特許第6801402号(P6801402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801402
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】アンテナ方向調整システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/28 20060101AFI20201207BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20201207BHJP
   B64D 39/00 20060101ALI20201207BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20201207BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20201207BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20201207BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H01Q1/28
   B64C39/02
   B64D39/00
   B64D27/24
   B64D47/00
   H01Q3/08
   G01R29/08 A
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-230971(P2016-230971)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-88622(P2018-88622A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】廣木 修
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−219592(JP,A)
【文献】 特開平05−226920(JP,A)
【文献】 特開平05−302947(JP,A)
【文献】 特表2016−505441(JP,A)
【文献】 特開2018−074248(JP,A)
【文献】 特開2018−062324(JP,A)
【文献】 特開2002−158608(JP,A)
【文献】 米国特許第09590298(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0336677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/28
B64C 39/02
B64D 27/24
B64D 39/00
B64D 47/00
G01R 29/08
H01Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の指向性アンテナを有する、三次元空間を飛行する無人飛行体と、前記第1の指向性アンテナとの間で電波を送受信する第2の指向性アンテナを有する調整補助装置と、を含むアンテナ方向調整システムであって、
前記第1の指向性アンテナの方位角及び仰角を可変させる角度可変部と、
前記無人飛行体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて前記無人飛行体と前記調整補助装置との位置関係を算出する算出部と、
前記算出部で算出された位置関係に基づいて、前記角度可変部を制御する角度制御部と、
前記第1及び第2の指向性アンテナを介して送受信された前記電波の品質を測定する測定部と、
前記第1及び第2の指向性アンテナを介さずに前記無人飛行体と前記調整補助装置との間で通信する通信部と、
を備える、
アンテナ方向調整システム。
【請求項2】
前記算出部は、前記位置情報に基づいて、水平面上における前記無人飛行体から見た前記調整補助装置の方位を示す第1の方位情報、及び、垂直面における前記無人飛行体から見た前記調整補助装置の方位を示す第2の方位情報を算出し、
前記角度制御部は、算出した前記第1の方位情報及び前記第2の方位情報に基づいて前記角度可変部を制御する、
請求項1に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項3】
前記角度制御部は、所定の方位角及び仰角を中心値として、前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角を変化させるように、前記角度可変部を制御し、
前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角が変化するごとに、前記第1の指向性アンテナと前記第2の指向性アンテナとの間で前記電波を送受信が行われ、前記測定部は、当該電波の品質を測定する、
請求項1又は2に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項4】
前記測定部によって測定された前記電波の品質に基づいて、前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角を選択する選択部をさらに備える、
請求項3に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項5】
前記角度可変部は、前記無人飛行体の向きを変えることにより、前記第1の指向性アンテナの前記方位角を可変させる、請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項6】
前記角度可変部は、
水平面上で回転する第1のステップモータと、
前記第1のステップモータの回転を前記第1の指向性アンテナに伝達する第1の回転軸と、
垂直面上で回転する第2のステップモータと、
前記第2のステップモータの回転を前記第1の指向性アンテナに伝達する第2の回転軸と、
を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項7】
前記無人飛行体は、前記無人飛行体に電力を供給する電力供給線を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナ方向調整システム。
【請求項8】
前記調整補助装置は、前記無人飛行体とは別の無人飛行体である、請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナ方向調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ方向調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の2地点間にLAN(Local Area Network)を敷設する際、物理的制約から有線配線ができないような場合には、例えば、有線配線の代替手段として、無線通信を介してLANアクセスポイント同士を接続させることにより、LANの敷設を実現する。この際、LANアクセスポイント間の距離が長い場合には、当該LANアクセスポイント以外からの電波によるLANアクセスポイント間の無線通信への干渉を少なくする観点から、当該LANアクセスポイントには指向性アンテナが設けられることが一般的である。そして、当該指向性アンテナの設置位置としては、建物等の壁面、新設又は既設の支柱等が候補となる。
【0003】
ところで、上記指向性アンテナの設置の際には、施工者が、事前に当該指向性アンテナと同等の性能を持つ試験用の指向性アンテナを設置候補位置に設置して、疑似的に無線LANを敷設する。そして、作業員が、上記試験用指向性アンテナの方向を調整し、疑似的に敷設した無線LANにおける通信特性(電波品質)を測定し、当該無線LANにおいて所望の通信特性が実際に確立できるかどうかの事前検証を行う。
【0004】
具体的には、上述の事前検証は、試験用指向性アンテナ、試験用無線ユニット、及び測定機材等を当該設置候補位置に仮設することにより行われる。そして、試験用指向性アンテナ等を仮設した後に、作業員が、目視により試験用指向性アンテナの方向を調整する。もしくは、下記の特許文献1及び特許文献2で示されるシステムを用いて、試験用指向性アンテナの方向を調整する。さらに、上記試験用指向性アンテナの方向の調整後、通信特性の測定を行い、測定結果を検討することにより、当該設置候補位置が、無線LANにおいて継続的に使用するための常設用の指向性アンテナの設置位置として適格か否かを判断する。
【0005】
ところで、事前に、設置候補位置における周囲環境や建物等からの影響等を理論的に予測し、当該予測に基づき、所望の通信特性を確保するための常設用指向性アンテナの方向等を決定し、決定に従って常設用指向性アンテナを設置するという方法も考えられる。しかしながら、実際には、周囲環境の地面や建物、樹木等の様々な要因から影響を受けるため、予測通りにはいかないことが多い。従って、上述の事前検証を行うことなしに、常設用指向性アンテナを設置してしまった場合には、反射波等の影響により設置した位置が設置場所として不適格であったり、常設用指向性アンテナの方向の調整が不十分であったりすることにより、所望する通信特性が得られないことがある。そして、場合によっては、常設用指向性アンテナの設置が無駄になってしまうこともある。従って、LANアクセスポイントとして常設用指向性アンテナを設ける場合には、上述のような事前検討を行うことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−226920号公報
