特許第6801522号(P6801522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801522
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】無線通信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20201207BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H04B1/3827 110
   H04M1/00 R
   H04M1/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-41597(P2017-41597)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-148404(P2018-148404A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中野 学
【審査官】 鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−517253(JP,A)
【文献】 特表2003−501959(JP,A)
【文献】 特開昭61−238159(JP,A)
【文献】 特開平04−354234(JP,A)
【文献】 特開平09−162771(JP,A)
【文献】 特開2010−226274(JP,A)
【文献】 特開2009−021923(JP,A)
【文献】 特開2015−091120(JP,A)
【文献】 特開2015−128209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3827
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンからの音声信号の音圧を判定して音圧判定信号を生成する音圧判定部と、
距離センサが生成した無線通信機から無線通信機の使用者までの距離に応じた検出値に基づいて前記無線通信機から前記使用者までの距離を判定して、距離判定信号を生成する距離判定部と、
前記マイクロホンからの音声信号を所定時間だけ更新録音する録音部と、
前記録音部から読み出された音声信号に続けて前記マイクロホンからの音声信号を音声処理して送信音声信号を生成する送信音声処理部と、
前記送信音声信号を電波として送信する送信回路と、
前記音圧判定信号と前記距離判定信号とを監視する送信制御部と、
を備え、
前記送信制御部は、
前記距離判定信号が第1の距離以下であることを示すとき、前記送信音声処理部の動作を開始させ、
前記距離判定信号が第1の距離よりも短い第2の距離以下であることを示すとき、前記録音部による音声信号の更新録音及び読み出しの動作を開始させ、
前記距離判定信号が第2の距離よりも短い第3の距離以下であることを示すとき、前記音圧判定部によって、前記マイクロホンからの音声信号の音圧を判定する動作を開始させ、
前記音圧判定信号が所定の閾値以上の音圧であることを示すとき、前記送信音声処理部によって生成された、前記録音部から読み出された音声信号及び前記マイクロホンからの音声信号を含む送信音声信号を電波として送信するよう前記送信回路に送信制御信号を供給する
ことを特徴とする無線通信機。
【請求項2】
前記送信制御部は、
前記距離判定信号が前記第1の距離を超えることを示すとき、前記送信音声処理部を不動作とし、
前記距離判定信号が前記第1の距離以下であることを示すとき、不動作となっている前記送信音声処理部を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項3】
前記送信制御部は、
前記距離判定信号が前記第2の距離を超えることを示すとき、前記録音部を不動作とし、
前記距離判定信号が前記第2の距離以下であることを示すとき、不動作となっている前記録音部を動作させる
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信機。
【請求項4】
前記送信制御部は、
前記距離判定信号が前記第3の距離を超えることを示すとき、前記音圧判定部を不動作とし、
前記距離判定信号が前記第3の距離以下であることを示すとき、不動作となっている前記音圧判定部を動作させる
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信機。
【請求項5】
前記音圧判定部は、
