特許第6801306号(P6801306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801306
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】シールドフラットケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20201207BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20201207BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20201207BHJP
   H01R 12/62 20110101ALN20201207BHJP
【FI】
   H01B7/08
   H01B7/00 306
   H01B7/18 D
   !H01R12/62
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-169599(P2016-169599)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-37288(P2018-37288A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 龍男
(72)【発明者】
【氏名】御影 勝成
(72)【発明者】
【氏名】小山 恵司
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−133781(JP,A)
【文献】 特開2013−008626(JP,A)
【文献】 特開2007−095435(JP,A)
【文献】 特開2003−151371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H01B 7/00
H01B 7/18
H01R 12/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の平形導体が平行に並べられて絶縁フィルムで被覆され、少なくとも一方の端部で前記平形導体が露出されケーブル端末部とされたシールドフラットケーブルであって、
前記絶縁フィルムがシールドフィルムで覆われており、
該シールドフィルムには、前記シールドフィルムの外側に延出した延出部を有するグランド導体が電気的に接触されており、
前記延出部が、前記平形導体が露出された露出部の側方に位置し、
前記延出部が、前記平形導体の接触接続部となる面と面一であり、
前記グランド導体が、前記シールドフィルムとの接触部と、該接触部から前記平形導体の両外側に延出されるとともに前記一方の端部の側に延出された延出部と、を含むコの字状であり、
前記平形導体の両外側に配置される前記グランド導体の延出部の先端面が、前記平形導体の先端面と面一であるシールドフラットケーブル。
【請求項2】
前記グランド導体が、前記絶縁フィルムと前記シールドフィルムとの間に位置する請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項3】
前記グランド導体に樹脂フィルムが貼られ、前記グランド導体は前記樹脂フィルムを介して前記絶縁フィルムに貼られている請求項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項4】
前記グランド導体が、前記シールドフィルムの外側に設けられている請求項1または2に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項5】
前記グランド導体および前記シールドフィルムの外側に、他の絶縁フィルムが設けられている請求項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項6】
前記平形導体が端部で全面が露出されている請求項1からのいずれかに記載のシールドフラットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の導体を平行に並べて絶縁フィルムで被覆し、その外側を共通のシールドフィルムで覆って、基板と電気的に接続される端末部を備えるシールドフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(FFC)は、CDやDVDプレーヤ等のAV機器、コピー機やプリンタ等のOA機器、その他電子・情報機器の内部配線等の多くの分野で、省スペース化と簡便な接続を目的として用いられている。また、機器の使用周波数が高くなるとノイズの影響が大きくなることから、シールドされたシールドフラットケーブルが用いられる。
【0003】
