(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直列に接続された複数の蓄電部を備えた車載用電源部から電力が供給される経路である第1導電路と負荷に電力を供給する経路となる第2導電路とに接続され、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に印加する降圧動作を行う電圧変換部と、
前記車載用電源部における蓄電部間の第1位置から前記第2導電路へと電力を供給する経路となるバイパス導電路と、
前記バイパス導電路に介在し、オン状態のときに前記第1位置側から前記第2導電路側への電力供給を許容し、オフ状態のときに前記第1位置側から前記第2導電路側への電力供給を遮断するバイパスリレーと、
前記車載用電源部において複数の前記蓄電部と直列に接続されるとともに前記第1位置よりも高電位側において蓄電部間に配置され、オン状態のときに前記車載用電源部において自身よりも低電位側に配置された低電位側蓄電部と自身よりも高電位側に配置された高電位側蓄電部との間の蓄電部間経路を導通状態に切り替え、オフ状態のときに前記蓄電部間経路を非導通状態に切り替える保護リレーと、
少なくとも、前記保護リレーをオン状態とし且つ前記バイパスリレーをオフ状態とする第1切替制御と、前記保護リレーをオフ状態とし且つ前記バイパスリレーをオン状態とする第2切替制御とを切り替える制御部と、
前記保護リレーよりも高電位側における所定の装置内部位置の異常を検出する内部異常検出部と、
を有し、
前記内部異常検出部は、前記車載用電源部における前記保護リレーよりも高電位側の部分での異常を検出する高電位側異常検出部を備え、
前記制御部は、前記高電位側異常検出部が前記高電位側の部分での異常を検出していない場合に前記第1切替制御に切り替え、前記高電位側異常検出部が前記高電位側の部分での異常を検出した場合に前記第2切替制御に切り替える車載用電源部の制御装置。
直列に接続された複数の蓄電部を備えた車載用電源部から電力が供給される経路である第1導電路と負荷に電力を供給する経路となる第2導電路とに接続され、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に印加する降圧動作を行う電圧変換部と、
前記車載用電源部における蓄電部間の第1位置から前記第2導電路へと電力を供給する経路となるバイパス導電路と、
前記バイパス導電路に介在し、アノードが前記第1位置側に電気的に接続され、カソードが前記第2導電路側に電気的に接続されたダイオードと、
前記車載用電源部において複数の前記蓄電部と直列に接続されるとともに前記第1位置よりも高電位側において蓄電部間に配置され、オン状態のときに前記車載用電源部において自身よりも低電位側に配置された低電位側蓄電部と自身よりも高電位側に配置された高電位側蓄電部との間の蓄電部間経路を導通状態に切り替え、オフ状態のときに前記蓄電部間経路を非導通状態に切り替える保護リレーと、
少なくとも、前記保護リレーをオン状態とする第1切替制御と、前記保護リレーをオフ状態とする第2切替制御とを切り替える制御部と、
前記保護リレーよりも高電位側における所定の装置内部位置の異常を検出する内部異常検出部と、
を有し、
前記内部異常検出部は、前記車載用電源部における前記保護リレーよりも高電位側の部分での異常を検出する高電位側異常検出部を備え、
前記制御部は、前記高電位側異常検出部が前記高電位側の部分での異常を検出していない場合に前記第1切替制御に切り替え、前記高電位側異常検出部が前記高電位側の部分での異常を検出した場合に前記第2切替制御に切り替える車載用電源部の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、低圧系と高圧系の二系統に電力を供給するシステムでは、高圧系に電源部を設け、この高圧系の電源部の出力を降圧して低圧系の負荷に対しても利用できるようにすれば、低圧系の電源部の必要性を低減又は無くすことができ、低圧系の電源部の削減又は小型化が可能となる。しかし、この構成では、高圧系の電源部で故障が生じてしまい、高圧系の電源部から電力を正常に供給できなくなった場合、低圧系に対しても正常に電力が供給できなくなる。
【0005】
本発明は上述した事情に基づいてなされたものであり、車載用電源部内の所定位置よりも高圧側で異常が生じた場合でも、所定位置よりも低圧側の蓄電部に基づく電力を低圧側の経路に供給し得る車載用電源部の制御装置又は車載用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様である車載用電源部の制御装置は、
直列に接続された複数の蓄電部を備えた車載用電源部から電力が供給される経路である第1導電路と負荷に電力を供給する経路となる第2導電路とに接続され、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に印加する降圧動作を行う電圧変換部と、
前記車載用電源部における蓄電部間の第1位置から前記第2導電路へと電力を供給する経路となるバイパス導電路と、
前記バイパス導電路に介在し、オン状態のときに前記第1位置側から前記第2導電路側への電力供給を許容し、オフ状態のときに前記第1位置側から前記第2導電路側への電力供給を遮断するバイパスリレーと、
前記車載用電源部において複数の前記蓄電部と直列に接続されるとともに前記第1位置よりも高電位側において蓄電部間に配置され、オン状態のときに前記車載用電源部において自身よりも低電位側に配置された低電位側蓄電部と自身よりも高電位側に配置された高電位側蓄電部との間の蓄電部間経路を導通状態に切り替え、オフ状態のときに前記蓄電部間経路を非導通状態に切り替える保護リレーと、
少なくとも、前記保護リレーをオン状態とし且つ前記バイパスリレーをオフ状態とする第1切替制御と、前記保護リレーをオフ状態とし且つ前記バイパスリレーをオン状態とする第2切替制御とを切り替える制御部と、
を有する。
【0007】
本発明の第2態様である車載用電源部の制御装置は、
直列に接続された複数の蓄電部を備えた車載用電源部から電力が供給される経路である第1導電路と負荷に電力を供給する経路となる第2導電路とに接続され、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に印加する降圧動作を行う電圧変換部と、
前記車載用電源部における蓄電部間の第1位置から前記第2導電路へと電力を供給する経路となるバイパス導電路と、
