特許第6801078号(P6801078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68010783Dプリンタおよび対象物をプリントするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801078
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】3Dプリンタおよび対象物をプリントするための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20201207BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20201207BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20201207BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20201207BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20201207BHJP
【FI】
   B29C64/393
   B29C64/112
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-502777(P2019-502777)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2019-525856(P2019-525856A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2016067286
(87)【国際公開番号】WO2018014948
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター,マクシミリアン
【審査官】 菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0312981(US,A1)
【文献】 特開2007−106070(JP,A)
【文献】 特開2013−180120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40,67/00
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリント装置(10)を使用して、シリコーンエラストマ部品(22)を製造するための方法にして、
3Dプリント装置(10)が、シリコーンエラストマ部品(22)を積層造形するために、プリント材料を目標位置に再配置するように設定された少なくとも1つの吐出装置(14)を有する少なくとも1つのプリントヘッド(12)を備える、シリコーンエラストマ部品(22)を製造するための方法であって、
3Dプリント装置(10)が、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッド(12)の距離を、色の共焦点の距離測定により、非接触で判定するように設定された少なくとも1つの共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)を含み、ここで、システム(21)が、多色光を放射する光源(50)を備え、共焦点測定装置(20)が、1つまたは複数のレンズが共焦点で配置され、光源(50)からの光がその単色波長に分解されるように構成された、レンズ構成(54)を備えており、
少なくとも1つの共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)により、プリント操作の間、色の共焦点の距離測定により、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離が非接触で判定されること、または、
スキャニングステップにおいて、共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)により、プリント操作の前に、色の共焦点の距離測定により、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることを特徴とする、シリコーンエラストマ部品(22)を製造するための方法
【請求項2】
プリントエラーが、確認されるとともに、修正および/または報告および/または記録されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3Dプリント装置(10)が、非接触で判定された、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッド(12)の距離を使用して、調整されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スキャニングステップにおいて、プリント操作の前に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることと、確認された表面のCADモデルが形成されることと、を特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの外部からの構成要素(44)が、ベースプレート(24)上またはプリントされた層(48)上に堆積され、外部からの構成要素(44)のプリント可能な表面の位置が、共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)によって確認されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
プリント操作の後に、共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)により、プリントされたプリント材料の位置も、プリント操作の後に非接触で判定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
共焦点測定装置(20)を有するシステム(21)からのデータが、プリントされたシリコーンエラストマ部品(22)の、品質を判定する指標を判定および示すために使用されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
材料が、少なくとも部分的に、透明なプリント材料で形成された層上にプリントされることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を積層造形するために、プリント材料を目標位置に置くように設定された少なくとも1つの吐出装置を有する少なくとも1つのプリントヘッドを備える、3Dプリント方法によって対象物を製造するための3Dプリント装置に関する。本発明のさらなる態様は、そのような3Dプリント装置を使用して、対象物を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の異なる積層造形方法が、試作品、短期間の物品、または個別の物品を製造するために、従来技術から知られている。3Dプリントとも呼ばれる、これら方法に一般的なものは、物品または対象物が、コンピュータモデルに基づいて直接製造されることである。このため、有利にも顧客に特有の構成要素を低価格で容易に製造することが可能である。対象物の製造のために、たとえば、粉末が、硬化剤を適用することによって選択的に硬化される。ここで、硬化剤は、製造される対象物に応じるパターンで、粉末に適用される。さらなる方法には、レーザ焼結と、熱溶解積層法(fused filament fabrication)とが含まれる。レーザ焼結では、粉末が、レーザで溶融することにより、規定のパターンに従って所望の形態で硬化される。熱溶解積層法では、可溶性プラスチックから、層毎に対象物が製造される。同様に、液体が滴状にノズルで放出され、たとえばUV放射の作用によって硬化される方法が知られている。
【0003】
3Dプリントユニットには、製造における機械的公差と、機械的耐久性とが課されている。機械的公差は、たとえば、プリント平面に対するプリントヘッドの位置およぶ整列、ならびに、プリント平面の平滑さに関する。これら公差は、プリントされる対象物の品質に影響し、そのため、ミスプリントが生じ得る。より大である対象物または構成要素の場合では特に、結果として得られるものは、しばしば、不適切にプリントされたイメージである。
【0004】
独国特許出願公開第102012000664号明細書は、3Dプリントのための装置を記載している。この装置では、機械的公差の調整のためのプリントステージが、調整可能な位置決めネジにより、プリント平面に対するステージの整列で変更されることができる。
【0005】
独国実用新案第202015103932号明細書は、対象物が積層造形されるキャリアプレートの不均一性の測定のための装置を記載している。押出し装置に動かないように接続されたセンサが、キャリアプレートおよび最後にプリントされた層の表面の測定のために提供されている。
【0006】
独国特許出願公開第102001106614号明細書は、プリントステージまたは構成要素ホルダの可変の整列、位置決め、および傾斜により、張り出し部(overhangs)、あるいは自己支持要素の特定の3Dプリントを実行する3Dプリントプロセスを記載している。プリント本体は、ここでは、複数軸アクチュエータによって整列され、それにより、プリントユニットは、プリントボクセルをプリント平面上に垂直に配置することができるようになっている。プリント平面の位置は、入力データから既知であり、確認または検証はされない。このことは、純粋に開ループ制御の方法であり、閉ループ制御ではない。
【0007】
