特許第6801096号(P6801096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6801096内視鏡ヘッドと、内視鏡ヘッドに挿入可能かつこれから取外し可能なアルバランレバーとを有する内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801096
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】内視鏡ヘッドと、内視鏡ヘッドに挿入可能かつこれから取外し可能なアルバランレバーとを有する内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20201207BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   A61B1/018 514
   A61B1/00 650
   A61B1/00 715
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-519295(P2019-519295)
(86)(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公表番号】特表2019-531142(P2019-531142A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】IB2018000023
(87)【国際公開番号】WO2018185546
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】102017100867.5
(32)【優先日】2017年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン,ミン
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−004804(JP,A)
【文献】 特許第6157791(JP,B2)
【文献】 特開2016−174820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ器具を挿通するための作業通路を備える内視鏡ヘッドと
前記作業通路を通して挿通可能な器具が前記内視鏡ヘッドの横方向へ偏向するために接触することができる器具案内面を備える、前記内視鏡ヘッドに挿入可能かつこれから取外し可能なアルバランレバーとを有する内視鏡において、
遠位の方向に延びる前記内視鏡ヘッドの2つの側面区域によってアルバランレバー構造空間が区切られており、
前記側面区域のうちの1つにアルバランレバー旋回シャフトが支承されていて、ここからシャフト区域が前記アルバランレバー構造空間へと長さ(X)をもって突き出しており、
前記アルバランレバーは、前記シャフト区域を挿入するためのシャフト挿入穴と、前記シャフト区域と平行な方向における前記アルバランレバー構造空間の幅よりも運動間隙の寸法の分だけ小さい、前記シャフト挿入穴と平行な方向における幅(a)とを有しており、前記運動間隙は前記アルバランレバーが前記アルバランレバー構造空間内で旋回するときに前記側面区域に接して滑動するのを防止する間隙であり、
前記アルバランレバーは前記シャフト挿入穴が構成された近位のベース区域を有しており、
前記ベース区域は前記シャフト挿入穴と平行な方向で幅(a)マイナス長さ(X)に相当する幅(b)を有している、内視鏡。
【請求項2】
前記アルバランレバーとそれぞれの前記側面区域の間の運動間隙はおよそ0.01mm〜0.3mmのオーダーを有している、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記アルバランレバーとそれぞれの前記側面区域の間の運動間隙はおよそ0.1mm〜0.2mmのオーダーを有している、請求項1または2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記内視鏡ヘッドの遠位の端部区域に外側円周面で装着可能なキャップを有しており、装着された状態のとき前記キャップの近位の端部は前記アルバランレバー構造空間の近位にある、請求項1からのいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記キャップは前記器具案内面の側に横方向の器具開口部を有するとともに遠位の側で閉じている、請求項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ器具を挿通するための作業通路を備える内視鏡ヘッドと、作業通路を通して挿通可能な器具が内視鏡ヘッドの横方向へ偏向するために接触することができる器具案内面を備える、内視鏡ヘッドに挿入可能かつこれから取外し可能なアルバランレバーとを有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなアルバランレバーは、内視鏡において、たとえば食道あるいは十二指腸、胆管、胆のう、膵管、膵臓などを検査するために利用することができる。
