特許第6801076号(P6801076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6801076ストリップを巻き取るための巻取りシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801076
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】ストリップを巻き取るための巻取りシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/22 20060101AFI20201207BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B65H19/22
   B29D30/06
【請求項の数】35
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-502092(P2019-502092)
(86)(22)【出願日】2018年4月25日
(65)【公表番号】特表2019-534830(P2019-534830A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(86)【国際出願番号】NL2018050265
(87)【国際公開番号】WO2018208146
(87)【国際公開日】20181115
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】2018889
(32)【優先日】2017年5月10日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519009895
【氏名又は名称】ブイエムアイ・ホラント・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】VMI Holland B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハマー、ヤープ
(72)【発明者】
【氏名】メイエルス、ピーテル・コルネルス
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−215584(JP,A)
【文献】 特開平07−100531(JP,A)
【文献】 特表2014−512992(JP,A)
【文献】 特開平05−000322(JP,A)
【文献】 特表2016−531449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00
B65H 19/00
B65H 20/00
B65H 21/00
B65H 39/00
B29D 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップを巻き取るための巻取りシステムであって、前記巻取りシステムは、第1のワークステーションと、前記ストリップを前記第1のワークステーションに供給方向に供給するための第1の供給部材とを備え、前記第1のワークステーションは、
複数の巻き線にわたって前記ストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第1の回収リールを保持するための第1の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第1のライナリールを保持するための第1のライナエリアと、
前記第1のライナエリアから前記第1の回収エリアへと延在する第1のガイドエリアと
を備え、ここにおいて、前記巻き出されるライナは、前記第1のライナエリアにある前記第1のライナリールから前記第1のガイドエリアを通して前記第1の回収エリアにある前記第1の回収リール上に巻き出されるように配設されており、
前記巻取りシステムは、ピックアップ位置において前記第1の供給部材から前記ストリップの先端をピックアップするための、及び、前記第1のガイドエリア内の配置位置において前記ライナ上に前記ストリップの前記ピックアップされた先端を配置するためのピックアンドプレース部材を更に備える、
巻取りシステム。
【請求項2】
前記巻取りシステムは、前記第1の供給部材の上方の前記ピックアップ位置から前記第1のガイドエリア内の前記巻き出されるライナにおける前記配置位置へと前記ピックアンドプレース部材を動かすためのマニプレータを備える、請求項1に記載の巻取りシステム。
【請求項3】
前記ピックアンドプレース部材は、ヘッドと、前記ヘッドに前記ストリップの前記先端を、それがピックアップされた瞬間から少なくとも前記ストリップの前記先端が前記ライナ上に配置されるまで保持するための1つ又は複数の保持要素とを備える、請求項2に記載の巻取りシステム。
【請求項4】
前記ストリップは、金属を備え、前記1つ又は複数の保持要素は、少なくとも1つの磁石を備える、請求項3に記載の巻取りシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の保持要素は、少なくとも1つの真空要素を備える、請求項3に記載の巻取りシステム。
【請求項6】
前記マニプレータは、XYドライブである、請求項2−5のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項7】
前記ピックアンドプレース部材は、前記ストリップの前記配置された先端を前記第1のガイドエリア内の前記配置位置から前記第1の回収エリアにある前記第1の回収リールに向かって送り込みそれと接触させるためのフィードスルー部材を備える、請求項1−6のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項8】
前記フィードスルー部材は、フィードスルーコンベヤである、請求項7に記載の巻取りシステム。
【請求項9】
前記フィードスルー部材は、フィードスルー平面を定義し、前記フィードスルー平面において前記ストリップを送り込むために配設されており、ここにおいて、前記ピックアンドプレース部材は、前記供給方向に対して前記フィードスルー部材の下流に位置している偏向ローラを備え、前記偏向ローラは、前記フィードスルー平面と平行にかつ前記供給方向と垂直に延在する偏向軸を中心として前記フィードスルー部材に対して回転可能であり、前記偏向ローラは、前記フィードスルー平面から離れるように前記ストリップを偏向させるために前記偏向ローラが少なくとも部分的に前記フィードスルー平面と交わる偏向位置に配置可能である、請求項7又は8に記載の巻取りシステム。
【請求項10】
前記ピックアンドプレース部材は、前記偏向ローラに又はその中に追加の保持要素を備える、請求項9に記載の巻取りシステム。
【請求項11】
前記ピックアンドプレース部材には、前記ピックアップ位置では前記ストリップと平行にかつ前記配置位置では前記巻き出されるライナと平行に延在するために前記ピックアンドプレース部材がチルト軸を中心として前記マニプレータに対してチルト可能であるように、前記ピックアンドプレース部材を前記マニプレータに連結するために配設されているチルトヒンジが設けられている、請求項2−5のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項12】
前記巻取りシステムは、前記第1の供給部材の供給速度を制御するために前記第1の供給部材に操作上連結されている制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記ピックアップ位置において前記ストリップをピックアップするとき前記供給速度に等しいフィードスルー速度で前記供給方向に前記ストリップを送り込むための前記フィードスルー部材に操作上更に連結されている、請求項7−10のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記配置位置から前記第1の回収リールに向かって前記ストリップを送り込むとき、前記第1の回収リールの巻取り速度と一致するように前記フィードスルー速度を調整するために配設されている、請求項12に記載の巻取りシステム。
【請求項14】