【特許文献2】特開2002−271124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、周囲の景観や、設置される建物等の所有者等の希望により、指向性アンテナを設置できる位置は、制限されることが多く、高所であったり、設置作業を行うためには狭い場所であったりすることが多い。従って、所望の通信特性が確保できるような位置であっても、施工者が大きな測定機材を仮設する作業を行うことができない等の理由により、試験用指向性アンテナ等の設置を断念しなくてはいけない場合がある。また、設置候補位置が高所である場合には、高所作業車や施工者等によって、試験用指向性アンテナ等を仮設することになる。このような場合、高所作業車及びその停車場所の確保が必要となり、さらに高所での危険作業のために施工者の安全確保のための設備等が必要となることから、事前検証に係る時間や費用を抑えることが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、指向性アンテナの設置が難しい位置であっても、当該指向性アンテナの方向の調整や、当該指向性アンテナを用いた電波品質の測定等の事前検証を容易に行うことができる、新規かつ改良されたアンテナ方向調整システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の指向性アンテナを有する、三次元空間を飛行する無人飛行体と、前記第1の指向性アンテナとの間で電波を送受信する第2の指向性アンテナを有する調整補助装置と、を含むアンテナ方向調整システムであって、前記第1の指向性アンテナの方位角及び仰角を可変させる角度可変部と、前記無人飛行体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて前記無人飛行体と前記調整補助装置との位置関係を算出する算出部と、前記算出部で算出された位置関係に基づいて、前記角度可変部を制御する角度制御部と、前記第1及び第2の指向性アンテナを介して送受信された前記電波の品質を測定する測定部と、前記第1及び第2の指向性アンテナを介さずに前記無人飛行体と前記調整補助装置との間で通信する通信部と、
を備える、アンテナ方向調整システムが提供される。
【0010】
前記算出部は、前記位置情報に基づいて、水平面上における前記無人飛行体から見た前記調整補助装置の方位を示す第1の方位情報、及び、垂直面における前記無人飛行体から見た前記調整補助装置の方位を示す第2の方位情報を算出し、前記角度制御部は、算出した前記第1の方位情報及び前記第2の方位情報に基づいて前記角度可変部を制御してもよい。
【0011】
前記角度制御部は、所定の方位角及び仰角を中心値として、前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角を変化させるように、前記角度可変部を制御し、前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角が変化するごとに、前記第1の指向性アンテナと前記第2の指向性アンテナとの間で前記電波を送受信が行われ、前記測定部は、当該電波の品質を測定してもよい。
【0012】
前記アンテナ方向調整システムは、前記測定部によって測定された前記電波の品質に基づいて、前記第1の指向性アンテナの前記方位角及び前記仰角を選択する選択部をさらに備えてもよい。
【0013】
前記角度可変部は、前記無人飛行体の向きを変えることにより、前記第1の指向性アンテナの前記方位角を可変させてもよい。
【0014】
前記角度可変部は、水平面上で回転する第1のステップモータと、前記第1のステップモータの回転を前記第1の指向性アンテナに伝達する第1の回転軸と、垂直面上で回転する第2のステップモータと、前記第2のステップモータの回転を前記第1の指向性アンテナに伝達する第2の回転軸と、を有していてもよい。
【0015】
前記無人飛行体は、前記無人飛行体に電力を供給する電力供給線を有していてもよい。
【0016】
前記調整補助装置は、前記無人飛行体とは別の無人飛行体であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、指向性アンテナの設置が難しい位置であっても、当該指向性アンテナの方向の調整や、当該指向性アンテナを用いた電波品質の測定等の事前検証を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の構成を説明する説明図である。
図2】同実施形態に係る指向性アンテナ420a、420bの仰角を説明する説明図である。
図3】同実施形態に係る指向性アンテナ420a、420bの方位角を説明する説明図である。
図4】同実施形態に係る無人飛行体40の外観の模式図である。
図5】同実施形態に係る無人飛行体40のブロック図である。
図6】同実施形態に係るアンテナ可変ユニット430の構成を説明する説明図である。
図7】同実施形態に係るサーバ70のブロック図である。
図8】同実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作フロー図である。
図9】同実施形態に係る動作フローのうちの方位角調整ステップS100のシーケンス図である。
図10】同実施形態に係る動作フローのうちの仰角調整ステップS200のシーケンス図である。
図11】同実施形態に係る動作フローのうちの電波品質測定ステップS300の動作フロー図である。
図12】同実施形態に係る電波品質測定ステップS300で取得されるデータの一例を説明するための図である。
図13図11のステップS340及びステップS350を説明するための説明図である。
図14図11のステップS350で格納される情報の一例を説明するための説明図である。
図15図11のステップS310からステップS330の各ステップにおける動作フロー図である。
図16図15のステップS3120、ステップS3150、及びステップS3190の各ステップにおけるシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて無人飛行体40a及び無人飛行体40bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、無人飛行体40a及び無人飛行体40bを特に区別する必要が無い場合には、単に無人飛行体40と称する。
【0021】
さらに、以下の説明で参照される図は、本発明の実施形態の説明とその理解を促すための図であり、わかりやすくするために、図中に示される形状や寸法、比などは実際と異なる場合がある。また、図中に示される装置等は、以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0022】
以下においては、本発明の実施形態を、無線LANを構築する際に屋外のアクセスポイントに設置される常設用指向性アンテナの設置位置、及び当該常設用指向性アンテナの方向を決定するための事前検討に用いられるアンテナ方向調整システムに適用した例を説明する。なお、本発明の実施形態は、無線LANの構築に限定されるものではなく、指向性アンテナを用いる他の無線通信網の構築の際に用いられてもよい。
【0023】
<<アンテナ方向調整システム10の構成の概要>>
まずは、図1を参照して、本発明の実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の構成の概要を説明する。図1は、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の構成を説明する説明図である。図1に示されるように、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10は、無人飛行体40a、40bと、サーバ(処理装置)70と、を主に有する。無人飛行体40a、40bと、サーバ70とは、公衆通信網30によって互いに通信可能に構成されている。なお、公衆通信網30は、例えば、電気通信事業者が提供する、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)等のための移動体通信サービスによる無線通信ネットワークであることができ、後述する指向性アンテナ420a、420bを介して行われる無線通信と干渉を起こさない無線通信網であることが好ましい。
【0024】
無人飛行体40a、40bは、ドローンとも称される小型飛行機であって、構造上操縦者が乗らず、自律飛行機能および自立姿勢制御機能等を有し、三次元空間を飛行することができる。詳細には、無人飛行体40a、40bの操縦者が、操縦装置(図示省略)を介して無人飛行体40a、40bの飛行を制御することができる。もしくは、サーバ70から制御信号を送信することにより、公衆通信網30を介して無人飛行体40a、40bの飛行を制御してもよい。なお、本実施形態においては、無人飛行体40a、40bのサイズは特に限定されるものではないが、無人飛行体40a、40bに搭載される指向性アンテナ420a、420b等が搭載可能であるサイズであり、且つ、狭い場所であっても飛行することが可能なサイズであることが好ましい。
【0025】
また、無人飛行体40a、40bは、GPS(Global Positioning System)衛星20からのGPS信号を用いて、無人飛行体40a、40bの位置情報を取得することができるGPSユニット414(図5参照)を有する。さらに、当該無人飛行体40a、40bは、それぞれ、事前検討に用いるための試験用指向性アンテナ420a、420bを有している。当該指向性アンテナ420a、420bは、上述したLANアクセスポイント間の無線通信で使用される2.4GHz帯や5GHz帯の信号を用いたWi-Fi通信等を互いの間で行うことができ、すなわち、上述の公衆通信網30を介さずに通信を行うことができる。
【0026】
