【実施例】
【0100】
本発明による懸濁液は、ultraturrax型のホモジナイザーを用い、上述の通りに調製した。
【0101】
懸濁液の物理的安定性は、以下の手法により評価した:外観(目視検査);光学顕微鏡法(粒径分布を決定し、結晶成長が起きたかどうかを評価);再懸濁性(手振り)。ギビノスタット懸濁液の化学的安定性は、特異性および安定性を示す、HPLC法を用いて評価した。
【0102】
[実施例1]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1% w/v、pH6
【0103】
【表1】
【0104】
製造方法
(a)使用可能な総量の約50〜90%の精製水を、攪拌機を備えた適切なジャケット付きステンレススチールタンク内に入れ、約70℃〜90℃まで加温する。「液体ソルビトール」(70%溶液として商業的に入手可能)として、所定量のソルビトールを加え、溶液が約70℃〜90℃の温度になるまで適切な攪拌を維持する。
【0105】
(b)70℃〜90℃の温度を維持したまま、攪拌下で、所定量のグリセロールにあらかじめ緊密に分散させたトラガカントガムを加える。均質な系が得られるまで、ガムを水和させる。
【0106】
(c)攪拌下、水和したビヒクルを室温(20℃〜30℃)まで冷ます。
【0107】
(d)攪拌下、所定量の安息香酸ナトリウムをタンクに加え、次に所定量のサッカリンナトリウムを加え、攪拌を続ける。
【0108】
(e)別の適切な容器に、所定量の酒石酸および水酸化ナトリウムの精製水の溶液を調製し、次に、攪拌下で、この溶液をタンクに加える。
【0109】
(f)最後に、攪拌下で、所定量の香味料を加える。ビヒクルのpHを確認し、必要な場合は、あらかじめ精製水に溶解した追加の酒石酸および/または水酸化ナトリウムを用いてビヒクルのpHを調節する。
【0110】
(g)別の適切な容器に、ギビノスタットの前分散液を調製する:使用可能な総量の約3〜20%の精製水に、攪拌下で所定量のポリソルベート20を加え、溶解するまで攪拌し、次に、攪拌下で、所定量のギビノスタットを加える。均質で、だまのないスラリーが得られるまで、攪拌を続ける。
【0111】
(h)激しく攪拌しながら、ギビノスタットの前分散液をビヒクルに加え、均質な分散が得られるまで攪拌を続ける。
【0112】
(i)懸濁液のpHを確認し、必要な場合は、あらかじめ精製水に溶解した追加の酒石酸および/または水酸化ナトリウムを用いて懸濁液のpHを調節する。
【0113】
(j)最終体積まで精製水を適量加え、攪拌する。
【0114】
(k)高せん断ホモジナイザーを用いて最終懸濁液を均質化(ホモジナイズ)する。最終的に懸濁液を再循環させることにより、および/または適切な保管容器に懸濁液を移すことにより、全ての懸濁液をホモジナイザーに通過させる。
【0115】
(l)最終バルク懸濁液を攪拌下で維持しながら、適切な充填機(例えば120mL/ボトルの充填体積)を用いて、ガラスまたはプラスチックボトル、例えば、150mL公称容量のアンバーPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルに分配し、不正開封防止機能を備えた小児用安全スクリューキャップ、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)製閉栓器を備えたHDPE(高密度ポリエチレン)またはPP(ポリエチレン)製キャップで、ボトルを密閉する。
【0116】
安定性:この製剤は、40℃/75%RH(相対湿度)における6ヶ月の保存後でさえも、化学的および物理的に極めて安定であることが証明された。すなわち、表1に示すように、HPLC試験では有意な変化はなく、理論値から±5%以内を維持し;類縁物質は無視できる程度の増加であり、1%の限度値より下を維持し;pHは無視できる程度の低下であり、理論値から±0.5単位以内を維持し;外観および再懸濁性は事実上変化せず、光学顕微鏡検査はいかなる粒子の成長も示さなかった。
【0117】
【表2】
【0118】
この製剤は、実験室スケール(スケール≦5L)および工業スケール(スケール≧100L)の両方で調製することができ、したがって、本発明の懸濁液は工業化できることを示す。
【0119】
