(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インク吐出用ノズル列は、背景画像を印刷するための背景画像印刷用インクを吐出する第1のインク吐出用ノズル列と、主画像を印刷するための主画像印刷用インクを吐出する第2のインク吐出用ノズル列と、を含み、
前記反応液吐出用ノズル列は、前記背景画像印刷用インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する第1の反応液吐出用ノズル列と、前記主画像印刷用インクを凝集される性質を有する反応液を吐出する第2の反応液吐出用ノズル列と、を含み、
前記プラズマアクチュエーターは、前記第1のインク吐出用ノズル列と前記第1の反応液吐出用ノズル列との間、及び、前記第2のインク吐出用ノズル列と前記第2の反応液吐出用ノズル列との間に配置される
請求項1から10のいずれか一項に記載に印刷装置。
前記第1のインク吐出用ノズル列と前記第1の反応液吐出用ノズル列との間に配置される前記プラズマアクチュエーターは、前記第2のインク吐出用ノズル列と前記第2の反応液吐出用ノズル列との間に配置される前記プラズマアクチュエーターが発生する気流より、風量の多い気流を発生させる
請求項11に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る印刷装置1の概略図である。
【0024】
図1に示すように、印刷装置1は、平板状のプラテン2を備える。プラテン2の上面には、所定の印刷媒体3が図示しない紙送り機構により搬送方向HY1に搬送される。プラテン2には、縁なし印刷時のインク打ち捨て領域が設けられていてもよい。
【0025】
印刷媒体3としては、ロール状に巻かれたロール紙や、所定長さに切断されたカットシート、複数枚のシートが連接された連続シートなどが挙げられる。これらの印刷媒体は、普通紙や、複写紙、厚紙などの紙類、合成樹脂製などのシートであり、これらのシートにコーティングや浸潤などの加工を施したものを用いることもできる。また、カットシートの形態としては、例えば、PPC用紙や葉書などの定形サイズのカット紙に加え、通帳などの複数のシートを綴じた冊子形態のものや、封筒などの袋状に成形されたものが挙げられる。また、連続シートの形態としては、例えば、幅方向両端にスプロケットホールが穿設され、所定長さ毎に折り畳まれた連続紙が挙げられる。
【0026】
プラテン2の上方には、印刷媒体3の搬送方向HY1に対して直交する方向TY1(交差する方向)に延在するガイドシャフト5が設けられる。ガイドシャフト5には、キャリッジ10が、図示しない駆動機構を介してガイドシャフト5に沿って往復移動自在に設けられる。すなわち、キャリッジ10は、ガイドシャフト5に沿って搬送方向HY1に対し直交する方向TY1に往復移動する。
【0027】
図2は、第1実施形態における印刷装置1のヘッドユニット16を示す概略図である。また、
図3は、
図2の液体吐出面12側からみた概略図である。
【0028】
図2に示すように、キャリッジ10には、シリアル型のインクジェットヘッド11が搭載される。
【0029】
インクジェットヘッド11のプラテン2に対向する面は、液体吐出面12である。液体吐出面12は、反応液吐出面12aと、インク吐出面12bと、反応液吐出面12cとを有する。
【0030】
反応液吐出面12aには、反応液吐出面12aに開口し、後述するインク吐出用ノズル列14ba〜14bdのそれぞれが吐出するインクを凝集させる性質を有する反応液を印刷媒体3に対し吐出する複数のノズル孔からなる反応液吐出用ノズル列14aが形成される。本実施形態において、反応液吐出用ノズル列14aは、2列平行に形成される。
【0031】
インク吐出面12bには、インク吐出面12bに開口し、インクを印刷媒体3に吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14ba〜インク吐出用ノズル列14bdが形成される。本実施形態において、インク吐出用ノズル列14ba〜bdのそれぞれは、2列平行に形成される。また、本実施形態では、インク吐出用ノズル列14baは、シアン(C)のインクを印刷媒体3に吐出する。また、インク吐出用ノズル列14bbは、マゼンタ(M)のインクを印刷媒体3に吐出する。また、インク吐出用ノズル列14bcは、イエロー(Y)のインクを印刷媒体3に吐出する。また、インク吐出用ノズル列14bdは、ブラック(K)のインクを印刷媒体3に吐出する。
【0032】
なお、以下の説明において、インク吐出用ノズル列14ba〜インク吐出用ノズル列14bdのそれぞれを区別することなく、いずれかの1のインク吐出用ノズル列として説明する場合、インク吐出用ノズル列14bと表記する。
【0033】
反応液吐出面12cには、反応液吐出面12cに開口し、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdが吐出するインクを凝集させる性質を有する反応液を印刷媒体3に吐出する複数のノズル孔からなる反応液吐出用ノズル列14cが形成される。本実施形態において、反応液吐出用ノズル列14cは、2列平行に形成される。
【0034】
なお、反応液吐出用ノズル列14a、及び、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液としては、例えば、インク中の樹脂や顔料成分と反応してそれを凝集させるインク凝集剤として、マグネシウム塩等の多価金属塩を使用したものや、ポリアリルアミン等のカチオン系高分子を含有したもの等が挙げられる。
【0035】
ここで、液体吐出面12とプラテン2との間隙(空間)、もしくは、液体吐出面12と印刷媒体3との間隙(空間)を総称してプラテンギャップという。
【0036】
インクジェットヘッド11は、反応液吐出用ノズル列14aから反応液を吐出するためのピエゾ素子等の駆動素子36(
図7)を備える。また、キャリッジ10には、反応液吐出用ノズル列14aが吐出する反応液を供給する反応液カートリッジ15aが搭載される。反応液カートリッジ15aは、反応液吐出用ノズル列14aから吐出する反応液を貯留するタンクを有するカートリッジである。
【0037】
インクジェットヘッド11は、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdのそれぞれについて、インクを吐出するためのピエゾ素子等の駆動素子36(
図7)を備える。また、キャリッジ10には、インクジェットヘッド11にインクを供給するインクカートリッジ15ba〜15bdが搭載される。インクカートリッジ15baは、インク吐出用ノズル列14baにシアンのインクを供給する。また、インクカートリッジ15bbは、インク吐出用ノズル列14bbにマゼンタのインクを供給する。インクカートリッジ15bcは、インク吐出用ノズル列14bcにイエローのインクを供給する。また、インクカートリッジ15bdは、インク吐出用ノズル列14bdにブラックのインクを供給する。
【0038】
インクジェットヘッド11には、反応液吐出用ノズル列14cから反応液を吐出するためのピエゾ素子等の駆動素子36(
図7)を備える。また、キャリッジ10には、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液を供給する反応液カートリッジ15cが搭載される。反応液カートリッジ15cは、反応液吐出用ノズル列14cから吐出する反応液を貯留するタンクを有するカートリッジである。
【0039】
このように、ヘッドユニット16は、キャリッジ10、インクジェットヘッド11、反応液カートリッジ15a、インクカートリッジ15ba〜15bd、反応液カートリッジ15cにより構成される。なお、本実施形態では、インクジェットヘッド11が反応液吐出用ノズル列14aと、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdと、反応液吐出用ノズル列14cとを備える構成であるが、反応液吐出用ノズル列14aを備えるヘッドと、反応液吐出用ノズル列14cを備えるヘッドとが、インク吐出用ノズル列14ba〜bdを備えるインクジェットヘッド11と別体で構成されてもよい。また、反応液カートリッジ15a、インクカートリッジ15ba〜15bd、反応液カートリッジ15cのそれぞれは、ヘッドユニット16以外の場所に設置されてもよい。
【0040】
反応液吐出面12aとインク吐出面12bとの間、及び、反応液吐出面12cとインク吐出面12bとの間には、プラズマアクチュエーター20が配置される。すなわち、2つのプラズマアクチュエーター20は、インク吐出面12bを挟んで配置される。つまり、2つのプラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14bを挟んで配置される。各プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14の長さ、または、インク吐出用ノズル列14長さのうち、少なくともどちらかより長く形成される。こうすることにより、反応液吐出用ノズル列14から発生したミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。各プラズマアクチュエーター20の支持は、任意であり、インクジェットヘッド11にはめ込まれて支持される構成でもよく、キャリッジ10に支持される構成でもよい。
【0041】
図4はプラズマアクチュエーター20の基本構造を示す断面図である。
図4に示すように、プラズマアクチュエーター20は、2枚の薄膜の電極21a、21bと、その電極21a、21bの間に挟まれた誘電体層22とから構成される。2枚の電極21a、21bの間に、数kV、周波数が数kHzの交流電圧を印加することで、上側の電極21aと誘電体22とに挟まれた部分でプラズマ放電23が生じ、これによって上側の電極21aから下側の電極21b方向に流れる気流が発生する。プラズマアクチュエーター20は、交流電圧の印加を制御することにより、気流の発生、停止、または、気流速度を簡単に制御できる。これはファンなどの気流発生装置では実現が困難な特徴である。なお、薄膜の電極21bを2個用意し、電極21aを挟むように配置してもよい。こうすることにより、2個の電極21bの片側を選択すれば気流の発生方向を正逆両方向に制御することができる。
【0042】
ここで、本実施形態における印刷装置1の印刷動作について説明する。
