特許第6801191号(P6801191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6801191無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801191
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/12 20090101AFI20201207BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20201207BHJP
【FI】
   H04W40/12 110
   H04W84/18
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-33237(P2016-33237)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-152906(P2017-152906A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】土江 康太
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−95235(JP,A)
【文献】 特開2015−65522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置は、
複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、
前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、
前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理する第2のタイマ手段と、
記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、
前記判断情報を記憶する記憶手段とを有し、
前記無線中継装置は、
前記無線通信装置から前記近隣ノード探索メッセージを受信すると、前記応答メッセージを送信するまでの待ち時間である送信待機時間を、前記判断情報の値が良ければ短くなるように算出し、前記判断情報の値が悪ければ長くなるように算出すると共に、前記送信待機時間を、所定の確率で前記判断情報の値が良い場合でも、長くなるように算出し、前記判断情報の値が悪い場合でも、短くなるように算出する送信待機時間算出処理手段と、
前記送信待機時間算出処理手段により算出された前記送信待機時間の経過を管理する第1のタイマ手段と、
前記第1のタイマ手段により前記送信待機時間が経過した旨が通知されると、前記応答メッセージを、前記無線通信装置へ送信する応答メッセージ送信手段と、
前記判断情報を記憶する記憶手段とを有する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記判断情報は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置と、前記無線承認装置との間の1ホップ当りのラウンドトリップタイムであって、
前記接続先選択手段は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置に対応する前記判断情報の値が所定の閾値未満の場合には、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記判断情報は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置と、前記無線承認装置との間の通信成功率であって、
前記接続先選択手段は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置に対応する前記判断情報の値が所定の閾値以上の場合には、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記判断情報は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置と、前記無線承認装置へ至るまでの各リンクにおける送受信RSSI値の平均値であって、
前記接続先選択手段は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置に対応する前記判断情報の値が所定の閾値以上の場合には、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記判断情報は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置と、前記無線承認装置へ至るまでの各リンクにおける送受信RSSI値の最低値であって、
前記接続先選択手段は、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置に対応する前記判断情報の値が所定の閾値以上の場合には、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記最大受信待ち時間は、前記応答メッセージの送信待ち時間として選択され得る最大値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記最大受信待ち時間は、前記判断情報の値が良い前記無線中継装置が選択し得る前記応答メッセージの送信待ち時間の最大値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記最大受信待ち時間は、最初に受信した前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置の前記判断情報の値を基に、さらに良い前記判断情報の値を持つ前記無線中継装置が選択し得る前記応答メッセージの送信待ち時間の最大値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記無線中継装置はさらに、自身の周囲に存在する近隣ノード数を管理する近隣ノード管理部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記送信待機時間算出処理手段は、前記近隣ノード管理部により取得した前記近隣ノード数に応じて、前記送信待機時間を算出することを特徴とする請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおける無線通信装置であって、
