特許第6801626号(P6801626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801626
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】電線保持部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/16 20060101AFI20201207BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20201207BHJP
   H02G 15/007 20060101ALI20201207BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H02G15/16
   H02G1/14
   H02G15/007
   H01R13/56
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-205199(P2017-205199)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-80422(P2019-80422A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 亘
【審査官】 中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭40−035408(JP,Y1)
【文献】 実開昭52−057297(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/16
H01R 13/56
H02G 1/14
H02G 15/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線の外周が絶縁被覆により覆われた電線を保持する電線保持部材であって、
前記芯線の外径寸法よりも大きな内径寸法を有して、前記芯線が挿通可能な挿通孔を有する前壁と、
前記前壁の異なる複数の端縁から後方に延びると共に、前記絶縁被覆の周囲に配される複数の延出片と、
前記延出片の後端部において前記絶縁被覆に向かって突出すると共に、前記絶縁被覆の外面を挟持する複数の保持部と、を有し、
少なくとも前記複数の延出片と前記複数の保持部とは金属製であり、
前記前壁の内面と前記延出片の内面とは、曲面によって滑らかに連結されている、電線保持部材。
【請求項2】
芯線の外周が絶縁被覆により覆われた電線を保持する電線保持部材であって、
前記芯線の外径寸法よりも大きな内径寸法を有して、前記芯線が挿通可能な挿通孔を有する前壁と、
前記前壁の異なる複数の端縁から後方に延びると共に、前記絶縁被覆の周囲に配される複数の延出片と、
前記延出片の後端部において前記絶縁被覆に向かって突出すると共に、前記絶縁被覆の外面を挟持する複数の保持部と、を有し、
少なくとも前記複数の延出片と前記複数の保持部とは金属製であり、
前記前壁の前面は平坦な平面である、電線保持部材。
【請求項3】
前記保持部は、前記延出片の後端部から斜め前方に延出されている、請求項1または請求項2に記載の電線保持部材。
【請求項4】
芯線の外周が絶縁被覆により覆われた電線を保持する電線保持部材であって、
前記芯線の外径寸法よりも大きな内径寸法を有して、前記芯線が挿通可能な挿通孔を有する前壁と、
前記前壁の異なる複数の端縁から後方に延びると共に、前記絶縁被覆の周囲に配される複数の延出片と、
前記延出片の後端部において前記絶縁被覆に向かって突出すると共に、前記絶縁被覆の外面を挟持する複数の保持部と、を有し、
少なくとも前記複数の延出片と前記複数の保持部とは金属製であり、
前記挿通孔の内径寸法は、前記絶縁被覆の外径寸法よりも小さい、電線保持部材。
【請求項5】
前記保持部は、前記延出片の後端部から斜め前方に延出されている、請求項4に記載の電線保持部材。
【請求項6】
前記前壁の内面と前記延出片の内面とは、曲面によって滑らかに連結されている、請求項4または請求項5に記載の電線保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、電線の絶縁被覆を保持する電線保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯線の外周が絶縁被覆で覆われた電線の絶縁被覆を保持する構造として、特開昭61−163576号公報に記載のものが知られている。電線の端部では絶縁被覆が皮剥ぎされて芯線が露出している。芯線が露出した状態の電線の端部は、コネクタ内に挿入されている。
【0003】
コネクタは、内部に端子が収容されたハウジングと、ハウジングに取り付けられたカバーハウジングと、を有する。端子はばね状の接点部を有しており、ハウジング内に挿入された芯線は、接点部と弾性的に接触することにより、端子と電気的に接続される。
【0004】
カバーハウジングの端部には、電線が挿入される挿入孔が開口されている。カバーハウジングのうち挿入孔が設けられた端部にはヒンジが設けられており、ヒンジを支点としてカバーハウジングの端部が弾性変形することにより、挿入孔に挿入された電線の絶縁被覆が、挿入孔の孔縁部によって弾性的に保持されるようになっている。
【0005】
上記の構成により、電線がコネクタから引き抜かれる方向の力が加えられた場合でも、挿入孔の孔縁部によって電線が保持されるので、芯線と端子との電気的な接続が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−163576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の技術によると、カバーハウジングは合成樹脂製なので、電線に加えられる力が比較的に大きな場合には、電線を保持することができないことが懸念される。電線を保持できない場合には、電線がカバーハウジングから引き抜かれ、更に芯線が端子の接点からも抜けてしまい、芯線と端子との電気的な接続が切断されてしまうことが懸念される。
