(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥機には、前記隙間に通じる前記回転ドラムの外側空間を覆うように、周方向に延設されたカバーが設けられ、前記供給路を通じて前記侵入空気が該カバーの内部空間に導入されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の汚泥の処理設備。
【背景技術】
【0002】
家庭等から排出される有機物含有の排水は、一般に下水処理施設で排水処理される。
この排水処理に伴って有機汚泥が発生するが、排水処理量の増加とともに有機汚泥の発生量も年々増加し、その処理・処分が大きな問題となっている。
【0003】
有機汚泥を処分するに際し、有機汚泥には99.9%程度の水が含まれていてそのままでは処分できず、そこで減量化のために濃縮及び脱水処理したり、或いは更に焼却したり溶融したりするなど様々な処理が現在施されている。
【0004】
有機汚泥の減量化処理の一つの方法として、汚泥を乾留処理により炭化することが提案されている。
この炭化処理は、汚泥が基質中に炭素分を45質量%程度含んでいることから、焼却,溶融処理のように汚泥中の炭素分を消費してしまうのではなく、汚泥を無酸素或いは低酸素状態で熱分解(炭化)することにより炭素分を残留させ、新しい組成を持つ炭化物(炭化製品)として生成させるものである。
【0005】
汚泥を乾留処理により炭化する際、まず含水率80%程度まで脱水された脱水汚泥(含水汚泥)は、所定の含水率、例えば40%程度の含水率まで乾燥処理され含水率が減じられる。その後、乾燥処理された乾燥汚泥は炭化炉へと搬送され、そこで乾留処理により汚泥の炭化が行われる。このような処理に際して用いられる汚泥の処理設備は、例えば下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
【0006】
図9は、下水汚泥の処理設備の従来の一例を示したものである。図中200は受入ホッパであり、含水率80%程度まで脱水された脱水汚泥がこの受入ホッパ200に先ず受け入れられる。ここに受け入れられた脱水汚泥は、汚泥搬送ポンプ202にて乾燥機204へと送られ、そこで所定の含水率、例えば40%程度の含水率まで乾燥処理される。
【0007】
乾燥機204は、回転ドラム210を乾燥容器として備えており、その軸方向の一端側から内部に供給された汚泥を、回転ドラム210を回転させつつ内部に沿って軸方向に移動させ、その移動の過程で熱風により汚泥を乾燥処理して、乾燥後の汚泥を軸方向の他端側から排出する。この乾燥機204では、汚泥の乾燥と併せてその粉砕が行われる。
【0008】
乾燥機204で乾燥処理された汚泥は、続いてコンベア206により炭化炉208へと搬送され、そこで乾留処理により汚泥の炭化が行われる。
【0009】
図9において、226は乾燥機204に供給する熱風を発生させるための熱風発生炉で、ここでは供給された燃料が燃焼空気の供給の下で燃焼させられて熱風を発生する。
【0010】
熱風発生炉226で発生した熱風は乾燥機204に供給され、更にこれを通過して、その後段の集塵機228を通ってそこで集塵され、再び熱風発生炉226に戻されるようになっている。
即ち、熱風発生炉226で発生した熱風は、乾燥機204,集塵機228を通る循環路230を、循環ファン232により循環流通させられるようになっている。
【0011】
この循環系では、乾燥機204において、外気がリークエアとして循環する熱風中に入り込んでいる。また熱風発生炉226では燃焼空気が定量供給されている。そのためこの例では熱風の一部を抜き取るべく、熱風発生炉226の下流部において循環路230から分岐した排ガス路234が設けられており、熱風の一部が熱風発生炉226にて燃焼脱臭された排ガスとして、排ガスファン240にて吸引され煙突236を通じて外部に放出される。
【0012】
この
