(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートに画像を形成する画像形成部による画像形成位置を経由する搬送経路上における前記画像形成位置より上流側に設けられ、段階的に減速される駆動状態を経て停止状態に至る駆動周期で回転駆動される第1搬送部材と、
前記搬送経路上における前記第1搬送部材から前記画像形成位置までの間の検出位置に向けて前記搬送経路に直交する前記シートの幅方向に沿った光を射出する発光部、及び前記発光部から射出されて前記検出位置を通過する前記シートで反射された光を受光可能であって受光量に応じた検出信号を出力する受光部を有し、前記検出信号に基づいて前記シートの形状を検出する形状検出部と、
前記第1搬送部材の回転速度を検出する速度検出部と、
前記第1搬送部材が前記停止状態から前記駆動状態へ向けて加速する加速状態及び前記駆動状態から前記停止状態へ向けて減速する減速状態のいずれかであるか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部によって前記第1搬送部材が前記加速状態であると判定された場合は、前記受光部における前記検出信号の出力間隔を前記速度検出部による検出速度に応じた第1間隔に切り替え、前記第1搬送部材が前記減速状態であると判定された場合は、前記出力間隔を予め設定された第2間隔に切り替える切替制御部と、
を備えるシート搬送装置。
前記判定処理部は、前記検出速度が前記第2速度より遅い第3速度を上回った場合に前記第1搬送部材が前記加速状態であると判定し、前記検出速度が前記第2速度より遅く前記第3速度より速い第4速度を下回った場合に前記第1搬送部材が前記減速状態であると判定する、
請求項3に記載のシート搬送装置。
前記切替制御部は、前記判定処理部によって前記第1搬送部材が前記減速状態であると判定された場合は、前記速度検出部から出力される当該判定後の最初の前記電気信号の前記受光部への入力と同時に前記電気信号の出力元を前記信号出力部に切り替えると共に前記信号出力部による時間計測をリセットさせる、
請求項5に記載のシート搬送装置。
前記第1搬送部材が前記停止状態である間に前記受光部から出力される前記検出信号に基づいて、前記形状検出部による前記シートの形状の検出に用いられる基準値を設定する設定処理部を備え、
前記形状検出部は、前記設定処理部によって設定される前記基準値を用いて前記シートの形状を検出する、
請求項1〜7のいずれかに記載のシート搬送装置。
シートに画像を形成する画像形成部による画像形成位置を経由する搬送経路上における前記画像形成位置より上流側に設けられ、段階的に減速される駆動状態を経て停止状態に至る駆動周期で回転駆動される第1搬送部材と、前記搬送経路上における前記第1搬送部材から前記画像形成位置までの間の検出位置に向けて前記搬送経路に直交する前記シートの幅方向に沿った光を射出する発光部、及び前記発光部から射出されて前記検出位置を通過する前記シートで反射された光を受光可能であって受光量に応じた検出信号を出力する受光部を有し、前記検出信号に基づいて前記シートの形状を検出する形状検出部と、前記第1搬送部材の回転速度を検出する速度検出部と、を備えるシート搬送装置で実行されるシート形状検出方法であって、
前記第1搬送部材が前記停止状態から前記駆動状態へ向けて加速する加速状態及び前記駆動状態から前記停止状態へ向けて減速する減速状態のいずれかであるか否かを判定することと、
前記第1搬送部材が前記加速状態であると判定された場合は、前記受光部における前記検出信号の出力間隔を前記速度検出部による検出速度に応じた第1間隔に切り替え、前記第1搬送部材が前記減速状態であると判定された場合は、前記出力間隔を予め設定された第2間隔に切り替えることと、
を含むシート形状検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置10の概略構成]
まず、
図1〜
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。また、
図2は画像形成部3の構成を示す平面図である。なお、
図1では、画像形成装置10の筐体11内部におけるシートの搬送経路R1が二点鎖線によって示されている。また、
図3では、電気信号の流れが矢印線によって示されている。
【0015】
画像形成装置10は、インクジェット方式で画像を形成可能なプリンターである。なお、本発明は、インクジェット方式で画像を形成可能なファクシミリ装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用されてもよい。