前記第1のワークステーションは、前記第1の供給部材から前記第1のガイドエリアに向かって前記ストリップの弛み部分をガイドするための、前記第1の供給部材と前記第1のガイドエリアとの間に延在する第1の弛みエリアを備え、前記巻取りシステムには、前記第1の弛みエリアに、前記ストリップの弛みの量を検出するための第1のセンサが設けられており、前記制御ユニットは、前記ストリップが前記ライナ上に配置された瞬間に前記供給速度より遅い速度まで前記フィードスルー速度を下げるために、及び、閾値量の弛みが検出されたときに前記第1の回収リールの前記巻取り速度と一致するように前記フィードスルー速度を調整するために、配設されている、請求項12又は13に記載の巻取りシステム。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記先端が前記第1の回収リールと係合されたときに前記ピックアンドプレース部材から前記ストリップを解放するために前記ピックアンドプレース部材に操作上連結されている、請求項12−14のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項16】
前記マニプレータは、ロボットアームを備える、請求項2−5のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項17】
前記マニプレータは、少なくとも4つの自由度を有する、請求項16に記載の巻取りシステム。
【請求項18】
前記巻取りシステムは、前記第1の供給部材の供給速度を制御するために前記第1の供給部材に操作上連結されている制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記ピックアップ位置において前記ストリップをピックアップするとき前記供給速度に等しいピックアップ速度で前記供給方向に前記ピックアンドプレース部材を動かすための前記マニプレータに操作上更に連結されている、請求項16又は17に記載の巻取りシステム。
【請求項19】
前記第1のワークステーションには、前記第1の回収リールに向かう前記ストリップの送り込みの間、前記ストリップを前記ライナに保持するためのフィードスルー保持器が設けられている、請求項16−18のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項20】
前記第1のワークステーションには、前記第1の回収リールに向かう前記ストリップの送り込みの間、前記ストリップを前記ライナに保持するためのフィードスルー保持器が設けられ、前記制御ユニットは、前記先端が前記第1の回収リールと係合されたときに前記フィードスルー保持器から前記ストリップを解放するために前記フィードスルー保持器に操作上連結されている、請求項18に記載の巻取りシステム。
【請求項21】
前記ストリップは、金属を備え、前記フィードスルー保持器は、前記配置位置で又はその近くで、前記巻き出されるライナより下に位置するように配設されている磁石である、請求項19に記載の巻取りシステム。
【請求項22】
前記ピックアンドプレース部材は、ヘッドと、少なくとも前記ストリップの前記先端が前記ライナ上に配置されるまで、前記ヘッドに前記ストリップの前記先端を保持するための1つ又は複数の保持要素とを備え、前記1つ又は複数の保持要素は、少なくとも1つの磁石を備え、前記フィードスルー保持器の前記位置は、前記1つ又は複数の保持要素に対してオフセットされる、請求項21に記載の巻取りシステム。
【請求項23】
前記巻取りシステムは、第2のワークステーションを更に備え、前記第2のワークステーションは、
複数の巻き線にわたって前記ストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第2の回収リールを保持するための第2の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第2のライナリールを保持するための第2のライナエリアと、
前記第2のライナエリアから前記第2の回収エリアへと延在する第2のガイドエリアと
を備え、ここにおいて、前記巻き出されるライナは、前記第2のライナエリアにある前記第2のライナリールから前記第2のガイドエリアを通して前記第2の回収エリアにある前記第2の回収リール上に巻き出されるように配設されており、
前記ピックアンドプレース部材は、ピックアップ位置において前記第1の供給部材から前記ストリップの前記先端をピックアップするために、及び、前記第1のワークステーションの前記第1のガイドエリア内の配置位置において及び前記第2のワークステーションの前記第2のガイドエリア内の配置位置において前記ライナ上に前記ストリップの前記ピックアップされた先端を交互に配置するために、配設されている、請求項1−22のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項24】
前記第1のワークステーション及び前記第2のワークステーションは、前記供給方向に縦一列に配設されている、請求項23に記載の巻取りシステム。
【請求項25】
前記巻取りシステムは、前記ストリップの前記ピックアップされた先端が前記第2のワークステーションの前記第2のガイドエリア内の配置位置に配置されると、前記ストリップを受け取り、それを前記第1のワークステーションを超えてガイドするための、前記第1のワークステーションの上方に前記第1の供給部材と一直線に延在する第2の供給部材を備える、請求項24に記載の巻取りシステム。
【請求項26】
前記第1のワークステーション及び前記第2のワークステーションは、前記供給方向を横切る方向に並列に配設されている、請求項23に記載の巻取りシステム。
【請求項27】
前記第1のワークステーション、前記第2のワークステーション、又は両方が、前記供給方向に対して斜角である、請求項26に記載の巻取りシステム。
【請求項28】
前記巻取りシステムは、第3のワークステーション又は更なるワークステーションを更に備える、請求項23−27のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステム。
【請求項29】
請求項1−28のうちのいずれか一項に記載の巻取りシステムを使ってストリップを巻き取るための方法であって、前記方法は、
前記第1のライナエリアにある前記第1のライナリールから前記第1のガイドエリアを通して前記第1の回収エリアにある前記第1の回収リール上に前記ライナを巻き出すことと、
ピックアップ位置において前記第1の供給部材から前記ストリップの先端をピックアップするために、及び、前記第1のガイドエリア内の配置位置において前記ライナ上に前記ストリップの前記ピックアップされた先端を配置するために前記ピックアンドプレース部材を使用することと
を備える、方法。
【請求項30】
前記ストリップの前記先端は、それがピックアップされた瞬間から少なくとも前記ストリップの前記先端が前記ライナ上に配置されるまで、前記ピックアンドプレース部材によって保持される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ストリップは、フィードスルー速度で前記配置位置から前記第1の回収リールに向かって送り込まれ、前記第1のワークステーションは、前記第1の供給部材から前記第1のガイドエリアに向かって前記ストリップの弛み部分をガイドするための、前記第1の供給部材と前記第1のガイドエリアとの間に延在する第1の弛みエリアを備え、前記フィードスルー速度は、前記ストリップが前記ライナ上に配置された瞬間に供給速度より遅くなり、閾値量の弛みが検出されると、前記第1の回収リールの前記巻取り速度と一致するように調整される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記ストリップは、前記先端が前記第1の回収リールと係合されたときに前記ピックアンドプレース部材から解放される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ストリップは、前記第1の回収リールに向かって前記ストリップを送り込む間、フィードスルー保持器によって前記ライナに保持される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項34】
前記ストリップは、前記先端が前記第1の回収リールと係合されたときに前記フィードスルー保持器から解放される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記巻取りシステムは、第2のワークステーションを更に備え、前記第2のワークステーションは、
複数の巻き線にわたって前記ストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第2の回収リールを保持するための第2の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第2のライナリールを保持するための第2のライナエリアと、