図9で示された汚泥の処理設備にあっては、熱交換器237,238により、大気中に放出される排ガスの熱を利用して、熱風発生炉226のバーナ燃焼空気の温度を予め上昇させて、熱風発生炉226で使用する燃料の使用量の削減を図っているが、汚泥の処理設備を更に普及させていくためには、これまで以上に燃料の使用量を削減することが望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図9で示すように、乾燥機204が、乾燥容器として回転ドラム210を有し、回転ドラム210を回転させつつドラム内部の汚泥を乾燥させる形態である場合、回転ドラム(回転体)210とその端部を覆う端部部材(非回転部)212,212bとの間に隙間が生じる。また回転ドラム210内は循環ファン232によって負圧とされている。このため内外の差圧によって、回転ドラム210と端部部材212,212bとの間の隙間を通じて常温の外気が回転ドラム210の内部、即ち、循環路230を流通する熱風中に入り込んでしまう。この侵入空気の量が多いと、循環路230を通じて熱風発生炉226に戻される熱風の量も大となり、このことが熱風発生炉226における燃料使用量を増加させる要因となっていた。
【0015】
本発明は以上のような事情を背景とし、循環路を流通する熱風中に入り込む侵入空気の比率を適正に制御し、熱風発生炉における燃料使用量を削減することが可能な汚泥の処理設備を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
而して請求項1は、有機物含有汚泥を所定水分状態まで乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機における乾燥用の熱風を発生させる熱風発生炉と、該熱風発生炉で発生した前記熱風を、前記乾燥機を経由した後、該熱風発生炉に戻す循環路と、を備えた汚泥の処理設備であって、(a)外部の空気を熱風中に侵入させる空気侵入部に向けて、侵入空気を圧送する空気供給手段と、(b)該空気供給手段と前記空気侵入部との間に形成された供給路を流通する前記侵入空気の流量を測定する空気流量測定手段と、(c)前記供給路を流通する前記侵入空気の流量を変更する空気流量変更手段と、(d)前記乾燥機から排出された前記熱風の流量を測定する熱風流量測定手段と、(e)前記乾燥機から排出された前記熱風の流量に対する前記侵入空気の流量の比率が、予め予定している適正な値となるように前記空気流量変更手段を制御する制御部と、を備え、
前記空気侵入部が、前記乾燥機における乾燥容器としての回転ドラムと、該回転ドラムの端部開口を覆うように設置された端部部材との間に形成され、前記回転ドラムの内部と外部とを連通させた隙間であることを特徴とする。
【0017】
請求項2のものは、請求項1において、外部に放出される排ガスの熱を利用して前記侵入空気を予熱する空気予熱手段、を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、インバータ制御により回転数を変化させる循環ファン装置が前記循環路に設けられ、前記熱風流量測定手段が、該循環ファン装置のモータ回転数及び前記熱風の温度に基づいて前記熱風の流量を測定するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項
4のものは、請求項
1〜3の何れかにおいて、前記乾燥機には、前記隙間に通じる前記回転ドラムの外側空間を覆うように、周方向に延設されたカバーが設けられ、前記供給路を通じて前記侵入空気が該カバーの内部空間に導入されるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
図10は、汚泥の処理設備において、本発明者らが、循環路を流通する熱風の流量LRと乾燥機の回転ドラム内に侵入する外気(侵入空気)の流量LAとの比率(LA/LR)と、熱風発生炉における燃料(灯油)使用量との関係を調査した一例である。同図によれば、燃料の使用量は、回転ドラム内、即ち、熱風の循環系に侵入する侵入空気の比率に応じて変動し、侵入空気の比率(LA/LR)を所定の範囲(この例では10〜15%)とすれば、燃料使用量の削減が可能であることが認められる。
【0022】
同図において、侵入空気の比率(LA/LR)が大きい場合、循環路内を流通する熱風の量が増加する。熱風は一旦、熱風発生炉に戻され所定の温度にまで加熱されるため、侵入空気の比率が大きい場合には加熱対象となる熱風の量が増加し、燃料使用量は増大する。
