【実施例】
【0014】
図1は本発明の一実施例としての燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図であり、
図2はパワーコンディショナ71と電源基板75を含む電源系の構成の概略を示す構成図である。実施例の燃料電池システム10は、
図1に示すように、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(エア、すなわち空気)との供給を受けて発電する燃料電池36を有する発電ユニット20と、発電ユニット20の発電に伴って発生する熱を回収して給湯する貯湯タンク101を有する給湯ユニット100と、システム全体を制御する制御装置80と、を備える。
【0015】
発電ユニット20は、改質水と原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)との供給を受けてこれらを加熱することにより改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガスを予熱する気化器32と、気化器32からの原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質して燃料ガスを生成する改質器33と、燃料ガスとエアとの供給を受けて発電する燃料電池36とを含む発電モジュール30と、気化器32に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置40と、燃料電池36にエアを供給するエア供給装置50と、気化器32に改質水を供給する改質水供給装置55と、発電モジュール30で発生した排熱を回収する排熱回収装置60と、を備える。なお、発電ユニット20は、筐体22に収容され、筐体22の吸気口22aに設けられた換気ファン24によって内部が換気される。
【0016】
気化器32と改質器33と燃料電池36は、断熱性材料により形成された箱型のモジュールケース31内に収容されている。モジュールケース31内には、燃料電池36の起動や、気化器32における水蒸気の生成、改質器33における水蒸気改質反応に必要な熱を供給するための燃焼部34が設けられている。燃焼部34には燃料電池36からのアノードオフガス(燃料オフガス)とカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが供給され、これらの混合ガスが点火ヒータ35により点火されることにより燃焼して燃料電池36や気化器32、改質器33を加熱する。
【0017】
原燃料ガス供給装置40は、燃料供給装置1と気化器32とが原燃料ガス供給管41により接続され、原燃料ガスポンプ45の駆動により燃料供給装置1からの原燃料ガスを原燃料ガス供給弁(電磁弁)42,43と脱硫器46とを介して気化器32へ供給する。気化器32へ供給された原燃料ガスは、気化器32を経て改質器33へ供給され、燃料ガスへと改質される。原燃料ガス供給弁42,43は、直列に接続された2連弁として構成される。脱硫器46は、原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去するものであり、例えば、硫黄化合物をゼオライトなどの吸着剤に吸着させて除去する常温脱硫方式などを採用することができる。また、原料ガス供給管41には、当該原料ガス供給管41内の原燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ47や原料ガス供給管41を流れる原燃料ガスの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ48が設けられている。
【0018】
エア供給装置50は、外気と連通するフィルタ52と燃料電池36とがエア供給管51により接続され、エア供給管51に設けられたエアブロワ53の駆動により外気をフィルタ52を介して燃料電池36へ供給する。エア供給管51には、当該エア供給管51を流れるエアの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ54が設けられている。エアブロワ53は、図示は省略するが、ケースに収容されたファンと、ファンを回転させるブロワモータとを備えている。ファンやモータの回転軸を支持する軸受けなどには、摺動抵抗を低減するためのグリス(潤滑剤)が封入されている。
【0019】
改質水供給装置55は、改質水を貯蔵する改質水タンク57と気化器32とが改質水供給管56により接続され、改質水供給管56に設けられた改質水ポンプ58の駆動により改質水タンク57の改質水を気化器32へ供給する。気化器32へ供給された改質水は、気化器32で水蒸気とされ、改質器33における水蒸気改質反応に利用される。改質水タンク57には、貯蔵される改質水を精製する図示しない水精製器が設けられている。
【0020】
