特許第6801079号(P6801079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6801079活性炭と膜との直接的な接触を可能にする廃棄物流を処理するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801079
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】活性炭と膜との直接的な接触を可能にする廃棄物流を処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20201207BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20201207BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20201207BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20201207BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20201207BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20201207BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20201207BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20201207BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C02F3/12 S
   B01D61/14 500
   B01D61/58
   B01D71/02
   B01D71/36
   C02F1/44 F
   C02F1/42 D
   C02F1/469
   B01D15/00 G
   B01D15/00 M
   C02F3/12 D
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-503689(P2019-503689)
(86)(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公表番号】特表2019-525837(P2019-525837A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】US2017042988
(87)【国際公開番号】WO2018022403
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】62/366,201
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム カニンガム
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エイ. バークラフ
(72)【発明者】
【氏名】チャド エル. フェルチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ジェイ. ラーソン
(72)【発明者】
【氏名】ドウェイン アール. スミス
(72)【発明者】
【氏名】スィモン ラーソン
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−192184(JP,A)
【文献】 特開2002−192181(JP,A)
【文献】 特開昭55−075794(JP,A)
【文献】 特開2008−264772(JP,A)
【文献】 特開2006−223921(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0209999(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0329394(US,A1)
【文献】 特開2015−009203(JP,A)
【文献】 特開2014−180629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/12
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの廃棄物流と粉末活性炭とをその中に含む高懸濁固形物液を、膜ユニットの1つ以上の膜と接触させて濾液を生成することを含む処理方法であって、前記高懸濁固形物液の懸濁固形物濃度は、少なくとも10g/Lであり、前記高懸濁固形物液は、任意の量の生物学的材料をさらに含み、前記粉末活性炭と前記生物学的材料との重量比は、1:1〜5:1である、処理方法。
【請求項2】
前記懸濁固形物濃度は、12g/L〜40g/Lである、請求項1記載の処理方法。
【請求項3】
前記活性炭と前記生物学的材料との重量比は、3:1〜4:1である、請求項1記載の処理方法
【請求項4】
前記濾液を、前記1つ以上の膜から全溶解固形物(TDS)および/または無機物を除去するためのユニットに供給し、前記濾液からの無機材料の量をさらに減らすことをさらに含む、請求項1記載の処理方法。
【請求項5】
前記廃棄物流は、精製プロセスから生じたものである、請求項1記載の処理方法。
【請求項6】
前記1つ以上の膜は、セラミック材料を含む、請求項1記載の処理方法。
