【課題を解決するための手段】
【0010】
提供されているのは、対象物を積層造形するために、プリント材料を目標位置に置くように設定された少なくとも1つの吐出装置を有する少なくとも1つのプリントヘッドを備える、3Dプリント方法によって対象物を製造するための3Dプリント装置であって、3Dプリント装置が、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を非接触で判定するように設定された少なくとも1つの共焦点測定装置を有するシステムを含む、3Dプリント装置である。
【0011】
プリントされることになるプリント材料をプリント可能である表面からのプリントヘッドの距離、および、プリントヘッドの位置は、プリント材料が堆積される表面上のポイントの位置を判定するために使用されることができる。
【0012】
3Dプリント装置は、通常、ベースプレートを備えている。このベースプレート上では、少なくとも1つのプリントヘッドの少なくとも1つの吐出装置からのプリント材料の吐出によって対象物が構築される。ベースプレートおよびプリントヘッドは、ここでは、相対移動がX、Y、およびZの3つの空間的方向すべてで可能である状態で、互いに対して移動される。この目的のために、たとえば、プリントヘッドは、このプリントヘッドが、X方向およびY方向に移動可能であるように配置される場合があり、ベースプレートは、このベースプレートがZ方向に移動可能であるように配置されることができる。本明細書では、さらなる構成も考慮可能である。たとえば、ベースプレートは、Y方向に移動可能であるように配置され得、プリントヘッドは、X方向およびZ方向に移動可能であるように配置され得る。代替的または追加的に、ベースプレートおよび/またはプリントヘッドは、任意の所望の空間的な配置が可能であるように、旋回可能に構成され得る。
【0013】
吐出されたプリント材料で対象物を構成するために、プリント材料は、規定のスキームに従って、ベースプレート上に堆積され、第1の材料層を形成する。第1の材料層が形成された後に、たとえば、吐出装置とベースプレートとの間の距離が増大され、次の材料層が配置される。これらの後に、さらなる材料層が続き、各材料層は、規定のスキームに従い、所望の対象物が完成されるまで堆積される。このことは、対象物の積層造形とも呼ばれる。
【0014】
プリント材料は、テンプレートから得られたスキームに従って吐出される。テンプレートは、CAD(計算機援用設計)ソフトウェアで設計されるか、物品の3次元スキャニングによって形成される。材料の吐出に関するスキームの取得のために、ソフトウェアは、通常、テンプレートの水平セクションを計算する。これらセクションの各々は、材料層に対応している。次いで、プリント材料がどのように、それぞれの層内で配置される必要があるかの計算がされる。ここで考慮されるのは、プリント材料が、ボクセルの形態か、ストランドの形態か、あるいはボクセルとストランドの組合せかの、どの形態で吐出されるかである。
【0015】
適切である場合は、支持材の配置も、スキームの取得のために許容される。支持材の配置は、製造される対象物がキャビティ、アンダーカット、オーバーハング、自己支持か薄肉の部品を有することになる場合に、必要である場合がある。この理由は、プリント材料を、空間内に浮いた状態で配置できないためである。支持材は、プリントプロセスの間、キャビティを充填し、プリント材料を支持材の上に配置し、硬化させることを可能にするために、ベースまたは足場として機能する。プリントプロセスが終了した後に、支持材がふたたび取り除かれ、対象物のキャビティ、アンダーカット、およびオーバーハング、自己支持か薄肉の部品をはっきりさせる。概して、使用される支持材は、たとえば、架橋せず、粘着性ではない材料など、プリントされることになる対象物の材料とは異なる材料である。対象物の幾何学形状に応じて、支持材の必要な形状が計算される。支持材の形状の計算の際に、たとえば、最小量の支持材を使用するため、または、製品のスケールの正確さを向上させるために、様々な方策を使用することが可能である。
【0016】
吐出装置は、一連の液滴として、個別の独立した液滴の形態で、または、放出軸の方向におけるストランドの形態で、プリント材料を放出するように設定されている。これら形態間での流れの移行が可能である。この明細書において、吐出装置から吐出され、ベースプレート上または対象物上に置かれるプリント材料の液滴は、ボクセルと呼ばれる。ストランドは、吐出されたが、置かれていないプリント材料と、ストランドの形態で置かれたプリント材料との両方を意味する。置かれたプリント材料は、ボクセルまたはストランドを意味するものと理解される。
【0017】
個別の液滴の放出のために、吐出装置は、インクジェットプリンタのノズルの方式と同様に、ベースプレートの方向に、プリント材料の液体液滴を放出する1つまたは複数のノズルを備えている場合がある。したがって、これらノズルは、噴射ノズルとも呼ばれる。
【0018】
プリント材料のストランドの放出のために、プリント材料は、たとえばカートリッジ、シリンジ、またはバット(vat)から、貯蔵部容器の加圧により、ノズルを通してストランドとして外に出され、対象物を形成するために、ベースプレート上に選択的に堆積される。この種類の吐出装置は、この明細書において、ディスペンサと呼ばれる。
【0019】
3Dプリント装置における様々なプリント材料に関し、技術的に異なる装置を含む、複数の吐出装置を提供することが可能である。たとえば、3Dプリント装置は、1つもしくは複数の、任意選択的に異なって構成されるか、異なって作動される噴射ノズル、および/または、1つもしくは複数の任意選択的に異なって構成可能であるか、異なって作動されるディスペンサを有する場合がある。吐出装置は、複数の液滴またはストランドを同時に放出することができるノズルまたはディスペンサのアレイをも有する場合がある。
【0020】