【0008】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電線の保持力を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示された技術は、芯線の外周が絶縁被覆により覆われた電線を保持する電線保持部材であって、前記芯線の外径寸法よりも大きな内径寸法を有して、前記芯線が挿通可能な挿通孔を有する前壁と、前記前壁の異なる複数の端縁から後方に延びると共に、前記絶縁被覆の周囲に配される複数の延出片と、前記延出片の後端部において前記絶縁被覆に向かって突出すると共に、前記絶縁被覆の外面を挟持する複数の保持部と、を有し、少なくとも前記複数の延出片と前記複数の保持部とは金属製である。
【0010】
上記の構成によれば、少なくとも延出片と保持部とは金属製なので、複数の延出片と、この延出片に設けられた保持部により絶縁被覆を強固に保持することができる。
【0011】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0012】
前記保持部は、前記延出片の後端部から斜め前方に延出されていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、保持部は斜め前方に延出しているので、電線に対して後方に引っ張る力が加えられた場合に、保持部が絶縁被覆一層強固に保持することができる。
【0014】
前記前壁の内面と前記延出片の内面とは、曲面によって滑らかに連結されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、芯線を挿通孔に挿通させる際に、延出片の内面に芯線の先端が当接することにより、芯線の先端が滑らかに前壁の内面へと案内され、更に前壁に設けられた挿通孔へと案内される。これにより、芯線を挿通孔に挿通させる作業の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示された技術によれば、電線の保持力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る電線保持部材を収容したリアホルダが、コネクタハウジングに取り付けられた状態を示す断面図
図2】コネクタハウジングに雌端子が収容された状態を示す断面図
図3】押圧部材が仮係止位置に保持された雌端子に芯線が挿通された状態を示す断面図
図4】電線保持部材を示す斜視図
図5】電線保持部材を示す側面図
図6】電線保持部材を示す背面図
図7】実施形態2に係る電線保持部材を示す斜視図
図8】電線保持部材を示す側面図
図9】実施形態2に係る電線保持部材を収容したリアホルダが、コネクタハウジングに取り付けられた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を、図1から図6を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電線保持部材10は、雌端子11を収容するコネクタハウジング12に取り付けられて使用される。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。
【0019】
(コネクタハウジング12)
図1に示すように、合成樹脂製のコネクタハウジング12は、雌端子11を収容するキャビティ13を有する。キャビティ13は前後方向に延びて形成されている。キャビティ13の前方は開口しており、図示しない相手側端子が挿入可能になっている。また、キャビティ13の後方も開口しており、後述する電線14の芯線15が挿入可能になっている。
【0020】
キャビティ13の前壁16には雌端子11の前端部が後方から当接することにより、雌端子11が前止まりされるようになっている。キャビティ13の上壁にはランス係止孔17が形成されており、後述する雌端子11の接続筒部18に形成された金属ランス19が係止することにより、雌端子11が後方へ抜け止めされるようになっている。
【0021】
前後方向についてキャビティ13の後半部分には、上方に開口された開口部20が形成されている。この開口部20からは、金属製の押圧部材21がキャビティ13内部に上方から挿入可能になっている。
【0022】
(雌端子11)
雌端子11は金属板材を所定の形状にプレス加工することにより形成される。雌端子11は、相手側端子が挿入される接続筒部18と、接続筒部18の底壁から後方に延びる芯線接続部22と、を有する。
【0023】
雌端子11を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では銅又は銅合金が用いられる。雌端子11の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では、スズが用いられる。
【0024】
接続筒部18の内部には、詳細には図示しないが、接続筒部18内に挿入された相手側端子と弾性的に接続する弾性接触片が配されている。この弾性接触片と雄端子とが弾性的に接触することにより、相手側端子と雌端子11とが電気的に接続される。
【0025】
接続筒部18の側壁の後端部には、後方に延出された延出側壁23が設けられている。延出側壁23の下端部は、芯線接続部22の左右両側縁と連続している。これにより、芯線接続部22と延出側壁23とは、前後方向から見て、上方に開口したU字形状をなしている。
【0026】
図2に示すように、延出側壁23のうち前端部寄りの位置と、後端部寄りの位置には、延出側壁23の上端部寄りの位置に上側係止受け部24が設けられており、延出側壁23の下端部寄りの位置に下側係止受け部25が設けられている。
