特許第6801331号(P6801331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801331
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20201207BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20201207BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04225
   H01M8/04 J
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-185406(P2016-185406)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-49777(P2018-49777A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 大士
(72)【発明者】
【氏名】大河原 裕記
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−173074(JP,A)
【文献】 特開2013−030285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/048−8/04992
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
システムで用いられる流体を供給する流体供給装置と、
オン信号またはオフ信号の出力信号を出力するものであって、前記流体供給装置から供給される流体の流量が設定流量を跨いで変化したときに前記出力信号が変化する流量スイッチと、
流量と操作量との対応関係情報を用いてシステムで要求される要求流量に対応する操作量を決定し、該決定した操作量に基づいて前記流体供給装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記流量スイッチの出力信号が変化したときの前記流体供給装置の操作量と前記設定流量との対応関係を前記対応関係情報に反映させることにより前記対応関係情報を更新する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池システムであって、
前記流量スイッチは、前記設定流量として前記燃料電池の運転に伴ってシステムが要求する流量範囲内の流量で出力信号が変化するよう構成されている、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記燃料電池の運転中の負荷変動に伴って前記流量スイッチの出力信号が変化するよう前記流体供給装置を制御して前記対応関係情報を更新する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記燃料電池の起動前に前記流量スイッチの出力信号が変化するよう前記流体供給装置を制御して前記対応関係情報を更新する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記流量スイッチの出力信号が変化したときの前記操作量が所定操作量範囲内にないときには前記流量スイッチに異常が生じていると判定する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、流量と操作量との関係が、前記流量スイッチの出力信号が変化したときの操作量と前記設定流量との交点と原点とを通る直線上の比例関係となるように前記対応関係情報を更新する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムとしては、燃料電池システムで用いられる流体の流量を計測するものが知られている。例えば、特許文献1には、燃料電池と、水蒸気改質により燃料電池に燃料ガスを供給する改質器と、改質器に水を間欠的に供給するショットポンプと、ショットポンプからの水の間欠流れを検知する流量スイッチと、を備える燃料電池システムにおいて、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値と、単位時間当たりに流量スイッチから出力された信号数とを乗じたものに基づいて単位時間当たりの水の供給量を算出するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料電池システムで用いられる流体の流量制御は、ポンプやブロワから吐出された流体の流量(吐出量)を検出する流量計(流量センサ)を設けて、流量計からの流量と目標流量との偏差に基づいて制御DUTY(デューティ比)を設定して駆動制御するフィードバック制御により行なわれるのが一般的である。これは、流量計を用いることなく、目標流量と制御DUTYとが対応付けられたマップを用いて流量制御を行なうと、機器の圧損のバラツキなどから流量誤差が大きくなり、燃料電池システムの動作が安定しない虞(燃料ガスの供給不足や燃焼の不安定化を招く虞)があるためである。上述した特許文献1記載の技術によれば、流量計を用いることなく、ポンプの吐出量の計測が可能であるが、1ショット当たりの吐出量が一定の間欠式のポンプに限定され、間欠式でないポンプやブロアなどに対しては適用することができない。
【0005】
本発明の燃料電池システムは、流量計を用いることなく、システムで用いられる流体の流量制御を精度良く行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料電池システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の燃料電池システムは、