より詳細には、プリントヘッドは、複数の異なる吐出装置、たとえば、1つもしくは複数の噴射ノズル、および/または、1つもしくは複数のディスペンサを有する場合がある。この場合、たとえば、プリント材料は、ディスペンサ(複数の場合もある)により、対象物の内部に迅速に配置されることができ、対象物の表面は、噴射ノズル(複数の場合もある)で、高品質で製造されることができる。代替的には、プリントヘッドが、複数の同等の吐出装置を備えていることが考えられる。この方法で、たとえば、複数の対象物を、同時に積層造形することができるか、複数の吐出装置で並行して、単一の対象物の構築において作業することが可能である。両方の場合において、全体で必要とされるプリント時間が短縮される。
【0021】
それぞれの吐出装置は、材料が吐出装置から吐出される方向を規定する吐出軸を有している。通常、この吐出軸は、ベースプレートに対して直角であるような、ベースプレートに対して向けられている。任意選択的には、3Dプリント装置は、吐出軸の整列が、ベースプレートに対して変更されることもできるように構成され得る。
【0022】
好ましくは、プリントヘッドは、1つまたは複数の噴射ノズルを有している。噴射ノズルは、これらノズルが、制御された方式で、要求に応じて、液滴を放出するように設定されている。
【0023】
たとえば、噴射ノズルに加熱要素を設けることが可能である。この加熱要素により、プリント材料が加熱され、生じる蒸気のバブルの液滴が、噴射ノズルの外に出される。このことは、バブルジェットとして知られている。
【0024】
さらなる選択肢は、圧電素子を配置することである。圧電素子は、電圧に応じて変形し、結果として、噴射ノズルから液滴を噴射することができる。この種類のインクジェットプリンタの方法は、基本的に、従来のプリントから、および、3Dプリントと呼ばれるものから、当業者には既知である。3Dプリントでは、3次元の物品が、光重合性のインクから、層毎に構築される。インクジェットプリントまたはマルチジェット3Dプリントで使用されるような、この種類のプリントヘッドは、たとえば、50mPa・s未満の粘度のものなど、低粘度のプリントインクまたはプリント材料を添加することもできる。
【0025】
本発明の方法におけるプリントヘッドでは、圧電素子を有するジェットバルブをベースとする吐出装置を使用することが好ましい。これらは、低粘度の材料と中粘度・高粘度の材料との両方の吐出を可能にする。低粘度の材料では、数ピコリットル(pL)(2pLが、約0.035μmの液滴直径に対応する)の液滴に関して液滴容量が達成されることができる。特に
シリコーンゴム材料などの、中粘度・高粘度の材料では、ノズル直径が50μmから500μmであり、ナノリットルのレンジ(1nLから100nL)の容量の液滴が生成されることができる、圧電プリントヘッドが好まれる。低粘度の材料(100mPa・s未満)では、これらプリントヘッドは、非常に高い添加周波数(約1kHzから30kHz)で液滴を放出することができ、一方、高粘度の材料(100Pa・sより大)では、流動学的性質(ずり減粘特性)に応じて、約500Hz以下の添加周波数が達成されることができる。適切な噴射ノズルは、たとえば、独国特許出願公開第102011108799号明細書に記載されている。
【0026】
噴射ノズルの好ましい実施形態では、プリント材料の吐出において、液滴の容量は、異なるサイズの液滴が生成されることができるように影響を与えられ得る。代替的または追加的に、いくつかの噴射ノズル、たとえば、ノズルアレイのいくつかのノズルが、異なるノズルサイズで構成されている場合があり得る。微小な液滴は、より正確なエッジを生成し、たとえば、対象物を回転させた後に、対象物の側面において、表面処理を行うために使用されることができる。
【0027】
ディスペンサでは、たとえば、空気圧または機械的手段、たとえば微小な押出し機、ピストンポンプまたは偏心スクリュにより、圧力が増大する。様々な実施形態が、当業者には既知である。
【0028】
噴射ノズルが吐出装置である場合では、制御ユニットは、噴射ノズルがボクセルを吐出する時点を規定する。さらに、制御ユニットは、ボクセルのサイズを規定する場合がある。共焦点測定ユニットからの測定結果に応じて、ボクセルサイズに影響する噴射ノズルのパラメータが調整される場合もあり得る。この種類のパラメータには、たとえば、ジェッティングバルブの開時間、または、ノズルがタペット技術を有している場合は、タペット進出速度、タペット後退速度、およびタペットのストローク量が含まれる場合がある。ボクセルサイズに影響する噴射ノズルのパラメータは、再プリントを最適にするために、たとえば、欠陥箇所の充填において、不適切な定置されていないボクセルのいずれの再プリントの場合において、簡潔に調整されることもできる。
【0029】
吐出装置としてのディスペンサの場合では、制御ユニットは、ディスペンサが、プリント材料の吐出をストランドの形態で開始する時点、および、吐出が完了する時点を規定する。さらに、容量流量、すなわち、単位時間あたりに吐出されるプリント材料の容量が、制御ユニットによって規定される場合があり得る。共焦点測定ユニットからの測定結果に応じて、プリントの品質を向上させるために、ストランドの形態に影響するディスペンサのパラメータが調整される場合があり得る。ディスペンサのそのようなパラメータには、流量、供給量、および、材料貯蔵部内の供給圧力が含まれる場合がある。
【0030】
支持材が使用される場合、プリントヘッドは、支持材のための、1つまたは複数のさらなる吐出装置を有する場合がある。代替的または追加的に、適切な吐出装置を有するさらなるプリントヘッドが、支持材の吐出のために設けられることも可能である。
【0031】
プリント材料は、恒久的な構成要素の製造のための材料、特に
シリコーンである場合がある。または、プリント材料は、一時的に製造されたパーツまたは領域に必要な支持材、特に、たとえばポリエチレングリコール(PEG)またはポリビニルアルコール(PVAL)の形態の材料である場合がある。
【0032】
使用されるプリント材料は、好ましくは、少なくとも処理の間、自在に流れる材料であり、吐出した後に硬化されることができる形態である。後に硬化可能であることは、ミスプリントが検出された場合に、たとえば、プリントヘッドの洗浄と、後の、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントとのプロセスを行うことができることを意味している。この場合、架橋されていない材料は、この材料が硬化するまでは自在に流れる状態のままであり、それにより、後の置かれるプリント材料は、洗浄の前に置かれたプリント材料に、依然として接着されることになり得る。
