(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a) 0.1質量%から5質量%の、6から30個の炭素原子を含有するアルキル、アルキルエーテル、アルキルアミドエーテル基の硫酸エステル塩から選択される、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤と、
(b) 0.01質量%から5質量%の、ベタイン両性界面活性剤、アルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物からなる群から選択される、前記界面活性剤(a)と異なる少なくとも1つの第2の界面活性剤と、
(c)15質量%から50質量%のC1〜C4アルコールと、
(d)少なくとも1つの固体脂肪アルコールと、
を含み、前記量は組成物の総質量に対するものである、組成物。
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記アニオン性界面活性剤(a)が、前記組成物の総質量に対して、0.5質量%から3質量%までの範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
前記ベタイン両性界面活性剤が、ベヘニルベタイン、セチルベタイン、ココイルベタイン、デシルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はこれらの混合物から選択される、
請求項1に記載の組成物。
前記第2の界面活性剤(b)が、前記組成物の総質量に対して0.05質量%から2質量%までの範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
前記固体脂肪アルコール(d)が、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(シス-9-ヘキサデセン-1-オール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)、エルシルアルコール(シス-13-ドコセン-1-オール)又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
前記固体脂肪アルコールが、前記組成物の総質量に対して0.05質量%から10質量%までの量で前記組成物中に存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
前記油が少なくとも1つのアミド単位を構造に含有するもの、流動パラフィン若しくはその誘導体、スクアラン、イソエイコサン、液状ワセリン、ナフタレン油又はこれらの混合物から選択される、請求項17に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
水分補給、保湿、美白、洗浄等の皮膚利益を有する効率の高い製品を消費者に送り届けることが、常に、化粧品分野の最終的な目的であり続けている。
【0003】
皮膚をケアする全ての組成物のうち、マスクは、皮膚に対して高い浸透有効性を有することが知られている。その結果、中国ではマスク化粧料の2桁の市場拡大が見られた。
【0004】
慣用的に、マスクは、主要であり最も発展した分類であるティシューマスク(tissue mask)、夜に使用されるスリーピングマスク(sleeping mask)等のティシューを伴わないリーブオンマスク(leave-on mask)及び皮膚を洗浄するクレイマスク等の、ティシューを伴わないリンスオフマスク(rinse-off mask)の3つの主な分類に分けられる。最近では、シートマスク又はカプセルマスクが、新たな分類として知られている。
【0005】
上記に記述された皮膚用化粧品の利益をもたらすため、皮膚をケアするための組成物、特に皮膚をケアするための、リンスオフ又はリーブオン、ティシューを伴って又は伴わないで、活性成分を有するマスクを配合する努力が、現在行われている。これらのうち、美白が常に最も興味深い利益の1つである。
【0006】
多くの美白活性成分が現在まで知られている。例えば、アスコルビルグルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド又はヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体が、化粧品分野において美白効果について知られており、マスク等の化粧料に広く使用されている。
【0007】
上記に記述された目的と同等に重要である化粧料の他の目的は、使用品質である。組成物は、皮膚に容易に適用されるとき、心地よい皮膚感覚を示すとき又は適用の際に特有の変換を有するとき、消費者に好まれる。特に、適用の際の変換は、特有の目に見える変化のおかげで、消費者の注目をますます集めている。
【0008】
適用の際の色の変換、例えば、白色及び不透明から透明への色の変換は、消費者に好まれる目に見える美的側面のみならず、消費者が、化粧用組成物の浸透を促進するために一定時間にわたって皮膚をマッサージする目安と動機にもなる。したがって、活性成分によってもたらされる皮膚利益が増強される。
【0009】
しかし、従来技術のうちで、そのような目に見える色変換を有する、皮膚をケアするための組成物を開示しているものはない。
