(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
<画像形成装置の構成>
まず、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成例を示した図である。
【0011】
図示するように、本実施の形態に係る画像形成装置10を構成する各機能部は、バス101に接続され、このバス101を介してデータの授受を行う。
【0012】
表示部106は、画像形成装置10に関する各種情報を表示する。例えば、表示部106は、ユーザが画像形成装置10を操作する際に、ユーザが選択する項目を複数表示する液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。本実施の形態における表示部106の表面にはタッチパネルセンサが配置されており、タッチパネルセンサにユーザの指が触れることで特定の項目の選択が検知される。本実施の形態の場合、表示部106は、操作パネルの中央に配置される。
【0013】
操作受付部107は、ユーザからの操作を受け付ける。
図2は、操作受付部107をフロント側から眺めた場合の一例を示す図である。
図2に示すように、操作受付部107は、画像形成装置10のフロント側(前面側)に設けられる操作パネル上に配列される物理的なボタン、スイッチその他の可動部材、表示部106に表示される操作ボタンも含む。操作受付部107は、例えばコピー開始ボタン、スキャンボタン、IP設定ボタンを含む。なお、操作パネルの位置は画像形成装置10のフロント側に限らない。
【0014】
図2は、操作パネルに配置される操作受付部107の一部のみを簡略的に表している。個々の操作受付部107は、操作パネル上に独立に配置されており、いずれもユーザによるタッチ操作又は押し下げ操作を受け付ける。本実施の形態における操作受付部107には、画像形成装置10を制御するための何らかの機能が割り当てられている。
【0015】
画像読み取り部108は、いわゆるスキャナ装置により構成され、セットされた原稿上の画像を読み取り、原稿の読み取り画像(画像データ)を生成する。
【0016】
画像形成手段の一例としての画像形成部109は、例えば電子写真方式を用い、画像データに応じたトナー像を記録材の一例である用紙に形成する。なお、画像形成部109では、インクジェットヘッド方式などの他の方式を用いて画像形成を行ってもよい。
【0017】
通信部110は、通信回線(不図示)に接続され、通信回線に接続されている他の装置との通信を行う通信インターフェースとして機能する。通信インターフェースには、例えば有線LANのインターフェース、無線LANのインターフェースがある。
画像処理部111は、画像データが表す画像に色補正や階調補正などの画像処理を施す。
【0018】
視線検知手段の一例としての視線検知センサ112は、画像形成装置10を操作するユーザの視線を検知する。この視線検知センサ112は、
図2に示すように、画像形成装置10のフロント上部に設置される。
図2に示す視線検知センサ112の配置は一例であり、操作パネルに配置された操作受付部107を操作するユーザの視線方向を検知できればその配置位置は任意である。
【0019】
視線検知センサ112は、例えば表示部106の周辺(例えば左辺、右辺、上辺、下辺のうちのいずれか)に配置する。視線検知センサ112には、例えばユーザの顔に向けて赤外線を照射する赤外線LED(Light emitting diode)と赤外線で照射されたユーザの顔を撮影する赤外線カメラとで構成されるセンサを使用する。赤外線を使用するセンサは、赤外線LEDの照射によって生じる反射光の角膜上における位置(角膜反射)を基準点に使用し、角膜反射の位置に対する瞳孔の位置をユーザの視線が向けられている向きの情報(以下、ユーザ視線情報と称する)として出力する。
【0020】
視線検知センサ112には、例えば可視光を撮影するカメラで構成されるセンサを使用してもよい。可視光を使用するセンサは、撮影されたユーザの目頭を基準点に用い、目頭に対する虹彩の位置をユーザ視線情報として出力する。なお、左目の虹彩が目頭から離れていることはユーザが左側を見ていることを示し、左目の虹彩と目頭が近いことはユーザが右側を見ていることを示す。
【0021】
記憶部105は、ハードディスク装置などの記憶装置により構成され、例えば通信部110によって受信されたデータ、画像読み取り部108によって生成された読み取り画像(画像データ)を記憶する。また、記憶部105には、画像形成装置10がガイド情報を表示する際に参照する位置情報テーブル62A(