印刷装置1は、印刷媒体3に対し、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdによりインクを吐出し、画像を印刷媒体3に印刷する際、反応液吐出用ノズル列14a、及び、反応液吐出用ノズル列14cのいずれかから反応液を吐出する。例えば、キャリッジ10が方向TY11に移動して印刷媒体3に印刷を実行する際、印刷装置1は、印刷媒体3に対して反応液吐出用ノズル列14aから反応液を吐出し、吐出された反応液の上に、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdからインクを吐出する。インク吐出用ノズル列14bから吐出されたインクは、反応液により凝集する。また、例えば、キャリッジ10が方向TY12に移動して印刷媒体3に印刷を実行する際、印刷装置1は、印刷媒体3に対して反応液吐出用ノズル列14cから反応液を吐出し、吐出された反応液の上に、インク吐出用ノズル列14ba〜14bdからインクを吐出する。インク吐出用ノズル列14bから吐出されたインクは、反応液により凝集する。
【0043】
このような反応液を用いる印刷方法は、インクとして、水溶性染料を水、又は、水と有機溶剤との混合液に溶解させた水溶性染料インクが用いられる場合、水溶性染料インク専用の印刷媒体(例えば、インクジェット方式専用の印刷媒体)でなく、例えば、普通紙や再生紙等であっても、高品質な印字結果を取得することができる。
【0044】
しかしながら、プラズマアクチュエーター20を備えない場合、反応液を用いる印刷方法は、プラテンギャップの間に反応液のミストが発生してインク吐出面12bに付着し増粘・固化することにより、印字不良が発生する可能性がある。特に、インクジェットヘッド11が移動する際、インクジェットヘッド11の移動に起因して、プラテンギャップには、移動方向と逆方向に気流が発生する可能性がある。この場合、例えば、インクジェットヘッド11が方向TY11に移動する際、反応液吐出用ノズル列14aから吐出された反応液のミストが、方向TY11と逆方向(方向TY12)に流れ、インク吐出用ノズル列14bに付着し増粘・固化する蓋然性が高い。反応液のミストはインクの中の樹脂や顔料成分と反応してそれを凝集させ、すなわち増粘し固化する。それがノズル開口部で発生すると、飛行曲りやノズル詰りが発生してしまう。
【0045】
そこで、プラズマアクチュエーター20は、
図2及び
図3に示すように配置される。すなわち、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置される。プラズマアクチュエーター20の2枚の薄膜の電極21a、21bと、その電極21a、21bの間に挟まれた誘電体層22は、
図2におけるインクジェットヘッド11とプラズマアクチュエーター20との間隙に配置される。この間隙は、反応液吐出用ノズル列14aまたは14cとの間、またはインク吐出用ノズル列14bとの間のどちらか片方でもよいし、両方にそれぞれ電極を配置してもよい。このようにプラズマアクチュエーター20を配置することで、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に、プラズマアクチュエーター20により気流を発生させることができる。そのため、反応液吐出用ノズル列14aが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制でき、また、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。したがって、印刷装置1は、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0046】
また、プラズマアクチュエーター20は、
図2及び
図3に示すように、インクジェットヘッド11の移動方向に、インク吐出用ノズル列14bと並んで配置される。ここで、インクジェットヘッド11の移動方向は、キャリッジ10の移動方向、すなわち、搬送方向HY1に直交する方向TY1に相当する。このようにプラズマアクチュエーター20を配置し、プラズマアクチュエーター20により気流を発生させることで、反応液吐出用ノズル列14aが吐出する反応液のミストが、インクジェットヘッド11の移動方向に配置されるインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制でき、また、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液のミストが、インクジェットヘッド11の移動方向に配置されるインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。したがって、印刷装置1は、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0047】
また、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出面12bを挟んで2つ配置される。インクジェットヘッド11の移動方向が方向TY11である場合、反応液吐出用ノズル列14aからは反応液が吐出され、反応液吐出用ノズル列14cからは反応液が吐出されない。そのため、印刷装置1は、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置されたプラズマアクチュエーター20を駆動する。逆に、インクジェットヘッド11の移動方向が方向TY12である場合、反応液吐出用ノズル列14cからは反応液が吐出され、反応液吐出用ノズル列14aからは反応液が吐出されない。そのため、印刷装置1は、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置されたプラズマアクチュエーター20を駆動する。もちろん、移動方向にかかわらず両方のプラズマアクチュエータ―20を駆動してもかまわないし、移動方向に応じた片方のプラズマアクチュエーター20のみを駆動してもかまわない。このように制御することにより、反応液吐出用ノズル列14a及び反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。したがって、印刷装置1は、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0048】
また、
図3に示すように、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14bがインクを吐出する吐出方向IY1(
図3の場合、ノズル面12bから手前側に向かう方向)に、気流を発生させる。このようにプラズマアクチュエーター20が吐出方向IY1に気流を発生させるため、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間にエアーカーテンが形成される。したがって、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、プラズマアクチュエーター20がインクの吐出方向IY1に気流を発生させるため、反応液の着弾位置が乱れることを抑制できる。また、反応液のミストも、印刷媒体3に着弾させることが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では、吐出方向IY1に気流を発生させることは、プラテンギャップに対し気流を発生させることに相当する。
【0050】
次に、プラズマアクチュエーター20の配置の変形例について説明する。
【0051】
図5及び
図6は、プラズマアクチュエーター20の配置の変形例を示す図である。
図5は、印刷装置1のヘッドユニット16の概略図である。また、
図6は、
図5の液体吐出面12からヘッドユニット16をみた概略図である。
【0052】
図2及び
図3と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図2及び
図3と比較して明らかな通り、変形例においては、インクジェットヘッド11とプラズマアクチュエーター20との間に間隙がない。したがって
図2及び
図3のような電極配置ができない。そこで、本変形例では、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に2つずつ、互いに向かい合う方向に気流が発生するよう配置される。
【0054】
このように各プラズマアクチュエーター20を配置することにより、お互いに向かい合う気流が2つのプラズマアクチュエーター20の間でぶつかるので、
図5に示すように、インクを吐出する吐出方向IY1に、気流を発生させることができる。また、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置される2つのプラズマアクチュエーター20も同様に、インクを吐出する吐出方向IY1に、気流を発生させる。そのため、プラズマアクチュエーター20が
図5及び
図6に示すように配置された場合でも、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0055】
なお、本実施形態では、プラズマアクチュエーター20が、インクの吐出方向IY1に気流を発生させる場合を例示したが、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制可能であれば、気流の発生させる方向は、インクの吐出方向IY1に限定されない。
例えば、反応液吐出用ノズル列14aとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14aの方向に気流を発生させる構成でもよい。これにより、反応液吐出用ノズル列14aが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。
また、例えば、反応液吐出用ノズル列14cとインク吐出用ノズル列14bとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14cの方向に気流を発生させる構成でもよい。これにより、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。
また、これら構成を組み合わせてもよい。これにより、反応液吐出用ノズル列14a、及び、反応液吐出用ノズル列14cが吐出する反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14bに付着することを抑制できる。
【0056】
次に、本実施形態の機能的構成について説明する。