音声信号が所定の閾値以上の音圧であれば有音を示す音圧判定信号を生成し、前記所定の閾値未満の音圧であれば無音を示す音圧判定信号を生成し、
音声信号の音圧が前記所定の閾値以上に達した後に前記所定の閾値未満となった場合には、所定の時間有音を示す音圧判定信号を維持する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線通信機の近傍に無線通信機の使用者が存在することを人感センサによって検出して、無線通信機を送信状態に切り替えるように構成した無線通信機が記載されている。人感センサは、人体から発せられる熱を感知することによって使用者の存在を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−226274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無線通信機においては、人感センサによって無線通信機の近傍に無線通信機の使用者が存在することを検出しただけで無線通信機が送信状態に切り替えられてしまう。無線通信機の使用者が音声を送信しようとしていないにもかかわらず送信状態に切り替えられることが起こり得る。
【0005】
本発明は、無線通信機の使用者が音声を送信しようとする状態を適切に判断して無線通信機を送信状態に切り替えることができる無線通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マイクロホンからの音声信号の音圧を判定して音圧判定信号を生成する音圧判定部と、距離センサが生成した無線通信機から無線通信機の使用者までの距離に応じた検出値に基づいて前記無線通信機から前記使用者までの距離を判定して、距離判定信号を生成する距離判定部と、前記マイクロホンからの音声信号を所定時間だけ更新録音する録音部と、前記録音部から読み出された音声信号に続けて前記マイクロホンからの音声信号を音声処理して送信音声信号を生成する送信音声処理部と、前記送信音声信号を電波として送信する送信回路と、前記音圧判定信号と前記距離判定信号とを監視する送信制御部とを備え、前記送信制御部は、前記距離判定信号が第1の距離以下であることを示すとき、前記送信音声処理部の動作を開始させ、前記距離判定信号が第1の距離よりも短い第2の距離以下であることを示すとき、前記録音部による音声信号の更新録音及び読み出しの動作を開始させ、前記距離判定信号が第2の距離よりも短い第3の距離以下であることを示すとき、前記音圧判定部によって、前記マイクロホンからの音声信号の音圧を判定する動作を開始させ、前記音圧判定信号が所定の閾値以上の音圧であることを示すとき、前記送信音声処理部によって生成された、前記録音部から読み出された音声信号及び前記マイクロホンからの音声信号を含む送信音声信号を電波として送信するよう前記送信回路に送信制御信号を供給することを特徴とする無線通信機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の無線通信機によれば、無線通信機の使用者が音声を送信しようとする状態を適切に判断して無線通信機を送信状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の無線通信機を示すブロック図である。
図2A】使用者がスピーカマイクロホンを使用しようとしてスピーカマイクロホンを自分自身に近付けた状態を示す図である。
図2B】使用者がスピーカマイクロホンを図2Aよりもさらに自分自身に近付けた状態を示す図である。
図2C】使用者が音声を発するために、スピーカマイクロホンを図2Bよりもさらに自分自身に近付けた状態を示す図である。
図3A】一実施形態の無線通信機の動作を示す全体的な状態遷移図である。
図3B】一実施形態の無線通信機の動作を示す部分的な状態遷移図である。
図3C】一実施形態の無線通信機の動作を示す図3Bに続く部分的な状態遷移図である。
図3D】一実施形態の無線通信機の動作を示す図3Cに続く部分的な状態遷移図である。
図4】送信制御部が送信回路を動作させる条件を論理的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の無線通信機について、添付図面を参照して説明する。図1において、一実施形態の無線通信機は、本体部10と、本体部10に接続されたスピーカマイクロホン20とを備える。スピーカマイクロホン20の機能が本体部10に内蔵されていてもよい。無線通信機は、半二重通信方式で音声データを送信または受信する。
【0010】
図2Aに示すように、無線通信機の使用者30は、本体部10を体のいずれかの位置に装着し、音声データを送信しようとするときにスピーカマイクロホン20を手で把持する。スピーカマイクロホン20の機能が本体部10に内蔵されている場合には、使用者30は、本体部10を手で把持する。