【0016】
図1及び
図3に示されるように、画像形成装置10は、給紙カセット1、給紙部2、画像形成部3、インクコンテナ部4、搬送ユニット5、排紙部6、第1制御部7、及び第2制御部8を備える。ここに、給紙カセット1、給紙部2、搬送ユニット5、排紙部6、第1制御部7、及び第2制御部8を備える構成が、本発明におけるシート搬送装置の一例である。
【0017】
給紙カセット1には、画像形成装置10において印刷対象となるシートが収容される。例えば、給紙カセット1に収容されるシートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。
【0018】
画像形成装置10では、給紙カセット1に収容されたシートが、画像形成部3による画像形成位置P11〜P14を経由する搬送経路R1(
図1参照)に沿って筐体11内部を搬送されて、排紙部6の排紙トレイ64に排出される。
【0019】
給紙部2は、給紙カセット1に収容されているシートを搬送ユニット5に供給する。
図1及び
図3に示されるように、給紙部2は、ピックアップローラー21、搬送ローラー22、搬送路23、手差しトレイ24、給紙ローラー25、レジストローラー26、速度検出部27、及びイメージセンサー28を備える。
【0020】
ピックアップローラー21は、給紙カセット1からシートを1枚ずつ取り出す。搬送ローラー22は、ピックアップローラー21によって取り出されたシートをレジストローラー26まで搬送する。搬送路23は、給紙カセット1及び手差しトレイ24から搬送ユニット5へ至るシートの移動通路である。搬送路23により、搬送経路R1のうち給紙カセット1から搬送ユニット5までの給紙経路が規定される。手差しトレイ24及び給紙ローラー25は、外部からシートを供給するために用いられる。
【0021】
レジストローラー26は、搬送経路R1における画像形成位置P11〜P14より上流側に設けられる。レジストローラー26は、予め定められた搬送タイミングが到来するごとに、搬送ユニット5に向けてシートを搬送する。例えば、画像形成装置10では、搬送経路R1におけるレジストローラー26より上流側に、シートの有無を検出可能な不図示の光センサーが設けられている。レジストローラー26は、前記光センサーによるシートの先端の検出時から予め定められた時間が経過したタイミングで回転駆動される。また、レジストローラー26は、前記光センサーによるシートの後端の検出時から予め定められた時間が経過したタイミングで減速されて停止する。レジストローラー26は、不図示の第1モーターから供給される回転駆動力により回転駆動される。ここに、レジストローラー26が、本発明における第1搬送部材の一例である。
【0022】
速度検出部27は、レジストローラー26の回転速度を検出する。例えば、速度検出部27は、レジストローラー26の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダーである。速度検出部27は、レジストローラー26の回転速度の逆数に応じた周期で電気信号S1(
図3参照)を出力する。例えば、電気信号S1はパルス信号である。画像形成装置10では、速度検出部27から出力される電気信号S1に基づくフィードバック制御により前記第1モーターの駆動が制御されることで、レジストローラー26の回転速度が後述する第1速度V1及び第2速度V2(
図4参照)のいずれかの速度に制御される。また、速度検出部27から出力される電気信号S1は、第2制御部8に入力される。
【0023】
イメージセンサー28は、搬送経路R1に沿って搬送されるシートの形状の検出に用いられる。例えば、イメージセンサー28は、CIS方式のイメージセンサーである。
図1に示されるように、イメージセンサー28は、搬送経路R1におけるレジストローラー26から搬送ユニット5までの間の位置に設けられる。具体的に、イメージセンサー28は、
図3に示されるように、発光部281、及び受光部282を備える。
【0024】
発光部281は、搬送経路R1上におけるレジストローラー26から画像形成部3による画像形成位置P11〜P14までの間の検出位置P1(
図1参照)に向けて、搬送経路R1に直交するシートの幅方向D2(
図2参照)に沿った光を射出する。例えば、発光部281は、幅方向D2に沿って配列されたLEDダイオードなどの発光素子である。
【0025】