燃料ガスと酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
システムで用いられる流体を供給する流体供給装置と、
前記流体供給装置から設定流量の流体が供給されたときに作動する流量スイッチと、
流量と操作量との対応関係情報を用いてシステムで要求される要求流量に対応する操作量を決定し、該決定した操作量に基づいて前記流体供給装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記流量スイッチが作動したときの前記流体供給装置の操作量に基づいて前記対応関係情報を更新する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の燃料電池システムは、流量と操作量との対応関係情報を用いてシステムで要求される要求流量に対応する操作量を決定し、その操作量に基づいて流体供給装置を制御するものである。この燃料電池システムにおいて、流体供給装置から設定流量の流体が供給されたときに作動する流量スイッチを設け、流量スイッチが作動したときの流体供給装置の操作量に基づいて対応関係情報を更新する。即ち、流量スイッチが作動すると、流体供給装置から供給される流体の流量は設定流量となっているため、そのときの流体供給装置の操作量と設定流量との関係を対応関係情報に反映させることで、機器のバラツキや設置環境、経時変化等による圧損変化に対応することができる。この結果、流量計を用いることなく、システムで用いられる流体の流量制御を精度良く行なうことができる。
【0009】
こうした本発明の燃料電池システムにおいて、前記流量スイッチは、前記設定流量として前記燃料電池の運転に伴ってシステムが要求する流量範囲内の流量で作動するよう構成されているものとしてもよい。こうすれば、燃料電池の運転中に対応関係情報を更新することが可能となり、流量制御の制御精度を向上させることができる。特に、設定流量として、燃料電池の燃焼性の厳しいポイントである起動時の流量を定めるものとすれば、起動時の流量制御の制御精度を向上させて燃焼性を良好なものとすることができる。
【0010】
また、本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記燃料電池の運転中の負荷変動に伴って前記流量スイッチが作動するよう前記流体供給装置を制御して前記対応関係情報を更新するものとしてもよい。こうすれば、燃料電池の運転中に対応関係情報を更新することが可能となり、流量制御の精度を向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記燃料電池の起動前に前記流量スイッチが作動するよう前記流体供給装置を制御して前記対応関係情報を更新するものとしてもよい。こうすれば、燃料電池の起動前に対応関係情報を更新しておくことで、起動時や運転時の制御精度をより向上させることができる。
【0012】
また、本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記流量スイッチが作動したときの前記操作量が所定操作量範囲内にないときには前記流量スイッチに異常が生じていると判定するものとしてもよい。こうすれば、対応関係情報を更新するに際して流量スイッチの異常の有無も判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例としての燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】マップの一例を示す説明図である。
図3】マップ更新処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】マップを更新する様子を示す説明図である。
図5】制御DUTYと流量スイッチ出力と流量の時間変化の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は本発明の一実施例としての燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。実施例の燃料電池システム10は、図1に示すように、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(エア)との供給を受けて発電する燃料電池36を有する発電ユニット20と、発電ユニット20の発電に伴って発生する熱を回収して給湯する貯湯タンク101を有する給湯ユニット100と、システム全体を制御する制御装置80と、を備える。
【0016】
発電ユニット20は、改質水と原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)との供給を受けてこれらを加熱することにより改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガスを予熱する気化器32と、気化器32からの原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質して燃料ガスを生成する改質器33と、燃料ガスとエアとの供給を受けて発電する燃料電池36とを含む発電モジュール30と、気化器32に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置40と、燃料電池36にエアを供給するエア供給装置50と、気化器32に改質水を供給する改質水供給装置55と、発電モジュール30で発生した排熱を回収する排熱回収装置60と、を備える。なお、発電ユニット20は、筐体22に収容され、筐体22の吸気口22aに設けられた換気ファン24によって内部が換気される。