【0027】
芯線接続部22の前後方向の中央付近には、上方に突出する接続突部26が設けられている。接続突部26は、芯線接続部22を上方に叩き出して形成されている。
【0028】
(押圧部材21)
図2に示すように、雌端子11の後半部分には、芯線接続部22の上方から押圧部材21が組み付けられるようになっている。押圧部材21は金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。押圧部材21を形成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では銅又は銅合金が用いられる。押圧部材21の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では、スズが用いられる。
【0029】
押圧部材21の上壁28には、前後方向の中央付近に、下方に垂下する押圧部27が形成されている。押圧部27は側方から見て上方がやや広がった略U字状に形成されている。押圧部27の下端部は、芯線接続部22の上方に対応する位置に配されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、押圧部材21は、上壁28と、上壁28の左右両側縁から下方に垂下する側壁29と、を有する。側壁29のうち、前端部寄りの位置と、後端部寄りの位置には、側壁29の上端部寄りの位置に上側係止部30が設けられており、側壁29の下端部寄りの位置に下側係止部31が設けられている。
【0031】
図3に示すように、延出側壁23の上側係止受け部24に、押圧部材21の下側係止部31が係止した状態においては、押圧部27と芯線接続部22との間には所定の間隔が設けられており、電線14の芯線15が、押圧部27と芯線接続部22との間を挿通可能になっている。この状態を、押圧部材21が雌端子11に仮係止位置に保持された状態という。
【0032】
電線14は、芯線15の外周が絶縁被覆32で包囲されている。芯線15は、棒状をなす金属からなる、いわゆる単芯線である。芯線15を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態においては、銅、又は銅合金が用いられる。
【0033】
図1に示すように、延出側壁23の上側係止受け部24に、押圧部材21の上側係止部30が係止し、且つ、延出側壁23の下側係止受け部25に、押圧部材21の下側係止部31が係止した状態においては、電線14の芯線15は、押圧部27と芯線接続部22との間に挟持されるようになっている。これにより、芯線15と雌端子11とが電気的に接続されるようになっている。この状態を、押圧部材21が雌端子11に本係止位置に保持された状態という。
【0034】
上記のように、本実施形態においては、公知の圧着とは異なる手法により、芯線15と雌端子11とが接続されている。
【0035】
(リアホルダ33)
図1に示すように、コネクタハウジング12の後端部には、合成樹脂製のリアホルダ33が組み付けられている。コネクタハウジング12とリアホルダ33とは、図示しない公知のロック構造により一体に組み付けられている。リアホルダ33は、電線保持部材10が収容される収容空間34を有する。収容空間34の前方に位置する前壁35には、前方に開口して芯線15を挿通可能な芯線挿通孔36を有する。前壁35には、後述する電線保持部材10の前壁37が後方から当接することにより、電線保持部材10が前止まり状態で保持されるようになっている。芯線挿通孔36の内径寸法は、芯線15の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0036】
収容空間34の後端部は、後方に開口されており、電線保持部材10を後方から挿入可能になっている。キャビティ13の後端部寄りの位置には、内方に突出する突起45が形成されている。この突起45に、キャビティ13内に収容された電線保持部材10が前方から当接することにより、電線保持部材10が後方に抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0037】
(電線保持部材10)
図4図6に示すように、電線保持部材10は、金属板材を所定形状にプレス加工してなる。押圧部材21を形成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では銅又は銅合金が用いられる。押圧部材21の表面にはめっき層が形成されていてもよい。
【0038】
電線保持部材10は、前壁37と、前壁37の上端部及び下端部から後方に延出される上側延出片38(延出片の一例)及び下側延出片39(延出片の一例)と、上側延出片38の後端部から下方に突出する上側保持部40(保持部の一例)及び下側延出片39の後端部から上方に突出する下側保持部41(保持部の一例)と、を備える。
【0039】
前壁37は前方から見て略長方形状をなしている。前壁37の上下方向の中央付近には前後方向に貫通する挿通孔42が形成されている。挿通孔42の孔縁部は円形状をなしている。挿通孔42の内径寸法は、芯線15の外径寸法よりも大きく設定されており、挿通孔42内に芯線15が挿通可能になっている。
【0040】
上側延出片38及び下側延出片39は上下方向に扁平な板状をなしている。上側延出片38は、前壁37の上端縁を支点として上下方向に弾性変形可能になっている。また、下側延出片39は、前壁37の下端縁を支点として上下方向に弾性変形可能になっている。
【0041】
上側保持部40の下端縁43は、下端側が最も幅広で、上方に向かうに従って幅狭になる曲線状に形成されている。上側保持部40の下端縁43は、円形の一部をなす弧状でもよいし、また、楕円形状の一部をなす曲線状でもよい。
【0042】