前記バイパス導電路に介在し、アノードが前記第1位置側に電気的に接続され、カソードが前記第2導電路側に電気的に接続されたダイオードと、
前記車載用電源部において複数の前記蓄電部と直列に接続されるとともに前記第1位置よりも高電位側において蓄電部間に配置され、オン状態のときに前記車載用電源部において自身よりも低電位側に配置された低電位側蓄電部と自身よりも高電位側に配置された高電位側蓄電部との間の蓄電部間経路を導通状態に切り替え、オフ状態のときに前記蓄電部間経路を非導通状態に切り替える保護リレーと、
少なくとも、前記保護リレーをオン状態とする第1切替制御と、前記保護リレーをオフ状態とする第2切替制御とを切り替える制御部と、
を有する。
【0008】
本発明の第3態様である車載用電源装置は、上記いずれかの車載用電源部の制御装置と車載用電源部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
第1態様の制御装置は、制御部が第1切替制御に切り替えたとき、保護リレーがオン状態となり、バイパスリレーがオフ状態となる。この状態のときには、車載用電源部からの電力供給に基づき、高圧系の導電路となる第1導電路に相対的に高い電圧を印加することができ、電圧変換部の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路に対し降圧された電圧を印加することができる。よって、車載用電源部からの電力に基づき、高圧系の導電路及び低圧系の導電路のいずれにも電力を供給することができる。また、制御部は、第2切替制御に切り替えることもでき、このときには、保護リレーがオフ状態となり、バイパスリレーがオン状態となる。制御部によって第2切替制御が実行された場合、保護リレーがオフ状態となるため高電位側蓄電部と低電位側蓄電部との間が非導通状態に切り替えられ、バイパスリレーがオン状態となるため、低電位側蓄電部から供給される電力がバイパス導電路を介して第2導電路側に供給されることになる。このような構成であるため、仮に保護リレーよりも高圧側で異常が生じた場合でも、第2切替制御に切り替えれば、異常発生側と低電位側蓄電部との間を確実に遮断しつつ、低電位側蓄電部に基づく電力を低圧系に供給することができ、車載用電源部に基づく電力が低圧系に供給されなくなる事態を回避しやすくなる。
【0010】
第2態様の制御装置は、制御部が第1切替制御に切り替えたとき、保護リレーがオン状態となる。この状態のときには、車載用電源部からの電力供給に基づき、高圧系の導電路となる第1導電路に相対的に高い電圧を印加することができ、電圧変換部の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路に対し降圧された電圧を印加することができる。よって、車載用電源部からの電力に基づき、高圧系の導電路及び低圧系の導電路のいずれにも電力を供給することができる。また、制御部は、第2切替制御に切り替えることもでき、このときには、保護リレーがオフ状態となる。制御部によって第2切替制御が実行された場合、保護リレーがオフ状態となるため高電位側蓄電部と低電位側蓄電部との間が非導通状態に切り替えられる。このとき、電圧変換部から第2導電路に対して所望の電圧が出力されなくなっても、バイパス導電路に設けられたダイオードのカソード側の電位がアノード側の電位よりも下がると、低電位側蓄電部からの放電電流がバイパス導電路を介して第2導電路側に流れ込むようになる。このような構成であるため、仮に保護リレーよりも高圧側で異常が生じた場合でも、第2切替制御に切り替えれば、異常発生側と低電位側蓄電部との間を確実に遮断しつつ、低電位側蓄電部に基づく電力を低圧系に供給することができ、車載用電源部に基づく電力が低圧系に供給されなくなる事態を回避しやすくなる。
【0011】
第3態様の車載用電源装置は、第1態様又は第2態様の車載用電源部の制御装置と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明の望ましい例を示す。但し、本発明は以下の例に限定されない。
保護リレーよりも高電位側における所定の装置内部位置の異常を検出する内部異常検出部を有していてもよい。制御部は、内部異常検出部が所定の装置内部位置の異常を検出していない場合に第1切替制御に切り替え、内部異常検出部が装置内部位置の異常を検出した場合に第2切替制御に切り替える構成であってもよい。
【0014】
この制御装置は、保護リレーよりも高電位側における所定の装置内部位置の異常が検出されていない場合に制御部が第1切替制御に切り替える、このときには、車載用電源部に基づく電力を高圧系の導電路にも低圧系の導電路にも供給することができる。一方、保護リレーよりも高電位側の所定の装置内部位置で異常が検出された場合には制御部が第2切替制御に切り替えるため、異常発生側と低電位側蓄電部との間を確実に遮断することができ、低電位側蓄電部に異常の影響が及ぶことを抑えることができる。そして、このように異常の影響を抑えた状態で、低圧系に対して低電位側蓄電部に基づく電力を供給することができる。よって、保護リレーよりも高電位側で異常が発生した場合であっても、低圧系に対して電力が安定的に供給されやすくなる。
【0015】
「保護リレーよりも高電位側における所定の装置内部位置の異常」は、車載用電源部における保護リレーよりも高電位側の部分の異常であってもよく、電圧変換部の異常(故障)や電圧変換部に接続された経路(入力側の導電路など)の異常などであってもよい。
【0016】
内部異常検出部は、車載用電源部における保護リレーよりも高電位側の部分での異常を検出する高電位側異常検出部を有していてもよい。制御部は、高電位側異常検出部が高電位側の部分での異常を検出していない場合に第1切替制御に切り替え、高電位側異常検出部が高電位側の部分での異常を検出した場合に第2切替制御に切り替えるように機能してもよい。
【0017】
この制御装置は、車載用電源部において保護リレーよりも高電位側の部分で異常が検出されていない場合に制御部が第1切替制御に切り替えるため、このときには、車載用電源部に基づく電力を高圧系の導電路にも低圧系の導電路にも供給することができる。一方、車載用電源部において保護リレーよりも高電位側の部分で異常が検出された場合には制御部が第2切替制御に切り替えるため、異常発生側に存在する高電位側蓄電部と低電位側蓄電部との間を確実に遮断することができ、低電位側蓄電部に異常の影響が及ぶことを抑えることができる。そして、このように異常の影響を抑えた状態で、低圧系に対して低電位側蓄電部に基づく電力を供給することができる。よって、高電位側蓄電部付近で異常が発生した場合であっても、低圧系に対して電力が安定的に供給されやすくなる。