【請求項7】
前記1つ以上の膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1記載の処理方法。
【請求項8】
有機汚染物質の除去を、前記膜ユニットの上流で粉末活性炭を含む容器内で行うことをさらに含み、前記容器からの流出液を前記膜ユニットに供給することをさらに含み、前記容器からの流出液は、前記高懸濁固形物液を含む、請求項1記載の処理方法。
【請求項9】
湿式空気酸化ユニットにおいて前記膜ユニットからの任意の量の使用済み活性炭を再生することをさらに含む、請求項1記載の処理方法。
【請求項10】
任意の量の有機汚染物質をその中に含む任意の量の廃棄物流を、粉末活性炭をその中に含む容器に導いて、前記廃棄物流から前記有機汚染物質を除去すること;および
前記容器からの高懸濁固形物液を、前記容器と流体連通している膜ユニットに導いて、前記高懸濁固形物液から固形物を除去すること
を含む処理方法であって、前記高懸濁固形物液中の粉末活性炭を含む懸濁固形物(SS)濃度は、少なくとも10g/Lであり、前記高懸濁固形物液は、任意の量の生物学的材料をさらに含み、前記粉末活性炭と前記生物学的材料との重量比は、1:1〜5:1である、処理方法。
【請求項11】
粉末活性炭を含む高懸濁固形物液と有機汚染物質および懸濁固形物を含む廃棄物流とに接触している1つ以上の膜を含む膜ユニットを含む処理システムであって、前記高懸濁固形物液の懸濁固形物濃度は、少なくとも10g/Lであり、前記高懸濁固形物液は、任意の量の生物学的材料をさらに含み、前記粉末活性炭と前記生物学的材料との重量比は、1:1〜5:1である、処理システム。
【請求項12】
前記粉末活性炭と前記生物学的材料との重量比は、3:1〜4:1である、請求項11記載の処理システム。
【請求項13】
前記膜ユニットの下流で、かつ前記膜ユニットと流体連通している全溶解固形物(TDS)および/または無機物を除去するためのユニットをさらに含み、前記全溶解固形物(TDS)および/または無機物を除去するためのユニットは、前記膜ユニットからの濾液中の無機材料の量をさらに減らすように構成されている、請求項11記載の処理システム。
【請求項14】
前記1つ以上の膜は、セラミック材料を含む、請求項11記載の処理システム。
【請求項15】
前記セラミック材料は、金属酸化物材料を含む、請求項14記載の処理システム。
【請求項16】
前記1つ以上の膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項11記載の処理システム。
【請求項17】
前記膜ユニットの上流で任意の量の粉末活性炭をその中に含む容器を含む、請求項11記載の処理システム。
【請求項18】
前記膜ユニットの上流で任意の量の粉末活性炭と生物学的材料とをその中に含むバイオリアクターを含み、前記バイオリアクターは、任意の量の有機汚染物質を廃棄物流から除去し、かつ高懸濁固形物液を含む流出液を膜ユニットに供給するように構成されている、請求項11記載の処理システム。
【請求項19】
廃棄物流源、
前記廃棄物流源に流体連通した、粉末活性炭とバイオマスとを含むバイオリアクター、ここで、前記バイオリアクターは、少なくとも10g/Lの懸濁固形物濃度を有する高懸濁固形物液を生成するように構成されており、かつ前記バイオリアクターにおける前記粉末活性炭と前記バイオマスとの重量比は1:1〜5:1である、および
前記バイオリアクターに流体連通している1つ以上の膜を含み、かつ前記バイオリアクターから前記高懸濁固形物液を受け取るように構成されている膜ユニット
を含む、処理システム。
【請求項20】
前記膜ユニットの下流で、かつ前記膜ユニットと流体連通している全溶解固形物(TDS)および/または無機物を除去するためのユニットをさらに含み、前記全溶解固形物(TDS)および/または無機物を除去するためのユニットは、ナノ濾過ユニット、逆浸透ユニット、イオン交換ユニット、電気脱イオン化ユニット、連続電気脱イオン化ユニット、および電気透析反転ユニットからなる群から選択される、請求項19記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/336,201号明細書(U.S. Provisional Application No. 62/336,201)の優先権およびその出願日の利益を主張するものであり、その各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、処理方法およびシステムに関し、特に廃棄物流から汚染物質を除去するための方法およびシステムに関する。
【0003】
背景技術
廃棄物流は、一般に、有機物、固形物、およびその他のあらゆる望ましくない汚染物質をそこから除去するために、多種多様な溶液によって処理される。例えば、廃棄物流は、そこから有機汚染物質を除去するのに有効な時間、活性炭と接触され得る。いくつかの例では、廃棄物流から生分解性の有機物を容易に除去するために、活性炭が、生物学的材料と組み合わされる。その後、得られた処理流から、懸濁固形物を除去する必要がある。
【0004】