受光部282は、発光部281から射出されて検出位置P1を通過するシートで反射された光を受光可能であって、受光量に応じた検出信号S5(
図3参照)を出力する。例えば、受光部282は、幅方向D2に沿って配列されたフォトダイオードなどの受光素子である。受光部282から出力される検出信号S5は、第1制御部7に入力される。
【0026】
画像形成部3は,現像剤であるインクを用いて、給紙部2から供給されるシートに画像データに基づく画像を形成する。
図1に示されるように、画像形成部3は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応するラインヘッド31、32、33、34と、これらを支持するヘッドフレーム35とを備える。ヘッドフレーム35は画像形成装置10の筐体11に支持されている。なお、画像形成部3の備えるラインヘッドの数は、1つであってもよく、4を除く複数であってもよい。
【0027】
ラインヘッド31〜34は、所謂ラインヘッド型の記録ヘッドである。即ち、画像形成装置10は、所謂ラインヘッド型の画像形成装置である。
図2に示されるように、ラインヘッド31〜34は、幅方向D2に長尺である。具体的に、ラインヘッド31〜34各々は、幅方向D2において、給紙カセット1に収容可能なシートのうち最大サイズのシートの幅に対応する長さを有する。ラインヘッド31〜34各々は、シートの搬送方向D1(
図2参照)に沿って所定間隔を隔てられて、ヘッドフレーム35に固定されている。搬送経路R1上におけるラインヘッド31〜34各々との対向位置が、画像形成部3による画像形成位置P11〜P14である。
【0028】
図2に示されるように、ラインヘッド31〜34各々は、複数の記録ヘッド30を有する。記録ヘッド30は、搬送ユニット5によって搬送されるシートへ向けてインクを吐出する。具体的に、記録ヘッド30における搬送ユニット5によって搬送されるシートとの対向面には、開口を有するインク吐出用の多数のノズル30A(
図2参照)が設けられている。また、記録ヘッド30は、ノズル30A各々に対応する加圧室(不図示)、前記加圧室各々に対応して設けられる圧電素子(不図示)、及び前記加圧室各々と連通する連通流路(不図示)を備える。前記圧電素子は、予め定められた駆動電圧の印加に応じてノズル30Aからインクを吐出させる。具体的に、前記圧電素子は、前記加圧室に収容されているインクを加圧することで、ノズル30Aからインクを吐出させる。
【0029】
本実施形態では、ラインヘッド31は、幅方向D2に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。また、他のラインヘッド32〜34各々も、ラインヘッド31と同様に、幅方向D2に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。なお、
図2には、画像形成部3を
図1の上側から見た状態が示されている。
【0030】
インクコンテナ部4は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応するインクが収容されたインクコンテナ41、42、43、44を備える。インクコンテナ41〜44は、不図示のインク供給部を介して同色のラインヘッド31〜34に接続されている。
【0031】
搬送ユニット5は、搬送経路R1上における画像形成位置P11〜P14でシートを搬送する。具体的に、搬送ユニット5は、
図1に示されるように、ラインヘッド31〜34の下方に配置されている。搬送ユニット5は、シートを記録ヘッド30に対向させつつ搬送する。
図1に示されるように、搬送ユニット5は、シートが載置される搬送ベルト51、搬送ベルト51を張架する張架ローラー52〜54、及びこれらを支持する搬送フレーム55を備える。なお、搬送ベルト51と記録ヘッド30との間隙は、例えば、画像形成時のシートの表面と記録ヘッド30との間隙が1mmとなるように調整される。
【0032】
張架ローラー52は、不図示の第2モーターから供給される回転駆動力により予め定められた第2速度V2(
図4参照)で回転駆動される。これにより、搬送ベルト51は、シートを搬送方向D1(
図1参照)へ搬送可能な方向に第2速度V2で回動する。そのため、給紙部2から供給されたシートは、搬送ベルト51の回動によって画像形成位置P11〜P14(
図1参照)を経由して排紙部6へ搬送される。ここに、搬送ベルト51が、本発明における第2搬送部材の一例である。
【0033】