図4)や使用頻度情報テーブル62B(
図5)も記憶される。これらテーブルの詳細については後述する。
【0022】
制御手段の一例としての制御部60は、画像形成装置10の各部を制御する。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104により構成される。
【0023】
ROM103は、CPU102により実行されるプログラムを記憶する。CPU102は、ROM103に記憶されているプログラムを読み出し、RAM104を作業エリアに使用して、プログラムを実行する。CPU102によりプログラムが実行されると、CPU102により画像形成装置10の各部が制御され、画像形成装置10は、例えば用紙に画像を形成したり、原稿を読み取って原稿の読み取り画像を生成したりする。
【0024】
<制御部の機能構成>
次に、制御部60の機能構成について説明する。
図3は、制御部60の機能構成の一例を示したブロック図である。制御部60は、視線検知部61、表示制御部62、使用頻度管理部63、ユーザ認識部64を有する。
【0025】
視線検知部61は、視線検知センサ112からユーザ視線情報を取得する。視線検知部61は、ユーザ視線情報を操作パネル上の座標情報(以下、視線の位置情報と称する)に変換する。ここでの視線の位置情報の座標系は、後述する位置情報テーブル62Aに記録されている位置情報の座標系と同じである。もっとも、2つの座標系を変換する関係が既知であれば、2つの座標系は異なっていてもよい。
【0026】
表示制御部62は、視線の位置情報に対応する操作受付部107を特定し、特定された操作受付部107に対応するガイド情報を表示部106に表示させる。本実施の形態の場合、表示制御部62は、位置情報テーブル62Aと使用頻度情報テーブル62Bを用い、特定された操作受付部107に対応するガイド情報を取得する。
図4は、位置情報テーブル62Aのデータ構造例を示す図である。
図5は、使用頻度情報テーブルのデータ構造例を示す図である。
【0027】
位置情報テーブル62Aには、ガイド情報が用意されている操作受付部107について、対応する機能、操作パネル上の位置情報、検出に使用される時間(以下、検出時間と称する)、表示部106に表示されるガイド情報が対応付けられて記録されている。また、これらの対応関係は、ユーザ毎に記録されている。
【0028】
前述したように、位置情報テーブル62Aに記録されている機能は、操作パネル上に配置される全ての操作受付部107に対応している必要はない。つまり、位置情報テーブル62Aに記録されている対応関係は、一部の操作受付部107についての対応関係でよい。
図4には、操作受付部107に対応づけられている機能の例として、コピー開始機能、スキャン開始機能、IP設定機能を示す。
【0029】
操作パネル上の位置情報は、XY座標系の座標値(X,Y)と範囲(Z)とによって規定される。XY座標系の座標値(X,Y)は、操作受付部107の中心位置を与える。範囲(Z)は、例えば座標値(X,Y)を中心とする円の半径を与える。
図6は、位置情報テーブル62Aで規定された位置座標と視線の位置情報の位置関係を説明する。座標値(X,Y)は、操作受付部107に対応するボタンの中心位置71であり、範囲(Z)は、操作受付部107に対応するボタンを含む円72の半径73である。
【0030】
範囲(Z)は、操作受付部107に対応するボタンを含む一方、隣接する他のボタンの領域を規定する範囲(Z)と重ならないように規定される。なお、本実施の形態では、ボタンが存在する範囲の外縁を概略円により規定しているが、他の形状により規定してもよい。例えばボタンの存在範囲の外縁を概略四角形により規定してもよい。この場合、範囲は中心位置71からX方向の長さとY方向の長さによって規定する。ちなみに、
図6は、視線検知部61から出力される視線の位置情報74に当たる座標値(x,y)が円72の内側に含まれる状態を表している。
【0031】
図4の説明に戻る。検出時間は、ユーザの視線が継続的に特定の又はある1つの操作受付部107に向けられていると判定するための閾値を与える。換言すると、検出時間は、操作受付部107が注視されている状態と判定するために満たすべき条件、すなわち視線の位置情報74がある操作受付部107に対応する操作パネル上の位置情報に含まれる状態(例えば円72に含まれる状態)が継続すべき時間を与える。視線検知部61から出力される視線の位置情報74が対応する検出時間を経過する場合、ガイド情報の表示が許可される。