従来の知識では、懸濁固形物の濃度は、このような濾過システムの膜と接触した際に中程度のレベル(約8g/L)に維持されるべきである。これは、固形物濃度が高くなると、通常、操作中に高い膜間差圧(TMP)が生じるという事実のためである。さらに、生物学的材料は、有機汚染物質を除去するために活性炭と組み合わせて使用される場合でも、一つには生物学的材料の一貫性のために、膜間差圧(TMP)の急速な上昇を引き起こすと考えられている。さらに、膜を活性炭と直接接触させて長期間操作すると、膜の損傷が起こり得る。これらの潜在的な問題のために、膜ユニットに先行して処理されるべき流体/材料から固形物をさらに分離するための重力分離工程は、通常、膜との炭素接触を低減または回避するために膜濾過システムに含まれる。いずれにせよ、活性炭または活性炭/バイオマスおよび追加された成分(例えば、清澄剤)に対する懸濁固形物の制限を下げることで、(i)効率が低下し;(ii)経費、操作時間、および材料が追加され;(iii)処理システムの設置面積が大きくなる。したがって、活性炭および膜濾過を組み込んだ改良された流体処理システムが、当該技術分野において必要とされている。
【0005】
本発明は、以下の説明において図面を参照して説明される。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明の一態様によれば、廃棄物流と、少なくとも1種の粉末活性炭および1つ以上の膜との接触を介して、廃棄物流から有機汚染物質および固形物を、ここでより効率的に除去するシステムおよび方法が提供される。第1の態様では、粉末活性炭を、以前は実行可能と考えられていなかった濃度で膜濾過の膜と接触させることを可能にするシステムおよび方法が開示されている。特定の実施形態では、本明細書に記載の処理システムおよび方法における膜ユニットの膜は、比較的高い懸濁固形物(本明細書では「SS」)濃度を有する材料と接触され得る。例えば、高い懸濁固形物濃度は、過剰な膜のファウリングまたは損傷を生じることなく、約12g/L以上、特定の実施形態では約12g/L以上〜約40g/Lであり得る。特定の実施形態では、懸濁固形物は、粉末活性炭を含み、バイオマスを含まない。他の実施形態では、懸濁固形物は、粉末活性炭およびバイオマスの両方を含む。本明細書で使用される「約」という用語は、記載された値の±5%である値を含む。
【0007】
一態様では、既知のシステムおよび方法に対して懸濁固形物を増加させることは、繰り返し使用した後でも劣化/損傷することなく粉末活性炭と接触させることができる膜材料を選択することによって可能になると考えられる。特に、本発明者らは、驚くべきことに、従来の膜材料(例えば、ポリエーテルスルホン(PES)膜およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜)は、活性炭を含む高懸濁固形物液と接触すると急速に劣化/変形するが、他の膜(例えば、セラミック膜およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜)は、同じ欠点を示さないことを見出した。
【0008】
別の態様では、粉末活性炭およびバイオマスが存在し、かつ膜濾過を目的とする場合、本発明者らはまた、粉末活性炭のバイオマスに対する特定の比によって、通常、炭素/バイオマスシステムに見られる問題、例えば圧力/ファウリングの問題を生じさせずに膜濾過の操作が可能になることを見出した。特定の実施形態では、粉末活性炭およびバイオマスは、約1:1〜約5:1などの所定の重量比でバイオリアクターから提供される。理論に束縛されることを望まないが、このような値で、粉末活性炭が、生物学的材料と組み合わされる場合、粉末活性炭は、(一度、膜表面に供給されると)バイオマスの膜表面への付着を阻害するような量で存在すると考えられる。加えて、粉末活性炭は、バイオマスの分泌物(細胞外ポリマー物質)、公知の膜汚染物を容易に吸着することができ、それによって安定した操作TMPを維持する。
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも廃棄物流と粉末活性炭とをその中に含む高懸濁固形物液を、膜ユニットの1つ以上の膜と接触させて濾液を生成することを含む処理方法であって、高懸濁固形物液は、少なくとも約10g/Lの懸濁固形物濃度を有する、処理方法が提供される。
【0010】
別の態様によれば、任意の量の有機汚染物質をその中に含む任意の量の廃棄物流を、粉末活性炭をその中に含む容器に導いて、廃棄物流から有機汚染物質を除去すること;および第1の流出液を、容器から該容器に流体連通している膜ユニットに導いて、該第1の流出液から固形物を除去することを含む処理方法であって、該第1の流出液中の活性炭を含む懸濁固形物(SS)濃度が、少なくとも10g/Lである、処理方法が提供される。
【0011】
別の態様によれば、粉末活性炭を含む高懸濁固形物液と接触している1つ以上の膜を含む膜ユニットと、有機汚染物質および懸濁固形物を含む廃棄物流と、を含む処理システムにおいて、前記高懸濁固形物液は、少なくとも10g/Lの懸濁固形物濃度を有する、処理システムが提供される。
【0012】
別の態様によれば、(i)廃棄物流源;(ii)該廃棄物流源と流体連通している、粉末活性炭およびバイオマスを含むバイオリアクター、ここで、該バイオリアクターは、少なくとも10g/Lの懸濁固形物濃度を有する高懸濁固形物液を生成するように構成されており、かつ該バイオリアクター中の前記活性炭と前記バイオマスとの重量比は、1:1〜5:1である;および(iii)該バイオリアクターと流体連通している1つ以上の膜を含み、かつ前記バイオリアクターから前記高懸濁固形物液を受け取るように構成されている膜ユニットを含む、処理システムが提供される。