そして、例えば、無人飛行体40a、40bは、常設用指向性アンテナを設置する位置の候補である設置候補位置CAP1、CAP2へ、飛行する。なお、図1においては、設置候補位置CAP1、CAP2は、それぞれ建造物90a、90bの外壁上に位置しているとする。そして、図1に示すように、無人飛行体40a、40bが設置候補位置CAP1、CAP2に位置するようになると、無人飛行体40a、40bは、上記GPSユニット414等を使用して、自身の位置情報を取得し、サーバ70へ公衆通信網30を介して送信することができる。
【0027】
サーバ70は、無人飛行体40a、40bの位置する設置候補位置CAP1、CAP2とは異なる場所に設置された処理装置であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアを中心にして構成されている。当該サーバ70は、公衆通信網30を介して無人飛行体40a、40bの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づき、無人飛行体40a、40bの位置関係を算出することができる。サーバ70によって算出した位置関係は、無人飛行体40a、40bに送信され、無人飛行体40a、40bの有する指向性アンテナ420a、420bの方向を決定する際に用いられる。
【0028】
詳細には、サーバ70によって算出される無人飛行体40a、40bの位置関係の情報は、無人飛行体40a、40bの有する指向性アンテナ420a、420bの仰角や方位角を決定する際に用いられる。そこで、図2及び図3を参照して、指向性アンテナ420a、420bの仰角及び方位角について説明する。図2は、本実施形態に係る指向性アンテナ420a、420bの仰角を説明する説明図であって、詳細には、設置候補位置CAP1、CAP2に位置する無人飛行体40a、40bを横から見た際の模式図を示す。図3は、本実施形態に係る指向性アンテナ420a、420bの方位角を説明する説明図であって、詳細には、設置候補位置CAP1、CAP2に位置する無人飛行体40a、40bを下から見た模式図を示す。なお、図2及び図3においては、わかりやすくするために、指向性アンテナ420a、420bを無人飛行体40a、40bの本体に比べて拡大して図示している。
【0029】
まずは、仰角について図2を参照して説明する。図2に示すように、無人飛行体40aは設置候補位置CAP1に位置しており、設置候補位置CAP1の位置は、設置候補位置CAP1の緯度及び経度の情報である二次元位置情報Gaと、高度情報Haとによって示される。また、無人飛行体40bは設置候補位置CAP2に位置しており、設置候補位置CAP2の位置は、設置候補位置CAP2の緯度及び経度の情報である二次元位置情報Gbと、高度情報Hbとによって示される。そして、このような位置関係において、設置候補位置CAP1に位置する無人飛行体40aの有する指向性アンテナ420aを設置候補位置CAP2へ向かせた場合の、当該指向性アンテナ420aの地表に対する傾きを仰角φaと呼ぶ。また、設置候補位置CAP2に位置する無人飛行体40bの有する指向性アンテナ420bを設置候補位置CAP1へ向かせた場合の、当該指向性アンテナ420bの地表に対する傾きを仰角φbと呼ぶ。言い換えると、地表に対して垂直な面(以下の説明においては垂直面と呼ぶ)における、一方の無人飛行体40aからみた他方の無人飛行体40bの方位を示す角度を仰角φと呼ぶ。なお、図2においては、設置候補位置CAP1に対応する二次元位置情報Gaが示す位置と、設置候補位置CAP2に対応する二次元位置情報Gbが示す位置との間の距離、すなわち、地表上に無人飛行体40a、40bを投影させた場合の、地表上における無人飛行体40a、40bの間の距離は、dとして示されている。
【0030】
次に、図3を参照して、方位角について説明する。例えば、無人飛行体40a、40bは、その正面が定められており、図3においては、無人飛行体40aの正面は図中右側を向く面42aであり、無人飛行体40bの正面は図中左側を向く面42bであるとする。さらに、無人飛行体40a、40bの有する指向性アンテナ420a、420bが、それぞれ正面42a、42bに対して垂直な方向に沿って当該正面42a、42bから延びる場合における、指向性アンテナ420a、420bのそれぞれの方向を基準方向Sa、Sbと呼ぶ。そして、図3に示す例においても、図2と同様に、無人飛行体40aは設置候補位置CAP1に位置し、無人飛行体40bは設置候補位置CAP2に位置している。このような位置関係において、設置候補位置CAP1に位置する無人飛行体40aの有する指向性アンテナ420aを設置候補位置CAP2へ向かせた場合の、当該指向性アンテナ420aの基準方向Saに対する傾きを方位角θaと呼ぶ。また、設置候補位置CAP2に位置する無人飛行体40bの有する指向性アンテナ420bを設置候補位置CAP1へ向かせた場合の、当該指向性アンテナ420bの基準方向Sbに対する傾きを方位角θbと呼ぶ。言い換えると、地表に対して平行な面(以下の説明においては水平面と呼ぶ)における、一方の無人飛行体40aからみた他方の無人飛行体40bの方位を示す角度を方位角θと呼ぶ。
【0031】
なお、本実施形態においては、上述の仰角φ及び方位角θの大きさを、正負の数値によって表してもよい。例えば、指向性アンテナ420が垂直面において一方の方向への回転を行い、当該指向性アンテナ420が上方(天側)を向く場合には、正の数値によって仰角φを示してもよい。一方、指向性アンテナ420が、垂直面において他方の方向への回転を行い、下方(地表側)を向く場合には、負の数値によって仰角φを示してもよい。また、指向性アンテナ420が水平面において一方の方向への回転を行い、基準方向Sに対して右に傾いている場合には、正の数値によって方位角θを示してもよい。一方、指向性アンテナ420が、水平面において他方の方向への回転を行い、基準方向Sに対して左に傾いている場合には、負の数値によって方位角θを示してもよい。さらに、仰角φにおける回転角度、すなわち、垂直面における回転角度についても、回転方向に応じて正負の数値で示してもよく、方位角θにおける回転角度、すなわち、水平面における回転角度についても、回転方向に応じて正負の数値で示してもよい。しかしながら、本実施形態においては、仰角φ及び方位角θ等の大きさの表現は、上述に限られるものではなく、様々な表現を選択することができる。
【0032】
<無人飛行体40>
以上、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の構成の概要を説明した。次に、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10に含まれる各装置の詳細構成について説明する。まずは、図4から図6を参照して、無人飛行体40の詳細について説明する。図4は、本実施形態に係る無人飛行体40の外観の模式図であり、詳細には、無人飛行体40をその正面42から見た場合の模式図である。図5は、当該無人飛行体40のブロック図である。さらに、図6は、本実施形態に係るアンテナ可変ユニット430の構成を説明する説明図であって、詳細には、図6の上段が、アンテナ可変ユニット430を上方から見た際の模式図であり、図6の下段が、アンテナ可変ユニット430を横から見た際の模式図である。
【0033】
先に説明したように、無人飛行体40は、無人の小型飛行機であって、自律飛行機能および自立姿勢制御機能等により飛行することができる。当該無人飛行体40は、プロペラ400と、プロペラ駆動部402と、測位ユニット(位置情報取得部)410と、指向性アンテナ420と、アンテナ可変ユニット(角度可変部)430と、制御ユニット440、通信ユニット460とを主に有する。以下に、無人飛行体40の各機能ユニットについて説明する。
【0034】
(プロペラ400及びプロペラ駆動部402)
プロペラ400は、図4に示すように無人飛行体40の上部に複数設けられ、無人飛行体40の内部に設けられたプロペラ駆動部402から伝達された動力により回転することにより、無人飛行体40に推進力を与えたり、無人飛行体40の姿勢を水平に保持したりする。また、プロペラ駆動部402は、無人飛行体40の内部に設けられ、後述する制御ユニット440の飛行制御部442からの制御に従って、各プロペラ400を回転させる。
【0035】
(測位ユニット410)
測位ユニット410は、無人飛行体40の内部に設けられ、無人飛行体40の位置情報である二次元位置情報(経度情報、緯度情報)G及び高度情報Hと、無人飛行体40の姿勢情報及び加速度情報とを取得し、後述する制御ユニット440の飛行制御部442に出力する。なお、以下の説明においては、二次元位置情報Gと高度情報Hとを合わせて位置情報と呼ぶ。出力された位置情報や姿勢情報等は、無人飛行体40を所望する場所へ飛行させたり、無人飛行体40を水平姿勢に維持したりするために用いられる。さらに、出力された位置情報は、後述する通信ユニット460を介してサーバ70へ送信されることもできる。
【0036】
測位ユニット410は、図5に示すように、姿勢検出部412、GPSユニット414及び高度計416を主に有する。詳細には、姿勢検出部412は、例えば、加速度センサ及び角速度センサが組み合わされたジャイロセンサ等を含み、無人飛行体40の姿勢(傾き、向き等)及び加速度を検出する。GPSユニット414は、GPS衛星20からのGPS信号を用いて計測を行う現在位置計測装置からなり、無人飛行体40の地表における二次元位置情報(緯度情報、経度情報)Gを取得することができる。高度計416は、無人飛行体40の高度情報(地表からの高さ)Hを取得することができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、測位ユニット410は、GPSユニット414によって十分な精度を持つ高度情報Hを取得することができる場合には、高度計416を含まなくてもよい。しかしながら、GPSユニット414によって得られる高度情報Hは、測位状態によっては精度が低い場合があり、この場合、無人飛行体40の飛行等に用いる高度情報Hとしては、十分な精度を持っていないことがある。従って、本実施形態においては、十分な精度を持つ高度情報Hを取得するために、測位ユニット410は高度計416を含んでいることが好ましい。さらに、本実施形態においては、測位ユニット410は、上述したGPS信号を用いて計測を行う装置等を含むことに限定されるものではなく、無人飛行体40の位置情報が取得できる装置であれば特に限定されるものではない。例えば、設置候補位置CAPに設置された撮像装置により、当該設置候補位置CAPを飛行する無人飛行体40の画像を取得し、取得した画像を解析することにより、無人飛行体40の位置情報を獲得してもよい。