【0032】
本実施の形態の場合、1つの操作受付部107に対する検出時間は、操作受付部107の使用頻度の程度に応じて複数設けられる。本実施の形態の場合、使用頻度の程度は「低い」、「中程度」、「高い」の3つである。使用頻度の程度は1種類でも、2種類でも、4種類以上でも構わない。ガイド表示の必要性は、操作受付部107の使用頻度が低いほど大きくなる。このため、使用頻度が低い場合の検出時間t11は、中程度の場合の検出時間t12より短く(t11<t12)、中程度の場合の検出時間t12は、使用頻度が高い場合の検出時間t13より短く設定される(t12<t13)。
【0033】
ガイド情報は、個々の操作受付部107に割り当てられている機能の内容、操作の際の注意事項、操作手順その他の情報のいずれか又は組み合わせである。ガイド情報は、1つの操作受付部107について1つ又は複数用意される。本実施の形態では、使用頻度の程度に応じて「詳細」、「通常」、「簡易」の3種類のガイド情報が用意される。ここで、「詳細」、「通常」、「簡易」の違いは、ガイド情報に含まれる情報の個数、情報の表現様式、説明文の長さの違いなどによる。
【0034】
一般には、使用頻度が高い操作受付部107ほど簡易なガイド情報を割り当て、使用頻度が低い操作受付部107には詳細なガイド情報を割り当てる。使用頻度が高い操作受付部107については、その機能や操作方法をユーザが良く知っているのに対し、使用頻度の低い操作受付部107については、その機能や操作方法をユーザが知らないことが多いためである。なお、用意されるガイド情報の数と使用頻度の分類の数とは同じでもよいが、異なっていてもよい。例えば使用頻度が3種類あっても、ある操作受付部107に対して用意されるガイド情報の個数は2種類でもよい。
【0035】
本実施の形態では、1つの操作受付部107に対して、位置情報と、検出時間と、ガイド情報とを対応付けているが、もっともシンプルな制御例では、1つの操作受付部107に対して位置情報と1種類のガイド情報のみを対応づける形態でもよい。なお、本実施の形態のように、使用頻度に応じてガイド情報の表示内容を切り替えれば、ユーザの使用実態と提供されるガイド情報の内容とが合致し、ユーザにとっての操作性が改善される。
【0036】
また、本実施の形態では、1つの操作受付部107に対して、位置情報とガイド情報と検出時間を対応付けているが、使用頻度によらず1種類の検出時間を対応付けてもよい。
【0037】
また、本実施の形態の場合、個々の操作受付部107に対するガイド情報の対応付けはユーザ毎に用意する。操作受付部107の使用実態はユーザ毎に異なるため、ユーザ毎に検出時間やガイド情報の内容を管理することにより、個々のユーザにとっての操作性が改善される。
【0038】
ここでの使用頻度は、
図5に示す使用頻度情報テーブル62Bに記録される。使用頻度情報テーブル62Bは、使用頻度管理部63によって管理される。
【0039】
使用頻度管理部63は、ユーザ毎に個々の操作受付部107の使用回数と累積使用時間(以下、累積時間と称する)を管理しており、使用回数と累積時間に基づいて使用頻度を決定する。使用頻度管理部63は、計算式、論理式、テーブル表などを用いて使用頻度を決定する。例えば使用回数が回数閾値より大きく、かつ、累積時間が時間閾値より大きい場合は使用頻度が「高い」と設定し、使用回数が回数閾値より小さく、かつ、累積時間が時間閾値より小さい場合は使用頻度が「低い」と設定し、その他の場合は使用頻度が「中程度」と設定する。
【0040】
因みに、使用頻度管理部63は、ユーザ毎の個々の操作受付部107に対応する各使用回における使用時間のみを入力し、内部演算により累積時間を計算してもよい。使用頻度を求めるための計算式やテーブル表は、操作受付部107毎に用意してもよい。また、
図5の例では、使用回数と累積時間の両方を用いて使用頻度を計算しているが、いずれか一方だけを用いて計算してもよい。
【0041】
前述の位置情報テーブル62A(
図4)は、例えば初期テーブルとして用意される。本実施の形態では、予め用意された位置情報テーブル62Aの記録内容をユーザが書き換えるための仕組みを用意する。なお、位置情報テーブル62Aの記録内容はそのままにガイド情報の表示態様をユーザの指定する内容に変更する仕組みを用意してもよい。
【0042】
図7は、位置情報テーブルのカスタマイズを説明する図である。
