(ログイン中の)ユーザに関する登録ユーザ情報(参照データ)をPC100に開示する。これにより、ユーザは、自身の登録ユーザ情報を確認することができる。
【0142】
続いて、
図11、
図12を参照して、PC100からコントローラ70に入力される登録ユーザ情報(具体的には、パスワード)の更新要求に関連する処理動作について説明する。
【0143】
図11は、コントローラ70(送受信制御部702)による登録ユーザ情報更新処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、
図4のフローチャートの処理により接続が許可されたPC100から、更新後のパスワード(更新パスワード)を含むパスワードの更新要求(パスワード更新要求)が入力されると実行される。
【0144】
ステップS402にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705に対して、パスワード更新を要求する信号(登録ユーザ情報要求)、具体的には、ログインユーザ情報のユーザID及び更新パスワードを含むパスワード更新要求を送信する。
【0145】
ステップS404にて、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があったか否かを判定する。送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答があった場合、ステップS406に進み、何等かの理由で応答がない場合、今回の処理を終了する。
【0146】
尚、ユーザ管理部705は、送受信制御部702からパスワード更新要求を受け付けると、ユーザ情報DB7051において、パスワード更新要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報のパスワードを更新パスワードの内容に更新する。そして、ユーザ管理部705は、登録ユーザ情報のパスワードを更新した旨の応答信号(パスワード更新応答)を送受信制御部702に送信する。また、送受信制御部702は、ユーザ管理部705から応答がない場合、再度、登録ユーザ情報要求を送信してもよいし、何等かの異常がある旨を表示装置80に表示させてもよいし、パスワードの更新不可である旨の通知をPC100に送信してもよい。
【0147】
ステップS406にて、送受信制御部702は、パスワードを更新した旨を通知する信号(パスワード更新通知)をPC100に送信し、今回の処理を終了する。
【0148】
図12は、
図11に示すコントローラ70(送受信制御部702)による登録ユーザ情報更新処理を含む射出成形機1の一連の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0149】
PC100は、ユーザからの入力に応じて、パスワード更新要求をコントローラ70に送信する(ステップS1210)。
【0150】
送受信制御部702は、PC100から更新パスワードを含むパスワード更新要求を受信すると、ユーザ管理部705に対して、ログインユーザ情報のユーザID及び更新パスワードを含むパスワード更新要求を送信する(ステップS1220)。
【0151】
尚、ステップS1220の処理は、
図11のステップS402の処理に相当する。
【0152】
ユーザ管理部705は、送受信制御部702からパスワード更新要求を受け付けると、ユーザ情報DB7051において、当該パスワード更新要求に含まれるログインユーザ情報のユーザIDに対応する登録ユーザ情報のパスワードを更新パスワードの内容に更新する。そして、ユーザ管理部705は、パスワード更新応答を送受信制御部702に送信する(ステップS1230)。
【0153】
送受信制御部702は、ユーザ管理部705からパスワード更新応答を受け付けると、パスワード更新通知をPC100に送信する(ステップS1240)。
【0154】
尚、ステップS1040の処理は、
図11のステップS404,S406の処理に相当する。
【0155】
このように、本実施形態では、コントローラ70は、PC100からの更新要求に応じて、認証を受けた(ログイン中の)ユーザに関する登録ユーザ情報、具体的には、パスワードを更新する。これにより、ユーザは、ユーザIDに対応付けられた認証用のパスワードを自ら更新することができる。特に、リモートユーザは、上述の如く、有効期限が設定されたり、有効期限がローカルユーザよりも早く経過したりするため、自らパスワードの更新が可能となり、リモートユーザの利便性の低下を抑制することできる。
【0156】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0157】
例えば、上述した実施形態では、PC100は、1台の本体2(作業装置3)を操作可能な構成であるが、複数の本体2を操作対象とする端末に置換されてもよい。
【0158】
ここで、
図13は、本実施形態に係る射出成形機1の操作系の構成の他の例を示す図である。本例では、PC100が管理端末100Aに置換されると共に、管理端末100Aが複数の本体2を操作対象とする点で上述した一例(