【0033】
放射または熱的手段によって、より好ましくは、位置を選択する方式であるか、エリア全体にわたり、放射または熱的手段により、プリント材料の硬化が達成される場合が好ましい。このため、配置された後に、放射または熱の作用を介して硬化されることができるプリント材料を使用することが好ましい。
【0034】
たとえば、提案されるプロセスの場合では、化学線放射の作用を介して硬化され得るプリント材料が、好ましくは、UV/VIS放射の作用によって使用される。UV放射またはUV光は、100nmから380nmのレンジの波長を有し、一方、可視光(VIS放射)は、380nmから780nmのレンジの波長を有している。
【0035】
本発明の方法では、使用されるプリント材料は、より好ましくは、UV/VISによって誘発される付加反応を介して架橋する
シリコーンゴム材料である。UV/VISによって誘発される架橋は、熱的な架橋に対する利点を有している。第1に、UV/VIS放射の強度、作用時間、および作用場所が、正確に判断されることができ、一方、吐出されたプリント材料の加熱(および、それに続く材料の冷却)は、熱伝導性が比較的低いことから、常に遅れる。
シリコーンの熱膨張係数が本質的に非常に高いことから、熱的な架橋において必然的に存在する温度勾配は、機械的応力に繋がる。この機械的応力は、形成された対象物のスケールの正確さに対して反対に作用し、極端な場合では、形状の、許容不可能な歪みに繋がり得る。
【0036】
UV/VISで誘発された、付加架橋性
シリコーンゴム材料は、たとえば、独国特許出願公開第102008000156号明細書、独国特許出願公開第102008043316号明細書、独国特許出願公開第102009002231号明細書、独国特許出願公開第102009027486号明細書、独国特許出願公開第102010043149号明細書、および国際公開第2009/027133号明細書に記載されている。架橋は、好ましくは、白金の錯体である感光性のヒドロシリル化触媒の、UV/VISで誘発された活性化を通して生じることになる。従来技術により、露光がない場合には主に不活性であり、250nmから500nmの波長の露光により、室温で活性である白金触媒に変化され得る、複数の感光性白金触媒が開示されている。これらの例は、(η−diolefin)(σ−aryl)platinumの錯体(欧州特許出願公開第0122008号明細書;欧州特許第0561919号明細書)、Pt(II)−β−diketonateの錯体(欧州特許第0398701号明細書)、および、(η5−cyclopentadienyl)tri(σ−alkyl)platinum(IV)の錯体(欧州特許第0146307号明細書、欧州特許第0358452号明細書、欧州特許第0561893号明細書)である。たとえば、欧州特許第1050538号明細書および欧州特許第1803728号明細書に記載のように、MeCpPtMe
3、および、このMeCpPtMe
3から、白金上に存在するグループの置換を通しての錯体が特に好ましい。UV/VISで誘発された方式で架橋するプリント材料は、単一成分または複数成分の形態で調整され得る。
【0037】
UV/VIS誘発の付加架橋の量は、特に、白金触媒の性質および濃度、UV/VIS放射の強度、波長、および作用の持続時間、透過率、反射率、
シリコーンゴム材料の層の厚さおよび組成、ならびに温度の、多くの因子に基づくものである。
【0038】
白金触媒は、好ましくは、触媒作用的に十分な量で使用され、それにより、室温での十分に迅速な架橋を可能にするようになっている。全体の
シリコーンゴム材料に対し、Pt金属の含有量に基づき、触媒の重量で0.1ppmから500ppmを使用することが好ましく、好ましくは、重量で0.5ppmから200ppm、より好ましくは、重量で1ppmから50ppmである。
【0039】
UV/VIS誘発の方式で付加架橋を経る
シリコーンゴム材料の硬化のために、240nmから500nmの波長の光を使用することが好ましく、250nmから400nmの波長の光を使用することがさらに好ましく、350nmから400nmの波長の光を使用することがより好ましく、365nmの波長の光を使用することが特に好ましい。20分未満、好ましくは10分未満、より好ましくは1分未満での、室温における架橋時間を意味するものと理解される、迅速な架橋を達成するために、10mW/cm
2から20000mW/cm
2の間の出力、好ましくは30mW/cm
2から15000mW/cm
2の間の出力を有し、かつ、150mJ/cm
2から20000mJ/cm
2の間の放射線量、好ましくは、500mJ/cm
2から10000mJ/cm
2の間の放射線量を有する、UV/VIS放射源を使用することが望ましい。これら出力および線量の値の範囲内において、最大2000s/cm
2から最小8ms/cm
2までの間の、エリア特有の照射時間を達成することが可能である。
【0040】
UV/VIS下で硬化するプリント材料が使用される場合、3Dプリント装置は、好ましくはUV/VIS光ユニットを有している。位置を選択して露光する場合では、UV/VIS源は、ベースプレートに対して移動可能であり、かつ、対象物の選択された領域のみを照らすように構成される。全エリアの露光の場合では、UV/VIS源は、一変形形態では、対象物全体、または、対象物の材料層全体が、すべて一度に露光されるように構成される。好ましい変形形態では、UV/VIS源は、その光強度またはそのエネルギが、可変的に調整されることができるように、かつ、UV/VIS源が任意の時点で、対象物のあるサブ領域のみを露光するように、設計される。ここで、UV/VIS源を対象物に対し、対象物全体が、UV/VIS光で、任意選択的には異なる強度で、露光されることができるような方法で移動することが可能である。たとえば、UV/VIS源は、この目的のために、UV/VISのLEDバーとして構成され、対象物に対して、またはプリントされた対象物の上を移動される。
【0041】
熱的手段によって硬化するプリント材料の場合では、位置選択的またはある面の熱処理を行うために、赤外光源(IR)を使用することが可能である。