【0003】
このような内視鏡は光学系(照明装置とカメラ)を有する。さらに内視鏡は作業通路の出口のところに、作業通路に差し込まれる器具の的確な方向転換を旋回によって可能にするアルバランレバーを有する。
【0004】
内視鏡の用途に応じて、内視鏡は前処理が施される。このような前処理はバクテリア、ウイルス、真菌類、虫、あるいはカビなどのあらゆる細菌や微生物の伝播を確実に排除しなければならない。前処理の際には、有機物質や化学品の残滓を残留物なしに取り除くために、まず内視鏡が手作業で洗浄される。洗浄後、機械式の殺菌または滅菌が行われる。このようにして、内視鏡の使用時に内視鏡が接触した細菌や微生物などが、次回の使用時に患者へ伝播するのを回避することが意図される。
【0005】
たとえば特許文献1は、アルバランレバーを有する内視鏡を開示している。厳密に言うとこの内視鏡は、内視鏡から取外し可能な支持体を有していて、これにアルバランレバーが、支持体で支持される軸に旋回可能に配置されている。アルバランレバーの旋回は、アルバランレバーに定着されて内視鏡に挿通される牽引ワイヤを介して惹起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許第19627016C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、内視鏡が接触した細菌が次回の使用時に患者へ伝播することがいっそう良好に回避される内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の構成要件を有する内視鏡によって解決される。好ましい発展例は従属請求項の対象である。
【0009】
本発明による内視鏡は、マイクロ器具を挿通するための作業通路を備える内視鏡ヘッドと、作業通路を通して挿通可能な器具が内視鏡ヘッドの横方向へ偏向するために接触することができる器具案内面を備える、内視鏡ヘッドに挿入可能かつこれから取外し可能なアルバランレバーとを有する。遠位の方向に延びる内視鏡ヘッドの2つの側面区域によって、アルバランレバー構造空間が区切られる。側面区域のうちの1つにアルバランレバー旋回シャフトが支承されていて、ここからシャフト区域がアルバランレバー構造空間へと長さXをもって突き出す。アルバランレバーは、このシャフト区域を挿入するためのシャフト挿入穴と、シャフト区域と平行な方向におけるアルバランレバー構造空間の幅よりも運動間隙の寸法の分だけ小さい、シャフト挿入穴と平行な方向における幅aとを有しており、この運動間隙は、アルバランレバーがアルバランレバー構造空間内で旋回するときに側面区域に接して滑動するのを防止する間隙である。
【0010】
このような内視鏡は、アルバランレバーがアルバランレバー構造空間内で動作安全性をもって旋回することができる構造をもたらし、アルバランレバー自体を容易に内視鏡に組み付けたり取り外したりすることができる。このように、アルバランレバーを使い捨て部品として構成することができる。使用後にアルバランレバーが処分される。内視鏡の次回の使用は、新しい(未使用の)アルバランレバーとともに行われる。アンダーカットや複雑な形状を有することがあるアルバランレバーによる細菌の伝播が、このようにして完全に起こり得なくなる。
【0011】
アルバランレバーは、シャフト挿入穴が構成された近位のベース区域を有することができる。ベース区域は、幅aマイナス長さXに相当する、シャフト挿入穴と平行な方向における幅bを有することができる。それにより、アルバランレバーをアルバランレバー構造空間へ簡単な仕方で挿入することができるが、内視鏡にアルバランレバーを取り付けるための取付部材が必要でないことが可能となる。このようにして内視鏡がいっそう低コストになる。このように、アルバランレバー構造空間の中に突き出すシャフト区域は、取付部材の係合や挿入を可能にするためのアンダーカット等を有さない単純な形状を有する。したがって、シャフト区域も細菌の付着可能性をいっそうわずかしか提供せず、いっそう容易かつ効果的に洗浄可能である。
【0012】
運動間隙は、アルバランレバーとそれぞれの側面区域との間で、およそ0.01mm〜3/10mmのオーダーを有することができる。運動間隙は、アルバランレバーとそれぞれの側面区域との間で、およそ1/10mm〜2/10mmのオーダーを有するのが好ましい。このようにして、アルバランレバーをそれぞれの側面区域の間のアルバランレバー構造空間内で確実に案内することができる。
【0013】
