特許第6801349号(P6801349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6801349パターン構造体の製造方法およびインプリント用モールドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801349
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】パターン構造体の製造方法およびインプリント用モールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20201207BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20201207BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 B
   B29C33/38
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-196206(P2016-196206)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-60878(P2018-60878A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100095463
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 潤三
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】市村 公二
(72)【発明者】
【氏名】長井 隆治
(72)【発明者】
【氏名】原田 三郎
(72)【発明者】
【氏名】坪井 理廣
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−216594(JP,A)
【文献】 特表2011−512019(JP,A)
【文献】 特開2014−086668(JP,A)
【文献】 特開2011−066238(JP,A)
【文献】 特開2016−036951(JP,A)
【文献】 特開2015−077758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 33/38
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に単位インプリント領域を有し、反対側の面に前記単位インプリント領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を、前記単位インプリント領域を包含するように有する転写基板を用い、該転写基板の前記単位インプリント領域に、被成形樹脂組成物を供給する供給工程と、
凹凸構造領域に凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させることにより前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層を形成する接触工程と、
前記被成形樹脂層を硬化させることにより転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことにより、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、
前記転写基板の一方の面側からの平面視において、前記単位インプリント領域の中心は、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しておらず、
前記接触工程では、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、前記被成形樹脂組成物が供給された前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させるように前記転写基板および/または前記モールドを傾斜させた状態で、前記モールドと前記転写基板とを近接させることを特徴とするパターン構造体の製造方法。
【請求項2】
前記転写基板は、複数の前記単位インプリント領域からなるインプリント領域を有し、前記複数の単位インプリント領域のうちの少なくとも1つの単位インプリント領域の中心は、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しておらず、前記窪み部の平面視形状の面積は、前記インプリント領域の平面視形状の面積よりも広く、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しない前記中心を有する各単位インプリント領域に対して前記供給工程、前記接触工程、前記硬化工程、前記離型工程を実行することを特徴とする請求項1に記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項3】
前記接触工程では、前記モールドと前記被成形樹脂組成物とを接触した後、前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させたまま、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を平坦化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項4】
前記離型工程では、前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させたまま、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、その後、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことを特徴とする請求項3に記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項5】
前記モールドは、一方の面に前記凹凸構造が位置する前記凹凸構造領域を有し、反対側の面に前記凹凸構造領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記凹凸構造領域を包含するように有し、