【0017】
気化器32と改質器33と燃料電池36は、断熱性材料により形成された箱型のモジュールケース31内に収容されている。モジュールケース31内には、燃料電池36の起動や、気化器32における水蒸気の生成、改質器33における水蒸気改質反応に必要な熱を供給するための燃焼部34が設けられている。燃焼部34には燃料電池36からのアノードオフガス(燃料オフガス)とカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが供給され、これらの混合ガスが点火ヒータ35により点火されることにより燃焼して燃料電池36や気化器32、改質器33を加熱する。
【0018】
原燃料ガス供給装置40は、燃料供給装置1と気化器32とが原燃料ガス供給管41により接続され、原燃料ガスポンプ45の駆動により燃料供給装置1からの原燃料ガスを原燃料ガス供給弁(電磁弁)42,43と脱硫器46とを介して気化器32へ供給する。気化器32へ供給された原燃料ガスは、気化器32を経て改質器33へ供給され、燃料ガスへと改質される。原燃料ガス供給弁42,43は、直列に接続された2連弁として構成される。脱硫器46は、原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去するものであり、例えば、硫黄化合物をゼオライトなどの吸着剤に吸着させて除去する常温脱硫方式などを採用することができる。また、原料ガス供給管41には、当該原料ガス供給管41内の原燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ47や原料ガス供給管41を流れる原燃料ガスの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ48が設けられている。
【0019】
エア供給装置50は、外気と連通するフィルタ52と燃料電池36とがエア供給管51により接続され、エア供給管51に設けられたエアブロワ53の駆動により外気をフィルタ52を介して燃料電池36へ供給する。エア供給管51には、当該エア供給管51を流れるエアの単位時間当たりの流量が設定流量NLM_s以上となると作動してオン信号を出力する流量スイッチ54が設けられている。ここで、流量スイッチ54としては、電磁式流量スイッチや機械式流量スイッチなどを採用することができ、流量センサに比して、シンプルな構造で故障が少なく、コスト面でも有利である。また、流量スイッチ54は、本実施例では、設定流量NLM_sが燃料電池36の通常運転時においてエア供給装置50に供給され得る流量範囲内の流量となるように設計されている。
【0020】
改質水供給装置55は、改質水を貯蔵する改質水タンク57と気化器32とが改質水供給管56により接続され、改質水供給管56に設けられた改質水ポンプ58の駆動により改質水タンク57の改質水を気化器32へ供給する。気化器32へ供給された改質水は、気化器32で水蒸気とされ、改質器33における水蒸気改質反応に利用される。改質水タンク57には、貯蔵される改質水を精製する図示しない水精製器が設けられている。
【0021】
排熱回収装置60は、発電モジュール30内の燃焼排ガスが供給される熱交換器62と貯湯水を貯蔵する貯湯タンク101とが循環配管61により接続され、循環配管61に設けられた循環ポンプ63の駆動により熱交換器62にて貯湯タンク101からの貯湯水が燃焼排ガスとの熱交換により加温されて貯湯タンク101に貯湯されるようになっている。熱交換器62は凝縮水供給管66を介して改質水タンク57に接続されると共に排気ガス排出管67を介して外気と接続されており、熱交換器62に供給された燃焼排ガスは貯湯水との熱交換によって水蒸気成分が凝縮されて改質水タンク57に回収されると共に残りの排気ガスが排気ガス排出管67を介して外気へ排出されるようになっている。
【0022】
燃料電池36は、電解質とこの電解質を挟持するアノード電極およびカソード電極とを含む単セルが複数積層された固体酸化物燃料電池として構成されており、燃料ガス中の水素とエア中の酸素とによる電気化学反応によって発電する。燃料電池36の出力端子にはインバータとDC/DCコンバータとを含むパワーコンディショナ71を介して商用電源2から負荷4への電力ライン3が接続されており、燃料電池36からの直流電力が交流電力に変換されて商用電源2からの交流電力に付加されて負荷4に供給できるようになっている。パワーコンディショナ71から分岐した電力ラインには電源基板72が接続されている。
【0023】
電源基板72は、原燃料ガス供給弁42,43やエアブロワ53、原燃料ガスポンプ45、改質水ポンプ58、循環ポンプ63、可燃ガスセンサ91、圧力センサ47、流量センサ48、流量スイッチ54などの補機に直流電力を供給する直流電源として機能する。
【0024】
制御装置80は、CPU81を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に処理プログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、図示しない入出力ポートと、を備える。制御装置80には、圧力センサ47や流量センサ48、流量スイッチ54、筐体22の排気口22b付近に設けられた可燃ガスセンサ91などからの各種検出信号が入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、筐体22の吸気口22aに設けられた換気ファン24のファンモータへの駆動信号や原燃料ガス供給弁42,43のソレノイドへの駆動信号、原燃料ガスポンプ45のポンプモータへの駆動信号、エアブロワ53のブロワモータへの駆動信号、改質水ポンプ58のポンプモータへの駆動信号、循環ポンプ63のポンプモータへの駆動信号、パワーコンディショナ71のインバータやDC/DCコンバータへの制御信号、点火ヒータ35への駆動信号、表示パネル90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0025】
