特許第6800972号(P6800972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800972
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】多層樹脂シート及び成形容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20201207BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20201207BHJP
   B32B 1/02 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B32B27/30 B
   B32B27/32 C
   B32B1/02
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-523231(P2018-523231)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】JP2016068681
(87)【国際公開番号】WO2017221375
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2019年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】徳永 久次
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−315370(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/087696(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/087695(WO,A1)
【文献】 特開昭59−120453(JP,A)
【文献】 特開2006−181797(JP,A)
【文献】 特開2006−021409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00−43/00
B65D81/18−81/30
B65D81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂層を積層して形成される多層樹脂シートであって、
表皮層となるポリオレフィン系樹脂層と、接着層と、酸素バリア性樹脂層と、下皮層となるポリスチレン系樹脂層を含む樹脂層とから形成されてなり、
シート全体の厚みを200〜1300μmとし、
ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1%〜30%とし、
前記ポリオレフィン系樹脂層が、ホモプロピレンブロックを連続相としてエチレンプロピレンゴム(EPR)が分散層を形成しているブロックポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする多層樹脂シート。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を5%以上10%未満とすることを特徴とする請求項に記載の多層樹脂シート。
【請求項3】
酸素バリア性樹脂層の厚みが10〜50μmであり、酸素透過率が10cc/m2・day以下であることを特徴とする請求項に記載の多層樹脂シート。
【請求項4】
水蒸気透過率が10g/m2・day以下であることを特徴とする請求項に記載の多層樹脂シート。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の多層樹脂シートをポリオレフィン系樹脂層が容器の内面に位置するよう熱成形してなることを特徴とする成形容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイバリア性を有する多層樹脂シート、及びそれを熱成形してなる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料水や果汁飲料、嗜好飲食品等の容器としては、熱成形性、剛性に優れたポリスチレン系樹脂が用いられてきた。しかし、近年、ポリスチレン系樹脂層を最外層としてその中間に変性ポリオレフィン系樹脂等の接着層を介してエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層を設けて酸素バリア性を付与し、内容物の酸化による品質低下を抑えた多層樹脂シート及びそれからなる多層容器が普及している(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、ケイ素含有高分子と、熱可塑性樹脂と、を含むガスバリア材料を用い、熱可塑性樹脂のガラス転移温度を100℃以上の値とするととともに、ガスバリア材料につき、プラズマイオン注入処理してあることを特徴とし、当該ケイ素含有高分子がポリシラザン化合物であり、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、シクロポリオレフィン樹脂、およびポリサルフォン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであるにガスバリアシートが提案されている。
【0004】
更に、酸素及び水蒸気などのガスや湿気に対するバリア性及び耐溶剤性を有する光学樹脂シートが提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
より具体的には、光学的に透明な樹脂シートの少なくとも一方の表面に、ポリシラザン系無機重合体を主成分とする塗布膜を形成した後、それに対して加熱硬化処理を行うことによって、厚さ0.02〜5μmのガスバリア層を備えることを特徴としている。
