(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アイコン指定操作が、前記表示パネルにおける前記アイコンが表示されている領域を前記特定画像のスクロール方向に対して予め定められた角度の範囲で交差する方向に沿って擦るスワイプ操作である、請求項1または請求項2に記載のタッチパネル装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0014】
[タッチパネル装置10の構成]
実施形態に係るタッチパネル装置10は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)またはが画像形成装置などの電子機器に組み込まれる装置である。
【0015】
図1に示されるようにタッチパネル装置10は、タッチパネルユニット100、制御装置4、二次記憶装置5および通信装置6などを備える。
【0016】
タッチパネルユニット100は、表示パネル1、位置検出装置2およびパネル駆動回路3を含む。また、制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)41およびRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置42を含む。
【0017】
表示パネル1は、液晶パネルなどのパネル状の表示デバイスである。表示パネル1は、CPU41による制御に従って、各種の情報を含む画像を表示する。
【0018】
位置検出装置2は、表示パネル1に対するタッチ位置を検出する。前記タッチ位置は、表示パネル1における、ユーザーの指またはスタイラスペンなどの操作部材が接触した位置である。例えば、位置検出装置2が、静電容量式、抵抗式または光学式のタッチパネルであることが考えられる。パネル駆動回路3は、CPU41からの制御信号に従って、表示パネル1の表示状態を制御する回路である。
【0019】
通信装置6は、他装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。例えば、通信装置6は、他装置から受信したデータをCPU41に転送する。また、通信装置6は、CPU41からの送信指令に従って、CPU41から転送されて来たデータを前記他装置へ送信する。
【0020】
CPU41は、各種の演算、データ処理およびタッチパネルユニット100の制御などを実行する。主記憶装置42は、CPU41によって実行される各種のプログラムおよび演算に用いられるデータを一時記憶するRAM(Random Access Memory)などと記憶装置である。
【0021】
二次記憶装置5は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブなどが二次記憶装置5として採用される。二次記憶装置5は、CPU41が実行するプログラムまたはCPU41が参照するデータなどを予め記憶する。
【0022】
例えば、CPU41は、二次記憶装置5に予め記憶された表示制御プログラム5aを実行することにより、表示制御装置4aとして機能する。さらに、CPU41は、二次記憶装置5に予め記憶された操作判定プログラム5bを実行することにより、操作判定装置4bとして機能する。
【0023】
表示制御装置4aは、パネル駆動回路3を通じて表示パネル1を制御する。例えば、表示制御装置4aは、アイコンg1を含む特定画像g0の一部を表示パネル1に表示させる(
図3参照)。
【0024】
以下の説明において、表示パネル1の縦方向および幅方向の一方を主方向D1、他方を副方向D2と称する。
図3に示される例では、前記縦方向が主方向D1であり、前記幅方向が副方向D2である。
【0025】
図3に示される特定画像g0は、主方向D1の長さが表示パネル1の主方向D1の長さよりも長い画像である。一方、特定画像g0の副方向D2の長さは、表示パネル1の副方向D2の長さ以下である。
【0026】
操作判定装置4bは、位置検出装置2による前記タッチ位置の検出結果に応じてパネル操作の種類を判定する。例えば、操作判定装置4bは、表示パネル1に対するスクロール操作、アイコン指定操作およびその他の操作を区別して判定する。
【0027】
図4に示されるように、前記スクロール操作が、主方向D1に沿うスワイプ操作であることが考えられる。
図4,5に示される例において、表示パネル1は、ユーザーの指F0によって操作される。
【0028】
なお、操作判定装置4bが、DSP(Digital Signal Processor)またはMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサーまたはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現されることも考えられる。