前記接触工程では、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を前記転写基板側に凸状の形態となるように湾曲させ、前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記被成形樹脂組成物が供給された前記単位インプリント領域の中心における法線とを一致させるようにして、前記モールドと前記転写基板とを近接させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項6】
前記接触工程では、前記モールドと前記被成形樹脂組成物とを接触した後、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記単位インプリント領域の中心における法線とを一致させたまま、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を平坦化させるとともに、前記転写基板の前記インプリント領域を平坦化させることを特徴とする請求項5に記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項7】
前記離型工程では、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記単位
インプリント領域の中心における法線とを一致させたまま、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を前記転写基板側に凸状の形態となるように湾曲させるとともに、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、その後、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことを特徴とする請求項6に記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項8】
前記モールドは、前記凹凸構造が位置する前記凹凸構造領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項9】
前記転写基板は、前記インプリント領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項10】
前記モールドは、前記凹凸構造領域の周囲に複数のアライメントマークが位置し、
前記転写基板は、前記単位インプリント領域の周囲に複数のアライメントマークを有し、
前記接触工程では、前記転写基板が有する複数の前記アライメントマークと、前記モールドが有する複数の前記アライメントマークとを使用して位置合わせを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のパターン構造体の製造方法。
【請求項11】
凹凸構造が位置する複数の単位凹凸構造領域からなる凹凸構造領域を一方の面に有し、反対側の面に前記凹凸構造領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記凹凸構造領域を包含するように有するインプリント用モールドの製造方法において、
一方の面に複数の単位インプリント領域が画定されているインプリント領域を有するとともに、少なくとも前記インプリント領域に位置するハードマスク材料層を有し、反対側の面に前記インプリント領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記インプリント領域を包含するように有するモールド製造用基板を使用し、各単位インプリント領域の前記ハードマスク材料層上に、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のパターン構造体の製造方法によって、レジストパターン層であるパターン構造体を形成し、
前記パターン構造体を介して前記ハードマスク材料層をエッチングしてハードマスクを形成し、次いで、前記ハードマスクを介して前記モールド製造用基板をエッチングすることを特徴とするインプリント用モールドの製造方法。
【請求項12】
前記モールド製造用基板は、前記インプリント領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載のインプリント用モールドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリントにより転写基板にパターン構造体を形成するパターン構造体の製造方法と、このパターン構造体の製造方法を用いたインプリント用モールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトリソグラフィ技術に代わる微細なパターン形成技術として、インプリント方法を用いたパターン形成技術が注目されている。インプリント方法は、微細な凹凸構造を備えた型部材(モールド)を用い、凹凸構造を被成形樹脂層に転写することで微細構造を等倍転写するパターン形成技術である。例えば、被成形樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用いたインプリント方法では、転写基板の表面に光硬化性樹脂組成物の液滴を供給し、所望の凹凸構造を有するモールドと転写基板とを所定の距離まで近接させて凹凸構造内に光硬化性樹脂組成物を充填し、この状態でモールド側から光を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離すことにより、モールドが備える凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)を有するパターン構造体を形成する。
【0003】