制御装置80は、負荷4の負荷変動に伴う負荷指令を入力し、入力した負荷指令に応じた流量により原燃料ガスやエア等が供給されるよう原燃料ガス供給装置40やエア供給装置50等を制御する。ここで、本実施例では、原燃料ガス供給装置40の制御は、入力した負荷指令に基づいて原燃料ガス供給装置40が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量と流量センサ48により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御により制御DUTYを設定し、設定した制御DUTYにより原燃料ガスポンプ45のポンプモータを駆動制御することにより行なわれる。また、エア供給装置50の制御は、入力した負荷指令に基づいてエア供給装置50が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量に基づいてマップから対応する制御DUTYを設定し、設定した制御DUTYによりエアブロワ53のブロワモータを駆動制御することにより行なわれる。図2にマップの一例を示す。マップでは、図示するように、流量と制御DUTYとが比例関係を有する。
【0026】
次に、こうして構成された燃料電池システム10の動作、特に、エア供給装置50を制御するためのマップを更新する処理について説明する。図3は、制御装置80のCPU81により実行されるマップ更新処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、負荷増大を伴う負荷指令を入力したときに実行される。
【0027】
マップ更新処理ルーチンが実行されると、制御装置80のCPU81は、まず、入力した負荷指令に応じて燃料電池36へ供給されるエアの流量が増量するよう制御DUTYを徐々に上昇させてエア供給装置50(エアブロワ53)を制御しながら(ステップS100)、流量スイッチ54の出力信号がオフ信号からオン信号に変化するのを待つ(ステップS110)。流量スイッチ54の出力信号がオフ信号からオン信号に変化すると、そのときに設定している制御DUTYを制御DUTY_aとしてRAM83に記憶し(ステップS120)、記憶した制御DUTY_aが下限値DUTY_Lよりも大きく且つ上限値DUTY_Hよりも小さいか否かを判定する(ステップS130,S140)。ここで、下限値DUTY_Lおよび上限値DUTY_Hは、流量スイッチ54が正常に作動するときに取り得る制御DUTY範囲の下限値および上限値を示すものである。制御DUTY_aが下限値DUTY_Lよりも大きく上限値DUTY_Hよりも小さいと判定すると、制御DUTY_aに基づいてマップを更新して(ステップS150)、マップ更新処理ルーチンを終了する。図4にマップを更新する様子を示す。マップの更新は、図示するように、流量と制御DUTYとの関係を、設定流量NLM_sと制御DUTY_aとの交点と原点とを通る直線上の比例関係とすることにより行なわれる。上述したように、流量スイッチ54は、設定流量NLM_sが燃料電池36の通常運転時においてエア供給装置50に要求されるエア流量範囲内の流量となるよう設計されているから、燃料電池36の運転中にマップを更新することができる。
【0028】
ステップS130において制御DUTY_aが下限値DUTY_L以下と判定したり、ステップS140において制御DUTY_aが上限値DUTY_H以上と判定すると、流量スイッチ54が故障していると判定して(ステップS160)、マップ更新処理ルーチンを終了する。なお、この場合、CPU81は、流量スイッチ54のメンテナンスや交換を促す警告表示を表示パネル90に表示する。
【0029】
図5は制御DUTYと流量スイッチ出力と流量の時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、マップを用いて制御されるエアブロワ53(ブロワモータ)の制御DUTYが上昇してエア供給管51を流れるエアの流量が設定流量NLM_s以上となると、流量スイッチ54の出力がオフ信号からオン信号となる。このときの制御DUTY_aは、設定流量NLM_sと対応するため、その対応関係をマップに反映させることで、機器のバラツキや設置環境、経時変化等による圧損変化に対応することができる。
【0030】
以上説明した本実施例の燃料電池システム10は、エア供給管51を流れるエアの流量が設定流量NLM_s以上となったときにオン信号を出力する流量スイッチ54を設け、流量スイッチ54の出力信号がオフ信号からオン信号へ変化したときに、そのときの制御DUTY_aと設定流量NLM_sとの関係をマップに反映させることによりマップを更新する。これにより、機器のバラツキや設置環境、経時変化等による圧損変化に対応することができる。この結果、流量計を用いることなく、エアの流量制御を精度良く行なうことができる。
【0031】
また、本実施例の燃料電池システム10では、流量スイッチ54は、設定流量NLM_sが燃料電池36の通常運転時においてエア供給装置50に要求されるエアの流量範囲内の流量となるように設計される。これにより、燃料電池36の運転中にマップを更新することができ、流量制御の制御精度をより向上させることができる。