なお、搬送ユニット5には、シートを搬送ベルト51に吸着させるべく、搬送ベルト51に形成された多数の貫通孔から吸気を行う吸引ユニット(不図示)なども設けられている。また、張架ローラー52の対向位置には、シートを搬送ベルト51に押しつけて搬送させるための圧ローラー56が設けられている。
【0034】
排紙部6は、画像形成部3よりも搬送方向D1の下流側に設けられている。
図1に示されるように、排紙部6は、乾燥装置61、搬送路62、排紙ローラー63、及び排紙トレイ64を備える。乾燥装置61は、例えばシートに送風することにより、シートに付着したインクを乾燥させる。搬送路62は、搬送ユニット5から排紙トレイ64へ至るシートの移動通路である。搬送路62により、搬送経路R1のうち搬送ユニット5から排紙トレイ64までの排紙経路が規定される。排紙ローラー63は、シートを排紙トレイ64に排出する。
【0035】
第1制御部7は、画像形成装置10を統括的に制御する。具体的に、第1制御部7は、不図示のCPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶装置である。第1制御部7では、前記CPUにより前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が第1制御部7により統括的に制御される。なお、第1制御部7は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0036】
また、第1制御部7は、
図3に示されるように、検出処理部71、設定処理部72、及び制限処理部73を含む。具体的に、第1制御部7は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている前記制御プログラムを実行する。これにより、第1制御部7は、検出処理部71、設定処理部72、及び制限処理部73として機能する。
【0037】
検出処理部71は、イメージセンサー28から出力される検出信号S5に基づいて、画像形成部3に向けて搬送されるシートの形状を検出する。ここに、イメージセンサー28及び検出処理部71が、本発明における形状検出部の一例である。
【0038】
例えば、検出処理部71は、設定処理部72によって設定される基準値を用いて、シートの形状を検出する。具体的に、検出処理部71は、検出信号S5に含まれる前記受光素子各々における受光量を示す値が前記基準値を超えているか否かに基づいて、前記受光素子各々との対向位置におけるシートの有無を判断する。これにより、シートにおける幅方向D2に沿った1ライン分の形状が検出される。なお、検出処理部71は、前記基準値に替えて、予め定められた値を用いてシートの形状を検出してもよい。
【0039】
設定処理部72は、レジストローラー26が停止状態である間に受光部282から出力される検出信号S5に基づいて、検出処理部71によるシートの形状の検出に用いられる前記基準値を設定する。
【0040】
例えば、設定処理部72は、レジストローラー26が駆動状態から停止状態に状態遷移する毎に、受光部282から出力される検出信号S5に基づいて前記基準値を設定する。また、設定処理部72は、前記受光素子各々に対応する前記基準値を設定する。例えば、設定処理部72は、検出信号S5に含まれる前記受光素子各々における受光量と予め定められた値との合計値を、前記受光素子各々に対応する前記基準値として設定する。
【0041】
制限処理部73は、検出処理部71によって検出されるシートの形状に基づいて、画像形成部3によるシート外への画像形成を制限する。
【0042】
例えば、制限処理部73は、検出処理部71によるシートの形状の検出結果に基づいて、画像形成部3に入力される画像データにおけるシート外の領域に対応するデータを、シアン、マゼンタ、及びイエロー各々の色成分がゼロのデータ(白色に対応するデータ)に変更する。これにより、シートが搬送経路R1に対して傾斜している場合、シートにパンチ穴などの欠損が存在する場合などに、記録ヘッド30から吐出されるインクが搬送ベルト51に付着することが防止される。そのため、搬送ベルト51に付着したインクを清掃するクリーニング機構を設ける必要がない。
【0043】
なお、画像形成部3は、電子写真方式で画像を形成可能であってもよい。この場合、画像形成装置10では、現像剤であるトナーが搬送ベルト51に付着することを防止可能である。ここで、搬送ベルト51に付着する現像剤がトナーである場合には、当該現像剤がインクである場合よりも、搬送ベルト51の清掃は容易である。そのため、本発明は、インクジェット方式の画像形成装置に好適である。
【0044】