複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、
前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、
前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理するタイマ手段と、
記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、
前記判断情報を記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項12】
ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおける無線通信装置に搭載されるコンピュータを、
複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、
前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、
前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理するタイマ手段と、
記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、
前記判断情報を記憶する記憶手段と
して機能させることを特徴とする無線通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラムに関し、例えば、親となる無線通信装置を決定して、無線ネットワークに参加する無線通信システムに適用できる。
【背景技術】
【0002】
複数の無線通信装置(以下、「ノード」とも呼ぶ)と、各ノードを管理する管理装置とからなる無線ネットワークシステムでは、各ノードが管理装置と直接通信できない場合、他のノードが直接通信できないノードに代わって通信を中継するマルチホップネットワークの形態を採用することがある。このマルチホップネットワークにより、遠距離にあるノードは、管理装置と通信することが可能となる。
【0003】
マルチホップネットワークに新規参加するノード(以下、「参加ノード」とも呼ぶ)は、ネットワークに参加(加入)するとき、自身が管理装置と直接通信できない場合には、ネットワーク参加要求メッセージを参加ノードに代わって中継してもらうノード(以下、「親ノード」とも呼ぶ)を、ネットワークに加入済みのノードの中から選択する。このような親ノードを選択するために、参加ノードは、自分の周辺ノード(以下、「隣接ノード」とも呼ぶ)を探索する隣接ノード探索メッセージをブロードキャス卜する。
【0004】
当該メッセージを受信した隣接ノードは、応答メッセージを参加ノードに返信する。このとき、隣接ノードの応答メッセージの送信タイミングが他の隣接ノードと重なると、メッセージが衝突し、参加ノードは応答メッセージを受信できない。そのため、隣接ノードは、衝突を回避するために、メッセージの受信後にランダム時間だけ待ってから応答メッセージを送信する。
【0005】
ところで、最適な親ノードの選択方法には、種々様々な方法があると考えられるが、例えば、受信メッセージの受信信号強度(RSSI値)が最も高いノードを選択することが考えられる。参加ノードは、全ての近隣ノードの応答メッセージを収集し、その中から親ノードを選択することで、最適な親ノードを決定できる。ただし、参加ノードは、全ての近隣ノードの応答メッセージを収集するためには、応答メッセージのランダム待ち時間を考慮し、選択され得る最大待ち時間だけ待つ必要がある。ここで、応答メッセージは、近隣ノード数が多いほど衝突する確率が高くなるため、衝突確率を一定以下に抑える必要がある。そのため、ランダム待ち時間の最大値は、近隣ノード数が多い場合を考慮して長めに設定されるべきである。
【0006】
以上より、参加ノードは、親ノードを選択するまでに多くの時間を要するため、ネットワーク加入までの時間が長期化することが問題となる。
【0007】
ところで、特許文献1及び2に記載の技術は、マルチホップネットワークにおける、最適な親ノードの選択方法に関する技術である。特許文献1及び2に記載の技術では、参加ノードは、隣接ノードから送信される当該隣接ノードの情報(現在の子ノードの数、管理装置までのホップ数、管理装置までのRTT(Round Trip TiMe)等)を受信し、最適と思われる隣接ノードを親ノードとして選択する。
【0008】
また、特許文献2では、各ノードはネットワーク参加後にも、隣接ノードとの通信履歴から、パケットロス率やSN比(Signal−to−Noise ratio)を算出し、これらの情報から最適な親ノードを動的に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−302694号公報
【特許文献2】特表2011−523830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術は、いずれも最適な親ノードを選択するための指標に関する技術であり、最適な親ノードを選択するためには、全近隣ノードからの応答メッセージを待つことが前提となっている。
【0011】
よって、親ノードの選択時間は、隣接ノードが送信するメッセージのランダム待ち時間に大きく依存することになってしまう。
【0012】
そのため、効率的に接続先となる無線中継装置を決定して、早期に無線ネットワークシステムに参加できる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明は、ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおいて、前記無線通信装置は、(1−1)複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、(1−2)前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、(1−3)前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理する第2のタイマ手段と、(1−4)前記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、(1−5)前記判断情報を記憶する記憶手段とを有し、前記無線中継装置は、(2−1)前記無線通信装置から前記近隣ノード探索メッセージを受信すると、前記応答メッセージを送信するまでの待ち時間である送信待機時間を、前記判断情報の値が良ければ短くなるように算出し、前記判断情報の値が悪ければ長くなるように算出すると共に、前記送信待機時間を、所定の確率で前記判断情報の値が良い場合でも、長くなるように算出し、前記判断情報の値が悪い場合でも、短くなるように算出する送信待機時間算出処理手段と、(2−2)前記送信待機時間算出処理手段により算出された前記送信待機時間の経過を管理する第1のタイマ手段と、(2−3)前記第1のタイマ手段により前記送信待機時間が経過した旨が通知されると、前記応答メッセージを、前記無線通信装置へ送信する応答メッセージ送信手段と、(2−4)前記判断情報を記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