【0038】
(指向性アンテナ420)
指向性アンテナ420は、図4に示されるように、無人飛行体40に設けられ、事前検証において用いる試験用指向性アンテナとして試験用電波の送受信を行う。当該指向性アンテナ420は、後述するアンテナ可変ユニット430によって、水平面において回転することが可能であり、さらに垂直面において回転することが可能である。そして、指向性アンテナ420は、回転することにより、自身の方位角θ及び仰角φを変化させることができる。当該指向性アンテナ420は、先に説明したように、LANアクセスポイント間の無線通信で使用される2.4GHz帯や5GHz帯の信号を用いたWi-Fi通信を行うことができ、当該無線通信で使用される常設用指向性アンテナと同等の機能を持つ。
【0039】
(アンテナ可変ユニット430)
アンテナ可変ユニット430は、無人飛行体40に設けられ、図6に示すように、指向性アンテナ420と接続されており、指向性アンテナ420を回転させることができる。詳細には、アンテナ可変ユニット430は、水平面で回転するステップモータ432aと、ステップモータ432aの回転を指向性アンテナ420に伝達する回転軸434aと、垂直面上で回転するステップモータ432bと、ステップモータ432bの回転を指向性アンテナ420に伝達する回転軸434bとを有する。具体的には、ステップモータ432aが水平面において回転し、当該回転が回転軸434aを介して指向性アンテナ420に伝達することにより、指向性アンテナ420の方位角θが変化する。また、ステップモータ432bは垂直面上において回転し、当該回転が回転軸434bを介して指向性アンテナ420に伝達することにより、指向性アンテナ420の仰角φが変化する。さらに、ステップモータ432a、432bは、後述する制御ユニット440のアンテナ方向制御部444から出力された回転制御パルス信号に従って回転することができる。
【0040】
図6に示されるアンテナ可変ユニット430は、少ない部品によってシンプルに構成されていることから、その重量を軽くすることができる。従って、重量が軽いことから、アンテナ可変ユニット430は、積載重量が制限される無人飛行体40に搭載することができる。なお、本実施形態においては、アンテナ可変ユニット430は、図6に示される形態に限定されるものではなく、少ない部品によってシンプルに構成されていれば、他の形態であってもよい。
【0041】
また、アンテナ可変ユニット430が無人飛行体40の飛行(例えば、プロペラ400の回転)による振動によって、精度よく回転することが妨げられることや、破損等を避けるために、アンテナ可変ユニット430は、図示しない防振台の上に設けられていてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、指向性アンテナ420の方位角θは、上述したアンテナ可変ユニット430によって可変させることに限定されるものではなく、例えば、無人飛行体40の飛行制御によって、無人飛行体40の向きを変えることにより、可変させてもよい。この場合、アンテナ可変ユニット430を図6に示す構成よりも、さらに部品の少ないシンプルな構成にすることができることから、アンテナ可変ユニット430の重量をより軽くすることができる。その結果、無人飛行体40は、アンテナ可変ユニット430の重量が軽くなったことから、例えば、バッテリーを多く積載することが可能となり、より長く飛行することができる。
【0043】
(制御ユニット440)
制御ユニット440は、無人飛行体40の内部に設けられた、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを中心に構成されている。さらに、制御ユニット440は、図5に示すように、飛行制御部442、アンテナ方向制御部(角度制御部)444、アンテナ送受信制御部446、電波品質測定部448、選択部450、記憶部452等の機能ブロックを有する。
【0044】
飛行制御部442は、操縦者が有する操縦装置(図示省略)からの制御信号、又は、サーバ70からの制御信号を、後述する通信ユニット460を介して受信した場合には、上述の測位ユニット410で取得した位置情報及び姿勢情報等を利用しつつ、上記制御信号の飛行指示に従ってプロペラ駆動部402を制御する。
【0045】
アンテナ方向制御部444は、サーバ70からの制御信号を後述する通信ユニット460を介して受信した際に、当該制御信号の指示に従って、アンテナ可変ユニット430を制御し、指向性アンテナ420の方向(方位角θ、仰角φ)を変化させる。詳細には、アンテナ方向制御部444は、指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φを制御信号の指示する方位にするための回転角度を算出し、算出した回転角度を回転制御パルス信号に変換し、アンテナ可変ユニット430に伝達する。また、アンテナ方向制御部444は、後述する記憶部452に格納された制御プログラムに従って、指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φが、順次様々な角度となるように、アンテナ可変ユニット430を制御することもできる。
【0046】
アンテナ送受信制御部446は、所定の試験用電波を送信するように指向性アンテナ420を制御する。また、アンテナ送受信制御部446は、指向性アンテナ420で受信した試験用電波を取得し、後述する電波品質測定部448に出力することもできる。さらに、アンテナ送受信制御部446は、上記電波品質測定部448によって得た測定結果を、電波信号に変換して、試験用電波に重畳し、指向性アンテナ420を介して送信することもできる。
【0047】
電波品質測定部448は、指向性アンテナ420が受信した試験用電波を解析し、受信した試験用電波の品質を測定する。電波品質測定部448は、指向性アンテナ420で受信した試験用電波の品質を示す指標として、当該試験用電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、当該試験用電波の伝送速度、又は、当該試験用電波における搬送波に対する雑音の比である搬送波対雑音比(CN比)の少なくとも1つを測定することができる。なお、本実施形態においては、電波品質測定部448は、上述の指数の全て、又は、いずれか複数を測定することもでき、指向性アンテナ420の方向の調整の精度等に応じて、適宜選択することができる。そして、電波品質測定部448での測定結果は、上述したアンテナ送受信制御部446や、後述する記憶部452に出力される。なお、記憶部452に出力された測定結果は、測定結果が得られた際の指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φの情報と紐づけられて、記憶部452に格納されることとなる。
【0048】
選択部450は、上述の電波品質測定部448によって得られた測定結果に基づいて、指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φを選択する。より具体的には、選択部450は、後述する記憶部452に格納された複数の測定結果の中から、最も良好な電波品質を示す測定結果を選択する。そして、選択部450は、選択した測定結果に紐づけられた指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φを、指向性アンテナ420の最適な方位角θ及び仰角φとして選択する。そして、選択部450によって選択された方位角θ及び仰角φの情報は、後述する記憶部452に出力されたり、後述する通信ユニット460を介してサーバ70へ送信されたりすることができる。なお、この選択された方位角θ及び仰角φは、常設用指向性アンテナの設置の際に活用されることとなる。
【0049】
記憶部452は、例えば、制御ユニット440の飛行制御部442、アンテナ方向制御部444、及びアンテナ送受信制御部446等が、プロペラ駆動部402やアンテナ可変ユニット430等を制御するために実行するプログラム、及び制御するために用いる情報を格納する。また、記憶部452は、後述する通信ユニット460を介してサーバ70及び操縦装置(図示省略)等から送信された情報や、測位ユニット410によって得られた位置情報や、電波品質測定部448で得られた測定結果等を格納する。例えば、記憶部452は、測定結果を、当該測定結果が得られた際の指向性アンテナ420の方位角θ及び仰角φの情報と紐づけて格納する。
【0050】
(通信ユニット460)
通信ユニット460は、無人飛行体40の内部に設けられ、操縦者が有する操縦装置(図示省略)との間で通信を行ったり、サーバ70との間で通信を行ったりする。通信ユニット460は、図5に示すように、上記操縦装置との間で通信を行う飛行制御用通信部462と、サーバ70との間で通信を行うアンテナ制御用通信部464とを主に有する。
【0051】