【0006】
特許文献4には、テレフタル酸、エチレングリコール及び、1,4−シクロヘキサンジメタノールの3成分の共重合樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物からなる保香性樹脂層、ポリアミド樹脂からなる耐衝撃性付与層と、水蒸気バリア性樹脂層、ガスバリアー性樹脂層および熱可塑の支持体樹脂層とを順次積層してなる複合シートが提案されている。
【0007】
特許文献5には、バリア性樹脂層の片面にポリプロピレン系樹脂を積層し、このポリプロピレン系樹脂層の合計厚みをシート全体の厚みに対して10〜40%とすることで薄肉化しても、バリア性(特に酸素バリア性)、成形性、及び剛性や強度等の機械的特性に優れるシートが提案されている。
【0008】
一般に、食品等が収納された容器の内容物にポリフェノールやタンニン、カテキンといった成分が含まれる場合、溶存酸素または容器外から透過された酸素との強力な酸化作用により変色や変質、品質劣化が起こることが知られている。また上記以外にも、例えば、ヨーグルト成分に含まれるビフィズス菌等の嫌気性成分についても溶存酸素または容器外から透過された酸素により菌数が死滅して減少するといった現象が起こることが知られている。
【0009】
一方で、ミルクポーション等の成分中に水分を多分に含む液状物が収納されている容器では、容器構成に水蒸気バリア性を有する層がない場合、成分中の水分が水蒸気として容器外に散逸することで液状物の粘度が上昇して出にくくなる、または、変色するといった現象が起きる。
【0010】
また、食品等が収納された容器を運搬する場合、運搬中の振動や外部の温度環境から容器そのものの破損を防ぐためや容器の内容物の品質低下を抑制する目的として、梱包材の中に多数の容器を積層して保護する、もしくは温度管理された運搬方式が適用される。しかしながら、容器に収納される食品類には油脂成分を含むものも多く、油脂成分がその分子骨格中に極性基を有する場合、容器を構成する樹脂の極性基と反応することで容器の強度が低下し、運搬や保管の際の取り扱いにより容器が破損して内容物が流出してしまう可能性がある。
【0011】
特許文献5では、耐油性を持つポリプロピレン系樹脂をシートの最表面に形成させ、更にスチレン系樹脂、スチレン−ジエン系共重合体及びオレフィン系樹脂で構成された樹脂組成物層を支持層として形成させるシート構成が提案されている。しかしながら、結晶性のポリプロピレン系樹脂と非結晶性のスチレン系樹脂を積層することで容器成形後に反りが発生し易くなり、蓋材とのシール性不良や容器としての外観が悪くなるといった課題が起きる可能性が考えられる。
【0012】
特許文献1〜5には、上記の酸素や水蒸気といった容器の内容物に影響を与える成分を遮断する特性を主眼とした記載がされている。しかしながら、上記のような耐油性や容器の外観や機能性に影響を及ぼす反りといった付加性能について網羅することが考慮された構成とはされていない。
【0013】
【特許文献1】特開平11−58619号公報
【特許文献2】WO2013175911A1公報
【特許文献3】特開平8−169078号公報
【特許文献4】特開2000−108288号公報
【特許文献5】特許第3967899号
【発明の概要】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、且つ、シートおよび熱成形後の反りを抑制するハイバリア性の多層樹脂シート、及びそれを成形してなる成形容器を提供することを目的とする。
【0015】
すなわち、本発明者は、前記特性を具備することを目的として鋭意検討した結果、複数の樹脂層を積層して形成される多層樹脂シートであって、表皮層となるポリオレフィン系樹脂層と、接着層と、酸素バリア性樹脂層と、下皮層となるポリスチレン系樹脂層を含む樹脂層とから形成されてなり、シート全体の厚みを200〜1300μmとし、ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1%〜30%とすることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
また、前記ポリオレフィン系樹脂層がブロックポリプロピレン樹脂から形成されていることが好ましい。ここでブロックポリプロピレン樹脂とは、ホモプロピレンブロックを連続相としてエチレンプロピレンゴム(EPR)が分散層を形成しているものをさす。
【0017】
また、前記ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を5%以上且つ10%未満とすることがより好ましい。
【0018】
また、前記酸素バリア性樹脂層の厚みが10〜50μmであり、酸素透過率が10cc/m・day以下であることが好ましい。
【0019】
また、上記のように構成した多層樹脂シートの水蒸気透過率が10g/m・day以下であることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、上記で構成された多層樹脂シートをポリオレフィン系樹脂層が容器の内面に位置するよう熱成形してなる成形容器を提供する。
【0021】
上記のように構成した多層樹脂シート、及びそれを成形してなる成形容器は優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、且つ、シートおよび熱成形後の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る多層樹脂シートの積層構造の一例を示す概略縦側断面図である。
図2】本発明の多層樹脂シートの反り評価の方法を示す概略図である。
図3】本発明の成形容器の一例とその反り評価の方法を示す概略図である。