従来技術から既知である器具は、プリントされた部品の品質に影響する、技術的な欠点を有している。取得可能な対象物の品質は、特にシリコーン材料をプリントする場合において、射出成形によって製造された対象物に匹敵する一定の品質を達成していない。既知の装置および方法では、製造される対象物の産業上の使用に必須であるように、最終製品の品質が一様であることを確実にすることも不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012000664号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202015103932号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102001106614号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
たとえば、表面および、形状の正確さに関し、高品質の対象物が製造される、対象物の積層造形のための、改良された装置および方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
提供されているのは、対象物を積層造形するために、プリント材料を目標位置に置くように設定された少なくとも1つの吐出装置を有する少なくとも1つのプリントヘッドを備える、3Dプリント方法によって対象物を製造するための3Dプリント装置であって、3Dプリント装置が、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を非接触で判定するように設定された少なくとも1つの共焦点測定装置を有するシステムを含む、3Dプリント装置である。
【0011】
プリントされることになるプリント材料をプリント可能である表面からのプリントヘッドの距離、および、プリントヘッドの位置は、プリント材料が堆積される表面上のポイントの位置を判定するために使用されることができる。
【0012】
3Dプリント装置は、通常、ベースプレートを備えている。このベースプレート上では、少なくとも1つのプリントヘッドの少なくとも1つの吐出装置からのプリント材料の吐出によって対象物が構築される。ベースプレートおよびプリントヘッドは、ここでは、相対移動がX、Y、およびZの3つの空間的方向すべてで可能である状態で、互いに対して移動される。この目的のために、たとえば、プリントヘッドは、このプリントヘッドが、X方向およびY方向に移動可能であるように配置される場合があり、ベースプレートは、このベースプレートがZ方向に移動可能であるように配置されることができる。本明細書では、さらなる構成も考慮可能である。たとえば、ベースプレートは、Y方向に移動可能であるように配置され得、プリントヘッドは、X方向およびZ方向に移動可能であるように配置され得る。代替的または追加的に、ベースプレートおよび/またはプリントヘッドは、任意の所望の空間的な配置が可能であるように、旋回可能に構成され得る。
【0013】
吐出されたプリント材料で対象物を構成するために、プリント材料は、規定のスキームに従って、ベースプレート上に堆積され、第1の材料層を形成する。第1の材料層が形成された後に、たとえば、吐出装置とベースプレートとの間の距離が増大され、次の材料層が配置される。これらの後に、さらなる材料層が続き、各材料層は、規定のスキームに従い、所望の対象物が完成されるまで堆積される。このことは、対象物の積層造形とも呼ばれる。
【0014】
プリント材料は、テンプレートから得られたスキームに従って吐出される。テンプレートは、CAD(計算機援用設計)ソフトウェアで設計されるか、物品の3次元スキャニングによって形成される。材料の吐出に関するスキームの取得のために、ソフトウェアは、通常、テンプレートの水平セクションを計算する。これらセクションの各々は、材料層に対応している。次いで、プリント材料がどのように、それぞれの層内で配置される必要があるかの計算がされる。ここで考慮されるのは、プリント材料が、ボクセルの形態か、ストランドの形態か、あるいはボクセルとストランドの組合せかの、どの形態で吐出されるかである。
【0015】
適切である場合は、支持材の配置も、スキームの取得のために許容される。支持材の配置は、製造される対象物がキャビティ、アンダーカット、オーバーハング、自己支持か薄肉の部品を有することになる場合に、必要である場合がある。この理由は、プリント材料を、空間内に浮いた状態で配置できないためである。支持材は、プリントプロセスの間、キャビティを充填し、プリント材料を支持材の上に配置し、硬化させることを可能にするために、ベースまたは足場として機能する。プリントプロセスが終了した後に、支持材がふたたび取り除かれ、対象物のキャビティ、アンダーカット、およびオーバーハング、自己支持か薄肉の部品をはっきりさせる。概して、使用される支持材は、たとえば、架橋せず、粘着性ではない材料など、プリントされることになる対象物の材料とは異なる材料である。対象物の幾何学形状に応じて、支持材の必要な形状が計算される。支持材の形状の計算の際に、たとえば、最小量の支持材を使用するため、または、製品のスケールの正確さを向上させるために、様々な方策を使用することが可能である。
【0016】
吐出装置は、一連の液滴として、個別の独立した液滴の形態で、または、放出軸の方向におけるストランドの形態で、プリント材料を放出するように設定されている。これら形態間での流れの移行が可能である。この明細書において、吐出装置から吐出され、ベースプレート上または対象物上に置かれるプリント材料の液滴は、ボクセルと呼ばれる。ストランドは、吐出されたが、置かれていないプリント材料と、ストランドの形態で置かれたプリント材料との両方を意味する。置かれたプリント材料は、ボクセルまたはストランドを意味するものと理解される。
【0017】
個別の液滴の放出のために、吐出装置は、インクジェットプリンタのノズルの方式と同様に、ベースプレートの方向に、プリント材料の液体液滴を放出する1つまたは複数のノズルを備えている場合がある。したがって、これらノズルは、噴射ノズルとも呼ばれる。
【0018】
プリント材料のストランドの放出のために、プリント材料は、たとえばカートリッジ、シリンジ、またはバット(vat)から、貯蔵部容器の加圧により、ノズルを通してストランドとして外に出され、対象物を形成するために、ベースプレート上に選択的に堆積される。この種類の吐出装置は、この明細書において、ディスペンサと呼ばれる。
【0019】
3Dプリント装置における様々なプリント材料に関し、技術的に異なる装置を含む、複数の吐出装置を提供することが可能である。たとえば、3Dプリント装置は、1つもしくは複数の、任意選択的に異なって構成されるか、異なって作動される噴射ノズル、および/または、1つもしくは複数の任意選択的に異なって構成可能であるか、異なって作動されるディスペンサを有する場合がある。吐出装置は、複数の液滴またはストランドを同時に放出することができるノズルまたはディスペンサのアレイをも有する場合がある。
【0020】
より詳細には、プリントヘッドは、複数の異なる吐出装置、たとえば、1つもしくは複数の噴射ノズル、および/または、1つもしくは複数のディスペンサを有する場合がある。この場合、たとえば、プリント材料は、ディスペンサ(複数の場合もある)により、対象物の内部に迅速に配置されることができ、対象物の表面は、噴射ノズル(複数の場合もある)で、高品質で製造されることができる。代替的には、プリントヘッドが、複数の同等の吐出装置を備えていることが考えられる。この方法で、たとえば、複数の対象物を、同時に積層造形することができるか、複数の吐出装置で並行して、単一の対象物の構築において作業することが可能である。両方の場合において、全体で必要とされるプリント時間が短縮される。
【0021】
それぞれの吐出装置は、材料が吐出装置から吐出される方向を規定する吐出軸を有している。通常、この吐出軸は、ベースプレートに対して直角であるような、ベースプレートに対して向けられている。任意選択的には、3Dプリント装置は、吐出軸の整列が、ベースプレートに対して変更されることもできるように構成され得る。
【0022】
好ましくは、プリントヘッドは、1つまたは複数の噴射ノズルを有している。噴射ノズルは、これらノズルが、制御された方式で、要求に応じて、液滴を放出するように設定されている。
【0023】
たとえば、噴射ノズルに加熱要素を設けることが可能である。この加熱要素により、プリント材料が加熱され、生じる蒸気のバブルの液滴が、噴射ノズルの外に出される。このことは、バブルジェットとして知られている。
【0024】
さらなる選択肢は、圧電素子を配置することである。圧電素子は、電圧に応じて変形し、結果として、噴射ノズルから液滴を噴射することができる。この種類のインクジェットプリンタの方法は、基本的に、従来のプリントから、および、3Dプリントと呼ばれるものから、当業者には既知である。3Dプリントでは、3次元の物品が、光重合性のインクから、層毎に構築される。インクジェットプリントまたはマルチジェット3Dプリントで使用されるような、この種類のプリントヘッドは、たとえば、50mPa・s未満の粘度のものなど、低粘度のプリントインクまたはプリント材料を添加することもできる。
【0025】
本発明の方法におけるプリントヘッドでは、圧電素子を有するジェットバルブをベースとする吐出装置を使用することが好ましい。これらは、低粘度の材料と中粘度・高粘度の材料との両方の吐出を可能にする。低粘度の材料では、数ピコリットル(pL)(2pLが、約0.035μmの液滴直径に対応する)の液滴に関して液滴容量が達成されることができる。特にシリコーンゴム材料などの、中粘度・高粘度の材料では、ノズル直径が50μmから500μmであり、ナノリットルのレンジ(1nLから100nL)の容量の液滴が生成されることができる、圧電プリントヘッドが好まれる。低粘度の材料(100mPa・s未満)では、これらプリントヘッドは、非常に高い添加周波数(約1kHzから30kHz)で液滴を放出することができ、一方、高粘度の材料(100Pa・sより大)では、流動学的性質(ずり減粘特性)に応じて、約500Hz以下の添加周波数が達成されることができる。適切な噴射ノズルは、たとえば、独国特許出願公開第102011108799号明細書に記載されている。