【0032】
さらに、本実施例の燃料電池システム10は、流量スイッチ54の出力信号がオフ信号からオン信号へ変化したときの制御DUTY_aが下限値DUTY_Lおよび上限値DUTY_Hにより定まるDUTY範囲内にない場合には、流量スイッチ54に故障が生じていると判断する。これにより、マップを更新する際に流量スイッチ54の異常の有無も判定することができる。
【0033】
実施例では、設定流量NLM_sが燃料電池36の通常運転時においてエア供給装置50に要求されるエアの流量範囲内の流量となるように流量スイッチ54を設計したが、燃料電池36の起動時においてエア供給装置50に要求されるエアの流量範囲内の流量となるように流量スイッチ54を設計するものとしてもよい。この場合、マップ更新処理ルーチンは、燃料電池36の起動時において実行されるものとしてもよい。これにより、燃料電池36の燃焼性の厳しいポイントである起動時の流量制御の制御精度を向上させて燃焼性を良好なものとすることができる。
【0034】
実施例では、燃料電池36の運転時において負荷変動を伴う負荷指令を入力したときにマップ更新処理を実行するものとしたが、燃料電池36の起動前においてマップ更新処理を実行するものとしてもよい。これにより、燃料電池36の起動前にマップを更新しておくことで、燃料電池36の起動時や運転時における流量制御を精度良く実行することができる。
【0035】
実施例では、負荷増大を伴う負荷指令の入力によりエアブロワ53の駆動制御する際の制御DUTYを上昇させて流量スイッチ54の出力信号がオフ信号からオン信号に変化したときにマップを更新するものとしたが、負荷減少を伴う負荷指令の入力によりエアブロワ53の駆動制御する際の制御DUTYを下降させて流量スイッチ54の出力信号がオン信号からオフ信号に変化したときにマップを更新してもよい。
【0036】
実施例では、原燃料ガス供給管41に流量センサ48を設け、原燃料ガスポンプ45の制御を、目標流量と流量センサ48により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御により行なうものとしたが、マップを用いて目標流量から対応する制御DUTYを設定することにより制御するものとしてもよい。この場合、流量センサ48に代えて原燃料ガス供給管41を流れる原燃料ガスの流量が設定流量以上となると作動する流量スイッチを設けて、流量スイッチが作動したときの制御DUTY_aと設定流量との関係に基づいてマップを更新すればよい。また、改質水供給装置55の改質水ポンプ58の制御を、マップを用いて目標流量から対応する制御DUTYを設定することにより行なうものとしてもよい。この場合も、改質水供給管56に流量スイッチを設けて、流量スイッチが作動したときの制御DUTY_aと設定流量との関係に基づいてマップを更新すればよい。このように、システムで用いられる流体の流量をマップを用いて制御可能なものであれば、如何なる流体供給装置にも適用することができる。
【0037】
実施例では、マップを用いて目標流量に対応する制御DUTYを設定するものとしたが、マップに代えて演算式を用いて目標流量に対応する制御DUTYを設定するものとしてもよい。この場合、演算式を更新する際には、設定流量NLM_sと制御DUTY_aとの交点と原点とを通る直線の比例関係式を演算式として求めるものとすればよい。
【0038】
実施例やその変形例では、マップや演算式を、制御DUTYと流量との関係として定めるものとしたが、例えば、ブロワモータやポンプモータの回転数と流量との関係として定めてモータを回転数によって制御するなど、操作量と流量との関係を定めるものであれば、如何なるものであってもよい。
【0039】
実施例では、制御DUTY_aが下限値DUTY_Lおよび上限値DUTY_Hにより定まるDUTY範囲内にない場合には、流量スイッチ54に故障が生じていると判定したが、こうした判定を行なわないものとしてもよい。
【0040】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エアブロワ53が「流体供給装置」に相当し、流量スイッチ54が「流量スイッチ」に相当し、制御装置80が「制御装置」に相当する。
【0041】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、燃料電池システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 燃料供給装置、2 商用電源、3 電力ライン、4 負荷、10 燃料電池システム、20 発電ユニット、22 筐体、22a 吸気口、22b 排気口、24 換気ファン、30 発電モジュール、31 モジュールケース、32 気化器、33 改質器、34 燃焼部、35 点火ヒータ、36 燃料電池、40 原燃料ガス供給装置、41 原燃料ガス供給管、42,43 原燃料ガス供給弁、45 原燃料ガスポンプ、46 脱硫器、47 圧力センサ、48 流量センサ、50 エア供給装置、51 エア供給管、52 フィルタ、53 エアブロワ、54 流量スイッチ、55 改質水供給装置、56 改質水供給管、57 改質水タンク、58 改質水ポンプ、60 排熱回収装置、61 循環配管、62 熱交換器、63 循環ポンプ、66 凝縮水供給管、67 排気ガス排出管、71 パワーコンディショナ、72 電源基板、80 制御装置、81 CPU、82 ROM、83 RAM、90 表示パネル、91 可燃ガスセンサ、100 給湯ユニット、101 貯湯タンク。
図1
図2
図3
図4
図5