図4】本発明における耐油性評価の方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、本発明の一実施形態としての多層樹脂シートは、酸素バリア性樹脂層12に接着層11aを介して最表面に表皮層となるポリオレフィン系樹脂層10が積層され、また、その反対側に同じく接着層11bを介してポリスチレン系樹脂層が積層されてなる。シート全体の厚みは200〜1300μmであり、ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1〜30%としている。より好ましくはポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を2%以上且つ10%未満とする。更に好ましくはポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を5%以上且つ10%未満とする。
【0024】
以下、上記多層樹脂シート及びそれを熱成形してなる成形容器について詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る多層樹脂シートの層構成は、ポリオレフィン系樹脂層/接着層/酸素バリア性樹脂層/接着層/ポリスチレン系樹脂層であり、簡素的には表皮層/接着層/酸素バリア層/接着層/下皮層との表記とする。下皮層には、本発明の多層樹脂シートや成形容器を製造する工程で発生するスクラップと称される部位を廃棄することなく、細かく粉砕して戻す若しくは熱溶融後にリペレット化して再生品として戻す層を新たに設けた構成としてもよい。
【0025】
また、下皮層側には、特に限定されないが、例えばダイレクト印刷や印刷されたフィルムを積層するといった方法により印刷面を設けた構成としてもよい。
【0026】
本発明におけるシート全体の厚みは200〜1300μmが好ましい。200μm未満であると熱成形後の容器の厚みが薄い箇所が形成されてしまうことで、座屈強度と称される圧縮や圧力に対する耐性を表す容器強度の低下により、例えば、容器の内面に内容物が収納された状態で運搬、保管される際の振動や圧縮により容器の変形や破損が発生する可能性がある。1300μmを超えると、熱成形の際にシートの厚み方向に十分に熱が伝わりにくくなり、成形不良が発生する可能性がある。
【0027】
上記の座屈強度の評価方法としては例えば、成形容器のフランジ部を下方として平滑な面の上に容器を静置し、上部となる容器底面の上に一定荷重の錘をのせて変形を確認する方法、もしくは、プッシュプルゲージと呼ばれる引張や圧縮にかかる荷重を測定する装置を用いて容器が変形する荷重を測定する方法などが挙げられるが、これに限定されず好適な方法により評価することができる。
【0028】
本実施形態の多層樹脂シートの製膜方法としては、特に限定されず、一般的な製膜方法を用いることができる。例えば、4台もしくはそれ以上の単軸または二軸押出機を用いて各々の原料樹脂を溶融押出し、セレクタープラグを内蔵したフィードブロックとTダイによって多層樹脂シートを得る共押出の方法や、マルチマニホールドダイを使用して多層樹脂シートを得る方法が挙げられる。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂層10は、その厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1〜30%とすることが好ましい。より好ましくはその層構成比率が2%以上且つ10%未満である。更に好ましくはその層構成比率が5%以上且つ10%未満である。ここで表記されている層構成比率とは、ポリオレフィン系樹脂層の厚みをシート全体の厚みで除した値から百分率で算出したものとする。シート全体に対する層構成比率が1%未満では、特にシート全体厚みが薄い場合にポリオレフィン系樹脂層として十分な厚みが確保できず、水蒸気バリア性等の機能性が発現されない可能性がある。また、30%を超えると表皮層を形成する結晶性のポリオレフィン系樹脂層が熱成形の際に加熱収縮が大きくなる傾向にあるのに対して、下皮層を形成する非結晶性のポリスチレン系樹脂層では加熱収縮が小さくなるために、表皮層と下皮層での加熱収縮率に差異が生じることで、シートもしくは熱成形後の容器に反りが発生する可能性がある。
【0030】
本発明に記載のポリオレフィン系樹脂から構成される表皮層10は、基本的にシートを熱成形した容器の内面(内容物と接触する面)に位置するものであり、主に、水蒸気バリア性や耐油性を持たせる目的で形成されるものである。また、熱湯が注がれるような容器に対しては90℃以上の熱湯温度に耐えうる樹脂を選定し、耐熱性を付与することが好ましい。
【0031】
上記のように構成された多層樹脂シートは、その水蒸気透過率が好ましくは10g/m・day以下であり、更に好ましくは5g/m・day以下である。10g/m・dayを超えると、熱成形容器の内容部が水分の透過により変質や変色が生じるものである場合に十分な抑制機能が発現しない可能性がある。
【0032】
本発明の構成におけるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のポリオレフィンの単独重合体が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0033】