一方、循環路を流通する熱風の一部は排ガスとして外部に放出されるため、侵入空気の比率が小さい場合には、循環路を流通する熱風の量が、汚泥の乾燥処理に必要な量を下回ってしまい、その結果、熱風を過度に加熱しなければならなくなって燃料使用量は増大する。
【0023】
本発明は、このような燃料使用量と、侵入空気の比率との関係に着目して、従来、成り行きで流入させていた侵入空気の比率を、適正な値となるよう制御するものである。具体的には、空気侵入部に向けて侵入空気を圧送する空気供給手段と、供給路を流通する侵入空気の流量を測定する空気流量測定手段と、供給路を流通する侵入空気の流量を変更する空気流量変更手段と、乾燥機から排出された熱風の流量を測定する熱風流量測定手段と、を設け、空気流量測定手段及び熱風流量測定手段から得られた熱風の流量に対する侵入空気の流量の比率が、予め予定している適正な値となるように、制御部により空気流量変更手段を制御するようになしたものである。
本発明によれば、侵入空気の流量の比率を燃料使用量の削減が見込める比率若しくはこれに近似する比率になるよう制御することで、熱風発生炉における燃料使用量を削減することができる。
【0024】
また本発明では、外部に放出される排ガスの熱を利用して侵入空気を予熱する空気予熱手段を備えておくことができる(請求項2)。このようにすることで、廃熱回収の効率を高めて、熱風発生炉における燃料使用量の一層の削減を図ることができる(請求項2)。
【0025】
本発明では、熱風の流量を検出する手段としてオリフィス式の流量計等を用いることができる。しかしながら乾燥機から排出された熱風中には汚泥からのダストが含まれていることから、流量計の内部配管にダストが侵入することによる測定精度の低下が生じることも考えられる。また、このような問題を防止するためのメンテナンス頻度が増加すれば、設備稼働率が低下する。
このため本発明では、循環路に直接、流量計を設けて流量を測定する構成に替えて、循環路に、インバータ制御により回転数を変化させる循環ファン装置を設け、熱風流量測定手段を、循環ファン装置のモータ回転数及び熱風の温度に基づいて、熱風の流量を測定するように構成することができる(請求項3)。
【0026】
汚泥を乾燥処理する手段として回転ドラム式の乾燥機を用いた場合、乾燥容器としての回転ドラムと、回転ドラムの端部開口を覆うように設置された端部部材との間に、回転ドラムの内部と外部とを連通させた隙間が生じ、この隙間から循環路内に外部の空気が侵入する。
本発明では、この隙間を空気侵入部とし、この隙間から侵入する侵入空気の比率を制御す
る。
【0027】
ここで、隙間に通じる回転ドラムの外側空間を覆うように、周方向に延設されたカバーを設け、カバーの内部空間に侵入空気を導入することができる(請求項
4)。このようにすることで、予定していない外気の侵入を防止するとともに、空気供給手段により強制給気された侵入空気を効率的に隙間に供給することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のような本発明によれば、循環路を流通する熱風中に入り込む侵入空気の比率を適正に制御し、熱風発生炉における燃料使用量を削減することが可能な汚泥の処理設備を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は本発明の一実施形態である汚泥の処理設備1の全体構成を示したものである。この処理設備1では排水処理に伴って発生する大量の有機汚泥が連続的に処理され炭化製品が生成される。
図中10は受入ホッパ(脱水汚泥貯留槽)であり、有機物を含有した下水汚泥を含水率70〜85%程度(通常は80%程度)まで脱水した脱水汚泥が、この受入ホッパ10に先ず受け入れられる。
ここに受け入れられた脱水汚泥は、中間貯留槽12を経て定量供給装置14,搬送装置15により乾燥機16へと送られ、そこで含水率35〜45%程度(通常は40%程度)まで乾燥処理される。
【0031】
乾燥機16では、
図2に示すように、乾燥容器としての円筒形状の回転ドラム18が、機台17上に回転自在に設けられている。詳しくは、回転ドラム18の外周面に軸直角方向の外向きに突出した円環状の一対の鍔状部19,19が設けられており、この鍔状部19,19が、機台17側に設けられた受ローラ21,21にて支持されている。
