【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
【0051】
実施例で用いた樹脂原料は以下の通りである。
(1)ポリオレフィン系樹脂層
PP樹脂:「3080」
(Formosa Polypropylene Co.,Ltd.製、MI:8.5g/10min.(190℃、2.16kgf)、Block−PP)
(2)酸素バリア性樹脂層
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH) 「エバールJ171B」
(クラレ社製、MI:1.7g/10min.(190℃、2.16kgf)、エチレン含量32mol%)
(3)接着層
変性ポリオレフィン系重合体(変性PO) 「モディックF502C」
(三菱化学社製、MI:1.3g/10min.(190℃、2.16kgf))
(4)ポリスチレン系樹脂層
HIPS樹脂:「4241」
(Total Petrochemicals社製、
MI:4.0g/10min.(200℃、5.0kgf))
【0052】
この多層樹脂シートを下記条件にて加熱成形を行い、
図3に示す容器を得た。
使用機器:浅野研究所社製 真空圧空成形機
加熱ヒーター:非接触式遠赤外線ヒーター
シート表面温度:シート構成により適宜シート表面温度を調整
また、多層樹脂シート及び容器の各種評価を下記の方法で行った。結果を表1に示す。
【0053】
(1)シートの反り評価
図2に示すように、シートの流れ方向(MD)と幅方向(TD)に対して45度の角度で、長さが120mmとなる切れ目を入れた後、シートの最大の反り上がり高さを金尺を用いて測定した。
【0054】
(2)容器の反り評価
図3に示すように、1個あたりの寸法が横44mm、縦55mmであり絞り比が0.5の容器を20個多列式に成形した。その多列成形品のフランジ部が下方となるよう、平坦な面の上に静置した後、平坦面から容器/フランジ部の浮き上がった部分までの最大の高さを金尺を用いて測定した。
【0055】
(3)耐油性評価
シートの耐油性評価を
図4に示す方法にて行った。
幅15mm、長さ200mmのシート試験片を固定治具の間に円弧状に歪がかかった状態で固定し、最上部に大豆油を浸したガーゼを置いた。この時、固定治具の幅は130mmとなるように固定する。また、シートの側面から大豆油が入らないように注意する。経過日数ごとにガーゼに大豆油が乾燥しない程度に滴下し、30日間連続でこの評価を実施し、シートの亀裂や破断の発生の有無につき以下の基準で判定を行った。
A:亀裂や破断の発生が一切無し
B:僅かにシート表面に亀裂の発生が見られる
C:完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認される
【0056】
(4)酸素透過率測定
シートの酸素透過率を、以下の方法にて測定した。
[測定方法] GB/T 1038準拠
使用機器:LabThink社製 VAC−V1
測定条件:23℃×65%R.H.
サンプルセット:基本的に、容器成形後の実用性を鑑みて、シートサンプルの下皮層側から酸素が透過するような向きにサンプルをセットする。
【0057】
(5)水蒸気透過率測定
シートの水蒸気透過率を、以下の方法にて測定した。
[測定方法] GB/T 1037準拠
使用機器:LabThink社製 W3/031
測定条件:40℃×90%R.H.