キャップは、内視鏡ヘッドの遠位の端部区域で外側円周に装着可能であり、装着された状態のとき、キャップの近位端がアルバランレバー構造空間の近位となる。キャップはアルバランレバー構造空間のまだ開いている側を閉止して、アルバランレバーの意図しない滑り落ちを防止する。
【0014】
キャップは、器具案内面の側に横方向の器具開口部を有することができ、遠位の側で閉じられていてよい。このようにキャップは、横方向の側への器具の送りを妨げることがない。
上に説明した本発明の各態様を適切に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例のアルバランレバーを有する内視鏡ヘッドを示す模式的な平面図であり、アルバランレバーは外されている。
図2図1の内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図である。
図3図1のアルバランレバーを有する内視鏡ヘッドを示す遠位の側から見た模式図であり、アルバランレバーが配置されようとしている。
図4図3の状況で内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図である。
図5図1のアルバランレバーを有する内視鏡ヘッドを示す模式的な平面図であり、アルバランレバーは作業位置に配置されている。
図6図5の内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図である。
図7】アルバランレバーが配置された内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図である。
図8】アルバランレバーが配置された内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図であり、キャップが装着されている。
図9】アルバランレバーを有する内視鏡ヘッドを示す模式的な平面図であり、キャップが装着されている。
図10図9の内視鏡ヘッドを示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、図面を参照しながら実施例を用いて本発明を詳しく説明する。
【0017】
実施例
以下において、図1図10を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【0018】
本発明による内視鏡は内視鏡ヘッド1を有している。
まず、各図面を参照しながら内視鏡ヘッド1について説明する。
【0019】
本発明による内視鏡ヘッド1は円筒状の躯体として構成されるとともに、内視鏡ヘッド1の長手方向に沿って互いに平行にそれぞれ延びる作業通路11と図示しないワイヤ牽引通路を有している。ワイヤ牽引通路は、アルバランレバー2を操作するための牽引ワイヤ4を挿通する。作業通路11は、たとえば食道あるいは十二指腸、胆管、胆のう、膵管、膵臓などを検査するためのマイクロ器具を挿通する。
【0020】
内視鏡ヘッド1は遠位の側に光学系延伸部12を有していて、これにカメラ17と照明装置18が周知の仕方で設けられており、この光学系延伸部12は図1では平面図の左側に示されている。光学系延伸部12は、カメラと照明を備えた側面区域を形成する。換言すると光学系延伸部12は、カメラと照明を備えたハウジング突出部を形成する。このハウジング突出部は、マイクロ器具の位置と操作運動をカメラの視界に良好に収めるために、以下に検討するアルバランレバー構造空間Aの横に並んで配置されている。
【0021】
作業通路11は遠位端から間隔をおく内視鏡ヘッド1の区域で終わっており、そこで作業通路の遠位の出口開口部を形成する。
作業通路11の遠位の出口の遠位側に、内視鏡ヘッド1に対して相対的に旋回することができるアルバランレバー2が配置される。このように作業通路11は、遠位の方向でアルバランレバー2に向かって延びている。
【0022】
内視鏡ヘッド1は遠位の側に、図1では平面図の右側に示された、アルバランレバー支持延伸部13を有している。アルバランレバー支持延伸部13には旋回シャフト15が、光学系延伸部12とアルバランレバー支持延伸部13の間の内部空間へと突き出すように支承されている。旋回シャフト15は、回転運動力をアルバランレバー2に印加する力伝達区域を形成する。旋回シャフト15はいわばアルバランレバー2の回転シャフトである。このようにアルバランレバー支持延伸部13は、アルバランレバー旋回シャフトを備えた側面区域を形成する。換言するとアルバランレバー支持延伸部13は、アルバランレバー旋回シャフトを備えたハウジング突出部を形成する。
【0023】