また、回転ドラム18の外周面にはスプロケット23が形成されており、スプロケット23と回転モータ25の出力軸とにチェーン26が巻き掛けられ、回転モータ25の回転駆動力が、回転ドラム18へと伝達されるようになっている。
【0032】
回転ドラム18の軸方向両側には、それぞれ回転ドラム18の端部開口を覆うように端部部材27,27bが取り付けられている。
前段から送られてきた脱水汚泥は、前端側の端部部材27を内外に貫通する投入機28を介して回転ドラム18内に導入される。一方、乾燥処理された汚泥(乾燥汚泥)は後端側の端部部材27bに設けられた下側の出口37から排出される。
また、前端側の端部部材27には図示を省略した熱風の取り込み口が設けられ、また後端側の端部部材27bには図示を省略した熱風の排出口が設けられ、熱風は回転ドラム18の内部を図中右方向に向かって流通する。
【0033】
投入機28は、
図2で示すように、貯留槽29とスクリューコンベア30とを有し、スクリューコンベア30の投入口31に貯留槽29が取り付けられている。
スクリューコンベア30において、32はスクリューコンベア30のスクリュー軸、33はスクリュー軸32から螺旋状に突出したスクリュー羽根、34はスクリュー軸32及びスクリュー羽根33を内部に収納した外筒部材、35はスクリュー軸32を回転駆動させる駆動モータである。
【0034】
スクリューコンベア30の排出側の端部は、端部部材27を貫通して乾燥機16の回転ドラム18内に挿入されており、前段の中間貯留槽12から送られてきた汚泥は、搬送装置15によりスクリューコンベア30直上に設けられた貯留槽29の開口に投入され、一旦、貯留槽29内に貯留されたのち、貯留槽29の下方に位置するスクリューコンベア30のスクリュー羽根33と33との間の溝に収容され、スクリュー軸32の回転に伴ない溝内部を前方に押出搬送され、回転ドラム18内部に投入される。この投入機28の内部には常時汚泥が充填されており、投入機28はマテリアルシールとしての働きも有している。尚、36は貯留槽29の内部に設けられた汚泥付着防止機構部で、スクリューコンベア30の回転と連動して先端の撹拌片36aを回転させる。
【0035】
図3は、乾燥機16の回転ドラム18内部の構成を示した図である。
同図に示しているように回転ドラム18は内部に撹拌軸20を有している。ここで撹拌軸20は回転ドラム18の中心から偏心した位置に設けられている。この撹拌軸20からは複数の撹拌羽根22が放射状に延び出している。
【0036】
一方、回転ドラム18の内周面には周方向に所定間隔で複数の板状のリフター24が、回転ドラム18と一体回転する状態で設けられている。
その結果として、回転ドラム18内部の汚泥(脱水汚泥)は、回転ドラム18の回転に伴ってリフター24により底部から上方に持ち上げられ、そしてその頂部近くで自重により落下する。落下した汚泥は、その下側に位置する撹拌羽根22の高速回転により細かく粉砕され、回転ドラム18の底部側へと落下する。
【0037】
回転ドラム18内部の汚泥はこのような撹拌作用を受けながら、その内部に導かれた乾燥用熱風にさらされて乾燥処理され、次第に水分が減少していく。
尚、この乾燥機16においては、撹拌羽根22による粉砕及びその際の飛散作用によって、汚泥が回転ドラム18内部を軸方向に漸次送られて行く。
【0038】
このようにして乾燥機16で乾燥処理された後の乾燥汚泥は、続いて、
図1に示す搬送装置38により炭化炉投入機39を経て炭化炉40へと搬送され、そこで乾留処理により汚泥の炭化が行われる。
【0039】
この炭化炉40は、乾燥汚泥を無酸素若しくは低酸素雰囲気下で脱水及び熱分解する炉で、
図6に示しているように炉体41の内部に乾留容器としての円筒形状の回転ドラム(レトルト)42が設けられており、前段の乾燥機16で乾燥処理された乾燥汚泥が回転ドラム42内部に投入される。
【0040】
投入された乾燥汚泥は、先ず炉体41内部に配設された助燃バーナ(外熱室用バーナ)43による外熱室44内部の雰囲気加熱によって加熱される。すると乾燥汚泥中に含まれていた可燃ガスが回転ドラム42に設けられた噴出しパイプ45を通じて外熱室44の雰囲気中に抜け出し、そしてこの可燃ガスが着火して、以後はその可燃ガスの燃焼により回転ドラム42内部の汚泥の加熱が行われる。この段階では助燃バーナ43は燃焼停止される。尚、49は、上記可燃ガスの燃焼に必要な補助燃焼用空気を外熱室44内部に導入するための開口である。