ところで、画像形成装置10では、
図4に示されるように、レジストローラー26が、段階的に減速される駆動状態を経て停止状態に至る駆動周期で回転駆動される。具体的に、レジストローラー26は、停止状態から搬送ベルト51の駆動速度である第2速度V2より速い第1速度V1まで加速されて、第1速度V1で駆動される第1駆動状態に状態遷移する。続いて、レジストローラー26は、前記第1駆動状態から第2速度V2まで減速されて、第2速度V2で駆動される第2駆動状態に状態遷移する。そして、レジストローラー26は、前記第2駆動状態から減速されて停止状態に状態遷移する。これにより、先行して搬送されるシートとの間の間隔を詰めることが可能である。なお、レジストローラー26の駆動速度の段数は3以上であってもよい。
【0045】
ここで、画像形成装置10のように、イメージセンサー28がレジストローラー26と搬送ベルト51との間に配置されている場合には、イメージセンサー28によってシートの形状が検出されている最中にシートの搬送速度が変化する。そのため、イメージセンサー28におけるシートの形状に対応する検出信号S5の出力間隔が固定で設定される場合には、シートにおける検出処理部71による形状検出位置が不等間隔となり、シートの形状の検出精度が低下する。
【0046】
これに対し、イメージセンサー28における検出信号S5の出力間隔をレジストローラー26の回転速度に同期させる構成が考えられる。しかしながら、この場合には、レジストローラー26が停止している間、イメージセンサー28に検出信号S5を出力させることができない。そのため、設定処理部72は、次のシートが搬送されるまでの間にイメージセンサー28から出力される検出信号S5に基づいて前記基準値を設定することができない。
【0047】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、以下に説明するように、シートの形状の検出精度の低下を抑制すると共に、次のシートが搬送されるまでの間にシートの形状の検出に用いられる前記基準値を設定することが可能である。
【0048】
以下、
図3及び
図4を参照しつつ、第2制御部8について説明する。
【0049】
第2制御部8は、イメージセンサー28の受光部282における検出信号S5の出力間隔を、速度検出部27による検出速度に応じた第1間隔、及び予め設定された第2間隔の間で切り替え可能である。例えば、第2制御部8は、集積回路(ASIC、DSP)などの電子回路で構成される。なお、画像形成装置10において、第1制御部7の前記CPUが、前記ROMに記憶された前記制御プログラムを実行することで第2制御部8として機能するものであってもよい。
【0050】
具体的に、第2制御部8は、
図3に示されるように、判定処理部81、信号出力部82、及び切替制御部83を備える。
【0051】
判定処理部81は、レジストローラー26が停止状態から前記第1駆動状態へ向けて加速する加速状態、及び前記第2駆動状態から停止状態へ向けて減速する減速状態のいずれかであるか否かを判定する。
【0052】
例えば、判定処理部81は、速度検出部27から入力される電気信号S1の入力周期によって示される前記検出速度に基づいて、レジストローラー26が前記加速状態及び前記減速状態のいずれかであるか否かを判定する。
【0053】
例えば、判定処理部81は、前記検出速度が第2速度V2より遅い第3速度V3(
図4参照)を上回った場合に、レジストローラー26が前記加速状態であると判定する。また、判定処理部81は、前記検出速度が第2速度V2より遅く第3速度V3より速い第4速度V4(
図4参照)を下回った場合に、レジストローラー26が前記減速状態であると判定する。具体的に、第3速度V3は、シートの先端が検出位置P1に到達したタイミングにおけるレジストローラー26の駆動速度より遅い速度に設定される。
【0054】
これにより、第3速度V3以上第4速度V4以下の一つの閾値のみを用いてレジストローラー26が前記加速状態及び前記減速状態のいずれかであるか否かを判断する構成と比較して、前記加速状態及び前記減速状態の両方の判定タイミングを早期化させることが可能である。また、前記閾値のみを用いてレジストローラー26が前記加速状態及び前記減速状態のいずれかであるか否かを判断する構成と比較して、電気信号S1に混入するノイズによる誤判定を抑制することが可能である。
【0055】