図2参照)と異なる。
【0159】
尚、本例における本体2に含まれる構成(作業装置3、コントローラ70、表示装置80)は、上述した一例と同様であるため、図示が省略されている。
【0160】
図13に示すように、管理端末100A(第1の端末の他の例)は、ローカルネットワーク110を通じて、複数の本体2(具体的には、それぞれのコントローラ70)と通信可能に接続される。管理端末100Aは、例えば、複数の本体2が設置される工場(以下、単に工場と称する)の内部の管制室等に設けられる定置型の端末であってもよいし、管理者等が工場内を移動する際に携帯可能なタブレット型の端末等の携帯端末であってもよい。ローカルネットワーク110は、例えば、工場の建物の中に配設されたイーサネットプロトコルに基づくLAN(Local Area Network)であってよく、有線LANであっても無線LANであってもよい。
【0161】
管理端末100Aは、複数の本体2を管理する。具体的には、管理端末100Aは、複数の本体2から送信される運転状態、生産進捗状態、成形品の品質状態、成形条件の設定状態、異常状態の有無(異常アラーム発生の有無)等に関する情報(稼働情報)を受信する。これにより、管理端末100Aは、複数の本体2における稼働状況(例えば、稼働率、停止履歴、停止回数、サイクル時間、生産ショット数等)、生産進捗状況、成形品の品質状態、成形条件の設定状態等を管理することができる。
【0162】
また、管理端末100Aは、上述した一例におけるPC100と同様、操作用アプリケーションがインストールされる。そして、管理端末100Aは、管理端末100Aに対する直接のローカルユーザの操作、或いは、PC200におけるリモートユーザの操作に応じて、複数の本体2のそれぞれのコントローラ70に対する操作入力を含むコマンドを出力することができる。そして、それぞれの本体2のコントローラ70は、上述した一例の場合と同様、管理端末100Aからの直接の操作入力の場合と、PC200からの遠隔操作による操作入力の場合とで、作業装置3の制御態様、即ち、作業装置3の動作に関する操作可能な内容を異ならせる。具体的には、コントローラ70は、作業装置3に作業を実行させる又は実行させうる操作入力があったときに、作業装置3に実際の作業を行わせるか否かに関する制御態様を変更する。これにより、上述した一例の場合と同様、PC200から通信ネットワーク150、即ち、工場外のグローバルネットワーク経由で不正に管理端末100Aを操作できたとしても、それぞれの本体2側、具体的には、それぞれの本体2のコントローラ70がユーザ認証を行うため、グローバルネットワーク経由で作業装置3を容易に作動できないようにすることができる。
【0163】
一方、管理端末100Aは、定置型の端末であっても、携帯端末であっても、工場内の複数の本体2の比較的近くで利用され、管理端末100Aを直接操作するローカルユーザは、現地でそれぞれの本体2の状況を視認可能である。よって、ローカルユーザによる管理端末100Aの直接操作によって、作業装置3を作動させても問題がない。
【0164】
また、本例において、管理端末100Aは、上述した一例に示すPC100と同様、複数の本体2と1対1で直接接続される構成であってもよい。また、本例におけるPC200は、管理端末100Aを介して、複数の本体2のうちの一部の本体2だけに操作入力を出力可能な構成であってもよい。即ち、PC200は、作業装置3の動作に関連する操作が制限されるのに加えて、複数の本体2の中で操作可能な対象が制限(限定)される態様であってもよい。この場合、管理端末100Aは、PC200からのログインの場合、操作入力の出力対象を限定することにより対応してよい。また、この場合、それぞれの本体2に関連づけて所定のユーザに付与される、本体2のコントローラ70に通信可能に接続するためのアクセス用情報(例えば、専用コード等)が予め規定されることを前提として、それぞれの本体2のコントローラ70は、PC200から入力されるアクセス要求に、自己が含まれる本体2に関連付けられたアクセス用情報が含まれる場合、PC200のアクセスを許可する態様であってもよい。即ち、一部の本体2に対するアクセスが許可される特定のユーザにより当該一部の本体2のそれぞれに関連付けて付与されるアクセス用情報がPC200で入力されたり、PC200に予め登録されたアクセス用情報が自動的に読み出されたり等によって、当該ユーザは、一部の本体2のコントローラ70にアクセスし、作業装置3の動作に関連する操作を行うことができる。
【0165】
また、例えば、上述した実施形態等では、PC200は、通信ネットワーク150を通じてPC100に接続され、PC200を利用するリモートユーザは、PC100を遠隔操作することにより、本体2の作業装置3の動作に関する操作を行うが、PC200は、通信ネットワーク150を通じて、PC100を介さず、直接的にPC100と通信可能な態様で接続されてもよい。
【0166】
ここで、