【0010】
その一方で、発泡特性を有する界面活性剤が、化粧料の適用の際に泡を発生するために広く使用されている。これらは、主に洗剤又は洗浄料に使用されている。色の変換は、これらの界面活性剤を有する化粧料を適用する際にも観察される。しかし、本発明者らは結果が不十分であること見出した。
【0011】
一方では、変換の持続時間が短いので、上記に記述された美的側面又は目安の目的を提供しておらず、例えば、色変換は、3分未満にわたって発生しうる(皮膚をケアする化粧料、特にマスクの適用における平均持続時間よりかなり少ない)。他方では、この料を皮膚に適用すると、白色は不均一になる。白色の痕跡及びむらが観察される。
【0012】
したがって、不透明から透明への改善された色変換を有する、ケラチン物質をケアするための組成物を配合する必要性が存在する。
【0013】
そのような改善は、相対的に長い持続時間、例えば5分以上はもとより、皮膚における白色の均一な塗布も必要である。
【0014】
水分補給及び保湿等の良好な皮膚感覚を伴う、上記に記載された組成物を配合する必要性も存在する。
【0015】
更に、一定時間にわたって十分な安定性を特に45℃等の高温下で有する、上記に記載された組成物を配合する必要性が存在する。
【0016】
より好ましくは、本発明の組成物は、上記に記述された全ての効果の上に、美白効果等の皮膚利益をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(a)アニオン性界面活性剤
本発明の組成物は、5質量%以下の、6から30個の炭素原子を含有するアルキル、アルキルエーテル、アルキルアミドエーテル基の硫酸エステル塩から選択される、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。
【0031】
アニオン性界面活性剤は、両親媒性の化合物を意味することが理解され、ここで、疎水性部分は、一般に金属性(Na若しくはK等のアルカリ金属)又はアンモニウムであるカチオン性対イオンを有するアニオン性親水性基を担持し、このため親水性基は極性であり、引き離されて水溶液中にアニオンを付与することができる。
【0032】
より詳細には、本発明によるアニオン性界面活性剤のアニオン性部分は、-OS(O)
2O-であり、アニオン性部分は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属等のカチオン性対イオン、又はアンモニウム等の有機カチオン性対イオンを含む。
【0033】
より詳細には、本発明によるアニオン性界面活性剤は、
(C
6〜C
30)アルキル硫酸エステル塩、(C
6〜C
30)アルキルエーテル硫酸エステル塩、(C
6〜C
30)アルキルアミドエーテル硫酸エステル塩から選択される、又は混合物が使用される。
【0034】
任意に、アニオン性界面活性剤は、1から4つのアルキレンオキシド基を含む。
【0035】
より好ましくは、アニオン性界面活性剤は、任意に1から4つのアルキレンオキシド基を含有するC
12〜C
24脂肪アルコールの硫酸エステル塩、任意に1から4つのアルキレンオキシド基を含有するC
12〜C
24脂肪アルコールエーテルの硫酸エステル塩、又はこれらの混合物から選択される。
【0036】
Huntsman社から名称Empicol(登録商標)AL 30/FL3で販売されているラウリル硫酸アンモニウム、BASF社から名称Texapon(登録商標)LS 30で販売されているラウリル硫酸ナトリウム、Cognis (BASF)社から名称Texapon(登録商標)AOS 225 UPにより、Rhodia社から名称Rhodapex(登録商標)esb-70/fla3により及びClariant社から名称Genapol(登録商標)LRO L'Oにより販売されている平均して2.2のエチレンオキシド基を含有するラウレス硫酸ナトリウム、Zhejiang Zanyu Technology社により名称SLES (N1EO)で販売されている、平均して1つのエチレンオキシド基を含有するラウレス硫酸ナトリウム、並びにBASF社から商品名Lanette(登録商標)E Granulesで販売されているセテアリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0037】
有利なことに、アニオン性界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から5質量%まで、好ましくは0.5質量%から3質量%までの範囲の量で組成物中に存在する。
【0038】
(b)第2の界面活性剤
本発明の組成物は、5質量%以下の、ベタイン両性界面活性剤、アルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物からなる群から選択される、界面活性剤(a)と異なる少なくとも1つの第2の界面活性剤を含む。
【0039】
ベタイン両性界面活性剤のうち、特に(C
8〜C
20)アルキルベタイン、(C
8〜C
20アルキル)アミド(C
2〜C
8アルキル)ベタイン又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
(C
8〜C