シールドフラットケーブルは、端部にコネクタに接続される端末部を有している。この端末部で、シールドフィルムを電気的にコネクタに備えられたグランドパッドへ接地接続するための構造(グランド導体)が必要となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−153191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FFCが接続される基板では、平行に並べられている複数本の平形導体を露出させた接触接続部が接続される接触パッドと、シールドフィルムが電気的に接地接続されるグランドパッドの厚み方向の高さ位置がほぼ同じとなっている。しかしながら、特許文献1のFFCはコネクタに接続されるものであって、接触接続部とグランド導体とでは厚み方向の高さ位置が異なっている。このFFCでは、上述の接触パッドとグランドパッドを有する基板に接続するときにグランド導体とグランドパッドとの接続が不安定になる。
【0006】
本発明は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、複数本の平方導体とともにグランド導体を、基板側のパッドに確実に接続することができるシールドフラットケーブルを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシールドフラットケーブルは、複数本の平形導体が平行に並べられて絶縁フィルムで被覆され、少なくとも一方の端部で前記平形導体が露出されてケーブル端末部とされたシールドフラットケーブルであって、前記絶縁フィルムがシールドフィルムで覆われており、該シールドフィルムには、前記シールドフィルムの外側に延出した延出部を有するグランド導体が電気的に接触されており、前記延出部は、前記平形導体が露出された露出部の側方に位置し、前記延出部は、前記平形導体の接触接続部となる面と面一であり、前記グランド導体が、前記シールドフィルムとの接触部と、該接触部から前記平形導体の両外側に延出されるとともに前記一方の端部の側に延出された延出部と、を含むコの字状であり、前記平形導体の両外側に配置される前記グランド導体の延出部の先端面が、前記平形導体の先端面と面一である
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グランド導体を備えることで、グランド導体が平形導体との段差を吸収して、基板のグランドパッドと確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。
図2図1の矢視Aから見た背面図である。
図3図1の矢視Bから見た側面図である。
図4】シールドフィルムの概略を示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態によるシールドフラットケーブルと基板との接続を説明するための斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。
図7図6の矢視Cから見た背面図である。
図8図6の矢視Dから見た側面図である。
図9図6の矢視Eから見た断面図である。
図10】本発明の第3の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す断面図である。
図11】本発明の第3の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。
図12図11の矢視Cから見た背面図である。
図13図11の矢視Dから見た側面図である。
図14】本発明の第1,3実施形態に係るグランド導体の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本願発明の実施形態の説明)
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本願のシールドフラットケーブルは、複数本の平形導体が平行に並べられて絶縁フィルムで被覆され、少なくとも一方の端部で前記平形導体が露出されケーブル端末部とされたシールドフラットケーブルであって、前記絶縁フィルムがシールドフィルムで覆われており、該シールドフィルムには、前記シールドフィルムの外側に延出した延出部を有するグランド導体が電気的に接触されており、前記延出部は、前記平形導体が露出された露出部の側方に、前記延出部が位置し、前記延出部は、前記平形導体の接触接続部となる面と面一であり、前記グランド導体が、前記シールドフィルムとの接触部と、該接触部から前記平形導体の両外側に延出されるとともに前記一方の端部の側に延出された延出部と、を含むコの字状であり、前記平形導体の両外側に配置される前記グランド導体の延出部の先端面が、前記平形導体の先端面と面一である。このようにグランド導体を備えることで、グランド導体が平形導体との段差を吸収して、基板のグランドパッドと確実に接続することができる。また、グランド導体をコの字状にすることによって、グランド導体の延出部を平形導体の露出部の側方に位置させることができ、平形導体とグランド導体をシールドフラットケーブルの一方の端部で基板のパッドと接続することが可能になる。
【0012】
)上記()のシールドフラットケーブルにおいて、前記グランド導体が、前記絶縁フィルムと前記シールドフィルムとの間に位置する。グランド導体を絶縁フィルムとシールドフィルムとの間に位置させることによって、グランド導体とシールドフィルムとの電気的接続、および、グランド導体の保持を確実に行うことができ、所定の位置にグランド導体を容易に設けることができる。
【0013】