【0018】
制御装置は、保護リレー及び低電位側蓄電部に対して並列に接続され、オン状態のときに、高電位側蓄電部と車載用電源部において最も電位が低くなる端子が電気的に接続された第3導電路との間を導通状態とし、オフ状態のときに、高電位側蓄電部と第3導電路との間を非導通状態とする並列リレーを有していてもよい。制御部は、保護リレーをオフ状態とし並列リレーをオン状態とする第3切替制御に切り替え得る構成であってもよく、第1切替制御及び第2切替制御の実行時には並列リレーをオフ状態とするように機能してもよい。
【0019】
上記制御装置は、制御部が第3切替制御に切り替えた場合、保護リレーがオフ状態となり、並列リレーがオン状態となる。つまり、低電位側蓄電部と高電位側蓄電部との間が電気的に遮断されるとともに、高電位側蓄電部と第3導電路との間が導通した状態となる。従って、仮に低電位側蓄電部で異常が生じた場合でも、第3切替制御に切り替えれば、低電位側蓄電部で発生した異常の影響を抑えつつ、高電位側蓄電部に基づく電力を第1導電路に供給することができ、電圧変換部の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路に対しても降圧された電圧を印加することができる。
【0020】
制御装置は、車載用電源部における保護リレーよりも低電位側の部分での異常を検出する低電位側異常検出部を有していてもよい。制御部は、低電位側異常検出部が低電位側の部分での異常を検出していない場合に第1切替制御に切り替え、低電位側異常検出部が低電位側の部分での異常を検出した場合に第3切替制御に切り替えるように機能してもよい。
【0021】
この制御装置は、保護リレーよりも低電位側の部分で異常が検出されていないことを条件として制御部が第1切替制御に切り替えるため、このときには、車載用電源部に基づく電力を高圧系の導電路にも低圧系の導電路にも供給することができる。一方、保護リレーよりも低電位側の部分で異常が検出された場合には制御部が第3切替制御に切り替えるため、異常発生側に存在する低電位側蓄電部と高電位側蓄電部との間を確実に遮断することができ、高電位側蓄電部に異常の影響が及ぶことを抑えることができる。そして、このように異常の影響を抑えた状態で、低圧系に対して高電位側蓄電部に基づく電力を供給することができる。よって、低電位側蓄電部付近で異常が発生した場合であっても、低圧系に対して電力が安定的に供給されやすくなる。
【0022】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について説明する。
【0023】
図1で示す車載用電源システム100(以下、電源システム100ともいう)は、高圧系の電源路である第1導電路81と低圧系の電源路である第2導電路82の二系統に電力を供給し得るシステムとして構成されている。電源システム100は、高圧系の第1導電路81に相対的に高い電圧(例えば48V程度)を印加し、低圧系の第2導電路82に相対的に低い電圧(例えば12V程度)を印加する電源システムとなっており、第1導電路81及び第2導電路82に接続された電気機器に電力を供給し得るシステムとして構成されている。
【0024】
高圧系の負荷96は、車両に搭載される公知の車載用電気機器であり、高圧系の第1導電路81に電気的に接続され、第1導電路81を介して供給される電力によって動作し得る。高圧系の負荷96の種類や数は限定されず、例えばヒータなどを用いてもよく、これ以外の機器を用いてもよい。なお、高圧系の負荷96は、48V系負荷96とも称する。
【0025】
低圧系の負荷98は、車両に搭載される公知の車載用電気機器であり、低圧系の第2導電路82に電気的に接続され、第2導電路82を介して供給される電力によって動作し得る。低圧系の負荷98の種類や数は限定されず、例えば、ヘッドライト、オーディオ、ナビゲーションシステム、電動パーキングブレーキ、シフトバイワイヤシステムなどを用いることができ、これら以外の機器を用いてもよい。なお、低圧系の負荷98は、12V系負荷98とも称する。
【0026】
電源システム100は、主として、発電機94、車載用電源装置1(以下、電源装置1ともいう)、第1導電路81、第2導電路82などを備える。高圧系の第1導電路81には、発電機94、車載用電源部91(以下、電源部91ともいう)、高圧系の負荷96などが電気的に接続されている。低圧系の第2導電路82には低圧系の負荷98が電気的に接続されている。第1導電路81は、電源部91に電気的に接続され、電源部91から電力が供給される経路となっており、相対的に高い電圧(例えば48V程度の電圧)が印加される経路となっている。第1導電路81には、ヒューズ97B、97Cが介在している。第2導電路82は、電圧変換部10からの出力又はバイパス導電路72を介しての電力伝送に基づき、負荷(具体的には、低圧系の負荷98)に電力を供給する経路となっており、第1導電路81の電圧と比較して相対的に低い電圧(例えば12V程度の電圧)が印加される経路となっている。第2導電路82には、ヒューズ99A、99Cが介在している。
【0027】
発電機94は、公知の車載用発電機として構成され、エンジン(図示略)の回転軸の回転によって発電する機能を備える。発電機94が動作する場合、発電機94の発電によって生じた電力は整流後に直流電力として第1導電路81に供給される。発電機94は、発電時に、例えば所定値Va(例えば、48V程度)の出力電圧を第1導電路81に印加する。なお、第1導電路81には、図示しないスタータも接続されており、スタータは、エンジンが停止状態であるときに電源部91から電力供給を受けて動作し、エンジンに対し始動用の回転力を与える。
【0028】
電源装置1は、主に、高圧系ユニット4、電圧変換部10、制御部20などを備える。車載用電源部の制御装置2(以下、単に制御装置2ともいう)は、電源装置1と同一の構成であってもよく、電源装置1から複数の蓄電部92を除いた部分を制御装置2としてもよい。以下の説明では、電源装置1から複数の蓄電部92を除いた部分を制御装置2とする。また、電池監視ユニット6と蓄電部92は、一体的なユニットとして構成されていてもよく、それぞれが別体として構成されていてもよい。以下の説明では、電池監視ユニット6と蓄電部92とが一体化された例を代表例として説明する。
【0029】