前記第2のライナエリアから前記第2の回収エリアへと延在する第2のガイドエリアと
を備え、ここにおいて、前記巻き出されるライナは、前記第2のライナエリアにある前記第2のライナリールから前記第2のガイドエリアを通して前記第2の回収エリアにある前記第2の回収リール上に巻き出されるように配置されており、
前記ピックアンドプレース部材は、ピックアップ位置において前記第1の供給部材から前記ストリップの前記先端をピックアップし、前記第1のワークステーションの前記第1のガイドエリア内の配置位置において及び前記第2のワークステーションの前記第2のガイドエリア内の配置位置において前記ライナ上に前記ストリップの前記ピックアップされた先端を交互に配置する、請求項29−34のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップを巻き取るための巻取りシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2012/0248651号明細書には、サービスファブリックが介在する、回収リール上への長尺要素の巻取りを制御するための方法及び装置が開示されている。装置は、第1のワークステーションと、この第1のワークステーションに実質的に同一であり、かつ、上記第1のワークステーションの下流に配設されている第2のワークステーションとを特徴とする。装置は、第1のワークステーションの回収リール上に又は第2のワークステーションの回収リール上に交互に長尺要素を送るために配設されており、これは、長尺要素及びサービスファブリックが一方の回収リール上で巻かれている間に他方の回収リールで回収及び排出することを可能にする。装置には、回収リールの近くに第1のコンベヤベルトを有し、かつ、この第1のコンベヤベルトと回収リールとの間に動作可能なように配設されている第2のコンベヤベルトを有する送り装置が設けられている。第2のコンベヤベルトは、操作上の視点から明白な利点を伴って、自動的に上記回収リールに向かって及び/又はそこから動かされ得る。
【0003】
長尺要素、特にタイヤ用のブレーカプライで用いるストリップ、が、送りデバイスのコンベヤ上で予測不可能に挙動することは分かっている。更に、回収リールに向かってある長さの長尺要素を送るとき、この長尺要素は、第2のコンベヤからこの回収リール上に堆積される直前の遊離部分を有する。通常、回収リールの仕様はクライアントの領域にあるため、異なる仕様の回収リール上に長尺要素を正確に堆積することは困難であり得る。操作者が長尺要素の遊離部分を正確に配置することを可能にするためには、プロセスを一時的に中断せざるを得ない可能性がある。これは、特に長尺要素が、例えばスチールワイヤにより、鋭利であるとき、危険な操作になり得る。
【0004】
米国特許出願公開第2015/0122096号明細書、韓国特許第10−1357273号公報、及び独国実用新案第202014101081号明細書のすべてに、コンベヤと、回収リール上への堆積の前に上記コンベヤから自由に垂下している部分を有する長尺要素とを特徴とする同様の装置が開示されている。
【0005】
本発明の目的は、ストリップを巻き取るための巻取りシステム及び方法を提供すること、ここにおいて、前述した欠点のうちの少なくとも1つが低減されることができる、である。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ストリップを巻き取るための巻取りシステムを提供し、ここにおいて、巻取りシステムは、第1のワークステーションと、ストリップを上記第1のワークステーションに供給方向に供給するための第1の供給部材とを備え、第1のワークステーションは、以下を備える:
複数の巻き線にわたってストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第1の回収リールを保持するための第1の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第1のライナリールを保持するための第1のライナエリアと、
第1のライナエリアから第1の回収エリアへと延在する第1のガイドエリア、ここにおいて、巻き出されるライナは、第1のライナエリアにある第1のライナリールから第1のガイドエリアを通して第1の回収エリアにある第1の回収リール上に巻き出されるように配設されており、
巻取りシステムは、ピックアップ位置において第1の供給部材からストリップの先端をピックアップするための、及び、第1のガイドエリア内の配置位置においてライナ上にストリップのピックアップされた先端を配置するためのピックアンドプレース部材を更に備える。
【0007】
ピックアップし配置することで、ストリップの先端の位置は、ピックアップ位置、配置位置、及びそれらの間において正確に制御されることができる。ライナ上に先端を手動で再配置する必要性をなくすことができる。故に、先端をピックアップ及び配置するプロセスは、完全に自動化されることができ、操作者の介入をもはや必要としない。
【0008】
好ましい実施形態では、巻取りシステムは、第1の供給部材の上方のピックアップ位置から第1のガイドエリア内の巻き出されるライナにおける配置位置へとピックアンドプレース部材を動かすためのマニプレータを備える。マニプレータは、ピックアップ位置から配置位置へのピックアンドプレース部材の移動を自動化することができ、その結果、この場合も先と同様に、操作者の介在の必要性をなくす。
【0009】
本発明の更なる実施形態では、ピックアンドプレース部材は、ヘッドと、このヘッドにストリップの先端を、それがピックアップされた瞬間から少なくともストリップの先端がライナ上に配置されるまで保持するための1つ又は複数の保持要素とを備える。故に、先端は、ピックアップ位置から配置位置までの移動中それが決して放されない方法で取り扱われることができる。
【0010】
本発明の更なる実施形態では、ストリップは、金属を備え、ここにおいて、1つ又は複数の保持要素は、少なくとも1つの磁石を備える。金属を備えるストリップ、例えばブレーカプライは、磁石によって発生する磁力を用いてヘッドに容易にかつ安全に保持されることができる。代替的に、1つ又は複数の保持要素は、非磁気性のタイヤ構成要素、例えば織物補強付きの又は補強なしのタイヤ構成要素、を保持するために使用可能な少なくとも1つの真空要素を備える。
【0011】
好ましくは、マニプレータは、XYドライブである。XYドライブ、例えばXYガントリ、は、好ましくは水平に、例えば供給方向と平行、及び垂直という2つの並進自由度を有する。XYドライブを両方の自由度に同時に動かすことで、複雑な動作経路を生成することができる。
【0012】
別の実施形態では、ピックアンドプレース部材は、ストリップの配置された先端を第1のガイドエリア内の配置位置から第1の回収エリアにある第1の回収リールに向かって送り込みそれと接触させるためのフィードスルー部材を備える。故に、ピックアンドプレース部材は、ピックアップされた先端を配置位置においてライナ上に配置するために配設されているだけではなく、第1の回収リールに向かって上記先端を前進させる又は送り込むこともできる。従って、ピックアップ及び配置だけでなく、第1の回収リールに対する先端の係合までの送り込みもまた、同じピックアンドプレース部材を用いて正確に制御されることができる。
【0013】
本発明の実施形態では、フィードスルー部材は、フィードスルーコンベヤである。コンベヤータイプのフィードスルー部材を使用することで、ストリップは、ピックアンドプレース部材全体を動かすことなく、単にフィードスルーコンベヤを駆動するだけで送り込まれることができる。故に、ピックアンドプレース部材は、先端が第1の回収リールに向かって前進しそれと係合する間、第1の回収リールと間隔をあけた状態で第1のガイドエリアに留まることができる。
【0014】
本発明の更なる実施形態では、フィードスルー部材は、フィードスルー平面を定義し、上記フィードスルー平面においてストリップを送り込むために配設されており、ここにおいて、ピックアンドプレース部材は、供給方向に対してフィードスルー部材の下流に位置している偏向ローラを備え、偏向ローラは、フィードスルー平面と平行にかつ供給方向と垂直に延在する偏向軸を中心としてフィードスルー部材に対して回転可能であり、偏向ローラは、フィードスルー平面から離れるようにストリップを偏向させるために偏向ローラが少なくとも部分的にフィードスルー平面と交わる偏向位置に配置可能である。故に、比較的強固なストリップが、第1のワークステーションに向かって効率的に偏向され得る。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、ピックアンドプレース部材は、偏向ローラに又はその中に追加の保持要素を備える。追加の保持要素は、ストリップの先端を、特に上記先端が比較的長く、かつ、ピックアンドプレース部材のヘッドを超えて十分に延在しているとき、確実に保持することができる。