【0042】
硬化の実施のために、硬化方法が使用される。好ましくは、プリント材料の硬化が、プリント材料の層を配置した後、または、プリント材料の複数の層を配置した後に行われるか、プリントの間に直接実施される。
【0043】
プリントの間に直接プリント材料を硬化することは、直接硬化方法(direct curing strategy)と呼ばれる。UV/VIS放射によって硬化可能なプリント材料が使用される場合、他の硬化方法との比較により、UV/VIS源は、非常に長期間にわたって活性であり、そのため、非常に低い強度で作用することが可能である。このことは、対象物を通してのより遅い架橋に繋がる。架橋が遅いことにより、対象物の加熱を制限し、また、対象物のスケールが正確であることに繋がる。この理由は、温度のピークのために、対象物に膨張が生じないためである。
【0044】
層毎の硬化方法では、完全な材料層を配置する毎に、次いで、配置された材料層の、放射で誘発する架橋が行われる。この操作の間、新しくプリントされた層は、硬化されている、下のプリントされた層に接着される。硬化は、プリント材料の配置の直後には行われず、このため、プリント材料は、硬化の前に弛緩するための時間を有している。それによって意味されるのは、プリント材料が互いに合体することができ、これにより、直接硬化方法における表面よりも滑らかな表面を達成することである。
【0045】
n番目の層を硬化させる方法では、硬化がn個の材料層を配置した後にのみ行われることを除き、層毎に硬化させる方法と手順が類似している。ここで、nは自然数である。プリント材料の弛緩のために利用可能である時間は、さらに増大し、これにより、表面の品質がさらに向上する。しかし、プリント材料の流れのために、達成可能なエッジのシャープさは低減される場合がある。
【0046】
好ましい実施形態では、硬化方法は、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントに適合する。たとえば、材料層のプリントは、各場合において、配置された材料層の架橋が、層毎の硬化方法またはn番目の層の硬化方法によって実施される前に、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントが続いて行われる場合がある。不適切な定置されていないプリント材料は、たとえば、位置測定ユニットが、プリントヘッドの移動経路を確認すること、および、任意選択的には、継続的に、吐出装置からのプリント材料の吐出が監視されること、および/または、吐出されるプリント材料が測定されることにおいて確認することができる。
【0047】
3Dプリント装置は、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を非接触で判定するように設定された共焦点測定装置を有するシステムを含んでいる。本システムは、色の共焦点の距離の測定を行うように設定される。
【0048】
概して、この目的のために、本システムは、1つまたは複数のセンサおよび評価ユニットを備えている。共焦点測定装置は、システムのセンサとも呼ばれる。センサは、評価ユニットによって評価される測定を行う。
【0049】
本システムは、光源を備えている。光源は、好ましくは、たとえば、数マイクロメートルの直径を有する多孔板、または、光ファイバにより、点光源として実施される。この光源は、たとえば、高強度で一様なスペクトル分布の、広帯域の白色光である、多色光をレンズ構成に放射する。
【0050】
共焦点測定装置は、レンズが共焦点で配置された少なくとも1つのレンズ構成を備えている。レンズ構成は、制御された方式で、その単一波長に光を分割するように構成されている。この目的のために、光の散乱効果を有する1つまたは複数のレンズが使用され、それにより、青色光の成分がレンズのより近くに収束し、赤色光の成分がより遠くに収束するか、この逆になる。
【0051】
共焦点測定装置は、対象物と接触することはなく、対象物との相互作用は、もっぱら光によって行われる。対象物上および対象物内では、既知の光の法則に従って、光の反射、吸収、および透過が生じる。たとえば、対象物の表面からの反射光、ベースプレートからの反射光、または、空気または異物の包含部からの反射光などの、対象物によって反射される光は、共焦点測定装置によって受領され、レンズ構成を介して、分光計に案内される。
【0052】
分光計の測定値から、評価ユニットは、反射された光の1つまたは複数の支配的な波長、またはスペクトルの色を評価する。支配的な波長は、本開示において、「ピーク」とも呼ばれる場合がある。評価ユニットは、反射された光のすべての波長が、たとえば、対象物にプリントされた最後の層から、または、ベースプレートからなど、測定対象物からの特定の距離に割り当てるように、調整される。個別の波長の焦点の幅が分かっていることから、すべての支配的な波長が、測定対象物からの距離の値に直接割り当てられることができる。より具体的には、測定のために採用される光の波長は、プリントされた対象物の表面上に明確に収束する光の波長である(または、プリントの前かつ、ベースプレート上のプリントされた対象物の外側)。評価ユニットは、このことを使用して、プリントされることになるさらなるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離を判定することができる。プリント材料が透明である場合、さらなる支配的な波長が生じ得、この波長は、さらなる「ピーク」とも呼ばれる。さらなるピークは、たとえば、対象物内に空気または異物を含む場合において、光学的に薄い媒体から、光学的に密度の高い媒体へ、またはその逆の移行によって生じる。さらなる支配的な波長は、対象物/ベースプレートの境界において生じる。短い波長から見て、プリントされた対象物の表面が第1のピークであり、ベースプレートが最後のピークである。評価ユニットは特に、評価のために、ソフトウェアで実施される構成要素を有する場合がある。
【0053】
