(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801411
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】個別情報プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 21/16 20060101AFI20201207BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20201207BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J2/325 A
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-236540(P2016-236540)
(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公開番号】特開2018-89889(P2018-89889A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉野 徹
【審査官】
上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−168306(JP,A)
【文献】
特開平09−136442(JP,A)
【文献】
特開平08−104040(JP,A)
【文献】
特表2008−501556(JP,A)
【文献】
特開2007−118492(JP,A)
【文献】
特開平11−348372(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0205270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/16
B41J 2/01
B41J 2/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード、シートまたは冊子状の記録媒体に個別情報を記録する個別情報プリンタであって、
前記記録媒体のプレ印刷が設けられた記録面を撮像して画像情報を得るカメラ又はラインセンサを備えた撮像部、
前記画像情報から前記プレ印刷の前記記録面上での位置を算出し、前記位置の情報に適合するように前記個別情報の記録位置を記録媒体ごとに個別に調整したプリントデータを生成するデータ生成部、
前記記録位置に前記プリントデータを記録するプリント部、
を少なくとも有し、
前記データ生成部は、
デジタル画像データから前記記録媒体の周縁のエッジ、白抜き部、プレ印刷文字を抽出し、前記エッジと前記白抜き部及び前記プレ印刷文字の間隔を算出し、
算出された値から、個別情報を記録する位置を、幅方向、送り方向それぞれに算出することを特徴とする個別情報プリンタ。
【請求項2】
前記プリント部が、間接転写型の熱転写プリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタ。
【請求項3】
前記プリント部が、直接転写型の熱転写プリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタ
【請求項4】
前記プリント部が、インクジェットプリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスポートやIDカードなどに個別情報を記録する際に用いられるプリンタに関し、特に記録面のプレ印刷に対しズレが無く個別情報の記録が行える個別情報プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、官公庁、銀行、会社、医療機関、及び学校などのサービス産業分野では、パスポートや身分証明書、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、自動車運転免許証、従業員証、社員証、会員証、医療カード及び学生証などのIDカードが普及している。この種のパスポートやIDカード(以下合わせて「IDカード等」という)には、所有者本人の認識用の顔画像、所有者に関する文字や記号などの文字情報が記録されている。
【0003】
IDカード等には一枚ごとに異なった所有者の情報が記録されるため、同一の情報を大量に複製するのに適した従来の印刷技術では対応が困難であり、オンデマンド情報に基づいて記録が行えるデジタルプリント技術、例えばインクジェット記録、熱転写記録、レーザー記録などを応用したプリンタが各種提案され、実用化されている。
【0004】