【0029】
表示制御装置4aは、操作判定装置4bによる前記パネル操作の判定結果に応じて、表示パネル1への画像の表示形態を変更する。
【0030】
図3に示される例において、表示制御装置4aは、特定画像g0における主方向D1の一部の領域を表示パネル1に表示させている。この状態において、位置検出装置2によって前記タッチ位置が検出され、さらに、操作判定装置4bによって前記タッチ操作が前記スクロール操作であると判定されて場合、表示制御装置4aは、表示パネル1に特定画像g0を主方向D1に沿ってスクロール表示させる。
【0031】
図4〜7において、スクロール方向D0が矢印で示されている。以下の説明において、表示パネル1に特定画像g0をスクロール表示させる処理のことをスクロール処理と称する。
【0032】
本実施形態において、前記アイコン指定操作は、第1アイコン指定操作と、第2アイコン指定操作とを含む。前記第1アイコン指定操作は、
図3に示されるように特定画像g0が静止画として表示パネル1に表示されている場合にアイコンg1を指定する操作である。
【0033】
図3に示されるように、特定画像g0が静止画として表示パネル1に表示されている場合、操作判定装置4bは、表示パネル1におけるアイコンg1が表示されている領域をタッチするタップ操作が前記第1アイコン指定操作であると判定する。
【0034】
一方、前記第2アイコン指定操作は、特定画像g0が表示パネル1にスクロール表示されている場合にアイコンg1を指定する操作である。前記第2アイコン指定操作については後述する。
【0035】
操作判定装置4bによって前記タッチ操作が前記第1アイコン指定操作であると判定された場合、表示制御装置4aは、予めアイコンに対応付けられた処理を実行する。以下の説明において、前記アイコン指定操作の対象となったアイコンg1に対応付けられた処理のことをアイコン対応処理と称する。
【0036】
例えば、前記アイコン対応処理が、表示パネル1にそれまでと異なる特定画像g0を表示させる処理または特定画像g0に重ねてポップアップ画像を表示パネル1に表示させる処理であることが考えられる。また、CPU41が、表示パネル1の表示内容の変更に加えて、演算処理または通信装置6を通じた通信処理などを実行することも考えられる。
【0037】
ところで、ユーザーにとって、前記スクロール処理を停止させる操作と前記第1アイコン指定操作の両方を行うことは手間である。前記スクロール処理が行われているときに、アイコンg1を指定する1回のタッチ操作によって前記アイコン対応処理が実行されることが望まれる。
【0038】
一方、前記スクロール処理が行われているときに、前記スクロール処理を停止または継続させるつもりで行われたタッチ操作が、前記アイコン指定操作として誤って検知されることを防止する必要がある。
【0039】
タッチパネル装置10において、表示制御装置4aおよび操作判定装置4bは、前記スクロール処理が行われているときに後述するスクロール中制御を実行する(
図2参照)。
【0040】
前記スクロール中制御が行われることにより、表示パネル1においてアイコンg1を含む特定画像g0がスクロールされているときに、1回のタッチ操作でアイコンg1を指定できる。さらに、前記スクロール処理を停止または継続させるつもりで行われた前記タッチ操作が前記アイコン指定操作として誤って検知されることを防止できる。
【0041】
[スクロール中制御]
以下、
図2に示されるフローチャートを参照しつつ、前記スクロール中制御の手順の一例について説明する。
【0042】
表示制御装置4aおよび操作判定装置4bは、前記スクロール処理が開始されたときに、前記スクロール中制御を開始する。以下の説明において、S1,S2,…は、前記スクロール中制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0043】
<工程S1>
前記スクロール中制御において、まず、操作判定装置4bが、位置検出装置2によって前記タッチ位置が検出されるか否かを監視する。前記スクロール処理が行われているときに、位置検出装置2が前記タッチ位置を検出した場合に、操作判定装置4bは、処理を工程S2へ移行させる。
【0044】
<工程S2>
工程S2において、表示制御装置4aは、特定画像g0のスクロール状態が予め定められたアイコン指定可能状態であるか否かを判定する。例えば、前記アイコン指定可能状態は、特定画像g0のスクロール速度が予め定められたしきい速度を下回る低速スクロール状態である。
【0045】
表示制御装置4aは、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態であると判定した場合、処理を工程S3へ移行させ、そうでない場合、処理を工程S6へ移行させる。
【0046】
<工程S3>