【0011】
図1において、スピーカマイクロホン20は、PTT(Push To Talk)スイッチ21と、マイクロホン22と、距離センサ23とを備える。スピーカマイクロホン20は、本体部10が受信した音声データに基づく音声を発音させる図示していないスピーカを備える。本体部10は、音圧判定部11と、距離判定部12と、送信制御部13と、送信音声処理部14と、送信回路15と、録音部16を備える。本体部10は図示しない受信回路も備えるが、図1では送信のみについて図示する。
【0012】
使用者30が音声データを送信するためにPTTスイッチ21を押下すると、PTTスイッチ21は、送信回路15を動作させるためのPTT信号を送信制御部13に供給する。使用者30が音声を発すると、マイクロホン22は音声を収音してアナログ音声信号を音圧判定部11と送信音声処理部14と録音部16とに供給する。
【0013】
距離センサ23は、例えば、赤外線よりなる送信波を所定の対象物に発射し、送信波と対象物で反射した反射波との位相差に基づいて生成した検出値を、距離判定部12に供給する。距離センサ23の検出値は、距離センサ23から対象物までの距離に応じた値となる。ここでは、対象物は使用者30である。
【0014】
音圧判定部11は、マイクロホン22が音声を収音したときに無線通信機を送信状態に切り替える、いわゆるVOX(Voice-operated Transmit)機能を実現するために設けられている。VOX機能を備える無線通信機はハンズフリー通話が可能である。音圧判定部11は、入力されるアナログ音声信号の音圧を判定して、音圧判定信号を生成する。
【0015】
音圧判定部11は、所定の閾値以上の音圧であれば「有音」を示す信号を生成し、所定の閾値未満の音圧であれば「無音」を示す音圧判定信号を生成する。また、会話時の音声は連続音ではないため、音圧が所定の閾値以上に達し、その後、音圧が所定の閾値未満となった場合には、音圧判定部11は、所定の時間有音を示す音圧判定信号を維持する。音圧判定部11は、音圧判定信号を送信制御部13に供給する。
【0016】
距離判定部12は、入力された検出値に基づいて使用者30までの距離を判定して、距離判定信号を生成する。距離判定部12は、距離判定信号を送信制御部13に供給する。送信制御部13は、入力される距離判定信号に基づいて、距離センサ23(スピーカマイクロホン20)から使用者30までの距離Dが図2Aに示す距離D1以下であるか、図2Bに示す距離D2以下であるか、図2Cに示す距離D3以下であるかを判断することができる。
【0017】
図2Aに示す距離D1は、使用者30はスピーカマイクロホン20を使用しようとしてスピーカマイクロホン20を自分自身に近付けた状態の距離である。図2Bに示す距離D2は、スピーカマイクロホン20を図2Aよりも自分自身に近付けた状態の距離である。図2Cに示す距離D3は、音声を発するために、スピーカマイクロホン20を図2Bよりもさらに自分自身に近付けた状態の距離である。
【0018】
録音部16は、A/D変換器と、例えばRAMであるメモリとを含む。録音部16は、入力されたアナログ音声信号をA/D変換したデジタル音声信号を所定時間録音する。録音部16は、FIFO(First-In First-Out)で録音するデジタル音声信号を上書き更新する。録音部16は、デジタル音声信号を1秒程度録音できればよい。
【0019】
後述するように、音圧判定部11及び録音部16は常時動作しているわけではなく、後述する条件を満たしたときに動作するように構成されている。
【0020】
送信制御部13は、音圧判定部11と、送信音声処理部14と、送信回路15と、録音部16とを制御する。送信制御部13は、マイクロコンピュータの中央処理装置(CPU)で構成することができる。送信制御部13及び送信音声処理部14がマイクロコンピュータで構成されていてもよいし、DSP(Digital Signal Processor)で構成されていてもよい。
【0021】
送信制御部13は、音圧判定部11の動作と不動作とを切り替えるための音圧判定制御信号を音圧判定部11に供給する。送信制御部13は、録音部16の動作と不動作とを切り替えるための録音制御信号を録音部16に供給する。
【0022】