【0013】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の一態様による処理システム10の第1の実施形態を例示する。システム10は、1つ以上の膜14を含む膜ユニット12(以下、「膜(単数または複数)」)を含む。膜ユニット12内で、膜14は、高懸濁固形物(SS)液16と接触している。高SS液16は、少なくとも任意の量の粉末活性炭を含む。膜ユニット12は、(高SS液16から)濾液18を生成するように構成されており、この濾液は、膜ユニット12の1つ以上の出口20から排出され得る。高SS液16は、少なくとも約10g/L、特定の実施形態では約12g/L〜約40g/L、より特定の実施形態では約14g/L〜約22g/Lの懸濁固形物濃度を有する。
【0014】
特定の実施形態では、高SS液16は、廃棄物流を含み、該廃棄物流は、さらに膜ユニット12において粉末活性炭で処理され、任意の量の有機汚染物質が、該廃棄物流から除去される。図2を参照すると、例えば、任意の量の有機汚染物質および固形物、例えば、そこに溶解および/または懸濁した固形物を有する廃棄物流24の源22が示されている。図2に示すように、廃棄物流24は、膜ユニット12の入口26に供給されて、膜ユニット12内に充填された粉末活性炭で処理される。一実施形態では、システム10は、粉末活性炭30の供給源28を含み、任意の量の粉末活性炭30は、供給源28から膜ユニット12の入口32(入口26と同じかまたは別個の入口であり得る)に供給される。任意の量の粉末活性炭30は、膜ユニット12に供給される廃棄物流24中の有機汚染物質を、吸収、吸着などによって除去/処理するのに有効である。任意選択で、廃棄物流24および粉末活性炭30は、連続的または周期的な混合下で組み合わされる。そして、廃棄物流24は、任意の量の有機汚染物質を廃棄物流24から除去するのに有効な時間にわたり粉末活性炭30と接触する。
【0015】
一態様では、廃棄物流24および粉末活性炭30は、膜ユニット12内に高SS液16(少なくとも10g/L)を少なくともまとめて供給する量で供給される。廃棄物流24を粉末活性炭に周期的にまたは連続的に接触させて、有機汚染物質の少なくとも大部分(出発濃度の50%超)を除去することで、高SS液16が、適切なポンプ等を介して膜ユニット12の1つ以上の膜14を通して引き出され、(元の廃棄物流24に対して)減少した懸濁固形物濃度を有する濾液18が生成される。
【0016】
別の実施形態では、高SS液16は、膜ユニット12に加えられる前に、別個の容器内でまたは反応器内で少なくとも粉末活性炭で予め処理されて、そこから任意の量の有機汚染物質が除去された廃棄物流をさらに含む。特定の実施形態では、有機汚染物質の少なくとも大部分(50重量%または体積%超)は、膜ユニット12に加える前に炭素処理によって除去される。図3を参照すると、例えば、システム10は、容器38の入口36と流体連通している出口34を有する廃棄物源22を含む。廃棄物源22は、任意の量の廃棄物流24を容器38に供給するように構成されており、廃棄物流24から所望量の有機汚染物質を除去するのに有効な量の粉末活性炭30が容器38に投入される。いくつかの実施形態では、容器38は、粉末活性炭の供給源28とも流体連通している(図2)。容器38内での処理に続いて、高SS液16を含む流出液は、容器38の出口40から膜ユニット12の入口42に供給される。注入された高SS液16は、次いで、前述のように適切なポンプ等を介して膜ユニット12の1つ以上の膜14を通して引き出され、(元の廃棄物流24に対して)減少した懸濁固形物濃度を有する濾液18が生成される。
【0017】
本明細書に記載された実施形態では、廃棄物流24は、有機汚染物質および固形物汚染物質を除去するために処理されるべき流体を意味し得る。特定の実施形態では、廃棄物流24は、産業、農業、または都市の供給源からのものを含み得る。加えて、特定の実施形態では、廃棄物流24は、システム10によって除去することが可能な無機または有機汚染物質を含む。一実施形態では、廃棄物流24は、エチレン製造または精製プロセス、例えば石油精製プロセスからの廃棄物流を含み得る。特定の実施形態では、廃棄物流24は、生分解性汚染物質を含むものである。
【0018】
膜ユニット12は、1つ以上の多孔性または半透性の膜14(参照を容易にするため「膜(単数または複数)」とも呼ばれる)を含み得る。一実施形態では、膜14は、当該技術分野で知られているように精密濾過膜または限外濾過膜を含む。加えて、膜14は、シートまたは中空繊維などの、その意図された用途に適した構成を有し得る。さらに、膜14は、その意図する用途に適した多孔率および/または透過率を有し得る。さらにまた、膜14は、例えば正方形、長方形、または円筒形などの適切な形状および断面積を有し得る。一実施形態では、膜は、長方形の形状を有する。
【0019】
膜ユニット12では、その中が、操作の間、材料、例えば、高SS液16で完全に浸されるように、膜ユニット12の処理ゾーン内に、1つ以上の膜14が、例えば、垂直に配置され得る。繰り返しになるが、本明細書に記載されたSS液16は、膜14と接触している膜ユニット12内に、少なくとも任意の量の粉末活性炭30、ならびに流体、例えば、廃棄物流24(有機物除去のための一次処理の前、それと同時、またはその後のもの)、または廃棄物流24から生じた材料(例えば、膜14から排除されたもの)などの材料を含むことが理解されている。さらなる実施形態では、高SS液16は、以下に記載のとおり、バイオマス固体群を含む。
【0020】