飛行制御用通信部462は、操縦者が有する操縦装置(図示省略)との間で無線通信し、無人飛行体40の飛行に用いられる制御信号等の送受信を行う。例えば、飛行制御用通信部462は、所定の時間おきに、上記操縦装置から制御信号を受信し、受信した制御信号を上述した飛行制御部442に出力する。なお、飛行制御用通信部462は、無線LAN等で用いられる2.4GHz帯又は5GHz帯の信号を用いて通信を行うことができる。しかしながら、このような場合には、飛行制御に関する通信と、指向性アンテナ420による試験用電波の送受信とが干渉を起こさないように、飛行制御用通信部462は、上述の指向性アンテナ420で用いられる信号チャネルとは異なる信号チャネルを用いることとなる。
【0052】
アンテナ制御用通信部464は、先に説明したように、公衆通信網30を介してサーバ70との間で無線通信を行う。例えば、アンテナ制御用通信部464は、サーバ70から無人飛行体40a、40bの位置関係についての情報を受信し、受信した情報をアンテナ方向制御部444へ出力する。また、アンテナ制御用通信部464は、上述の選択部450による選択結果をサーバ70へ送信することもできる。
【0053】
なお、無人飛行体40の飛行が、サーバ70からの公衆通信網30を介した制御信号によって制御される場合には、通信ユニット460は、アンテナ制御用通信部464のみを有し、飛行制御用通信部462を有していなくてもよい。
【0054】
さらに、無人飛行体40は、動力源となる、図示しないバッテリーを内蔵する。しかしながら、本実施形態においては、無人飛行体40の有する指向性アンテナ420として、無線LANで使用される常設用指向性アンテナと同型の試験用指向性アンテナを用いることが好ましく、このような指向性アンテナは、重量が重いことがある。このような場合、無人飛行体40は、重い指向性アンテナ420を搭載して飛行を行うことになることから、内蔵した容量の小さなバッテリーでは長時間の飛行が難しくなる。そこで、本実施形態においては、無人飛行体40は、配線ケーブル(図示省略)によって地上の係留電源(図示省略)と繋がれていてもよい。すなわち、本実施形態に係る無人飛行体40は、無人飛行体40に電力を供給する電力供給線(図示省略)を有していてもよい。さらに、この場合、上記係留電源は、無人飛行体40を操縦する操縦装置を兼ねていてもよく、配線ケーブルは、電力供給線と通信用の有線とを兼ねていてもよい。
【0055】
<サーバ70>
以上、本実施形態に係る無人飛行体40の詳細構成を説明した。続いて、本実施形態に係るサーバ70の詳細構成を、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係るサーバ70のブロック図である。サーバ70は、先に説明したように、無人飛行体40a、40bの位置する設置候補位置CAP1、CAP2とは異なる場所に設置された処理装置であり、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを中心にして構成されている。当該サーバ70は、図7に示すように、算出部700と、記憶部702と、通信ユニット704とを主に有する。以下に、サーバ70の各機能ユニットについて説明する。
【0056】
(算出部700)
算出部700は、後述する通信ユニット704を介して、無人飛行体40a、40bから取得した位置情報に基づいて、無人飛行体40a、40bの位置関係を算出する。詳細には、算出部700は、無人飛行体40a、40bから、各無人飛行体40a、40bの二次元位置情報(経度情報、緯度情報)G及び高度情報Hを取得することができる。そして、算出部700は、これら位置情報(二次元位置情報G、高度情報H)を用いて、水平面上における無人飛行体40a、40bの位置関係、及び、垂直面上の無人飛行体40a、40bの位置関係を認識することができる。さらに、算出部700は、認識した位置関係から、幾何学的に、水平面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報と、同じく水平面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報とを算出することができる。さらに、算出部700は、同様に、垂直面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報と、同じく垂直面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報とを算出することができる。例えば、方位情報は、無人飛行体40aの有する指向性アンテナ420aの基準点(例えば、回転軸)を中心とした、無人飛行体40bの緯度情報、経度情報、高度情報(座標)であることができ、もしくは、これらを、基準点を中心とした角度として示す角度情報であってもよい。そして、算出部700は、算出結果を、後述する通信ユニット704を介して無人飛行体40a、40bに送信する。さらに、算出部700は、算出結果を後述する記憶部702に出力してもよい。
【0057】
(記憶部702)
記憶部702は、算出部700等の動作を実行するプログラムや、算出部700等の動作のために用いる情報を格納する。また、記憶部702は、後述する通信ユニット460を介して無人飛行体40a、40bから送信された情報等を格納することもできる。
【0058】
(通信ユニット704)
通信ユニット704は、先に説明したように、公衆通信網30を介して無人飛行体40a、40bとの間で無線通信を行うことができる。例えば、通信ユニット704は、無人飛行体40a、40bから送信された位置情報を、上述の算出部700や記憶部702等に出力したり、算出部700の算出結果を無人飛行体40a、40bへ送信したりすることができる。
【0059】
<<アンテナ方向調整システム10の動作>>
以上、本発明の実施形態に係るアンテナ方向調整システム10に含まれる各装置の詳細構成について説明した。次に、本発明の実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作フロー図である。まず、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作は、図8のフロー図に示すように、ステップS100からステップS300までの3つの主なステップで構成される。
【0060】
(ステップS100)
アンテナ方向調整システム10の無人飛行体40a、40bの有する指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbを調整する(方位角調整ステップ)。
【0061】
(ステップS200)
指向性アンテナ420a、420bの仰角φa、φbを調整する(仰角調整ステップ)。
【0062】
(ステップS300)
指向性アンテナ420a、420bのうちのいずれかの指向性アンテナの方位角θ及び仰角φを微小に変化させながら、指向性アンテナ420a、420bを介して送受信された電波の品質の測定を行う(電波品質測定ステップ)。
【0063】
以下に、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作の各ステップ(S100〜S300)の詳細について、説明する。
【0064】
<方位角調整ステップS100>
まずは、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作のうちの方位角調整ステップS100を説明する。本実施形態に係る方位角調整ステップS100の大まかな流れを説明すると、無人飛行体40a、40bを設置候補位置CAP1、CAP2に飛行させ、無人飛行体40a、40bの二次元位置情報Ga、Gbを取得する。アンテナ方向調整システム10は、取得した二次元位置情報Ga、Gbに基づいて、水平面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報と、同じく水平面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報とを算出する。さらに、アンテナ方向調整システム10は、算出した結果に基づき、指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbを制御する。以下に、図9を参照して、本実施形態に係る方位角調整ステップS100の詳細を説明する。図9は、本実施形態に係る動作フローのうちの方位角調整ステップ(S100)のシーケンス図である。図9に示すように、当該方位角調整ステップS100は、ステップS101からステップS119で主に構成されている。
【0065】
(ステップS101)
設置候補位置CAP1、CAP2へそれぞれ無人飛行体40a、40bを飛行させる。例えば、操縦者が操縦装置(図示省略)を介して無人飛行体40a、40bを制御し、無人飛行体40a、40bを設置候補位置CAP1、CAP2へ飛行させる。
【0066】
(ステップS103)
無人飛行体40a、40bは、自身の有する測位ユニット410を用いて、それぞれ二次元位置情報(緯度情報、経度情報)Ga、Gbを取得する。そして、取得した二次元位置情報により、無人飛行体40a、40bは、無人飛行体40a、40bが設置候補位置CAP1、CAP2に到着したこと、詳細には、無人飛行体40a、40bが有する指向性アンテナ420a、420bの基準点(例えば、指向性アンテナ420a、420bの回転中心)が設置候補位置CAP1、CAP2に位置するようになったことを確認した場合には、次のステップへ進む。
【0067】
(ステップS105)
無人飛行体40a、40bは、無人飛行体40a、40bが設置候補位置CAP1、CAP2に到着した際に取得した二次元位置情報Ga、Gbをサーバ70へ公衆通信網30を介して送信する。
【0068】
(ステップS107)
サーバ70は、無人飛行体40a、40bから送信された二次元位置情報Ga、Gbを、公衆通信網30を介して受信する。
【0069】
(ステップS109)