またIDカード等にはセキュリティの高い信頼性が求められ、そのために特殊印刷技術が適用され、またホログラムなどの特別な機能が付与されることもある。また、顔画像や個別の文字情報(以下合わせて「個別情報」という)の記録自体にも記録位置精度や画像品質に高いレベルの品質基準が設定されるものが多く、パスポートやクレジットカードのようにISO規格として定められているものもある。
【0005】
IDカード等に個別情報を精度良く記録する方式としては、例えば特許文献1に開示されているような、カード状の記録媒体に熱転写記録方式により転写リボンの色材を直接転写するプリンタにおいて、センサで検知したカードの縁の位置を基準として記録の開始位置を設定するような方式が提案されている。
【0006】
また特許文献2には、個別情報を一旦ウェブ状の中間転写記録媒体に設けられた熱転写層に、サーマルヘッドと着色転写層を有する熱転写シートにより熱転写記録し、次いで熱転写層を被転写体であるカードにヒートローラで転写する、いわゆる間接熱転写方式でのプリンタが開示されており、熱転写層とカードは、平行かつ幅を揃えて配設されてその位置を合わせ、ヒートローラでの転写が行われる。
【0007】
このように従来技術においては、IDカード等へ個別情報を精度良く記録する際は、IDカード等の外形をなす縁の位置をセンサ等で検出して基準とし、個別情報の位置を合わせ、記録を行うことが一般的であった。しかしながらこのような従来の方式には以下のような問題点があった。
【0008】
IDカード等には個別情報以外に、共通の情報がプレ印刷であらかじめ設けられているのが一般的である。それは、共通のデザイン模様、顔写真を設ける位置を示す白抜き、文字の位置を示す罫線やアンダーラインなどである。これらのプレ印刷は、IDカード等が小切れの形や製本された形になる前に、大判のシートなどに印刷により設けられるため、その際ある範囲内での印刷位置のばらつきを有している。また、大判のシートから小切れに断裁され、また製本される際にも、所定の許容範囲内で断裁位置のばらつきが生じる。
【0009】
そのため、IDカード等のプレ印刷は、小切れとなった時点で小切れの記録面上の位置に若干のばらつきがある。そのようなIDカード等に個別情報を記録する際、IDカード等の周縁を基準として位置を設定すると、プレ印刷に対しては相対的に位置がばらつく。その結果、顔写真や文字等の個別情報を仕様上は許容範囲内で記録した場合であっても、見栄えが悪くなって不良品とせざるを得なくなり、収率の低下に繋がってしまっていた。
【0010】
たとえば
図6に示すように、IDカードの顔写真を設ける位置に白抜き81が設けられている場合、仕様上の顔写真の右下位置がカードの左端からL1、カードの上端からL2のように規定されていると、白抜きが左右、上下にそれぞれG1、G2のように僅かにずれているだけで顔写真の周囲に白枠ができてしまう。このような白枠は僅かであっても非常に目立つため、IDカードの品質感を大きく損なうばかりでなく、偽造や改ざんの疑いも起こしかねないため、やむを得ず不良品として廃棄されていた。
【0011】
このため従来から、白枠が目立たないように、
図6(c)のようにあらかじめ白抜きを顔写真のサイズよりも大きめに設けておき、位置のばらつきが見た目にあまり影響を与えないようにするなどの方策が採られていた。文字の情報についても同様であり、例えば
図7(a)に示すように、プレ印刷91がずれていると、個別の文字情報92がプレ印刷91に重なって不都合を生じるため、
図7(b)に示すように文字を記録する欄を広げて余裕を持たせ、多少のズレがあってもプレ印刷93と個別の文字情報94が重ならないようにするなどの方策が採られていた。
【0012】
これらの方策はいずれも、記録媒体の記録面上の個別情報の記録を行うエリアを本来必要なエリアよりも広くとってしまうため、結果として記録媒体のデザインが制約を受け、また記録できる情報に制限が生じるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−096458号公報
【特許文献2】特開2011−101960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、小切れ状のIDカード等の記録媒体に個別情報を記録するプリンタにおいて、記録媒体にあらかじめ設けられたプレ印刷の位置のばらつきに応じて個別情報の記録位置を調整することが可能で、見かけ上の記録位置ズレが目立たず、良好な収率でIDカード等を作成できる個別情報プリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、カード、シートまたは冊子状の記録媒体に個別情報を記録する個別情報プリンタであって、前記記録媒体のプレ印刷が設けられた記録面を撮像して画像情報を得るカメラ又はラインセンサを備えた撮像部、前記画像情報から前記プレ印刷の前記記録面上での位置を算出し、前記位置の情報に適合するように前記個別情報の記録位置を記録媒体ごとに個別に調整したプリントデータを生成するデータ生成部、前記記録位置に前記プリントデータを記録するプリント部、を少なくとも有