特定の実施形態では、複数の膜14が、互いに隣接して配置されるか、または所定の位置に配置されてもよく、必ずしもそうである必要はないが、他と同じ平面にまたは互いに平行に配置され得る。加えて、特定の実施形態では、1つ以上の膜14が、処理ゾーンを形成する容器または区画に直接取り付けられ得る。さらに、1つ以上の膜14が、取り外し可能なモジュール支持体に取り付けられ、該支持体は、処理ゾーンを形成する容器または区画に取り付けられ得る。一実施形態では、膜のメンテナンスおよび/または交換を容易にするために、1つ以上の膜14が、支持ラックに取り付けられ得る。別の実施形態では、上記の膜14の一部または全部が、膜14を収容し、かつ膜14へのおよび膜14からの材料の出入りを容易にするために、対応する膜モジュール内に配置され得る。このように備えられる場合、適切な数のモジュールが、1つ以上の対応する飼料含有容器またはタンクに配置されたアレイ、ラックまたはカセット内に備えられ得る。さらに、一実施形態では、膜ユニット12は、複数の膜14を含む。
【0021】
別の態様では、図1の例によって例示されるように、膜ユニット12は、その中にガス46を供給して膜14を洗い流し、固形物が膜14の表面上に蓄積するのを防ぐためのブロワー44を含み得る。各ブロワー44は、細かい気泡、粗い気泡、ガスのジェット流、ガスと流体のジェット流、およびそれらの組み合わせを生成し得る。ガス46は、窒素、空気、燃料ガス、または任意の他の適切なガスを含み得る。加えて、ブロワー44は、任意の適切な位置に配置されてよく、膜ユニット12の場合、関連するブロワー44は、1つ以上の膜14の長さに沿ってガスを供給し得る。通常、ポンプ(図示せず)もまた、適切な吸引力を発生し、膜ユニット12の各膜14を通して流体を引き込み、濾液18を生成するように設けられている。
【0022】
操作中、本明細書に記載された実施形態のいずれにおいても、膜ユニット12は、高SS液16を、その膜14に連続的または断続的に引き込む。特定の実施形態では、それに先立って、またはそれと同時に、廃棄物流24は、任意の量の有機汚染物質を廃棄物流24から除去するのに十分な時間、膜ユニット12内で粉末活性炭材料30と接触する。一実施形態では、廃棄物流24は、1〜24時間にわたり粉末活性炭30と接触されるが、本発明はそのように限定されないことが理解されている。流体が膜14を通って引き出されると、膜14の排除側で高SS液16中に懸濁固形物などが残るが、膜ユニット12によって、膜ユニット12の1つ以上の膜14を透過または通過した濾液18が生成される。いくつかの実施形態では、濾液18は、廃棄物流24に対して減少した有機汚染物質濃度および減少した全懸濁固形物濃度を有する。一実施態様では、濾液18は、約50mg/L以下の有機物濃度レベルを有する。加えて、一実施形態では、膜ユニット12は、少なくとも99重量%の懸濁固形物を、廃棄物流24から除去するのに有効であり、特定の実施形態では、少なくとも99.99重量%の懸濁固形物が、廃棄物流24から除去される。
【0023】
粉末活性炭30は、任意の量の有機材料を、所望のレベルまたは許容可能なレベルを下回るまで廃棄物流24から吸着するか、そうでなければ除去するのに有効な量で供給され得る。加えて、粉末活性炭は、任意の適切な粒径のものであり得る。一態様によれば、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、膜14を著しく損傷することなく、高SS液(10g/L以上)を、膜ユニット12の膜14と接触させることを可能にする。したがって、一実施形態では、粉末活性炭30は、液体のSS濃度を、約10g/L以上の量、特定の実施形態では約12g/L以上約40g/Lまでの量、特定の実施形態では約14g/L〜約22g/Lの量にするか、またはそれらの量にするのを助けるのに有効な量で供給される。
【0024】
一態様では、粉末活性炭30は、その中の任意の量の難分解性有機物を除去するのに有効であり得る。本明細書で使用されるように、難分解性有機物とは、廃棄物流24中の大部分の有機物よりも、生分解が遅いかまたは困難であり得るクラスの有機物と定義されている。難分解性有機物の例としては、合成有機化学物質が挙げられる。他の難分解性有機物としては、ポリ塩化ビフェニル、多環式芳香族炭化水素、ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン、およびポリ塩化ジベンゾフランが挙げられる。内分泌撹乱化合物もまた、生体のホルモン系に影響を及ぼすことがあり、かつ環境中に見出される難分解性有機物のクラスである。
【0025】
さらに別の実施形態では、高SS液16が、任意の量の生物学的個体群(本明細書では「生物学的材料」または「バイオマス」とも呼ばれる)を含み得ることが理解されている。バイオマスは、廃棄物流24を処理し、廃棄物流24内の非難分解性有機物を含む生分解性材料の量を所望の程度まで減少させるのに有効な量で供給され得る。例として、バイオマスは、図1に例示される膜ユニット12内に充填されたSS液16中に供給され得る。これを達成するために、一実施形態では、図4に示すように、有効量のバイオマス48が、その適切な供給源50から膜ユニット12へ供給され得る。一実施形態では、供給源50は、膜ユニット12への1つ以上の入口54と流体連通している1つ以上の出口52を有する。一実施形態では、任意の量の廃棄物流24および活性炭30が、(図2に示すように)それぞれの供給源から供給され、膜ユニット12内でバイオマス48と混合されて、本明細書で規定されるように少なくとも約10g/LのSS濃度をもたらす。