図7は、本実施形態における印刷装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【0057】
図7に示すように、印刷装置1は、各部を制御する制御部30と、制御部30の制御に従って各種モーターなどを駆動したり、検出回路の検出状態を制御部30に出力したりする各種ドライバー回路とを備える。各種ドライバー回路には、ヘッドドライバー32と、キャリッジドライバー33と、プラズマアクチュエータードライバー34と、紙送りドライバー35と、が含まれる。
【0058】
制御部30は、印刷装置1の各部を中枢的に制御するものである。制御部30は、CPUや、実行可能な基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータなどを不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムや所定データなどを一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路などを備える。
【0059】
ヘッドドライバー32は、インクを吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36にそれぞれ接続される。駆動素子36は、制御部30の制御に従って駆動され、ノズル孔から必要量のインクを吐出させる。
【0060】
キャリッジドライバー33は、キャリッジモーター37に接続され、キャリッジモーター37に駆動信号を出力して、キャリッジモーター37を制御部30により指示された範囲で動作させる。
【0061】
プラズマアクチュエータードライバー34は、プラズマアクチュエーター20に接続され、プラズマアクチュエーター20に駆動信号を出力して、プラズマアクチュエーター20を制御部30により駆動させる。
【0062】
紙送りドライバー35は、紙送りモーター38に接続され、紙送りモーター38に駆動信号を出力して、紙送りモーター38を制御部30により指示された量だけ動作させる。紙送りモーター38の動作に応じて、印刷媒体3が搬送方向HY1に所定量だけ搬送される。
【0063】
プラズマアクチュエーター20を駆動するためには、高電圧が必要である。印刷装置1は、プラズマアクチュエーター20を駆動するための駆動電圧を生成する駆動電圧生成部39を備える。駆動電圧生成部39は、プラズマアクチュエーター20およびプラズマアクチュエータードライバー34に接続される。駆動電圧生成部39は、例えば、キャリッジ10に支持され、ヘッドユニット16に搭載される。
【0064】
移動するキャリッジ10には、ヘッド駆動信号を伝達するフレキシブルケーブルが配設されている。このフレキシブルケーブルにプラズマアクチュエーター20を駆動するための高電圧配線を追加敷設するのは、絶縁距離やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じるため好ましくない。
【0065】
そのため、本実施形態においては、フレキシブルケーブルには低電圧の電源供給線を配設し、駆動電圧生成部39をヘッドユニット16に搭載している。駆動電圧生成部39は、この低電圧の電源を入力電圧とし、ヘッドユニット16内にて高電圧に昇圧する。
【0066】
なお、駆動素子36として、ピエゾ素子を使用する場合には、ピエゾ素子駆動用の電源供給線がフレキシブルケーブルに敷設されているので、そのピエゾ素子駆動用の電源を駆動電圧生成部39の入力電圧として利用してもよい。また、駆動素子36として、サーマルタイプの駆動素子を使用する場合でも同様に、サーマルヘッド駆動用電源を駆動電圧生成部39の入力電圧として利用することができる。もちろん、独立した低電圧の電源線をフレキシブルケーブルに敷設してもよい。
【0067】
なお、絶縁距離やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じなければ、フレキシブルケーブルにプラズマアクチュエーター20を駆動するための高電圧配線を敷設してもかまわないし、高電圧配線用に、ヘッド駆動信号を伝達するフレキシブルケーブルとは別のケーブルを敷設してもかまわない。
【0068】
このように、駆動電圧生成部39がヘッドユニット16に搭載されるため、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、キャリッジ10に設けられるフレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0069】
以上、説明したように、印刷装置1は、インクを吐出するインク吐出用ノズル列14bと、インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ノズル列14a、14cと、プラテンギャップに対して気流を発生させるプラズマアクチュエーター20と、を備える。
【0070】
これにより、プラテンギャップに対しプラズマアクチュエーター20により気流を発生させるため、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、プラズマアクチュエーター20を備えることにより、別途大掛かりな気流発生装置を設ける必要がなく、設備コストを低減できる。
【0071】
また、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14aとの間に配置される。また、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14cとの間に配置される。
【0072】
これにより、プラズマアクチュエーター20が、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14aとの間、及び、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14cとの間に配置されるため、各間に気流を発生でき、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなる。したがって、印刷装置1は、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0073】
また、印刷装置1は、印刷媒体3の搬送方向HY1と交差する方向に往復移動するキャリッジ10に搭載され、インク吐出用ノズル列14bを具備するインクジェットヘッド11を備える。
【0074】
これにより、キャリッジ10に搭載されたシリアル型のインクジェットヘッド11において、プラテンギャップに対しプラズマアクチュエーター20により気流を発生させるため、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0075】
また、プラズマアクチュエーター20は、インクジェットヘッド11の移動方向に、インク吐出用ノズル列14bと並んで配置される。
【0076】
これにより、プラズマアクチュエーター20が、インクジェットヘッド11の移動方向に、インク吐出用ノズル列14bと並んで配置されるため、反応液のミストが、インクジェットヘッド11の移動方向に配置されるインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0077】
また、印刷装置1は、インク吐出用ノズル列14bを挟んで配置される複数(本実施形態では2つ)のプラズマアクチュエーター20を備える。
【0078】
これにより、インク吐出用ノズル列14bを挟んで配置される複数のプラズマアクチュエーター20を備えるため、インクジェットヘッド11の移動方向に係らず反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0079】
また、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14bがインクを吐出する吐出方向IY1に気流を発生させる。
【0080】
これにより、プラズマアクチュエーター20が、インク吐出用ノズル列14bがインクを吐出する吐出方向IY1に気流を発生させるため、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14aとの間、及び、インク吐出用ノズル列14bと反応液吐出用ノズル列14cとの間に気流によるエアーカーテンが形成される。そのため、印刷装置1は、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0081】
また、印刷装置1は、ヘッドユニット16に駆動電圧生成部39が搭載される。
【0082】
これにより、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、キャリッジ10に接続されるフレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0083】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
【0084】
図8は、第2実施形態における印刷装置1aの概略を示す図である。また、
図9は、
図8の液体吐出面82側からみた概略図である。
【0085】
図8に示すように、第2実施形態における印刷装置1aは、印刷媒体3の搬送方向HY2の上流側から順に、反応液ヘッド50を有するヘッドユニット40と、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッド51aを有するヘッドユニット41aと、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッド51bを有するヘッドユニット41bと、イエローのインクを吐出するインクジェットヘッド51cを有するヘッドユニット41cと、ブラックのインクを吐出するインクジェットヘッド51dを有するヘッドユニット41dと、加熱ユニット52と、定着ローラー対53と、が配置される。
【0086】
印刷媒体3は、ローラー61、及び、ローラー62の間に掛け渡された搬送ベルト71に保持され、搬送方向HY2に搬送される。以下の説明において、搬送ベルト71のうち、搬送方向HY2に移動する搬送ベルトを搬送ベルト71aと表記する。
【0087】
図8及び