図7には、コピー開始ボタンについて、ガイド情報の出力態様をカスタマイズするためのカスタマイズ画面200の例を示す。もちろん、他のボタンについてのガイド情報の出力態様のカスタマイズには、対応するカスタマイズ画面200を使用する。カスタマイズ画面200を通じて入力された情報はカスタマイズ情報として表示制御部62に与えられる。
【0043】
カスタマイズ画面200は、ユーザの指示に基づき表示部106に表示される。カスタマイズ画面200には、例えばガイド情報を表示させるか否かを指定するためのガイド表示ボタン201と、検出時間の指定ボタン202と、ガイド情報の指定ボタン203と、指定を確定する決定ボタン204が表示される。
【0044】
ガイド表示ボタン201で「ありボタン」が選択されている場合、表示制御部62は、予め用意されているガイド情報を表示部106に表示し、「なしボタン」が選択されている場合、表示制御部62は、予め用意されたガイド情報を表示しない。
【0045】
指定ボタン202で使用頻度に基づく自動設定が選択されている場合、表示制御部62は、位置情報テーブル62A(
図4)及び使用頻度情報テーブル62B(
図5)に基づいて表示するガイド情報を決定し、決定されたガイド情報を表示部106に表示する。
【0046】
指定ボタン202で「短め」が選択されている場合、表示制御部62は、コピー開始ボタンに対応するガイド情報を表示するために使用する判定時間(検出時間)を1秒に設定する。また、表示制御部62は、指定ボタン202で「通常」が選択されている場合には判定時間(検出時間)を2秒に設定し、「長め」が選択されている場合には判定時間(検出時間)を5秒に設定する。
【0047】
指定ボタン203で使用頻度に基づく自動設定が選択されている場合、表示制御部62は、位置情報テーブル62A(
図4)及び使用頻度情報テーブル62B(
図5)に基づいて表示するガイド情報を決定し、決定されたガイド情報を表示部106に表示する。
【0048】
指定ボタン203で「簡易」が選択されている場合、表示制御部62は、簡易版のガイド情報を表示部106に表示し、「通常」が選択されている場合、通常版のガイド情報を表示部106に表示し、「詳細」が選択されている場合、詳細版のガイド情報を表示部106に表示する。
【0049】
ユーザ認識部64は、画像形成装置10を操作しているユーザを認証する。ユーザ認識部64は、例えば可搬型のカードに記憶されているユーザを識別するための情報を不図示の読み取り部を通じて読み取る。この他、ユーザ認識部64は、ユーザによるタッチパネル操作を通じたユーザ名の選択を受け付けてもよいし、不図示のカメラで撮像されたユーザの顔画像データを用いて顔認証してもよい。認証結果は、ユーザ認識部64から表示制御部62に与えられる。
【0050】
なお、
図3に示す制御部60を構成する各機能部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像形成装置10を
図1に示したハードウェア構成にて実現した場合、ROM103に記憶されているOS(Operating System)のプログラムやアプリケーション・プログラムが、RAM104に読み込まれてCPU102に実行されることにより、視線検知部61、表示制御部62、使用頻度管理部63、ユーザ認識部64等の各機能が実現される。
【0051】
<画像形成装置にて実行される処理の手順>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10にて実行される処理の手順について説明する。
図8は、本実施の形態に係る画像形成装置10にて実行される処理の手順の一例を示したフローチャートである。画像形成装置10は、
図8に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0052】
まず、視線検知部61は、視線検知センサ112からユーザ視線情報を入力すると、操作パネル上の座標情報、すなわち視線の位置情報を表示制御部62に出力する。次に、表示制御部62は、入力された視線の位置情報が位置情報テーブル62Aに一致するか否かを判定する(ステップ101)。具体的には、表示制御部62は、入力された視線の位置情報と、位置情報テーブル62Aに記録されている複数の位置(すなわち、(X,Y,Z)で規定される範囲)とを照合し、前述した視線の位置情報と重なる位置が存在するか否かを判定する。
【0053】