【0026】
直接膜ユニット12内に材料(活性炭または活性炭/生物学的材料)を含むことで多くの利点、例えば、処理効率の向上ならびにメンテナンス、材料、装置、費用、および時間の削減をもたらすが、さらに別の実施形態では、粉末活性炭30およびバイオマス48が、当該技術分野で知られているように、バイオリアクター56で組み合わされて、廃棄物流24中の有機汚染物質の量を減らし得る。図5に示されるように、例えば、本明細書で前述したように、廃棄物源22の1つ以上の出口60と流体連通している1つ以上の入口58とを有するバイオリアクター56を備えるシステム10であって、任意の量の廃棄物流24がバイオリアクター56に供給され得る、システム10の実施形態が例示されている。粉末活性炭30は、適切な供給源からバイオリアクター56に別々にまたはまとめて供給され得ることが理解されている。
【0027】
バイオリアクター56は、廃棄物流24中の有機汚染物質の量を減少させるのに有効な時間にわたり適切な条件で操作される。必要または所望の場合、ブロワー62もバイオリアクター56と流体連通し、任意の量のガス64をそこに供給して、必要な通気をバイオマス48にもたらす。バイオリアクター56での処理が完了すると、少なくとも10g/LのSS濃度を有する本明細書に記載の高SS液16を含む流出液66が、バイオリアクター56の1つ以上の出口68から膜ユニット12の1つ以上の入口70に供給される。高SS液16は、次いで、本明細書で前述したように膜ユニット12内で処理されて、濾液18を生成する。この実施形態では、バイオマスを含む液体16は、通常、混合液と呼ばれ、SS濃度は、混合液懸濁固形物(MLSS)濃度と呼ばれ得る。
【0028】
存在する場合、生物学的集団48は、生分解性消化に有効な細菌性微生物の任意の適切な集団を含み得る。例示的な廃棄物流処理システムは、米国特許第6,660,163号明細書(U. S. Patent Nos. 6,660,163);同第5,824,222号明細書(U. S. Patent Nos. 5,824,222);同第5,658,458号明細書(U. S. Patent Nos. 5,658,458);および同第5,636,755号明細書(U. S. Patent Nos. 5,636,755)に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。細菌は、無酸素状態および/または好気状態で繁殖するのに適した任意の細菌または細菌の組み合わせを含み得る。代表的な好気性属としては、細菌アシネトバクター属、シュードモナス属、ズーグレア属、アクロモバクター属、フラボバクテリウム属、ノカルディア属、ブデロビブリオ属、マイコバクテリウム属、シャペロティラス(Shpaerotilus)属、ベギアトア属、チオスリクス属、ロイコスリックス属(Lecicothrix)、およびゲオトリクム属、硝化細菌ニトロソモナス属、およびニトロバクター属、および原生動物繊毛虫、ツリガネムシ、オペキュラリア属、およびエピスティリス属が挙げられる。代表的な無酸素属としては、脱窒素細菌アクロモバクター属、エンテロバクター属、アルカリゲネス属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、フラボバクテリウム属、ラクトバチルス属、マイクロコッカス属、プロテウス属、シュードモナス属およびスピリルム属が挙げられる。例示的な嫌気性生物としては、クロストリジウム種、ペプトコッカス・アナエロバス、ビフィドバクテリウム種、デススルホビブリオ種、コリネバクテリウム種、ラクトバシラス属、放線菌、ブドウ球菌属および大腸菌が挙げられる。
【0029】
生物学的個体群が使用される場合、粉末活性炭30と生物学的材料48との組み合わせは、SS(MLSS)濃度の大部分を占め、かつ廃棄物流24から有機汚染物質(難分解性および非難分解性)を除去するために利用される。活性炭30を生物学的材料48に添加することは、それらの廃棄物流24の処理とは別に、多くの利点を有すると思われる。一つには、理論に束縛されることを望まないが、活性炭30は、生物学的材料48に対して潜在的に有毒な化合物の吸収を助け、それによって生物学的材料48を保護すると考えられる。加えて、粉末活性炭30は、一旦膜ユニット12に供給されると膜表面の再生を促進し、それによって、望ましくないファウリングの影響を受けにくい、膜表面を形成し得ると考えられる。一実施形態では、バイオリアクター56中の粉末活性炭30とバイオマス48との重量比は、約1:1〜約5:1であってよく、特定の実施形態では、約3:1〜5:1である。
【0030】
粉末活性炭30が、膜ユニット12またはバイオリアクター56に添加され、その中で生物学的材料48と混合され得ることが理解されている。加えて、粉末活性炭30は、廃棄物流24の添加の前に、それと同時に、またはその後に、膜ユニット12またはバイオリアクターに添加され得る。一実施形態では、バイオリアクター56は、バイオマス48および粉末活性炭30を、1つ以上の処理ゾーンに、まとめてまたは別々に含む。本明細書で使用されているように、「処理ゾーン」という語句は、個々の処理領域を示すために使用されている。個々の処理領域は、1つ以上の区画を有する単一の容器に収容され得る。また、個々の処理領域は、別々の容器に収容されてよく、異なる処理が、別々の容器で行われる。処理ゾーン、例えば、容器、タンク、または区画は、所望の用途および所望の滞留時間をもたらすように処理されるべき廃棄物流の量に従って大きさおよび形状が決められてもよい。したがって、バイオリアクター56自体は、1つ以上の容器を含み得る。