【0058】
(6)成形性
図3に挙げた容器用の成形金型を用い、熱成形する際の成形性を以下の基準で評価した。
A:成形性良好
B:成形後の容器の一部に厚みの薄い箇所が見られる
C:成形金型通りの賦形性が得られていない。若しくは成形外観不良が見られる。
<実施例1>
【0059】
3台の45mm単軸押出機、1台の65mm単軸押出機、1台の105mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、ポリオレフィン系樹脂にPP樹脂を用い、ポリオレフィン系樹脂層(10)40μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)340μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が9%、総厚が450μmとなる多層樹脂シート得た。
【0060】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.8g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.5cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが13mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例2>
【0061】
ポリオレフィン系樹脂層(10)150μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)680μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が17%、総厚が900μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0062】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.4cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが15mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例3>
【0063】
ポリオレフィン系樹脂層(10)80μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)950μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が7%、総厚が1100μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0064】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.6cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが9mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例4>
【0065】
ポリオレフィン系樹脂層(10)50μm/接着層(11a)10μm/酸素バリア性樹脂層(12)30μm/接着層(11b)10μm/ポリスチレン系樹脂層(13)900μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が5%、総厚が1000μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0066】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.7cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが7mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例5>
【0067】
ポリオレフィン系樹脂層(10)30μm/接着層(11a)20μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)20μm/ポリスチレン系樹脂層(13)1090μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が3%、総厚が1200μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0068】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.6cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが5mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0069】
上記実施例1〜5ではポリオレフィン系樹脂にPP樹脂を用いたが、ポリオレフィン系樹脂に、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のポリオレフィンの単独重合体などいずれか1の樹脂を用いてもよい。この場合、実施例1〜5の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0070】
一方、実施例1に比べ、ポリオレフィン系樹脂層の合計厚みや表皮層となるポリスチレン系樹脂層の厚みなどを小さくさせたり、水蒸気バリア性樹脂層をポリスチレン系樹脂層にて形成させたりする変更例を比較例としてそれぞれの性能について以下のように評価した。
<比較例1>
【0071】
1台の65mm単軸押出機により、ポリスチレン系樹脂層450μmという単層構成のシートを得た。実施例1に比べ、本比較例の特徴は樹脂シートがポリスチレン系樹脂層のみの単層で構成されている。
【0072】
当該比較例から得た単層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が7.0g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が350cc/m
2・dayである。また、当該単層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がCランクと評価され、当該単層樹脂シートのそりに対して評価した結果、単層樹脂シートのそりが12mmとなる。さらに、当該単層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0073】
それぞれの評価基準に照らしたところ、酸素透過率が10cc/m
2・dayより遥かに大きいとともに、耐油性の評価では完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認されたため、耐油性では不合格である。
<比較例2>
【0074】
表皮層がポリスチレン系樹脂から構成されている以外、他の方法は実施例1と同様として多層樹脂シートを得た。
【0075】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が4.2g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が1.2cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がCランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが15mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0076】
それぞれの評価基準に照らしたところ、耐油性の評価では完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認されたため、耐油性は不合格である。
<比較例3>
【0077】
ポリオレフィン系樹脂層(10)200μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)330μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が33%、総厚が600μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0078】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が0.8cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが43mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がCランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが12mmとなっている。
【0079】
それぞれの評価基準に照らしたところ、多層樹脂シートのそりが43mmであり、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の反りが12mmとなっているため、従来技術の課題を解決していない。また、成形性に対する評価の結果、成形金型通りの賦形性が得られていないため、成形した容器は不合格である。
<比較例4>
【0080】
ポリオレフィン系樹脂層(10)25μm/接着層(11a)10μm/酸素バリア性樹脂層(12)30μm/接着層(11b)10μm/ポリスチレン系樹脂層(13)120μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が13%、総厚が195μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0081】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.9g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が1.0cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが11mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がBランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0mmとなっている。
【0082】
それぞれの評価基準に照らしたところ、成形性がBランクと評価されたため、使用中において、成形後の容器における厚みの薄い箇所が破れて、水蒸気または酸素の侵入によってバリア性が低下してしまう恐れがある。
<比較例5>
【0083】
ポリオレフィン系樹脂層(10)40μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μmと下皮層が表皮層と同一の樹脂を用いたポリオレフィン系樹脂層340μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が84%、総厚が450μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0084】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m
2・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が0.8cc/m
2・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが9mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がBランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0mmとなっている。
【0085】
それぞれの評価基準に照らしたところ、成形性がBランクと評価されたため、使用中において、成形後の容器における厚みの薄い箇所が破れて、水蒸気または酸素の侵入によってバリア性が低下してしまう恐れがある。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
上記実施例1〜3及び比較例1〜5の結果によれば、表皮層となるポリプロピレンおよびポリエチレンを含むポリオレフィン系樹脂層と、接着層と、酸素バリア性樹脂層と、下皮層となるポリスチレン系樹脂層を含む樹脂層とから形成されてなり、シート全体の厚みを200〜1300μmとし、ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1%〜30%とするように複数の樹脂層を積層して形成される多層樹脂シートは、優れた熱成形性、耐油性をあわせ持ち、シートの反りを抑制することができる。
【0089】
また、前記酸素バリア性樹脂層の厚みが10〜50μmであり、酸素透過率が10cc/m
2・day以下である。
【0090】
さらに、上記の構成を有する多層樹脂シートはその水蒸気透過率が10g/m
2・day以下である。
【0091】
従って、上記のように構成された多層樹脂シートによれば、優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、シートの反りを抑制することができる。
【0092】
また、上記のように構成した多層樹脂シートを成形してなる成形容器は優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、且つ、熱成形後の反りを抑制することができる。