このようなインプリント方法では、モールドと転写基板とを所定の距離まで近接させてモールドの凹凸構造内に光硬化性樹脂組成物を充填する際に、気泡の残留によりパターン欠陥が生じる場合がある。このような気泡の残留を防止するために、転写基板をモールド側に凸状に湾曲させた状態、および/または、モールドを転写基板側に凸状に湾曲させた状態でモールドと転写基板とを近接させ、モールドの凹凸構造領域の中央と転写基板のインプリント領域の中央において光硬化性樹脂組成物と接触させ、その後、徐々に凹凸構造領域の外周側へと接触させて、光硬化性樹脂組成物の充填とともに気泡を排除することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−512019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、転写基板をモールド側に凸状に湾曲させた状態でモールドと転写基板とを近接させる場合において、転写基板が湾曲して最もモールド側に凸状となっている部位と、インプリント領域の中心とが一致しない場合、例えば、湾曲した転写基板の傾斜面にインプリント領域が存在する場合には、以下のような問題がある。すなわち、転写基板のインプリント領域に供給された光硬化性樹脂組成物の液滴とモールドとが最初に接触する位置は、インプリント領域の中央から外れることとなる。このため、インプリント領域における光硬化性樹脂組成物の展開が不均一となり、液滴とモールドとが最初に接触する位置に近いインプリント領域の端部では、光硬化性樹脂組成物のはみ出し量が多くなり、インプリント領域の反対側の端部では光硬化性樹脂組成物の未充填が発生するおそれがある。また、形成したパターン構造体における残膜(モールドと転写基板との間隙において形成された膜部)の厚み分布の均一性が損なわれるおそれがある。
【0006】
また、インプリントを複数回行って転写基板に多面でパターンを形成する場合、湾曲した転写基板の傾斜面にインプリント領域が存在する状態が必然的に生じ、上記のような問題が発生する。例えば、マスターモールドを用いたインプリントにより、凹凸構造領域を多面で備えるレプリカモールドを作製する場合において、レプリカモールド用の転写基板として、凹凸構造領域を形成する面と反対側の面に窪み部を有する転写基板を用いて、転写基板をモールド側に凸状に湾曲させた状態でモールドと転写基板とを近接させるインプリントを複数回行う場合に、上記のような問題が発生する。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、転写基板にパターン構造体を高い精度で形成することができるパターン構造体の製造方法と、このパターン構造体の製造方法を用いたインプリント用モールドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明のパターン構造体の製造方法は、一方の面に単位インプリント領域を有し、反対側の面に前記単位インプリント領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を、前記単位インプリント領域を包含するように有する転写基板を用い、該転写基板の前記単位インプリント領域に、被成形樹脂組成物を供給する供給工程と、凹凸構造領域に凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させることにより前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層を形成する接触工程と、前記被成形樹脂層を硬化させることにより転写樹脂層とする硬化工程と、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことにより、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、前記転写基板の一方の面側からの平面視において、前記単位インプリント領域の中心は、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しておらず、前記接触工程では、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、前記被成形樹脂組成物が供給された前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させるように前記転写基板および/または前記モールドを傾斜させた状態で、前記モールドと前記転写基板とを近接させるような構成とした。
【0008】
本発明の他の態様として、前記転写基板は、複数の前記単位インプリント領域からなるインプリント領域を有し、前記複数の単位インプリント領域のうちの少なくとも1つの単位インプリント領域の中心は、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しておらず、前記窪み部の平面視形状の面積は、前記インプリント領域の平面視形状の面積よりも広く、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域の中心に一致しない前記中心を有する各単位インプリント領域に対して前記供給工程、前記接触工程、前記硬化工程、前記離型工程を実行するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記接触工程では、前記モールドと前記被成形樹脂組成物とを接触した後、前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させたまま、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を平坦化させるような構成とした。
【0009】
本発明の他の態様として、前記離型工程では、前記単位インプリント領域の中心における法線と、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線とを一致させたまま、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、その後、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すような構成とした。
本発明の他の態様として、前記モールドは、一方の面に前記凹凸構造が位置する前記凹凸構造領域を有し、反対側の面に前記凹凸構造領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記凹凸構造領域を包含するように有し、前記接触工程では、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を前記転写基板側に凸状の形態となるように湾曲させ、前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記被成形樹脂組成物が供給された前記単位インプリント領域の中心における法線とを一致させるようにして、前記モールドと前記転写基板とを近接させるような構成とした。
【0010】