【0016】
別の実施形態では、ピックアンドプレース部材には、ピックアップ位置ではストリップと平行にかつ配置位置では巻き出されるライナと平行に延在するためにピックアンドプレース部材がチルト軸を中心としてマニプレータに対してチルト可能であるように、ピックアンドプレース部材をマニプレータに連結するために配設されているチルトヒンジが設けられている。故に、ピックアンドプレース部材は、ピックアップされることとなるストリップの傾き又はピックアップされたストリップが配置されなければならないライナの傾きに依存して異なる傾きで配置されることができる。
【0017】
更に別の実施形態では、巻取りシステムは、第1の供給部材の供給速度を制御するために第1の供給部材に操作上連結されている制御ユニットを備え、ここにおいて、制御ユニットは、ピックアップ位置においてストリップをピックアップするとき供給速度に等しいフィードスルー速度で供給方向にストリップを送り込むためのフィードスルー部材に操作上更に連結されている。故に、ピックアンドプレース部材は、第1の供給部材に対して静止の状態にありつつ、ストリップをピックアップすることができる。ピックアンドプレース部材がピックアップされたストリップと共に動き始めるとすぐに、フィードスルー速度は下げられることができる
本発明の実施形態では、制御ユニットは、配置位置から第1の回収リールに向かってストリップを送り込むとき、第1の回収リールの巻取り速度と一致するようにフィードスルー速度を調整するために配設されている。故に、ピックアンドプレース部材と第1の回収リールとの間でのストリップの伸縮を防ぐことができる。
【0018】
本発明の更なる実施形態では、第1のワークステーションは、第1の供給部材から第1のガイドエリアに向かってストリップの弛み部分をガイドするための、第1の供給部材と第1のガイドエリアとの間に延在する第1の弛みエリアを備え、ここにおいて、巻取りシステムには、上記第1の弛みエリアに、ストリップの弛みの量を検出するための第1のセンサが設けられており、制御ユニットは、ストリップがライナ上に配置された瞬間に供給速度より遅い速度までフィードスルー速度を下げるために、及び、閾値量の弛みが検出されたときに第1の回収リールの巻取り速度と一致するようにフィードスルー速度を調整するために、配設されている。ストリップが上記閾値量まで弛むことを可能にすることで、バッファ長のストリップが生成され、例えば各巻き線の直径が増加する結果としての、第1の回収リールにおける巻取り速度の変化を補償する。
【0019】
ある実施形態では、制御ユニットは、先端が第1の回収リールと係合されたときにピックアンドプレース部材からストリップを解放するためにピックアンドプレース部材に操作上連結されている。故に、ストリップは、それが第1の回収リールと係合されるまでピックアンドプレース部材によって保持されることができる。これは、ストリップの配置及び後続の係合の精度を大幅に改善することができる。
【0020】
代替的な実施形態では、マニプレータは、ロボットアームを備える。好ましくは、上記マニプレータは、少なくとも4つの自由度を有する。前に説明した実施形態のうちの1つに係るXYドライブとは対照的に、ロボットアームは、遙かに大きい自由度を有するため、ピックアンドプレース部材のより複雑な動きを駆動し得る。この代替的なマニプレータは、好ましくは、より複雑な及び/又は未知の変数を有するシステム、例えば回収リール及びライナリールの仕様がクライアントの領域にあるシステム、において使用される。
【0021】
本発明の実施形態では、巻取りシステムは、第1の供給部材の供給速度を制御するために第1の供給部材に操作上連結されている制御ユニットを備え、ここにおいて、制御ユニットは、ピックアップ位置においてストリップをピックアップするとき供給速度に等しいピックアップ速度で供給方向にピックアンドプレース部材を動かすためのマニプレータに操作上更に連結されている。故に、ストリップに対するピックアンドプレース部材の相対速度は、ピックアップの瞬間にゼロに低減されることができる。
【0022】
本発明の更なる実施形態では、第1のワークステーションには、第1の回収リールに向かってストリップを送り込む間、上記ストリップをライナに保持するためのフィードスルー保持器が設けられている。ただし、ロボットアームに、前に説明したようなフィードスルー部材が設けられていないとすると、第1の回収リールとの係合まで先端をガイドすることには限りがあるであろう。代わりに、フィードスルー保持器が、マニプレータからストリップを引き受けるためにライナに又はそれの近くに設けられる。マニプレータが配置位置においてストリップを解放した後、フィードスルー保持器は、ストリップをライナに保持し、ライナが、それ上で支持されているストリップと共に、第1の回収リールに向かってガイドされそれと係合するとき、上記ライナに対してストリップがシフトするのを防ぐことができる。
【0023】
更に、制御ユニットは、先端が第1の回収リールと係合されたときにフィードスルー保持器からストリップを解放するためにフィードスルー保持器に操作上連結されていることが好ましい。ストリップは、先端が第1の回収リールによって係合される瞬間までライナに保持されることができ、それによって、第1の回収リールまで、ライナに対するストリップの配置の精度を上げる。
【0024】
本発明の更なる実施形態では、ストリップは、金属を備え、ここにおいて、フィードスルー保持器は、配置位置で又はその近くで、巻き出されるライナより下に位置するように配設されている磁石である。金属を備えるストリップ、例えばブレーカプライ、は、磁石によって発生する磁力を用いて、フィードスルー保持器においてライナに容易に保持されることができる。好ましくは、磁力は、ライナの薄板及びストリップが第1の回収リールに向かって送り込まれることを可能にしつつ、ライナにストリップを保持するのに十分な強さである。
【0025】
本発明の実施形態では、ピックアンドプレース部材は、ヘッドと、少なくともストリップの先端がライナ上に配置されるまで、このヘッドにストリップの先端を保持するための1つ又は複数の保持要素とを備え、ここにおいて、1つ又は複数の保持要素は、少なくとも1つの磁石を備え、フィードスルー保持器の位置は、1つ又は複数の保持要素に対してオフセットされる。故に、フィードスルー保持器の磁石とピックアンドプレース部材にある1つ又は複数の磁石との干渉を防ぐことができる。
【0026】
本発明の高効率的な実施形態では、巻取りシステムは、第2のワークステーションを更に備え、第2のワークステーションは以下を備える:
複数の巻き線にわたってストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第2の回収リールを保持するための第2の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第2のライナリールを保持するための第2のライナエリアと、
第2のライナエリアから第2の回収エリアへと延在する第2のガイドエリア、ここにおいて、巻き出されるライナは、第2のライナエリアにある第2のライナリールから第2のガイドエリアを通して第2の回収エリアにある第2の回収リール上に巻き出されるように配設されており、
ピックアンドプレース部材は、ピックアップ位置において第1の供給部材からストリップの先端をピックアップするために、及び、第1のワークステーションの第1のガイドエリア内の配置位置において及び第2のワークステーションの第2のガイドエリア内の配置位置においてライナ上にストリップのピックアップされた先端を交互に配置するために、配設されている。
【0027】
第1のワークステーションにおける第1の回収リール上でのストリップの巻取りが完了すると、ストリップは、切断されることができ、新たな先端が、ピックアップされ、第2のワークステーションにおいてライナ上に配置され、続いて、第2の回収リール上で巻き取られる。その間に、第1のワークステーションにおける回収リール及びライナリールは、後続の巻取りサイクルのために新たなセットと置き換えられることができる。