より厳密に言えば、アルバランレバー2のための回転運動力は牽引ワイヤ4によって印加され、そのワイヤ牽引ニップルがレバー部材9の一方の端部に連結されている。レバー部材9の他方の端部は、アルバランレバー支持延伸部13に支承された旋回シャフト15の端部と一体的に結合されている。旋回シャフト15のこれと反対側の端部は、アルバランレバー支持延伸部13から光学系延伸部12に向かって突き出すシャフト区域151を形成する。
【0024】
アルバランレバー2は、光学系延伸部12とアルバランレバー支持延伸部13の間の内部空間に突入する、旋回シャフト15のこのシャフト区域151に装着される。シャフト区域151は、作業通路12の遠位の出口開口部に向かい合うように位置決めされる。光学系延伸部12とアルバランレバー支持延伸部13の間の内部空間がアルバランレバー構造空間Aを構成する。すなわちアルバランレバー構造空間Aは、遠位の方向に延びる内視鏡ヘッド1の両方の側面区域12および13によって区切られる。
【0025】
このように旋回シャフト15は、アルバランレバー支持延伸部13の内部に配置される端部を有している。シャフト区域151と反対を向くほうの旋回シャフト15の端部では、レバー部材9を介して牽引ワイヤ4が作用する。換言すると、牽引ワイヤ4の遠位端は、シャフト区域151と反対を向くほうの旋回シャフト15の端部と作用接続されている。したがって、近位の方向に行われる牽引ワイヤ4の牽引が旋回シャフト15の回転を惹起する。
【0026】
シャフト区域151と反対を向くほうの旋回シャフト15の端部は、周囲に対して密閉されている。牽引ワイヤ4はワイヤ牽引通路の中に配置されている。ワイヤ牽引通路も同じく周囲に対して密閉されている。このように牽引ワイヤ4は、内視鏡ヘッド1の周囲と接触をしない。牽引ワイヤ4の遠位端、レバー部材9、およびシャフト区域151と反対を向くほうの旋回シャフト15の端部が中に配置される密閉された空間が、アルバランレバー支持延伸部13に設けられている。この密閉された空間は、近位の側に向かってワイヤ牽引通路を介して開いているにすぎない。
【0027】
旋回シャフト15のシャフト区域151は、旋回シャフト15の長手方向に底面としての四角形を有するまっすぐな角柱の形状を有している。たとえばシャフト区域151の形状として三角や四角を選択することができる。本実施例では、シャフト区域151は断面が四角形で構成されている。旋回シャフト15のシャフト区域151は、アルバランレバー構造空間Aの中へ寸法Xをもって突入する。換言すると、シャフト区域151は長さXを有している。図1を参照。
【0028】
以下においてアルバランレバー2について説明する。
図1にはアルバランレバー2が上から示されており、図2にはアルバランレバー2が横から示されている。
【0029】
アルバランレバー2は器具案内面20を有していて、内視鏡ヘッド1の作業通路11を通して挿通可能な器具が内視鏡ヘッド1の横方向へ(図1では観察者に向かって)偏向するためにこれに接触することができ、それにより器具をたとえば胆管へ挿入することができる。アルバランレバー2が内視鏡ヘッド1に組み付けられているとき、器具案内面20は作業通路11の遠位の端部開口部に向かい合う。
【0030】
アルバランレバー2は近位の側にベース区域22を有している。ベース区域22は、アルバランレバー2が組付位置にあるときに近位の方向へ延びる。ベース区域22は寸法bを有する幅を有する。図1を参照。アルバランレバー2が組付位置にあるとき、ベース区域22の幅はアルバランレバー旋回シャフト15と平行に延びる。
【0031】
ベース区域22の近位の領域に、シャフト挿入穴21が貫通孔として構成されている。シャフト挿入穴21は、ベース区域22の伸長方向に対して垂直の方向でベース区域22を貫通し、その様子は図1に見て取ることができる。このようにベース区域22の幅bは、シャフト挿入穴21の長さに相当する。
【0032】
内視鏡ヘッド1にアルバランレバー2が配置されるとき、シャフト挿入穴21がシャフト区域151に据え付けられる。したがってシャフト挿入穴21は、シャフト区域151の形状に対して反対形状を形成する内側形状を有する。
【0033】
シャフト挿入穴21の形状は、旋回シャフト15の回転をアルバランレバー2へ伝達することができなければならない。本実施例では、シャフト挿入穴21は四角形で構成されており、その様子は図2に示されている。
【0034】
アルバランレバー2は遠位の側に、すなわち器具案内面20の領域に、あるいは換言するとベース区域22のない領域に、2つの平行な側面を有している。これらの平行な側面は、アルバランレバー2が組付位置にあるとき、内視鏡の長手方向に延びる。アルバランレバー2はこの遠位の領域で、寸法aを有する幅を有している。換言すると、それぞれの平行な側面はアルバランレバー2の遠位の領域で寸法aだけ離間している。
【0035】
本発明では、寸法aは寸法b+寸法Xにほぼ相当する。