制御部20は、電池監視ユニット6からの情報受信、及び各リレー(保護リレー54、並列リレー64、バイパスリレー74)の切替制御などを行い得る車載用の電子制御装置であり、CPU等の情報処理装置、記憶装置、AD変換器など、様々な装置を備えてなる。制御部20には導電路84、85を介して第1導電路81及び第2導電路82の各電圧が入力されるようになっており、制御部20は、第1導電路81及び第2導電路82の各電圧を検出し得る構成をなす。なお、制御部20は、単一の電子制御装置によって構成されていてもよく、複数の電子制御装置によって構成されていてもよい。制御部20が実施し得る具体的機能については後述する。
【0030】
電圧変換部10は、電源部91に電気的に接続された第1導電路81と第2導電路82との間において、これらの導電路に接続された形で設けられている。電圧変換部10は、第1導電路81に印加された電圧を降圧して第2導電路82に印加する降圧動作を行い得る回路である。電圧変換部10は、例えば、半導体スイッチング素子及びインダクタなどを備えてなる公知の降圧DCDCコンバータとして構成することができ、具体的には、同期整流方式の非絶縁型DCDCコンバータやダイオード方式の非絶縁型DCDCコンバータなどを好適に用いることができる。
【0031】
例えば、電圧変換部10を同期整流方式の非絶縁型DCDCコンバータとして構成する場合、電圧変換部10は、図示しない制御手段又は制御部20のいずれかの制御回路によって制御され得る。制御回路は、電圧変換部10に対して降圧動作用の制御信号(PWM信号)を与え、第1導電路81に印加された電圧(例えば、48V程度の電圧)を降圧して所望の目標電圧Vb(例えば、12V)を第2導電路82に印加するように制御信号(PWM信号)のフィードバック制御がなされる。制御信号(PWM信号)のデューティはフィードバック演算によって調整される。
【0032】
高圧系ユニット4は、電源部91、保護リレー54、電池監視ユニット6、バイパス回路部70、並列回路部60などを備える。
【0033】
電源部91は、複数の蓄電部92が直列に接続された構成をなす。各々の蓄電部92は、例えば、鉛バッテリ、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池などの公知の車載用蓄電手段によって構成されており、ヒューズ97Dを介して第1導電路81に電気的に接続されている。電源部91は、満充電時の出力電圧が例えば48Vであり、満充電時には最も電位が高くなる端子91Aが48V程度に保たれる。電源部91の低電位側の端子91Bは、例えばグラウンド電位(0V)に保たれる。端子91Bが接続される第3導電路83はグラウンドとして構成された基準導電路である。
図1の例では、4つの蓄電部92が直列に接続された形で電源部91が構成されており、各々の蓄電部92は、例えば、満充電時に端子間電圧が12V程度に保たれる。なお、複数の蓄電部92のうち、高電位側蓄電部92A,92B,92Cは保護リレー54よりも高電位側に位置する蓄電部であり、低電位側蓄電部92Dは保護リレー54よりも低電位側に位置する蓄電部である。
【0034】
電池監視ユニット6は、複数の蓄電部92を監視する監視回路であり、具体的には、各々の蓄電部92の端子間電圧(低電位側端子と高電位側端子の電位差)を監視する機能を備えている。なお、以下の説明では、電池監視ユニット6が検出する高電位側蓄電部92A,92B,92Cの各端子間電圧をそれぞれV1、V2、V3とし、電池監視ユニット6が検出する低電位側蓄電部92Dの端子間電圧をV4とする。電池監視ユニット6は、高電位側蓄電部92A,92B,92C及び低電位側蓄電部92Dの各端子間電圧V1,V2,V3,V4を制御部20に伝達する機能を有する。
【0035】
保護リレー54は、MOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチや機械式リレーを1又は複数個用いて構成されるリレーであり、オン状態のときに導通状態となって双方向の通電を許容し、オフ状態のときに非導通状態となって双方向の通電を禁止する構成であればよい。保護リレー54は、電源部91において複数の蓄電部92と直列に接続されるとともに後述する第1位置P1よりも高電位側において蓄電部間に配置されている。保護リレー54は、オン状態のときに自身(保護リレー54)よりも低電位側に配置された低電位側蓄電部92Dと自身(保護リレー54)よりも高電位側に配置された高電位側蓄電部92A,92B,92Cとの間の蓄電部間経路を導通状態に切り替え、オフ状態のときにこの蓄電部間経路を非導通状態に切り替える構成をなす。具体的には、電源部91を構成する複数の蓄電部92において最も低電位側に配置された低電位側蓄電部92Dと、複数の高電位側蓄電部92A,92B,92Cのうちの最も低電位側に配置された高電位側蓄電部92Cとの間に保護リレー54が設けられている。保護リレー54がオン状態のときには低電位側蓄電部92Dと高電位側蓄電部92Cとの間が導通し、この間で電流が流れ得る。保護リレー54がオフ状態のときには低電位側蓄電部92Dと高電位側蓄電部92Cとの間が電気的に遮断され、この間で電流が流れなくなる。
【0036】
バイパス回路部70は、主に、バイパス導電路72とバイパスリレー74とを備える。バイパス導電路72は、電源部91における蓄電部間の第1位置P1から第2導電路82へと電力を供給する経路である。第1位置P1は、高電位側蓄電部92Cの低電位側端子と低電位側蓄電部92Dの高電位側端子とを接続する経路のうち、保護リレー54と低電位側蓄電部92Dとの間の位置である。バイパスリレー74は、MOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチや機械式リレーを1又は複数個用いて構成されるリレーであり、バイパス導電路72に介在し、オン状態のときに第1位置P1側から第2導電路82側への電力供給を許容し、オフ状態のときに第1位置P1側から第2導電路82側への電力供給を遮断するように機能するリレーである。なお、バイパス導電路72においてバイパスリレー74と第2導電路82の間にはヒューズ99Bが介在している。
【0037】
並列回路部60は、保護リレー54及び低電位側蓄電部92Dが直列に接続された直列構成部に対して並列に接続された回路部であり、主に、並列導電路62と並列リレー64とを備える。並列導電路62は、並列リレー64がオン状態のときに高電位側蓄電部92Cの低電位側端子と第3導電路83とを導通させる導電路である。並列リレー64は、MOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチや機械式リレーを1又は複数個用いて構成されるリレーであり、オン状態のときに、高電位側蓄電部92Cと第3導電路83(電源部91において最も電位が低くなる端子(具体的には、低電位側蓄電部92Dの低電位側端子)が電気的に接続された導電路)との間を導通状態とし、オフ状態のときに、高電位側蓄電部92Cと第3導電路83との間を非導通状態とするリレーである。