【0028】
本発明の実施形態では、第1のワークステーション及び第2のワークステーションは、供給方向に縦一列に配設されている。故に、第2のワークステーションへの切り替えは、単に、第1のストリップを第1のワークステーションの後方にある第2のワークステーションに向かってガイドすることを必要とする。
【0029】
本発明の実施形態では、巻取りシステムは、ストリップのピックアップされた先端が第2のワークステーションの第2のガイドエリア内の配置位置に配置されると、ストリップを受け取り、それを第1のワークステーションを超えてガイドするための、上記第1のワークステーションの上方に第1の供給部材と一直線に延在する第2の供給部材を備える。故に、ストリップは、第1のワークステーションの頭上でガイドされることができ、それによって、満杯の第1の回収リールが第2のワークステーションにおける巻取りを妨げることなく置き換えられることができるように、上記第1のワークステーションを効率的にバイパスする。
【0030】
代替的な実施形態では、第1のワークステーション及び第2のワークステーションは、供給方向を横切る方向に並列に配設されている。ワークステーションを並列に配設することで、巻取りシステムは、現場の空間をあまり消費しないように及び/又はより小型になるように設計されることができる。
【0031】
本発明の実施形態では、第1のワークステーション、第2のワークステーション、又は両方が、供給方向に対して斜角である。そのような構成、例えばY字又はV字構成、では、ピックアンドプレース部材は、ある角度にわたって回転してそれぞれのワークステーションのうちの1つと合致するようになることでワークステーション間を容易に及び/又は迅速に行き来する。
【0032】
更なる実施形態では、巻取りシステムは、第3のワークステーション又は更なるワークステーションを更に備える。上記第3の又は更なるワークステーションは、例えば、スクラップを回収するために又は他のタイプのストリップを回収するために使用され得る。
【0033】
第2の態様によれば、本発明は、前述の請求項のうちの任意の1つに記載の巻取りシステムを使ってストリップを巻き取るための方法を提供し、この方法は、以下のステップを備える:
第1のライナエリアにある第1のライナリールから第1のガイドエリアを通して第1の回収エリアにある第1の回収リール上にライナを巻き出すことと、
ピックアップ位置において第1の供給部材からストリップの先端をピックアップするために、及び、第1のガイドエリア内の配置位置においてライナ上にストリップのピックアップされた先端を配置するためにピックアンドプレース部材を使用すること。
【0034】
方法の好ましい実施形態では、ストリップの先端は、それがピックアップされた瞬間から少なくともストリップの先端がライナ上に配置されるまで、ピックアンドプレース部材によって保持される。
【0035】
方法及びその実施形態は、本発明の第1の態様に係る巻取りシステムの実用的なインプリメンテーションに関し、故に、上記巻取りシステム及びそのそれぞれの実施形態と同じ技術的利点を有する。これらの利点は、以降繰り返されないであろう。
【0036】
方法の更なる実施形態では、ストリップは、フィードスルー速度で配置位置から第1の回収リールに向かって送り込まれ、ここにおいて、第1のワークステーションは、第1の供給部材から第1のガイドエリアに向かってストリップの弛み部分をガイドするための、第1の供給部材と第1のガイドエリアとの間に延在する第1の弛みエリアを備え、フィードスルー速度は、ストリップがライナ上に配置された瞬間に供給速度より遅くなり、閾値量の弛みが検出されると、第1の回収リールの巻取り速度と一致するように調整される。
【0037】
本発明の実施形態では、ストリップは、先端が第1の回収リールと係合されたときにピックアンドプレース部材から解放される。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、ストリップは、第1の回収リールに向かって上記ストリップを送り込む間、フィードスルー保持器によってライナに保持される。
【0039】
本発明の実施形態では、ストリップは、先端が第1の回収リールと係合されたときにフィードスルー保持器から解放される。
【0040】
方法の別の好ましい実施形態では、巻取りシステムは、第2のワークステーションを更に備え、第2のワークステーションは、以下を備える:
複数の巻き線にわたってストリップを回収する及び巻き取るように配設されている第2の回収リールを保持するための第2の回収エリアと、
ライナを巻き出すように配設されている第2のライナリールを保持するための第2のライナエリアと、
第2のライナエリアから第2の回収エリアへと延在する第2のガイドエリア、ここにおいて、巻き出されるライナは、第2のライナエリアにある第2のライナリールから第2のガイドエリアを通して第2の回収エリアにある第2の回収リール上に巻き出されるように配設されており、
ピックアンドプレース部材は、ピックアップ位置において第1の供給部材からストリップの先端をピックアップし、第1のワークステーションの第1のガイドエリア内の配置位置において及び第2のワークステーションの第2のガイドエリア内の配置位置においてライナ上にストリップのピックアップされた先端を交互に配置する。
【0041】
本明細書において説明される及び示される様々な態様及び特徴は、可能なときはいつでも、個別に、適用されることができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項において説明される態様及び特徴、は、分割親出願の主題となり得る。
【0042】
本発明は、添付の略図で示される例示的な実施形態に基づいて解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、第1のワークステーションにおけるストリップの巻取り中の、本発明の第1の実施形態に係る第1のワークステーション及び第2のワークステーションを有する巻取りシステムの側面図を示す図。
図2図2は、第2のワークステーションにおけるストリップの巻取り中の、本発明の第1の実施形態に係る第1のワークステーション及び第2のワークステーションを有する巻取りシステムの側面図を示す図。
図3図3は、図1に係る巻取りシステムの上面図を示す図。
図4図4は、図2に係る巻取りシステムの上面図を示す図。
図5図5は、本発明の第2の例示的な実施形態に係る第1のワークステーション及び第2のワークステーションを有する代替的な巻取りシステムの側面図を示す図。
図6図6は、図5に係る代替的な巻取りシステムの上面図を示す図。
図7図7は、第1のワークステーションにおけるストリップの巻取り中の、図6に係る代替的な巻取りシステムの上面図を示す図。
図8図8は、第2のワークステーションにおけるストリップの巻取り中の、図6に係る代替的な巻取りシステムの上面図を示す図。
図9図9は、図1−4に係る巻取りシステムで用いるピックアンドプレース部材の側面図を示す図。
図10図10は、図1−4に係る巻取りシステムで用いるピックアンドプレース部材の側面図を示す図。
図11図11は、図1−4に係る巻取りシステムで用いる、本発明の第3の例示的な実施形態に係る更なる代替的なピックアンドプレース部材の側面図を示す図。
図12図12は、本発明の第4の例示的な実施形態に係る更なる代替的な巻取りシステムの側面図を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1−4は、本発明の第1の例示的な実施形態に係る、ストリップ91を巻き取るための巻取りシステム1を示す。ストリップ91は、後にタイヤ成形プロセスにおいて用いる、複数の巻き線に格納される連続したストリップ又はバンドである。ストリップ91は、例えばタイヤ用のブレーカプライの製造用の、好ましくは、補強されたストリップ、より好ましくは金属補強されたストリップ、である。
【0045】
図1及び2に示されるように、巻取りシステム1は、第1のワークステーションW1及び第2のワークステーションW2を備える。ストリップ91は、非アクティブワークステーションW1及びW2における、前に巻き取られたストリップ91の取扱いを可能にするために、上記ワークステーションW1,W2の各々において交互に巻き取られることができる。図3及び4で最も良く分かるように、本発明のこの第1の実施形態に係るワークステーションW1,W2は、縦一列に又は一直線に配設されている。
【0046】