距離測定の好ましい分解能は、10nmから500nmのレンジ、好ましくは10nmから200nmのレンジ、さらに好ましくは20nmから50nmのレンジ、より好ましくは約28nmである。距離測定の測定レンジは、好ましくは、0.3mmから30mm、好ましくは、0.5mmから3mmのレンジ、より好ましくは約1mmである。光のスポットの直径の好ましいサイズは、5μmから100μmのレンジ、好ましくは5μmから50μmのレンジ、より好ましくは6μmから9μmのレンジのレンジ、特に好ましくは約8μmである。X方向およびY方向では、共焦点測定装置は、好ましくは100μmから200μmの間の精度を有している。
【0054】
使用される材料が、UV/VIS誘発の付加反応を通して架橋する
シリコーンゴムである場合、距離の測定のために使用される光が、
シリコーンゴム材料の望ましくない硬化に繋がるいずれの成分をも包含しない場合が好ましい。たとえば、UV/VIS誘発の方式で付加架橋し、240nmから500nmの波長、好ましくは250nmから400nmの波長、より好ましくは350nmから400nmの波長、特に好ましくは365nmの波長の光の下で架橋する
シリコーンゴム材料である場合、このため、第1の実施形態では、共焦点測定装置の光源が、たとえば、この光の部分を伴わない白色光など、この光のいずれの部分をも放射しない場合があり得る。代替的または追加的に、共焦点測定装置は、光の対応する部分をフィルタリングするために、1つまたは複数のフィルタを有する場合がある。
【0055】
測定がプリントされる層に影響しないことから、1つの層が別の層の上にある複数層をプリントし、各層を直接硬化させること(n層の方法)を伴わずに複数の層を分析することも特に可能である。
【0056】
プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離は、ベースプレートに関して判定されるが、すでにプリントされた層に関しても判定される。ここで、これら層は、
シリコーンまたは
シリコーンエラストマの場合、しばしば透過性である。好ましくは、共焦点測定装置を有するシステムは、したがって、少なくとも部分的に透過性のプリント材料から形成された層上、特に、
シリコーンまたは
シリコーンエラストマを含む層上の、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる位置を判定するように設定される。有利には、本システムの分光計および評価ユニットは、2つの異なる光学的な密度の媒体間の界面(たとえば、空気/
シリコーン)における弱い反射を検出するように設定されている。
【0057】
好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムが、プリントされた層内の空気および異物の包含部を判定するようにも設定されている。
【0058】
この目的のために、評価ユニットは、発生し、分光計で検出される、すべての支配的な波長の位置を評価する。気泡の場合、および、プリントされた層内の透過性の異物の場合では、さらなる支配的な波長が、対象物の表面およびベースプレートに加えて発生する。透過性ではない、すなわち、不透明な、異物を含む場合では、ベースプレートの支配的な波長は、たとえば、移動するか消失する。異物または空気の包含部などの欠陥は、こうして確認されることができる。異物または空気の包含部が検出された場合、ミスプリントを示す、対応するエラーメッセージが生成されることができる。システムが、たとえば、欠陥箇所においてプリント材料をさらにプリントすること、または、たとえば、ロボットアームにより、異物を除去することにより、エラーを修正する構成要素を備えている場合もあり得る。
【0059】
レンズから焦点までの距離が、媒体の屈折率に依存することから、欠陥箇所および包含部(たとえば、透過性の対象物内のもの)の距離の判定において、距離の修正が始められる。このことは、対象物または媒体の、材料に応じた屈折率を考慮する。
【0060】
好ましくは、共焦点測定装置を有するシステムは、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる材料を判定するようにも設定されている。
【0061】
この目的のために、評価ユニットは、分光計で生じる、すべての支配的な波長の強度を評価する。その動作において、分光計は、プリント材料と、支持材と、ベースプレート材料とを区別する。さらに、評価ユニットは、たとえば、以下に説明されるアプリケーションプリントにおいて、または、たとえば、ある材料が、さらなる材料内に埋め込まれている場合、フラットな平面に互いに並んでプリントされた材料間をも区別することができる。透過性材料から非透過性材料への移行を検出するために、依然として共焦点測定装置の測定レンジ内にある場合は、ベースプレートの反射の消失を使用することも可能である。
【0062】
摩耗または機械的影響により、経時的に、プリントヘッドに対するベースプレートの整列が変化する。好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムは、プリントされることになるプリント材料がプリントされるプリント平面の位置を判定するようにも設定されている。評価ユニットは、1つの直線上にはない、複数の測定された距離に基づくプリント平面の位置を判定する。
【0063】
この目的のために、たとえば、プリントポイントのマトリクスのランクに少なくとも対応する測定マトリクスが使用される。吐出圧力では、測定マトリクスは、プリントヘッドの位置のマトリクスのランクにおいて、少なくとも部分的に取得される。10nmから200nmのレンジ、たとえば、約20nmから40nmのレンジの距離の測定における分解能での、5μmから100μmのレンジにおける光のスポットの直径の好ましいサイズにより、配置された個別のボクセルすべての測定が可能になる。
【0064】
まだどの材料もプリントされていない場合、プリントされることになる対象物が構築されるベースプレートが、プリント平面である。第1の層がすでにプリントされた場合、プリント平面は、代替的に、プリントされた最後の層の位置によって表され得る。
【0065】
プリント平面の位置は、たとえば、プリントヘッドまたはプリントヘッドの平面に対するオフセットおよび傾きの特定、または、あるいはプリントヘッドからの距離および空間内の向きの特定によって表現することができる。この目的のために、評価ユニットは、対応するソフトウェアモジュールを有している。