工程S3において、操作判定装置4bが、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作およびその他の操作のいずれであるかを区別して判定する。前記第2アイコン指定操作は、予め定められた1回の操作である。
【0047】
本実施形態において、前記第1アイコン指定操作および前記第2アイコン指定操作は異なる種類の前記タッチ操作である。
【0048】
例えば、
図5に示されるように、前記第2アイコン指定操作が、表示パネル1におけるアイコンg1が表示されている領域を交差方向Dx0に沿って擦るスワイプ操作であることが考えられる。
【0049】
交差方向Dx0は、特定画像g0のスクロール方向D0に対して予め定められた角度の範囲で交差する方向である。交差方向Dx0は、スクロール方向D0に直交する副方向D2を基準にして予め定められた鋭角の範囲の方向である。
【0050】
操作判定装置4bは、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作であると判定した場合、処理を工程S4へ移行させ、そうでない場合、処理を工程S6へ移行させる。
【0051】
<工程S4>
工程S4において、表示制御装置4aが、特定画像g0のスクロールを停止させ、続いて処理を工程S5へ移行させる。
【0052】
<工程S5>
工程S5において、表示制御装置4aは、前記アイコン対応処理を実行した後、前記スクロール中制御を終了させる。
【0053】
<工程S6>
工程S6において、操作判定装置4bは、前記パネル操作が前記スクロール操作であるか否かを判定する。操作判定装置4bは、前記パネル操作が前記スクロール操作であると判定した場合、処理を工程S7へ移行させ、そうでない場合、処理を工程S8へ移行させる。
【0054】
なお、工程S6の処理は、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態ではないと判定された場合、または、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作ではないと判定された場合に実行される。
【0055】
<工程S7>
工程S7において、表示制御装置4aは、前記スクロール処理を継続する。但し、表示制御装置4aは、前記スクロール操作の速度に応じて、特定画像g0のスクロールの速度を調整する。
【0056】
また、前記スクロール操作の向きが、その時点のスクロール方向D0と異なる場合、表示制御装置4aは、特定画像g0のスクロールの方向を変更する。
【0057】
表示制御装置4aは、工程S7の処理を実行した後、処理を工程S1へ移行させる。これにより、工程S1からの処理が繰り返される。
【0058】
<工程S8>
工程S8において、表示制御装置4aは、特定画像g0のスクロールを停止させた上で、前記スクロール中制御を終了させる。
【0059】
工程S8の処理は、以下の第1の場合または第2の場合に実行される。前記第1の場合は、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態ではないと判定され、かつ、前記パネル操作が前記スクロール操作ではないと判定された場合である。前記第2の場合は、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態であると判定され、かつ、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作および前記スクロール操作のいずれでもないと判定された場合である。
【0060】
以上に示されるように、表示制御装置4aが表示パネル1に特定画像g0をスクロール表示させているときに位置検出装置2が前記タッチ位置を検出した場合に、表示制御装置4aが、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態であるか否かを判定する(S2)。
【0061】
さらに、操作判定装置4bが、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作およびその他の操作のいずれであるかを区別して判定する(S3)。
【0062】
そして、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態であると判定され、かつ、前記パネル操作が前記アイコン指定操作であると判定された場合に、表示制御装置4aは、予めアイコンg1に対応付けられた前記アイコン対応処理を実行する(S5)。その他の場合、表示制御装置4aは、前記アイコン対応処理を実行することなく、表示パネル1への特定画像g0のスクロール表示を継続または停止させる(S7,S8)。
【0063】