本発明の他の態様として、前記接触工程では、前記モールドと前記被成形樹脂組成物とを接触した後、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記単位インプリント領域の中心における法線とを一致させたまま、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を平坦化させるとともに、前記転写基板の前記インプリント領域を平坦化させるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記離型工程では、前記モールドの前記凹凸構造領域の中心における法線と、前記単位インプリント領域の中心における法線とを一致させたまま、前記モールドの前記窪み部が存在する領域を前記転写基板側に凸状の形態となるように湾曲させるとともに、前記転写基板の前記窪み部が存在する領域を前記モールド側に凸状の形態となるように湾曲させ、その後、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すような構成とした。
【0011】
本発明の他の態様として、前記モールドは、前記凹凸構造が位置する前記凹凸構造領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいような構成とした。
本発明の他の態様として、前記転写基板は、前記インプリント領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいような構成とした。
本発明の他の態様として、前記モールドは、前記凹凸構造領域の周囲に複数のアライメントマークが位置し、前記転写基板は、前記単位インプリント領域の周囲に複数のアライメントマークを有し、前記接触工程では、前記転写基板が有する複数の前記アライメントマークと、前記モールドが有する複数の前記アライメントマークとを使用して位置合わせを行うような構成とした。
【0012】
本発明のインプリント用モールドの製造方法は、凹凸構造が位置する複数の単位凹凸構造領域からなる凹凸構造領域を一方の面に有し、反対側の面に前記凹凸構造領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記凹凸構造領域を包含するように有するインプリント用モールドの製造方法であって、一方の面に複数の単位インプリント領域が画定されているインプリント領域を有するとともに、少なくとも前記インプリント領域に位置するハードマスク材料層を有し、反対側の面に前記インプリント領域の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部を前記インプリント領域を包含するように有するモールド製造用基板を使用し、各単位インプリント領域の前記ハードマスク材料層上に、上述のパターン構造体の製造方法によって、レジストパターン層であるパターン構造体を形成し、前記パターン構造体を介して前記ハードマスク材料層をエッチングしてハードマスクを形成し、次いで、前記ハードマスクを介して前記モールド製造用基板をエッチングするような構成とした。
【0013】
本発明の他の態様として、前記モールド製造用基板は、前記インプリント領域が、周囲から突出した凸構造部の表面に存在するものであり、該凸構造部の平面視形状の面積は前記窪み部の平面視形状の面積よりも小さいような構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、パターンを形成する面と反対側の面に窪み部を有する転写基板に、高精度のパターン構造体を安定して作製することができる。また、凹凸構造を多面付けで有するインプリント用モールドを高い精度で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用するモールドの一例を示す平面図である。
図2図2は、図1に示される転写基板のI−I線における断面図である。
図3図3は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用する転写基板の一例を示す平面図である。
図4図4は、図3に示される転写基板のII−II線における断面図である。
図5図5は、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
図6図6は、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
図7図7は、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
図8図8は、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
図9図9は、単位インプリント領域の中心を示す図である。
図10図10は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用するモールドの他の例を示す平面図である。
図11図11は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用する転写基板の他の例を示す平面図である。
図12図12は、窪み部を有していないモールドを使用しての接触工程を説明するための図であり、図6(A)に相当する図である。
図13図13は、本発明のインプリント用モールドの製造方法により製造するモールドの一例を示す平面図である。
図14図14は、図13に示されるモールドのIII−III線における断面図である。
図15図15は、本発明のインプリント用モールドの製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
【0017】
[パターン構造体の製造方法]
本発明のパターン構造体の製造方法は、供給工程、接触工程、硬化工程、離型工程を有している。
図1は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用するモールドの一例を示す平面図であり、図2は、図1に示される転写基板のI−I線における断面図である。図1および図2において、モールド11は、基部12と、この基部12の一方の面12aに周囲から突出している凸構造部14を有する、いわゆるメサ構造を備えている。凸構造部14の表面14aには凹凸構造領域15が画定されており、この凹凸構造領域15に凹凸構造16が位置している。また、基部12の反対側の面12bには、凸構造部14の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部17を、凸構造部14を包含するように有している。したがって、基部12の凸構造部14の周囲であって、窪み部17が位置する部位は、薄肉部18となっている。図1では、窪み部17の周縁を一点鎖線で示している。