【0066】
プリント平面の位置が分かっていることで、たとえば、プリントヘッドまたはプリントヘッドの平面に対するオフセットおよび傾き、または、それぞれの吐出装置に対するプリント平面の距離および空間内の向きを調整することにより、本システムは、調整されることができる。好ましい実施形態では、したがって、3Dプリント装置は、共焦点測定装置を有するシステムに機能的に接続されており、また、プリント平面の位置を修正するように設定されている、修正装置を有している。
【0067】
修正装置は、プリント平面を調整するための調整要素、たとえば、ベースプレート上およびプリントヘッド上の調整ネジを備えている場合がある。プリント平面は、手で機械的に、または自動的に調整されることができる。好ましくは、修正装置は、たとえば、コンピュータ制御によって傾斜およびオフセットを自動的に調整することができる、作動可能なアクチュエータを備えている。
【0068】
吐出装置が噴射ノズルである場合、修正装置は、プリントヘッドの整列の調整のための調整要素、たとえば、角度調整ネジをも有する場合がある。機械的特性およびノズルの幾何学形状の公差を通し、プリントボクセルに繋がる、配置される液滴は、垂直には放出されないが、コーン状の公差レンジ内で放出される。コーンの先端は、ノズルの出口、および、液滴のインパクトが生じるプリント平面上の領域の輪郭によって形成される。プリントヘッドの垂直ではない整列、ノズル形状の公差、ならびに、ノズルまたは空気流における汚れおよび堆積が、液滴の軌道を望ましくなく偏向させる場合がある。ここでも、作動可能なアクチュエータが、コンピュータ制御により、角度を自動的に調整することを可能にするために、設けられていることが好ましい。
【0069】
好ましい実施形態では、共焦点測定装置は、プリントヘッドに対して決まった位置に配置されている。より詳細には、共焦点測定装置が、プリントヘッドの移送用スライド上の固定された構成にある場合があり得る。
【0070】
好ましくは、共焦点測定装置は、この装置が、プリントの間、プリントヘッドの前にあるように配置されている。この場合、任意の必要な修正は、プリントの前に計算および/または実施されることができる。プリントヘッド周りまたは吐出装置周りに配置され得る複数の共焦点測定装置を提供することも可能である。
【0071】
さらに好ましくは、3Dプリント装置は、プリントされた対象物または外部からの構成要素の位置決めまたは操作のための、少なくとも1つの制御可能なロボットアームを有している。
【0072】
制御可能なロボットアームにより、たとえば、プリントされ、どのアプリケーションにもコーティングまたはプリントされる外部からの構成要素を3Dプリンタに自動的に備え付けることを可能にする。外部からの構成要素またはプリントされた対象物の回転、再配置、および除去は、やはり自動的に可能である。さらに、ロボットアームにより、確認された異物が除去されることができる。
【0073】
3Dプリント装置は、メインコントローラを有している。このメインコントローラは、プリントされることになる対象物のモデルまたはコンピュータモデルを包含している。メインコントローラは、たとえば、たとえばイーサネットまたはWLANであるデータネットワークを介して、または、たとえばシリアル接続またはUSBである接続を介して、たとえば、装置の制御ユニットと通信するコンピュータとして実行され得る。
【0074】
コンピュータモデルは、メインコントローラ内に、任意のファイルフォーマットで記録され得る。標準的なファイルフォーマットには、たとえば、STL、OBJ、CLI/SLC、PLY、VRML、AMF、STEP、IGESが含まれる。記述された方法の実行において、メインコントローラは、モデルを通る仮想の水平なスライス(スライシングと呼ばれる)を提供する。これら水平なセクションは、次いで、対象物の積層構築のために、プリント材料がどのように配置される必要があるかを述べるスキームを計算するために使用される。スキームは、より具体的には、プリント材料の目標位置を包含する。ここで考慮されるのは、プリント材料が、ボクセルの形態か、ストランドの形態か、ボクセルとストランドの組合せの形態かの、どの形態で吐出されるかである。対象物の形状により、支持材を配置することが必要とされる場合、メインコントローラは、好ましくは、支持材を配置するためのスキームをも生成するように設定される。
【0075】
メインコントローラは、共焦点測定装置有する本システムに機能的に接続されている。たとえば、メインの制御システムは、結果として、必要である場合はスキームをアップデートできるように、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる位置に関する情報を受領する場合がある。たとえば、空気および異物の包含部に関するか、プリントされる材料またはプリント平面の位置に関する、共焦点測定装置でシステムによって確認されたさらなる情報も、通信されることができる。
【0076】
メインコントローラは、3Dプリント装置のさらなる装置、特に、プリントヘッド、位置決めユニット、位置測定ユニット、プリント材料測定ユニット、修正装置、およびロボットアームに、さらに機能的に接続されている。
【0077】
位置決めユニットは、プリントヘッドをベースプレートに対して配置するように設定されている。ここで相対位置は、少なくともX、Y、およびZの3つの空間的な軸に沿って調整可能であり、また、場合によっては回転可能でもある。位置決めユニットは、少なくとも1つのモータを備えており、通常は、少なくとも1つの別のモータが、それぞれの調整可能な空間的な軸に関して設けられている。モータは、たとえば、電気モータ、特にステップモータとして実行される。
【0078】
位置測定ユニットは、好ましくは、プリントヘッドの位置を継続的に判定するように設定される。この目的のために、位置測定ユニットは、規定の割合で、プリントヘッドの位置の測定を引き受け、これら測定値をメインコントローラに送信する。
【0079】
位置測定ユニットは、好ましくは、すべての軸に対する位置の測定、または、位置決めユニットによって調整可能な空間的方向の測定を引き受けるように設定される。位置測定ユニットは、ベースプレートに対して並行な平面内のプリントヘッドの位置を判定するように少なくとも設定される。位置測定ユニットは、好ましくは、空間内のプリントヘッドの位置を判定するように設定される。