)上記()のシールドフラットケーブルにおいて、前記グランド導体に樹脂フィルムが貼られ、前記グランド導体は前記樹脂フィルムを介して前記絶縁フィルムに貼られている。この構成によれば、グランド導体の上からシールドフィルムを貼り合わせても、延出部の導体が平形導体と並列され、基板の接触パッドに平形導体が接続されると同時に基板のグランドパッドにグランド導体を接続することができる。
【0014】
)上記(1)または(2)のシールドフラットケーブルにおいて、前記グランド導体が、前記シールドフィルムの外側に設けられている。グランド導体をシールドフィルムの外側に設けることによって、グランド導体がシールドフラットケーブルに取り付けやすくなる。
【0015】
)上記()のシールドフラットケーブルにおいて、前記グランド導体および前記シールドフィルムの外側に、他の絶縁フィルムが設けられている。グランド導体およびシールドフィルムの外側に、他の絶縁フィルムを設けることによって、グランド導体の保持を確実に行うことができる。
【0016】
)上記(1)から()のいずれかのシールドフラットケーブルにおいて、前記平形導体が端部で全面が露出されている。平形導体端部の全面を露出させることで基板への接続作業性を向上させることができる。
【0017】
(本願発明の実施形態の詳細)
次に、図面を参照しながら、本発明のシールドフラットケーブルに係る好適な実施形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。図2は、図1の矢視Aから見た背面図である。図3は、図1の矢視Bから見た側面図である。図4は、シールドフィルムの概略を示す断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態によるシールドフラットケーブルと基板との接続を説明するための斜視図である。
【0019】
図1で示すように、本実施形態によるシールドフラットケーブル10は、複数本の平形導体11、絶縁フィルム12,13、シールドフィルム14、および、グランド導体15から構成される。シールドフラットケーブル10は、例えば、断面が平形形状でX軸方向に延びる平形導体11をY軸方向に複数本平行に並べ、平形導体11の並列面(XY平面)と直交する方向(Z方向)の両面を絶縁フィルム12,13により挟んで被覆したフラットケーブルが用いられる。シールドフラットケーブル10の少なくとも一方の端部は、図中のZ軸方向上側にある絶縁フィルム12を除去して、あるいは端部には絶縁フィルム12を始めから存在させず、接触接続部となる部分を露出させてケーブル端末部16としている。
【0020】
絶縁フィルム13の図中のZ軸方向下側の面は、例えば、図1のようにシールドフィルム14で覆ってシールドする。シールドフィルム14は、例えば、図4で示すように、樹脂層14a、金属層14b、導電性接着層14cの3層形状からなるものが用いられ、その導電性接着層14cを内側にして絶縁フィルム12,13の外面に貼り付けられている。
【0021】
図2に示すように、グランド導体15の一部が、シールドフィルム14の端部と重なるように貼り付けられている。そして、シールドフィルム14の金属層14bとグランド導体15とがシールドフィルムの導電性接着層14Cを介して電気的に接続されている。このように、本実施形態では、グランド導体15がシールドフィルム14の内側に設けられているが、グランド導体15がシールドフィルム14の外側に設けられていてもよく、この場合、シールドフィルム14のグランド導体15と重なる部分の樹脂層14aが取り除かれて、別途、導電性接着剤によって、シールドフィルム14の金属層14bとグランド導体15とを電気的に接続するとよい。
【0022】
信号用の平形導体11は、例えば、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の導電性金属箔からなり、信号伝送の電流値にもよるが、ケーブルの摺動性等を考慮すると、例えば、厚さtが12μm〜50μmで、幅Wが0.3mm程度で、ピッチPが0.5mmで配列される。この平形導体11の配列状態は、絶縁フィルム12,13により挟まれて保持される。
【0023】
絶縁フィルム12,13は、その内面(接合面)に接着層(図示省略)を有する。絶縁フィルム12,13自体は、柔軟性に優れた樹脂材料が使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の汎用性のある樹脂フィルムを用いることができる。この樹脂フィルムの厚さとしては、9μm〜50μmのものが用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。なお、これらの樹脂フィルムのうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂の使用が好ましい。
【0024】
なお、上記の接着層は、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂に難燃剤を添加した接着剤などが挙げられる。この接着層は、10μm〜100μmで形成される。絶縁フィルム12,13は、平形導体11を挟んで接着層を向き合わせ、加熱ローラで熱を加えながら接合することにより貼り合わされ一体化される。
【0025】