【0026】
噴射ノズルの好ましい実施形態では、プリント材料の吐出において、液滴の容量は、異なるサイズの液滴が生成されることができるように影響を与えられ得る。代替的または追加的に、いくつかの噴射ノズル、たとえば、ノズルアレイのいくつかのノズルが、異なるノズルサイズで構成されている場合があり得る。微小な液滴は、より正確なエッジを生成し、たとえば、対象物を回転させた後に、対象物の側面において、表面処理を行うために使用されることができる。
【0027】
ディスペンサでは、たとえば、空気圧または機械的手段、たとえば微小な押出し機、ピストンポンプまたは偏心スクリュにより、圧力が増大する。様々な実施形態が、当業者には既知である。
【0028】
噴射ノズルが吐出装置である場合では、制御ユニットは、噴射ノズルがボクセルを吐出する時点を規定する。さらに、制御ユニットは、ボクセルのサイズを規定する場合がある。共焦点測定ユニットからの測定結果に応じて、ボクセルサイズに影響する噴射ノズルのパラメータが調整される場合もあり得る。この種類のパラメータには、たとえば、ジェッティングバルブの開時間、または、ノズルがタペット技術を有している場合は、タペット進出速度、タペット後退速度、およびタペットのストローク量が含まれる場合がある。ボクセルサイズに影響する噴射ノズルのパラメータは、再プリントを最適にするために、たとえば、欠陥箇所の充填において、不適切な定置されていないボクセルのいずれの再プリントの場合において、簡潔に調整されることもできる。
【0029】
吐出装置としてのディスペンサの場合では、制御ユニットは、ディスペンサが、プリント材料の吐出をストランドの形態で開始する時点、および、吐出が完了する時点を規定する。さらに、容量流量、すなわち、単位時間あたりに吐出されるプリント材料の容量が、制御ユニットによって規定される場合があり得る。共焦点測定ユニットからの測定結果に応じて、プリントの品質を向上させるために、ストランドの形態に影響するディスペンサのパラメータが調整される場合があり得る。ディスペンサのそのようなパラメータには、流量、供給量、および、材料貯蔵部内の供給圧力が含まれる場合がある。
【0030】
支持材が使用される場合、プリントヘッドは、支持材のための、1つまたは複数のさらなる吐出装置を有する場合がある。代替的または追加的に、適切な吐出装置を有するさらなるプリントヘッドが、支持材の吐出のために設けられることも可能である。
【0031】
プリント材料は、恒久的な構成要素の製造のための材料、特にシリコーンである場合がある。または、プリント材料は、一時的に製造されたパーツまたは領域に必要な支持材、特に、たとえばポリエチレングリコール(PEG)またはポリビニルアルコール(PVAL)の形態の材料である場合がある。
【0032】
使用されるプリント材料は、好ましくは、少なくとも処理の間、自在に流れる材料であり、吐出した後に硬化されることができる形態である。後に硬化可能であることは、ミスプリントが検出された場合に、たとえば、プリントヘッドの洗浄と、後の、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントとのプロセスを行うことができることを意味している。この場合、架橋されていない材料は、この材料が硬化するまでは自在に流れる状態のままであり、それにより、後の置かれるプリント材料は、洗浄の前に置かれたプリント材料に、依然として接着されることになり得る。
【0033】
放射または熱的手段によって、より好ましくは、位置を選択する方式であるか、エリア全体にわたり、放射または熱的手段により、プリント材料の硬化が達成される場合が好ましい。このため、配置された後に、放射または熱の作用を介して硬化されることができるプリント材料を使用することが好ましい。
【0034】
たとえば、提案されるプロセスの場合では、化学線放射の作用を介して硬化され得るプリント材料が、好ましくは、UV/VIS放射の作用によって使用される。UV放射またはUV光は、100nmから380nmのレンジの波長を有し、一方、可視光(VIS放射)は、380nmから780nmのレンジの波長を有している。
【0035】
本発明の方法では、使用されるプリント材料は、より好ましくは、UV/VISによって誘発される付加反応を介して架橋するシリコーンゴム材料である。UV/VISによって誘発される架橋は、熱的な架橋に対する利点を有している。第1に、UV/VIS放射の強度、作用時間、および作用場所が、正確に判断されることができ、一方、吐出されたプリント材料の加熱(および、それに続く材料の冷却)は、熱伝導性が比較的低いことから、常に遅れる。シリコーンの熱膨張係数が本質的に非常に高いことから、熱的な架橋において必然的に存在する温度勾配は、機械的応力に繋がる。この機械的応力は、形成された対象物のスケールの正確さに対して反対に作用し、極端な場合では、形状の、許容不可能な歪みに繋がり得る。
【0036】
UV/VISで誘発された、付加架橋性シリコーンゴム材料は、たとえば、独国特許出願公開第102008000156号明細書、独国特許出願公開第102008043316号明細書、独国特許出願公開第102009002231号明細書、独国特許出願公開第102009027486号明細書、独国特許出願公開第102010043149号明細書、および国際公開第2009/027133号明細書に記載されている。架橋は、好ましくは、白金の錯体である感光性のヒドロシリル化触媒の、UV/VISで誘発された活性化を通して生じることになる。従来技術により、露光がない場合には主に不活性であり、250nmから500nmの波長の露光により、室温で活性である白金触媒に変化され得る、複数の感光性白金触媒が開示されている。これらの例は、(η−diolefin)(σ−aryl)platinumの錯体(欧州特許出願公開第0122008号明細書;欧州特許第0561919号明細書)、Pt(II)−β−diketonateの錯体(欧州特許第0398701号明細書)、および、(η5−cyclopentadienyl)tri(σ−alkyl)platinum(IV)の錯体(欧州特許第0146307号明細書、欧州特許第0358452号明細書、欧州特許第0561893号明細書)である。たとえば、欧州特許第1050538号明細書および欧州特許第1803728号明細書に記載のように、MeCpPtMe、および、このMeCpPtMeから、白金上に存在するグループの置換を通しての錯体が特に好ましい。UV/VISで誘発された方式で架橋するプリント材料は、単一成分または複数成分の形態で調整され得る。
【0037】
UV/VIS誘発の付加架橋の量は、特に、白金触媒の性質および濃度、UV/VIS放射の強度、波長、および作用の持続時間、透過率、反射率、シリコーンゴム材料の層の厚さおよび組成、ならびに温度の、多くの因子に基づくものである。
【0038】
白金触媒は、好ましくは、触媒作用的に十分な量で使用され、それにより、室温での十分に迅速な架橋を可能にするようになっている。全体のシリコーンゴム材料に対し、Pt金属の含有量に基づき、触媒の重量で0.1ppmから500ppmを使用することが好ましく、好ましくは、重量で0.5ppmから200ppm、より好ましくは、重量で1ppmから50ppmである。
【0039】
UV/VIS誘発の方式で付加架橋を経るシリコーンゴム材料の硬化のために、240nmから500nmの波長の光を使用することが好ましく、250nmから400nmの波長の光を使用することがさらに好ましく、350nmから400nmの波長の光を使用することがより好ましく、365nmの波長の光を使用することが特に好ましい。20分未満、好ましくは10分未満、より好ましくは1分未満での、室温における架橋時間を意味するものと理解される、迅速な架橋を達成するために、10mW/cm2から20000mW/cm2の間の出力、好ましくは30mW/cm2から15000mW/cm2の間の出力を有し、かつ、150mJ/cm2から20000mJ/cm2の間の放射線量、好ましくは、500mJ/cm2から10000mJ/cm2の間の放射線量を有する、UV/VIS放射源を使用することが望ましい。これら出力および線量の値の範囲内において、最大2000s/cm2から最小8ms/cm2までの間の、エリア特有の照射時間を達成することが可能である。
【0040】
UV/VIS下で硬化するプリント材料が使用される場合、3Dプリント装置は、好ましくはUV/VIS光ユニットを有している。位置を選択して露光する場合では、UV/VIS源は、ベースプレートに対して移動可能であり、かつ、対象物の選択された領域のみを照らすように構成される。全エリアの露光の場合では、UV/VIS源は、一変形形態では、対象物全体、または、対象物の材料層全体が、すべて一度に露光されるように構成される。好ましい変形形態では、UV/VIS源は、その光強度またはそのエネルギが、可変的に調整されることができるように、かつ、UV/VIS源が任意の時点で、対象物のあるサブ領域のみを露光するように、設計される。ここで、UV/VIS源を対象物に対し、対象物全体が、UV/VIS光で、任意選択的には異なる強度で、露光されることができるような方法で移動することが可能である。たとえば、UV/VIS源は、この目的のために、UV/VISのLEDバーとして構成され、対象物に対して、またはプリントされた対象物の上を移動される。
【0041】
熱的手段によって硬化するプリント材料の場合では、位置選択的またはある面の熱処理を行うために、赤外光源(IR)を使用することが可能である。
【0042】
硬化の実施のために、硬化方法が使用される。好ましくは、プリント材料の硬化が、プリント材料の層を配置した後、または、プリント材料の複数の層を配置した後に行われるか、プリントの間に直接実施される。
【0043】
プリントの間に直接プリント材料を硬化することは、直接硬化方法(direct curing strategy)と呼ばれる。UV/VIS放射によって硬化可能なプリント材料が使用される場合、他の硬化方法との比較により、UV/VIS源は、非常に長期間にわたって活性であり、そのため、非常に低い強度で作用することが可能である。このことは、対象物を通してのより遅い架橋に繋がる。架橋が遅いことにより、対象物の加熱を制限し、また、対象物のスケールが正確であることに繋がる。この理由は、温度のピークのために、対象物に膨張が生じないためである。