【0080】
位置測定ユニットは、好ましくは、モータ内の少なくとも1つのステップカウンタ、回転エンコーダ、光学的スケール、特にガラススケール、GPSセンサ、レーダーセンサ、超音波センサ、ライダセンサ、および/または少なくとも1つの光バリアを有している。モータ内のステップカウンタは、非接触のスイッチ、たとえば、磁気センサ、具体的にはホールセンサとして特に構成され得る。
【0081】
本発明のさらなる態様は、3Dプリント方法を提供するためのものである。説明された3Dプリント装置は、好ましくは、以下に説明する方法を実行するように設計および/または設定されている。したがって、本方法に関連して説明された特徴は、3Dプリント装置に関して開示され、逆に、3Dプリント装置に関連して説明された特徴は、本方法に関して開示されている。
【0082】
対象物を積層造形するために、プリント材料を目標位置に置くように設定された少なくとも1つの吐出装置を有する少なくとも1つのプリントヘッドを備える、3Dプリント装置を使用して、対象物を製造するための本発明の方法では、少なくとも1つの共焦点測定装置を有するシステムにより、プリント操作の間、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離が非接触で判定されることができること、または、スキャニングステップにおいて、共焦点測定装置を有するシステムにより、プリント操作の前に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることができる。
【0083】
プリント操作の間、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの距離は、非接触で判定されることができる。プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面からのプリントヘッドの、非接触で判定された距離、および、プリントヘッドの位置は、たとえば、プリント材料が堆積される表面上のポイントの位置を判定するために使用されることができる。測定装置は、プリントヘッドの前にある。この方法で、プリントエラー、特に、プリントされていないプリント材料、欠陥、および異物の堆積を確認することが可能である。プリントエラーは、修正および/または報告および/または記録されることができる。
【0084】
共焦点測定装置を有するシステムにより、代替的に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置を、プリント操作の前に、非接触で判定することが可能である。より詳細には、たとえば、プリントヘッドに対する表面の位置が、ここで判定される。3Dプリント装置は、ここでは、プリントされることになる表面をスキャニングする個別のステップを実施する。やはりこの方法で、プリントエラー、特に、プリントされていないプリント材料、欠陥、および異物の堆積を確認することが可能である。プリントエラーは、修正および/または報告および/または記録されることができる。
【0085】
本発明によるプリントエラーの修正は、形状が特に忠実である対象物をプリントする結果となり得る。形状に対する忠実さは、対象物の幾何学的寸法が忠実にスケーリングされていることを意味すると理解される。すなわち、幾何学的寸法が、存在する場合は、テンプレートの寸法からのわずかな偏差のみを有していることを意味している。
【0086】
非接触で判定された表面からのプリントヘッドの距離を使用すること、または、非接触で判定された表面の位置を使用することで、3Dプリント装置が調整されることができる。やはりこの結果として、形状が特に正確である対象物をプリントすることが可能である。
【0087】
調整は、上述したように、ベースプレートの調整に関係する場合があるか、プリントおよびその後のテスト対象物の測定の後に、吐出装置の調整、たとえば、ノズルの角度の調整に関係する場合がある。
【0088】
修正装置は、たとえば、機械的な摩耗の結果として生じるプリント平面の位置の偏差を修正するが、やはり、不十分であるか、まだ完全には硬化していない場合において、プリント材料の流動の結果の偏差を修正する。修正装置は、特に、硬化が遅れている多層の構成の場合における層の流動の影響を修正する(n層の方法)。
【0089】
プリント平面の目標位置からのプリント平面の実際の位置の許容可能な偏差は、たとえば、閾値によって規定される。この閾値は、たとえば、50μmから500μmのレンジ、好ましくは、100μmから200μmの間である。代替的には、許容可能な偏差の閾値は、プリントされたボクセルのサイズ、または、ストランドの直径によって判定されることができる。ここで、許容可能な偏差は、たとえば、ボクセルサイズの半分未満、または、ストランドの断面積の半分未満に固定されている。許容可能な偏差は、プリント平面のオフセットおよび傾斜に応じて、場合によっては異なる値で規定される。
【0090】
最初の調整に関し、スキャニングステップにおいて、たとえば、テスト用の試料がベースプレート上に置かれる場合があり得る。傾きおよび機械的オフセットは、テスト用の試料の表面の測定された位置から、たとえば、テスト用の試料の角および/またはエッジを判定することによって確認される。
【0091】
プリントヘッドの整列の最初の調整に関し、規定のプリント形状およびプリントパターンをプリントすることができ、プリントされたプリント形状を分析することができる。
【0092】
再調整のために、さらなるスキャニングステップが提供され得る。個別のプリントされていない材料は、迅速かつ自動的にベースプレートの再調整を要請することはないが、システムによってそのように認識される。その場合、システムによってシステム上のエラーが確認された場合、たとえば、長い期間にわたるか、たとえば、特定の数より多くのボクセルにわたって、たとえば、10より多くのボクセル、または、50より多くのボクセルにおいて、偏差が検出されている事象において、ベースプレートは好ましくは再調整される。
【0093】