この例示的な実施形態では、巻取りシステム1は、ストリップ91をそれぞれ第1のワークステーションW1及び第2のワークステーションW2に供給方向Sに供給するための第1の供給部材21及び第2の供給部材22を備える。図1及び3に示されるように、第1の供給部材21は、第1のワークステーションW1の上方にかつ供給方向Sに対してそれの直上流に位置している。図2及び4に示されるように、第2の供給部材22は、第1のワークステーションW1の頭上でかつ第2のワークステーションW2の直上流に位置している。この例では、供給部材21,22は両方とも、供給方向Sと平行な線形経路に沿ってストリップ91を搬送するための搬送コンベヤとして形成されている。コンベヤは、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、又は任意の他の適切なタイプのコンベヤであり得る。供給部材21,22は、それぞれのワークステーションW1,W2に向かって供給速度V1でストリップ91を供給するために配設されている。本発明のこの第1の実施形態では、供給部材21,22は、供給方向Sと平行に延在するタンデム構成のワークステーションW1,W2と一直線に配設されている。
【0047】
図1に示されるように、第1のワークステーションW1は、空の第1の回収リール31を保持するための第1の回収エリアA1と、ロードされる第1のライナリール32を保持するための第1のライナエリアA2と、第1の回収エリアA1と第1のライナエリアA2との間の第1のガイドエリアA3とを備える。第1のライナリール32は、第1のガイドエリアA3を通して第1の回収リール31上に、ある長さのサービスファブリック又はライナ92を巻き出すように配設されている。ライナ92の第1の部分は、典型的に、第1の回収リール31に向かって手動でガイドされ、それと係合する。このガイドを容易にするために、ガイドエリアA3には、例えばローラ又は滑車の形で、1つ又は複数の第1のガイド要素33が設けられている。図1では、第1の回収エリアA1、第1のライナエリアA2、及び第1のガイドエリアA3は、別個のエリアとして示されている。しかしながら、第1のガイドエリアA3が、ライナ92が第1のライナリール32から第1の回収リール31までガイドされるときに通るエリアとして機能的に定義されることは明らかになるであろう。故に、第1のガイドエリアA3は、第1のライナエリアA2から第1の回収エリアA1へと延在する。好ましくは、第1のガイドエリアA3は、第1のライナリール32のコアから第1の回収リール31のコアまで延在する。第1の回収リール31にフランジが設けられているとき、第1のガイドエリアA3は、少なくとも部分的に、上記フランジから第1の回収リール31のコアまで延在し得る。
【0048】
ライナ92は、ストリップ91の巻き線が互いに結着しないように、ストリップ91の各巻き線の間に介挿されるように及び/又は配置されるように配設されている。ストリップ91は、第1の回収リール31に向かってライナ92と共に動くために、第1のガイドエリアA3において上記ライナ92の上に配置されるように配設されている。ストリップ91の先端LEがライナ92と第1の回収リール31(又は、上記第1の回収リール31上のライナ92の前の巻き線)との間のニップに送られるとすぐに、先端LE及びストリップ91の残りの部分は、自動的に、第1の回収リール31上に回収され、牽引され、及び/又は巻き取られる。第1の回収リール31は、巻取り速度V2で回転するように配設されている。
【0049】
第1の回収リール31及び第1のライナリール32は、第1のワークステーションW1内の別個の要素であり得、これらは、個々に置換え可能である。より一般的には、第1の回収リール31及び第1のライナリール32は、容易に、第1のワークステーションW1へと挿入されること及びそれから取り外すことができるカセットとして形成される。
【0050】
第1のワークステーションW1は、ある長さのストリップ91が第1の供給部材21と第1のガイドエリアA3との間で弛むことを可能にするための第1の弛みエリアA4を更に備える。ストリップ91の弛んだ部分は、巻取り速度V2の変化を補償することができるバッファを形成する。
【0051】
図2に示されるように、第2のワークステーションW2は、第1のワークステーションW1と同じ複数のエリアを有し、各エリアは、同じ機能を有する。要するに、第2のワークステーションW2は、第2の回収リール41を受けるための第2の回収エリアB1と、第2のライナリール42を受けるための第2のライナエリアB2と、第2のライナリール42から第2の回収リール41にライナ92をガイドするための第2のガイド要素43を有する第2のガイドエリアB3と、ある長さのストリップ91をバッファするための第2の弛みエリアB4とを備える。
【0052】
巻取りシステム1は、ピックアップ位置において第1の供給部材21からストリップ91の先端LEをピックアップするためのピックアンドプレース部材5(図1において点線で示される)であって、ストリップ91のピックアップされた先端LEを第1のガイドエリアA3内の配置位置においてライナ92上に配置するためのピックアンドプレース部材5(図1において実線で示される)を更に備える。ピックアンドプレース部材5は、ヘッド50と、ストリップ91の先端LEをこのヘッド50に保持するための1つ又は複数の保持要素51とを備える。ストリップ91が金属を備えるとき、1つ又は複数の保持要素51は、磁石として形成され得る。この例では、ピックアンドプレース部材5は、ストリップ91を保持及び解放するためにそれぞれ、ヘッド50に対して、ストリップ91に向かって動かされること(図10参照)及びそれから離されること(図9参照)ができる永久磁石の第1の保持要素51を備える。代替的に、切替え可能な電磁石又は真空手段が使用され得る。
【0053】
本発明のこの第1の実施形態では、マニプレータ6は、XYドライブ、例えばワークステーションW1,W2に対して水平方向に、この例では供給方向Sと平行に、及び垂直方向に、ピックアンドプレース部材5を動かすために配設されているXYガントリ、である。
【0054】
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係るピックアンドプレース部材5は、ストリップ91の配置された先端LEを第1のガイドエリアA3内の配置位置から第1の回収エリアA1にある第1の回収リール31に向かって送り込みそれと接触させるためのフィードスルー部材53を備える。図9及び10でより詳細に示されるように、フィードスルー部材53は、フィードスルーコンベヤ、特にフィードスルーベルトコンベヤ、である。上記フィードスルー部材53は、フィードスルー平面Pを定義し、フィードスルー速度V3で上記フィードスルー平面Pにおいてストリップ91を送り込むために配設されている。フィードスルー部材53は、ピックアンドプレース部材5が、例えば配置位置において静止している間に、ストリップ91を送り込むことを可能にする。故に、ストリップ91は、ピックアンドプレース部材5が第1の回収リール31に向かって動く必要なしに、第1の回収リール31に向かって前進しそれと係合することができる。
【0055】
ピックアンドプレース部材5は、供給方向Sに対してフィードスルー部材53の下流に位置している偏向ローラ55を更に備える。上記偏向ローラ55は、フィードスルー平面Pと平行にかつ供給方向Sと垂直に延在している偏向軸X1を中心としてフィードスルー部材53に対して回転可能である。そのため、偏向ローラ55は、フィードスルー平面Pから離れるようにストリップ91を偏向させるために偏向ローラ55が少なくとも部分的にフィードスルー平面Pと交わる偏向位置に配置可能である。この特徴は、図1の第1のワークステーションW1に向かって第1の供給部材21から下向きにストリップ91を偏向させるために使用される。
【0056】
図9及び10に示されるように、ピックアンドプレース部材5には、ピックアンドプレース部材5をマニプレータ6に連結するために配設されているチルトヒンジ56が更に設けられている。チルトヒンジ56は、チルト軸X2を中心としてマニプレータ6に対してピックアンドプレース部材5がチルトすることを可能にする。上記チルト軸X2は、フィードスルー平面Pと平行にかつ供給方向Sと垂直に延在している。故に、ピックアンドプレース部材5は、ピックアップ位置においてストリップ91と平行して延在するようにチルトされることができ(図1において破線で示される)、配置位置において、巻き出されるライナ92と平行して延在するようにチルトされることができる(図1において実線で示される)。これは、フィードスルー部材53が、ストリップ91の送込みに最適な位置になることを可能にする。