【0018】
このようなモールド11の材質は適宜選択することができる。例えば、使用する被成形樹脂組成物が光硬化性である場合、照射光が透過可能な透明基板を用いて形成することができ、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。モールド11の厚みは凹凸構造の形状、材料強度、取り扱い適性等を考慮するとともに、窪み部17側からの加圧により薄肉部18が凸状に湾曲可能となるように設定することができ、例えば、基部12の厚みは300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができ、薄肉部18の厚みは300μm〜2mm程度の範囲で適宜設定することができる。尚、モールド11は、基部12の一方の面12aに周囲から突出している凸構造部14を有していないものであってもよい。
【0019】
また、図3は、本発明のパターン構造体の製造方法において使用する転写基板の一例を示す平面図であり、図4は、図3に示される転写基板のII−II線における断面図である。図3および図4において、転写基板21は、基部22と、この基部22の一方の面22aに周囲から突出している凸構造部24を有する、いわゆるメサ構造を備えている。凸構造部24の表面24aには、複数の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dが画定されているインプリント領域23を有している。また、基部22の反対側の面22bには、凸構造部24の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部27を、凸構造部24を包含するように有している。図4では、窪み部27の周縁を一点鎖線で示しており、基部22の凸構造部24の周囲であって、窪み部27が位置する部位は、薄肉部28となっている。また、図4では、単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dをそれぞれ鎖線で囲んで示している。尚、図示例では、インプリント領域23は4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dで構成されているが、単位インプリント領域の数、配置には特に制限はない。また、インプリント領域23に1箇所の単位インプリント領域のみが画定されているものであってもよい。
【0020】
転写基板21としては、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス、サファイアや窒化ガリウム、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂基板、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。これらの材料は、光透過性を有しており、本発明によりパターン構造体を形成した後の転写基板21に光透過性が要求される場合には好適である。また、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってもよい。さらに、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
また、転写基板21は、基部22の面22a上、凸構造部24の面24a上にハードマスク材料層を有しているものであってもよい。さらに、転写基板21は、基部22の一方の面22aに周囲から突出している凸構造部24を有していないものであってもよい。
次に、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を、上記のようなモールド11および転写基板21を使用した例として説明する。
図5図6図7および図8は、本発明のパターン構造体の製造方法の一実施形態を説明するための工程図であり、図2図4に相当する断面で示している。以下に図5図8を参照しながら本発明のパターン構造体の製造方法を説明する。
【0021】
<供給工程>
まず、基板保持部材121に転写基板21を装着し、この基板保持部材121と転写基板21の窪み部27とで形成される空間Sに、図示しない流体供給排出機構により空気等の流体を圧入して加圧することにより、転写基板21の薄肉部28を凸構造体24側が凸状の形態となるように湾曲させる(図5(A))。
基板保持部材121には特に制限はなく、吸引保持方式、機械保持方式、静電吸着保持方式等の手段により転写基板21が保持可能であり、基板保持部材121と転写基板21の窪み部27とで形成される空間Sを液密状態、気密状態することができるものであればよい。また、流体供給排気機構は、基板保持部材121と転写基板21の窪み部27とで形成される空間Sに流体を供給して、転写基板21の薄肉部28を湾曲させ、また、この空間Sから流体を排出して、転写基板21の薄肉部28を元の状態に平坦化することが可能なものであればよい。
【0022】
供給工程では、転写基板21の所望の単位インプリント領域に被成形樹脂組成物の液滴31を供給する(図5(B))。図示例では、単位インプリント領域23Aに被成形樹脂組成物の液滴31が供給されている。液滴31の供給は、インクジェットヘッドからの液滴の吐出、ディスペンサーからの供給等により行うことができる。
被成形樹脂組成物は、インクジェットヘッド、ディスペンサー等の供給手段からの供給が可能な流動性を有するものであればよく、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物等を挙げることができる。例えば、光硬化性樹脂組成物としては、主剤、開始剤、架橋剤により構成され、また、必要に応じて、モールド11との付着を抑制するための離型剤や、転写基板21との密着性を向上させるための密着剤を含有しているものであってよい。そして、製造するパターン構造体の用途、要求される特性、物性等に応じて、使用する被成形樹脂組成物を適宜選択することができる。例えば、パターン構造体の用途がリソグラフィ用途であれば、エッチング耐性を有し、粘度が低く残膜厚みが少ないことが要求され、パターン構造体の用途が光学部材であれば、特定の屈折率、光透過性が要求され、これらの要求に応じて被成形樹脂組成物を適宜選択することができる。但し、いずれの用途であっても、使用するインクジェットヘッド等の供給手段への適合性を満たす特性(粘度、表面張力等)を具備していることが要求される。尚、インクジェットヘッドは、その構造および材質等に応じて、適合する液体の粘度、表面張力等が異なる。このため、使用する被成形樹脂組成物の粘度や表面張力等を適宜に調整すること、あるいは、使用する被成形樹脂組成物に適合するインクジェットヘッドを適宜に選択することが好ましい。