なお、判定処理部81は、前記閾値のみを用いてレジストローラー26が前記加速状態及び前記減速状態のいずれかであるか否かを判定してもよい。また、判定処理部81は、前記光センサーによるシートの先端又は後端の検出時からの経過時間に基づいて、レジストローラー26が前記加速状態及び前記減速状態のいずれかであるか否かを判定してもよい。
【0056】
判定処理部81は、判定結果を示す電気信号S2(
図3参照)を出力する。判定処理部81から出力される電気信号S2は、切替制御部83に入力される。
【0057】
信号出力部82は、前記第2間隔に対応する時間が経過するごとに、電気信号S3(
図3参照)を出力する。例えば、電気信号S3は、電気信号S1と同じパルス信号である。信号出力部82から出力される電気信号S3は、切替制御部83に入力される。
【0058】
ここで、画像形成装置10では、シートの後端が検出位置P1を通過する前に、レジストローラー26が前記第2駆動状態から前記減速状態に状態遷移する。この場合、シートの後端がレジストローラー26を通過してから検出位置P1を通過するまでの間、シートの搬送速度は搬送ベルト51の駆動速度である第2速度V2になる。
【0059】
そこで、画像形成装置10では、前記第2間隔が第2速度V2に応じて設定されている。これにより、シートの後端がレジストローラー26を通過してから検出位置P1を通過するまでの間における検出処理部71によるシートの形状の検出精度の低下を抑制することが可能である。なお、画像形成装置10において、シートの後端が検出位置P1を通過した後にレジストローラー26が前記第2駆動状態から前記減速状態へ状態遷移する場合には、前記第2間隔は第2速度V2に応じて設定された間隔でなくてもよい。
【0060】
切替制御部83は、判定処理部81によってレジストローラー26が前記加速状態であると判定された場合は、受光部282における検出信号S5の出力間隔を前記第1間隔に切り替え、レジストローラー26が前記減速状態であると判定された場合は、受光部282における検出信号S5の出力間隔を前記第2間隔に切り替える。
【0061】
具体的に、画像形成装置10では、受光部282が、電気信号S1及び電気信号S3を含む特定電気信号(本発明における予め定められた電気信号の一例)の入力に応じて検出信号S5を出力する。そして、切替制御部83は、判定処理部81によってレジストローラー26が前記加速状態であると判定された場合は、受光部282に入力される前記特定電気信号の出力元を信号出力部82から速度検出部27に切り替える。また、切替制御部83は、判定処理部81によってレジストローラー26が前記減速状態であると判定された場合は、受光部282に入力される前記特定電気信号の出力元を速度検出部27から信号出力部82に切り替える。
【0062】
例えば、切替制御部83は、判定処理部81によってレジストローラー26が前記加速状態であると判定された場合は、前記特定電気信号の出力元を速度検出部27に切り替えると共に、当該切替後に速度検出部27から出力される最初の電気信号S1の受光部282への入力を制限する。
【0063】
また、切替制御部83は、判定処理部81によってレジストローラー26が前記減速状態であると判定された場合は、速度検出部27から出力される当該判定後の最初の電気信号S1の受光部282への入力と同時に、前記特定電気信号の出力元を信号出力部82に切り替えると共に、信号出力部82による時間計測をリセットさせる。具体的に、切替制御部83は、信号出力部82にリセット信号S4(
図3参照)を入力することで、信号出力部82による時間計測をリセットさせる。
【0064】
なお、第2制御部8に信号出力部82が含まれていなくてもよい。例えば、搬送ベルト51を回転させる張架ローラー52の回転軸にロータリーエンコーダーが取り付けられており、当該ロータリーエンコーダーから出力される電気信号が切替制御部83に入力されてもよい。
【0065】
次に、
図4を参照しつつ、第2制御部8の動作について説明する。
【0066】
まず、時間T1において、レジストローラー26の回転駆動が開始されて、レジストローラー26が停止状態から前記加速状態に状態遷移する。これにより、速度検出部27からは、前記検出速度の逆数に応じた周期で電気信号S1が出力される。
【0067】