【0057】
図1及び2で概略的に示されるように、巻取りシステム1は、供給速度V1を制御するために第1の供給部材21及び第2の供給部材22に操作上連結されている制御ユニット8を備える。制御ユニット8は、ピックアップ位置におけるストリップ91のピックアップ中、供給速度V1と同じ又は略同じ速度で供給方向Sにピックアンドプレース部材5を動かすために配設されている。代替的に、制御ユニット8は、ピックアップ位置においてストリップ91をピックアップするとき、供給速度V1に等しいフィードスルー速度V3で供給方向Sにストリップ91を送り込むためにフィードスルー部材53に操作上連結されることができる。いずれのケースにおいても、フィードスルー部材53とストリップ91との間の相対速度は、ピックアップ中ゼロである。
【0058】
制御ユニット8は、第1の回収リール31の巻取り速度V2を検出及び/又は制御するように更に配設されている。故に、制御ユニット8はまた、配置位置から第1の回収リール31に向かってストリップ91を送り込むとき、第1の回収リール31の巻取り速度V2と一致するようにフィードスルー速度V3を調整することができる。故に、ストリップ91の伸縮を防ぐことができる。
【0059】
制御ユニット8は、先端LEが第1の回収リール31と係合されたときにピックアンドプレース部材5からストリップ91を解放するために、ピックアンドプレース部材5に操作上連結されている。この例では、解放は、永久磁石の保持部材51を、ストリップ91から十分に離すことで得られる。
【0060】
図1に示されるように、ストリップ91の先端LEが、配置位置においてライナ92上に及び/又はそれと当接接触して配置されるとき、上記先端LEの下流にあるストリップ91の一部は、第1の弛みエリアA4において弛むこと又はループを形成することが許容され得る。ストリップ91の弛み部分をガイドするために、第1のワークステーションW1には、弛んでいるストリップ91の一部分の少なくとも一部においてストリップ91を支持するように、好ましくはストリップ91をライナ92上で配置位置に向かってガイドするように、配設されている弛みガイド71が設けられている。巻取りシステム1には、第1の弛みエリアA4に、ストリップ91の弛みの量を検出するための第1のセンサ73が設けられている。制御ユニット8は、ストリップ91がライナ92上に配置される及び/又はそれと当接接触する瞬間に、フィードスルー部材53におけるフィードスルー速度V3を供給速度V1より低い速度に調整するために配設されている。第1の供給部材21がストリップ91を第1のワークステーションW1に送り続けると、ストリップ91は、弛み始める。その後、閾値量の弛みが検出されるとすぐに、フィードスルー速度V3は、第1の回収リール31の巻取り速度V2と一致するように調整される。
【0061】
第2のワークステーションW2における第2の弛みエリアB4は、同様の弛みガイド72と、上記第2の弛みエリアB4の弛みを検出するための第2のセンサ74とを備える。
【0062】
本発明の第1の実施形態に係る巻取りシステム1を使用してストリップ91を巻き取るための方法が、図1−4を参照して以下で簡潔に解説されるであろう。
【0063】
図1において破線で示されるように、ストリップ91は、プロセスの開始時に又は連続したストリップ91の前の巻取り部分の切断の結果として先端LEを有し、これは、第1の供給部材21上で支持されている。第1のワークステーションW1におけるライナ92は、第1のライナエリアA2にある第1のライナリール32から巻き出され、第1の回収エリアA1にある第1の回収リール31上に第1のガイドエリアA3を通してガイドされる。ピックアンドプレース部材5は、ストリップ91が第1の供給部材21によって供給方向Sに送られているため、第1の供給部材21上のピックアップ位置から先端LEをピックアップするために配設されている。フィードスルー部材53は、供給速度V1に等しいフィードスルー速度V3で駆動される。ピックアンドプレース部材5が、例えば保持要素51の磁力を通して、先端LEをピックアップするとすぐに、マニプレータ6のXYドライブは、ピックアンドプレース部材5を、図1において実線で示されるように、ライナ92上の配置位置に向かって横向きに及び下向きに動かす。この動きは、X及びY方向に別々に又は組み合わされた動きとして行われ得る。
【0064】
ピックアンドプレース部材5は、ピックアップされた先端LEを、上記先端LEを放すことなく第1のガイドエリアA3内の配置位置においてライナ92上に及び/又はそれと当接接触して配置するために配設されている。前に説明したように、フィードスルー速度V3は、第1の弛みエリアA4においてある長さのストリップ91をバッファするために、ゼロに保たれ得る。十分な長さのストリップ91がバッファされると、フィードスルー速度V3は、第1の回収リール31の巻取り速度V2と一致するように上げられ、先端LEは、ライナ92と第1の回収リール31(又は、上記第1の回収リール31上のライナ92の前の巻き線)との間のニップに送られる。先端LEが、第1の回収リール31によって係合される及び/又はそれ上に巻き取られるとき、ストリップ91は、ピックアンドプレース部材5から解放される。ピックアンドプレース部材5は次に第1の供給部材21に戻り、方法の次のサイクルを待ち得る。
【0065】
方法の次のサイクルは、図2及び4に示されるように、第1のワークステーションW1にある満杯の第1の回収リール31が置き換えられている間、第2のワークステーションW2において実行されることができる。第2のワークステーションW2に切り替えるために、第1の回収リール31上に巻き取られているストリップ91は切断される必要がある。この切断は、例えば第1の供給部材21上で行われることができる。切断の後、ストリップ91の残りの部分及びそれの終端は、第1の回収リール31上に巻き取られる。その後、第1のワークステーションW1における巻取りが完了する。続いて、第1の供給部材21における新たに作り出された先端LEが、前に説明した方法のサイクルと略同じ方法で、ピックアンドプレース部材5によってピックアップされることができる。しかしながら、第1の供給部材21の後に、下に動かす代わりに、マニプレータ6のXYドライブは、図2において破線で示されるように、第1のワークステーションW1をバイパスするためにピックアンドプレース部材5を第2の供給部材22に向かって動かしかつそれの上方に動かすために配設されている。ピックアンドプレース部材5はその後、前に説明した方法のサイクルと略同じ方法で、第2のワークステーションW2において、巻き出されるライナ92上に先端LEを配置するために、第2の供給部材22の下流で下向きに動かされることができる。次に、前に説明したサイクルのステップが、第2のワークステーションW2にある第2の回収リール41上にストリップ91を巻き取るために繰り返され得る。
【0066】
図5−8は、本発明の第2の例示的な実施形態に係る、ストリップ91を巻き取るための代替的な巻取りシステム101を示す。上記代替的な巻取りシステム101は、そのワークステーションW101,W102が供給方向Sを横切る方向に並列に配設されている点において、前に説明した巻取りシステム1とは異なる。特に、ワークステーションW101,W102は両方とも、単一の供給部材21を伴ってY字形状又はV字形状の構成を形成するように上記供給方向Sに対して斜角に配設されている。この並列構成により、第1のワークステーションW101をバイパスする必要がないため、図1−4にあるような第2の供給部材は必要ない。ストリップ91の方向を供給方向SからワークステーションW101,W102のうちの1つと合致するよう変更することで、1つがそのワークステーションW101とW102とを行き来することができる。
【0067】
ワークステーションW101,W102を行き来するために、代替的な巻取りシステム101には、代替的なピックアンドプレース部材105と、ワークステーションW101とW102との間で上記代替的なピックアンドプレース部材105を動かすための代替的なマニプレータ106とが更に設けられている。この例示的な実施形態では、代替的なマニプレータ106は、好ましくは少なくとも4つの自由度、例えば2つの並進と2つの回転、を有するロボットアームを備える。故に、上記代替的なマニプレータ106は、供給部材21及びワークステーションW101,W102に対してピックアンドプレース部材105の複雑な動きを引き起こすことができる。この例示的な実施形態では、ロボットアーム160は、複数の連接型セグメントを備え、固定台162に対して回転可能な回転可能なベース161上で支持される。