実施例1に記載した組成および調製方法に従って、0.1%から20% w/vのギビノスタットを含む、物理的および化学的に安定なギビノスタット懸濁液を調製することができた。活性成分を完全に湿潤化させるために、必要に応じ、ポリソルベート20の量を約0.00025%から約2% w/vまでの範囲で増やしても減らしてもよい。
【0120】
[実施例2]
製剤開発研究の間に、例えばソルビトールおよびスクロースなどの、「糖アルコール」およびサッカライドの群から選択される、異なる密度付与剤を使用した。
【0121】
ソルビトールもまた糖アルコールである。そのIUPAC名は(2S,3R,4R,5R)−ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキソールである。分子式はC6H14O6である。化学構造式を以下に記載する。
【0122】
【化1】
【0123】
ソルビトールは水に非常に溶けやすい(溶解度は約2.2g/mL)。
【0124】
スクロースは、サッカロースとも呼ばれ、白色、無臭で甘味を有する結晶性粉末である。それは、グルコースの分子とフルクトースの分子がお互いにグリコシド結合で結合した二糖である。分子式はC12H22O11である。化学構造式を以下に記載する。
【0125】
【化2】
【0126】
これは水に非常に溶けやすい(20℃の水0.5部に1部が溶解する)。
【0127】
したがって、それらはシロップおよび経口懸濁液において、甘味料および密度付与剤として一般的に使用されている。
【0128】
ギビノスタットの溶解度を、リン酸緩衝液、湿潤剤としてのTween20、およびソルビトールまたはスクロースのいずれか(40% w/v)を含む、pH6の水性ビヒクルで試験した。この目的のために、確実に飽和するために十分な量のギビノスタットを、別々のバイアル中で、それぞれのビヒクル15mLと混合した。これらのバイアルは25℃±1℃で少なくとも24時間、平衡を得るために振とうした。次に、ろ過により、余分な固体から飽和溶液を分離し、ろ液中のギビノスタット(ITF2357)をUV−Vis分光分析技術により定量した。溶解度の値は表2にまとめた。
【0129】
【表3】
【0130】
驚くべきことに、ITF2357の溶解度は、ソルビトールの濃度が増加すると低下する。多価アルコールは、薬物の溶解度を上げるためにしばしば用いられ、この効果は濃度依存的、すなわち、多価アルコールの量が多くなるほど、溶解効果は高くなるため、この結果は予想外であった。
【0131】
さらに驚くべきことに、スクロースは、ソルビトールと比較して、より著しい溶解効果を及ぼす。
【0132】
ソルビトールまたはスクロースのいずれか(40% w/v)を含む、1%(w/v)ITF2357懸濁液について、化学的安定性加速試験を実施した。表3に示すように、HPLC総不純物(%)として示す結果もまた、驚くべきものであった。
【0133】
【表4】
【0134】
発明者らは、驚くべきことに、密度付与剤(例えば、ソルビトールまたはスクロース)などの、ある特定の賦形剤が製剤に含まれる場合に、有効成分の溶解度に影響を与えるだけでなく、化学的安定性に有益な効果も有することを見出した。
【0135】
[実施例3]
処方設計の間に、無機(リン酸)緩衝液および有機(酢酸および酒石酸)緩衝液の群から選択される、異なる緩衝液におけるITF2357の溶解度を測定した。表4に、pH4.5の異なる緩衝液における、ITF2357飽和溶液について測定した溶解度の値を示す。
【0136】
【表5】
【0137】
驚くべきことに、同じpHにおいて、溶解度は緩衝液の種類に大きく影響された。ギビノスタットは、酒石酸緩衝液において、より溶解しない結果となった。一般的な有機緩衝液は錯化共溶解効果(complexing co−solubilizing effect)を発揮することができる一方、この特定の場合には、酒石酸緩衝液はそのような効果を発揮しないだけでなく、反対にITF2357の溶解性を制限しているために、この結果は非常に驚くべきものである。
【0138】
実施例1に記載する組成、したがって、40% w/vのソルビトールおよび酒石酸緩衝液を含む懸濁ビヒクル中で、異なるpH(酒石酸または水酸化ナトリウムで調節した4から7までのpH範囲)で測定した、ITF2357の溶解度を表5に示す。
【0139】
【表6】
【0140】