【0038】
次に、制御部20による制御を説明する。
制御装置2は、
図2のように、高電位側異常検出部22と低電位側異常検出部24とを有する。高電位側異常検出部22及び低電位側異常検出部24は、電池監視ユニット6に設けられていてもよく、制御部20に設けられていてもよい。以下では、
図2のように高電位側異常検出部22及び低電位側異常検出部24が電池監視ユニット6に設けられている例を代表例として説明する。
【0039】
図1のように、電池監視ユニット6には複数の蓄電部92の各々の両端電圧(高電位側端子の電圧及び低電位側端子の電圧)が入力されるようになっており、上述したように電池監視ユニット6は、各蓄電部92の端子間電圧を検出し得る。
図2では、電池監視ユニット6において、各蓄電部92の端子間電圧を検出する機能を端子間電圧検出部21として示し、端子間電圧検出部21が検出する高電位側蓄電部92A,92B,92Cの各端子間電圧をそれぞれV1、V2、V3とし、端子間電圧検出部21が検出する低電位側蓄電部92Dの端子間電圧をV4として概念的に示している。
【0040】
図2のように、電池監視ユニット6に設けられた高電位側異常検出部22は内部異常検出部23として機能する。この高電位側異常検出部22は、
図1で示す電源部91において保護リレー54よりも高電位側の部分31での異常を検出する。この例では、も高電位側の部分31の位置が「所定の装置内部位置」の一例に相当する。
図1の例では、電源部91における保護リレー54よりも高電位側の領域のうち、高電位側蓄電部92A,92B,92Cが直列に接続された部分が高電位側の部分31である。高電位側異常検出部22は、高電位側蓄電部92A,92B,92Cの各端子間電圧V1、V2、V3をそれぞれ基準電圧Vthと比較し、少なくとも端子間電圧V1、V2、V3のいずれかが基準電圧Vth未満である場合に制御部20に対して第1の異常信号(高電位側異常信号)を出力する。逆に、端子間電圧V1、V2、V3のいずれもが基準電圧Vth未満でない場合には制御部20に対して第1の異常信号(高電位側異常信号)を出力しない。
【0041】
電池監視ユニット6に設けられた低電位側異常検出部24は、電源部91において保護リレー54よりも低電位側の部分32での異常を検出する。
図1の例では、電源部91における保護リレー54よりも低電位側の領域のうち、低電位側蓄電部92Dの部分が低電位側の部分32である。低電位側異常検出部24は、低電位側蓄電部92Dの端子間電圧V4を基準電圧Vthと比較し、端子間電圧V4が基準電圧Vth未満である場合に制御部20に対して第2の異常信号(低電位側異常信号)を出力する。逆に、端子間電圧V4が基準電圧Vth未満でない場合には制御部20に対して第2の異常信号(低電位側異常信号)を出力しない。
【0042】
制御部20は、電池監視ユニット6からの監視結果に基づき、第1切替制御、第2切替制御、第3切替制御のいずれかを選択的に行う。なお、
図1、
図2では、制御部20から保護リレー54に与える信号を信号Saとして示し、制御部20からバイパスリレー74に与える信号を信号Sbとして示し、制御部20から並列リレー64に与える信号を信号Scとして示す。第1切替制御は、保護リレー54をオン状態とし、バイパスリレー74をオフ状態とし、並列リレー64をオフ状態とする制御である。制御部20は、第1切替制御を実行する場合、信号Saとして、オン動作を指示する信号を与え、信号Sb、Scとしてオフ動作を指示する信号を与える。第2切替制御は、保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオン状態とし、並列リレー64をオフ状態とする制御である。制御部20は、第2切替制御を実行する場合、信号Sbとして、オン動作を指示する信号を与え、信号Sa、Scとしてオフ動作を指示する信号を与える。第3切替制御は、保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオフ状態とし、並列リレー64をオン状態とする制御である。制御部20は、第3切替制御を実行する場合、信号Scとして、オン動作を指示する信号を与え、信号Sa、Sbとしてオフ動作を指示する信号を与える。
【0043】
制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)及び第2の異常信号(低電位側異常信号)のいずれも出力されていない場合、即ち、電池監視ユニット6から第1の異常信号及び第2の異常信号のいずれでもない正常信号が与えられている場合、第1切替制御を行う。このように、制御部20は、高電位側異常検出部22が高電位側の部分31での異常を検出しておらず且つ低電位側異常検出部24が低電位側の部分32での異常を検出していないことを条件として第1切替制御を行う。
【0044】
制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力され、第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力されていない場合、第2切替制御を行う。例えば、
図4のように、高電位側蓄電部92Aにおいて短絡故障が発生し、高電位側蓄電部92Aの端子間電圧V1が基準電圧Vth未満となったことを高電位側異常検出部22が検出した場合、電池監視ユニット6から制御部20に第1の異常信号(高電位側異常信号)が与えられる。これに応じて、制御部20は、
図4のように保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオン状態とし、並列リレー64をオフ状態とする。このように高電位側異常検出部22が高電位側の部分31での異常を検出した場合に制御部20が第2切替制御を行うことで、高電位側蓄電部92A、92B、92Cから第1導電路81への放電が停止され、低電位側蓄電部92Dからバイパス導電路72を介して放電される。なお、このように第2切替制御を行う場合、電圧変換部10の降圧動作は停止させればよい。
【0045】