【0068】
前に説明した制御ユニット8は、ピックアップ位置においてストリップ91をピックアップするとき、供給部材21の供給速度V1に等しいピックアップ速度V3で供給方向Sに代替的なピックアンドプレース部材105を動かすための代替的なマニプレータ106に操作上連結されることができる。代替的なマニプレータ106の自由度は、先端LEのピックアップ中にストリップ91を正確に追従するような代替的なピックアンドプレース部材105の動きを可能にする。その結果、代替的なピックアンドプレース部材105は、代替的なピックアンドプレース部材105全体がピックアップ及び/又は配置中ストリップ91と共に動くことができるため、フィードスルー手段がそれに組み込まれていることを必要としない。従って、代替的なピックアンドプレース部材105は、ヘッド150と、ストリップ91をこのヘッド150に保持するために、この例では磁石の1つ又は複数の保持要素151,152だけを特徴とする。好ましくは、磁石151,152は、瞬間的な及び/又は制御される保持及び解放を容易にするために、切替え可能な電磁石である。
【0069】
しかしながら、配置の後、代替的なマニプレータ106は、先端LEが、ワークステーションW101,W102のうちの1つにおいて回収リール31,41によって係合される及び/又はそれ上に巻き取られる瞬間まで内部ライナ92上でストリップ91を保持することができないであろう。故に、代替的なピックアンドプレース部材105にフィードスルー手段を有する代わりに、代替的な巻取りシステム101は、第1の回収リール(31)に向かってストリップ(91)を送り込む間、上記ストリップ91をライナ92に保持するためのフィードスルー保持器134を特徴とする。この例示的な実施形態では、フィードスルー保持器134は、配置位置において又はその近くで、巻き出されるライナ92より下に位置するように配設されている磁石である。フィードスルー保持器134は、瞬間的な及び/又は制御される保持及び解放を容易にするための切替え可能な電磁石であり得る。代替的に、フィードスルー保持器134は、ライナ92に向かって動くことができるか又はそれから離れることができる永久磁石を備える。好ましくは、フィードスルー保持器134の位置は、保持要素151,152の磁石の磁場とフィードスルー保持器134の磁石の磁場との干渉を防ぐために、1つ又は複数の保持要素151,152に対してオフセットされる。
【0070】
フィードスルー保持器134によって発生する磁力は、ライナ92の薄板とそれ上に支持されているストリップ91がそれぞれのワークステーションW101,W102の回収リール31,41に向かって前進することを可能にしつつ、ストリップ91をライナ92に保持するのに十分な強さである。前に説明した制御ユニット8は、先端LEが第1の回収リール31によって係合されているとき又はそれ上に巻き取られるとき、フィードスルー保持器134からストリップ91を解放するためにフィードスルー保持器134に操作上連結され得る。
【0071】
故に、前述の代替的な巻取りシステム101を用いてストリップ91を巻き取るための代替的な方法では、巻き取るステップは以下を備えるであろう:
第1のライナエリアA2にある第1のライナリール32から第1のガイドエリアA3を通して第1の回収エリアA1にある第1の回収リール31上にライナ92を巻き出すことと、
ピックアップ位置において第1の供給部材21からストリップ91の先端LEをピックアップするための、及び、ストリップ91のピックアップされた先端LEを第1のガイドエリアA3内の配置位置においてライナ92上に及び/又はそれと当接接触して配置するために代替的なピックアンドプレース部材105を使用することと、
代替的なピックアンドプレース部材105から、配置されたストリップ91を引き受けるためにフィードスルー保持器134を使用すること、及び、フィードスルー保持器134がストリップ91を引き受けたとき、代替的なピックアンドプレース部材105の保持要素151,152をオフに切り替えることと、
内部ライナ92を更に巻き出すことで第1の回収リール31に向かってストリップ91を送り込むこと及び先端LEが第1の回収リール31によって係合される及び/又はそれ上に巻き取られるとすぐにフィードスルー保持器134からストリップ91を解放すること。
【0072】
第1のワークステーションW101から第2のワークステーションW102に切り替わるとき、ストリップ91が切断され、新たな先端LEが作り出される。切断するために、代替的なピックアンドプレース部材105には、切断手段、例えば加熱カッター、が設けられているであろう。新たな先端LEは、代替的なピックアンドプレース部材105によってピックアップされ、第2のワークステーションW102におけるライナ92に向かって及びそれ上に及び/又はそれと当接接触して代替的なマニプレータ106によって動かされる。故に、代替的なマニプレータ106は、その固定台162に対してロボットアーム160を回転させてそれぞれ第1のワークステーションW101及び第2のワークステーションW102と合致させることで、供給部材21から第1のワークステーションW101及び第2のワークステーションW102に交互に移動可能である。
【0073】
上の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれ、本発明の範囲を限定されるように意味しないことは理解されるべきである。上の説明から、本発明の範囲によってやがて包含されるであろう多くの変形例が当業者に明らかとなるであろう。
【0074】
例えば、ワークステーションW1,W2の両方にサービスすることができる範囲にわたって代替的なマニプレータ106が移動可能であることを条件として、代替的なマニプレータ106のロボットアームが、本発明の第1の実施形態に係る巻取りシステム1においてストリップ91をピックアップ、移動、及び配置するために代替的に使用され得ることは当業者に明らかになるであろう。更に別の代替的な実施形態では、本発明の第2の実施形態に係る2つの代替的なマニプレータ106、例えば各ステーションW1,W2にある1つの代替的なマニプレータ106、は、本発明の第1の実施形態に係る巻取りシステム1において使用され得る。
【0075】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る、更なる代替的なピックアンドプレース部材205を示す。代替的なピックアンドプレース部材205は、偏向ローラ255に追加の保持要素257が設けられている点において、図9及び10に示されているような前述したピックアンドプレース部材5とは異なる。特に、上記追加の保持要素257は、ストリップを偏向ローラ255に保持するために偏向ローラ255に又はその中に配設されている。故に、偏向ローラ255に又はそれ中にある保持要素257は、ストリップを安全に保持するためにヘッド50において1つ又は複数の保持要素51と協同することができる。これは特に、ストリップが比較的長い先端を有するときに有益であり、このケースでは、上記先端は、より確実に保持されることができる。この特定の例では、追加の保持要素257は、磁石、好ましくは永久磁石、であり得る。代替的に、追加の保持要素257は、真空要素であり得る。好ましくは、磁石は、偏向ローラ255の内側に位置しており、ここで、偏向ローラ255は、内部の磁石から独立して回転可能である。より好ましくは、偏向ローラ255は、中心軸を中心として自由に回転可能であり、磁石は、アクティブ位置から、図11において破線で示されるように、フィードスルー平面Pにおけるストリップから離れた非アクティブ位置に上記中心軸と共に回転するようにこの中心軸に連結されている。
【0076】
図12は、第3のワークステーションW3と、第2のワークステーションW2をバイパスするために上記第2のワークステーションW2の頭上に第3の供給部材23とが付け加えられている本発明の第4の実施形態に係る更なる代替的な巻取りシステム301を示す。更なるステーションが同様の手法で付け加えられることができる。第3のワークステーションW3は、例えば、スクラップを回収するためのステーション又は異なるストリップ又はタイヤ構成要素を回収するためのステーションであり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12