さらに寸法aは、アルバランレバー2がアルバランレバー構造空間Aでわずかなクリアランスをもって回転可能であるように選択される。旋回シャフト15の伸長に対して平行に測定したときのアルバランレバー構造空間Aの幅は、寸法aよりも若干幅広になっている。このようにして、アルバランレバー2が組み付けられたとき、アルバランレバー2の遠位の領域におけるそれぞれの側面と、これに向かい合うアルバランレバー構造空間Aの区切り面との間で、換言すると光学系延伸部12とアルバランレバー支持延伸部13すなわちそれぞれの側面区域の(アルバランレバー構造空間Aに向かって)内方を向く面との間で、非常に小さな間隙が生じる。アルバランレバー2が取付位置にあるとき、アルバランレバー2とそれぞれの側面区域12,13との間に、およそ0.01mm〜0.3mmのオーダーでそれぞれの運動間隙が生じる。この運動間隙は、およそ0.1mm〜0.2mmのオーダーであり得るのが好ましい。この運動間隙は、アルバランレバー2がアルバランレバー構造空間Aの中で旋回するとき、光学系延伸部12およびアルバランレバー支持延伸部13の内方を向く各面に接して滑動するのを防止する。
【0036】
アルバランレバー2の各構成要素はプラスチックで製作される。アルバランレバー2はプラスチックからたとえば3Dプリンタまたは射出成形によって製作することができる。3Dプリンタまたは射出成形による製作によってアルバランレバーを正確に、ただしそれでもなお少ないコストで製作することができる。これ以外の好適な製造方法も、それが正確で低コストな生産を可能にする限りにおいて適用することができる。
【0037】
さらに本発明による内視鏡は、内視鏡ヘッド1に装着可能なキャップ3を有している。キャップ3は、底面を備える円筒として構成された皿状の物体である。キャップ3は近位の側に、すなわち図1では下方を向く側に、開口部を有する。この開口部を介して、キャップ3が内視鏡ヘッド1の遠位の端部区域の外側円周に据え付けられる。キャップ3は係合装置を有しており、これによって内視鏡ヘッド1の遠位の端部区域の外側円周と係合することができ、それにより内視鏡ヘッド1へのキャップ3の固定的な据付けを保証する。たとえば係合装置は、キャップ3の近位の領域で内側円周面に構成されて、内視鏡ヘッド1の外側円周にある相応の対応部材(溝など)と係合するラグ、突起、フックなどの形態で設けられる。
【0038】
装着された状態のとき、キャップ3の近位端はアルバランレバー構造空間Aの近位にある。キャップ3は遠位の側で閉じている。
【0039】
キャップ3は器具案内面20の側に横方向の器具開口部を有する。図9参照。横方向の器具開口部には器具案内面20だけでなく、少なくともカメラ17および照明装置18も設置される。このように横方向の器具開口部を通して、器具の側方での出力、照明装置18による照明、およびカメラ17による画像の撮影が可能となる。
【0040】
キャップ3は同じくプラスチックで製作される。キャップ3は、プラスチックからたとえば3Dプリンタまたは射出成形によって製作することができる。3Dプリンタまたは射出成形による製作によってキャップ3を正確に、ただしそれでもなお少ないコストで製作することができる。これ以外の好適な製造方法も、それが正確で低コストな生産を可能にする限りにおいて適用することができる。
【0041】
発明の機能
本発明による内視鏡は次のように適用される。
新しい内視鏡または洗浄されて滅菌された内視鏡が準備される。この内視鏡はまだアルバランレバーを有していない。
【0042】
アルバランレバー2は、内視鏡の利用者がアクセスすることができる、滅菌包装された別個のモジュールとして意図することができる。利用者はアルバランレバー2の包装を開けて、アルバランレバー2を取り出す。
【0043】
内視鏡ヘッド1とアルバランレバー2の構造的な施工形態は、アルバランレバー2を組付位置では、すなわちベース区域22が近位の方向を向いているときには、シャフト区域151へ据え付けることができないようになっている。アルバランレバー2を、近位の方向を向くベース区域22をもってアルバランレバー構造空間Aの中に挿入することはできるものの、ベース区域22の近位の領域の外側円周がシャフト区域151の外側円周に突き当たることになり、シャフト挿入穴21をシャフト区域151に据え付けることはできない。アルバランレバー2の遠位の区域の幅と、アルバランレバー構造空間Aの幅との間の寸法関係は、アルバランレバー構造空間Aの中でのアルバランレバー2のさほどの斜め位置を許容しない。
【0044】