【0014】
第2の本発明は、ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおける無線通信装置であって、(1)複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、(2)前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、(3)前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理するタイマ手段と、(4)前記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、(5)前記判断情報を記憶する記憶手段とを有することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明の無線通信プログラムは、ネットワークへの接続を要求する無線通信装置と、前記ネットワークへの接続要求を中継する複数の無線中継装置と、前記ネットワークへの接続要求を承認する無線承認装置とを有する無線通信システムにおける無線通信装置に搭載されるコンピュータを、(1)複数の前記無線中継装置の中から、接続先とする前記無線中継装置を探索するための近隣ノード探索メッセージを周囲のネットワークに向けて送信する近隣ノード探索手段と、(2)前記近隣ノード探索メッセージに対する、前記各無線中継装置からの応答メッセージを最大限待つための時間である最大受信待ち時間を算出する最大受信待ち時間算出処理手段と、(3)前記最大受信待ち時間算出処理手段により算出された前記最大受信待ち時間の経過を管理するタイマ手段と、(4)前記応答メッセージを、前記各無線中継装置から受信すると、前記応答メッセージの送信元の前記無線中継装置を接続先に選択するか否かの判断に使用する、前記各無線中継装置から前記無線承認装置までのホップ数に依存しない指標を用いた判断情報に基づき、所定の条件を満たした場合、前記最大受信待ち時間待機することなく、前記条件を満たした前記無線中継装置を接続先として選択し、一方、前記最大受信待ち時間待機しても前記条件を満たす接続先とする前記無線中継装置が見つからなかった場合、前記最大受信待ち時間中に受信した前記応答メッセージの送信元の前記各無線中継装置の内から接続先とする前記無線中継装置を選択する接続先選択手段と、(5)前記判断情報を記憶する記憶手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、効率的に接続先となる無線中継装置を決定して、早期に無線ネットワークシステムに参加できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る無線通信装置の機能的構成について示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る無線通信システムの全体構成の例について示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る無線通信装置(参加ノード)の動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る無線通信装置(ネットワーク加入済ノード)及び管理装置の動作を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係る無線通信装置(ネットワーク加入済ノード)の固有動作を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る管理装置の固有動作を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る1ホップ当りのRTTと送信待ち時間との対応付けを示す説明図である。
図8】第2の実施形態に係る無線通信装置の機能的構成について示したブロック図である。
図9】第2の実施形態に係る複数の対応表(図7)から、該当する対応表を選択するイメージを示す説明図である。
図10】第2の実施形態に係る無線通信装置(ネットワーク加入済ノード)の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(A)第1の実施形態
以下、本発明に係る無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0021】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る無線通信システム1の全体構成例を示すブロック図である。
【0022】
まず、無線通信システム1の構成について説明する。
【0023】
無線通信システム1には、無線通信装置20(20−1〜20−n)を管理する管理装置10と、無線通信を行う複数の無線通信装置20が配置されている。無線通信システム1に配置される各装置の数は限定されないものであるが、この実施形態の無線通信システム1では、1個の管理装置10と、複数個の無線通信装置20(20−1〜20−n)が配置されているものとして説明する。
【0024】
また、無線通信システム1では、管理装置10及び無線通信装置20−1〜20−nを含むノードによりマルチホップネットワークが構成されているものとする。以下では、各無線通信装置20のことを、マルチホップネットワークを構成する「ノード」とも呼ぶものとする。また、無線通信システム1のネットワークへ参加しようとするノードを「参加ノード」と呼び、参加ノードの参加要求メッセージを管理装置10へ中継するノードを「親ノード」と呼ぶものとする。無線通信システム1内の各装置間(ノード間)の通信方式(通信媒体)については限定されないものであるが、例えば、種々の無線LANインタフェースの通信方式を適用することができる。