【0041】
図6に示しているように、炉体41の内部には外熱室44と仕切られた排ガス処理室46が設けられており、外熱室44からの排ガスはここに導かれる。この排ガス処理室46には排ガス処理室用バーナ47が設けられており、排ガス処理室46内に導かれた排ガス中の未燃ガスが、この排ガス処理室用バーナ47にて2次燃焼される。
【0042】
回転ドラム42内部の汚泥は、図中左端から回転ドラム42の回転とともに漸次図中右方向に移って行き(回転ドラム42には若干の勾配が設けてある)、そして最終的に乾留残渣(炭化製品)が回転ドラム42の図中右端の出口48、つまり炭化炉40から排出される。このような炭化操作によって、乾燥汚泥は炭素が約30〜50%、無機物が残りを占める成分の細孔を持つ炭化製品に変わる。
【0043】
そして、炭化処理が完了し炭化炉40から排出された絶乾状態の炭化製品は、高温のため、
図1で示すように、冷却機70に送られ常温近くまで冷却された後、炭化製品搬送コンベア71にて上方に搬送される。そして、自己発熱を抑制するため、加湿装置72にて水分量調整のための加湿(水噴霧)が行われ、その後、炭化製品は炭化製品貯留ホッパ74に貯留される。
【0044】
図1において、50は熱風発生炉で、ここで発生した約700℃の熱風が乾燥機16へと供給される。乾燥機16に供給された熱風は、汚泥の乾燥処理に用いられた後、循環路51上に設けられた集塵機52を通り、更に循環ファン装置54にて炭化炉排ガス熱交換器56,熱風炉排ガス熱交換器58を経て熱風発生炉50へと循環させられる。このように本例では、熱風発生炉50及び乾燥機16を含んで熱風の循環路51が構成されている。
乾燥機16の下流側に設けられた循環ファン装置54は、ファンを駆動するファンモータがインバータを備え、ファン回転数をインバータ制御により変更可能な構成とされており、ファン回転数を変更することで循環路51内を流通する熱風の流量を調整することができる。
尚、循環路51の、乾燥機16と循環ファン装置54との間には、熱風の温度を検出するための温度センサ53が設けられている。
【0045】
この循環系では、後述するように乾燥機16において外部の空気が、侵入空気として熱風中に入り込む構造であり、また熱風発生炉50では燃焼空気が定量供給されている。このため本例では熱風発生炉50から延び出した分岐路60を通じて熱風の一部が抜き取られ、熱風炉排ガス熱交換器58を経て排ガスファン62により煙突64から外部に放出される。即ち、乾燥機16において汚泥の乾燥処理に用いられた熱風の一部は、熱風発生炉50にて燃焼脱臭された後、煙突64を通じて外部に放出される。
他方、炭化炉40からは排気路66が延び出しており、炭化炉40からの排ガスが、排気路66を通じて排ガスファン62により炭化炉排ガス熱交換器56を経て煙突64から外部に放出される。
【0046】
図4は、乾燥機16の回転ドラム18前端側(
図2のA部)を拡大して示した図である。同図に示すように回転体としての回転ドラム18の前端と、回転ドラム18前端側の端部開口を覆うように設置された非回転の端部部材27との間には、回転ドラム18の内部と外部とを連通させる空気侵入部としての隙間88が形成されている。
本例では、隙間88に通じる回転ドラム18の外側空間を覆うように、回転ドラム18の外側で周方向に延設されたカバー89が設けられている。このカバー89は、側壁90,91とこれら側壁を連結する周壁96とを備え、端部部材27に隣接する側壁90が図示を省略した締結用のボルト・ナットで端部部材27と固定されている。またカバー89の端部部材27とは離間する側の側壁91には、耐熱性のシール布92の基端部が固着され、シール布92は先端部(遊端部)の裏面が回転ドラム18の外周面と向かい合うように折曲げられて配設されている。
【0047】
シール布92の先端部では、回転ドラム18とは反対側(図中上側)に、シール布92の浮き上がりを防止するシール布抑え93が周方向の複数箇所に設けられ、更にその外周側(図中上側)にはリング状のシールバンド94が配設されており、シールバンド94を縮径させることで、シール布92の先端部を回転ドラム18の外周面に押し当てるように当接させている。