20)アルキルベタインのうち、ベヘニルベタイン、セチルベタイン、ココイルベタイン、デシルベタインを挙げることができる。
【0041】
アルキルベタインのうちではココイルベタインが好ましく、例えば、Rhodia社から商品名Mirataine(登録商標)BB/FLAで販売されている製品又はBASF社から商品名Dehyton(登録商標)AB 30で販売されている製品である。
【0042】
使用されうる、任意に四級化された第二級又は第三級脂肪族アミン誘導体のうち、下記のそれぞれの構造(A1)及び(A2)の生成物を挙げることもできる。
(A1)R
a-CON(Z)CH
2-(CH
2)
m-N
+(R
b)(R
c)(CH
2COO
-)
式中、
R
aは、加水分解されたココナツ油に好ましく存在する酸R
a-COOH、ヘプチル基、ノニル基又はウンデシル基から誘導されるC
10〜C
30アルキル又はアルケニル基を表し、
R
bは、β-ヒドロキシエチル基を表し、
R
cは、カルボキシメチル基を表し、
mは、0、1又は2に等しく、
Zは、水素原子又はヒドロキシエチル若しくはカルボキシメチル基を表し、
(A2)R
a'-CON(Z)CH
2-(CH
2)
m'-N(B)(B')
式中、
Bは、-CH
2CH
2OX'を表し、ここでX'は、-CH
2-COOH、CH
2-COOZ'、-CH
2CH
2-COOH、-CH
2CH
2-COOZ'又は水素原子を表し、
B'は、-(CH
2)
z-Y'を表し、ここでz=1又は2であり、Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH
2-CHOH-SO
3H又は-CH
2-CHOH-SO
3Z'を表し、
m'は、0、1又は2に等しく、
Zは、水素原子又はヒドロキシエチル若しくはカルボキシメチル基を表し、
Z'は、ナトリウム、カリウム若しくはマグネシウム等のアルカリ若しくはアルカリ土類金属からもたらされるイオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンから、特に、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン若しくはトリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等のアミノアルコールからもたらされるイオンを表し、
R
a'は、加水分解されたアマニ油又はココナツ油に好ましく存在する酸R
a'COOHのC
10〜C
30アルキル又はアルケニル基、アルキル基、特にC
17アルキル基及びそのイソ型又は不飽和C
17基を表す。
【0043】
式(A1)に相当する化合物が好ましい。
【0044】
式(A1)に相当する化合物のうち、コカミドプロピルベタイン、例えばCognis(BASF)社から商品名Dehyton PK 45で販売されている製品を挙げることができる。
【0045】
より好ましくは、第2の界面活性剤(b)、コカミドプロピルベタイン、ココイルベタイン又はこれらの混合物から選択され、好ましくはココイルベタインである。
【0046】
用語「アルキル(ポリ)グリコシド」は、アルキルポリグリコシド又はアルキルモノグリコシドを示し、また本特許出願において、1つ以上のアルキレンオキシド基でアルコキシル化されうる、優先的にはC
2〜C
4のアルキルグリコシドを指す。
【0047】
本発明によって単独で又は混合物として使用されるアルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤は、下記の式(III)により表すことができる。
R
7O-(R
8O)
t-(G)
v (III)
式中、
R
7は、約8から24個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状、飽和若しくは不飽和のアルキル基、又は直鎖状若しくは分枝状のアルキル基が8から24個の炭素原子を含有するアルキルフェニル基を表し、
R
8は、約2から4個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、
Gは、5又は6個の炭素原子を含有する糖単位を表し、
tは、0から10まで、好ましくは0から4までの範囲の値を示し、
vは、1から15までの範囲の値を示す。
【0048】
好ましくは、アルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤は、式(III)に相当し、式中、
R
7は、8から18個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和のアルキル基を示し、
Gは、グルコース、フルクトース又はガラクトース、好ましくはグルコースを示し、
tは、0から3までの範囲の値を示し、好ましくは0に等しく、
R
8及びvは、前に定義された通りである。
【0049】
例えば式(III)の指数vにより表される、アルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤の重合の程度は、平均して、1から15まで、好ましくは1から4までの範囲である。この重合の程度は、より詳細には、平均して、1から2まで、なお良好には1.1から1.5までの範囲である。
【0050】