送信音声処理部14には、マイクロホン22からのアナログ音声信号が入力される。録音部16が動作しているとき、送信音声処理部14には、マイクロホン22からのアナログ音声信号と、録音部16から読み出されたデジタル音声信号が入力される。送信音声処理部14は、アナログ音声信号を増幅するアンプ、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換するA/D変換器、デジタル音声信号をフィルタリングするフィルタ、フィルタリングされたデジタル音声信号を符号化するヴォコーダ等を有する。
【0023】
送信音声処理部14は、音声信号を送信回路15によって送信するために音声処理して送信音声信号を生成する。送信音声処理部14は、まず録音部16から読み出されたデジタル音声信号を音声処理し、続けて、マイクロホン22からのアナログ音声信号を音声処理して、送信音声信号を生成する。
【0024】
録音部16は、後述する送信状態とされた場合に再生を開始する。録音部16は、録音されるデジタル音声信号のデータより再生されるデジタル音声信号のデータを多くすることにより、読み出されたデジタル音声信号の話速を早めたり、無音部分を短縮したりといった既存の技術を用いて録音しながら再生を行うことで、録音されている時間を減少させていく。送信音声処理部14は、録音信号が無くなり読み出すデータが無くなった場合、マイクロホン22からのアナログ信号に切り替える。つまり、送信音声処理部14は、録音部16から読み出されたデジタル音声信号を音声処理し、続けて、マイクロホン22からのアナログ音声信号の音声処理を行う。
【0025】
送信音声処理部14も常時動作しているわけではなく、後述する条件を満たしたときに動作するように構成されている。送信制御部13は、送信音声処理部14の動作と不動作とを切り替えるための音声処理制御信号を送信音声処理部14に供給する。送信音声処理部14が動作しているとき、送信音声処理部14は送信音声信号を送信回路15に供給する。
【0026】
送信回路15は、所定の発振周波数で発振するためのPLL(Phase Locked Loop)回路及びパワーアンプ等を有する。送信回路15は、送信制御部13から送信制御信号が供給されると、入力された送信音声信号をPLL回路が発振する発振周波数で変調して電波として送信する。
【0027】
次に、図3A図3Dに示す状態遷移図を用いて、送信制御部13が各部をどのように制御するかを説明する。図3Aは、本実施形態の無線通信機の動作の全体を示している。図3Aの状態201〜203,209〜211,218の詳細を図3Bに示す。図3Aの状態204,205,212,216,217の詳細を図3Cに示す。図3Aの状態206〜208,213〜215の詳細を図3Dに示す。
【0028】
図3Bにおいて、送信制御部13は、受信及び送信していない待ち受け状態である状態201において、距離判定信号の値を監視するよう距離判定信号の割り込みを待つ。状態201において、スピーカマイクロホン20の位置は図2Aに示す距離D1の位置よりも離れているとする。
【0029】
使用者30がスピーカマイクロホン20を自分自身に近付けて距離Dが距離D1以下となって、送信制御部13に距離Dが距離D1以下とったことを示す距離判定信号が割り込まれると、送信制御部13は状態202に遷移させる。送信制御部13は、状態202において、不動作となっている送信音声処理部14を動作させて送信音声処理部14を有効化して、状態203に遷移させる。
【0030】
送信制御部13は、状態203において、さらに距離判定信号の割り込みを待つ。使用者30がスピーカマイクロホン20をさらに近付けて距離Dが距離D2以下となって、送信制御部13に距離Dが距離D2以下となったことを示す距離判定信号が割り込まれると、送信制御部13は図3Cに示す状態204に遷移させる。
【0031】
送信制御部13は、状態204において、不動作となっている録音部16を動作させて録音部16を有効化して、状態205に遷移させる。録音部16を有効化することによって、録音部16はデジタル音声信号の更新録音及び読み出しを開始する。
【0032】
送信制御部13は、状態205において、さらに距離判定信号の割り込みを待つ。使用者30がスピーカマイクロホン20をさらに近付けて距離Dが距離D3以下となって、送信制御部13に距離Dが距離D3以下となったことを示す距離判定信号が割り込まれると、送信制御部13は図3Dに示す状態206に遷移させる。
【0033】
送信制御部13は、状態206において、不動作となっている音圧判定部11を動作させて音圧判定部11を有効化して、状態207に遷移させる。送信制御部13は、状態207において、音圧判定信号の値を監視するよう音圧判定信号の入力を待つ。
【0034】
送信制御部13に音圧が閾値以上となったことを示す音圧判定信号が入力されると、送信制御部13は、状態208において、送信回路15に送信制御信号を供給して送信回路15を動作させて、送信制御部13からの送信制御信号を送信する。