シールドフィルム14は、全体の厚みが30μm程度で、その貼り付けの形態としては、図3に示すように、グランド導体15と絶縁フィルム13に貼付され、平形導体11の露出面と反対側の片面だけに設けられている。これ以外に、1枚の幅広のフィルムで全体を包むようにして巻き付けて全体をシールドしてもよいし、細幅の2枚のシールドフィルムで絶縁フィルム12,13を上下から挟むのでもよい。2枚のシールドフィルムで絶縁フィルム(フラットケーブル)を挟む場合は、その耳部を接着してフラットケーブルの外面を電気的に閉じ、ケーブル側面を完全に覆ってシールドするようにしてもよい。あるいは、テープ状のものをフラットケーブルに螺旋状に巻きつけてもよい。
【0026】
シールドフィルム14は、図4に示すように、例えば、フィルム基材となる樹脂層14aと、この樹脂層14aに銀等の導電性金属を蒸着または金属箔(アルミニウム箔や銅箔)を樹脂層14aに貼り合わせたものなどで形成された金属層14bと、金属層14b上に導電性接着剤を塗布した導電性接着層14cとの3層構造のものが使用される。樹脂層14aには、ポリエチレンテレフタレート等の厚さ9μm程度の樹脂フィルムが用いられる。導電性接着層14cは、絶縁フィルム12への貼り付けの他に、グランド導体15との電気的導通を得てシールド機能を生じさせるもので、金属層14bの銀蒸着面に、例えば、銀ペースト等を塗布して形成される。
【0027】
グランド導体15は、例えば、厚さ50μm〜150μmの錫メッキ軟銅箔等の導電性金属箔で形成されている。図1図3に示すように、グランド導体15は、略T字形状の平板の両翼部が折り曲げられて、断面視で鍔のある蓋状にされ、平形導体11の露出部の側方(幅方向(Y軸方向)の両側)に位置し、平形導体11の接触接続部となる面と面一(FL)となる延出部17が形成されている。
【0028】
グランド導体15は、略T字型形状の基部が絶縁フィルム13とシールドフィルム14との間に位置している。そのため、絶縁フィルム13上にグランド導体15を配置し、グランド導体15の上からシールドフィルム14の導電性接着層14cを内側にして設けることにより、シールドフィルム14とグランド導体15との電気的接続、および、グランド導体15の保持を行うことができる。なお、本実施形態では、必要に応じて、絶縁フィルム13と絶縁フィルム13上のグランド導体15とを接着剤によって接着することによって、グランド導体15をより確実に絶縁フィルム13上に固定することができる。
【0029】
図5には、本実施形態に係るシールドフラットケーブル10が電気的に接続される基板50が示されている。基板50には、平形導体11の接触接続部が接触する接続パッド51と接地用のグランドパッド52が形成されている。接続パッド51とグランドパッド52とは略同一面に形成されており、シールドフラットケーブル10を矢印CO方向に移動させて、基板50に接触接続させたとき、平形導体11は接続パッド51と、延出部17はグランドパッド52とそれぞれ電気的に接触する。ここで、延出部17は確実な接地をとるために導電性接着剤(銀ペーストを接着剤に練り込んだもの等)、ハンダ、銀ろう付け等でグランドパッド52に接合されるが、接合手段はインピーダンスを考慮して適宜選択される。
【0030】
ケーブル端末部16において、平形導体11には、耐腐食性、半田付け容易性を目的として錫メッキを施すことが好ましい。また、露出された接触端子部には、必要に応じ、ウィスカー発生を抑制するために、金メッキを施すなどの種々の対策を講じることができる。また、グランド導体15においても、シールドフィルム14との電気接触の確保し、酸化防止や腐食防止のために錫メッキを施すことが好ましい。
【0031】
本実施形態によれば、グランド導体15は、略T字形状に金属箔を打ち抜き、T字形状の両翼の延出部17を曲げ加工することによって製作することができる。また、グランド導体15をシールドフィルム14の内側に設け、平形導体の基板との接触接続面と面一な接地面とすることで、グランド導体15をグランドパッド52に確実に接続することができる。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、グランド導体を薄く形成することによって、薄型のケーブルを提供することができ、省スペース化に貢献する。さらに、本実施形態では、グランド導体に金メッキ等をあえて使用する必要はなく、低コスト化に貢献する。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図面を参照しながら、本発明のシールドフラットケーブルに係る第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。図7は、図6の矢視Cから見た背面図である。図8は、図6の矢視Dから見た側面図である。そして、図9は、図6の矢視Eから見た断面図である。本実施形態は第1の実施形態とはグランド導体の形状と配置が異なっており、その他の構成については第1の実施形態と同様であるため、異なっている構成についてのみ説明する。
【0034】
図7および図9で示すように、本実施形態に係るシールドフラットケーブル20のグランド導体25は、薄板の導電性金属箔がコの字状に形成され、シールドフィルム14の幅方向を超えた外側に平形導体11の長さ方向に延出された延出部27を備えている。図6および図8に示すように、延出部27は、平形導体11の露出部の側方(幅方向(Y軸方向)の両側)に位置し、平形導体11の接触接続部となる面と面一(FL)となるようにZ方向に曲げられて、面一(FL)に沿った平面が形成されている。