【0023】
また、転写基板21の単位インプリント領域23A上に供給する被成形樹脂組成物の液滴31の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる被成形樹脂組成物の総量、転写基板21に対する被成形樹脂組成物の濡れ性、後工程である接触工程における転写基板21とモールド11との間隙の大きさ等から適宜設定することができる。
尚、単位インプリント領域23Aに被成形樹脂組成物の液滴31を供給した後、転写基板21の薄肉部28を凸構造体24側が凸状の形態となるように湾曲させてもよい。
【0024】
<接触工程>
モールド保持部材111にモールド11を装着し、このモールド保持部材111とモールド11の窪み部17とで形成される空間S′に、図示しない流体供給排出機構により空気等の流体を圧入して加圧することにより、モールド11の薄肉部18を、凸構造体14側が凸状の形態となるように湾曲させる(図5(C))。
モールド保持部材111には特に制限はなく、吸引保持方式、機械保持方式、静電吸着保持方式等の手段によりモールド11が保持可能であり、モールド保持部材111とモールド11の窪み部17とで形成される空間S′を液密状態、気密状態することができるものであればよい。また、流体供給排気機構は、モールド保持部材111とモールド11の窪み部17とで形成される空間S′に流体を供給して、モールド11の薄肉部18を湾曲させ、また、この空間S′から流体を排出して、モールド11の薄肉部18を元の状態に平坦化することが可能なものであればよい。
【0025】
接触工程では、上記のように薄肉部28を凸構造体24側が凸状の形態となるように湾曲させた転写基板21と、上記のように薄肉部18を凸構造体14側が凸状の形態となるように湾曲させたモールド11とを近接させる。本発明では、このような転写基板21とモールド11との近接を、図6(A)に示すように、転写基板21の被成形樹脂組成物が供給された単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′とを一致させるようにして、モールド11と転写基板21とを近接させる。尚、図6(A)では、法線Nを実線、法線N′を二点鎖線で示している。ここで、転写基板21の被成形樹脂組成物が供給された単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′とを一致させるとは、法線Nと法線N′とが完全に一致する場合に加えて、法線Nの方向と法線N′の方向との間に0.002°以下の相違が存在する場合を包含する概念である。
図9は、転写基板21のインプリント領域23を示す部分平面図である。図9では、4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dが画定されているインプリント領域23の中で、被成形樹脂組成物の液滴31が供給され、モールド11が近接する対象となっている単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dの中心Cを示している。単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dの中心Cは、各単位インプリント領域の外郭で定まる図形の重心とすることができる。同様に、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′も、凹凸構造領域15の外郭で定まる図形の重心とすることができる。
【0026】
上記のように、転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′とを一致させるには、例えば、以下のような方法を用いることができる。まず、転写基板21の薄肉部28が平坦状態と凸構造体24側が凸状の形態となるような湾曲状態との間で変化するときの、単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nの変化を、予め計測あるいはシミュレーションで把握する。また、基板保持部材121を操作して転写基板21の向きを変化させた場合の法線Nの変化も、予め計測あるいはシミュレーションで把握する。他の単位インプリント領域23B,23C,23Dについても同様に、法線Nの変化を把握する。同様に、モールド11についても、薄肉部18が平坦状態と凸構造体14側が凸状の形態となるように湾曲状態との間で変化するときの、凹凸構造領域15の中心C′における法線N′の変化を、予め計測あるいはシミュレーションで把握する。また、モールド保持部材111を操作してモールド1の向きを変化させた場合の法線N´の変化も、予め計測あるいはシミュレーションで把握する。このように把握した法線N、法線N´の変化予測データを基に、モールド保持部材111および/または基板保持部材121を操作して、モールド11の向きと転写基板21の向きを相対的に調整することにより、法線Nと法線N′とを一致することができる。
【0027】
図6(A)に示される例では、転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nの方向が鉛直方向から外れているので、この法線Nの方向と法線N′の方向が一致するようにモールド保持部材111を操作する。また、例えば、基板保持部材121を操作して、薄肉部28を湾曲させた転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nを鉛直方向とし、その後、凹凸構造領域15の中心C′における法線N′が鉛直方向となるようにモールド11を保持したモールド保持部材111を操作して、法線Nと法線N′とを一致するようにしてモールド11を転写基板21に近接させてもよい。
このようにして転写基板21とモールド11とを近接することにより、モールド11と転写基板21の単位インプリント領域23Aとの間に被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層32を形成する(図6(B))。このような転写基板21とモールド11との近接では、単位インプリント領域23Aに供給された被成形樹脂組成物の液滴31とモールド11が最初に接触する位置は、単位インプリント領域23Aの中央となり、これにより単位インプリント領域23Aにおける被成形樹脂組成物の展開が均一となり、形成される被成形樹脂層32における残膜部位(モールド11と転写基板21との間隙に存在する部位)の厚み分布の均一なものとなる。