驚くべきことに、本発明による製剤における、緩衝剤(特に酒石酸緩衝液)、湿潤剤および密度付与剤(特にソルビトール)などの、特定の賦形剤の使用は、ギビノスタットの溶解度を低下させる。
【0141】
低い薬物溶解性は、一般的に良好な化学的安定性および嗜好性につながるため、これは優れた利点を表す。
【0142】
[実施例4]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1.0%(w/v)
【0143】
成分 分量(mg)
ギビノスタット 10
メチルパラベン 1.35
プロピルパラベン 0.15
スクロース 400
グリセロール 25
トラガカントガム 3.0
ポリソルベート80 0.063
精製水 適量 1mLまで
【0144】
安定性:この製剤は40℃で少なくとも1週間安定であることが証明された。
【0145】
実施例4に記載した組成に従って、0.2%から10% w/vのギビノスタットを含む、物理的および化学的に安定なギビノスタット懸濁液を調製することができた。活性成分を完全に湿潤化させるために、必要に応じ、ポリソルベート80の量を約0.0005%から約1% w/vまでの範囲で増やしても減らしてもよい。
【0146】
[実施例5]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1.0%(w/v)
【0147】
成分 分量(mg)
ギビノスタット 10
メチルパラベン 1.35
プロピルパラベン 0.15
スクロース 400
グリセロール 25
トラガカントガム 3.0
ポリソルベート20 0.063
精製水 適量 1mLまで
【0148】
安定性:この製剤は40℃で少なくとも1週間安定であることが証明された。
【0149】
実施例
5に記載した組成に従って、0.2%から10% w/vのギビノスタットを含む、物理的および化学的に安定なギビノスタット懸濁液を調製することができた。活性成分を完全に湿潤化させるために、必要に応じ、ポリソルベート20の量を約0.0005%から約1% w/vまでの範囲で増やしても減らしてもよい。
【0150】
[実施例6]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1% w/v、pH5
【0151】
成分 分量(mg) 分量(% w/v)
ギビノスタット 10 1
安息香酸ナトリウム 4.4 0.44
香味料 2 0.2
サッカリンナトリウム 1 0.1
ソルビトール 400 40
グリセロール 25 2.5
トラガカントガム 3.0 0.3
ポリソルベート20 0.016 0.0016
酒石酸 6.5(*) 0.65(*)
水酸化ナトリウム 3.25(*) 0.325(*)
精製水 q.s. 1mLまで q.s. 100mLまで
q.s.=適量
(*)酒石酸緩衝液。必要であれば、追加の酒石酸および/または水酸化ナトリウムを用いて、製造中にpHを5に調節する。
【0152】
製造方法:実施例1に記載する方法
【0153】
安定性:この製剤は、40℃/75%RH(相対湿度)における6ヶ月の保存後でさえも、化学的および物理的に極めて安定であることが証明された。すなわち、表6に示すように、HPLC試験では有意な変化はなく、理論値から±5%以内を維持し;類縁物質は無視できる程度の増加であり、1%の限度値より下を維持し;pHは無視できる程度の低下であり、理論値から±0.5単位以内を維持し;外観および再懸濁性は事実上変化せず、光学顕微鏡検査はいかなる粒子の成長も示さなかった。
【0154】
【表7】
【0155】
この製剤は、実験室スケール(スケール≦5L)および工業スケール(スケール≧100L)の両方で調製することができ、したがって、本発明の懸濁液は工業化できることを示す。
【0156】
実施例6に記載した組成および調製方法に従って、0.3%から5% w/vのギビノスタットを含む、物理的および化学的に安定なギビノスタット懸濁液を調製することができた。活性成分を完全に湿潤化させるために、必要に応じ、ポリソルベート20の量を約0.0005%から約0.5% w/vまでの範囲で増やしても減らしてもよい。
【0157】
[実施例7]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1% w/v、pH4.5