図14は、本実施形態に係る射出成形機1の操作系の構成の更に他の例を示す図である。本例では、PC200が、PC100を介さず、通信ネットワーク150を通じて、直接的に本体2と接続される点において、上述した一例と異なる。
【0167】
尚、本例における本体2に含まれる構成(作業装置3、コントローラ70、表示装置80)は、上述した一例等と同様であるため、図示が省略されている。
【0168】
本例では、PC200は、PC100と同様、操作用アプリケーションがインストールされ、当該操作用アプリケーションを通じて、コントローラ70に対する操作入力を含むコマンドを出力することができる。
【0169】
本体2のコントローラ70は、上述した一例の場合と同様、PC100から入力される、ローカルユーザのユーザIDと、PC200から入力される、リモートユーザのユーザIDとを識別することにより、作業装置3の制御態様、即ち、作業装置3の動作に関する操作可能な内容を異ならせる。これにより、上述した一例の場合と同様、PC200から通信ネットワーク150、即ち、工場外のグローバルネットワーク経由で不正に本体2に操作入力が出力できたとしても、本体2側、具体的には、本体2のコントローラ70がユーザ認証を行うため、グローバルネットワーク経由で作業装置3を容易に作動できないようにすることができる。
【0170】
また、例えば、上述した実施形態等では、インターネット等のグローバルネットワークを経由してコントローラ70に通信可能に接続されるPC200は、PC100の場合と異なり、作業装置3の動作に関連する操作が制限されるが、当該態様には限定されない。
【0171】
具体的には、ドメイン分割される、工場内の複数のローカルネットワークのうち、コントローラ70或いはPC100が属するドメインに係るローカルネットワーク以外のローカルネットワーク、即ち、外部ネットワークを経由してコントローラ70に通信可能に接続されるPC等の端末がある場合、当該端末についても、作業装置3の動作に関連する操作が制限されてよい。工場内のローカルネットワークであっても、対象となる本体2のコントローラ70やPC100と異なるドメインの端末については、本体2と物理的に離れている可能性があるからである。また、コントローラ70或いはPC100が属するドメインと同じドメインのローカルネットワークを経由してコントローラ70に通信可能に接続されるPC等の端末がある場合、当該端末についても、作業装置3の動作に関連する操作が制限されてよい。コントローラ70或いはPC100と同じドメインのローカルネットワークに属する端末であっても、当該ドメインがカバーする物理的なエリアの大きさ等によっては、当該端末と本体2との間が物理的に離れすぎてしまい、端末の利用者が本体2の状況を容易に視認できないような状況も想定しうるからである。
【0172】
一方、上述の管理端末100A等の端末のように、工場内のローカルネットワークに属する端末であれば、本体2の状況を容易に把握できる場合も多い。そのため、作業装置3の動作に関連する操作の制限は、外部ネットワーク及びグローバルネットワークの何れかを経由してコントローラ70に接続する端末、或いはグローバルネットワーク経由でコントローラ70に接続する端末だけに適用する態様であってもよい。
【0173】
即ち、作業装置3の動作に関連する操作の制限を適用する端末が経由する所定のネットワークの条件は、本体2と想定されるネットワークの物理的な範囲との位置関係等を考慮して、コントローラ70等と同じドメインのネットワーク、外部ネットワーク、及びグローバルネットワークの何れかを含む態様で、適宜決定されてよい。
【0174】
また、例えば、上述した実施形態等では、コントローラ70は、ユーザ情報(ユーザID、属性情報等)に基づき、PC100や管理端末100A等からの操作入力を含むコマンドと、PC200等の所定のネットワークを経由する端末からの操作入力を含むコマンドとを識別するが、当該態様には限定されない。具体的には、コントローラ70は、ある端末からの操作入力に含まれる送信元の端末を示すIPアドレス等の他の識別情報に基づき、PC100や管理端末100A等からの操作入力を含むコマンドと、PC200等の所定のネットワークを経由する端末からの操作入力を含むコマンドとを識別してよい。より具体的には、作業装置3の動作に関連する操作が制限される対象の所定のネットワークがグローバルネットワークである場合、コントローラ70は、工場内に配設されるローカルネットワークに属するPC100に対応するドメインのローカルIPアドレスか、通信ネットワーク150経由のPC200に対応するドメインのグローバルIPアドレスかにより、識別を行ってよい。また、制限対象の所定のネットワークがコントローラ70等の属するローカルネットワークの外部ネットワーク(ドメインが異なるローカルネットワーク)である場合、コントローラ70は、操作入力の送信元のローカルIPアドレスがコントローラ70等と同じドメインに対応するか否かにより、識別を行ってよい。この場合、コントローラ70は、ユーザ情報DB7051を含むユーザ管理部705に代えて、他の識別情報を管理する管理部を含む構成とされてよい。
【0175】