ポリエチレン樹脂としては一般的なものとして挙げられる高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度 ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等を適用することができる。また、ポリプロピレン樹脂としてはホモポリマー、ランダムコポリマーとブロックコポリマーの何れも適用することができるが、本発明においては特にブロックコポリマーが好適に用いられる。ブロックコポリマーとしては、測定温度=190℃、剪断速度100〜300(1/sec)における粘度(Pa・s)が50000〜1000000であり、190℃〜230℃における粘度変化が0.5〜15Pa・s/℃の範囲の樹脂を使用することが更に好ましい。用いられるポリオレフィン系樹脂はシートや熱成形後の容器の外観が損なわれない程度に適宜ブレンドして用いることも可能である。
【0034】
本実施形態の酸素バリア性樹脂層12を構成する酸素バリア性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン等が代表的なものとして挙げられるがこれらに限定されるものではない。その中でも、押出成形性の面でエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂が好ましい。
【0035】
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、酸素バリア性、押出成形性を具備させる為に、エチレン含有量が10〜65モル%、好ましくは20〜50モル%で、鹸化度が90%以上、好ましくは95%以上のものが好ましい。
【0036】
また、ポリアミド樹脂としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−またはp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、並びにこれらの共重合体等が挙げられる。
【0037】
ポリアミド樹脂として、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等があり、中でもナイロン6、ナイロンMXD6が好適である。
【0038】
また、前記酸素バリア性樹脂層12の厚みは、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。10μm未満であると、シートを熱成形した後の容器において酸素バリア性樹脂層の厚みが極端に薄肉化することで、容器内に収納された内容物の酸化劣化による品質低下を抑える程の酸素バリア性能が得られない可能性があり、また、50μmを超えると、熱成形の後に施される容器の打ち抜き加工時に所謂ヒゲバリと呼ばれる外観不良が発生する可能性がある。
【0039】
前記酸素バリア性樹脂層12の酸素透過率は好ましくは10cc/m・day以下であり、更に好ましくは5cc/m・day以下である。10cc/m・dayを超えると、熱成形容器の内容部が酸化劣化するものである場合に十分な抑制機能が発現しない可能性がある。
【0040】
本実施形態の接着層11a,11bを構成する樹脂としては、変性ポリオレフィン系重合体が好ましい。接着層を構成する変性ポリオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のポリオレフィンの単独重合体、それらのポリオレフィンとエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のポリオレフィンや酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリスチレン等のビニル化合物との共重合体等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のポリオレフィン系ゴムを、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、または、その酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸グリシジル等でグラフト反応条件下に変性したものが代表的なものとして挙げられる。
【0041】
変性ポリオレフィン系重合体として、中でも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特にマレイン酸またはその無水物で変性したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、またはエチレン−プロピレンまたはブテン−1共重合体ゴムが好適である。
【0042】
接着層の厚みは、いずれの層も、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。5μm未満であると、十分な層間の接着強度が得られなくなる可能性があり、また、50μmを超えると、熱成形の後に施される容器の打ち抜き加工時に所謂ヒゲバリと呼ばれる外観不良が発生する可能性がある。
【0043】
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂層13を構成するポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、α−メチルポリスチレン、p−メチルポリスチレン、ジメチルポリスチレン、p−t−ブチルポリスチレン、クロロポリスチレン等のポリスチレン系モノマーの単独または共重合体、それらポリスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、例えばポリスチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、または、前記ポリスチレン系モノマーとさらに他のポリマー、例えば、ポリブタジエン、ポリスチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム質重合体の存在下にグラフト重合したグラフト重合体、例えばハイインパクトポリポリスチレン(HIPS樹脂)、ポリスチレンーアクリルニトリルグラフト重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0044】