【0044】
層毎の硬化方法では、完全な材料層を配置する毎に、次いで、配置された材料層の、放射で誘発する架橋が行われる。この操作の間、新しくプリントされた層は、硬化されている、下のプリントされた層に接着される。硬化は、プリント材料の配置の直後には行われず、このため、プリント材料は、硬化の前に弛緩するための時間を有している。それによって意味されるのは、プリント材料が互いに合体することができ、これにより、直接硬化方法における表面よりも滑らかな表面を達成することである。
【0045】
n番目の層を硬化させる方法では、硬化がn個の材料層を配置した後にのみ行われることを除き、層毎に硬化させる方法と手順が類似している。ここで、nは自然数である。プリント材料の弛緩のために利用可能である時間は、さらに増大し、これにより、表面の品質がさらに向上する。しかし、プリント材料の流れのために、達成可能なエッジのシャープさは低減される場合がある。
【0046】
好ましい実施形態では、硬化方法は、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントに適合する。たとえば、材料層のプリントは、各場合において、配置された材料層の架橋が、層毎の硬化方法またはn番目の層の硬化方法によって実施される前に、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントが続いて行われる場合がある。不適切な定置されていないプリント材料は、たとえば、位置測定ユニットが、プリントヘッドの移動経路を確認すること、および、任意選択的には、継続的に、吐出装置からのプリント材料の吐出が監視されること、および/または、吐出されるプリント材料が測定されることにおいて確認することができる。
【0047】
3Dプリント装置は、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を非接触で判定するように設定された共焦点測定装置を有するシステムを含んでいる。本システムは、色の共焦点の距離の測定を行うように設定される。
【0048】
概して、この目的のために、本システムは、1つまたは複数のセンサおよび評価ユニットを備えている。共焦点測定装置は、システムのセンサとも呼ばれる。センサは、評価ユニットによって評価される測定を行う。
【0049】
本システムは、光源を備えている。光源は、好ましくは、たとえば、数マイクロメートルの直径を有する多孔板、または、光ファイバにより、点光源として実施される。この光源は、たとえば、高強度で一様なスペクトル分布の、広帯域の白色光である、多色光をレンズ構成に放射する。
【0050】
共焦点測定装置は、レンズが共焦点で配置された少なくとも1つのレンズ構成を備えている。レンズ構成は、制御された方式で、その単一波長に光を分割するように構成されている。この目的のために、光の散乱効果を有する1つまたは複数のレンズが使用され、それにより、青色光の成分がレンズのより近くに収束し、赤色光の成分がより遠くに収束するか、この逆になる。
【0051】
共焦点測定装置は、対象物と接触することはなく、対象物との相互作用は、もっぱら光によって行われる。対象物上および対象物内では、既知の光の法則に従って、光の反射、吸収、および透過が生じる。たとえば、対象物の表面からの反射光、ベースプレートからの反射光、または、空気または異物の包含部からの反射光などの、対象物によって反射される光は、共焦点測定装置によって受領され、レンズ構成を介して、分光計に案内される。
【0052】
分光計の測定値から、評価ユニットは、反射された光の1つまたは複数の支配的な波長、またはスペクトルの色を評価する。支配的な波長は、本開示において、「ピーク」とも呼ばれる場合がある。評価ユニットは、反射された光のすべての波長が、たとえば、対象物にプリントされた最後の層から、または、ベースプレートからなど、測定対象物からの特定の距離に割り当てるように、調整される。個別の波長の焦点の幅が分かっていることから、すべての支配的な波長が、測定対象物からの距離の値に直接割り当てられることができる。より具体的には、測定のために採用される光の波長は、プリントされた対象物の表面上に明確に収束する光の波長である(または、プリントの前かつ、ベースプレート上のプリントされた対象物の外側)。評価ユニットは、このことを使用して、プリントされることになるさらなるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を判定することができる。プリント材料が透明である場合、さらなる支配的な波長が生じ得、この波長は、さらなる「ピーク」とも呼ばれる。さらなるピークは、たとえば、対象物内に空気または異物を含む場合において、光学的に薄い媒体から、光学的に密度の高い媒体へ、またはその逆の移行によって生じる。さらなる支配的な波長は、対象物/ベースプレートの境界において生じる。短い波長から見て、プリントされた対象物の表面が第1のピークであり、ベースプレートが最後のピークである。評価ユニットは特に、評価のために、ソフトウェアで実施される構成要素を有する場合がある。
【0053】
距離測定の好ましい分解能は、10nmから500nmのレンジ、好ましくは10nmから200nmのレンジ、さらに好ましくは20nmから50nmのレンジ、より好ましくは約28nmである。距離測定の測定レンジは、好ましくは、0.3mmから30mm、好ましくは、0.5mmから3mmのレンジ、より好ましくは約1mmである。光のスポットの直径の好ましいサイズは、5μmから100μmのレンジ、好ましくは5μmから50μmのレンジ、より好ましくは6μmから9μmのレンジのレンジ、特に好ましくは約8μmである。X方向およびY方向では、共焦点測定装置は、好ましくは100μmから200μmの間の精度を有している。
【0054】
使用される材料が、UV/VIS誘発の付加反応を通して架橋するシリコーンゴムである場合、距離の測定のために使用される光が、シリコーンゴム材料の望ましくない硬化に繋がるいずれの成分をも包含しない場合が好ましい。たとえば、UV/VIS誘発の方式で付加架橋し、240nmから500nmの波長、好ましくは250nmから400nmの波長、より好ましくは350nmから400nmの波長、特に好ましくは365nmの波長の光の下で架橋するシリコーンゴム材料である場合、このため、第1の実施形態では、共焦点測定装置の光源が、たとえば、この光の部分を伴わない白色光など、この光のいずれの部分をも放射しない場合があり得る。代替的または追加的に、共焦点測定装置は、光の対応する部分をフィルタリングするために、1つまたは複数のフィルタを有する場合がある。
【0055】
測定がプリントされる層に影響しないことから、1つの層が別の層の上にある複数層をプリントし、各層を直接硬化させること(n層の方法)を伴わずに複数の層を分析することも特に可能である。
【0056】
プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離は、ベースプレートに関して判定されるが、すでにプリントされた層に関しても判定される。ここで、これら層は、シリコーンまたはシリコーンエラストマの場合、しばしば透過性である。好ましくは、共焦点測定装置を有するシステムは、したがって、少なくとも部分的に透過性のプリント材料から形成された層上、特に、シリコーンまたはシリコーンエラストマを含む層上の、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる位置を判定するように設定される。有利には、本システムの分光計および評価ユニットは、2つの異なる光学的な密度の媒体間の界面(たとえば、空気/シリコーン)における弱い反射を検出するように設定されている。
【0057】
好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムが、プリントされた層内の空気および異物の包含部を判定するようにも設定されている。
【0058】
この目的のために、評価ユニットは、発生し、分光計で検出される、すべての支配的な波長の位置を評価する。気泡の場合、および、プリントされた層内の透過性の異物の場合では、さらなる支配的な波長が、対象物の表面およびベースプレートに加えて発生する。透過性ではない、すなわち、不透明な、異物を含む場合では、ベースプレートの支配的な波長は、たとえば、移動するか消失する。異物または空気の包含部などの欠陥は、こうして確認されることができる。異物または空気の包含部が検出された場合、ミスプリントを示す、対応するエラーメッセージが生成されることができる。システムが、たとえば、欠陥箇所においてプリント材料をさらにプリントすること、または、たとえば、ロボットアームにより、異物を除去することにより、エラーを修正する構成要素を備えている場合もあり得る。
【0059】
レンズから焦点までの距離が、媒体の屈折率に依存することから、欠陥箇所および包含部(たとえば、透過性の対象物内のもの)の距離の判定において、距離の修正が始められる。このことは、対象物または媒体の、材料に応じた屈折率を考慮する。
【0060】
好ましくは、共焦点測定装置を有するシステムは、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる材料を判定するようにも設定されている。
【0061】
この目的のために、評価ユニットは、分光計で生じる、すべての支配的な波長の強度を評価する。その動作において、分光計は、プリント材料と、支持材と、ベースプレート材料とを区別する。さらに、評価ユニットは、たとえば、以下に説明されるアプリケーションプリントにおいて、または、たとえば、ある材料が、さらなる材料内に埋め込まれている場合、フラットな平面に互いに並んでプリントされた材料間をも区別することができる。透過性材料から非透過性材料への移行を検出するために、依然として共焦点測定装置の測定レンジ内にある場合は、ベースプレートの反射の消失を使用することも可能である。