工程S2において、特定画像g0のスクロール状態が前記低速スクロール状態であると判定された場合、ユーザーは、スクロール中のアイコンg1の位置を容易に把握およびタッチすることができる。この場合、表示制御装置4aは、前記第2アイコン指定操作に応じた前記アイコン対応処理の実行を許容する(工程S2〜S5)。
【0064】
一方、特定画像g0のスクロール状態が前記低速スクロール状態ではない場合、前記ユーザーは、スクロール中のアイコンg1の位置を正確に把握することが難しい。この場合、表示制御装置4aは、前記タッチ操作の種類に関わらず、前記アイコン対応処理の実行を許容しない(工程S6,S7または工程S6,S8)。これにより、前記スクロール処理を停止または継続させるつもりで行われた前記タッチ操作が前記第2アイコン指定操作として誤って検知されることを防止できる。
【0065】
なお、
図2に示される手順において、工程S3の処理が、工程S2の処理よりも先に実行されることも考えられる。
【0066】
また、本実施形態において、前記第2アイコン指定操作が、表示パネル1におけるアイコンg1が表示されている領域を交差方向Dx0に沿って擦るスワイプ操作である。この場合、前記アイコン対応処理を速やかに実行することができる。
【0067】
[第1応用例]
図6,7に示されるように、特定画像g0が、それぞれ予め定められた主方向D1の長さが表示パネル1の主方向D1の長さよりも長い複数のページ画像g00を含むことが考えられる。
【0068】
本応用例において、表示制御装置4aは、表示パネル1に特定画像g0を主方向D1に沿ってスクロール表示させる場合に、表示パネル1に複数のページ画像g00それぞれを主方向D1に沿ってスクロール表示させる。
【0069】
さらに、表示制御装置4aは、表示パネル1に特定画像g0を主方向D1に沿ってスクロール表示させる場合に、複数のページ画像g00のページ区切りg2において隣り合う2つのページ画像g00を切り替えて表示パネル1に表示させる。
【0070】
即ち、表示制御装置4aは、表示パネル1の表示状態を、複数のページ画像g00のページ区切りg2において隣り合う2つのページ画像g00の一方を表示する
図6の状態から他方を表示する
図7の状態へ切り替える。
【0071】
図6は、前記スクロール処理において、あるページ画像g00におけるスクロール方向D0の上流端g3が、表示パネル1におけるスクロール方向D0の上流端1aに到達した時点の表示パネル1を示す。
【0072】
一方、
図7は、次のページ画像g00におけるスクロール方向D0の下流端g4が、表示パネル1におけるスクロール方向D0の下流端1bに沿う状態で、次のページ画像g00が表示された表示パネル1を示す。
【0073】
表示制御装置4aは、あるページ画像g00の表示パネル1への表示状態が
図6に示される状態になった場合、表示パネル1の表示状態を、
図7に示される表示状態へ切り替える。
【0074】
以下の説明において、隣り合う2つのページ画像g00の表示が切り替わる時点を基準にしたわずかな期間のことをページ切り替わり期間と称する。
【0075】
前記ページ切り替わり期間において、ユーザーは、表示パネル1の表示状態の変化を予測できない。そのため、前記ページ切り替わり期間における前記タッチ操作は、ユーザーの意図に反した操作である可能性が高い。
【0076】
そこで、表示制御装置4aが、
図2の工程S2において、以下の第1条件および第2条件の両方が成立する状態を前記アイコン指定可能状態として判定することが考えられる。
【0077】
前記第1条件は、特定画像g0のスクロール速度が前記しきい速度を下回る前記低速スクロール状態であるという条件である。前記第2条件は、2つの前記ページ画像g00の表示が切り替わる時点を基準にした予め定められた期間以外の時点の状態であるという条件である。前記第2条件は、前記ページ切り替わり期間を除くことを意味する。
【0078】
本応用例が採用されれば、前記ページ切り替わり期間における前記タッチ操作が、前記第2アイコン指定操作として誤って検知されることを防止できる。
【0079】
[第2応用例]
前記スクロール中制御において、
図2の工程S4の処理が省略されることも考えられる。前記第2アイコン指定操作が、交差方向Dx0に沿うスワイプ操作である場合、前記アイコン対応処理が速やかに実行される。そのため、工程S4の処理が省略されても、特に問題が生じない。
【0080】
[第3応用例]
前記アイコン指定操作が、表示パネル1におけるアイコンg1が表示されている領域を予め定められた時間以上継続してタッチする長押し操作であることが考えられる。
【0081】
本応用例においては、
図2の工程S4の処理が省略されないことが望ましい。即ち、特定画像g0のスクロール状態が前記アイコン指定可能状態であると判定され、かつ、前記パネル操作が前記第2アイコン指定操作であると判定された場合に、表示制御装置4aは、工程S4,S5の処理を実行する。