し、前記データ生成部は、デジタル画像データから前記記録媒体の周縁のエッジ、白抜き部、プレ印刷文字を抽出し、前記エッジと前記白抜き部及び前記プレ印刷文字の間隔を算出し、算出された値から、個別情報を記録する位置を、幅方向、送り方向それぞれに算出することを特徴とする個別情報プリンタである。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記プリント部が、間接転写型の熱転写プリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタである。
【0017】
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記プリント部が、直接転写型の熱転写プリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタである。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る発明は、
前記プリント部が、インクジェットプリント機構を有することを特徴とする請求項1に記載の個別情報プリンタである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、カード、シート、冊子などの記録媒体の作成時に生じるプレ印刷の位置のばらつきに対応して個別情報の記録位置を調整することができるため、プレ印刷と個別情報の記録が位置ずれなく行われて高品位となり、ばらつきを考慮したレイアウトを作成する必要がなく記録面のデザインの自由度が増すと共に記録面をスペース効率よく使用して記録でき、偽造、改ざんなどの疑いを排除してセキュリティ性の向上した記録媒体が得られる個別情報プリンタを提供できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、信頼性が高く、フルカラー記録が可能なだけでなく、中間転写媒体を利用してホログラムやUV画像などのセキュリティ特性も付与できる個別情報プリンタを提供できる。
【0022】
請求項3の発明によれば、比較的単純な構成で信頼性が高く、フルカラー記録も可能な個別情報プリンタを提供できる。
【0023】
請求項4の発明によれば、記録媒体に接触することなく記録が行えるため記録面に凹凸がある場合でも支障なく個別情報の記録が行える個別情報プリンタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の個別情報プリンタの一実施形態のブロック構成図である。
【
図2】プレ印刷が設けられたカードの平面図である。
【
図3】本発明の個別情報プリンタで個別情報がプリントされた中間転写フィルムの模式図である。
【
図4】本発明の個別情報プリンタの他の実施形態の模式図である。
【
図5】本発明の個別情報プリンタで作成されたカードの外観図である。
【
図6】従来のプリンタでの顔写真プリントの態様を示す説明図である。
【
図7】従来のプリンタでの文字プリントの態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を、図を参照しながら説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定して解釈されるものではない。
【0027】
図1は本発明の個別情報プリンタ1の一実施形態のブロック構成の一例を示す図で、記録媒体に個別情報をプリントするプリント部10、記録媒体の記録面を撮像する撮像部20、プリントデータを生成するデータ生成部30、記録媒体を搬送する搬送部40および各部の制御、データ処理、外部機器との通信などを行う制御部50を有している。また特に個別には言及しないが光学センサ、接触センサなど公知のセンサが必要に応じ適宜設けられている。
【0028】
プリント部10は間接転写型熱転写プリント機構を有している。間接転写型熱転写プリント機構はウェブ状の中間転写フィルム16上に、インクリボン15の熱転写インクをサーマルヘッド14により個別情報に応じて加熱転写して記録画像を形成する一次転写部11と、中間転写フィルム16に形成された前記記録画像を記録媒体41、本実施形態では