【0062】
摩耗または機械的影響により、経時的に、プリントヘッドに対するベースプレートの整列が変化する。好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムは、プリントされることになるプリント材料がプリントされるプリント平面の位置を判定するようにも設定されている。評価ユニットは、1つの直線上にはない、複数の測定された距離に基づくプリント平面の位置を判定する。
【0063】
この目的のために、たとえば、プリントポイントのマトリクスのランクに少なくとも対応する測定マトリクスが使用される。吐出圧力では、測定マトリクスは、プリントヘッドの位置のマトリクスのランクにおいて、少なくとも部分的に取得される。10nmから200nmのレンジ、たとえば、約20nmから40nmのレンジの距離の測定における分解能での、5μmから100μmのレンジにおける光のスポットの直径の好ましいサイズにより、配置された個別のボクセルすべての測定が可能になる。
【0064】
まだどの材料もプリントされていない場合、プリントされることになる対象物が構築されるベースプレートが、プリント平面である。第1の層がすでにプリントされた場合、プリント平面は、代替的に、プリントされた最後の層の位置によって表され得る。
【0065】
プリント平面の位置は、たとえば、プリントヘッドまたはプリントヘッドの平面に対するオフセットおよび傾きの特定、または、あるいはプリントヘッドからの距離および空間内の向きの特定によって表現することができる。この目的のために、評価ユニットは、対応するソフトウェアモジュールを有している。
【0066】
プリント平面の位置が分かっていることで、たとえば、プリントヘッドまたはプリントヘッドの平面に対するオフセットおよび傾き、または、それぞれの吐出装置に対するプリント平面の距離および空間内の向きを調整することにより、本システムは、調整されることができる。好ましい実施形態では、したがって、3Dプリント装置は、共焦点測定装置を有するシステムに機能的に接続されており、また、プリント平面の位置を修正するように設定されている、修正装置を有している。
【0067】
修正装置は、プリント平面を調整するための調整要素、たとえば、ベースプレート上およびプリントヘッド上の調整ネジを備えている場合がある。プリント平面は、手で機械的に、または自動的に調整されることができる。好ましくは、修正装置は、たとえば、コンピュータ制御によって傾斜およびオフセットを自動的に調整することができる、作動可能なアクチュエータを備えている。
【0068】
吐出装置が噴射ノズルである場合、修正装置は、プリントヘッドの整列の調整のための調整要素、たとえば、角度調整ネジをも有する場合がある。機械的特性およびノズルの幾何学形状の公差を通し、プリントボクセルに繋がる、配置される液滴は、垂直には放出されないが、コーン状の公差レンジ内で放出される。コーンの先端は、ノズルの出口、および、液滴のインパクトが生じるプリント平面上の領域の輪郭によって形成される。プリントヘッドの垂直ではない整列、ノズル形状の公差、ならびに、ノズルまたは空気流における汚れおよび堆積が、液滴の軌道を望ましくなく偏向させる場合がある。ここでも、作動可能なアクチュエータが、コンピュータ制御により、角度を自動的に調整することを可能にするために、設けられていることが好ましい。
【0069】
好ましい実施形態では、共焦点測定装置は、プリントヘッドに対して決まった位置に配置されている。より詳細には、共焦点測定装置が、プリントヘッドの移送用スライド上の固定された構成にある場合があり得る。
【0070】
好ましくは、共焦点測定装置は、この装置が、プリントの間、プリントヘッドの前にあるように配置されている。この場合、任意の必要な修正は、プリントの前に計算および/または実施されることができる。プリントヘッド周りまたは吐出装置周りに配置され得る複数の共焦点測定装置を提供することも可能である。
【0071】
さらに好ましくは、3Dプリント装置は、プリントされた対象物または外部からの構成要素の位置決めまたは操作のための、少なくとも1つの制御可能なロボットアームを有している。
【0072】
制御可能なロボットアームにより、たとえば、プリントされ、どのアプリケーションにもコーティングまたはプリントされる外部からの構成要素を3Dプリンタに自動的に備え付けることを可能にする。外部からの構成要素またはプリントされた対象物の回転、再配置、および除去は、やはり自動的に可能である。さらに、ロボットアームにより、確認された異物が除去されることができる。
【0073】
3Dプリント装置は、メインコントローラを有している。このメインコントローラは、プリントされることになる対象物のモデルまたはコンピュータモデルを包含している。メインコントローラは、たとえば、たとえばイーサネットまたはWLANであるデータネットワークを介して、または、たとえばシリアル接続またはUSBである接続を介して、たとえば、装置の制御ユニットと通信するコンピュータとして実行され得る。
【0074】
コンピュータモデルは、メインコントローラ内に、任意のファイルフォーマットで記録され得る。標準的なファイルフォーマットには、たとえば、STL、OBJ、CLI/SLC、PLY、VRML、AMF、STEP、IGESが含まれる。記述された方法の実行において、メインコントローラは、モデルを通る仮想の水平なスライス(スライシングと呼ばれる)を提供する。これら水平なセクションは、次いで、対象物の積層構築のために、プリント材料がどのように配置される必要があるかを述べるスキームを計算するために使用される。スキームは、より具体的には、プリント材料の目標位置を包含する。ここで考慮されるのは、プリント材料が、ボクセルの形態か、ストランドの形態か、ボクセルとストランドの組合せの形態かの、どの形態で吐出されるかである。対象物の形状により、支持材を配置することが必要とされる場合、メインコントローラは、好ましくは、支持材を配置するためのスキームをも生成するように設定される。
【0075】
メインコントローラは、共焦点測定装置有する本システムに機能的に接続されている。たとえば、メインの制御システムは、結果として、必要である場合はスキームをアップデートできるように、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる位置に関する情報を受領する場合がある。たとえば、空気および異物の包含部に関するか、プリントされる材料またはプリント平面の位置に関する、共焦点測定装置でシステムによって確認されたさらなる情報も、通信されることができる。
【0076】
メインコントローラは、3Dプリント装置のさらなる装置、特に、プリントヘッド、位置決めユニット、位置測定ユニット、プリント材料測定ユニット、修正装置、およびロボットアームに、さらに機能的に接続されている。
【0077】
位置決めユニットは、プリントヘッドをベースプレートに対して配置するように設定されている。ここで相対位置は、少なくともX、Y、およびZの3つの空間的な軸に沿って調整可能であり、また、場合によっては回転可能でもある。位置決めユニットは、少なくとも1つのモータを備えており、通常は、少なくとも1つの別のモータが、それぞれの調整可能な空間的な軸に関して設けられている。モータは、たとえば、電気モータ、特にステップモータとして実行される。
【0078】
位置測定ユニットは、好ましくは、プリントヘッドの位置を継続的に判定するように設定される。この目的のために、位置測定ユニットは、規定の割合で、プリントヘッドの位置の測定を引き受け、これら測定値をメインコントローラに送信する。
【0079】
位置測定ユニットは、好ましくは、すべての軸に対する位置の測定、または、位置決めユニットによって調整可能な空間的方向の測定を引き受けるように設定される。位置測定ユニットは、ベースプレートに対して並行な平面内のプリントヘッドの位置を判定するように少なくとも設定される。位置測定ユニットは、好ましくは、空間内のプリントヘッドの位置を判定するように設定される。
【0080】
位置測定ユニットは、好ましくは、モータ内の少なくとも1つのステップカウンタ、回転エンコーダ、光学的スケール、特にガラススケール、GPSセンサ、レーダーセンサ、超音波センサ、ライダセンサ、および/または少なくとも1つの光バリアを有している。モータ内のステップカウンタは、非接触のスイッチ、たとえば、磁気センサ、具体的にはホールセンサとして特に構成され得る。
【0081】
本発明のさらなる態様は、3Dプリント方法を提供するためのものである。説明された3Dプリント装置は、好ましくは、以下に説明する方法を実行するように設計および/または設定されている。したがって、本方法に関連して説明された特徴は、3Dプリント装置に関して開示され、逆に、3Dプリント装置に関連して説明された特徴は、本方法に関して開示されている。
【0082】
対象物を積層造形するために、プリント材料を目標位置に置くように設定された少なくとも1つの吐出装置を有する少なくとも1つのプリントヘッドを備える、3Dプリント装置を使用して、対象物を製造するための本発明の方法では、少なくとも1つの共焦点測定装置を有するシステムにより、プリント操作の間、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離が非接触で判定されることができること、または、スキャニングステップにおいて、共焦点測定装置を有するシステムにより、プリント操作の前に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることができる。
【0083】