サーバ70は、無人飛行体40a、40bから受信した二次元位置情報Ga、Gbに基づき、水平面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報と、同じく水平面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報とを算出する。さらに、サーバ70は、設置候補位置CAP1に対応する二次元位置情報Gaと、設置候補位置CAP2に対応する二次元位置情報Gbとの間の距離d、すなわち、地表上に無人飛行体40a、40bを投影させた場合の、地表上における無人飛行体40a、40bの間の距離dを算出してもよい。この算出した距離dは、仰角調整ステップS200で用いてもよい。
【0070】
(ステップS111)
サーバ70は、上述のステップS109で算出した算出結果を記憶部702に格納する。
【0071】
(ステップS113)
サーバ70は、上述のステップS109で算出した算出結果を、無人飛行体40a、40bへ公衆通信網30を介して送信する。詳細には、サーバ70は、水平面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報を無人飛行体40aへ送信し、水平面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報を無人飛行体40bへ送信する。
【0072】
(ステップS115)
無人飛行体40a、40bは、サーバ70から送信された算出結果を、公衆通信網30を介してそれぞれ受信する。
【0073】
(ステップS117)
無人飛行体40a、40bは、サーバ70から送信された算出結果に基づいて、指向性アンテナ420aが無人飛行体40bへ向き、指向性アンテナ420bが無人飛行体40aへ向くようにする(以下においては、このような状態を、指向性アンテナ420aと指向性アンテナ420bとが互いに対向する状態と呼ぶ)ために、指向性アンテナ420a、420bの水平面における回転すべき回転角度をそれぞれ算出する。さらに、無人飛行体40a、40bは、算出した回転角度を回転制御パルス信号に変換する。なお、無人飛行体40a、40bは、サーバから送信された算出結果や、指向性アンテナ420aと指向性アンテナ420bとを互いに対向させるようにした場合の、指向性アンテナ420a及び指向性アンテナ420bの方位角θa、θbを記憶部452に格納する。また、格納した情報は、サーバ70へ送信されてもよい。
【0074】
(ステップS119)
無人飛行体40a、40bは、ステップS117で変換した回転制御パルス信号を自身の有するアンテナ可変ユニット430に出力し、指向性アンテナ420aと指向性アンテナ420bとが互いに対向するように、指向性アンテナ420a、420bを水平面上にて回転させる。
【0075】
以上のようなステップにより、本実施形態に係る方位角調整ステップS100は実施され、指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbが調整される。なお、本実施形態に係る方位角調整ステップS100においては、GPSユニット414による精度の高い二次元位置情報Ga、Gbを利用して指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbを調整している。従って、当該方位角調整ステップS100によれば、作業員の目視により指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbを調整する場合に比べて、精度よく、設置候補位置CAP1、CAP2の位置関係にあわせて指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θbを調整することができる。
【0076】
なお、上述の説明においては、無人飛行体40a、40bにおいて、指向性アンテナ420aと指向性アンテナ420bとが互いに対向するようにさせるための指向性アンテナ420a、420bの水平面における回転すべき回転角度の算出を行っていたが、本実施形態においては、これに限定されるものではない。例えば、上記回転角度の算出もサーバ70において行い、算出した回転角度についての情報を、サーバ70から無人飛行体40a、40bに送信してもよい。
【0077】
<仰角調整ステップS200>
次に、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作のうちの仰角調整ステップS200を説明する。本実施形態に係る仰角調整ステップS200の大まかな流れを説明すると、設置候補位置CAP1、CAP2に位置する無人飛行体40a、40bは、無人飛行体40a、40bの高度情報Ha、Hbを取得する。アンテナ方向調整システム10は、既に取得した二次元位置情報Ga、Gbと高度情報Ha、Hbとに基づいて、垂直面における無人飛行体40aから見た無人飛行体40bの方位を示す方位情報と、同じく垂直面における無人飛行体40bから見た無人飛行体40aの方位を示す方位情報とを算出する。そして、アンテナ方向調整システム10は、算出した結果に基づき、指向性アンテナ420a、420bの仰角φa、φbを制御する。このようにして、本実施形態に係る仰角調整ステップS200は実施され、指向性アンテナ420a、420bの仰角φa、φbが調整される。
【0078】
なお、以下の説明において、当該仰角調整ステップS200は、上述の方位角調整ステップS100が実施された後に実施されるステップであり、当該仰角調整ステップS200においては、無人飛行体40a、40bは、引き続き、設置候補位置CAP1、CAP2にそれぞれ位置しているものとする。
【0079】
仰角調整ステップS200の流れは、本実施形態に係る動作フローのうちの仰角調整ステップ(S200)のシーケンス図である図10に示されており、図10に示すように、当該仰角調整ステップS200は、ステップS201からステップS217で主に構成されている。
【0080】
なお、これらステップS201からステップS217は、図9に示されるステップS103からステップS119において、方位角θa、θbを仰角φa、φbに置き換えられたものであることから、ここでは、ステップS201からステップS217の詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係る仰角調整ステップS200においては、GPSユニット414による精度の高い二次元位置情報Ga、Gbと、高度計416による精度の高い高度情報Ha、Hbとを利用して指向性アンテナ420a、420bの仰角φa、φbを調整している。従って、当該仰角調整ステップS200によれば、上述の方位角調整ステップS100と同様に、作業員の目視により調整する場合に比べて、精度よく、設置候補位置CAP1、CAP2の位置関係にあわせて指向性アンテナ420a、420bの仰角φa、φbを調整することができる。
【0082】
<電波品質測定ステップS300>
次に、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10の動作のうちの電波品質測定ステップS300を説明する。本実施形態に係る電波品質測定ステップS300の大まかな流れを説明すると、方位角調整ステップS100及び仰角調整ステップS200において決定された方位角θa及び仰角φa(所定の方位角及び仰角)を中心値として、指向性アンテナ420aの方位角θa及び仰角φaを微小に変化させる。そして、指向性アンテナ420aの方位角θa及び仰角φaを微小に変化させるごとに、指向性アンテナ420aから指向性アンテナ420bに対して試験用電波を送信する。指向性アンテナ420aからの試験用電波を受信した無人飛行体40bは、受信した試験用電波の品質を測定し、測定結果を無人飛行体40aへ送信する。さらに、アンテナ方向調整システム10は、あらかじめ定められた複数の方向(方位角θ、仰角φ)において測定を行い、複数の測定結果が得られた場合には、これら測定結果を比較し、最も良好な電波品質を示す測定結果を選択する。そして、アンテナ方向調整システム10は、選択した測定結果に紐づけられた指向性アンテナ420aの方位角θa及び仰角φaを、指向性アンテナ420aの最適な方位角θa及び仰角φaとして選択する。なお、この選択された方位角θa及び仰角φaは、常設用指向性アンテナの設置の際に活用されることとなる。
【0083】
まずは、図11から図13を参照して、本実施形態に係る電波品質測定ステップS300の大まかな流れを説明する。図11は、本実施形態に係る動作フローのうちの電波品質測定ステップ(S300)の動作フロー図である。図12は、本実施形態に係る電波品質測定ステップ(S300)で取得されるデータの一例を説明するための図である。図13は、図11のステップS340及びステップS350を説明するための説明図である。図14は、図11のステップS350で格納される情報の一例を説明するための説明図である。
【0084】
図11に示すように、当該電波品質測定ステップS300は、ステップS310からステップS350までの5つの主なステップで構成される。
【0085】
(ステップS310)
指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を、方位角調整ステップS100及び仰角調整ステップS200において決定された方位角θa及び仰角φaと同じになるようにした状態において、指向性アンテナ420aを用いて試験電波の送受信を行い、試験電波の品質の測定を行う。さらに、指向性アンテナ420aの方位角を当初のθaに維持したまま、指向性アンテナ420aの仰角を、φaから上方へΔφa回転させてφa+Δφaとした場合と、φaから下方へΔφa回転させてφa−Δφaとした場合とにおいて、同様に試験電波の品質の測定を行う。従って、指向性アンテナ420aの方向(方位角、仰角)が、(θa、φa)、(θa、φa+Δφa)、(θa、φa−Δφa)の3つの状態とした場合の、試験電波の品質の測定結果を得ることができる。測定によって得られた結果は、測定された際の指向性アンテナ420aの方位角及び仰角の情報と紐づけられて、記憶部452に格納される。なお、上述のΔφaは、あらかじめ決定された微小角度であり、所望する指向性アンテナ420aの方向の調整精度に応じて、適宜選択することができる。