ステップ101で否定の判断がなされた場合(Noの場合)、表示制御部62は、本処理を終了するか否かを判定する(ステップ104)。視線の位置情報に対応する位置が位置情報テーブル62Aに存在しないことは、ユーザが操作パネル以外の場所を見ているか、ガイド情報が登録されていない操作受付部107に視線を向けていることを意味する。
【0054】
一方、視線の位置情報に対応する位置が位置情報テーブル62Aに存在することは、ガイド情報が登録されている操作受付部107にユーザが視線を向けていることを意味する。以下では、視線の位置情報と重なる位置が対応付けられている操作受付部107を、特定の操作受付部107という。
【0055】
ステップ101で肯定の判断がなされた場合(Yesの場合)、表示制御部62は、特定の操作受付部107に視線が向けられてからの経過時間が、位置情報テーブル62Aに記録されている特定の操作受付部107の検出時間に一致するか否か、具体的には、登録されている検出時間以上か否かを判定する(ステップ102)。なお、画像形成装置10を操作しているユーザの情報は事前に表示制御部62に与えられている。
【0056】
この際、表示制御部62は、特定されたユーザについて記録されている特定の操作受付部107の使用頻度を使用頻度情報テーブル62Bから読み出し、読み出された使用頻度に対応する検出時間を使用する。例えば
図5の場合、画像形成装置10を操作しているユーザがユーザAであり、特定の操作受付部107がコピー開始ボタンである場合、使用頻度は「高い」である。従って、表示制御部62は、特定の操作受付部107に視線が向けられてからの経過時間が、検出時間t13以上か否かを判定する。
【0057】
ステップ102で否定の判断がなされた場合(Noの場合)、表示制御部62は、本処理を終了するか否かを判定する(ステップ104)。このことは、ユーザが視線を特定の操作受付部107に向けている時間が短く、ガイド情報の表示条件を満たさないことを意味する。
【0058】
一方、ステップ102で肯定の判断がなされた場合(Yesの場合)、表示制御部62は、ガイド情報を表示部106に出力(表示)する(ステップ103)。
図9は、特定の操作受付部107がコピー開始ボタンの場合におけるガイド情報の表示例を示す。ちなみに、位置情報テーブル62A(
図4)によれば、ユーザAによるコピー開始ボタンの使用頻度が高い場合に表示されるガイド情報は簡易版である。
【0059】
図9の場合、ガイド情報には、ユーザが視線を向けている操作受付部107が「コピー開始ボタン」であること、コピー開始ボタンを押す前には紙押さえ用のローラに原稿をセットする必要があることが示される。本実施の形態の場合、表示制御部62は、ガイド情報の表示を開始してから予め定めた時間が経過すると、ガイド情報の出力を停止し、本処理を終了するか否かを判定する(ステップ104)。
【0060】
ステップ104で否定の判断がなされた場合(Noの場合)、表示制御部62は、ステップ101に戻り、前述の動作を繰り返す。一方、ステップ104で肯定の判断がなされた場合(Yesの場合)、表示制御部62は、本処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像形成装置10の制御部60は、ユーザが操作パネル上の特定の操作受付部107に視線を向けているか否かを判定し、肯定結果が得られた場合、特定の操作受付部107について予め用意されているガイド情報を表示部106に表示する。このため、ガイド情報の表示が視線に関わらず行われる場合(例えばタッチパネルの操作を必要とする場合)に比べ、ユーザの操作性が改善される。
【0062】
本実施の形態に係る制御部60は、ユーザが関心をもっている(つまり、視線を向けている)特定の操作受付部107に関するガイド情報を表示するため、ユーザの視線情報を使用しない場合に比してユーザに求められる操作が簡略化され、ユーザの操作性が改善される。
【0063】
また、本実施の形態に係る制御部60は、操作受付部107が物理的なボタンであるか表示上の操作ボタンであるかによらず、操作パネル上に配置される操作受付部107に関するガイド情報を表示するため、ユーザの操作性が改善される。
【0064】
なお、本発明の実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能であるし、インターネットなどの通信手段を用いて画像形成装置10にダウンロードしてもよい。
【0065】
<他の装置構成>