【0025】
次に、本実施形態の無線通信システム1の特徴について説明する。
【0026】
本実施形態の無線通信システム1では、参加ノードが最適な親ノードを選択するために、従来技術と異なり、各近隣ノードからの全ての応答メッセージを待つことなく、最適な親ノードを選択できる。具体的に、無線通信システム1のネットワークに参加しようとする参加ノードは、周囲のネットワーク(近隣ノード)に対して、探索メッセージをブロードキャストする。当該メッセージを受信した各隣接ノード(言い換えれば、親ノードの候補)は、参加ノードが親ノード候補の善し悪しを判断するために使用する情報(親選択の指標値、例えば、管理装置10までのホップ数、RTT等)を用いて、ランダムな送信待ち時間を動的に変化させる(参加ノードから見て親ノードとして適切と考えられる隣接ノードの送信待ち時間は、確率的に短く設定される)。
【0027】
参加ノードは、応答メッセージの送信元ノード(親候補ノード)の、親選択の指標値を所定の閾値と比較し、その比較結果に応じて、その送信元ノードを親ノードに選択する。
【0028】
以上により、参加ノードは、親ノードとして最適な親候補ノードの応答メッセージを受信できる確率が高まり、結果的に、親ノードを早い段階で選択できることになる。
【0029】
次に、無線通信装置20の内部構成について説明する。
【0030】
図1は、無線通信装置の機能的構成について示すブロック図である。図1において、無線通信装置20は、通信部21、処理部22、記憶部23、及びタイマ部24を有する。
【0031】
無線通信装置20は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにプログラム(実施形態に係る無線通信プログラム及び無線中継プログラムを含む)をインストールすることにより構築するようにしても良い。また、無線通信装置20は、一部又は全部をハードウェア(例えば、専用の半導体チップや電気回路等)を用いて構成するようにしても良い。
【0032】
通信部21は、マルチホップネットワークにアクセスするための通信インタフェースである。例えば、通信部21は、後述する処理部22からメッセージ送信要求を受けると、当該メッセージを管理装置10若しくは他の無線通信装置20に送信する手段を有する。また、通信部21は、直接通信相手に送信することができない場合には、他の無線通信装置20を介してメッセージを送信する。なお、通信部21は、他の無線通信装置20への中継方法について、種々様々なルーティング方式を適用することができる。例えば、通信部21は、ルーティング方式として、AODV(Ad hoc On−DeMand Distance Vector)、RPL(IPv6 Routing Protocol for Low−Power and Lossy Networks)等のルーティング方式を適用することができる。
【0033】
また、通信部21は、他の無線通信装置20から送信されたメッセージを受信する手段を有する。通信部21は、受信したメッセージが自分宛ての場合、受信したメッセージの処理を処理部22に要求する。一方、通信部21は、受信したメッセージが管理装置10若しくは他の無線通信装置20宛ての場合、前記いずれかのルーティング方式によって、他の無線通信装置20にメッセージを送信(中継)する。
【0034】
処理部22は、ネットワーク加入前の無線通信装置20(参加ノード)が、親ノードの候補となる近隣の無線通信装置20を探索するためのメッセージ(以下、「近隣ノード探索メッセージ」とも呼ぶ)を生成し、通信部21へ当該メッセージの送信を要求する。また、処理部22は、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの待ち時間(以下、「最大受信待ち時間」とも呼ぶ)を算出し、後述するタイマ部24にタイマのセットを要求する。最大受信待ち時間は、例えば、応答メッセージのランダム送信待ち時間の取り得る最大値として良い。
【0035】
さらに、処理部22は、応答メッセージを通信部21から受信し、応答メッセージに含まれる親選択の指標値から、送信元ノードを親ノードに選択するか否かを判断する機能を有する。なお、処理部22は、受信した応答メッセージの保存を後述する記憶部23に要求する。処理部22は、タイマ部24から最大受信待ち時間が経過したことを通知されると、記憶部23からそれまでに近隣ノードから受信した応答メッセージを取得し、取得した応答メッセージの送信元ノードから最適な親ノードを選択する。最適な親ノードの選択方法は、例えば、親選択の指標値が最も良いノードを親ノードに選択する等である。
【0036】
また、処理部22は、選択された親ノードに対する参加要求メッセージを生成し、通信部21に当該メッセージの送信を要求する。
【0037】
処理部22は、ネットワーク加入後の無線通信装置20が、近隣ノード探索メッセージを通信部21から受信すると、親選択の指標値を用いて応答メッセージのランダム送信待ち時間を算出し、タイマ部24に算出した時間分のタイマのセットを要求する。処理部22は、送信待ち時間が経過し、タイマ部24から通知を受信すると、親選択の指標値を含んだ応答メッセージを生成し、通信部21に送信を要求する。
【0038】
記憶部23は、処理部22からの要求によって受信した応答メッセージを記憶する。また、記憶部23は、処理部22からの要求があると、記憶している応答メッセージを取り出し、処理部22に与える。
【0039】
記憶部23は、親選択の指標値から応答メッセージの送信待ち時間を算出するために必要な情報も記憶する。前記送信待機時間を決定するために必要な情報とは、例えば、親選択の指標値と、その値であるときに選択される送信待ち時間との対応表(後述する図7の対応表)等である。
【0040】
タイマ部24は、処理部22からのタイマセット要求に従って、要求された時間でタイマを動作させる。タイマ部24は、要求された時間が経過すると、経過した旨を処理部22へ通知する。
【0041】
次に、管理装置10の内部構成について説明する。管理装置10の各構成も先述の図1で示した無線通信装置20と同様である。ただし、処理部22の内容が異なるので、この異なる点を中心に説明する。
【0042】