このようにすることで、端部部材27に取り付けられたカバー89は回転ドラム18の回転を妨げることなく、またカバー89の内部空間95は隙間88と連通する一方、回転ドラム18の外周側空間とは区画される。
【0048】
一方、カバー89の周壁96には、侵入空気を供給するための供給用配管85が接続されている。
図5に示すように供給用配管85は、周方向略120°離間した3箇所でカバー89と接続され、供給路80を通じてカバー89の内部空間95には予熱された侵入空気が導入されるように構成されている。そして内部空間95に導入された侵入空気は、隙間88を通じて回転ドラム18の内部を流通する熱風に入り込む。
【0049】
以上、回転ドラム18前端側のカバー89の構成について説明したが、
図2に示すように、回転ドラム18の後端(図中右端)と、回転ドラム18の後端側の端部開口を覆うように設置された非回転の端部部材27bとの間にも、回転ドラム18の内部と外部とを連通させる空気侵入部としての隙間88bが形成されている。
そして隙間88bに通じる回転ドラム18の外側空間を覆うように、回転ドラム18の外側で周方向に延設されたカバー89bが設けられている。このカバー89bの構成は上述したカバー89と同様である。
そして、カバー89bについても、侵入空気を供給するための供給用配管85が周方向略120°離間した3箇所で接続され、カバー89bの内部空間95bには予熱された侵入空気が導入されるように構成されている。そして内部空間95bに導入された侵入空気は、隙間88bを通じて回転ドラム18の内部を流通する熱風に入り込む。
【0050】
次に、隙間88,88bを通じて熱風中に送り込まれる侵入空気を制御するための構成について説明する。
図1,7において、81は空気供給手段としての供給ファン装置で、供給ファン装置81からは供給路80を形成する供給用配管85が、乾燥機16の隙間88,88b(詳しくはカバー89,89b)に向けて延びだしており、供給ファン装置81により送り出された空気は、侵入空気として、供給ファン装置81と隙間88,88bとの間に形成された供給路80を、隙間88,88bに向けて流通する。
供給ファン装置81は、ファンを駆動するファンモータがインバータを備え、ファン回転数をインバータ制御により変更可能な構成とされており、ファン回転数を変更することで供給路80を流通する侵入空気の流量を変更することができる。即ち、本例では供給ファン装置81が空気流量変更手段を構成している。
【0051】
供給路80には空気予熱手段としての熱交換器82が設けられており、侵入空気は熱風発生炉50からの排ガス及び炭化炉40からの排ガスの熱を利用して、例えば280℃程度にまで予熱される。また、供給路80の、熱交換器82の下流側には、予熱された侵入空気の温度を検出するための温度センサ83が設けられている。
【0052】
図7において、84は制御部で、供給ファン装置81、侵入空気用の温度センサ83、循環ファン装置54、熱風用の温度センサ53がそれぞれ接続され、各ファン装置81,54からはファン回転数に関する信号が入力され、また各温度センサ83,53からはそれぞれ予熱された侵入空気の温度、熱風の温度に関する信号が入力される。また、制御部84からは供給ファン装置81に向けてファン回転数の変更信号が出力される。
【0053】
供給ファン装置81におけるファン回転数と、供給路80を流通する侵入空気の流量との間には一定の関係が認められるため、予め制御部84にファン回転数と侵入空気の流量との関係を記憶させておくことで、制御部84は、供給ファン装置81のファン回転数及び温度センサ83により検出した侵入空気の温度に基づいて、乾燥機16の隙間88,88bに供給される予熱された侵入空気の、ノルマル換算された流量LAを測定することができる。即ち、本例では供給ファン装置81と温度センサ83と制御部84とが空気流量測定手段を構成している。
【0054】