図9に示すように、反応液ヘッド50は、ライン型のヘッドであり、支持部材100により支持される。反応液ヘッド50の搬送ベルト71aに対向する面は、反応液吐出面80である。反応液吐出面80には、反応液吐出面80に開口し、後述するインク吐出用ノズル列14e〜14hのそれぞれが吐出するインクを凝集させる性質を有する反応液を印刷媒体3に対し吐出する複数のノズル孔からなる、反応液吐出用ノズル列14dが形成される。反応液吐出用ノズル列14dは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2(交差する方向)に延在するよう形成される。
【0088】
反応液ヘッド50は、反応液吐出用ノズル列14dから反応液を吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36を備える。また、支持部材100には、反応液ヘッド50に反応液を供給する反応液カートリッジ90が搭載される。反応液カートリッジ90は、反応液吐出用ノズル列14dから吐出する反応液を貯留するタンクを有するカートリッジである。
【0089】
ヘッドユニット40は、支持部材100、反応液ヘッド50、反応液カートリッジ90により構成される。
【0090】
図8に示すように、インクジェットヘッド51aは、ライン型のヘッドであり、支持部材101により支持される。インクジェットヘッド51aの搬送ベルト71aに対向する面は、インク吐出面81aである。インク吐出面81aには、インク吐出面81aに開口し、印刷媒体3に対し、シアンのインクを吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14eが形成される。インク吐出用ノズル列14eは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2に延在するよう形成される。インクジェットヘッド51aは、インク吐出用ノズル列14eからインクを吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36を備える。また、支持部材101には、インクジェットヘッド51aにシアンのインクを供給するインクカートリッジ91aが搭載される。
【0091】
ヘッドユニット41aは、支持部材101、インクジェットヘッド51a、インクカートリッジ91aにより構成される。
【0092】
インクジェットヘッド51bは、ライン型のヘッドであり、支持部材102により支持される。インクジェットヘッド51bの搬送ベルト71aに対向する面は、インク吐出面81bである。インク吐出面81bには、インク吐出面81bに開口し、印刷媒体3に対しマゼンタのインクを吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14fが形成される。インク吐出用ノズル列14fは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2に延在するよう形成される。インクジェットヘッド51bは、インク吐出用ノズル列14fからインクを吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36を備える。また、支持部材102には、インクジェットヘッド51bにマゼンタのインクを供給するインクカートリッジ91bが搭載される。
【0093】
ヘッドユニット41bは、支持部材102、インクジェットヘッド51b、インクカートリッジ91bにより構成される。
【0094】
インクジェットヘッド51cは、ライン型のヘッドであり、支持部材103により支持される。インクジェットヘッド51cの搬送ベルト71aに対向する面は、インク吐出面81cである。インク吐出面81cには、インク吐出面81cに開口し、印刷媒体3に対し、イエローのインクを吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14gが形成される。インク吐出用ノズル列14gは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2に延在するよう形成される。インクジェットヘッド51cは、インク吐出用ノズル列14gから反応液を吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36を備える。また、支持部材103には、インクジェットヘッド51cにイエローのインクを供給するインクカートリッジ91cが搭載される。
【0095】
ヘッドユニット41cは、支持部材103、インクジェットヘッド51c、インクカートリッジ91cにより構成される。
【0096】
インクジェットヘッド51dは、ライン型のヘッドであり、支持部材104により支持される。インクジェットヘッド51dの搬送ベルト71aに対向する面は、インク吐出面81dである。インク吐出面81dには、インク吐出面81dに開口し、印刷媒体3に対し、ブラックのインクを吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14hが形成される。インク吐出用ノズル列14hは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2に延在するよう形成される。インクジェットヘッド51dは、インク吐出用ノズル列14hから反応液を吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子36を備える。また、支持部材104には、インクジェットヘッド51dにブラックのインクを供給するインクカートリッジ91dが搭載される。
【0097】
ヘッドユニット41dは、支持部材104、インクジェットヘッド51d、インクカートリッジ91dにより構成される。
【0098】
ここで、液体吐出面82と搬送ベルト71aとの間隙(空間)、もしくは、液体吐出面82と印刷媒体3との間隙(空間)もプラテンギャップに相当する。なお、液体吐出面82とは、反応液吐出面80と、インク吐出面81a〜81dとを含む面である。
【0099】
以下の説明において、インク吐出用ノズル列14e〜インク吐出用ノズル列14hを区別することなく1のインク吐出用ノズル列として説明する場合、インク吐出用ノズル列14と表記する。
【0100】
反応液吐出用ノズル列14dと、インク吐出用ノズル列14eとの間には、プラズマアクチュエーター20が配置される。プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14dの長さ、または、インク吐出用ノズル列14の長さのうち、少なくともどちらかより長く形成される。こうすることにより、反応液吐出用ノズル列14dから発生したミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、
図8に示すように、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14が吐出するインクの吐出方向IY2に気流が発生するよう配置される。本実施形態では、プラズマアクチュエーター20は、支持部材100に支持される。なお、プラズマアクチュエーター20の支持は、例えば、反応液ヘッド50にはめ込めれて支持される構成でもよく、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14eとの間に配置されていれば任意である。
【0101】
図8に示す加熱ユニット52は、反応液およびインクが吐出された印刷媒体3を加熱乾燥する。
【0102】
図8に示す定着ローラー対53は、複数の定着ローラーを有し、所定の圧力で、印刷媒体3を加圧することにより、印刷媒体3に吐出されたインクを印刷媒体3に定着させる。なお、定着ローラー対53にて加熱と加圧を兼ねてもよい。
【0103】
ここで、本実施形態の印刷装置1aの印刷動作について説明する。
印刷装置1aは、印刷媒体3を搬送ベルト71aで保持しながら搬送方向HY2に搬送しつつ、インク吐出用ノズル列14e〜14hによりインクを吐出し、画像を印刷媒体3に印刷する。印刷装置1aは、インク吐出用ノズル列14e〜14hによりインクを吐出前に、反応液吐出用ノズル列14dから反応液を吐出する。このように、印刷装置1aは、反応液を吐出するため、上述したように、普通紙や再生紙等であっても、高品質な印字結果を取得することができる。
【0104】
しかしながら、反応液を用いる印刷方法は、プラテンギャップの間に反応液のミストが発生してインク吐出用ノズル列14に付着し、印字不良が発生する可能性がある。特に、印刷媒体3が搬送方向HY2に搬送される際、印刷媒体3の搬送に起因して、プラテンギャップにおいて、搬送方向HY2に流れる気流が発生する場合があり、反応液のミストが、搬送方向HY2の下流側に配置されるインク吐出用ノズル列14に付着する蓋然性が高い。
【0105】
そこで、プラズマアクチュエーター20は、
図8及び
図9に示すように配置される。すなわち、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14eとの間に配置される。このようにプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14eとの間に気流を発生させることができる。そのため、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制でき、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0106】
また、プラズマアクチュエーター20は、
図8及び
図9に示すように、印刷媒体3の搬送方向HY2に、インク吐出用ノズル列14と並んで配置される。このようにプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストが、搬送方向HY2に配置されるインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制でき、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0107】
また、
図8に示すように、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14がインクを吐出する吐出方向IY2に、気流を発生させるよう配置される。このようにプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14eとの間にエアーカーテンが形成される。したがって、反応液のミストが、搬送方向HY2の下流側に流れることを抑制できる。したがって、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、プラズマアクチュエーター20が、インクの吐出方向IY2に気流が発生するため、反応液の着弾位置が、印刷媒体3の搬送による気流により乱れることを抑制できる。