糖単位の間のグリコシド結合は、1,6-又は1,4-結合であり、好ましくは1,4-結合である。
【0051】
本発明において使用されうる式(III)の化合物は、特に、Cognis社により名称Plantaren(登録商標)(600CS/U、1200及び2000)又はPlantacare(登録商標)(818、1200及び2000)で販売されている製品によって表される。SEPPIC社から名称Triton CG 110(若しくはOramix CG 110)及びTriton CG 312(若しくはOramix(登録商標)NS 10)で販売されている製品、BASF社から名称Lutensol GD 70で販売されている製品、又はChem Y社から名称AG10 LKで販売されている製品を使用することも可能である。
【0052】
例えば、Cognis社から参照名Plantacare(登録商標)818 UPで販売されている1,4-(C
8〜C
16)アルキルポリグルコシドを、溶液の総質量に対して53質量%の水溶液として使用することも可能である。
【0053】
これらの全てのアルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤のうち、BASF社から参照名Plantacare(登録商標)2000 UPで販売されているデシルグルコシド(INCI:Decyl glucoside)が、好ましく使用される。
【0054】
好ましい実施形態によると、組成物は、(C
8〜C
20)アルキルベタイン、式(III)のアルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤:
R
7O-(R
8O)
t-(G)
v (III)
[式中、
R
7は、8から18個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和のアルキル基を示し、
Gは、グルコース、フルクトース又はガラクトース、好ましくはグルコースを示し、
tは、0から3までの範囲の値を示し、好ましくは0に等しく、
R
8は、約2から4個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、
vは、1から15までの範囲の値を示す]、
又はこれらの混合物からなる群から選択される第2の界面活性剤(b)を含む。
【0055】
好ましくは、第2の界面活性剤(b)は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から5質量%まで、特に0.05質量%から2質量%までの範囲の量で組成物中に存在する。
【0056】
(c)C
1〜C
4アルコール
本発明の組成物は、10質量%以上の少なくとも1つのC
1〜C
4アルコールを含む。
【0057】
本発明によるアルコールは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、直鎖状若しくは分枝状、飽和若しくは不飽和のアルコール、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を有するジアルキレンアルコール、或いはこれらの混合物から好ましく選択されうる。
【0058】
直鎖状C
1〜C
4ヒドロキシアルキル、C
1〜C
4ジアルキレンアルコール、グリセリン又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0059】
エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
好ましくは、本発明のアルコールはグリセリンである。Oleon社から商品名Glycerine 4810又はIoi Group Oleochemical社からグリセリンMIN USP/BPで市販されているグリセリンを挙げることができる。
【0061】
特に、C
1〜C
4アルコールは、組成物の総質量に対して、10質量%から70質量%まで、より好ましくは15質量%から50質量%までの範囲の量で組成物中に存在する。
【0062】
(d)固体脂肪アルコール
本発明の組成物は、少なくとも1つの固体脂肪アルコールを含む。
【0063】
用語「脂肪アルコール」は、8から40個の炭素原子、好ましくは12から34個又は更には12から30個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヒドロキシル基OHを含む、長鎖脂肪族アルコールを意味する。これらの脂肪アルコールは、オキシアルキレン化もグリセロール化もされていない。
【0064】
「固体脂肪アルコール」は、室温(25℃)及び大気圧(780mmHg又は1atm)で固体であり、水不溶性であり、すなわち、水において1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満の溶解度を有する。
【0065】
好ましくは、固体脂肪アルコールはR-OH構造を有し、ここでRは、14個から30個の炭素原子を含む、任意に1つ以上のヒドロキシル基で置換されている飽和又は不飽和の直鎖アルキル基を示す。
【0066】
好ましくは、本発明において使用される固体脂肪アルコールは、14から30個の炭素原子を有する脂肪アルコールから選択される。
【0067】