管理装置10の処理部22は、無線通信装置20の処理部22の機能に加えて、通信部21から参加ノードの参加要求メッセージを受信すると、参加要求メッセージに対する応答メッセージ(参加承認メッセージ)を生成し、通信部21に当該メッセージの送信を要求する機能を有する。
【0043】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の無線通信システム1の動作を説明する。
【0044】
以下では、新規の無線通信装置20(参加ノード)が、近隣ノード(ネットワーク加入済みノードの親候補ノード)の中から親となるノード(親ノード)を選択して、マルチホップネットワークに参加するまでの各装置の動作を図3図6を用いて説明する。参加ノードの動作は、後述するステップS101(図3)である。また、ネットワーク加入済みノード(親候補ノード)の動作は、後述するステップS102(図4)及びステップS103(図5)である。さらに、管理装置10の動作はステップS102(図4)及びステップS104(図6)である。
【0045】
なお、以下では、「参加ノード」とは、無線通信システム1のネットワークに加入前の無線通信装置20(20−1〜20−n)のいずれかであるものとする。また、近隣ノード(ネットワーク加入済ノード)とは、参加ノードによりブロードキャストされたデータを受信できる範囲内に存在する無線通信システム1のネットワークに加入済の無線通信装置20(20−1〜20−n)のいずれかであるものとする。
【0046】
[ステップS101:参加ノードの親選択]
ネットワークに新規参加する参加ノード(処理部22)は、近隣ノードを探索するため、通信部21を介して、生成した近隣ノード探索メッセージをブロードキャストする(S101−1)。この近隣ノード探索メッセージには、参加ノードに関する情報が含まれる。参加ノードに関する情報とは、例えば、参加ノードの個体を表すアドレス(MACアドレス)や、親選択の指標値が何であるかを表す情報である。なお、処理部22は、近隣ノード探索メッセージを送信すると、近隣ノードから応答メッセージを待つ時間である最大受信待ち時間を計算する。そして、処理部22は、タイマ部24に計算した最大受信待ち時間分のタイマのセットを要求する。
【0047】
タイマ部24は、処理部22から指定された時間(最大受信待ち時間)分のタイマをセットする(S101−2)。
【0048】
タイマ部24は、セットした最大受信待ち時間分のタイマがタイムアウトしたか否かを判定する(S101−3)。タイマ部24は、セットしたタイマがタイムアウトした場合には、処理部22にその旨を通知する(後述するステップS101−8に処理を移行する)。一方、タイマ部24は、セットしたタイマがタイムアウトしていない場合には、待機を継続する(次のステップS101−4に処理を移行する)。
【0049】
通信部21は、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージを受信したか否か判定する(S101−4)。通信部21は、応答メッセージを受信した場合には、処理部22に当該メッセージの処理を要求する(次のステップS101−5に処理を移行する)。一方、通信部21は、応答メッセージを受信していない場合には、受信待機を継続する(先述のステップS101−3に処理が戻る)。なお、ここでの受信した応答メッセージには、例えば、送信元ノードの親選択の指標値が含まれているものとする。
【0050】
処理部22は、通信部21から送信元ノードの親選択の指標値を含む応答メッセージの情報を取得する(S101−5)。
【0051】
処理部22は、取得した送信元ノードの親選択の指標値を用いて、送信元ノードを親ノードと選択するか否か判定する(S101−6)。例えば、処理部22は、親選択の指標値が予め設定された閾値未満(若しくは閾値以上)であるか否かで判定する。例えば、親選択の指標がRTTであったとすると、送信元ノードのRTTが予め設定した闘値未満であれば、処理部22は、その送信元ノードを親ノードとして選択する。ここで、RTTは、管理装置10との間のホップ数が多くなるほど長くなることが予想される。そのため、参加ノードが管理装置10から距離の遠い場所でネットワークに加入する場合、近隣ノードは、ホップ数が大きいノードばかりとなる。そのため、近隣ノードのRTTは、予め設定された閾値より大きくなる可能性が高い。すなわち、この条件(閾値との比較判定)を満たす近隣ノードが存在しないことになる。そこで、RTTをホップ数で割ることによって求まる、1ホップ当りのRTTを親選択の指標にすれば、参加ノードは、管理装置10からの距離に依存せず、最適な親ノードを選択できる。
【0052】
処理部22は、親選択の指標値が閾値との比較条件(図3の例では、閾値未満)を満たすならば、後述するステップS101−10に処理を移行し、条件を満たさない場合には、次のステップS101−7に処理を実行する。
【0053】
処理部22は、親選択の指標値が閾値との比較条件を満たさなかった場合(親ノードとして選択しなかった場合)には、応答メッセージを記憶部23に記憶する(S101−7)。そして、処理部22(通信部21)は、受信待機状態に戻る(先述のステップS101−3に処理が戻る)。
【0054】
処理部22は、先述のステップS101−3の処理でセットしたタイマがタイムアウトしたとの通知をタイマ部24から受けた場合、過去に受信した応答メッセージを記憶部23から取得する要求を行う。そして、処理部22は、当該応答メッセージを、記憶部23から実際に取得できたか否か判定する(S101−8)。処理部22は、応答メッセージを取得できなかった場合には、再度近隣ノード探索メッセージを送信する処理を行う(先述のステップS101−1に処理が戻る)。一方、処理部22は、応答メッセージを取得できた場合には、次のステップS101−9の処理を行う。
【0055】
処理部22は、取得応答メッセージの中から、最適な親ノードを選択する(S101−9)。処理部22は、最適な親ノードの選択方法として、例えば、先述の1ホップ当りのRTTが最も小さいノードを親ノードに選択する等が考えられる。
【0056】
そして、処理部22は、参加要求メッセージを生成し、通信部21を介して、選択した親ノードに当該参加要求メッセージを送信する(S101−10)。
【0057】
[ステップS102:ネットワーク加入済みノード及び管理装置共通の動作]
ネットワーク加入済みのノード、又は管理装置10(通信部21)は、他の無線通信装置20から何らかのメッセージを受信すると、処理部22に受信メッセージの処理を要求する(S102−1)。
【0058】