【0108】
上記の印刷装置1aの構成では、印刷媒体3に対し、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの各色のインクを吐出する場合の構成を例示した。しかしながら、印刷装置1aによっては、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの各色のインクにより形成される画像の下地の画像としての背景画像を印刷するため、背景画像印刷用インクを吐出する場合がある。この場合、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの各色のインクにより形成される画像は、背景画像に重畳されて印刷される主画像に相当し、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの各色のインクは、主画像を印刷するための主画像印刷用インクに相当する。
【0109】
図10は、背景画像印刷用インクを吐出する印刷装置1aの概略を示す図である。また、
図11は、
図10を液体吐出面82側からみた概略図である。なお、
図8及び
図9と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0110】
図8と比較して明らかな通り、背景画像印刷用インクを吐出する印刷装置1aは、ヘッドユニット40より印刷媒体3の搬送方向HY2の上流側に、反応液ヘッド54を有するヘッドユニット44と、背景画像印刷用インクを吐出するインクジェットヘッド55を有するヘッドユニット45とが配置される。ヘッドユニット44は、ヘッドユニット45より、印刷媒体3の搬送方向HY2の上流側に、配置される。
【0111】
本実施形態では、背景画像印刷用インクとしてホワイト(W)のインクを例示する。
【0112】
図10及び
図11に示すように、反応液ヘッド54は、ライン型のヘッドであり、支持部材105により支持される。反応液ヘッド54の搬送ベルト71aに対向する面は、反応液吐出面84である。反応液吐出面84には、反応液吐出面84に開口し、後述するインク吐出用ノズル列14jが吐出するインクを凝集させる性質を有する反応液を印刷媒体3に対し吐出する複数のノズル孔からなる反応液吐出用ノズル列14iが形成される。反応液吐出用ノズル列14iは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2(交差する方向)に延在するよう形成される。
【0113】
反応液ヘッド54は、反応液吐出用ノズル列14iから反応液を吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子を備える。また、支持部材105には、反応液ヘッド54に反応液を供給する反応液カートリッジ94が搭載される。反応液カートリッジ94は、反応液吐出用ノズル列14iから吐出する反応液を貯留するタンクを有するカートリッジである。
【0114】
ヘッドユニット44は、支持部材105、反応液ヘッド54、反応液カートリッジ94により構成される。
【0115】
図10に示すように、インクジェットヘッド55は、ライン型のヘッドであり、支持部材106により支持される。インクジェットヘッド55の搬送ベルト71aに対向する面は、インク吐出面85である。インク吐出面85には、インク吐出面85に開口し、印刷媒体3に対し、ホワイトのインクを吐出する複数のノズル孔からなるインク吐出用ノズル列14jが形成される。インク吐出用ノズル列14jは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2に延在するよう形成される。インクジェットヘッド55は、インク吐出用ノズル列14jから反応液を吐出するためのピエゾ素子などの駆動素子を備える。また、支持部材106には、インクジェットヘッド55にホワイトのインクを供給するインクカートリッジ95が搭載される。
【0116】
ヘッドユニット45は、支持部材106、インクジェットヘッド55、インクカートリッジ95により構成される。
【0117】
反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液は、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液と異なり、インク吐出用ノズル列14jが吐出するホワイトのインクを凝集させる性質を有する反応液である。つまり、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液は、背景画像印刷インクとしてのホワイトのインクを凝集させる性質を有する反応液である。また、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液は、主画像印刷インクとしてのシアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックのインクを凝集させる性質を有する反応液である。
【0118】
なお、本実施形態では、反応液吐出用ノズル列14iは、背景画像印刷用インクとしてのホワイトのインクを凝集する性質を有する反応液を吐出するため、第1の反応液吐出用ノズル列に相当する。また、インク吐出用ノズル列14jは、背景画像印刷用インクとしてのホワイトのインクを吐出するため、第1のインク吐出用ノズル列に相当する。また、反応液吐出用ノズル列14dは、主画像印刷用インクとして、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックのインクを凝集する性質を有する反応液を吐出するため、第2の反応液吐出用ノズル列に相当する。また、インク吐出用ノズル列14は、主画像印刷用インクとして、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックのインクのいずれかを吐出するため、第2のインク吐出用ノズル列に相当する。
【0119】
ここで、液体吐出面82と搬送ベルト71aとの間隙(空間)、もしくは、液体吐出面82と印刷媒体3との間隙(空間)もプラテンギャップに相当する。なお、
図10において、液体吐出面82とは、反応液吐出面80と、インク吐出面81a〜81dと、反応液吐出面84と、インク吐出面85とを含む面である。
【0120】
反応液吐出用ノズル列14iと、インク吐出用ノズル列14jとの間には、プラズマアクチュエーター20が配置される。プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14iの長さ、または、インク吐出用ノズル列14jの長さのうち、少なくともどちらかより長く形成される。こうすることにより、反応液吐出用ノズル列14iから発生したミストがインク吐出用ノズル列14jに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、
図8に示すように、このプラズマアクチュエーター20は、インクの吐出方向IY2に気流が発生するよう配置される。本実施形態では、このプラズマアクチュエーター20は、支持部材105に支持される。なお、プラズマアクチュエーター20の支持は、例えば、反応液ヘッド54にはめ込めれて支持される構成でもよく、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されていれば任意である。
【0121】
また、インク吐出用ノズル列14jと、反応液吐出用ノズル列14dとの間には、プラズマアクチュエーター20が配置される。このプラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14dの長さ、または、インク吐出用ノズル列14の長さのうち、少なくともどちらかより長く形成される。こうすることにより、反応液吐出用ノズル列14dから発生したミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、
図10に示すように、このプラズマアクチュエーター20は、インクの吐出方向IY2に気流が発生するよう配置される。本実施形態では、このプラズマアクチュエーター20は、支持部材106に支持される。なお、このプラズマアクチュエーター20の支持も、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されていれば、任意である。
【0122】
ここで、
図10に示す印刷装置1aの印刷動作について説明する。
印刷装置1は、印刷媒体3の搬送ベルト71aで保持しつつ、印刷媒体3を搬送方向HY2に搬送する。印刷装置1aは、印刷媒体3に対し、反応液吐出用ノズル列14iから反応液を吐出する。そして、印刷装置1aは、吐出された反応液の上に、インク吐出用ノズル列14jからホワイトのインクを吐出して、印刷媒体3に背景画像を印刷する。その後、印刷装置1aは、印刷媒体3に対し、反応液吐出用ノズル列14dから反応液を吐出し、この反応液の上に、インク吐出用ノズル列14e〜14hによりインクを吐出することで、背景画像に重畳して主画像を印刷する。
【0123】
前述した通り、反応液を用いる印刷方法は、プラテンギャップの間に反応液のミストが発生してインク吐出用ノズル列14に付着し、印字不良が発生する可能性がある。特に、背景画像を印刷する際、印刷媒体3の印刷領域の全域に、背景画像印刷用インクを吐出するため、背景画像印刷用インクのミストは、主画像印刷用インクのミストより多く発生する。そのため、背景画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列14jは、反応液のミストにより、主画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列14と比較して、印字不良になる蓋然性が高い。
【0124】
そこで、プラズマアクチュエーター20は、
図10及び
図11に示すように配置されれる。すなわち、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置される。このようにプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に気流を発生させることができる。そのため、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14jに付着することを抑制でき、また、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制でき、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0125】