固体脂肪アルコールとして、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(シス-9-ヘキサデセン-1-オール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)、エルシルアルコール(シス-13-ドコセン-1-オール)、リグノセリルアルコール(1-テトラコサノール)、セリルアルコール(1-ヘキサコサノール)、ミリシルアルコール又はメリシルアルコール(1-トリアコンタノール)を挙げることができる。
【0068】
より好ましくは、本発明によると、固体脂肪アルコールは、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)又はこれらの混合物等の14から22個の炭素原子を有するアルコールから選択される。
【0069】
より詳細には、固体脂肪アルコールは、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)又はこれらの混合物から選択される。
【0070】
固体脂肪アルコールには、主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物を含有する、BASF社から名称Lanette O Orで販売されているセテアリルアルコール、又は主にベヘニルアルコール、アラキジルアルコール及びステアリルアルコールの混合物を含有する、BASF社から名称Lanette 22で販売されているベヘニルアルコールを挙げることができる。
【0071】
1つの実施形態によると、固体脂肪アルコールは、組成物の総質量に対して、0.05質量%から10質量%まで、好ましくは0.1質量%から5質量%までの範囲の量で組成物中に存在する。
【0072】
好ましい実施形態によると、本発明は、
(a)0.5質量%から3質量%の、(C
6〜C
30)アルキル硫酸エステル塩から選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤と、
(b)0.05質量%から2質量%の、(C
8〜C
20)アルキルベタイン、アルキル(ポリ)グリコシド非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物からなる群から選択される、界面活性剤(a)と異なる少なくとも1つの第2の界面活性剤と、
(c)15質量%から50質量%のC
1〜C
4アルコールと、
(d)0.1質量%から5質量%の固体脂肪アルコールと
を含む、ケラチン物質、特に皮膚及び唇をケアするための組成物であって、
これらの量は組成物の総質量に対するものである、組成物に関する。
【0073】
(e)水性相
本発明の組成物は、少なくとも1つの水性相を更に含む。
【0075】
1つの実施形態によると、水性相は水を、場合によって水溶性添加剤及び/又は溶媒との混合物で含む。
【0076】
水性相は、例えば、上記の成分(c)として主張されたもの以外の、2から6個の炭素原子を有するモノアルコール;ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール等の、特に5から20個の炭素原子、好ましくは5から10個の炭素原子を有するポリオール;モノ、ジ若しくはトリプロピレングリコール(C
1〜C
4)アルキルエーテル、モノ、ジ若しくはトリエチレングリコール(C
1〜C
4)アルキルエーテル等のグリコールエーテル(特に、3から16個の炭素原子を有する)、及びこれらの混合物等の、水と(室温25℃で)混和性の有機溶媒を含むこともできる。
【0077】
1つの実施形態によると、本発明の組成物の水性相は、ポリオール、特にカプリリルグリコールを含む。
【0078】
水性相の量は、組成物の総質量に対して、例えば0.1質量%から99.9質量%まで、好ましくは0.5質量%から99質量%までの範囲でありうる。
【0079】
1つの実施形態によると、本発明の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から90質量%まで、好ましくは5質量%から80質量%まで、より好ましくは30質量%から75質量%までの範囲である。
【0080】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して50質量%を超える水を含む。
【0081】
水性相は、水溶性活性成分、防腐剤、塩、ゲル化剤、充填剤、追加の水溶性又は水分散性ポリマー、水溶性染料等の他の添加剤を含有することもできる。
【0082】
(f)油性相
本発明の組成物は、少なくとも1つの油性相を更に含む。
【0084】
好ましくは、油性相は、組成物の総質量に対して0.01質量%から50質量%までの範囲の量で組成物中に存在する。油性相は、少なくとも1つの油を含む。
【0085】
用語「油」は、室温(20から25℃)及び大気圧で液体形態の任意の脂肪体を指す。これらの油は、動物、植物、鉱物又は合成由来のものでありうる。
【0086】
油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0087】