排熱回収装置60は、発電モジュール30内の燃焼排ガスが供給される熱交換器62と貯湯水を貯蔵する貯湯タンク101とが循環配管61により接続され、循環配管61に設けられた循環ポンプ63の駆動により熱交換器62にて貯湯タンク101からの貯湯水が燃焼排ガスとの熱交換により加温されて貯湯タンク101に貯湯されるようになっている。熱交換器62は凝縮水供給管66を介して改質水タンク57に接続されると共に排気ガス排出管67を介して外気と接続されており、熱交換器62に供給された燃焼排ガスは貯湯水との熱交換によって水蒸気成分が凝縮されて改質水タンク57に回収されると共に残りの排気ガスが排気ガス排出管67を介して外気へ排出されるようになっている。
【0021】
燃料電池36は、電解質とこの電解質を挟持するアノード電極およびカソード電極とを含む単セルが複数積層された固体酸化物燃料電池として構成されており、燃料ガス中の水素とエア中の酸素とによる電気化学反応によって発電する。燃料電池36の出力端子にはインバータ72とDC/DCコンバータ73とを含むパワーコンディショナ71を介して商用電源2から負荷4への電力ライン3が接続されており、燃料電池36からの直流電力が交流電力に変換されて商用電源2からの交流電力に付加されて負荷4に供給できるようになっている。パワーコンディショナ71(DC/DCコンバータ73)から分岐した電力ラインには電源基板75が接続されている。また、燃料電池36には、単セルが複数積層されたスタック内(燃料電池36内)の温度を検出する燃料電池温度センサ37が設けられている。
【0022】
本実施形態では、原燃料ガス供給装置40やエア供給装置50、改質水供給装置55、排熱回収装置60などの補機が補機室に収容されている。この補機室内の上部には、補機室内の温度を検出する補機温度センサ59が設けられている。
【0023】
電源基板75は、パワーコンディショナ71(DC/DCコンバータ73)からの直流電圧を入力し所定の直流電圧(例えば24V)に変換するDC/DCコンバータ76を備え、エアブロワ53や原燃料ガス供給弁42,43、原燃料ガスポンプ45、改質水ポンプ58、循環ポンプ63などに直流電力を供給する直流電源として機能する。エアブロワ53への電力供給ラインには、エアブロワ53のブロワモータに供給される供給電圧を検出する電圧センサ53aが設けられている。なお、図示は省略するが、電源基板75は、燃料電池温度センサ37や圧力センサ47、流量センサ48,54、電圧センサ53a、補機温度センサ59、筐体22の排気口22b付近に設けられた可燃ガスセンサ91などの各種センサにも直流電力を供給する。
【0024】
制御装置80は、CPU81を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に処理プログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、時間を計測するタイマ84と、図示しない入出力ポートと、を備える。制御装置80には、燃料電池温度センサ37や圧力センサ47、流量センサ48,54、電圧センサ53a、補機温度センサ59、可燃ガスセンサ91などからの各種検出信号が入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、筐体22の吸気口22aに設けられた換気ファン24のファンモータへの駆動信号や原燃料ガス供給弁42,43のソレノイドへの駆動信号、原燃料ガスポンプ45のポンプモータへの駆動信号、エアブロワ53のブロワモータへの駆動信号、改質水ポンプ58のポンプモータへの駆動信号、循環ポンプ63のポンプモータへの駆動信号、パワーコンディショナ71のインバータ72やDC/DCコンバータ73への制御信号、電源基板75のDC/DCコンバータ76への制御信号、点火ヒータ35への駆動信号、表示パネル90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0025】
制御装置80は、負荷4の負荷変動に伴う負荷指令を入力し、入力した負荷指令に応じた流量により原燃料ガスやエア等が供給されるよう原燃料ガス供給装置40やエア供給装置50等を制御することで、燃料電池36の発電出力を制御する発電制御を実行する。ここで、本実施例では、原燃料ガス供給装置40の制御は、入力した負荷指令に基づいて原燃料ガス供給装置40が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量と流量センサ48により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御により制御DUTYを設定し、設定した制御DUTYにより原燃料ガスポンプ45のポンプモータを駆動制御することにより行なわれる。また、エア供給装置50の制御は、原燃料ガスの目標流量に対し所定の比(空燃比)となるようにエア供給装置50が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量と流量センサ54により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御により制御DUTYを設定し、設定した制御DUTYによりエアブロワ53のブロワモータを駆動制御することにより行なわれる。なお、制御装置80は、タイマ84によりエアブロワ53のブロワモータを駆動制御している駆動時間を計測し、その駆動時間を累積した累積駆動時間TaをRAM83に記憶する。累積駆動時間Taは、燃料電池システム10が運用を開始してからのエアブロワ53の駆動時間を累積した時間となる。