【0158】
成分 分量(mg) 分量(% w/v)
ギビノスタット 10 1
安息香酸ナトリウム 4.4 0.44
香味料 2 0.2
サッカリンナトリウム 1 0.1
ソルビトール 400 40
グリセロール 25 2.5
トラガカントガム 3.0 0.3
ポリソルベート20 0.016 0.0016
酒石酸 6.5(*) 0.65(*)
水酸化ナトリウム 3.25(*) 0.325(*)
精製水 q.s. 1mLまで q.s. 100mLまで
q.s.=適量
(*)酒石酸緩衝液。必要であれば、追加の酒石酸および/または水酸化ナトリウムを用いて、製造中にpHを4.5に調節する。
【0159】
製造方法:実施例1に記載する方法
【0160】
安定性:この製剤は、55℃における1ヶ月の保存後でさえも、化学的および物理的に極めて安定であることが証明された。すなわち、HPLC試験では有意な変化はなく;pHは有意に変化せず;外観および再懸濁性は事実上変化しなかった。
【0161】
[実施例8]
経口懸濁液−ギビノスタット10mg/mLまたは1% w/v、pH5.5
【0162】
成分 分量(mg) 分量(% w/v)
ギビノスタット 10 1
安息香酸ナトリウム 4.4 0.44
香味料 2 0.2
サッカリンナトリウム 1 0.1
ソルビトール 400 40
グリセロール 25 2.5
トラガカントガム 3.0 0.3
ポリソルベート20 0.016 0.0016
酒石酸 6.5(*) 0.65(*)
水酸化ナトリウム 3.25(*) 0.325(*)
精製水 q.s. 1mLまで q.s. 100mLまで
q.s.=適量
(*)酒石酸緩衝液。必要であれば、追加の酒石酸および/または水酸化ナトリウムを用いて、製造中にpHを5.5に調節する。
【0163】
製造方法:実施例1に記載する方法
【0164】
安定性:この製剤は、55℃における1ヶ月の保存後でさえも、化学的および物理的に極めて安定であることが証明された。すなわち、HPLC試験では有意な変化はなく;pHは有意に変化せず;外観および再懸濁性は事実上変化しなかった。
【0165】
[実施例9]
本発明によるギビノスタット懸濁液の、ギビノスタット溶液と比較しての嗜好性の評価
【0166】
本発明によるギビノスタット懸濁液(実施例1および実施例6の組成物、この嗜好性調査のために製剤AおよびBと呼ぶ)の嗜好性を、以下の組成物と比較して評価した:
【0167】
・製剤AおよびBと同様の組成を有しているが、酒石酸緩衝液がリン酸緩衝液と置き換えられている、本発明による懸濁液(この嗜好性調査のために製剤CおよびDと呼ぶ)。
【0168】
・製剤AおよびBと同様の組成を有しているが、ソルビトールが、甘味強度を埋め合わせるような添加量(ソルビトールはスクロースの約0.6倍の甘味強度を有し、サッカリンナトリウムはスクロースの約450倍の甘味強度を有するので、40% w/v濃度のソルビトールの甘味強度は、0.055% w/vの濃度のサッカリンナトリウムの添加により埋め合わされた)のサッカリンナトリウムと入れ替えられている、本発明による懸濁液(この嗜好性調査のために製剤EおよびFと呼ぶ)。
【0169】
・pH5および6のリン酸緩衝液のギビノスタット比較溶液であって、製剤EおよびFに存在するのと同じ濃度のサッカリンナトリウムを含み(したがって、前述の製剤と同等の甘味強度を有する)、約2mg/mL(0.2% w/v)の溶液として製剤化できる、およそギビノスタット最大濃度で調製した比較溶液(この嗜好性調査のために製剤GおよびHと呼ぶ)。
【0170】
以下の手順に従い、それぞれの製剤の試料を、三人の調査員(本明細書では「パネリスト」と呼ぶ)により盲検で評価した:
【0171】
・試料は、同じ黒いガラスボトル中に、無記名で(ボトルは、準備された製剤に対応するアルファベット文字のみで識別され、したがってパネリストは味をみる必要がある試料を知ることはできない)、独立した調査員により用意された;
【0172】
・それぞれのパネリストは、5mLのそれぞれの製剤をランダムに受け取る。投与された量の試料は、口内で約5秒間保ち、および口の中でごろごろさせ、次に口から吐き出された。パネリストは、試料を吐き出した後、少なくとも5分間は天然水で口をすすぐことを許されなかった;
【0173】