したがって、組付けのためにアルバランレバー2を回して、内視鏡ヘッド1の伸長方向に対してほぼ垂直になるようにしなければならず、このときその近位のベース区域22がアルバランレバー構造空間Aの中のほうを向くようにする。内視鏡ヘッド1の伸長方向に対して垂直とは、ここでは、カメラ17および照明装置18が向いている方向とほぼ平行を意味する。アルバランレバー2がこの位置にあるとき、幅bを有するベース区域22を、シャフト区域151と、(アルバランレバー構造空間Aに向かって)内方を向いている光学系延伸部12の面との間に挿入することができる。図3および図4を参照。幅bを有するベース区域22が、シャフト区域151と、内方を向く光学系延伸部12の面との間に正確に嵌まり込む。このとき牽引ワイヤ4は、アルバランレバー旋回シャフト15が適切な回転位置を有するように操作される。
【0045】
そしてアルバランレバー2を挿入することができ、それは、シャフト区域151がシャフト挿入穴21に差し込まれるようにベース区域22を側方へ(図3では下方に向かって)動かすことによってであり、引き続き、アルバランレバー2を初期位置へと旋回させることができる。図5参照。
【0046】
そしてアルバランレバー2が、アルバランレバー構造空間Aの中で旋回可能となる。事前に規定されている運動間隙に基づき、アルバランレバー2はアルバランレバー構造空間Aの側壁に沿って案内されるが、アルバランレバー2が旋回時にアルバランレバー構造空間Aの側壁に接して滑動することはない。
【0047】
そしてキャップ3が内視鏡ヘッド1の外側円周に据え付けられる。このときキャップ3は、アルバランレバー2の意図しない脱落(滑り落ち)を防止する追加の固定部を形成する。
【0048】
発明の作用
アルバランレバー2は、内視鏡の操作者がアクセスすることができる、滅菌包装された別個のモジュールとして意図することができる。
【0049】
アルバランレバー2は内視鏡ヘッド1に容易に組付け可能かつ取外し可能である。
アルバランレバー2は、旋回シャフト15のシャフト区域151と形状接合式に結合し、これによって、アルバランレバー2を旋回させるための力を内視鏡ヘッド1からアルバランレバー2へと確実に伝達可能である。
【0050】
本発明は、牽引ワイヤ4から空間的に切り離された、簡素かつ低コストなアルバランレバーを創出する。アルバランレバーはその幾何学的構造に基づいて数多くのアンダーカットを提供し、使用時にこれらに細菌などが付着する可能性があり、集中的な洗浄と滅菌をしてもこれがアルバランレバーに残るかもしれない。しかし、本発明によるアルバランレバー2は1回の使用後に処分することができる。このようにして本発明によるアルバランレバー2は、次回の使用時における次回の患者への、内視鏡の使用時に内視鏡が接触した細菌などの伝播が回避される手段を形成する。
【0051】
内視鏡ヘッドの中でワイヤ牽引通路が密閉されており、牽引ワイヤは周囲に対して完全に密閉される。ワイヤ牽引通路と牽引ワイヤの密閉は水密である。このようにして、細菌がワイヤ牽引通路に侵入し得ることや、牽引ワイヤと接触し得ることが回避される。
アルバランレバー2は、相応のシャフト区域151を有する従来の内視鏡で適用することができる。
【0052】
事前に規定される寸法a,b,Xに基づき、およびアルバランレバー構造空間Aの幅に基づき、アルバランレバー2を内視鏡ヘッド1へ補助手段なしに、かつたとえばねじなどの取付手段なしに取り付けることができ、それにもかかわらず、使用後に簡単な仕方で再び内視鏡ヘッド1から取り出される。
【0053】
代替案
シャフト区域151とシャフト挿入穴21の幾何学形状は、両者の間で形状接合が可能となる限りにおいて、限定されるものではない。
内視鏡ヘッド1の外側円周へのキャップ3の係合には何らの制約も課されない。たとえばキャップ3を、内視鏡ヘッド1の外側円周にねじ止めすることができる。
【0054】
本発明は十二指腸内視鏡で適用可能である。本発明の原理は超音波内視鏡でも、およびその他のどのような内視鏡でも適用することができる。
各実施例では、作業通路の端部にアルバランレバーを有する1つの作業通路が示されている。本発明は、それぞれの作業通路の端部にそれぞれ1つのアルバランレバーを有する複数の作業通路を有する内視鏡でも適用することができる。
説明した代替案を組み合わせることができ、いずれの実施例でも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 内視鏡ヘッド
2 アルバランレバー
3 キャップ
4 牽引ワイヤ
9 レバー部材
11 作業通路
12 カメラと照明を有する側面区域
13 アルバランレバー旋回シャフトを有する側面区域
15 アルバランレバー旋回シャフト
17 カメラ
18 照明装置
20 器具案内面
21 シャフト挿入穴
22 ベース区域
151 シャフト区域
A アルバランレバー構造空間
X シャフト区域の長さ
a アルバランレバーの幅
b ベース区域の幅
図1
図2
図3
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図7
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図10