【0026】
次に、こうして構成された燃料電池システム10の動作、特に、発電制御の実行を開始する前のエアブロワ53の暖機処理について説明する。
図3は、制御装置80のCPU81により実行されるエアブロワ暖機処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、例えば、燃料電池システム10で発電制御の実行を開始する前の準備処理の一つとして、原燃料ガス供給装置40からの原燃料ガスの供給を停止した状態(目標流量に値0を設定した状態)で実行される。
【0027】
エアブロワ暖機処理ルーチンが実行されると、制御装置80のCPU81は、まず、燃料電池温度センサ37により検出された燃料電池36の温度である電池温度te_fcを入力し(S100)、入力した電池温度te_fcが所定温度tref未満であるか否かを判定する(S110)。ここで、所定温度trefは、燃料電池36の電極などの酸化が促進され易い状態にあるか否かを判定するための閾値であり、酸化が促進される温度に数十℃程度のマージンを加えて例えば250℃などの比較的高い温度に設定されている。なお、エアブロワ53は、燃料電池36の付加に応じて駆動されるため、電池温度te_fcとエアブロワ53の温度とは相関を有しており、電池温度te_fcが所定温度tref未満の場合には、エアブロワ53の温度も上昇していないと推定することができる。ここで、エアブロワ53の軸受けなどに封入されたグリスは、エアブロワ53が低温状態にあると、粘度が高まって回転抵抗(摺動抵抗)を増加させることになる。このため、エアブロワ53が低温状態のまま発電制御の実行を開始すると、エアブロワ53の回転が不安定となり、供給されるエアの流量が安定せずに目標の空燃比からずれる場合がある。その場合、原燃料ガスが供給過多となって炭素の析出が多くなったり、エアが供給過多となって燃料電池36の電極などの酸化が促進されたりする。そこで、本実施例では、電池温度te_fcが所定温度tref未満の場合には、以下のように、エアブロワ53の暖機運転を実行する。
【0028】
CPU81は、S110で電池温度te_fcが所定温度tref未満であると判定すると、エアブロワ53の目標流量を第1流量Q1としてフィードバック制御によりエアブロワ53を駆動することでエアブロワ53の暖機運転を開始する(S120)。また、CPU81は、エアブロワ53の暖機運転を開始してからの暖機時間Tの計測をタイマ84により開始すると共に(S130)、暖機運転の必要時間である暖機必要時間Tdの設定処理を実行する(S140)。
図4は暖機運転時のエアの流量パターンの一例を示す説明図である。図示するように、本実施例の暖機運転は、第1流量Q1で第1時間T1(例えば5秒などの数秒)までエアブロワ53を駆動した後、レートリミット処理などにより第2流量Q2まで引き上げて、第2流量Q2でエアブロワ53の駆動を継続するパターンが定められている。暖機必要時間Tdは、第1時間T1と、第1流量Q1から第2流量Q2への引き上げ時間と、第2流量Q2での運転時間との合計時間として設定される。以下、暖機必要時間Tdの設定処理を
図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
暖機必要時間Tdの設定処理では、CPU81は、まず、補機温度センサ59により検出された補機温度te_amと、RAM83に記憶されているエアブロワ53の累積駆動時間Taと、電圧センサ53aにより検出されたエアブロワ53への供給電圧Vとを入力する(S200)。次に、暖機必要時間Tdの基準となる基準時間Td’を補機温度te_amに基づいて設定する(S210)。なお、補機温度te_amは、補機室内の温度であるから、エアブロワ59の温度と相関のある温度といえる。
【0030】
図6は基準時間Td’の設定マップの一例を示す説明図である。