【0031】
上記のように、従来の知識によれば、このようなより高い固形分濃度を保持すると、膜ユニット12との接触時に、膜ユニット12でTMPの即時的なまたは急速な増加をもたらす可能性が高い。しかしながら、本発明者らは、懸濁固形物(SS)濃度が、膜14と接触して、活性炭/生物学的材料比を最適化することによっておよび/または本明細書に記載された膜材料の選択を介して膜ユニット12内に過度の膜ファウリングを生じることなく、約10g/L以上であり得ることを見出した。したがって、一実施形態では、流出液66のSS濃度は、約10g/L以上であり、特定の実施形態では、約12g/L以上約40g/Lまでであり、特定の実施形態では、約14g/L〜約22g/Lである。したがって、活性炭30および生物学的材料48は、膜ユニット12に供給される液中でこれらのSS値に到達するように、上記の比で反応器30内に供給され得る。
【0032】
バイオリアクター56から、流出液66の少なくとも一部は、バイオリアクター56から膜ユニット12に誘導されてよく、それによって流出液66および/または廃棄物流24よりも低い懸濁固形物濃度を有する処理流(濾液18)が生成される。膜ユニット12から、濾液18は、さらなる処理(例えば研磨)、廃棄(適切な場合)、貯蔵、または輸送に誘導されてもよい。
【0033】
本明細書に記載されている実施形態のいずれにおいても、適切または所望であれば、記載されている構成要素のうちの2つ以上が提供され得ることが理解されている。単なる例示として、システム10は、本明細書に記載されるように、複数の膜ユニット、容器、バイオリアクターなどを備え得る。特定の実施形態では、システム10は、流れにおいて互いに直列された少なくとも2つのバイオリアクターを備える。バイオリアクターは、様々な組成物、例えば、様々なバイオマスもしくはバイオマス環境、または様々な炭素対バイオマス比を有する材料を含むなどによって、互いに同一でも異なってもよい。特定の実施形態では、バイオリアクターのうちの1つは、メンテナンス、洗浄などのために他のものが使用されていない間に廃棄物流を処理するために操作可能であり得る。特定の実施形態では、複数のバイオリアクターが存在する場合、活性炭が、各バイオリアクターに独立して添加され得ることが理解されている。
【0034】
なおさらなる実施形態では、粉末活性炭およびバイオマスは、別個の容器内に供給され得る。したがって、一実施形態では、例えば、バイオリアクター56は、活性炭を含まず、代わりに、粉末活性炭を含む別々の容器(図示せず)が、バイオリアクター56と膜ユニット12との間に設置され得る。いずれの場合も(膜ユニット12の内部または外部を問わず)、廃棄物流24は、その中の有機汚染物質および/または生分解性汚染物質の量を減らすのに有効な時間にわたり、粉末活性炭または粉末活性炭/生物学的材料で処理され得る。加えて、膜ユニット12に誘導された液体または膜ユニット12内の液体も同様に、約10g/L以上のSS濃度を有することになり、特定の実施形態では、約12g/L以上約40g/Lまでであり、特定の実施形態では、約14g/L〜約22g/Lである。
【0035】
別の態様によれば、本明細書に記載された実施形態のいずれかにおいて、膜ユニット12からの濾液(流出液)18は、膜ユニット12から図6に示すような研磨ユニット72などのさらなる処理工程に供給され得る。一実施形態では、研磨ユニット72に至る濾液18中の有機汚染物質および固形物の量は、所定の値および/または研磨ユニット72のファウリングを引き起こす量を下回る。
【0036】
研磨ユニット72は、全溶解固形物(TDS)および/または無機物を、そこに供給された流体から除去して、所望の組成を有する流出液74、例えば、適切な限界を下回るTDS濃度を有するもの、例えば、流出液74の排出または再使用に適した限界を下回るTDS濃度を有するものを生成するのに適した任意の適切な装置またはシステムを含み得る。研磨ユニット72は、限定されることなく選択される。一実施形態では、研磨ユニット72は、ナノ濾過ユニット、逆浸透ユニット、イオン交換ユニット、電気脱イオン化ユニット、連続電気脱イオン化ユニット、および電気透析反転ユニットからなる群から選択され得る。特定の実施形態では、研磨ユニット72は、逆浸透によって濾液18から懸濁固形物を除去する、逆浸透ユニットを含む。特定の実施形態では、膜ユニット12からの流出液は、研磨ユニット72に供給される前に、研磨ユニット72の上流で、シリカ除去、pH調整、スケール防止剤添加、および軟化のいずれかの追加処理を受けてもよい。
【0037】
さらに別の態様では、図7を参照すると、膜14を通過しない保持液76(排除または濃縮固形物画分)は、膜ユニット12から供給されることが理解されている。この保持液76は、バイオマス固形物(バイオマスが利用される場合)、活性炭(その上に有機物が吸着されても、吸着されなくてもよい)、および/または他の適切な形の他の固形物を含み得る。一実施形態では、活性炭は、任意の量の使用済み炭素材料を含む。特定の実施形態では、使用済み炭素材料を再生し、かつ生物学的固形物(存在する場合)およびその中の酸化性材料(例えば有機物)を酸化するために、当該技術分野で知られているように、保持液76の少なくとも一部は、システム10から除去されて、湿式空気酸化(WAO)ユニット78に供給される。「使用済み」とは、炭素材料が標的材料中のさらなる標的成分を除去する能力が少なくとも低下したことを意味する。使用済み炭素および/または任意のさらなる固形物もまた、関連するシステム内の適切な位置で、例えば、膜ユニット12、バイオリアクターで、またはシステムの適切な流路で、本明細書に記載されたシステム(”廃棄”)から除去され、次いでWAOユニット78に、または他の所望の位置に供給されることが理解されている。