ポリスチレン系樹脂として、中でもポリポリスチレン(GPPS樹脂)、ハイインパクトポリポリスチレン(HIPS樹脂)が成形容器の剛性、成形性の観点から好ましく、単体で使用することはもちろんのこと、適宜、ブレンド比率を調整することで配合して使用しても差し支えない。
【0045】
ポリスチレン系樹脂は、ブタジエンゴム成分を4〜8質量%含有することが好ましい。ブタジエンゴム成分含有量は、GPPSとHIPSのブレンドにより調整するのが簡便な方法であるが、HIPSの製造段階で調整しても構わない。4質量%未満であると実用上十分な容器強度が得られなくなる可能性があり、8質量%を超えると、特に熱盤を用いた熱成形時に熱盤付着等の不具合を引き起こす可能性がある。
【0046】
前記ポリスチレン系樹脂層13には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイルやアルキルエステル系等の離型剤、ガラス繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレー、シリカなどの粒状滑剤、スルホン酸とアルカリ金属などとの塩化合物やポリアルキレングリコール等の帯電防止剤及び紫外線吸収剤、抗菌剤のような添加剤を添加することができる。
【0047】
本実施形態のポリスチレン系樹脂層13の厚みは、好ましくは200〜900μm、より好ましくは300〜700μmである。200μm未満であると、成形後の容器各部の厚みがより均等にならない等、優れた熱成形性が発現されない可能性があり、また、900μmを超えると、熱成形の際にシートの厚み方向に十分に熱が伝わりにくくなり、成形不良が発生する可能性がある。
【0048】
図3に、本発明の成形容器の一例を示す。本発明の成形容器は、本発明の多層樹脂シートを熱成形してなる。熱成形方法としては、一般的な真空成形、圧空成形や、これらの応用として、シートの片面にプラグを接触させて成形を行うプラグアシスト法、また、シートの両面に一対をなす雄雌型を接触させて成形を行う、いわゆるマッチモールド成形と称される方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、成形前にシートを加熱軟化させる方法として非接触加熱である赤外線ヒーター等による輻射加熱やシートを加熱された熱盤に直接触れさせて軟化させる熱盤加熱等、公知のシート加熱方法を適用することができる。
【0049】
熱成形の際の成形温度は、樹脂の融点等を考慮して適切に設定されるが、シート加熱温度が低すぎると加熱成形後の容器の賦型状態が不十分であり、逆にシート加熱温度が高すぎると熱盤への融着等の不具合を起こす等の不良が発生する恐れがあるため、適宜の温度に設定することが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
【0051】
実施例で用いた樹脂原料は以下の通りである。
(1)ポリオレフィン系樹脂層
PP樹脂:「3080」
(Formosa Polypropylene Co.,Ltd.製、MI:8.5g/10min.(190℃、2.16kgf)、Block−PP)
(2)酸素バリア性樹脂層
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH) 「エバールJ171B」
(クラレ社製、MI:1.7g/10min.(190℃、2.16kgf)、エチレン含量32mol%)
(3)接着層
変性ポリオレフィン系重合体(変性PO) 「モディックF502C」
(三菱化学社製、MI:1.3g/10min.(190℃、2.16kgf))
(4)ポリスチレン系樹脂層
HIPS樹脂:「4241」
(Total Petrochemicals社製、
MI:4.0g/10min.(200℃、5.0kgf))
【0052】
この多層樹脂シートを下記条件にて加熱成形を行い、図3に示す容器を得た。
使用機器:浅野研究所社製 真空圧空成形機
加熱ヒーター:非接触式遠赤外線ヒーター
シート表面温度:シート構成により適宜シート表面温度を調整
また、多層樹脂シート及び容器の各種評価を下記の方法で行った。結果を表1に示す。
【0053】
(1)シートの反り評価
図2に示すように、シートの流れ方向(MD)と幅方向(TD)に対して45度の角度で、長さが120mmとなる切れ目を入れた後、シートの最大の反り上がり高さを金尺を用いて測定した。
【0054】
(2)容器の反り評価
図3に示すように、1個あたりの寸法が横44mm、縦55mmであり絞り比が0.5の容器を20個多列式に成形した。その多列成形品のフランジ部が下方となるよう、平坦な面の上に静置した後、平坦面から容器/フランジ部の浮き上がった部分までの最大の高さを金尺を用いて測定した。
【0055】
(3)耐油性評価
シートの耐油性評価を図4に示す方法にて行った。
幅15mm、長さ200mmのシート試験片を固定治具の間に円弧状に歪がかかった状態で固定し、最上部に大豆油を浸したガーゼを置いた。この時、固定治具の幅は130mmとなるように固定する。また、シートの側面から大豆油が入らないように注意する。経過日数ごとにガーゼに大豆油が乾燥しない程度に滴下し、30日間連続でこの評価を実施し、シートの亀裂や破断の発生の有無につき以下の基準で判定を行った。
A:亀裂や破断の発生が一切無し
B:僅かにシート表面に亀裂の発生が見られる
C:完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認される
【0056】
(4)酸素透過率測定
シートの酸素透過率を、以下の方法にて測定した。
[測定方法] GB/T 1038準拠
使用機器:LabThink社製 VAC−V1
測定条件:23℃×65%R.H.