制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力されておらず、第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力されている場合、第3切替制御を行う。例えば、
図5のように、低電位側蓄電部92Dにおいて短絡故障が発生し、低電位側蓄電部92Dの端子間電圧V4が基準電圧Vth未満となったことを低電位側異常検出部24が検出した場合、電池監視ユニット6から制御部20に第2の異常信号(低電位側異常信号)が与えられる。これに応じて、制御部20は、
図5のように保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオフ状態とし、並列リレー64をオン状態とする。このように低電位側異常検出部24が低電位側の部分32での異常を検出した場合に制御部20が第3切替制御を行うことで、低電位側蓄電部92Dの影響が抑えられた形で、残余の高電位側蓄電部92A,92B,92Cから第1導電路81に対して電力が供給される。なお、このように第3切替制御を行う場合、電圧変換部10には降圧動作を行わせればよい。
【0046】
このような制御部20の機能は、ハードウェア回路によって実現してもよく、マイクロコンピュータなどによるソフトウェア処理によって実現してもよい。以下では、
図3を参照してソフトウェア処理によって実現する例を説明する。
【0047】
制御部20は、所定の開始条件の成立に応じて
図3の制御を実行する。具体的には、例えば、電源装置1が搭載された車両が始動状態となった場合(例えば、イグニッションスイッチ等の始動スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わった場合)に
図3で示す制御を実行する。なお、制御部20は、
図3で示す制御の実行開始時には、デフォルトの制御として第1切替制御を実行し、第1切替制御の実行時には、電圧変換部10に降圧動作を行わせる。
【0048】
制御部20は、
図3の制御を開始した場合、まず、ステップS1の処理を行い、電源部91を構成する複数の蓄電部92の端子間電圧V1、V2、V3、V4のうち、いずれかが基準電圧Vth未満であるか否かを判断する。具体的には、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)及び第2の異常信号(低電位側異常信号)のいずれも出力されていない場合にはステップS1にてNoとなり、ステップS1の判断を繰り返す。つまり、
図3の制御を開始した後、第1の異常信号(高電位側異常信号)及び第2の異常信号(低電位側異常信号)のいずれもが出力されていない間は、制御部20は第1切替制御を実行し続ける。従って、この間は、保護リレー54がオン状態で維持され、バイパスリレー74がオフ状態で維持され、並列リレー64がオフ状態で維持される。そして、制御部20が第1切替制御を実行している間は、制御部20又は図示しない制御回路によって電圧変換部10が制御され、電圧変換部10は、所望の目標電圧Vb(例えば、12V)の電圧を第2導電路82に印加するように降圧動作を継続する。
【0049】
制御部20は、ステップS1において、複数の蓄電部92の端子間電圧V1、V2、V3、V4のうち、いずれかが基準電圧Vth未満であると判断した場合、ステップS1にてYesとなり、ステップS2の判断を行う。具体的には、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)又は第2の異常信号(低電位側異常信号)のいずれかが出力された場合、ステップS1にてYesとなり、ステップS2の判断を行う。
【0050】
制御部20は、ステップS2において、低電位側蓄電部92Dの端子間電圧V4が基準電圧Vth未満であるか否かを判断する。制御部20は、低電位側蓄電部92Dの端子間電圧V4が基準電圧Vth未満であると判断した場合、具体的には、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力されずに第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力された場合には、ステップS2にてYesとなり、ステップS4にて第3切替制御を行う。この場合、保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオフ状態とし、並列リレー64をオン状態とする。このような制御により、残余の高電位側蓄電部92A,92B,92Cからの電力が第1導電路81に供給され、第1導電路81に印加された電圧を降圧して第2導電路82に出力する降圧動作が電圧変換部10によってなされる。ゆえに、低圧系の第2導電路82には所望の電圧が印加され続ける。
【0051】
なお、このように第3切替制御に切り替えた場合、電源部91からの出力電圧が低くなるため、過電圧とならないように発電機94の発電電圧を下げることが望ましい。従って、制御部20は、ステップS4にて第3切替制御を行う場合、発電機94を制御する発電機制御部95に対して第3切替制御である旨の信号(電圧の抑制を指示する抑制指示信号)を送信する。例えば、制御部20は第3切替制御の実行中、上記抑制指示信号を継続的に出力し、発電機制御部95は、制御部20が第3切替制御を行っている間、発電機94の出力電圧(発電電圧)を通常時の発電電圧(制御部20が第1切替制御を行っているときの出力電圧)よりも低くなるように発電機94を制御する。なお、制御部20は第1切替制御の実行中に発電機制御部95に対して所定の正常信号を出力すればよく、この場合、発電機制御部95は、制御部20が第1切替制御を行っている間、発電機94の出力電圧(発電電圧)を通常時の発電電圧とするように発電機94を制御する。
【0052】
制御部20は、ステップS2において、低電位側蓄電部92Dの端子間電圧V4が基準電圧Vth未満でないと判断した場合、具体的には、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力され、第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力されていない場合には、ステップS2にてNoとなり、ステップS3にて第2切替制御を行う。この場合、保護リレー54をオフ状態とし、バイパスリレー74をオン状態とし、並列リレー64をオフ状態とする。このような制御により、低電位側蓄電部92Dからの電力がバイパス導電路72を介して伝送され、第2導電路82には低電位側蓄電部92Dの出力電圧と同程度の電圧が印加され続ける。低電位側蓄電部92Dの満充電時の端子間電圧は12V程度(即ち、第1切替制御の実行時に電圧変換部10によって第2導電路82に印加される電圧と同程度)であるため、第2切替制御の実行時には、正常時(第1切替制御の実行時)と同程度の電圧が第2導電路82に印加されやすくなる。