・一の味覚試験と次の試験の間は、少なくとも2時間の洗浄期間が保たれた;
【0174】
・1日あたり最高で4試料まで、それぞれのパネリストによって試験および評価された;
【0175】
・一般的な「口の感覚」に基づいて、投与後すぐにパネリストに初期評価が要求され、具体的には、以下について、彼らの意見を示すよう求められた:
○甘味/苦味の知覚(以下の任意の尺度を用いた:0=とても甘い、1=甘い、2=わずかに甘い、3=わずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない、4=わずかに苦い、5=苦い、6=とても苦い)
○快適性の感覚(以下の任意の尺度を用いた:0=とても良い、1=良い、2=許容可能、3=許容可能と良くはないの間で区別できない、4=良くはない、5=悪い、6=とても悪い)
【0176】
・2回目の評価は、後味に関して、一般的な「口の感覚」に基づき、投与から5分後にパネリストに要求された(以下の任意の尺度を用いた:0=とても甘い、1=甘い、2=わずかに甘い、3=わずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない、4=わずかに苦い、5=苦い、6=とても苦い)
【0177】
結果は次のように要約できる:
−実施例1および6の組成を有するギビノスタット懸濁液1% w/v(製剤AおよびB)
○甘味/苦味の知覚:1から2の評価(甘い、またはわずかに甘い)
○快適性:1から2の評価(良い、または許容可能)
○後味:2から3の評価(わずかに甘い、またはわずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない)
【0178】
−実施例1および6の組成を有するが、酒石酸緩衝液がリン酸緩衝液に置き換えられた、ギビノスタット懸濁液1% w/v(製剤CおよびD)
○甘味/苦味の知覚:2から3の評価(わずかに甘い、またはわずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない)
○快適性:2から3の評価(許容可能、または許容可能と良くはないの間で区別できない)
○後味:3から4の評価(わずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない、またはわずかに苦い)
【0179】
−実施例1および6の組成を有するが、ソルビトールが、甘味強度を埋め合わせるような添加量のサッカリンナトリウムと置き換えられている、ギビノスタット懸濁液1% w/v(製剤EおよびF)
○甘味/苦味の知覚:2から3の評価(わずかに甘い、またはわずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない)
○快適性:2から3の評価(許容可能、または許容可能と良くはないの間で区別できない)
○後味:3から4の評価(わずかに甘いとわずかに苦いの間で区別できない、またはわずかに苦い)
【0180】
−ギビノスタット溶液0.2% w/v(製剤GおよびH)
○甘味/苦味の知覚:4から5の評価(わずかに苦い、または苦い)
○快適性:4から5の評価(良くはない、または悪い)
○後味:5から6の評価(苦い、またはとても苦い)
【0181】
本発明の懸濁液を溶液(GおよびH)と比較した場合、溶液(GおよびH)は同じ甘味強度を有し、有効成分をより低い濃度で含む、という事実があるにも関わらず、本発明による懸濁液について、全ての場合に好ましい嗜好性特性を示した。
【0182】
特に、ソルビトールおよび酒石酸緩衝液を共に含む懸濁液(AおよびB)は、上述のような極めて優れた安定性だけでなく、非常に好ましい嗜好性特性を有する。
【0183】
したがって、本発明の懸濁液は、物理的および化学的に安定であり、口当たりがよく、これは当該技術分野における著しい改善を示す。特に、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤応答性のあらゆる疾患、特にギビノスタット応答性のあらゆる疾患の治療のために、液体投与形態でギビノスタットの経口投与を行う際に、カプセルまたは錠剤などの固形医薬形態の嚥下に問題を有する全ての患者(例えば、高齢者、小児科患者、または化学療法計画を受ける患者が挙げられるが、これらの者に限らない)において著しい改善を示す。