サンプルセット:基本的に、容器成形後の実用性を鑑みて、シートサンプルの下皮層側から酸素が透過するような向きにサンプルをセットする。
【0057】
(5)水蒸気透過率測定
シートの水蒸気透過率を、以下の方法にて測定した。
[測定方法] GB/T 1037準拠
使用機器:LabThink社製 W3/031
測定条件:40℃×90%R.H.
【0058】
(6)成形性
図3に挙げた容器用の成形金型を用い、熱成形する際の成形性を以下の基準で評価した。
A:成形性良好
B:成形後の容器の一部に厚みの薄い箇所が見られる
C:成形金型通りの賦形性が得られていない。若しくは成形外観不良が見られる。
<実施例1>
【0059】
3台の45mm単軸押出機、1台の65mm単軸押出機、1台の105mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、ポリオレフィン系樹脂にPP樹脂を用い、ポリオレフィン系樹脂層(10)40μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)340μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が9%、総厚が450μmとなる多層樹脂シート得た。
【0060】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.8g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.5cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが13mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例2>
【0061】
ポリオレフィン系樹脂層(10)150μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)680μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が17%、総厚が900μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0062】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.4cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが15mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例3>
【0063】
ポリオレフィン系樹脂層(10)80μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)950μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が7%、総厚が1100μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0064】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.6cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが9mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例4>
【0065】
ポリオレフィン系樹脂層(10)50μm/接着層(11a)10μm/酸素バリア性樹脂層(12)30μm/接着層(11b)10μm/ポリスチレン系樹脂層(13)900μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が5%、総厚が1000μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0066】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.7cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが7mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
<実施例5>
【0067】
ポリオレフィン系樹脂層(10)30μm/接着層(11a)20μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)20μm/ポリスチレン系樹脂層(13)1090μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が3%、総厚が1200μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0068】
上記のように得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表1に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表1に示すように、その酸素透過率が0.6cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが5mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0069】
上記実施例1〜5ではポリオレフィン系樹脂にPP樹脂を用いたが、ポリオレフィン系樹脂に、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のポリオレフィンの単独重合体などいずれか1の樹脂を用いてもよい。この場合、実施例1〜5の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0070】
一方、実施例1に比べ、ポリオレフィン系樹脂層の合計厚みや表皮層となるポリスチレン系樹脂層の厚みなどを小さくさせたり、水蒸気バリア性樹脂層をポリスチレン系樹脂層にて形成させたりする変更例を比較例としてそれぞれの性能について以下のように評価した。
<比較例1>
【0071】
1台の65mm単軸押出機により、ポリスチレン系樹脂層450μmという単層構成のシートを得た。実施例1に比べ、本比較例の特徴は樹脂シートがポリスチレン系樹脂層のみの単層で構成されている。
【0072】
当該比較例から得た単層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が7.0g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が350cc/m・dayである。また、当該単層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がCランクと評価され、当該単層樹脂シートのそりに対して評価した結果、単層樹脂シートのそりが12mmとなる。さらに、当該単層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0073】