前述の実施の形態では、位置情報テーブル62Aと使用頻度情報テーブル62Bを個別に用意する場合を説明したが、これらのテーブルを1つのテーブルとして管理してもよい。
【0066】
前述の実施の形態では、操作パネルの中央部に表示部106を配置する場合を説明したが、表示部106は操作パネルにおける中央以外の場所に配置してもよい。さらに、表示部106は、操作パネルとは異なる位置に配置されていてもよい。例えば表示部106としての液晶表示ディスプレイ装置を、装置本体の上部や側部に取り付けた構成としてもよい。
【0067】
前述の実施の形態では、操作パネル上の個々の操作受付部107にユーザの視線が向けられている場合に、個々の操作受付部107に関するガイド情報を表示したが、操作パネルにユーザの視線が向けられていることを条件に予め用意されたガイド情報を表示してもよい。この場合、操作パネルが、操作受付部107の一例となる。この場合、位置情報テーブル62Aに記録される位置情報は、画像形成装置10を構成する操作パネルを他の領域から区別する情報である。
【0068】
前述の実施の形態では、視線検知センサ112が画像形成装置10に内蔵されている場合を説明したが、視線検知センサ112は画像形成装置10に対して外部接続される構成であってもよい。例えば操作パネルの近傍位置に、外部装置としての視線検知センサ112を配置してもよい。ただし、外部接続される視線検知センサ112は、操作受付部107を操作するユーザの視線を検知する位置に配置する。
【0069】
視線検知センサ112を外部接続する場合には、外部接続された視線検知センサ112から出力されるユーザ視線情報と操作パネル上の座標情報とを正確にマッチングさせるための初期調整処理を必要とする。例えば表示部106に表示されるガイダンスや音声によるガイダンスに従い、操作パネル上の複数のボタンを順番にユーザに視認させ、その際に取得されたユーザ視線情報と該当するボタンの操作パネル上における座標との関係を記録し、ユーザ視線情報を操作パネル上の座標に変換するためのルールを作成する手法を採用する。この初期調整処理は制御部60が実行する。
【0070】
前述の実施の形態では、画像形成装置10は複数の機能、例えばコピー開始機能、スキャナ機能、印刷機能、ファクス機能を有する装置を前提に説明したが、これらのうちの一つ又は幾つかの機能を有する装置であってもよい。もちろん、画像形成装置10は、前述したコピー開始機能、スキャナ機能、印刷機能、ファクス機能以外の機能を有していてもよい。
【0071】
前述の実施の形態では、画像形成装置10の表示部106の表面側にタッチパネルセンサが配置される場合を説明したが、本実施の形態の制御部60は、タッチパネルセンサを有していない画像形成装置10で使用してもよい。
【0072】
前述の実施の形態において、制御部60、表示部106、表示制御部62等は、画像形成装置だけでなく各種の情報処理装置で使用してもよい。
【0073】
前述の実施の形態における画像形成装置10は、複数の独立した装置を組み合わせた情報処理システムとして実現してもよい。前述した視線検知センサ112を画像形成装置10に外部接続する例は、情報処理システムの一例である。
【0074】
前述の実施の形態では、位置情報テーブル62Aを使用してユーザの視線が個々の操作受付部107の位置で静止している時間が検出時間を超えたか否かに基づいてガイド情報を表示するか否かを判定しているが、ユーザの視線が特定の操作受付部107の位置で静止した状態が継続するまでの視線の動き又は軌跡を使用してもよい。
【0075】
ユーザの視線の先の静止状態が検出時間以上継続しなくても、注視しようとしている操作受付部107の位置には、ユーザの視線が何度も向けられることが知られている。従って、表示制御部62においてユーザの視線の軌跡を監視し、軌跡が何度も重なる位置の操作受付部107に関するガイド情報を表示させてもよい。この場合、例えば軌跡の重なり回数が対応する閾値以上の場合に、対応する操作受付部107に関するガイド情報を表示してもよい。
【0076】
上述の実施の形態では、位置情報テーブル62Aを使用してユーザの視線が個々の操作受付部107の位置で静止している時間が検出時間を超えたか否かに基づいてガイド情報を表示するか否かを判定しているが、検出時間は、個々の操作受付部107の位置に視線が向けられた時間の累積値であってもよい。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。