【0035】
図3Bに戻り、状態201において、使用者30がスピーカマイクロホン20を急速に自分自身に近付けると、距離Dが瞬時に距離D2以下となることがある。状態201において、送信制御部13に距離Dが距離D2以下とったことを示す距離判定信号が割り込まれると、送信制御部13は状態209に遷移させる。送信制御部13は、状態209において、不動作となっている送信音声処理部14を動作させて送信音声処理部14を有効化して、状態204に遷移させる。
【0036】
また、状態201において、使用者30がスピーカマイクロホン20を急速に自分自身に近付けると、距離Dが瞬時に距離D3以下となることもある。状態201において、送信制御部13に距離Dが距離D3以下とったことを示す距離判定信号が割り込まれると、送信制御部13は状態210に遷移させる。送信制御部13は、状態210において、不動作となっている送信音声処理部14を動作させて送信音声処理部14を有効化して、図3Cに示す状態212に遷移させる。
【0037】
送信制御部13は、状態212において、不動作となっている音圧判定部11を動作させて音圧判定部11を有効化して、図3Dに示す状態206に遷移させる。
【0038】
図3Bに示す状態201において、使用者30がPTTスイッチ21を押下すると、送信制御部13は、PTT信号の入力に応答して、状態211において、送信音声処理部14を有効化し、図3Cに示す状態219において録音部16を有効化する。さらに、送信制御部13は、図3Dに示す状態220において音圧判定部11を有効化して、状態208に遷移させる。送信制御部13は、状態208において、送信回路15に送信制御信号を供給して送信回路15を動作させて、送信制御部13からの送信制御信号を送信する。
【0039】
図3Bに示す状態203において、使用者30がPTTスイッチ21を押下した場合には、送信制御部13は、PTT信号の入力に応答して、図3Cに示す状態221において録音部16を有効化し、図3Dに示す状態222において音圧判定部11を有効化して、状態208に遷移させる。送信制御部13は、状態208において、送信回路15を動作させて送信制御部13からの送信制御信号を送信する。
【0040】
図3Cに示す状態205において、使用者30がPTTスイッチ21を押下した場合には、送信制御部13は、PTT信号の入力に応答して、図3Dに示す状態223において音圧判定部11を有効化して、状態208に遷移させる。送信制御部13は、状態208において、送信回路15を動作させて送信制御部13からの送信制御信号を送信する。
【0041】
図3Dに示す状態207において、使用者30がPTTスイッチ21を押下した場合にも、送信制御部13は、状態208に遷移させ、送信回路15を動作させて送信制御部13からの送信制御信号を送信する。
【0042】
状態208において、音圧判定信号が無音を示す場合、かつ、PTTスイッチ21が押下の状態ではない場合、送信制御部13は状態207に遷移させる。
【0043】
図3Dに示す状態207において、音圧が閾値以上となる前に、または、PTTスイッチ21が押下される前に、距離Dが距離D3を超え、距離D2未満となれば、送信制御部13は、状態213に遷移させて送信音声処理部14を無効化し、図3Cに示す状態205に遷移させる。
【0044】
また、状態207において、音圧が閾値以上となる前に、または、PTTスイッチ21が押下される前に、距離Dが距離D2を超え、距離D1未満となれば、送信制御部13は、状態214に遷移させて送信音声処理部14を無効化する。さらに、送信制御部13は、図3Cに示す状態216に遷移させて録音部16を無効化して、状態203に遷移させる。
【0045】
さらに、状態207において、音圧が閾値以上となる前に、または、PTTスイッチ21が押下される前に、距離Dが距離D1を超えれば、送信制御部13は、状態215に遷移させて送信音声処理部14を無効化し、図3Cに示す状態217に遷移させて録音部16を無効化する。さらに、送信制御部13は、図3Bに示す状態218に遷移させて送信音声処理部14を無効化して、状態201に遷移させる。
【0046】
図3Cに示す状態205において、距離Dが距離D3以下となる前に、距離Dが距離D2を超え、距離D1未満となれば、送信制御部13は、状態216に遷移させて録音部16を無効化して、図3Bに示す状態203に遷移させる。また、距離Dが距離D3以下となる前に、距離Dが距離D1を超えれば、送信制御部13は、状態217に遷移させて録音部16を無効化して、図3Bに示す状態218に遷移させる。