また、同様に制御部84では、循環ファン装置54のファン回転数及び温度センサ53により検出した熱風の温度に基づいて、循環路51を流通する熱風の、ノルマル換算された流量LRを測定することができる。即ち、本例では循環ファン装置54と温度センサ53と制御部84とが熱風流量測定手段を構成している。
【0055】
一方、制御部84には、燃料使用量の削減が見込める侵入空気の適正比率が予め設定されており、制御部84は、乾燥機16から排出された熱風の流量LRと、隙間88,88bから循環路51に侵入する侵入空気の流量LAとの比率(LA/LR)が、予め予定している適正な比率となるように供給ファン装置81のファン回転数を制御する。
即ち、制御部84は、比率(LA/LR)が予め予定している適正な値よりも高ければ、供給ファン装置81の回転数を低くすることで隙間88,88bに向けて送られる侵入空気の流量を減少させ、また反対に比率(LA/LR)が予め予定している適正な値よりも低ければ、供給ファン装置81の回転数を高くすることで侵入空気の流量を増加させる。
【0056】
以上のような本実施形態によれば、侵入空気の流量の比率を燃料使用量の削減が見込める比率若しくはこれに近似する比率になるよう制御することで、熱風発生炉50における燃料使用量を削減することができる。
【0057】
また本実施形態では、外部に放出される排ガスの熱を利用して侵入空気を予熱する熱交換器82を備えており、廃熱回収の効率を高めて、熱風発生炉50における燃料使用量を一層削減することができる。
【0058】
本実施形態では、循環路51にインバータ制御により回転数を変化させる循環ファン装置54を設け、循環ファン装置54のモータ回転数及び熱風の温度に基づいて熱風の流量を測定するように構成しているため、流量計を不要とすることができる。
【0059】
本実施形態では、乾燥機16に形成された隙間88,88bに通じる回転ドラム18の外側空間を覆うように、周方向に延設されたカバー89,89bを設け、カバー89,89bの内部空間95,95bに侵入空気を導入することで、隙間88,88bへの、予定していない外気の侵入を防止するとともに、供給ファン装置81により強制給気された侵入空気(本例では予熱された侵入空気)を効率的に隙間88,88bに供給することができる。
【0060】
図8は、本発明の他の実施形態の要部を示した図である。本例では、侵入空気の供給路80上にダンパ装置97が、またダンパ装置97の下流側に流量計98が設けられている。また、循環路51上には流量計99が設けられている。これらダンパ装置97及び流量計98,99は制御部84に接続されている。尚、流量計98,99としては、流路を形成する配管の途中にオリフィスプレートを設けるオリフィス式の流量計を用いることができる。
【0061】
この例では、流量計98により検出された侵入空気の流量及び温度センサ83により検出した侵入空気の温度に基づいて、侵入空気のノルマル換算された流量LAを測定することができる。即ち、本例では流量計98と温度センサ83と制御部84とが空気流量測定手段を構成している。
また、制御部84では、流量計99により検出された熱風の流量及び温度センサ53により検出した熱風温度に基づいて、循環路51を流通する熱風のノルマル換算された流量LRを測定することができる。即ち、本例では流量計99と温度センサ53と制御部84とが熱風流量測定手段を構成している。
また本例では、供給路80上に設けられたダンパ装置97が流通する侵入空気の流量を変更する空気流量変更手段を構成しており、制御部84は、乾燥機16から排出された熱風の流量LRに対する侵入空気の流量LAの比率(LA/LR)が、予め予定している適正な値となるようにダンパ装置97のダンパ開度を制御する。
このような構成であっても熱風中に入り込む侵入空気の比率を適正に制御し、熱風発生炉50における燃料使用量を削減することができる。
【0062】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。場合によっては供給路で予熱された侵入空気を、乾燥機16の隙間88,88b以外の空気侵入部に向けて供給することも可能である。また予熱された侵入空気の一部を炭化炉40の開口49(
図6参照)を通じて炭化炉内に供給して補助燃焼空気として利用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。