【0028】
また、本実施形態では、接触工程において、上記のように転写基板21とモールド11とを近接させて被成形樹脂層32を形成した後、単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′とを一致させたまま、転写基板21の窪み部27が存在する領域の薄肉部28を平坦化させ、モールド11の窪み部17が存在する領域の薄肉部18を平坦化させる(図7(A))。このようなモールド11の薄肉部18の平坦化は、図示しない流体供給排出機構により、モールド保持部材111とモールド11の窪み部17とで形成される空間S′から流体を排出することにより行うことができる。同様に、転写基板21の薄肉部28の平坦化は、図示しない流体供給排出機構により、基板保持部材121と転写基板21の窪み部27とで形成される空間Sから流体を排出することにより行うことができる。図6(B)に示される例では、転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nの方向が鉛直方向から外れているので、転写基板21の薄肉部28の平坦化の進行に伴って、法線Nの方向が鉛直方向となるように変化する。したがって、モールド11の薄肉部18の平坦化を進めるとともに、モールド11の中心C′における法線N′が、単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと一致するように、モールド保持部材111を操作する。
【0029】
後述の硬化工程の前に、上記のようにモールド11の薄肉部18を平坦化させるとともに、転写基板21の薄肉部28を平坦化させることにより、被成形樹脂層32における残膜部位(モールド11と転写基板21との間隙に存在する部位)の厚み分布がより均一なものとなる。
尚、上記のように、インプリント領域23に1箇所の単位インプリント領域のみが画定されている場合、この1箇所の単位インプリント領域について、上記の単位インプリント領域23Aと同様の操作を行うことができる。
【0030】
<硬化工程>
次いで、モールド11側から光照射を行い、被成形樹脂層32を硬化させて、モールド11の凹凸構造16が転写された転写樹脂層33とする(図7(B))。この硬化工程では、転写基板21が光透過性の材料からなる場合、転写基板21側から光照射を行ってもよく、また、転写基板21とモールド11の両側から光照射を行ってもよい。
また、被成形樹脂組成物が熱硬化性樹脂である場合には、被成形樹脂層32に対して加熱処理を施すことにより硬化させることができる。
【0031】
<離型工程>
次に、離型工程にて、単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと、モールド11の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′とを一致させたまま、転写基板21の窪み部27が存在する領域の薄肉部28を湾曲させ、モールド11の窪み部17が存在する領域の薄肉部18を湾曲させる(図8(A))。このようなモールド11の薄肉部18の湾曲は、図示しない流体供給排出機構により、モールド保持部材111とモールド11の窪み部17とで形成される空間S′に流体を圧入して加圧することにより行うことができる。同様に、転写基板21の薄肉部28の湾曲は、図示しない流体供給排出機構により、基板保持部材121と転写基板21の窪み部27とで形成される空間Sに流体を圧入して加圧することにより行うことができる。図8(A)に示される例では、薄肉部28の湾曲が進むにしたがって、転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nの方向は鉛直方向から外れることとなる。したがって、モールド11の薄肉部18の湾曲を進めるとともに、モールド11の中心C′における法線N′が、単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと一致するように、モールド保持部材111を操作する。
【0032】
次いで、転写樹脂層31とモールド11とを引き離して、転写樹脂層33であるパターン構造体35を転写基板21の単位インプリント領域23A上に位置させた状態とする(図8(B))。上記のようにモールド11の薄肉部18を湾曲させるとともに、転写基板21の薄肉部28を湾曲させた後、転写樹脂層31とモールド11との引き離しを行うことにより、転写樹脂層31とモールド11とが接触している領域の外周側からの引き離しが容易となり、形成したパターン構造体35の欠陥発生、モールド11の損傷を防止することができる。
その後、インプリント領域23を構成する他の単位インプリント領域23B,23C,23Dに、上記の供給工程、接触工程、硬化工程、離型工程を繰り返して、パターン構造体35を順次形成する。
このようなパターン構造体の製造方法では、窪み部を有する転写基板に、高精度のパターン構造体を多面付けで安定して作製することができる。
【0033】
本発明では、転写基板21が基部22の面22a上、凸構造部24の面24a上にハードマスク材料層を有している場合、上記のように、インプリント領域23を構成する全ての単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dにおいて、ハードマスク材料層上にパターン構造体35を形成した後、このパターン構造体をエッチングマスクとして、4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dにおいて同時にハードマスク材料層のエッチングを行うことができる。また、1箇所の単位インプリント領域毎に、パターン構造体35の形成、このパターン構造体をエッチングマスクとしたハードマスク材料層のエッチングを行ってもよい。
また、本発明では、例えば、上述の実施形態において使用するモールド11を、図10に示すように、凸構造部14の周囲の四隅にアライメントマーク51を備えたものとし、また、転写基板11を、図11に示すように、凸構造部24の周囲に、各単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dに対応したアライメントマーク55を備えたものとしてもよい。そして、接触工程において、所望の単位インプリント領域、例えば、図11に示される単位インプリント領域23Aに対するモールド11を用いたインプリントでは、転写基板21が有するアライメントマーク55の中の○で囲んだ3箇所のアライメントマーク55と、モールド11の4箇所のアライメントマーク51とを用いて位置合わせを行ってもよい。