【0035】
また、図7図8を参照すると、グランド導体25は、シールドフィルム14と接触する部分がシールドフィルム14の外側に位置している。シールドフィルム14は、導電性のない接着層で絶縁フィルム13上に貼り付いている。シールドフィルム14のグランド導体15と重なる側(外側)は、導電性接着剤によってシールドフィルム14の金属層14bとグランド導体15とを電気的に接続している。
【0036】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、グランド導体25をケーブルの外側に備え、平形導体の基板との接触接続面と面一な接地面とすることで、グランド導体25をグランドパッド52に確実に接続することができる。
【0037】
さらに、図10に示すように、本実施形態に係るシールドフラットケーブル30では絶縁フィルム31がシールドフィルム14の導電性接着層と貼り合わされる。絶縁フィルム31は、シールドフィルム14との接合面に接着層を有してもよい。絶縁フィルム31には、柔軟性に優れた樹脂材料が使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の汎用性のある樹脂フィルムを用いることができる。
【0038】
グランド導体15(25)は、シールドフィルム14と絶縁フィルム31との間に挟まれて固定される。このとき、グランド導体15(25)を予めシールドフィルム14に接着もしくは貼付しておいてもよいし、もしくは、シールドフィルム14と絶縁フィルム31とを接着するときにグランド導体15(25)を挟み込んで固定してもよい。本実施形態によれば、所定の位置にグランド導体15(25)を容易に設けることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、図面を参照しながら、本発明のシールドフラットケーブルに係る第3の実施形態について説明する。図11は、本発明の第3の実施形態によるシールドフラットケーブルの概略を示す斜視図である。図12は、図11の矢視Cから見た背面図である。図13は、図11の矢視Dから見た側面図である。本実施形態は第2の実施形態とは平形導体の端部が異なっているとともに、第1の実施形態と同様にグランド導体が、絶縁フィルムとシールドフィルムとの間に位置しており、その他の構成については第2の実施形態と同様であるため、異なっている構成についてのみ説明する。
【0040】
図11から図13で示すように、本実施形態では、シールドフラットケーブル40の端部で平形導体11を全面露出してもよい。絶縁フィルム12および絶縁フィルム13を端部で除去することで平形導体11を全面露出することができる。または絶縁フィルム12および絶縁フィルム13を平形導体11に貼り合わせる時に、ケーブル端部となる部分の平形導体11にはそれらの絶縁フィルム12,13を貼り合わせないものでもよい。本実施形態に係るシールドフラットケーブル40のグランド導体35は、第2の実施形態と同様に、薄板の導電性金属箔がコの字状に形成され、シールドフィルム14の幅方向を超えた外側に平形導体11の長さ方向に延出された延出部37を備えている。
【0041】
(グランド導体の変形例)
グランド導体は、図14示すように、銅やアルミニウム等の金属導体43に樹脂フィルム42を貼って屈曲や折り曲げに対する強度を強めたものでもよい。延出部41で導体を樹脂フィルムに巻き付けて両面に導体があるようにすると、樹脂フィルムをケーブルの絶縁フィルムに貼って、グランド導体の上からシールドフィルムを貼り合わせても、延出部の導体が平形導体と並列される。これにより、基板の接触パッドに平形導体が接続されると同時に基板のグランドパッドにグランド導体が接続される。なお、図14に示すグランド導体は、グランド導体を、絶縁フィルムとシールドフィルムとの間に位置させた第1,3実施形態で用いられる。
【0042】
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、グランド導体15(25)をシールドフィルム14に固着するにあたっては、グランド導体15(25)のシールドフィルム14との接続部分に、予め導電性の両面接着テープを貼付したり、もしくは、導電性の接着剤を塗布したりしておいてもよい。さらに、ケーブル端末部16の補強を行うために、平形導体11の露出面とは反対側の除去されていない絶縁フィルム13の外側に補強テープを貼り付けるようにしてもよい。また、第2の実施形態において、平形導体は端部で全面が露出されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10,20,30、40…シールドフラットケーブル、11…平形導体、12,13…絶縁フィルム、14…シールドフィルム、15、25、35…グランド導体、16…ケーブル端末部、17,27,37,41…延出部、31…他の絶縁フィルム、42…樹脂フィルム、43…金属導体、50…基板、51…接続パッド、52…グランドパッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14