好ましい実施形態では、スキャニングステップにおいて、プリント操作の前に、プリントされることになるプリント材料がプリントされることができる表面の位置が非接触で判定されることができ、確認された表面のCADモデルが形成される。データは、ここでは、既知の処理可能なフォーマットで生成および貯蔵される。
【0094】
このため、任意の形状のボディ上へ、コーティング、付加物、または塗布物をプリントすることが可能である。たとえば、レンズなどの、平らではない形状のボディには、上でプリントされるホルダが設けられ得る。さらに、コーティングまたはバッファ要素は、金属構成要素上にプリントされることができる。さらに、電極、電気アクチュエータ、またはセンサの
シリコーン内への埋込みプリントが引き受けられ得る。埋め込みは、たとえば、人間または動物に身体に対して適合する方式でこれらをインプラント可能にするために、必要である場合がある。用途は、医療用インプラントにおいて、たとえば、聴覚インプラントまたは、医療用センサである。たとえば、電気アクチュエータまたはセンサが、電気的に活性なポリマを
シリコーン内に埋め込むことによって製造されることができる。
【0095】
さらに、本発明の方法により、存在する構造または構成要素のイメージ、特に、透明な構成要素のイメージもまた生成されることができる。存在する構造または構成要素は、スキャンされ、CADモデルとして読み込まれ、また、再プリントされる。有利には、2つの別々の器具を必要とされず、それにより、別々のスキャニングユニットが省かれる。
【0096】
一実施形態では、少なくとも1つの外部からの構成要素は、ベースプレート上またはプリントされた層上に堆積され、外部からの構成要素のプリント可能な表面の位置が、共焦点測定装置を有するシステムによって確認される。
【0097】
このため、外部の要素は、プリントの間、存在するプリントされるボディ内に挿入されること、および、プリントされた本体内に打ち込まれることもできる。高さの測定により、外部からの構成要素の配置および位置が確認され、これらデータは、プリントプロセスにおいて、ソフトウェアによってさらに処理される。外部からの構成要素は、プリント操作の過程で、完全に、または、もっぱら部分的に、プリント材料でコーティングされる場合があるか、プリント材料によって囲まれる場合がある。
【0098】
ベースプレート上またはプリントされた層上における外部からの構成要素の配置は、好ましくは、たとえばロボットアームにより、自動的に実施される。不正確さが確認された場合、これらは再配置され得る。
【0099】
外部からの構成要素は、たとえば、電気センサ、アクチュエータ、信号変換器、またはマイクロチップである。
【0100】
さらなる実施形態では、プリント操作の後に、共焦点測定装置を有するシステムにより、プリントされたプリント材料の位置も、非接触で判定されることができる。
【0101】
たとえば層毎に実施される測定は、たとえばクオリティコントロールの役に立つことができる。たとえば、CADモデルにおける、ターゲットモデルの、実際のモデルからの差異が存在する場合があり得る。特に、アクセスが困難である対象物のアンダーカットおよび内部空間の場合では、このタイプのドキュメンテーションの品質が有利である。後の試験は、しばしば、困難性を伴うか、制限された程度までに限り、可能である。
【0102】
プロセスの好ましい実施形態では、共焦点測定装置を有するシステムからのデータが、プリントされた対象物の、品質を判定する指標、特に、表面粗さ、表面の品質、表面の質感、位置(特に高さ)および平坦度の公差を判定および示すために使用される。取得されたCADデータにより、スキャンまたはプリントの直後の品質判定指標の表示が実施可能である。たとえば、2010から2013の版におけるEN ISO25178である、関連する規格によれば、3Dプリントユニットからの表面粗さに関する直接のデータを示すことも可能である。
【0103】
特に透明な材料のプリントには、たとえば光学レンズなど、複数の使用分野がある。材料がプリントされる層は、好ましくは、少なくとも部分的に、透明なプリント材料で形成されている。
【0104】
好ましくは、提案されている方法は、エラストマ部品、特に
シリコーンエラストマ部品である対象物の製造に用途を見出している。エラストマ部品の製造のために、上述のプリント材料の1つを使用することが優先される。エラストマ、特に
シリコーンエラストマは、3Dプリントプロセスにおいて特別な要請があり、この理由は、これら材料が、たとえば、熱可塑性樹脂に比べ、伸縮性があり、対象物の製造の間、変形され得るためである。さらに、架橋されていない材料は、硬化されるまでは自在に流動する。
【0105】
本発明は、提案のプロセスによって製造されたエラストマ部品、特に
シリコーンエラストマ部品にも関する。エラストマ部品は、好ましくは、上述のプリント材料の1つを使用して構成される。
【0106】
提案されている本方法によって製造される対象物は、品質に関して注目に値するものである。この品質は、射出成形によって製造されたエラストマ部品の品質に相当するか、越えさえする場合がある。同時に、対象物の表面は、所望に応じて調整されることができる。表面は、たとえば、構造があり、特に、規則的な構造が与えられていることが可能であるか、平滑であり、かつ/または完全に連続していることが可能である。本発明に従って製造された対象物は、不適切な定置されていないプリント材料の再プリントのオプションにより、やはり、いずれの閉じ込められた空気または気泡をも有していない。このため、信頼性のある物理的特性を伴う、機械的に応力がかけられ得る対象物が製造されることができ、この対象物は、たとえば、医療用途にも適切である。たとえば、プリントされた対象物には、一様な伸縮性または平滑さの特性が与えられ得るか、光学レンズの場合では、等方性の光学的透過性が与えられ得る。さらに、対象物の幾何学形状がキャスティング方法で使用される型によって制限されないことが、プリントされる対象物の特徴である。このため、プリントされた対象物は、アンダーカットおよび/または囲まれたキャビティを有することができる。プリントされた対象物には、同様に、ばりが存在しない。ばりは、射出成形された部品で、特に半型の分離、および、ランナーシステムにおいて、生じる。