図2に例示したようなプレ印刷48が設けられたプラスチックカードに、ヒートローラ19により熱圧転写する二次転写部12からなる。
【0029】
一次転写部11において、インクリボン15はリボン巻き出しローラ13aから供給され、サーマルヘッド14によってインクリボン15のリボン基材面側から押圧される。同時に中間転写フィルム16は中間転写フィルム巻き出しローラ17aから供給され、サーマルヘッド14に対向する位置まで搬送され、プラテンローラ18上で押圧されたインクリボン15に接しサーマルヘッド14の発熱素子を個別情報に応じて発熱させて前記記録画像の一次転写が行われる。インクリボン15は、記録する情報に応じて単色の、または特殊インクを含めた多色の熱転写インクで塗り分けられたインクリボンを用いることができ、熱転写インクは昇華転写性インク、溶融転写性インクを用いることができる。なお特殊インクには、蛍光インク、IR吸収インク、金属蒸着層付インクなどが例示される。
【0030】
中間転写フィルム16は、ウェブ状に巻回されたフィルムで、熱転写インクを受容するもので、インク受容層、剥離層、防汚層、ホログラム層、UVインク層などの機能層(以下集合的に転写層ということもある)を適宜積層して設けても良い。また
図3に示すように、記録媒体41の記録面42のサイズに対応した個別記録エリアが61、62、63、64(以下同様に続く)の様に順次設定され、各個別記録エリアの位置の基準となるセンサマーク65が設けられている。一次転写で多色またはフルカラーの個別情報の記録を行う場合、中間転写フィルム16を往復移動させて同じ個別記録エリアに所定の色数の記録を行う。
【0031】
二次転写部12においては、一次転写部11で記録画像が形成された中間転写フィルム16が中間転写フィルム巻き取りローラ17bに巻き取られて搬送され、ヒートローラ19の部位で搬送部40を搬送されてくる記録媒体41の端縁とセンサマーク65をそれぞれセンサにより検出して位置あわせされたうえで、上下動可能で回動自在のヒートローラ19とバックアップローラ43に挟持加圧されつつ矢印Aの方向に搬送され、個別情報の記録画像が転写層と共に記録媒体41の記録面42に熱圧転写され二次転写が行われる。
【0032】
搬送部40は、記録媒体41を保持しつつ搬送系路上を矢印Aの方向に撮像部20から
プリント部10に向けて図示しない駆動系により搬送する。ヒートローラ19に対向する位置にはバックアップローラ43が回動自在に設けられ、二次転写を行う際に記録媒体41を挟持加圧しつつ搬送する。撮像部20側の前段に、記録媒体を挿入するための挿入口(図示せず)や記録媒体を複数装填して挿入口に自動的に挿入するホッパ(図示せず)などを設けても良い。またプリント部10側の後段に排出される記録媒体を堆積保持するためのスタッカ(図示せず)を設けても良い。
【0033】
撮像部20はプリント部10の前段に設けられ、記録媒体41のプレ印刷48が設けられた記録面42を撮像するカメラ21が設けられており、また記録面42の照明のためのランプ22を有している。カメラ21は公知の撮像管、CCD撮像素子、CMOS撮像素子などを用いたものが使用できる。また線状の素子で記録面42を走査しながら画像情報を撮像するラインセンサであっても良い。ランプ22は連続点灯式、フラッシュ点灯式のどちらでも良い。
【0034】
プレ印刷48としては特に限定はないが、
図2に示すような顔写真を記録する部位である白抜き部45を残した下地印刷46、文字情報の記録位置を示すプレ印刷文字およびアンダーライン(以下プレ印刷文字等という)44などが例示される。これらのプレ印刷48は記録媒体41であるプラスチックカードの製造時にオフセット印刷などにより設けられるが、印刷時の位置ばらつきや小切れ断裁時の断裁ばらつきなどにより記録面42上での位置が個々の記録媒体ごとにばらつきがある場合があるため、このばらつきによるズレに対応した個別情報の記録を行う。
【0035】
カメラ21はプレ印刷48と記録媒体41の周縁のエッジ47を含めた記録面42を撮像し、デジタル画像データとしてデータ生成部30に転送する。データ生成部30では、前記デジタル画像データから記録媒体41の周縁のエッジ47、白抜き部45、プレ印刷文字等44などを抽出し、エッジ47と白抜き部45、プレ印刷文字等44の間隔を算出する。算出された値から、個別情報を記録する位置を、中間転写フィルム16の幅方向、送り方向それぞれに算出する。算出された個別情報の記録する位置の情報に基づき個別情報のデータをシフトしてプリントデータを生成し、プリント部10に供給する。より具体的には、サーマルヘッド14に供給するデータをデータ生成部30の図示しない画像メモリ内部でオフセット(画像データの移動)させサーマルヘッド14の発熱抵抗体の発熱データに反映させたうえでプリント部10に供給する。