用語「揮発性油」は、室温(20から25℃)及び大気圧(760mmHg)で1時間未満に皮膚又は唇から蒸発することができる任意の非水性媒体を指す。揮発性油は、室温で液体である揮発性の化粧用油である。より詳細には、揮発性油は、0.01から200mg/cm
2/分(範囲の両端を含む)の間の蒸発速度を有する。
【0088】
用語「不揮発性油」は、周囲温度及び大気圧で皮膚又はケラチン線維に残留する油を意味することが意図される。より詳細には、不揮発性油は、0.01mg/cm
2/分を厳密に下回る蒸発速度を有する。
【0089】
この蒸発速度を測定するため、15gの試験される油又は油混合物を直径7cmの晶析器に導入し、これを、25℃の温度に温度調節され、50%の相対湿度に湿度調節された0.3m
3の大型チャンバ内に配置された天秤に載せる。液体を放置して、溶媒を含有する晶析器の真上に、ブレードを晶析器に向け、且つ晶析器の基部に対して20cmの距離となるように配置されたファン(PAPST-MOTOREN社、参照名8550N、2700rpmで回転)を用いて換気することにより、撹拌せずに自然に蒸発させた。晶析器内に残っている油の質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位表面積(cm
2)あたり及び単位時間(分)あたりの蒸発した油のmgで表される。
【0090】
本発明に適している油は、炭化水素系、シリコーン系又はフッ素系でありうる。
【0091】
本発明によると、用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を指す。
【0092】
用語「フッ素油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を指す。
【0093】
用語「炭化水素油」は、主に水素原子及び炭素原子を含有する油を指す。
【0094】
油は、任意に、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル又は酸基の形態で含むことができる。
【0095】
より好ましくは、本発明の組成物は、炭化水素油を含む。
【0096】
とりわけ、揮発性油は、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えば商品名ISOPARS(登録商標)又はPERMETHYLS(登録商標)で販売されている油等、8から16個の炭素原子を有する炭化水素油、特に分枝状C
8〜C
16アルカン(イソパラフィン又はイソアルカンとも呼ばれる)から選択されうる。
【0097】
炭化水素揮発性油として、名称PARAFOL(登録商標)12-97及びPARAFOL(登録商標)14-97(Sasol)でそれぞれ販売されているドデカン(C
12)及びテトラデカン(C
14)等の直鎖状C
9〜C
17アルカン、並びに名称CETIOL(登録商標)UT(Cognis)で販売されているウンデカン(C
11)とトリデカン(C
13)との混合物等、国際出願WO2007/068371A1に記載されている方法によって得られるアルカンを引用することも可能である。
【0098】
不揮発性油は、特に、不揮発性の炭化水素油のうちから選択することができる。
【0099】
好ましくは、本発明に使用することができる不揮発性炭化水素油の例には、少なくとも1つのアミド単位を構造に含有するもの、流動パラフィン若しくはその誘導体、スクアラン、イソエイコサン、液状ワセリン(liquid petroleum jelly)、ナフタレン油又はこれらの混合物が含まれる。
【0100】
表現「少なくとも1つのアミド単位をその構造に含有する油」は、下記の種類の少なくとも1つのアミド基(又は機能)をその化学構造に含み、
【0102】
同時に、以下の特徴:
a)25℃で液体であること、
b)25℃で水に不溶性又は不混和性であること、
c)乳化特性のないこと
を有する、任意の化合物を意味することが、本記載の全体にわたって理解される。
【0103】
例えば、Merck社から商品名Repellent R3535で販売されているエチルN-アセチル-N-ブチルアミノプロピオネート、Ajinomoto社から名称Eldew(登録商標)SL-205で販売されているイソプロピルN-ラウロイルサルコシネート、又はShowa Denko社から商品名Deetで販売されているN,N-ジエチルトルアミドのような油を挙げることができる。
【0104】
Clariant社から商品名Plantasens(登録商標)オリーブスクアレンで市販されている、スクアレン等の生成物を挙げることもできる。
【0105】
特に好ましい実施形態において、組成物は、スクアレン、イソプロピルN-ラウロイルサルコシネート又はこれらの混合物から選択される少なくとも1つの油を更に含む。
【0106】
1つの実施形態によると、少なくとも1つの油(a)は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から5質量%まで、好ましくは0.05質量%から2質量%までの範囲の量で存在する。
【0107】
(g)添加剤
既知の方法において、本発明の組成物は、化粧品又は皮膚科学において慣用的な1つ以上の添加剤を含有することもできる。
【0108】