また、
図10に示すように、プラズマアクチュエーター20は、インクの吐出方向IY2に、気流を発生させる。このようにプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間にエアーカーテンが形成され、また、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間にエアーカーテンが形成される。したがって、反応液のミストが、搬送方向HY2の下流側に流れることを抑制できる。したがって、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14jに付着しにくくなり、また、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。また、インクの吐出方向IY2に気流が発生するようプラズマアクチュエーター20が配置されるため、反応液の着弾位置が、印刷媒体3の搬送により乱れることを抑制できる。
【0126】
なお、背景画像は、主画像より広範囲に印刷されることが多いので、背景画像印刷用インクの吐出量は主画像印刷用インクの吐出量より多いことがよくある。したがって背景画像印刷用インクに対応した反応液の吐出量も多いのでミストも多く発生する。そのため、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流は、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流より風量が多くなるよう設定される。
【0127】
これにより、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14jに付着することをより抑制できる。前述した通り、インク吐出用ノズル列14jは、反応液のミストにより、主画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列14と比較して、印字不良を発生する蓋然性が高い。しかしながら、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流は、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流より風量が多くなるよう設定される。そのため、背景画像印刷インクのように、ミストが多く発生する場合でも、反応液のミストによる印字不良を確実に低減できる。
【0128】
ここで、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流の風量に合わせて、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流の風量を多くすることが考えられる。しかしながら、前述した通り、プラズマアクチュエーター20は、駆動するために高電圧が必要であるため、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流の風量と、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流の風量とを同じにすると、消費電力の面において、懸念がある。本実施形態では、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流を、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20の気流より多くすることにより、消費電力を抑制した上で、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0129】
また、
図10に示すように、インク吐出用ノズル列14jと反応液吐出用ノズル列14dとの間にプラズマアクチュエーター20が配置される。そのため、インク吐出用ノズル列14jが吐出した背景画像印刷用インクのミストが、印刷媒体3の搬送方向HY2の下流側に流れることを抑制できる。そのため、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液により背景画像印刷用インクが凝集する場合でも、背景画像印刷用インクのミストが、インク吐出用ノズル列14に付着することを抑制できるため、この反応液による印字不良の発生を低減できる。また、背景画像印刷用インクのミストが反応液吐出用ノズル列14dに付着することを抑制できる。
【0130】
本実施形態における印刷装置1aの機能的構成は、
図7のキャリッジドライバー33とキャリッジモーター37とを除いた構成と同じである。
【0131】
したがって、印刷装置1aは、プラズマアクチュエーター20を駆動する駆動電圧生成部39を備える。本実施形態では、駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45のそれぞれに搭載される。駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット40に搭載される場合、例えば、支持部材100に支持される。また、駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット44に搭載される場合、例えば、支持部材105に支持される。駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット45に搭載される場合、例えば、支持部材106に支持される。
【0132】
少なくとも、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45は、ヘッド駆動信号を伝達するフレキシブルケーブルが配設されている。このフレキシブルケーブルにプラズマアクチュエーター20を駆動するための高電圧配線を追加敷設するのは、絶縁距離やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じるため好ましくない。そのため、本実施形態においては、フレキシブルケーブルには低電圧の電源供給線を配設し、駆動電圧生成部39をヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45に搭載している。駆動電圧生成部39は、この低電圧の電源を入力電圧とし、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45にて高電圧に昇圧する。
【0133】
このように、駆動電圧生成部39が、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45に搭載されるため、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45内に、フレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0134】
以上、説明したように、本実施形態の印刷装置1aは、印刷媒体3の搬送方向HY2に対し直交する方向TY2(交差する方向)に延在するインク吐出用ノズル列14を具備するインクジェットヘッド51a〜51dを備える。
【0135】
これにより、方向TY2に延在するインク吐出用ノズル列14を具備するインクジェットヘッド51a〜51dを備える印刷装置1aにおいて、プラテンギャップに対しプラズマアクチュエーター20により気流を発生させるため、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0136】
また、プラズマアクチュエーター20は、印刷媒体3の搬送方向HY2に、インク吐出用ノズル列14と並んで配置される。
【0137】
これにより、プラズマアクチュエーター20が、印刷媒体3の搬送方向HY2に、インク吐出用ノズル列14と並んで配置されるため、反応液のミストが、搬送方向HY2に配置されるインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0138】
また、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14がインクを吐出する吐出方向IY2に気流を発生させる。
【0139】
これにより、プラズマアクチュエーター20が、インク吐出用ノズル列14がインクを吐出する吐出方向IY2に気流を発生させるため、インク吐出用ノズル列14と反応液吐出用ノズル列14dとの間にエアーカーテンが形成され、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0140】
また、印刷装置1aは、インク吐出用ノズル列として、背景画像を印刷するための背景画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列14j(第1のインク吐出用ノズル列)と、主画像を印刷するための主画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列14(第2のインク吐出用ノズル列)とを有する。また、印刷装置1aは、反応液吐出用ノズル列として、背景画像印刷インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ノズル列14i(第1の反応液吐出用ノズル列)と、主画像印刷用インクを凝集される性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ノズル列14d(第2の反応液吐出用ノズル列)とを有する。そして、プラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14jと反応液吐出用ノズル列14iとの間、及び、インク吐出用ノズル列14と反応液吐出用ノズル列14dとの間に配置される。
【0141】
このように、プラズマアクチュエーター20が、インク吐出用ノズル列14jと反応液吐出用ノズル列14iとの間、及び、インク吐出用ノズル列14と反応液吐出用ノズル列14dとの間に配置される。そのため、背景画像印刷インクを凝集させる反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14jに付着しにくくなり、また、主画像印刷インクを凝集させる反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、各反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0142】