【0086】
(ステップS320)
指向性アンテナ420aの方位角θaを、方位角調整ステップS100において決定された方位角θaからΔθa右回転させてθa+Δθaとする。そして、指向性アンテナ420aの方位角θaをθa+Δθaに維持したまま、指向性アンテナ420aの仰角を、仰角調整ステップS200において決定された仰角φaと同じにした場合と、φaから上方へΔφa回転させてφa+Δφaとした場合と、φaから下方へΔφa回転させてφa−Δφaとした場合とにおいて、試験電波の品質の測定を行う。従って、指向性アンテナ420aの方向(方位角、仰角)が、(θa+Δθa、φa)、(θa+Δθa、φa+Δφa)、(θa+Δθa、φa−Δφa)の3つの状態として場合の、試験電波の品質の測定結果を得ることができる。なお、上述のΔθaは、Δφaと同様に、あらかじめ決定された微小角度であり、所望する指向性アンテナ420aの方向の調整精度に応じて、選択することができる。
【0087】
(ステップS330)
ステップS320と同様に、指向性アンテナ420aの方位角θaを、方位角調整ステップS100において決定された方位角θaからΔθa左回転させてθa−Δθaとする。そして、指向性アンテナ420aの方位角をθa−Δθaに維持したまま、指向性アンテナ420aの仰角を、仰角調整ステップS200において決定された仰角φaと同じにした場合と、φaから上方へΔφa回転させてφa+Δφaとした場合と、φaから下方へΔφa回転させてφa−Δφaとした場合とにおいて、試験電波の品質の測定を行う。従って、指向性アンテナ420aの方向(方位角、仰角)が、(θa−Δθa、φa)、(θa−Δθa、φa+Δφa)、(θa−Δθa、φa−Δφa)の3つの状態として場合の、試験電波の品質の測定結果を得ることができる。
【0088】
このようにして、図12に示されるような9つのデータ(Data(X))を取得することができる。各データ(Data(X))においては、測定結果と、当該測定結果が得られた際の指向性アンテナ420aの方位角θa(X)と仰角φa(X)とが紐づけられている。図12においては、測定結果として、測定された試験電波の受信強度がRSSI(X)として示されている。
【0089】
なお、本実施形態においては、図12に示されるような9つのデータを取得することに限定されるものではなく、所望する指向性アンテナ420aの方向の調整精度に応じて、複数のデータを取得することができる。また、ステップS310からステップS330における指向性アンテナ420aの制御や試験電波の品質測定の詳細については、後述する。
【0090】
(ステップS340)
上述のステップS310からステップS330において得られた複数の測定結果を比較する。詳細には、複数の測定結果を比較し、最も良好な電波品質を示す測定結果を選択する。例えば、図12に示す例においては、9つの測定結果RSSI(X)の中から最も高い受信強度を持つRSSI(X)を選択する。
【0091】
(ステップS350)
ステップS340で選択された測定結果が取得された際の指向性アンテナ420aの方位角及び仰角、すなわち、選択された測定結果に紐づけられた指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角として選択する。例えば、図13に示すように、図13の左側に示される複数の受信強度RSSI(X)の中から最も高い受信強度を持つRSSI(X)を選択し、図13に右側に示すように、選択した受信強度RSSI(X)と紐づけられた方位角θ(X)及び仰角φ(X)を、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角として選択する。
【0092】
そして、選択された指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角の情報は、サーバ70へ送信され、図14に示すような他の情報と共に、サーバ70の記憶部702に格納される。なお、他の情報としては、例えば、設置候補位置CAP1、CAP2の位置情報(二次元位置情報Ga、Gb、高度情報Ha、Hb)、指向性アンテナ420bの方位角θb及び仰角φb、ステップS350で選択された測定結果RSSI(X)等の情報を挙げることができる。そして、格納された情報は、常設用指向性アンテナの設置の際に活用されることとなる。
【0093】
なお、本実施形態においては、図14に示される情報は、サーバ70の記憶部702に格納されることに限定されるものではなく、無人飛行体40の記憶部452に格納されてもよい。
【0094】
本実施形態に係る電波品質測定ステップS300においては、指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を微小に変化させながら、指向性アンテナ420a、420bを介して送受信された試験用電波の品質の測定を行い、測定された試験用電波の品質に基づいて、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を決定する。従って、当該電波品質測定ステップS300によれば、電波品質の定量的な測定の結果に基づいて、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を決定することができることから、作業員の感覚により調整する場合に比べて、指向性アンテナ420aの方位角及び仰角をより最適化することができる。
【0095】
以下に、図15及び図16を参照して、図11のステップS310からステップS330の各ステップにおける動作(指向性アンテナ420aの制御及び試験電波の測定)の詳細について説明する。図15は、図11のステップS310からステップS330の各ステップにおける動作フロー図である。本実施形態に係る電波品質測定ステップ(S300)のうちの各ステップ(S310〜S330)での動作フロー図である。図16は、図15のステップS3120、ステップS3150、及びステップS3190の各ステップにおけるシーケンス図である。
【0096】
図15に示すように、図11のステップS310からステップS330は、それぞれステップS3100からステップS3200までの11の主なステップで構成される。
【0097】
(ステップS3100)
アンテナ方向制御部444は、記憶部452に格納された制御プログラムに従って、指向性アンテナ420aの方位角が所望の方位角θa(X)になるように回転するための回転角度Δθaを算出し、算出した回転角度Δθaを回転制御パルス信号に変換する。
【0098】
(ステップS3110)
アンテナ方向制御部444は、上述のステップS3100で変換した回転制御パルス信号をアンテナ可変ユニット430に伝達し、指向性アンテナ420aを水平面上でΔθa回転させる。
【0099】
なお、図11のステップS310においては、上述のステップS3100及びステップS3110を飛ばして、次のステップS3120が実施される。
【0100】
(ステップS3120)
指向性アンテナ420aは、試験用電波を指向性アンテナ420bに送信し、試験用電波の電波品質の測定を始める。なお、ステップS3120の詳細については、図16を用いて後で説明する。
【0101】
(ステップS3130)
アンテナ方向制御部444は、記憶部452に格納された制御プログラムに従って、指向性アンテナ420aの仰角φaが所望の仰角φa(X)になるように回転するための回転角度Δφaを算出し、算出した回転角度Δφaを回転制御パルス信号に変換する。
【0102】
(ステップS3140)
アンテナ方向制御部444は、上述のステップS3130で変換した回転制御パルス信号をアンテナ可変ユニット430に伝達し、指向性アンテナ420aを垂直面上でΔφa回転させる。
【0103】
(ステップS3150)
ステップS3150は、ステップS3120と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0104】
(ステップS3160)
アンテナ方向制御部444は、アンテナ可変ユニット430を制御して、指向性アンテナ420aに対して、ステップS3140で行われた回転と逆になるような回転を行わせる。そして、指向性アンテナ420aの仰角は、ステップS3120の状態に復帰する。
【0105】
(ステップS3170、ステップS3180及びステップS3190)
ステップS3170、ステップS3180及びステップS3190は、ステップS3180にて、ステップS3140における指向性アンテナ420aの回転とは逆向きの垂直面上での回転を行うこと以外は、ステップS3130、ステップS3140及びステップS3150と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0106】
(ステップS3200)
アンテナ方向制御部444は、アンテナ可変ユニット430を制御して、指向性アンテナ420aに対して、ステップS3180で行われた回転と逆になるような回転を行わせる。そして、指向性アンテナ420aの仰角は、ステップS3120の状態に復帰する。さらに、アンテナ方向制御部444は、アンテナ可変ユニット430を制御して、指向性アンテナ420aに対して、ステップS3110で行われた回転と逆になるような回転を行わせる。そして、指向性アンテナ420aの方位角は、ステップS3120の状態に復帰する。
【0107】
次に、図16を参照して、図15のステップS3120、ステップS3150、及びステップS3190における試験電波の測定の詳細について説明する。図16に示すように、図15のステップS3120、ステップS3150、及びステップS3190は、それぞれステップS3121からステップS3126までの6つのステップで構成される。