挙げることができる添加剤の例には、追加の乳化剤、活性剤、酸化防止剤、香料、塩基性剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン若しくは水酸化ナトリウム)又は酸性剤(クエン酸)、また脂質小胞又は任意の他の種類のベクター(ナノカプセル、マイクロカプセル等)、及びこれらの混合物が含まれる。
【0109】
美白活性成分等の活性剤を挙げることができる。例えば、アスコルビルグルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド、ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体である。
【0110】
例として、ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体を本発明に使用することが可能である。例えば、4-(1-フェニルエチル)-1,3-ベンゼンジオール若しくは4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼン、別名フェニルエチルレソルシノール若しくはフェニルエチルベンゼンジオール又はスチリルレソルシノールを使用することが可能である。この化合物は、CAS番号85-27-8を有し、SYMRISE社から名称SYMWHITE 377(登録商標)又はBIO 377で市販されている。
【0111】
本発明による組成物は、例えば、O/W型エマルションの任意のガレヌス形態、例えば、血清、乳液又はクリームの形態であってもよく、通常の方法により調製される。
【0112】
(h)方法及び使用
本発明の組成物は、皮膚、とりわけ顔面に適用することによって、皮膚及び唇、特に顔面及び唇等のケラチン物質をケアする美容方法(process)又は方法(method)等の方法に使用されうる。
【0113】
本発明は、ケラチン物質をケアする方法であって、前記ケラチン物質の表面に、少なくとも1つの本発明の組成物を適用することを含み、ケラチン物質が好ましくは皮膚及び唇、特に顔面であることを含む方法に関する。
【0114】
そのような方法は、白色から透明への色変換を含む。
【0115】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚及び唇をケアするための本発明の組成物の使用に関する。
【0116】
以下に続く実施例は、本発明による組成物及び方法を例示することを目的としているが、本発明の範囲をいかようにも限定するものではない。
【実施例】
【0117】
(実施例1)
本発明の配合物及び比較配合物の調製
本発明及び本発明以外(比較)による配合物を、table 1(表1)に提示された濃度に従って調製した。
【0118】
【表1】
【0119】
比較の配合物A'は、特許請求される第2の界面活性剤(b)を含有しない。
【0120】
比較の配合物B'は、特許請求される第2の界面活性剤(b)を含有しない。
【0121】
本発明及び比較の配合物を以下の工程に従って調製した。
1.A相を50℃で10分間加熱し、溶解するまで撹拌する。
2.B1相を80℃で20分間、均一になるまで加熱する。
3.B2相を80℃で10分間加熱し、溶解するまで撹拌し、次にB2相をB1相に導入し、5分間撹拌する。
4.B(B1+B2)相をA相に75℃で導入し、10分間回転させ、次に混合物を45℃に冷却し、C相を導入し、10分間回転させ、次に撹拌し、25℃に冷却する。
5.D及びE相を室温25℃でそれぞれ導入し、混合物を10分間撹拌する。
【0122】
機器:i-Tech社から販売されているホモジナイザーVMI
【0123】
(実施例2)
本発明の配合物及び比較配合物の評価
本発明の配合物及び比較配合物の安定性、色変換及び皮膚感覚を評価した。
【0124】
配合物の安定性は、配合物を4℃、25℃及び45℃で2か月間放置し、偏光下で顕微鏡を使用して配合物を観察することによって評価した。
【0125】
色変換を以下のプロトコールに従って評価した。
1.0.25gの本発明の配合物及び比較配合物を清潔な手の甲にそれぞれ一様に塗布する。
2.配合物を付けた手を穏やかに規則正しく20回マッサージし、配合物を手に付けたままにする。
3.白色から透明への色変化を15分間観察する。
4.配合物を手からすすぎ落とす。
色変換効果を、持続時間はもとより、皮膚への白色の均一な塗布によっても評価した。
【0126】
本発明の目的において、色変換の持続時間は、少なくとも5分間、好ましくは10〜15分間であることが期待される。
【0127】
白色が皮膚に均一に塗布されるほど、配合物の色変換効果が良好に表れる。
【0128】
本発明の配合物及び比較配合物を、顔面用マスクとして顔面皮膚に適用するために10人の消費者にそれぞれ提供し、次に水ですすぎ落とし、水分補給、保湿等の皮膚感覚を、消費者がそれぞれ評価し、スコア付けした。1.極めて不十分、2.不十分、3.許容される、4.極めて良好、5.最適で極上の感覚。
【0129】
評価の結果は以下の通りである。
【0130】
【表2】
【0131】
全ての配合物は、水分補給及び保湿の皮膚感覚を有している。
【0132】
全ての配合物は安定していることが観察されている。
【0133】
比較配合物A'及びB'と比較して、本発明の配合物A、B及びCは、全て、適切な持続時間及び白色の均一塗布の両方に関して改善された色変換を有する。