また、インク吐出用ノズル列14jと反応液吐出用ノズル列14iとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14と反応液吐出用ノズル列14dとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20が発生する気流より、風量の多い気流を発生させる。
【0143】
このように、インク吐出用ノズル列14jと反応液吐出用ノズル列14iとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、インク吐出用ノズル列14と反応液吐出用ノズル列14dとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20が発生する気流より、風量の多い気流を発生させる。そのため、背景画像印刷インクを凝集させる反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14j、及び、インク吐出用ノズル列14に付着しにくくなり、背景画像印刷インクを凝集させる反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0144】
また、印刷装置1aは、駆動電圧生成部39と、インク吐出用ノズル列14jとを有するヘッドユニット45を備える。
【0145】
これにより、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、ヘッドユニット45に配設されるフレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0146】
また、印刷装置1aは、駆動電圧生成部39と、反応液吐出用ノズル列14dとを有するヘッドユニット40を備える。また、印刷装置1aは、駆動電圧生成部39と、反応液吐出用ノズル列14iとを有するヘッドユニット44を備える。
【0147】
これにより、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、ヘッドユニット40、及び、ヘッドユニット44に配設されるフレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0148】
なお、本実施形態では、インクジェットヘッド50、51は、搬送方向HY2に対し直交方向に延在するとして説明したが、かならずしも直交していなくてもかまわない。印刷媒体3の印刷領域をノズル列がカバーするように配置されていればよい。
【0149】
なお、本実施形態では、プラズマアクチュエーター20が、インクの吐出方向IY2に気流を発生させる場合を例示したが、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制可能であれば、気流の発生させる方向は、インクの吐出方向IY2に限定されない。また、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14jに付着することを抑制可能であれば、気流の発生させる方向は、インクの吐出方向IY2に限定されない。
例えば、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、印刷媒体3の搬送方向HY2と逆の方向に気流を発生させる構成でもよい。これにより、反応液吐出用ノズル列14dが吐出する反応液のミストが、インク吐出用ノズル列14に付着することを抑制できる。
また、例えば、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間に配置されるプラズマアクチュエーター20は、印刷媒体3の搬送方向HY2の逆の方向に気流を発生させる構成でもよい。これにより、反応液吐出用ノズル列14iが吐出する反応液のミストがインク吐出用ノズル列14jに付着することを抑制できる。
また、これら構成を組み合わせてもよい。
【0150】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
【0151】
図12は、第3実施形態に係る印刷装置1bの概要を示す図である。第2実施形態に係る印刷装置1bと同一部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0152】
第3実施形態に係る印刷装置1bは、第2実施形態に係る印刷装置1bと比較して明らかな通り、回転式のドラムDR1を備え、ドラムDR1の回転により、印刷媒体3をドラムDR1の回転方向KHに搬送する。
【0153】
また、第3実施形態に係る印刷装置1bは、回転方向KHの上流側から順に、ヘッドユニット40、ヘッドユニット41a、ヘッドユニット41b、ヘッドユニット41c、及び、ヘッドユニット41dが配置される。
【0154】
ヘッドユニット40は、ドラムDR1の表面に、反応液吐出面80が対向するよう配置される。反応液吐出面80には、反応液吐出用ノズル列14dが形成される。また、ヘッドユニット41aは、ドラムDR1の表面に、インク吐出面81aが対向するよう配置される。インク吐出面81aには、インク吐出用ノズル列14eが形成される。また、ヘッドユニット41bは、ドラムDR1の表面に、インク吐出面81bが対向するよう配置される。インク吐出面81bには、インク吐出用ノズル列14fが形成される。また、ヘッドユニット41cは、ドラムDR1の表面に、インク吐出面81cが対向するよう配置される。インク吐出面81cには、インク吐出用ノズル列14gが形成される。また、ヘッドユニット41dは、ドラムDR1の表面に、インク吐出面81dが対向するよう配置される。インク吐出面81dには、インク吐出用ノズル列14hが形成される。
【0155】
本実施形態では、反応液吐出面80と、反応液吐出面80と対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、反応液吐出面80と、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。また、インク吐出面81aと、インク吐出面81aと対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、インク吐出面81aと、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。また、インク吐出面81bと、インク吐出面81bと対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、インク吐出面81bと、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。また、インク吐出面81cと、インク吐出面81cと対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、インク吐出面81cと、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。また、インク吐出面81dと、インク吐出面81dと対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、インク吐出面81dと、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。
【0156】
第3実施形態に係る印刷装置1bは、回転方向KHに搬送される印刷媒体3に対し、ヘッドユニット40により反応液を吐出し、吐出された反応液の上に、ヘッドユニット41a〜ヘッドユニット41dによりインクを吐出する。
【0157】
このようなドラムDR1により印刷媒体3を搬送する印刷装置1bの場合、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置される。そして、プラズマアクチュエーター20は、ドラムDR1の回転方向と逆方向に気流を発生させる。
【0158】
ドラムDR1が回転することにより、この回転に起因して、プラテンギャップでは、回転方向KHに気流が発生する場合がある。そのため、ヘッドユニット40から吐出された反応液のミストが、ドラムDR1の回転方向KHに流れ、回転方向KHの下流側に位置するインク吐出用ノズル列14に、付着する場合がある。しかしながら、プラズマアクチュエーター20が、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置されるため、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制でき、反応液による印字不良を低減できる。
【0159】
また、プラズマアクチュエーター20は、ドラムDR1の回転方向と逆方向に気流を発生させる。これにより、プラテンギャップにおけるドラムDR1の回転に起因する回転方向KHへの気流を抑制でき、反応液のミストが回転方向KHの下流側に位置するインク吐出用ノズル列14に流れることを抑制できる。すなわち、印刷装置1bは、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14に付着することを抑制でき、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0160】
図13は、背景画像印刷用インクを吐出する、第3実施形態に係る印刷装置1bの概略を示す図である。
図13において、
図10及び
図12と同一部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0161】
背景画像印刷用インクを吐出する場合、印刷装置1bは、ヘッドユニット40の回転方向KHの上流側に、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45が配置される。ヘッドユニット44は、ヘッドユニット45より回転方向KHの上流側に配置される。
【0162】
ヘッドユニット44は、ドラムDR1の表面に、反応液吐出面84が対向するよう配置される。反応液吐出面84には、反応液吐出用ノズル列14iが形成される。また、ヘッドユニット45は、ドラムDR1の表面に、インク吐出面85が対向するよう配置される。インク吐出面85には、インク吐出用ノズル列14jが形成される。
【0163】