【0108】
(ステップS3121)
無人飛行体40aは、指向性アンテナ420aから試験用電波を指向性アンテナ420bに向かって送信する。
【0109】
(ステップS3122)
無人飛行体40bは、無人飛行体40aから送信された試験用電波を、指向性アンテナ420bを介して受信する。
【0110】
(ステップS3123)
無人飛行体40bは、受信した試験用電波を解析して、試験用電波の電波品質を測定する。なお、無人飛行体40bは、所定の時間を経過しても、試験用電波を受信できない場合や、所定の強度以上の電波を受信できない場合には、電波品質の測定結果として、試験用電波を受信できない旨や所定の強度以上の電波を受信できない旨を示す情報、例えば、ゼロの数値を割り当てる。
【0111】
(ステップS3124)
無人飛行体40bは、測定結果を無人飛行体40aに送信する。この際、測定結果を信号に変換して、試験用電波に重畳させて指向性アンテナ420bを用いて送信してもよく、もしくは、変換した信号を、公衆通信網30を介して送信してもよい。
【0112】
(ステップS3125)
無人飛行体40aは、無人飛行体40bから送信された測定結果を受信する。
【0113】
(ステップS3126)
無人飛行体40aは、受信した測定結果を記憶部452に格納する。
【0114】
なお、上述の説明においては、無人飛行体40aが測定結果等を集積し、無人飛行体40aにおいて、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を選択していたが、本実施形態においては、これに限定されるものではない。例えば、サーバ70に測定結果等を集積し、サーバ70にて指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を選択してもよい。また、上述の説明においては、電波品質測定ステップS300においては、無人飛行体40aの指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を微小に可変させて、電波品質を測定するものとして説明したが、本実施形態においてはこれに限定されるものではない。例えば、無人飛行体40aの指向性アンテナ420aの代わりに無人飛行体40bの指向性アンテナ420bにおいて同様のことを行ってもよい。もしくは、無人飛行体40aの指向性アンテナ420aで電波品質測定ステップS300を行った後に、無人飛行体40bの指向性アンテナ420bにおいて同様のことを行ってもよく、この逆の順序で行ってもよい。
【0115】
また、一度、上述の電波品質測定ステップS300を行い、所望の電波品質(通信特性)を確保できないことを示す測定結果が得られた場合には、再度、上述の電波品質測定ステップS300を行うことが好ましい。
【0116】
さらに、本実施形態においては、事前に、設置候補位置CAPにおける周囲環境や建物等からの影響等を理論的に予測し、所望の通信特性を確保するための指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θb及び仰角φa、φbを精度よく予測できる場合には、方位角調整ステップS100及び仰角調整ステップS200の実施を省略してもよい。この場合、予測された指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θb及び仰角φa、φbを、電波品質測定ステップS300の最初に用いられる中央値(上述の説明においては、方位角調整ステップS100及び仰角調整ステップS200において決定された方位角θa、θb及び仰角φa、φbのこと)として用いてもよい。このようにすることで、事前検証の時間を短くすることができる。
【0117】
以上、本実施形態においては、三次元空間を自在に飛行することができる無人飛行体40を用いて、指向性アンテナの方向の調整や、当該指向性アンテナを用いた電波品質の測定等を行う。従って、本実施形態によれば、常設用指向性アンテナの設置候補位置CAPが、高所であっても、もしくは、指向性アンテナ等の仮設作業を行うためには狭い場所であっても、試験用指向性アンテナ420等を設置候補位置CAPに配置して、事前検証を容易に行うことができる。すなわち、本実施形態によれば、事前検証を行うことができないことを理由に、設置候補位置からはずされることがなくなることから、指向性アンテナの設置位置についての制約を少なくすることができる。
【0118】
さらに、本実施形態によれば、設置候補位置CAPが高所である場合であっても、高所作業車及びその停車場所の確保が必要なく、さらに高所での危険作業のために施工者の安全確保のための設備等の必要もないことから、事前検証に係る時間や費用を抑えることができる。
【0119】
また、本実施形態においては、GPSユニット414による精度の高い二次元位置情報Ga、Gbと、高度計416による精度の高い高度情報Ha、Hbとを利用して指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θb及び仰角φa、φbを調整している。従って、本実施形態によれば、作業員の目視により調整する場合に比べて、精度よく、設置候補位置CAP1、CAP2の位置関係にあわせて指向性アンテナ420a、420bの方位角θa、θb及び仰角φa、φbを調整することができる。
【0120】
加えて、本実施形態においては、指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を微小に変化させながら、指向性アンテナ420a、420bを介して送受信された試験用電波の品質の測定を行い、測定された試験用電波の品質に基づいて、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を決定する。従って、本実施形態によれば、定量的な電波品質の結果に基づいて、指向性アンテナ420aの最適な方位角及び仰角を決定することができることから、作業員の感覚により調整する場合に比べて、指向性アンテナ420aの方位角及び仰角を最適化することができる。
【0121】
詳細には、作業員が、目視や感覚により試験用指向性アンテナの方向を調整している場合には、方位や通信特性の定量的な測定の結果に基づくものではないことから、試験用指向性アンテナの方向は最適化されているとは限らない。例えば、試験用アンテナの仮設置の際に目視による方向調整を実施し、当該方向調整の結果に従って常設工事をした場合に、常設工事後に所望の通信特性が確保できないことが判明した際には、再度、作業員により仮設置し、方向調整を実施しなくてはならない状況に陥る可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、方位や通信特性の定量的な測定の結果に基づいて試験用指向性アンテナの方向が決定されることから、上述のように、試験用指向性アンテナの方向の調整が不十分であることに起因して、常設工事後に所望の通信特性が確保できず仮設置及び方向調整を再度実施するような状況を避けることができる。
【0122】
なお、本実施形態に係るアンテナ方向調整システム10は、2つの無人飛行体40a、40bを含むことに限定されるものではなく、2つの無人飛行体40a、40bのうちの一方が、建造物90等に固定設置される、指向性アンテナ420bを有する調整補助装置(図示省略)であってもよい。また、本実施形態においては、本実施形態に係るサーバ70の機能を、2つの無人飛行体40a、40bのいずれか一方に付与することにより、サーバ70を含まないアンテナ方向調整システム10にしてもよい。さらに、この場合には、無人飛行体40a、40b間を有線で接続し、有線通信によって無人飛行体40a、40b間の通信を確保してもよい。
【0123】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0124】
また、上述した各実施形態の処理における各ステップは、必ずしも記載された順序に沿って処理されなくてもよい。例えば、各ステップは、適宜順序が変更されて処理されてもよい。また、各ステップは、時系列的に処理される代わりに、一部並列的に又は個別的に処理されてもよい。さらに、各ステップの処理方法についても、必ずしも記載された方法に沿って処理されなくてもよく、他の機能部によって他の方法で処理されていてもよい。例えば、上述の説明では、算出部700はサーバ70にあるものとしたが、本実施形態においては、無人飛行体40a又は無人飛行体40bに算出部700を設けて、無人飛行体40aと無人飛行体40bとの位置関係の算出を行わせることも可能である。
【符号の説明】
【0125】
10 アンテナ方向調整システム
20 GPS衛星
30 公衆通信網
40、40a、40b 無人飛行体
42、42a、42b 正面
70 サーバ
90、90a、90b 建造物
400 プロペラ
402 プロペラ駆動部
410 測位ユニット
412 姿勢検出部
414 GPSユニット
416 高度計
420、420a、420b 指向性アンテナ
430 アンテナ可変ユニット
432a、432b ステップモータ
434a、434b 回転軸
440 制御ユニット
442 飛行制御部
444 アンテナ方向制御部
446 アンテナ送受信制御部
448 電波品質測定部
450 選択部
452、702 記憶部
460、704 通信ユニット
462 飛行制御用通信部
464 アンテナ制御用通信部
700 算出部
CAP1、CAP2 設置候補位置
Ga、Gb 二次元位置情報
Ha、Hb 高度情報
Sa、Sb 基準方向
d 距離
θa、θb 方位角
φa、φb 仰角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16