処理部22は、受信メッセージの種別を判定する(S102−2)。処理部22は、受信メッセージの種別が、「参加要求メッセージ」だった場合には、次のステップS102−3に移行し、「参加承認メッセージ」だった場合には、後述するステップS102−4に移行し、若しくは「近隣ノード探索メッセージ」だった場合には、後述するステップS102−7に移行する。
【0059】
処理部22は、受信メッセージの種別が、「参加要求メッセージ」だった場合には、自装置が管理装置10か否か判定を行う(S102−3)。処理部22は、自装置が管理装置10の場合には、後述するステップ[S104]を実施する。一方、処理部22は、自装置が管理装置10では無い場合には、後述するステップ[S103]を実施する。
【0060】
処理部22は、先述のステップS102−2の処理で、受信メッセージの種別が、「参加承認メッセージ」だった場合には、通信部21を介して参加ノードと直接通信可能であるか否か判定を行う(S102−4)。
【0061】
通信部21は、先述のステップS102−4の処理で、参加ノードと直接通信可能であると判定された場合には、当該参加承認メッセージを送信する(S102−5)。一方、通信部21は、先述のステップS102−4の処理で、直接通信可能では無いと判定された場合には、何らかのルーティング方式によって、次の中継先ノードを決定し、そのノードに対して当該参加承認メッセージを送信する(S102−6)。
【0062】
処理部22は、先述のステップS102−2の処理で、受信メッセージの種別が、「近隣ノード探索メッセージ」だった場合には、応答メッセージを送信するまでの送信待ち時間を算出する(S102−7)。処理部22は、送信待ち時間の算出方法について、親選択の指標値に基づき、指標値が良い場合には、送信待ち時間を短くなるように算出し、指標値が悪い場合には、送信待ち時間は長くなるように算出する。処理部22は、送信待ち時間を算出する際に用いる指標について、例えば、1ホップ当りのRTTを用いる。
【0063】
図7は、1ホップ当りのRTTと送信待ち時間との対応付けを示す説明図である。
【0064】
処理部22は、図7の対応表に従い、送信待ち時間を確率的に選択する。図7において、「RTT」の項目は、1ホップ当りのRTTが「小」、「中」、「大」の三段階で示されている。また、RTTが、「小」「中」「大」のいずれかに属するかについて、例えば、計測したRTT値が各項目に該当するとされる所定の範囲内に属すれば、その項目(「小」「中」「大」のいずれか)の取り扱いとなる(例えば、「小」の範囲内が350ミリ秒以下と定められている場合において、RTTの計測値が325ミリ秒だった場合には、RTTは、「小」の取り扱いとなる)。また、図7において、「送信待ち時間」の項目は、メッセージの衝突を回避するための、ランダムな送信待ち時間を示すものであって、「短」「中」「長」の三段階で示されている。例えば、送信待ち時間は、RTTが「小」に該当する場合、送信待ち時間として「短」が選択される確率が80%、「中」が選択される確率が20%、「長」が選択される確率が0%であることを示している。なお、図7で示す確率は、例示であって、種々様々な値を用いることができる。
【0065】
ただし、図7の例では、RTTが「小」に該当する場合でも、送信待ち時間として「短」が選択される確率を100%とはしていない。例えば、近隣ノードが管理装置10周辺に密集している場合など、全近隣ノードのRTTが「小」の場合、全近隣ノードの送信待ち時間が短い時間となるため、応答メッセージが衝突する可能性がその分だけ高くなる。そのため、図7に示すように、RTTが「小」であっても、送信待ち時間として「中」が選択される可能性を含めることで、メッセージが衝突する確率を低減させることができると考える。
【0066】
処理部22は、算出した送信待ち時間分のタイマのセットを要求する。そして、タイマ部24は、処理部22から指定された時間(送信待ち時間)分のタイマをセットする(S102−8)。
【0067】
タイマ部24は、セットした送信待ち時間分のタイマがタイムアウトしたか否かを判定する(S102−9)。タイマ部24は、セットしたタイマがタイムアウトした場合には、処理部22にその旨を通知する(後述するステップS102−10に処理を移行する)。一方、タイマ部24は、セットしたタイマがタイムアウトしていない場合には、待機を継続する。
【0068】
処理部22は、タイマ部24からタイムアウトの通知を受けると、親選択の指標値を含んだ応答メッセージを生成し、通信部21を介して、参加ノードに対して、当該応答メッセージを送信する(S102−10)。
【0069】
[ステップS103:ネットワーク加入済みノードの参加要求メッセージ受信時動作]
ネットワーク加入済みのノードは、通信部21を介して管理装置10と直接通信可能であるか否か判定を行う(S103−1)。
【0070】
通信部21は、先述のステップS103−1の処理で、管理装置10と直接通信可能であると判定された場合には、管理装置10に対して当該参加要求メッセージを送信する(S103−2)。
【0071】
一方、通信部21は、先述のステップS103−1の処理で、直接通信可能では無いと判定された場合には、何らかのルーティング方式によって、次の中継先ノードを決定し、そのノードに対して当該参加要求メッセージを送信する(S103−3)。
【0072】
[ステップS104:管理装置の参加要求メッセージ受信時動作]
管理装置10(処理部22)は、通信部21を介して、参加要求メッセージを受信すると、参加要求メッセージの送信元ノード(参加ノード)に対する参加承認メッセージを生成する(S104−1)。
【0073】
処理部22は、通信部21を介して参加ノードと直接通信可能であるか否か判定を行う(S104−2)。
【0074】
通信部21は、先述のステップS104−2の処理で、参加ノードと直接通信可能であると判定された場合には、参加ノードに対して当該参加承認メッセージを送信する(S104−3)。
【0075】
一方、通信部21は、先述のステップS104−2の処理で、直接通信可能では無いと判定された場合には、何らかのルーティング方式によって、次の中継先ノードを決定し、そのノードに対して当該参加承認メッセージを送信する(S104−4)。
【0076】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0077】