それぞれの評価基準に照らしたところ、酸素透過率が10cc/m・dayより遥かに大きいとともに、耐油性の評価では完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認されたため、耐油性では不合格である。
<比較例2>
【0074】
表皮層がポリスチレン系樹脂から構成されている以外、他の方法は実施例1と同様として多層樹脂シートを得た。
【0075】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が4.2g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が1.2cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がCランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが15mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がAランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0となっている。
【0076】
それぞれの評価基準に照らしたところ、耐油性の評価では完全にシートの破断が発生し、折れた状態が確認されたため、耐油性は不合格である。
<比較例3>
【0077】
ポリオレフィン系樹脂層(10)200μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μm/ポリスチレン系樹脂層(13)330μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が33%、総厚が600μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0078】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が0.8cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが43mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がCランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが12mmとなっている。
【0079】
それぞれの評価基準に照らしたところ、多層樹脂シートのそりが43mmであり、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の反りが12mmとなっているため、従来技術の課題を解決していない。また、成形性に対する評価の結果、成形金型通りの賦形性が得られていないため、成形した容器は不合格である。
<比較例4>
【0080】
ポリオレフィン系樹脂層(10)25μm/接着層(11a)10μm/酸素バリア性樹脂層(12)30μm/接着層(11b)10μm/ポリスチレン系樹脂層(13)120μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が13%、総厚が195μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0081】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.9g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が1.0cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが11mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がBランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0mmとなっている。
【0082】
それぞれの評価基準に照らしたところ、成形性がBランクと評価されたため、使用中において、成形後の容器における厚みの薄い箇所が破れて、水蒸気または酸素の侵入によってバリア性が低下してしまう恐れがある。
<比較例5>
【0083】
ポリオレフィン系樹脂層(10)40μm/接着層(11a)15μm/酸素バリア性樹脂層(12)40μm/接着層(11b)15μmと下皮層が表皮層と同一の樹脂を用いたポリオレフィン系樹脂層340μmという層構成を有し、ポリオレフィン系樹脂層の層構成比率が84%、総厚が450μm、他の方法は実施例1と同様の方法で多層樹脂シートを得た。
【0084】
当該比較例から得た多層樹脂シートに対し、その水蒸気透過率測定を行った結果、表2に示すように、その水蒸気透過率が0.7g/m・dayとなっている。また、その酸素透過率測定を行った結果、表2に示すように、その酸素透過率が0.8cc/m・dayである。また、当該多層樹脂シートの耐油性を評価したところ、耐油性がAランクと評価され、当該多層樹脂シートのそりに対して評価した結果、多層樹脂シートのそりが9mmとなる。さらに、当該多層樹脂シートを用いて成形される容器の成形性を評価したところ、成形性がBランクと評価され、当該成形容器の反りに対して評価した結果、当該成形容器の反りが0mmとなっている。
【0085】
それぞれの評価基準に照らしたところ、成形性がBランクと評価されたため、使用中において、成形後の容器における厚みの薄い箇所が破れて、水蒸気または酸素の侵入によってバリア性が低下してしまう恐れがある。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
上記実施例1〜3及び比較例1〜5の結果によれば、表皮層となるポリプロピレンおよびポリエチレンを含むポリオレフィン系樹脂層と、接着層と、酸素バリア性樹脂層と、下皮層となるポリスチレン系樹脂層を含む樹脂層とから形成されてなり、シート全体の厚みを200〜1300μmとし、ポリオレフィン系樹脂層の厚みがシート全体の厚みに対する層構成比率を1%〜30%とするように複数の樹脂層を積層して形成される多層樹脂シートは、優れた熱成形性、耐油性をあわせ持ち、シートの反りを抑制することができる。
【0089】
また、前記酸素バリア性樹脂層の厚みが10〜50μmであり、酸素透過率が10cc/m・day以下である。
【0090】
さらに、上記の構成を有する多層樹脂シートはその水蒸気透過率が10g/m・day以下である。
【0091】
従って、上記のように構成された多層樹脂シートによれば、優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、シートの反りを抑制することができる。
【0092】
また、上記のように構成した多層樹脂シートを成形してなる成形容器は優れた熱成形性、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐油性をあわせ持ち、且つ、熱成形後の反りを抑制することができる。
図1
図2
図3
図4