【0053】
次に、本構成の効果を例示する。
図1等で示す電源装置1及び制御装置2は、制御部20が第1切替制御を行ったとき、保護リレー54がオン状態となり、バイパスリレー74がオフ状態となる。この状態のときには、発電機94及び電源部91からの電力供給に基づき、高圧系の導電路となる第1導電路81に相対的に高い電圧を印加することができ、電圧変換部10の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路82に対し降圧された電圧を印加することができる。よって、電源部91からの電力に基づき、高圧系の導電路及び低圧系の導電路のいずれにも電力を供給することができる。また、制御部20は、第2切替制御を行うこともでき、このときには、保護リレー54がオフ状態となり、バイパスリレー74がオン状態となる。制御部20によって第2切替制御が実行された場合、保護リレー54がオフ状態となるため高電位側蓄電部92A、92B,92Cと低電位側蓄電部92Dとの間(具体的には、高電位側蓄電部92Cと低電位側蓄電部92Dとの間)が非導通状態に切り替えられ、バイパスリレー74がオン状態となるため、低電位側蓄電部92Dから供給される電力がバイパス導電路72を介して第2導電路82側に供給されることになる。このような構成であるため、仮に電源部91(高圧側に配置された電源部)の一部である高電位側蓄電部92A、92B,92Cで異常が生じた場合でも、第2切替制御を行えば、高電位側蓄電部92A、92B,92Cと低電位側蓄電部92Dとの間を確実に遮断しつつ、低電位側蓄電部92Dに基づく電力を低圧系に供給することができ、電源部91に基づく電力が低圧系に供給されなくなる事態を回避しやすくなる。
【0054】
制御装置2は、電源部91における保護リレー54よりも高電位側の部分31での異常を検出する高電位側異常検出部22を有する。制御部20は、高電位側異常検出部22が高電位側の部分31での異常を検出していないことを条件として第1切替制御を行い、高電位側異常検出部22が高電位側の部分31での異常を検出した場合に第2切替制御を行うように機能する。
【0055】
この制御装置2は、保護リレー54よりも高電位側の部分31で異常が検出されていないことを条件として制御部20が第1切替制御を行うため、このときには、電源部91に基づく電力を高圧系の導電路にも低圧系の導電路にも供給することができる。一方、保護リレー54よりも高電位側の部分31で異常が検出された場合には制御部20が第2切替制御を行うため、異常発生側に存在する高電位側蓄電部(高電位側蓄電部92A、92B,92C)と低電位側蓄電部92Dとの間を確実に遮断することができ、低電位側蓄電部92Dに異常の影響が及ぶことを抑えることができる。そして、このように異常の影響を抑えた状態で、低圧系に対して低電位側蓄電部92Dに基づく電力を供給することができる。よって、高電位側蓄電部92A、92B,92Cの付近で異常が発生した場合であっても、低圧系に対して電力が安定的に供給されやすくなる。
【0056】
制御装置2は、保護リレー54及び低電位側蓄電部92Dに対して並列に接続され、オン状態のときに、高電位側蓄電部92A、92B,92C(具体的には、高電位側蓄電部92C)と第3導電路83(電源部91において最も電位が低くなる端子91Bが電気的に接続された導電路)との間を導通状態とし、オフ状態のときに、高電位側蓄電部92Cと第3導電路83との間を非導通状態とする並列リレー64を有する。制御部20は、保護リレー54をオフ状態とし並列リレー64をオン状態とする第3切替制御を少なくとも行う構成であり、第1切替制御及び第2切替制御の実行時には並列リレー64をオフ状態とするように機能する。
【0057】
この制御装置2は、制御部20が第3切替制御を行った場合、保護リレー54がオフ状態となり、並列リレー64がオン状態となる。つまり、低電位側蓄電部92Dと高電位側蓄電部との間が電気的に遮断されるとともに、高電位側蓄電部92Cと第3導電路83との間が導通した状態となる。従って、仮に低電位側蓄電部92Dで異常が生じた場合でも、第3切替制御を行えば、低電位側蓄電部92Dで発生した異常の影響を抑えつつ、高電位側蓄電部92A,92B,92Cに基づく電力を第1導電路81に供給することができ、電圧変換部10の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路82に対しても降圧された電圧を印加することができる。
【0058】
制御装置2は、電源部91における保護リレー54よりも低電位側の部分32での異常を検出する低電位側異常検出部24を有する。制御部20は、低電位側異常検出部24が低電位側の部分32での異常を検出していないことを条件として第1切替制御を行い、低電位側異常検出部24が低電位側の部分32での異常を検出した場合に第3切替制御を行うように機能する。
【0059】
この制御装置2は、保護リレー54よりも低電位側の部分32で異常が検出されていないことを条件として制御部20が第1切替制御を行うため、このときには、電源部91に基づく電力を高圧系の導電路にも低圧系の導電路にも供給することができる。一方、保護リレー54よりも低電位側の部分32で異常が検出された場合には制御部20が第3切替制御を行うため、異常発生側に存在する低電位側蓄電部92Dと高電位側蓄電部(高電位側蓄電部92A,92B,92C)との間を確実に遮断することができ、高電位側蓄電部92A,92B,92Cに異常の影響が及ぶことを抑えることができる。そして、このように異常の影響を抑えた状態で、低圧系に対して高電位側蓄電部92A,92B,92Cに基づく電力を供給することができる。よって、低電位側蓄電部92D付近で異常が発生した場合であっても、低圧系に対して電力が安定的に供給されやすくなる。
【0060】
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。