プリント操作の間、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離は、非接触で判定されることができる。プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの、非接触で判定された距離、および、プリントヘッドの位置は、たとえば、プリント材料が堆積される表面上のポイントの位置を判定するために使用されることができる。測定装置は、プリントヘッドの前にある。この方法で、プリントエラー、特に、プリントされていないプリント材料、欠陥、および異物の堆積を確認することが可能である。プリントエラーは、修正および/または報告および/または記録されることができる。
【0084】
共焦点測定装置を有するシステムにより、代替的に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置を、プリント操作の前に、非接触で判定することが可能である。より詳細には、たとえば、プリントヘッドに対する表面の位置が、ここで判定される。3Dプリント装置は、ここでは、プリントされることになる表面をスキャニングする個別のステップを実施する。やはりこの方法で、プリントエラー、特に、プリントされていないプリント材料、欠陥、および異物の堆積を確認することが可能である。プリントエラーは、修正および/または報告および/または記録されることができる。
【0085】
本発明によるプリントエラーの修正は、形状が特に忠実である対象物をプリントする結果となり得る。形状に対する忠実さは、対象物の幾何学的寸法が忠実にスケーリングされていることを意味すると理解される。すなわち、幾何学的寸法が、存在する場合は、テンプレートの寸法からのわずかな偏差のみを有していることを意味している。
【0086】
非接触で判定された表面からのプリントヘッドの距離を使用すること、または、非接触で判定された表面の位置を使用することで、3Dプリント装置が調整されることができる。やはりこの結果として、形状が特に正確である対象物をプリントすることが可能である。
【0087】
調整は、上述したように、ベースプレートの調整に関係する場合があるか、プリントおよびその後のテスト対象物の測定の後に、吐出装置の調整、たとえば、ノズルの角度の調整に関係する場合がある。
【0088】
修正装置は、たとえば、機械的な摩耗の結果として生じるプリント平面の位置の偏差を修正するが、やはり、不十分であるか、まだ完全には硬化していない場合において、プリント材料の流動の結果の偏差を修正する。修正装置は、特に、硬化が遅れている多層の構成の場合における層の流動の影響を修正する(n層の方法)。
【0089】
プリント平面の目標位置からのプリント平面の実際の位置の許容可能な偏差は、たとえば、閾値によって規定される。この閾値は、たとえば、50μmから500μmのレンジ、好ましくは、100μmから200μmの間である。代替的には、許容可能な偏差の閾値は、プリントされたボクセルのサイズ、または、ストランドの直径によって判定されることができる。ここで、許容可能な偏差は、たとえば、ボクセルサイズの半分未満、または、ストランドの断面積の半分未満に固定されている。許容可能な偏差は、プリント平面のオフセットおよび傾斜に応じて、場合によっては異なる値で規定される。
【0090】
最初の調整に関し、スキャニングステップにおいて、たとえば、テスト用の試料がベースプレート上に置かれる場合があり得る。傾きおよび機械的オフセットは、テスト用の試料の表面の測定された位置から、たとえば、テスト用の試料の角および/またはエッジを判定することによって確認される。
【0091】
プリントヘッドの整列の最初の調整に関し、規定のプリント形状およびプリントパターンをプリントすることができ、プリントされたプリント形状を分析することができる。
【0092】
再調整のために、さらなるスキャニングステップが提供され得る。個別のプリントされていない材料は、迅速かつ自動的にベースプレートの再調整を要請することはないが、システムによってそのように認識される。その場合、システムによってシステム上のエラーが確認された場合、たとえば、長い期間にわたるか、たとえば、特定の数より多くのボクセルにわたって、たとえば、10より多くのボクセル、または、50より多くのボクセルにおいて、偏差が検出されている事象において、ベースプレートは好ましくは再調整される。
【0093】
好ましい実施形態では、スキャニングステップにおいて、プリント操作の前に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることができ、確認された表面のCADモデルが形成される。データは、ここでは、既知の処理可能なフォーマットで生成および貯蔵される。
【0094】
このため、任意の形状のボディ上へ、コーティング、付加物、または塗布物をプリントすることが可能である。たとえば、レンズなどの、平らではない形状のボディには、上でプリントされるホルダが設けられ得る。さらに、コーティングまたはバッファ要素は、金属構成要素上にプリントされることができる。さらに、電極、電気アクチュエータ、またはセンサのシリコーン内への埋込みプリントが引き受けられ得る。埋め込みは、たとえば、人間または動物に身体に対して適合する方式でこれらをインプラント可能にするために、必要である場合がある。用途は、医療用インプラントにおいて、たとえば、聴覚インプラントまたは、医療用センサである。たとえば、電気アクチュエータまたはセンサが、電気的に活性なポリマをシリコーン内に埋め込むことによって製造されることができる。
【0095】
さらに、本発明の方法により、存在する構造または構成要素のイメージ、特に、透明な構成要素のイメージもまた生成されることができる。存在する構造または構成要素は、スキャンされ、CADモデルとして読み込まれ、また、再プリントされる。有利には、2つの別々の器具を必要とされず、それにより、別々のスキャニングユニットが省かれる。
【0096】
一実施形態では、少なくとも1つの外部からの構成要素は、ベースプレート上またはプリントされた層上に堆積され、外部からの構成要素のプリント可能な表面の位置が、共焦点測定装置を有するシステムによって確認される。
【0097】
このため、外部の要素は、プリントの間、存在するプリントされるボディ内に挿入されること、および、プリントされた本体内に打ち込まれることもできる。高さの測定により、外部からの構成要素の配置および位置が確認され、これらデータは、プリントプロセスにおいて、ソフトウェアによってさらに処理される。外部からの構成要素は、プリント操作の過程で、完全に、または、もっぱら部分的に、プリント材料でコーティングされる場合があるか、プリント材料によって囲まれる場合がある。
【0098】
ベースプレート上またはプリントされた層上における外部からの構成要素の配置は、好ましくは、たとえばロボットアームにより、自動的に実施される。不正確さが確認された場合、これらは再配置され得る。
【0099】
外部からの構成要素は、たとえば、電気センサ、アクチュエータ、信号変換器、またはマイクロチップである。
【0100】
さらなる実施形態では、プリント操作の後に、共焦点測定装置を有するシステムにより、プリントされたプリント材料の位置も、非接触で判定されることができる。
【0101】
たとえば層毎に実施される測定は、たとえばクオリティコントロールの役に立つことができる。たとえば、CADモデルにおける、ターゲットモデルの、実際のモデルからの差異が存在する場合があり得る。特に、アクセスが困難である対象物のアンダーカットおよび内部空間の場合では、このタイプのドキュメンテーションの品質が有利である。後の試験は、しばしば、困難性を伴うか、制限された程度までに限り、可能である。
【0102】
プロセスの好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムからのデータが、プリントされた対象物の、品質を判定する指標、特に、表面粗さ、表面の品質、表面の質感、位置(特に高さ)および平坦度の公差を判定および示すために使用される。取得されたCADデータにより、スキャンまたはプリントの直後の品質判定指標の表示が実施可能である。たとえば、2010から2013の版におけるEN ISO25178である、関連する規格によれば、3Dプリントユニットからの表面粗さに関する直接のデータを示すことも可能である。
【0103】
特に透明な材料のプリントには、たとえば光学レンズなど、複数の使用分野がある。材料がプリントされる層は、好ましくは、少なくとも部分的に、透明なプリント材料で形成されている。
【0104】
好ましくは、提案されている方法は、エラストマ部品、特にシリコーンエラストマ部品である対象物の製造に用途を見出している。エラストマ部品の製造のために、上述のプリント材料の1つを使用することが優先される。エラストマ、特にシリコーンエラストマは、3Dプリントプロセスにおいて特別な要請があり、この理由は、これら材料が、たとえば、熱可塑性樹脂に比べ、伸縮性があり、対象物の製造の間、変形され得るためである。さらに、架橋されていない材料は、硬化されるまでは自在に流動する。
【0105】
本発明は、提案のプロセスによって製造されたエラストマ部品、特にシリコーンエラストマ部品にも関する。エラストマ部品は、好ましくは、上述のプリント材料の1つを使用して構成される。
【0106】
提案されている本方法によって製造される対象物は、品質に関して注目に値するものである。この品質は、射出成形によって製造されたエラストマ部品の品質に相当するか、越えさえする場合がある。同時に、対象物の表面は、所望に応じて調整されることができる。表面は、たとえば、構造があり、特に、規則的な構造が与えられていることが可能であるか、平滑であり、かつ/または完全に連続していることが可能である。本発明に従って製造された対象物は、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントのオプションにより、やはり、いずれの閉じ込められた空気または気泡をも有していない。このため、信頼性のある物理的特性を伴う、機械的に応力がかけられ得る対象物が製造されることができ、この対象物は、たとえば、医療用途にも適切である。たとえば、プリントされた対象物には、一様な伸縮性または平滑さの特性が与えられ得るか、光学レンズの場合では、等方性の光学的透過性が与えられ得る。さらに、対象物の幾何学形状がキャスティング方法で使用される型によって制限されないことが、プリントされる対象物の特徴である。このため、プリントされた対象物は、アンダーカットおよび/または囲まれたキャビティを有することができる。プリントされた対象物には、同様に、ばりが存在しない。ばりは、射出成形された部品で、特に半型の分離、および、ランナーシステムにおいて、生じる。