【0047】
図3Bに示す状態203において、距離Dが距離D2以下となる前に、距離Dが距離D1を超えれば、送信制御部13は、状態218に遷移させて送信音声処理部14を無効化して、状態201に遷移させる。
【0048】
図4は、送信制御部13が送信回路15に送信制御信号を供給して、送信回路15を動作させる条件を論理的な概念図で示している。AND回路301には、音圧判定信号と距離判定信号とが入力される。音圧判定信号及び距離判定信号により、音圧判定信号が有音を示し、かつ、距離Dが距離D3以下の条件で、OR回路302にハイの出力信号が入力される。
【0049】
OR回路302には、PTT信号とAND回路301の出力信号とが入力される。OR回路302にPTT信号が入力されるか、ハイの出力信号が入力されことにより、OR回路302は送信回路15に送信制御信号を供給する。
【0050】
以上のように、本実施形態の無線通信機は、距離判定信号が第1の距離以下であることを示すとき、送信制御部13が、送信音声処理部14によって、マイクロホン22からの音声信号を音声処理して送信音声信号を生成する動作を開始させる。
【0051】
本実施形態の無線通信機は、距離判定信号が第1の距離よりも短い第2の距離以下であることを示すとき、録音部16による音声信号の更新録音及び読み出しの動作を開始させる。録音部16が動作を開始すれば、送信音声処理部14は、録音部16から読み出されたデジタル音声信号及びマイクロホン22からのアナログ音声信号を音声処理して送信音声信号を生成する。
【0052】
本実施形態の無線通信機は、距離判定信号が第2の距離よりも短い第3の距離以下であることを示すとき、送信制御部13が、音圧判定部11によって、マイクロホン22からの音声信号の音圧を判定する処理を開始させる。
【0053】
本実施形態の無線通信機は、送信音声信号を生成する動作と、音声信号の更新録音及び読み出しの動作と、音声信号の音圧を判定する動作を開始させた後に、音圧判定信号が有音であることを示すとき、送信制御部13が、送信音声信号を電波として送信するよう送信回路15に送信制御信号を供給する。
【0054】
よって、本実施形態の無線通信機によれば、無線通信機の使用者が音声を送信しようとする状態を適切に判断して無線通信機を送信状態に切り替えることができる。
【0055】
本実施形態の無線通信機によれば、距離判定信号が第1の距離以下であることを示すとき、送信音声処理部14による送信音声信号を生成する処理を開始しているので、送信する音声の先頭が切れる、いわゆる頭切れを減少させることができる。
【0056】
これに加えて、本実施形態の無線通信機は録音部16を備え、距離判定信号が第2の距離以下であることを示すとき、音圧判定信号が所定の閾値以上の音圧であることを示す前に音声信号を録音する。送信回路15は、録音部16に録音された所定の閾値に達する以前の音声に続けて、マイクロホン22からの音声を送信する。従って、本実施形態の無線通信機によれば、頭切れをほとんどなくすことができる。
【0057】
送信制御部13は、距離判定信号が前記第1の距離を超えることを示すとき、送信音声処理部14を不動作とし、距離判定信号が第1の距離以下であることを示すとき、不動作となっている送信音声処理部14を動作させることが好ましい。このようにすれば、送信音声処理部14は必要なとき以外は不動作であるので、消費電力を低減させることができる。
【0058】
送信制御部13は、距離判定信号が第2の距離を超えることを示すとき、録音部16を不動作とし、距離判定信号が第2の距離以下であることを示すとき、不動作となっている録音部16を動作させることが好ましい。このようにすれば、録音部16は必要なとき以外は不動作であるので、消費電力を低減させることができる。
【0059】
送信制御部13は、離判定信号が第3の距離を超えることを示すとき、音圧判定部11を不動作し、距離判定信号が第3の距離以下であることを示すとき、不動作となっている音圧判定部11を動作させることが好ましい。このようにすれば、音圧判定部11は必要なとき以外は不動作であるので、消費電力を低減させることができる。
【0060】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 本体部
11 音圧判定部
12 距離判定部
13 送信制御部
14 送信音声処理部
15 送信回路
16 録音部
20 スピーカマイクロホン
21 PTTスイッチ
22 マイクロホン
23 距離センサ
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4