次に、時間T2において、レジストローラー26の回転速度が第3速度V3を上回る。判定処理部81は、速度検出部27から入力される電気信号S1の入力周期によって示される前記検出速度に基づいて、レジストローラー26が前記加速状態であると判定し、判定結果を示す電気信号S2を出力する。切替制御部83は、レジストローラー26が前記加速状態である旨を示す電気信号S2が入力されると、受光部282に入力される前記特定電気信号の出力元を信号出力部82から速度検出部27に切り替える。これにより、イメージセンサー28における検出信号S5の出力間隔が、レジストローラー26の回転速度に同期した前記第1間隔に切り替えられる。そのため、シートが検出位置P1を通過中にレジストローラー26によるシートの搬送速度が変化しても、シートの形状の検出精度の低下を抑制可能である。
【0068】
ここで、切替制御部83は、前記特定電気信号の出力元を速度検出部27に切り替えると共に、当該切替後に速度検出部27から出力される最初の電気信号S1の受光部282への入力を制限する。これにより、当該切替前に信号出力部82から受光部282に入力された電気信号S3と当該切替後に速度検出部27から受光部282に入力される電気信号S1との入力間隔が極端に短くなることが回避される。従って、イメージセンサー28における当該入力間隔が極端に短い場合に生じる動作不良を回避することが可能である。
【0069】
なお、第3速度V3は、切替制御部83による切替後に速度検出部27から出力される二番目の電気信号S1の受光部282への入力タイミングの到来後に、シートの先端が検出位置P1に到達するように設定されることが望ましい。
【0070】
次に、時間T3において、レジストローラー26の回転速度が第1速度V1に到達して、レジストローラー26が前記加速状態から前記第1駆動状態に状態遷移する。
【0071】
次に、時間T4〜時間T5において、レジストローラー26の回転速度が第1速度V1から第2速度V2に向けて減速されて、レジストローラー26が前記第1駆動状態から前記第2駆動状態に状態遷移する。
【0072】
次に、時間T6において、レジストローラー26の回転速度が第2速度V2から減速されて、レジストローラー26が前記第2駆動状態から前記減速状態に状態遷移する。
【0073】
次に、時間T7において、レジストローラー26の回転速度が第4速度V4を下回る。判定処理部81は、速度検出部27から入力される電気信号S1の入力周期によって示される前記検出速度に基づいて、レジストローラー26が前記減速状態であると判定し、判定結果を示す電気信号S2を出力する。切替制御部83は、レジストローラー26が前記減速状態である旨を示す電気信号S2が入力されると、受光部282に入力される前記特定電気信号の出力元を速度検出部27から信号出力部82に切り替える。これにより、イメージセンサー28における検出信号S5の出力間隔が、前記第2間隔に切り替えられる。そのため、レジストローラー26が停止された後においても、イメージセンサー28に検出信号S5を出力させることが可能である。
【0074】
ここで、切替制御部83は、速度検出部27から出力される判定処理部81による判定後の最初の電気信号S1の受光部282への入力と同時に、前記特定電気信号の出力元を信号出力部82に切り替えると共に、信号出力部82による時間計測をリセットさせる。前記特定電気信号の出力元が切り替えられるタイミングで信号出力部82による時間計測がリセットされることで、当該切替前に受光部282に入力された電気信号S1と当該切替後に受光部282に入力される電気信号S3との入力間隔が極端に短くなることが回避される。従って、イメージセンサー28における当該入力間隔が極端に短い場合に生じる動作不良を回避することが可能である。また、速度検出部27から出力される判定処理部81による判定後の最初の電気信号S1の受光部282への入力と同時に、前記特定電気信号の出力元が信号出力部82に切り替えられることで、信号出力部82による時間計測のリセットによって当該入力間隔が前後の間隔と比較して長期化することが回避される。
【0075】
そして、時間T8において、レジストローラー26の回転駆動が停止されて、レジストローラー26が前記減速状態から停止状態に状態遷移する。これにより、速度検出部27からの電気信号S1の出力が停止する。
【0076】
このように、画像形成装置10では、レジストローラー26が前記加速状態であると判定された場合は、イメージセンサー28における検出信号S5の出力間隔が速度検出部27による前記検出速度に応じた前記第1間隔に切り替えられる。また、レジストローラー26が前記減速状態であると判定された場合は、イメージセンサー28における検出信号S5の出力間隔が前記第2間隔に切り替えられる。これにより、シートの形状の検出精度の低下を抑制すると共に、次のシートが搬送されるまでの間にシートの形状の検出に用いられる前記基準値を設定することが可能である。