図6のマップでは、補機温度te_amに対応付けて基準時間Td’が定められており、推奨の使用温度範囲における下限の補機温度te_am0(例えば−10℃など)から上限の補機温度te_am2(例えば60℃など)までに対応する基準時間Td’が定められている。一例としては、下限の補機温度te_am0に最長の基準時間Td’0(例えば300秒など)が対応付けられ、上限の補機温度te_am2に最短の基準時間Td’2(例えば10秒など)が対応付けられている。このように、基準時間Td’は補機温度te_amが低いほど長くなる傾向に定められている。これは、補機温度te_amが低いほどエアブロワ53のグリスの粘度が高くなっており、暖機運転に伴って発生する熱によりグリスの粘度を低下させるのに長い駆動時間を要するためである。
【0031】
CPU81は、基準時間Td’を設定すると、累積駆動時間Taに基づいて補正係数k1を設定すると共に(S220)、供給電圧Vに基づいて補正係数k2を設定し(S230)、設定した補正係数k1、k2を基準時間Td’に乗じることにより暖機必要時間Tdを設定して(S240)、本処理を終了する。
【0032】
図7は補正係数k1の設定マップの一例を示す説明図である。
図7のマップでは、累積駆動時間Taに対応付けて補正係数k1が定められており、運用開始時から推奨の使用上限時間(例えば10万時間など)までに対応する補正係数k1が定められている。一例としては、運用開始時の初期値(0時間)に最大値1が対応付けられ、使用上限時間の中間値Ta1(例えば5万時間)に中間値0.99が対応付けられ、使用上限時間Ta2(例えば10万時間)に最小値0.98が対応付けられている。このように、補正係数k1は、累積駆動時間Taが長いほど小さくなる傾向に定められている。ここで、累積駆動時間Taが長くなるとエアブロワ53の経年使用による軸受けやグリスなどの劣化により送風能力が低下する傾向にあるから、同じ目標流量に対して設定される制御DUTYが大きな値となり易い。このため、エアブロワ53のブロワモータへの通電電流も大きくなってブロワモータの発熱が大きくなるから、暖機運転によってグリスの粘度を低下させるための駆動時間を短くすることができる。したがって、累積駆動時間Taが長いほど小さな値が設定される補正係数k1に基づいて基準時間Td’を補正することにより、エアブロワ53の累積駆動時間Ta(エアブロワ53の経年劣化)に応じた適切な暖機必要時間Tdを設定することができる。
【0033】
図8は補正係数k2の設定マップの一例を示す説明図である。
図8のマップでは、供給電圧Vに対応付けて補正係数k2が定められており、電圧Vの公差範囲の下限電圧から上限電圧までに対応する補正係数k2が定められている。一例としては、供給電圧Vの基準電圧V0(例えば24Vなど)に値1が対応付けられ、下限電圧V1(例えば22.8Vなど)に最大値1.01が対応付けられ、上限電圧V2(例えば25.2Vなど)に最小値0.99が対応付けられている。このように、補正係数k2は、電圧公差内における供給電圧Vが高いほど小さくなる傾向に定められている。これは、供給電圧Vが高いほどエアブロワ53のブロワモータへの通電電流も大きくなってブロワモータの発熱が大きくなったり、高い回転速度でエアブロワ53のブロワモータが回転して軸受けに生じる摩擦熱が大きくなったりするため、暖機運転によってグリスの粘度を低下させるための駆動時間を短くすることができるためである。なお、エアブロワ53の回転速度が上がってエアの供給流量が目標流量よりも大きくなるとフィードバック制御により制御DUTYが小さく設定されることになるが、それまでは供給電圧Vが高いほどブロワモータの発熱や摩擦熱が大きくなる傾向にある。したがって、供給電圧Vが高いほど小さな値が設定される補正係数k2に基づいて基準時間Td’を補正することにより、供給電圧Vの実際の値に応じた適切な暖機必要時間Tdを設定することができる。
【0034】
図3のエアブロワ暖機処理ルーチンの説明に戻る。CPU81は、こうして暖機必要時間Tdを設定すると、計測中の暖機時間Tが第1時間T1以上となるのを待つ(S150)。暖機時間Tが第1時間T1以上となると、上述したように目標流量を第1流量Q1から第2流量Q2に引き上げてエアブロワ53の暖機運転を継続する(S160)。そして、CPU81は、計測中の暖機時間Tが、S140で設定した暖機必要時間Td以上となるのを待つ(S170)。暖機時間Tが暖機必要時間Td以上となると、エアブロワ53の暖機運転を終了して(S180)、エアブロワ暖機処理ルーチンを終了する。なお、暖機時間Tが暖機必要時間Td以上となった場合、即ち暖機運転が完了した場合にも、燃料電池36を冷却するために必要に応じてエアブロワ53の駆動を継続してもよい。また、CPU81は、エアブロワ53の駆動を終了すると、暖機時間Tの計測を終了し、計測した暖機時間TをRAM83に記憶されている累積駆動時間Taに加算することにより累積駆動時間Taを更新する。即ち、累積駆動時間Taは、エアブロワ53の暖機時間Tを含むものとなる。
【0035】