近隣ノードとしての無線通信装置20は、参加ノードからの近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの送信待ち時間を、親選択の指標値を用いて、指標値が良ければ短い送信待ち時間を選択し、指標値が悪ければ長い送信待ち時間を選択する。また、参加ノードとしての無線通信装置20は、応答メッセージに含まれる親選択の指標値を予め設定された閾値と比較して、送信元ノードを親ノードに選択するか否か判断する。このような親ノード選択方法により、参加ノードとしての無線通信装置20は、親選択の指標値が良い隣接ノードからの応答メッセージを、他の親選択の指標値が悪い隣接ノードに比べて相対的に早く受信できるため、全隣接ノードの応答メッセージを待つことなく親ノードの選択が可能となる。
【0078】
また、参加ノードとしての無線通信装置20は、応答メッセージの送信元ノードの親選択の指標値と予め設定された閾値とを比較して送信元ノードを親ノードに選択するかを判断するため、親ノードとして適切でないノードの応答メッセージを最初に受信した場合でも、適切な親ノードを選択できる。例えば、たまたま親選択の指標値が悪いノードが親選択の指標値が良いノードよりも短い送信待ち時間を選択した場合でも、参加ノードは、当該ノードを親ノードに選択しないため、親ノードとして最適な隣接ノードのみを親ノードとして選択できる。
【0079】
また、近隣ノードとしての無線通信装置20は、親選択の指標値が良い(悪い)場合でも応答メッセージの送信待ち時間として長い(短い)待ち時間が選択される可能性も存在する。このような選択方法によって、ネットワークのノード密度が密な場合でも、応答メッセージが衝突することを回避することができる。
【0080】
さらに、この実施形態の無線通信装置20は、親選択の指標として、管理装置10からの距離(ホップ数)に依存しない指標(例えば、1ホップ当たりのRTT)を用いる。このような指標を用いることで、参加ノードとしての無線通信装置20は、自身がどのような場所に存在する場合でも、適切な親ノードを早く選択できる。
【0081】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第2の実施形態では、無線通信装置が、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの送信待ち時間を、近隣ノード数も考慮して算出する点が第1の実施形態と異なる。無線ネットワークにおいて、前記応答メッセージが衝突する確率は、近隣ノード数が多い程、高くなる(逆に、近隣ノード数が少ない程、低くなる)。第1の実施形態では、無線通信装置(近隣ノード探索メッセージを受信したノード)は、親選択の指標値が近いノード同士の応答メッセージが衝突することを防ぐため、指標値が良い場合でも、低確率で長い送信待ち時間が選択されるようにした。しかし、近隣ノード数が少ない場合、短い送信待ち時間のみを選択したとしても、応答メッセージが衝突する確率は低い。そこで、第2の実施形態では、無線通信装置は、近隣ノード数に応じて、近隣ノード数が多いときには衝突を考慮した送信待ち時間を、近隣ノード数が少ないときには衝突を考慮しない送信待ち時間を動的に選択されるようにする。
【0082】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の無線通信システム1の構成についても、第1の実施形態と同様に図2を用いて示すことができる。
【0083】
以下では、第2の実施形態の無線通信装置20A及び管理装置10Aの各構成について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0084】
図8は、無線通信装置及び管理装置の機能的構成について示したブロック図である。図8では、先述の図1の各構成に加えて、近隣ノード管理部25が新たに追加されている。
【0085】
近隣ノード管理部25は、ネットワーク加入済みノードの近隣ノードの情報を保持・管理する。近隣ノードの情報とは、ネットワーク運用中に送受信されるメッセージから入手(若しくは、算出)できる情報であり、例えば、近隣ノードのネットワークアドレスや管理装置10とのホップ数、近隣ノードとのメッセージロス率等である。また、ネットワーク運用中に送受信されるメッセージとは、例えば、アプリケーションデータメッセージや、ルーティングトポロジの維持やノードの死活確認のために定期的に各ノードが近隣ノードとやり取りするメッセージ等である。近隣ノード管理部25は、処理部22から要求があると、保持する近隣ノードの情報を応答する。
【0086】
処理部22は、第1の実施形態の処理部22の機能に加えて、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの送信待ち時間を算出する際、近隣ノード管理部25から近隣ノード情報を取得する手段を有する。
【0087】
また、処理部22は、親選択の指標値と近隣ノード情報から、送信待ち時間を算出する。送信待ち時間の算出方法としては、例えば、処理部22は、図7で示したような親選択の指標値(RTT)と選択される待ち時間との対応表を複数枚(図9)用意しておき、近隣ノード数に応じて適切な対応表を参照し、送信待ち時間を算出する。
【0088】
図9は、複数の対応表から、該当する対応表を選択するイメージを示す説明図である。図9では、近隣ノード数が多くなるにつれて(10→20→50)、選択される送信待ち時間の幅は広くなることが示されている。例えば、隣接ノード数が10台の対応表ついて、RTTが「小」のときは、送信待ち時間として「短」のみが選択(100%選択)されるのに対し、近隣ノード数が50台の対応表では、RTTが「小」のときでも、送信待ち時間として、「短」が選択される確率が、60%「中」が選択される確率が30%、「長」が選択される確率が10%と、選択される幅が広くなることが示されている。
【0089】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の無線通信システム1の動作を、図面を参照しながら説明する。以下では、第2の実施形態の無線通信装置20Aの動作について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0090】
図10は、第2の実施形態に係る近隣ノード探索メッセージ受信時の無線通信装置の動作を示す説明図である。なお、図10と、図4の重複する符号に係るステップについては、同一の処理のため、その説明を省略する。なお、以下では、ネットワーク加入済みノード(近隣ノード数20台)が近隣ノード探索メッセージ受信した場合の動作(ステップS202)について説明する。
【0091】