実施例2の車載用電源装置201(以下、電源装置201ともいう)は、バイパスリレー74に代えてダイオード274を設けた点、第1切替制御、第2切替制御、第3切替制御においてバイパスリレー74に関する制御を省略した点のみが実施例1の電源装置1と異なり、これら以外は実施例1と同一である。実施例2の車載用電源部の制御装置202(以下、制御装置202ともいう)も、これらの点のみが実施例1の制御装置2と異なり、これら以外は実施例1の制御装置2と同一である。また、車載用電源システム200も、これらの点のみが実施例1で説明した車載用電源システム100と異なり、これら以外は
図1等で示す車載用電源システム100と同一である。よって、以下の実施例2の説明では、実施例1で説明した構成と同一の点については詳細な説明は省略し、実施例1で説明した構成と同一の点については
図6において実施例1の構成(
図1等)と同一の符号を付すこととする。
【0061】
実施例2では、バイパス回路部70(
図1)に代えて、バイパス回路部270が設けられている。この構成でも、実施例1と同様のバイパス導電路72が設けられ、電源部91における蓄電部間の第1位置P1から第2導電路82へと電力を供給する経路となっている。このバイパス導電路72には、バイパスリレー74(
図1)に代えてダイオード274が設けられている。ダイオード274は、バイパス導電路72に介在し、アノードが第1位置P1側に電気的に接続され、カソードが第2導電路82側に電気的に接続されている。
【0062】
実施例2でも、電池監視ユニット6は実施例1と同様に構成され、実施例1と同様に機能する。制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)及び第2の異常信号(低電位側異常信号)のいずれも出力されていない場合、第1切替制御を行う。このように、制御部20は、高電位側異常検出部22が高電位側の部分31での異常を検出しておらず且つ低電位側異常検出部24が低電位側の部分32での異常を検出していないことを条件として第1切替制御を行う。第1切替制御では、保護リレー54をオン状態とし、並列リレー64はオフ状態とする。
【0063】
制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力され、第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力されていない場合、第2切替制御を行う。第2切替制御では、保護リレー54をオフ状態とし、並列リレー64もオフ状態とする。このように第2切替制御を行う場合、電圧変換部10の降圧動作は停止させればよい。この場合、電圧変換部10を介しての電力供給は停止するが、第2導電路82の電圧がある程度低くなると即座に低電位側蓄電部92Dからの電力がダイオードを介して第2導電路82に供給される。よって、低圧系への電力供給が速やかに維持される。
【0064】
制御部20は、電池監視ユニット6から第1の異常信号(高電位側異常信号)が出力されておらず、第2の異常信号(低電位側異常信号)が出力されている場合、第3切替制御を行う。第3切替制御では、保護リレー54をオフ状態とし、並列リレー64はオン状態とする。このように第3切替制御を行う場合、電圧変換部10には降圧動作を行わせる。
【0065】
このように、
図6で示す制御装置202でも、制御部20が第1切替制御を行ったとき、保護リレー54がオン状態となる。この状態のときには、電源部91からの電力供給に基づき、高圧系の導電路となる第1導電路81に相対的に高い電圧を印加することができ、電圧変換部10の動作により、低圧系の導電路となる第2導電路82に対し降圧された電圧を印加することができる。よって、電源部91からの電力に基づき、高圧系の導電路及び低圧系の導電路のいずれにも電力を供給することができる。また、制御部20は、第2切替制御を行うこともでき、このときには、保護リレー54がオフ状態となる。制御部20によって第2切替制御が実行された場合、保護リレー54がオフ状態となるため高電位側蓄電部と低電位側蓄電部92Dとの間が非導通状態に切り替えられる。このとき、電圧変換部10から第2導電路82に対して所望の電圧が出力されなくなっても、バイパス導電路72に設けられたダイオード274のカソード側の電位がアノード側の電位よりも一定程度下がると、低電位側蓄電部92Dからの放電電流がバイパス導電路72を介して第2導電路82側に流れ込むようになる。このような構成であるため、仮に電源部91(高圧側に配置された電源部)の一部である高電位側蓄電部で異常が生じた場合でも、第2切替制御を行えば、高電位側蓄電部と低電位側蓄電部92Dとの間を確実に遮断しつつ、低電位側蓄電部92Dに基づく電力を低圧系に供給することができ、電源部91に基づく電力が低圧系に供給されなくなる事態を回避しやすくなる。
【0066】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
上述した実施例では、4つの蓄電部92によって電源部91が構成された例を示したが、電源部91を構成する蓄電部92の数は、4以外の複数であってもよい。
【0068】
上述した実施例では、並列回路部60を設けた例を示したが、並列回路部60を設けない構成としてもよい。
【0069】
実施例2では、単体として構成されるダイオード274を用いたが、MOSFETのボディダイオードを
図6のダイオード274と同様の配置で設けてもよい。この場合、高電位側異常検出部が高電位側の部分での異常を検出した場合に実施例1と同様の第2切替制御を行い、MOSFETをオン動作させてもよい。
【0070】
上述した実施例では、内部異常検出部23として高電位側異常検出部22を例示したが、高電位側異常検出部22に代えて又は高電位側異常検出部22と併用して、電圧変換部10の異常を検出する電圧変換部異常検出部を設けてもよい。この例では、少なくとも電圧変換部10の位置が「所定の装置内部位置」の一例に相当する。この場合、電圧変換部異常検出部は、例えば、電圧変換部10から出力される出力電流や電圧変換部10に入力される入力電流が所定の電流閾値以上となる過電流状態のときを「所定の装置内部位置の異常」としてもよく、電圧変換部10から出力される出力電圧や電圧変換部10に入力される入力電圧が所定の第1電圧閾値以上又は所定の第2電圧閾値以下となる電圧異常状態のときを「所定の装置内部位置の異常」としてもよい。或いは、電圧変換部10の所定位置の温度(例えば、スイッチング素子付近の温度)が所定の温度閾値以上となる過昇温状態のときを「所定の装置内部位置の異常」としてもよい。この例では、電圧変換部異常検出部が、上記「所定の装置内部位置の異常」を検出していない場合に第1切替制御に切り替え、電圧変換部異常検出部が「所定の装置内部位置の異常」を検出した場合に第2切替制御に切り替えるようにすればよい。