【0038】
一実施形態では、WAOユニット78は、酸素の存在下で(大気条件に対して)高められた温度および圧力条件下で使用済み炭素材料の再生および関連成分(例えば、有機物、無機物、および/または生物学的材料)の酸化が起こり得る、1つ以上の専用反応容器を含む。特に、その中の成分はまた、少なくとも再生炭素生成物を含む流出液80を生成するように使用済み炭素材料の酸化および/または再生を行うのに有効な時間および条件(例えば、圧力、温度、および酸素化雰囲気)下で加熱されてもよい。一実施形態では、使用済み炭素の再生は、供給流またはWAOユニットに酸素を添加しながら、約20気圧〜約240気圧の圧力および約150℃〜約373℃の温度で行われる。
【0039】
特定の実施形態では、使用済み炭素材料の再生時に、WAOユニット78からの流出液80(少なくとも再生炭素を含む)は、膜ユニット12、容器、またはバイオリアクターに戻され、場合により所望量の活性炭が供給され得る。他の実施形態では、流出液80は、貯蔵または輸送に適した位置に誘導され得る。特定の実施形態では、流出液80は、再活性炭素材料および生物学的材料を含むスラリーを含み得る。さらに別の実施形態では、本明細書に記載されたシステムおよび方法には、WAOユニット78は設けられていない。この場合、保持液76の一部または全部が、脱水され、次いで貯蔵され、廃棄物として輸送され、かつ/または再生のために施設外に送られ得る。
【0040】
本明細書に記載されたシステムおよび方法では、1つ以上の入口、流路、出口、ミキサー、ポンプ、弁、冷却器、エネルギー源、流量センサ、またはコントローラ(マイクロプロセッサおよびメモリを含む)などが、その中の要素(例えば、その中のMLSS、再生炭素、使用済み炭素、蒸気、冷却流体)のいずれかの流れの導入、出力、タイミング、量、選択および誘導を容易にするために本明細書に記載されたシステムのいずれかに含まれ得ることが理解されている。さらに、当業者は、所望の結果を得るために必要な量、流速、および他のパラメータを理解するであろう。
【0041】
本発明のこれらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の実施例からさらに十分に理解されるであろう。これらの実施例は、本質的に例示であることが意図されており、本発明の範囲を限定するものとは見なされていない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明の一態様によるシステムの概略図である。
図2図2は、本発明の別の態様によるシステムの概略図である。
図3図3は、本発明の別の態様によるシステムの概略図である。
図4図4は、本発明のさらに別の態様によるシステムの概略図である。
図5図5は、本発明のさらに別の態様によるシステムの概略図である。
図6図6は、本発明の別の態様によるシステムのさらなる構成要素(研磨ユニット)の概略図である。
図7図7は、本発明の別の態様によるシステムのさらなる構成要素(湿式空気酸化ユニット)の概略図である。
図8図8は、本発明の一態様による、様々なMLSS濃度値で膜にかかる初期TMPを示すグラフである。
図9図9は、本発明の一態様による、特定のMLSS濃度/炭素:バイオマス比における固形物の経時的なTMP増加を示すグラフである。
【0043】
実施例
通常、MLSSは、潜在的なファウリング/高いTMPのために、MBR(膜バイオリアクター)用途では10g/Lを超えない。試験は、許容可能なTMPおよびファウリング率の場合、20g/Lさらには28g/LのMLSSでも操作され得ることを示した。図8を参照すると、図8は、フラックスが予想通り初期TMPに強い影響を及ぼすことを示す。しかしながら、MLSS濃度を、従来のMLSS濃度の4倍に増加させたにもかかわらず、固形分濃度による初期TMPの変化はわずかであったことを見出したのは驚くべきことであった。
【0044】
図9を参照すると、MBRを、示される各々の4つの固形物/C:B比条件で4〜8週間にわたって操作した。左から右へ、それらの値は、次の通りであった:7/2;20/1.5;28/2.5および22/4。毎週、ファウリング(TMP増加)を算出し、これを用いて数値を得た。棒グラフは、週あたりの平均TMP増加を表し、ひげは、最大値と最小値を示す。MBRを、20LMHで操作した。試験は、炭素とバイオマスとの混合物は、全固形分12〜40g/Lであっても、バイオマス単独で予想されるよりもはるかに低いファウリング率を有するという結論を支持した。実際、いくつかの条件では、より高いMLSS濃度ではファウリング率はより低く、これは驚くべきことであった。
【0045】
本発明の様々な実施形態を示し、本明細書で説明してきたが、このような実施形態は、ほんの一例として示されているに過ぎないことは明らかであろう。本明細書の発明から逸脱することなく、多数の変形、変更および置換がなされ得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9