【0036】
このようにして一次転写部11では中間転写フィルム16上に記録面42のプレ印刷48のばらつきによるズレ量に対応して個別情報が記録される。
図3にその態様を模式的に示す。個別記録エリア62には対応する記録媒体のプレ印刷のズレ量に応じた位置として、記録面に対応する部位62aの側部端縁からd1、天部端縁からd2の位置に顔写真画像62pがプリントされる。文字情報62cも同様にズレ量に応じた位置にプリントされる。続く個別記録エリア63には、対応する記録媒体のプレ印刷のズレ量に応じて記録面に対応する部位63aの側部端縁からd3、天部端縁からd4の位置に顔写真画像63pがプリントされる。文字情報63cも同様にズレ量に応じた位置にプリントされる。
【0037】
個別記録エリア62に対応する記録媒体のプレ印刷のズレ量と個別記録エリア63に対応する記録媒体のプレ印刷のズレ量が異なる場合、顔写真の位置を規定するd1とd3、d2とd4はそれぞれ異なった値となり、中間転写フィルム16上の相対的なプリント位置は個別記録エリア62と個別記録エリア63で異なることになる。文字情報も同様である。しかしながら二次転写部12において対応する記録媒体に熱圧転写されると、それぞれのプレ印刷に対応した位置に個別情報が記録されることになり、それぞれの記録媒体を見ると
図5に示す記録媒体70のように、顔写真71の部位で下地印刷74の白抜き部がはみ出すことが無く、また文字情報73がプレ印刷文字等72に対してずれたり重なった
りすること無く、全体がプレ印刷とのズレのない良好な記録が行える。なお個別記録エリア62と個別記録エリア63に対応する記録媒体のプレ印刷のズレが同等であれば、d1とd3、d2とd4は同等の値となることは言うまでもない。
【0038】
二次転写部12における記録媒体41と中間転写フィルム16の各個別記録エリアとの位置あわせは、記録面42内の位置のばらつきは前述のように一次転写の時点で個別に補償済みであるので、中間転写フィルム16上に設けられた各個別エリアごとのセンサマーク65と記録媒体41のエッジ47とを検出して位置あわせを行うだけでズレのない記録を行える。二次転写部12で記録媒体41に熱圧転写が行われた後の状態を例示したのが
図3の個別記録エリア61の部位であり、中間転写フィルム16からは記録面42に対応した部分61aの転写層が転写されて抜けた状態となる。二次転写後、中間転写フィルムは所定の長さ分巻き取りローラ17bに巻き取られ、記録媒体41は矢印Aの方向に排出される。
【0039】
なお上記の実施形態においては、プリント部10として間接熱転写型熱転写プリント機構を例示して説明したが、プリント部10はこれに限定されるものではなく、例えば
図4(a)に示すようなインクリボン52の熱転写インクをサーマルヘッド53により記録媒体41に直接転写記録する直接転写型熱転写プリント機構や、
図4(b)に示すような各色のノズル54から各色のインクを噴出させて記録媒体41に直接記録を行うインクジェットプリント機構であっても同様の機能が実現できる。
【0040】
以上のようにして、記録媒体上のプレ印刷に対してズレのない位置に個別情報を記録することができる個別情報プリンタが実現できる。すなわち本発明の個別情報プリンタによれば、個別情報がカード、冊子、シート等の記録媒体の記録面上のプレ印刷とズレがなく記録することが可能で、従来問題となっていた記録位置のばらつきを押えることが可能となった。その結果、記録媒体の品位が向上すると共に不良品の発生を抑え、偽造品と疑われるおそれの無い個別情報記録媒体を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・個別情報プリンタ
10、10b、10c・・・プリント部
11・・・一次転写部
12・・・二次転写部
13a・・・インクリボン巻き出しローラ
13b・・・インクリボン巻き取りローラ
14、53・・・サーマルヘッド
15、52・・・インクリボン
16・・・中間転写フィルム
17a・・・中間転写フィルム巻き出しローラ
17b・・・中間転写フィルム巻き取りローラ
18・・・プラテンローラ
19・・・ヒートローラ
20・・・撮像部
21・・・カメラ
22・・・ランプ
30・・・データ生成部
40・・・搬送部
41、70・・・記録媒体
42・・・記録面
43・・・バックアップローラ
44・・・プレ印刷文字等
45・・・白抜き部
46・・・下地印刷
47・・・エッジ
48・・・プレ印刷
50・・・制御部
54・・・ノズル
61、62、63、64・・・個別記録エリア
65・・・センサマーク