[ステップS202:ネットワーク加入済みノードの近隣ノード探索メッセージ受信時動作]
通信部21は、近隣ノード探索メッセージを受信すると、処理部22に当該メッセージの処理を要求する(S202−1)。
【0092】
処理部22は、近隣ノード管理部25に近隣ノード情報を要求し、近隣ノード管理部25から当該近隣ノード情報を取得する(S202−2)。処理部22は、取得した近隣ノード情報から、近隣ノード数が20台であることを認識し、記憶部23に、近隣ノード数20台の場合の応答メッセージの送信待ち時間の対応表を要求する。例えば、当該対応表が図9で示す対応表である場合、記憶部23は、図9における近隣ノード数20台の対応表を処理部22に応答する。
【0093】
処理部22は、取得した対応表と、親選択の指標値をもとに、先述のステップS102−7と同様に、送信待ち時間を算出する(S202−3)。
【0094】
なお、以降の動作(S102−8〜S102−9)は、先に説明したので省略する。
【0095】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態に加えて、以下の効果を奏する。
【0096】
第2の実施形態の処理部22は、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの送信待ち時間を算出する際、自身の近隣ノード情報(近隣ノード数)を考慮して、送信待ち時間を算出する。当該方式により、処理部22は、近隣ノード数に応じて適切な送信待ち時間を算出できる。
【0097】
例えば、近隣ノード数が少ない場合、衝突を考慮せず、親選択の指標値が良いノード(無線通信装置20A)は、なるべく早く応答メッセージを返信するようにすればよい。一方、近隣ノード数が多い場合、処理部22は、応答メッセージの衝突を考慮して送信待ち時間を算出する。衝突が発生し、参加ノードが受信待ちの間に1個の応答メッセージも受信できない場合、参加ノードは再度近隣ノード探索メッセージを送信する(つまり、親選択にかかる時間は、参加ノードの最大受信待ち時間より長くなる)。そのため、処理部22は、近隣ノード数が多い場合、確実に応答メッセージを参加ノードに届けるために、親選択の指標値が良いノードでも長い送信待ち時間が低確率で選択されるように算出することで、結果として親選択にかかる時間を最適化できる。
【0098】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0099】
(C−1)第1の実施形態では、親選択の指標として、1ホップ当りのRTTを用いる例を示したが、これに限定するものではない。例えば、無線通信装置20(処理部22)は、隣接ノードと管理装置10との間の通信成功率(再送無しでメッセージを通信相手まで送信でき、かつ再送無しで応答を受信できる確率)を指標としても良い。
【0100】
また、処理部22は、隣接ノードから管理装置10までの間の各リンクにおける送受信RSSI値の平均((送信RSSI値+受信RSSI値)/2)の平均値(若しくは、最悪値)を指標としても良い。例えば、隣接ノードから管理装置10までに2台のノードがあり(つまりリンク数は3である)、各リンクの送受信RSSI値が、−75dBm、−80dBm、−65dBmであったとき、平均値を指標とする場合は、−73dBm、最悪値を指標にする場合は−80dBmとなる。このような指標を用いることにより、参加ノード(処理部22)は、より確実に管理装置10まで参加要求メッセージを送信できるノードを親ノードに選択できる。
【0101】
(C−2)第1の実施形態では、参加ノード(処理部22)は、近隣ノード探索メッセージに対する応答メッセージの最大受信待ち時間を、応答メッセージの送信待ち時間の最大値として求めたが、これに限定されるものではない。例えば、処理部22は、当該応答メッセージの最大受信待ち時間を、親選択の指標値が良いノードが選択し得る送信待ち時間の最大値としても良い。例えば図7では、RTTが「小」のノードは、送信待ち時間として、最長で「中」が選択される。そこで、処理部22は、送信待ち時間「中」を応答メッセージの最大受信待ち時間に設定する等である。
【0102】
また、最初に受信した応答メッセージの親選択の指標値を見て、最大受信待ち時間を動的に変更することも考えられる。参加ノード(処理部22)は、応答メッセージの親選択の指標値(第1の実施形態では、RTT)に加え、ネットワーク加入後の動作のために対応表(図7)も所有する。参加ノードは、これらの情報を利用して、例えば、RTTが「大」であるノードの応答メッセージを最初に受信した場合、対応表から、RTTが「大」でも送信待ち時間「中」が選択されて応答メッセージが送信された可能性があることを判断できる。さらに参加ノードは、RTTが「小」であるノードからの応答メッセージは、最長の送信待ち時間として「中」が選択されて送信されることも判断できる。以上より、参加ノードは、最初に受信したノードよりも良い(RTTが小さい)ノードがいるとすれば、送信待ち時間「中」の最大値の時間までには、そのノードから応答メッセージが送信されると判断できるため、送信待ち時間「中」の最大値(正確には、送信待ち時間「中」の最大値−近隣ノード探索メッセージを送信してからの経過時間)を最大受信待ち時間に設定しても良い。
【0103】
(C−3)上記の各実施形態では、参加ノードが無線通信システム1に加入するための親ノードをネットワーク加入済みのノードから選択する場合を例にとって説明したが、これに限定するものではない。例えば、ネットワーク加入済みのノードが直接管理装置10と通信できない場合に、代わりに中継してもらうノードを他のネットワーク加入済みのノードから選択する場合にも、本発明を適用することができる。
【0104】
(C−4)上記の各実施形態における、無線通信システム1では、1台の管理装置10が存在することを想定していたが、これに限定するものではない。例えば、管理装置10を置かず、予め決められた1ないし複数の無線通信装置20が他の無線通信装置20からの接続を受け付けるような構成の無線ネットワークシステムにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…無線通信システム、10、10A…管理装置、20(20−1〜20−n)、20A(20A−1〜20A−n)…無線通信装置、21…通信部、22…処理部、23…記憶部、24…タイマ部、25…近隣ノード管理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10