【発明の効果】
【0107】
本システムは、材料と環境との界面における反射を評価する。有利には、共焦点測定装置は、プリントされた対象物とは接触することなく、また、静電気の問題もない。望ましくない汚染および変形が避けられることができる。提案されている解決策は、光学的測定のために、高い分解能をも与える。
【0108】
吐出装置のプリント平面からの距離、または、プリントされた対象物からの距離の、連続した、非接触の検出により、プリント材料の光学的な堆積高さのコンプライアンスが可能になる。測定結果の取扱いにおける適切な方法により、形状の高い正確さを伴って、対象物、特に、やはり透明な対象物を、プリントすることが可能になる。プリントされる対象物のスケールに対する正確さ、および、品質を判定する指標は、継続的に確認されることができる。
【0109】
共焦点の測定により、任意の硬度および任意の粘性の物質上、および、やはり透明な物質上の距離の判定が可能になる。このため、3D塗布プリントが、任意の形状、任意の硬度、および任意の粘性のボディ、ならびに、透明なボディ上に可能であり、また、やはり、支持材を伴う、および、支持材を伴わない、自己支持構造も可能である。任意の形状、任意の硬度、および任意の粘性のボディ、ならびに、透明なボディを、3Dプリントされた対象物内に埋め込むことも可能になる。
【0110】
より具体的には、こうして、たとえば医療用途を可能にするスケールに対する正確さの要請を満たすことが可能になるような方法で、シリコーンで、シリコーンプリントおよび塗布プリントを実行することが、可能である。
【0111】
図は、本発明の作業の例を示しているが、図は、単に概略的な形態で本発明の主題を示している。図示され、図を参照して以下に説明される実施の例は、本発明の主題に関して制限するものとしては解釈されるべきではない。特許請求の範囲の範囲内において可能である複数の変形形態が、当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】本発明の第1の実施形態の3Dプリント装置の上面図である。
図2】本発明のさらなる実施形態の3Dプリント装置の上面図である。
図3】本発明の第1の実施形態における高さの測定の側面図である。
図4】本発明のさらなる実施形態における高さの測定の側面図である。
図5】噴射における角度の公差の表示のための側面図である。
図6】傾斜され、オフセットされたベースプレートの側面図である。
図7】本発明の一実施形態における3D装置のベースプレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下の本発明の実施の例の説明において、同一であるか同様の構成要素および要素には、同一であるか同様の参照符号が付され、その場合、これら構成要素または要素の繰り返しの説明は、個別の場合では免除される。
【0114】
図1は、本発明の一実施形態の3Dプリント装置10の概略上面図を示している。3Dプリント装置10は、制御ユニット(図示せず)により、メインコントローラ(同様に図示せず)を介して作動するプリントヘッド12を備えている。図示の実施の例では、プリントヘッド12は、2つの吐出装置14を備えている。一方の吐出装置14は、噴射ノズル16として実施されている。噴射ノズル16は、プリント材料を個別の液滴として放出し、プリント材料をボクセルの形態で配置する。他方の吐出装置14は、ディスペンサ18として構成され、プリント材料をストランドの形態で配置する。
【0115】
図1に示す例では、噴射ノズル16とディスペンサ18との両方が、対象物22の積層構築のために使用される。たとえば、噴射ノズル16のおかげで、対象物22の表面を形成するボクセルが配置され、ディスペンサ18は、対象物22の内部を充填するために、ストランドを配置する。対象物22は、ベースプレート24上に構築される。
【0116】
3Dプリント装置10は、共焦点測定装置20を有している。この共焦点測定装置20は、ここでは、たとえば移送用スライド32上に、プリントヘッド12と同じ側で、プリントヘッド12に対する決まった位置に配置されており、前記移送用スライド32は、Y軸に沿ってプリントヘッド12を移動させる。
【0117】
UV/VIS放射の作用によって硬化するプリント材料が使用される場合、UV/VIS光源が提供される。図1の実施形態では、この目的のために、位置を選択する方式でUV/VIS光を放射するLEDバー26が提供される。ベースプレート24のエリアをUV/VIS光でカバーすることを可能にするために、LEDバー26は、可動であるように設計されている。
【0118】
熱的に硬化するプリント材料の場合では、代替形態として、プリント材料の、位置を選択する方式での加熱のために設定されたIR光源が提供される。この目的のために、IR光源は、特に、プリントヘッド12に固定されている場合がある。代替的には、熱硬化性プリント材料の硬化のために、3Dプリント装置10は、加熱可能な空間内で操作される場合がある。
【0119】
ベースプレート24に対するプリントヘッド12の配置のために、3Dプリント装置10は、3つの位置決めユニット28をも有している。これら3つの位置決めユニット28の内の2つが図1に示されている。位置決めユニット28の各々は、プリントヘッド12の、X、Y、およびZの3つの空間的な軸の1つにおける移動を可能にする。この目的のために、位置決めユニット28の各々は、軸30に接続されており、この軸30に沿って、移動が可能である。第3の位置決めユニット(図示せず)は、ベースプレート24に割り当てられており、ベースプレート24の、図面の平面内での空間的な方向における移動を可能にしている。図示の2つの位置決めユニット28は、プリントヘッド12に割り当てられており、プリントヘッド12の、「X」および「Y」と指定された空間的方向における移動を可能にする。3つの位置決めユニット28がすべて、プリントヘッド12の配置を可能にするか、ベースプレート24に対する3つの空間的方向のいずれかにおいて可能にする。図示の解決策は、純粋に説明的なものである。当業者は、さらなる選択肢を承知している。
【0120】
プリントヘッド12の位置を確認するために、3Dプリント装置10は、位置測定ユニット(図示せず)を有する場合がある。位置測定ユニットは、たとえば、各々が、3つの空間的方向X、Y、およびZの1つに割り当てられ、プリントヘッド12またはベースプレート24の移動を検出する場合があり、それにより、ベースプレート24に対するプリントヘッド12の相対位置が、好ましくは絶えず判定されるようになっている。
【0121】
図2は、本発明のさらなる実施形態の3Dプリント装置10の上面図を示している。3Dプリント装置10は、基本的に、図1を参照して説明されたように構成される。しかし、3Dプリント装置10は、プリント材料のための3つの吐出装置14が設けられていることと、3つの共焦点測定装置20とで、説明された実施形態とは異なっている。
【0122】
第1の2つの吐出装置14は、図1を参照して説明されたように構成される。第3の吐出装置14は、さらなる噴射ノズル34として構成され、支持材を配置するために提供されている。
【0123】
共焦点測定装置20は、各々が、吐出装置14の1つに割り当てられている。共焦点測定装置20と吐出装置14とは、プリントヘッド12をY軸に沿って移動する移送用スライド32上に、互いに対して反対側に配置されている。
【0124】
図3は、本発明の一実施形態における高さの測定の側面図を示している。ベースプレート24上の噴射ノズル16および共焦点測定装置20が示されている。噴射ノズル16は、対象物22またはベースプレート24に当たった後に、プリントされたボクセルを形成する液滴36を配置する。
【0125】
噴射ノズル16は、共焦点測定装置20の後方に配置され、それにより、プリントの行程において、最初に、プリントされるプリント材料がプリントされることができる位置が非接触で判定されることができるように、共焦点測定装置20によって高さが測定されるようになっている。
【0126】
共焦点測定装置20は、やはり、前のスキャンに関して使用され得る。たとえば、プリントされた対象物22のCADモデルを得るために、プリントされたプリント材料の位置が、プリントの後に、接触せずに判定されるように、共焦点測定装置20は、代替的に使用されることができる。
【0127】
複数のプリントエラーが、対象物22に示されている。第1のプリントエラーは、欠陥箇所38である。この欠陥箇所38は、共焦点測定装置20によってすでに分析され、現在の層のプリントの間、本発明のプリント装置10によって修正されることができる。3Dプリント装置10は、単に単一の、またはいくつかのプリントされていないボクセルを伴っていることを判定し、それにより、欠陥箇所38が、特定の再プリントにより、すぐに補修されることができる。
【0128】
プリントされた対象物22は、空気包含部40の形態、すなわち、プリント材料によってすでに完全に囲まれている欠陥箇所38の、さらなるプリントエラーを有している。空気包含部40は、共焦点測定装置20によって確認することができる。この理由は、プリント材料と空気との複数の界面が、測定用の光ビームに生じ、それにより、空気包含部40が、依然として共焦点測定装置20の測定領域内にある場合、受信信号内に、複数の支配的な波長が存在するためである。空気包含部40が確認された場合、たとえば、エラーメッセージが生成されることができるか、あるメッセージが、メインコントローラに送信されることができ、それにより、たとえば、プリントされた対象物22が放棄されるか、さらなる品質テストを課すことができるようになっている。特に、光学および医療技術の分野では、空気包含部40のようなエラーは、しばしば、許容不可能であり、したがって、それらエラーの検出が必要である。修正不可能なエラーの場合では、エラーの確認のための時間は、最小限に短縮される。