ここで、反応液吐出面84と、反応液吐出面84と対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、反応液吐出面84と、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。また、インク吐出面85と、インク吐出面85と対向するドラムDR1の表面との間隔(空間)、もしくは、インク吐出面85と、印刷媒体3との間隔(空間)もプラテンギャップに相当する。
【0164】
図13に示す印刷装置1bの場合、プラズマアクチュエーター20は、反応液吐出用ノズル列14iとインク吐出用ノズル列14jとの間、及び、反応液吐出用ノズル列14dとインク吐出用ノズル列14との間に配置される。そして、各プラズマアクチュエーター20は、ドラムDR1の回転方向と逆方向に気流を発生させる。
【0165】
このように、プラズマアクチュエーター20を配置し、ドラムDR1の回転方向と逆方向に気流を発生させる。これにより、印刷装置1bが回転式のドラムDR1を備え、背景画像印刷用インクを吐出する場合でも、第2実施形態で説明した効果と同様の効果を奏する。
【0166】
本実施形態における印刷装置1の機能的構成は、第2実施形態における印刷装置1bの機能的構成と同じである。
【0167】
したがって、印刷装置1bは、プラズマアクチュエーター20を駆動する駆動電圧生成部39を備える。本実施形態では、駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45のそれぞれに搭載される。駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット40に搭載される場合、例えば、支持部材100に支持される。また、駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット44に搭載される場合、例えば、支持部材105に支持される。駆動電圧生成部39は、ヘッドユニット45に搭載される場合、例えば、支持部材106に支持される。
【0168】
少なくとも、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45は、ヘッド駆動信号を伝達するフレキシブルケーブルが配設されている。このフレキシブルケーブルにプラズマアクチュエーター20を駆動するための高電圧配線を追加敷設するのは、絶縁距離やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じるため好ましくない。そのため、本実施形態においては、フレキシブルケーブルには低電圧の電源供給線を配設し、駆動電圧生成部39をヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45に搭載している。駆動電圧生成部39は、この低電圧の電源を入力電圧とし、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45にて高電圧に昇圧する。
【0169】
このように、駆動電圧生成部39が、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45に搭載されるため、高電圧で駆動されるプラズマアクチュエーター20への駆動電圧を駆動電圧生成部39で生成することができる。そのため、ヘッドユニット40、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45内に、フレキシブルケーブルに高電圧配線を敷設する必要がなく、絶縁性やショート対策、ノイズ対策などの問題が生じない。
【0170】
なお、本実施形態では、プラズマアクチュエーター20が、ドラムDR1の回転方向KHと逆方向に気流を発生させる場合を例示したが、反応液による印字不良の発生を抑制可能であれば、ドラムDR1の回転方向KHと逆方向に気流を発生させる構成に限定されない。例えば、プラズマアクチュエーター20が発生する気流は、ドラムDR1の表面方向でもよい。この方向であっても、ドラムDR1の回転方向KHの下流側に反応液のミストが流れることを抑制できるため、反応液による印字不良の発生を低減できる。
【0171】
また、本実施形態では、1のドラムDR1の周辺に、ヘッドユニット40、ヘッドユニット41a〜41dが配置される構成を例示した。しかしながら、ヘッドユニット40と、ヘッドユニット41a〜41dとが配置されるドラムは異なってもよい。この場合、印刷装置1bは、印刷媒体3の搬送方向の上流側から順に、ヘッドユニット40が配置されるドラム、ヘッドユニット41a〜41dが配置されるドラムが配置される。
【0172】
また、本実施形態では、1のドラムDR1の周辺に、回転方向KHの上流側から、ヘッドユニット44、ヘッドユニット45、ヘッドユニット40、及び、ヘッドユニット41a〜41dが配置される構成を例示した。しかしながら、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45が配置されるドラムと、ヘッドユニット40、及び、ヘッドユニット41a〜41dが配置されるドラムとが異なってもよい。この場合、印刷装置1bは、印刷媒体3の搬送方向の上流側から順に、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45が配置されるドラム、ヘッドユニット40、及び、ヘッドユニット41a〜41dが配置されるドラムが配置される。
【0173】
以上、説明したように、印刷装置1bは、印刷媒体3を搬送する回転式のドラムDR1を備える。プラズマアクチュエーター20は、ドラムDR1が回転する回転方向KHと逆の方向に気流を発生させる。
【0174】
これにより、印刷装置1bがドラムDR1を備える構成において、プラズマアクチュエーター20が、ドラムDR1が回転する回転方向KHと逆の方向に気流を発生させるため、反応液のミストがインク吐出用ノズル列14bに付着しにくくなり、反応液のミストによる印字不良の発生を低減できる。
【0175】
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
【0176】
例えば、上述した第1実施形態では、印刷装置1が、印刷媒体3にシアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックのインクを吐出して、印刷媒体3に画像を印刷する構成を例示した。しかしながら、第1実施形態における印刷装置1も、第2実施形態における印刷装置1a、及び、第3実施形態における印刷装置1bと同様に、印刷媒体3に背景画像を印刷する構成でもよい。この場合、ヘッドユニット16には、背景画像印刷用インクを吐出するインクジェットヘッドと、この背景画像印刷用インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応ヘッドとが搭載される。そして、この背景画像印刷用インクを凝集させる性質を有する反応液のミストが、背景画像印刷用インクを吐出するインク吐出用ノズル列に付着することを抑制可能に、適宜、プラズマアクチュエーター20が配置される。なお、背景画像印刷用インクを吐出するインクジェットヘッドと、この背景画像印刷用インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応ヘッドとは、インクジェットヘッド11と一体であってもよい。
【0177】
また、上述した各実施形態において、背景画像用インクを凝縮させる反応液と、主画像用インクを凝縮させる反応液とは、異なる反応液を使用しても同じ反応液を使用してもかまわない。
【0178】
また、上述した各実施形態では、印刷面側から視認する印刷物を印刷するために、背景画像を印刷した上に主画像を重畳印刷する場合について記述したが、印刷面とは反対側から視認する印刷物を印刷するために、主画像を先に印刷した上に背景画像を重畳印刷する場合もある。その場合は、キャリッジ10の移動方向または印刷媒体3の搬送方向の上流側に主画像印刷用のノズル列が配置され、背景画像印刷用のノズル列は下流側に配置される。すなわち、
図10ないし
図13における各ヘッドユニットの並び順が異なるだけであり、反応液吐出用ノズル列の下流方向にプラズマアクチュエーター20を備えることにかわりはなく、本実施形態で説明したのと同じ作用効果を有することは言うまでもない。
【0179】
また、上述した第2実施形態において、背景画像用インクを凝縮させる反応液のミストに対応したプラズマアクチュエーター20が発生する気流の風量は、主画像用インクを凝縮させる反応液のミストに対応したプラズマアクチュエーター20が発生する気流より多いことを記述した。このことは、上述した第1実施形態の印刷装置1および第3実施形態の印刷装置1bにおいても同様の構成をとることができ、同様の作用効果を有することは言うまでもない。
【0180】
また、例えば、上述した第2実施形態における印刷装置1a、及び、第3実施形態における印刷装置1bは、それぞれが別体の、ヘッドユニット40と、ヘッドユニット41a〜41dとを備える構成を例示した。しかしながら、ヘッドユニット40とヘッドユニット41a〜41dとが一体として構成されてもよい。また、上述した第2実施形態における印刷装置1a、及び、第3実施形態における印刷装置1bは、それぞれが別体の、ヘッドユニット40、ヘッドユニット41a〜41d、ヘッドユニット44、及び、ヘッドユニット45を備える構成を例示した。しかしながら、これらヘッドユニットは、一体型のヘッドユニットとして構成されてもよい。
【0181】
また、例えば、上述した各実施形態では、背景画像印刷用インクとしてホワイトのインクを例示した。しかしながら、背景画像印刷用インクは、ホワイトのインクに限定されず、例えば、メタリック系のインクでもよく、背景画像の印刷に用いられるインクであればよい。また、主画像印刷用インクとしてシアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックのインクを例示した。しかしながら、主画像印刷用インクは、これらインクに限定されず、背景画像に重畳して印刷する主画像の印刷に用いられるインクであればよい。
【0182】
また、
図7に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した各実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、印刷装置1、1a、1bの他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。