【0034】
上述の実施形態は例示であり、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、モールド11は、窪み部17を有していないものであってもよい。図12は、このような窪み部17を有していないモールド11′を使用しての接触工程を説明するための図であり、図6(A)に相当する図である。図12に示されるように、モールド保持部材111に保持されたモールド11′は、上述の実施形態におけるモールド11の湾曲、平坦化の操作が不要となるが、モールド11′の凹凸構造領域15の中心C′における法線N′を、転写基板21の単位インプリント領域23Aの中心Cにおける法線Nと一致させる操作は、同様に行う必要がある。これにより、単位インプリント領域23Aに供給された被成形樹脂組成物の液滴31とモールド11′とが最初に接触する位置は、単位インプリント領域23Aの中央となる。したがって、単位インプリント領域23Aにおける被成形樹脂組成物の展開が均一となり、形成される被成形樹脂層における残膜部位(モールド11′と転写基板21との間隙に存在する部位)の厚み分布の均一なものとなる。
【0035】
また、接触工程で、転写基板21とモールド11とを近接させて被成形樹脂層32を形成した後、転写基板21の窪み部27が存在する領域の薄肉部28の平坦化、モールド11の窪み部17が存在する領域の薄肉部18の平坦化を行った場合であっても、離型工程では、モールド11の薄肉部18の湾曲、転写基板21の薄肉部28の湾曲を行わず、転写樹脂層31とモールド11との引き離しを行ってもよい。
【0036】
[インプリント用モールドの製造方法]
図13は、本発明のインプリント用モールドの製造方法により製造するモールドの一例を示す平面図であり、図14は、図13に示されるモールドのIII−III線における断面図である。図13図14に示されるモールド41は、基部42と、この基部42の一方の面42aに周囲から突出している凸構造部44を有している。この凸構造部44の表面44aには、4箇所の単位凹凸構造領域43A,43B,43C,43Dからなる凹凸構造領域43が画定されており、4箇所の単位凹凸構造領域43A,43B,43C,43Dには凹凸構造46が位置している。また、基部42の反対側の面42bには、凹凸構造領域43の平面視形状よりも広い面積の平面視形状をもつ窪み部47を凹凸構造領域43を包含するように有している。尚、図13では、窪み部47の周縁を一点鎖線で示しており、凹凸構造46を省略している。また、図示例では、凹凸構造領域43は4箇所の単位凹凸構造領域43A,43B,43C,43Dで構成されているが、単位凹凸構造領域の数、配置には特に制限はない。
【0037】
次に、本発明のインプリント用モールドの製造方法の一例を、上記のモールド41の製造を例として説明する。図15は、本発明のインプリント用モールドの製造方法の一実施形態を示す工程図であり、図14に相当する断面を示している。
本実施形態では、上述の転写基板21の基部22の面22a上、凸構造部24の表面24a上にハードマスク材料層29を備えた基板を、モールド製造用基板21′として使用する。このため、モールド製造用基板21′において転写基板21と同じ部材には同じ部材番号を付して示している。このモールド製造用基板21´における4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dは、インプリント用モールド41において4箇所の単位凹凸構造領域43A,43B,43C,43Dとなる。また、モールド製造用基板21´における窪み部27は、インプリント用モールド41における窪み部47となる。
本発明のインプリント用モールドの製造方法では、本発明のパターン構造体の製造方法により、モールド製造用基板21′のハードマスク材料層29上の4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dに、レジストパターン層であるパターン構造体35を形成する(図15(A))。
【0038】
次に、パターン構造体35を介してハードマスク材料層29をエッチングしてハードマスク29´を形成する(図15(B))。
次いで、ハードマスク29′を介してモールド製造用基板21′をエッチングして凹凸構造46を形成することにより、図13図14に示すようなインプリント用モールド41を得ることができる。このように、形成したハードマスク29′をマスクとして、4箇所の単位インプリント領域23A,23B,23C,23Dにおいて同時時にモールド製造用基板21′をエッチングするので、4箇所の単位凹凸構造領域43A,43B,43C,43Dに形成される凹凸構造46の凹部深さが均一なものとなる。
このような本発明のインプリント用モールドの製造方法では、凹凸構造が位置する単位凹凸構造領域を多面付けで有するインプリント用モールドを高い精度で製造することができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、モールド製造用基板21′は、凸構造部24を備えていないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
インプリント法に使用するレプリカモールド等、微細な凹凸構造を多面付けで有するパターン構造体の形成を必要とする種々の加工に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
11…モールド
14…凸構造部
15…凹凸構造領域
16…凹凸構造
17…窪み部
21…転写基板
23…インプリント領域
23A,23B,23C,23D…単位インプリント領域
24…凸構造部
27…窪み部
31…液滴
32…被成形樹脂層
33…転写樹脂層
35…パターン構造体
21′…モールド製造用基板
29…ハードマスク材料層
29′…ハードマスク
41…インプリント用モールド
43…凹凸構造領域
43A,43B,43C,43D…単位凹凸構造領域
46…凹凸構造
47…窪み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15