また、例えば、上述した実施形態等では、PC200等の所定のネットワークを経由してコントローラ70に接続する端末は、作業装置3に作業を実行させうる操作として、第2の操作、第5の操作が制限されるが、第2の操作、或いは第5の操作の前提となるデータの送信に係る操作は許可される態様であってもよい。例えば、PC200等の所定のネットワークを経由してコントローラ70に接続する端末は、新規インストール用、再インストール用或いはアップデート用のプログラムデータや成形条件の設定値等のパラメータに関するデータ等を含む更新情報のコントローラ70への送信については許可される態様であってもよい。一方、上述の如く、PC200等の所定のネットワークを経由してコントローラ70に接続する端末は、第2の操作及び第5の操作が制限されるため、当該プログラムのインストールや当該パラメータに関するデータの成形条件として入力等、送信されたデータを有効にするための操作を行うことができない。これにより、ユーザの利便性を向上させつつ、安全性を確保することができる。
【0176】
また、上述した実施形態等では、PC100、管理端末100A等を利用する場合と、PC200等の所定のネットワークを経由してコントローラ70にアクセスする端末を利用する場合とで、作業装置3の動作に関連する操作可能な内容が変更されるが、加えて、他の要素に応じて、操作可能な内容が変更されてもよい。具体的には、コントローラ70は、PC200等の所定のネットワークを経由する端末からの操作入力の場合、アクセスするユーザが予め登録される複数のユーザのうちのどのユーザであるのかに応じて、操作可能な内容を変更してもよい。即ち、複数のユーザごとに操作可能な内容(権限)が付与される態様であってもよい。また、コントローラ70は、アクセス元である端末のネットワーク経由状況に応じて、即ち、グローバルネットワーク経由であるか、外部ネットワーク経由であるか、ローカルネットワーク経由であるか等の別によって、操作可能な内容を変更してもよい。
【0177】
また、上述した実施形態等では、PC200等の所定のネットワークを経由してコントローラ70に接続する端末は、作業装置3の動作に関連する操作のうち、作業装置3に作業を実行させる或いはさせ得る操作が制限されるが、加えて、参照する等により開示する稼働情報を制限してもよい。即ち、コントローラ70は、PC200等の所定のネットワークを経由する端末からの操作入力の場合、該操作入力に基づき、作業装置3の稼働情報の少なくとも一部を当該端末に開示することを許可する一方、該少なくとも一部以外の稼働情報を当該端末に開示すること、及び該操作入力に基づく作業装置3の動作に関する操作を制限してもよい。
【0178】
また、上述した実施形態において、コントローラ70は、所定のネットワークを経由して接続する端末に対して、作業装置3或いはコントローラ70に対する全ての操作内容のうちの当該端末が操作可能な内容だけ或いは当該端末が操作不可能な内容だけを通知してもよい。この際、コントローラ70は、通知内容を当該端末の表示部(例えば、ディスプレイ)に表示させるための表示出力指令や当該通知内容を音声出力させるため音声出力指令を当該通知と共に、当該端末に送信してもよい。これにより、所定のネットワークを経由して接続する端末のユーザは、予め操作可能な内容や操作不可能な内容を把握することができ、利便性が向上する。
【0179】
また、例えば、上述した実施形態等では、PC100,PC200、管理端末100A等は、射出成形機1の本体2に対する操作入力を含むコマンドを出力するが、代えて、或いは、加えて、本体2の周辺機器(例えば、取出機、搬送機、粉砕機等)の動作に関連する操作入力を含むコマンドを出力可能な構成であってもよい。この場合についても、本体2のコントローラ70に相当する、周辺機器に搭載されるコントローラは、PC100、管理端末100A等からのローカルユーザによる操作入力の場合と、PC200等の所定のネットワークを経由する端末からのリモートユーザによる操作入力の場合とで、周辺機器(作業装置)の制御態様、即ち、操作可能な内容を異ならせる。これにより、射出成形機1の本体2を制御する場合と同様、PC200から通信ネットワーク150、即ち、工場外の所定のネットワーク経由で周辺機器に操作入力が出力できても、所定のネットワーク経由で周辺機器(作業装置)を容易に作動できないようにすることができる。
【0180】
また、例えば、上述した実施形態等では、射出成形機1の本体2(作業装置3)を、PC100、PC200、管理端末100A等から操作可能な操作対象とするが、射出成形機1は、定置型の本体を含む産業機械の一例であり、当該構成には限定されない。即ち、所定の作業を行う作業装置を含む本体を、PC100、PC200、管理端末100A等から操作可能な操作対象として、上述した実施形態で開示する内容を適用することが可能である。
【0181】
尚、本願は、2016年5月24日に出願した日本国特許出願2016−103633号に基づく優先権を主張するものであり、その日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。