また、CPU81は、S110で電池温度te_fcが所定温度tref以上であると判定した場合には、S120〜S180の処理を行うことなくエアブロワ暖機処理ルーチンを終了する。即ち、電池温度te_fcが所定温度tref以上の場合には、エアブロワ53の暖機処理を行わないのである。これにより、電池温度te_fcが高い状態でエアブロワ53の暖機運転を実行してエアが供給されるのを防止することができるから、燃料電池36の電極などの酸化が促進されるのを抑制することができる。
【0036】
以上説明した本実施例の燃料電池システム10は、原燃料ガス供給装置40とエア供給装置50(エアブロワ53)のフィードバック制御を伴って燃料ガスとエアとを供給して燃料電池36の発電制御の実行を開始する前に、燃料ガスの供給を停止した状態でエアブロワ53を暖機必要時間Td(所定時間)に亘って暖機運転する。これにより、発電制御の実行を開始する前に、エアブロワ53を暖機することができるから、発電制御の実行を開始した際のエアブロワ53の駆動を安定させて供給されるエアの流量誤差を抑えることができる。また、暖機必要時間Tdを、補機温度te_amに基づく基準時間Td’を用いて設定するから、暖機時間を適正なものとしてエアブロワ53の暖機の過不足を抑制することができる。
【0037】
また、本実施例の燃料電池システム10では、燃料電池36の電池温度te_fcが所定温度tref以上の場合には、エアブロワ53の暖機運転を実行しないから、燃料電池36の電極などの酸化を抑制することができる。
【0038】
また、本実施例の燃料電池システム10では、エアブロワ53の温度に基づいて設定した基準時間Td’を、エアブロワ53の供給電圧Vに基づいて補正して暖機必要時間Tdを設定するから、供給電圧Vに応じた適切な暖機必要時間Tdを設定することができる。
【0039】
また、本実施例の燃料電池システム10では、エアブロワ53の温度に基づいて設定した基準時間Td’を、エアブロワ53の累積駆動時間Taに基づいて補正して暖機必要時間Tdを設定するから、累積駆動時間Taに応じた適切な暖機必要時間Tdを設定することができる。
【0040】
実施例では、エアブロワ53の供給電圧Vと累積駆動時間Taとに基づいて基準時間Td’を補正して暖機必要時間Tdを設定したが、これに限られず、供給電圧Vと累積駆動時間Taのいずれか一方に基づいて基準時間Td’を補正して暖機必要時間Tdを設定してもよい。あるいは、基準時間Td’を補正して暖機必要時間Tdを設定するものに限られず、基準時間Td’をそのまま暖機必要時間Tdに設定するもの、即ち、エアブロワ53の温度のみに基づいて暖機必要時間Tdを設定するものとしてもよい。
【0041】
実施例では、エアブロワ53の温度として補機室の補機温度te_amを用いるもの、即ち間接に検出したエアブロワ53の温度を用いるものとしたが、これに限られず、エアブロワ53に温度センサを設けその温度センサにより直接検出した温度を用いてもよい。また、燃料電池36の温度として直接に検出した電池温度te_fcを用いたが、これに限られず、燃料電池36の周辺の雰囲気温度を検出するなど、間接に検出した燃料電池36の温度を用いてもよい。
【0042】
実施例では、燃料電池36の電池温度te_fcが所定温度tref以上の場合には、エアブロワ53の暖機処理を行わないものとしたが、これに限られず、燃料電池36の電池温度te_fcに拘わらずエアブロワ53の暖機処理を行うものとしてもよい。ただし、燃料電池36の電極などの酸化の促進を抑制するためには、実施例のように電池温度te_fcに基づいてエアブロワ53の暖機実行有無を決定するものが好ましい。
【0043】
実施例では、エアブロワ53の暖機運転もフィードバック制御により行うものとしたが、これに限られず、エアブロワ53の暖機運転は目標流量Qに基づいて予め定められた制御DUTYでエアブロワ53を駆動制御するものとしてもよい。このようにする場合、累積駆動時間Taが長いほどブロワモータの回転速度が低下する傾向となるから、
図7の補正係数k1の設定マップに代えて、累積駆動時間Taが長いほど補正係数k1が大きくなる傾向の設定マップを用いて補正係数k1を設定するものなどとすればよい。
【0044】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、原燃料ガス供給装置40が「ガス供給装置」に相当し、エアブロワ53が「エアブロワ」に相当し、エア供給装置50が「空気供給装置」に相当し、制御装置80が「制御装置」に相当し、補機温度センサ59が「エアブロワ温度センサ」に相当する。また、燃料電池温度センサ37が「燃料電池温度センサ」に相当し、電圧センサ53aが「供給電圧センサ」に相当し、エアブロワ53の駆動時間を計測するタイマ84と
図5のS200でRAM83から累積駆動時間Taを取得するCPU81とが「累積駆動時間取得手段」に相当する。
【0045】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎない。
【0046】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。