【0129】
さらなるプリントエラーが、対象物22の上の隆起の形態で示されており、このエラーは、たとえばほこりの粒子などの、たとえば環境から生じる、異物の可能性のある包含部42を示しているか、噴射ノズル16から分離された、硬化された材料で構成されている場合がある。異物の包含部42は、対象物22からの距離が、短いレンジ内で変化することから、共焦点測定装置20によって確認されることができる。環境/異物の包含部42の界面の反射特性が、環境/対象物22の界面に関する反射特性と異なることから、異物の包含部42が、対象物22内の材料と同じ材料、すなわち、プリント材料または支持材であるか、別の材料であるかを提供されている3Dプリント装置は検出することができる。異物の包含部42の検出の後に、この包含部42が対象物22の表面に存在することを検出することが可能である場合、すなわち、対象物22のプリントされた層を通して検出することが可能である場合、ユーザが介入できるように、または、異物の包含部42が、たとえばロボットアームによって自動的に除去されることができるように、対応する警告メッセージが生成されることができる。
【0130】
図3は、たとえば、ロボットアームによるか手動で、プリントされた対象物22上に配置された、外部からの構成要素44をも示している。外部からの構成要素44は、その上に、プリント材料の1つまたは複数の層がプリントされることになり、それにより、最終的に、対象物22内に埋め込まれるようになっている。外部からの構成要素44は、ここでは立方形で示されているが、この構成要素は、たとえば、電子プリント回路基板またはマイクロチップなどの、非常にフラットな外部からの構成要素44である場合もある。外部からの構成要素44が対象物22上に配置された後に、外部からの構成要素44の位置が確定される。この目的のために、共焦点測定装置20により、スキャニングステップにおいて、内部に位置する外部からの構成要素44を有する対象物22の表面が分析され、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面上の位置が判定される。確定されたデータは、このデータからCADモデルを形成するため、または、対象物22のCADモデルをアップデートするために、たとえば、制御システムに送信されることができる。
【0131】
最後にプリントされた層からの噴射ノズル16の距離は、吐出高さhとして示されている。最後にプリントされた層からの共焦点測定装置20の距離は、吐出高さhとして示されている。2つのパラメータは、幾何学形状が決まっていることから、相互変換可能である。外部からの構成要素44が、高さに関し、共焦点測定装置20によって測定された大きさだけ、プリントされた対象物22を越えて突出することから、プリントされた対象物22の品質を一定に維持するために、外部からの構成要素44の上にプリントする際に、対象物22上の吐出高さhを、プリントの間、一定のままにするように、ベースプレート24からの噴射ノズル16の距離は対応する大きさだけ増大されてもよい。
【0132】
図4は、本発明のさらなる実施形態における高さの測定の側面図を示している。このことは、対象物22のプリントの間、ベースプレート24上で前方を移動する共焦点測定装置20を伴うディスペンサ18を示している。ディスペンサ18は、ベースプレート24上にプリント材料のストランド46を堆積させ、層48を形成している。最後にプリントされた層からのディスペンサ18の距離は、やはり、吐出高さhとして示されている。吐出高さhが十分である場合、最適な場合において、プリントされたストランド46は、円筒状のストランド断面を有している。ディスペンサ18を移動することにより、ストランド46がわずかに変形する。代替的には、吐出高さhが非常に小さい場合、ストランド46のさらなる変形が生じる。共焦点測定装置20による、吐出高さhの継続的な測定または計算により、たとえば、吐出高さhを調整することで、変形が修正されることが可能になる。
【0133】
図4は、共焦点測定装置20を有するシステム21の実施形態をも示している。システム21は、互いに機能的に接続された、共焦点測定装置20と評価ユニット58とに、この接続において言及している。この実施の例では、評価ユニット58は、コントローラ23に組み込まれて実施されている。コントローラ23は、共通のハウジング内の、外部光源50と、分光計52と、評価ユニット58とを備えている。代替的実施形態では、たとえば、評価ユニット58および/または光源50は、適切なインターフェースによる外部の構成ユニットとして提供される場合がある。
【0134】
概略的な形態で示されているこの実施形態では、共焦点測定装置20は、たとえば、一様な光スペクトルを有する白色光源、特に、白色光のLEDである、光源50を有している。光源50からの光は、光ファイバ25によって共焦点レンズ構成54に案内される。共焦点レンズ構成54は、図面では、例として、4つのコリメータレンズによって示されている。共焦点レンズ構成54の結果として、光源50から発せられた光は、色収差を経る。それにより、青色光は、赤色光よりも強く屈折することになる。共焦点レンズ構成54を越えると、図示の実施形態では、フィルタ56が配置されている。フィルタ56は、プリントされているが、まだ硬化されていない層48の望ましくない硬化に繋がる、光源50のこれらスペクトル成分をフィルタリングする。光源50からの光が、プリントされた最後の層48または、図3を参照して説明された欠陥38、空気包含部40、および外部からの構成要素44の表面に当たると、光がこれらにおいて反射され、同じ光路を介して、すなわち、フィルタ56、共焦点レンズ構成54、および光ファイバ25を介して、コントローラ23に戻る。コントローラ23では、反射された光が測定される。
【0135】
使用される分光計52は、反射された光をそのスペクトルに分ける任意の分光計とすることができる。分光計52は、評価ユニット58に接続されている。評価ユニット58は、通常、CPUおよび貯蔵手段、ならびに、さらなる計算ユニットまたは、プリンタ、モニタなどの出力ユニットとの適切なインターフェースを備えている。より具体的には、評価ユニット58は、分光計52によって検出されたスペクトル内の支配的な波長を判定するためのモジュールと、支配的な波長の周波数、波長強度、および材料の割当てを含むデータベースとを有している。分光計52および評価ユニット58は、こうして、単一層または複数層の材料を分析するように設定され、それにより、吐出高さhが計算され、また、たとえば、図3を参照して説明した欠陥38、空気包含部40、および外部からの構成要素44の表面が、やはり検出可能であるようになっている。
【0136】
共焦点測定装置20は、焦点領域において、すなわち、対象物22の表面において、5μmから100μmのレンジ、好ましくは、約50μmの光スポットの直径を有している。プリントヘッド12または共焦点測定装置20の、表面からの距離の判定において、システム21の分解能は、10nmから0.5μmのレンジ内、好ましくは、20nmから50nmの間にある場合がある。好ましくは、共焦点測定装置20は、この装置が、おおむねボクセルのサイズに対応する、少なくともX方向およびY方向における100μmから200μmの間の精度を有するように設計されている。この精度は、機械的特性の測定公差、すなわち、移送用スライド32上の共焦点測定装置20および吐出装置14の固定の剛性によっても制限される。
【0137】
図5は、ベースプレート24上の側面図で噴射ノズル16を示している。ベースプレート24は、噴射ノズル16に対する2つの異なる吐出高さhで示されている。機械的特性およびノズルの幾何学形状の公差により、ここではプリントジェット37として示される、配置される液滴は、垂直には放出されないが、コーン70を形成する一定の公差レンジ内で放出される。コーン70は、コーン開口ΔΩによって示されている。コーン70の先端は、噴射ノズル16の放出開口68を形成している。規定のプリント図形またはプリントパターンをプリントすること、ならびに、プリント図形の位置または表面を測定することにより、図5ではΔX1(h)およびΔX2(h)によって示された、軌道の公差の判定が、吐出高さhに応じて実行可能である。次いで得られる値は、噴射ノズル16の吐出角度ωを調整するため、または、噴射ノズル16の摩耗を示すためのガイド値を与えるために使用されることができる。
【0138】
図6は、テスト本体62(純粋に例として、3つ)が、特定の距離で離間して配されたベースプレート24を2回、横方向の断面図で示している。スキャン操作では、共焦点測定装置20を用いた、テスト本体の位置および幾何学形状の測定により、ベースプレート24のオフセットΔXおよび傾斜αが、正常な位置74に対して確認されることができる。Y方向におけるベースプレート24の傾斜およびオフセットも測定される。傾斜およびオフセットの明確化により、プリント平面60の位置を示すことができる。傾斜およびオフセットを判定した後に、プリント平面60の位置は、手で、または自動的に調整されて、正常な位置74をとることができる。
【0139】
図7は、修正装置72を有するベースプレート24の斜視図を示している。修正装置72は、ベースプレート24上で作動する。修正装置72は、共焦点測定装置20を有するシステム21に、たとえばメインコントローラを介して、機能的に接続されており、また、プリント平面60の位置を修正するように設定されている。図示の実施の例では、修正装置72は、オフセットアクチュエータ64および傾斜アクチュエータ66を有している。これらオフセットアクチュエータ64および傾斜アクチュエータ66により、図6を参照して説明されたオフセットΔX、オフセットΔY、およびオフセットΔZ、ならびにベースプレート24の傾斜αが調整されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7