同様に、下側保持部41の上端縁44は、上端側が最も幅広で、下方に向かうに従って幅狭になる曲線状に形成されている。下側保持部41の上端縁44は、円形の一部をなす弧状でもよいし、また、楕円形状の一部をなす曲線状でもよい。
【0043】
上側保持部40は、上側延出片38の後端部から下斜め前方に突出しており、下側保持部41は、下側延出片39の後端部から上斜め前方に突出している。上側保持部40は、上側延出片38の後端部を支点として上下方向に弾性変形可能になっている。また、下側保持部41は、下側延出片39の後端部を支点として上下方向に弾性変形可能になっている。
【0044】
上側保持部40の下端縁43と下側延出片39の上端縁44とは対向して配置されている。上側保持部40の下端縁43と下側延出片39の上端縁44との間隔は、電線14が挿通可能に設定されている。上側保持部40の下端縁43の少なくとも一部と下側延出片39の上端縁44の少なくとも一部は、電線14の絶縁被覆32の外面に当接するようになっている。これにより、電線14の絶縁被覆32が上側保持部40と下側保持部41とにより挟持されるようになっている。
【0045】
(本実施形態の組み付け工程の一例)
続いて、本実施形態の組み付け工程の一例について説明する。なお、本実施形態の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0046】
まず、コネクタハウジング12のキャビティ13内に、後方から雌端子11を挿入する。雌端子11の接続筒部18に設けられた金属ランス19がキャビティ13の内壁と当接することにより弾性変形する。更に雌端子11を前方に押し込むと、金属ランス19が復帰変形し、ランス係止孔17の孔縁部に前方から当接する。これにより、雌端子11が後方に抜け止めされる。また、接続筒部18がキャビティ13の前壁16に後方から当接することにより、雌端子11が前方に抜け止めされる。この結果、コネクタハウジング12内に雌端子11が抜け止め状態で保持される。
【0047】
コネクタハウジング12に形成された開口部20から、押圧部材21を雌端子11に組み付ける。押圧部材21の側壁29の下端部が雌端子11の延出側壁23の上端部に上方から当接することにより、押圧部材21の側壁29が拡開方向に弾性変形する。更に押圧部材21を下方に押し込むと、押圧部材21の側壁29が復帰変形し、押圧部材21の下側係止部31と、雌端子11の上側係止受け部24とが弾性的に係止する。これにより、押圧部材21が雌端子11に対して仮係止位置に保持される(図2参照)。
【0048】
リアホルダ33の収容空間34に後方から、前壁37を前方に向けた姿勢で、電線保持部材10を挿入する。収容空間34内に突出する突起45に対して電線保持部材10の上側延出片38及び下側延出片39が前方から当接することにより、電線保持部材10が後方へ抜け止めされる。また、電線保持部材10の前壁37が収容空間34を構成する前壁35に後方から当接することにより、電線保持部材10が前方に抜け止めされる。これにより、電線保持部材10がリアホルダ33内に抜け止め状態で保持される。
【0049】
コネクタハウジング12の後端部に、リアホルダ33を取り付ける。
【0050】
電線14の端部において、所定の長さの絶縁被覆32を皮剥ぎすることにより、芯線15を露出させる。
【0051】
リアホルダ33の収容空間34内に、後方から芯線15を前方に向けた姿勢で、電線14を挿入する。芯線15がリアホルダ33の収容空間34内に挿入され、上側保持部40と下側保持部41との間を通って、前壁37の挿通孔42内に挿入される。
【0052】
更に、電線14を前方に押し込むと、芯線15は、リアホルダ33からコネクタハウジング12内へと挿通され、押圧部材21の押圧部27と雌端子11の接続突部26との間を通って雌端子11の内部を前方へと移動する。芯線15の前端部は、少なくとも押圧部27よりも前方の位置まで押し込まれる。
【0053】
一方、リアホルダ33内においては、電線14の絶縁被覆32は、電線保持部材10の、上側保持部40の下端縁43と、下側保持部41の上端縁44との間の空間に後方から押し込まれる。電線14は、上側保持部40の下端縁43に形成された曲面と、下側保持部41の上端縁44に形成された曲面とに案内されて、スムーズに前方へと移動される。
【0054】
更に電線14を前方に押し込むと、上側保持部40及び上側延出片38は上方に弾性変形し、これにより下向きの弾発力を絶縁被覆32に及ぼす。また、下側保持部41及び下側延出片39は下方に弾性変形し、これにより上向きの弾発力を絶縁被覆32に及ぼす。この結果、上側保持部40と下側保持部41により絶縁被覆32が挟持される(図3参照)。
【0055】
押圧部材21を下方に押圧し、押圧部材21を雌端子11に対して本係止位置に移動させる。詳細には、押圧部材21の上側係止部30と雌端子11の上側係止受け部24とが弾性的に係止し、且つ、押圧部材21の下側係止部31と雌端子11の下側係止受け部25とが弾性的に係止する。この状態で、押圧部材21と接続突部26との間に芯線15が挟み付けられる。これにより、芯線15と雌端子11とが電気的に接続される(図1参照)。
【0056】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係る電線保持部材10は、芯線15の外周が絶縁被覆32により覆われた電線14を保持する電線保持部材10であって、芯線15の外径寸法よりも大きな内径寸法を有して、芯線15が挿通可能な挿通孔42を有する前壁37と、前壁37の異なる複数の端縁から後方に延びると共に、絶縁被覆32の周囲に配される上側延出片38及び下側延出片39と、上側延出片38及び下側延出片39の後端部において絶縁被覆32に向かって突出すると共に、絶縁被覆32の外面を挟持する上側保持部40及び下側保持部41と、を有し、少なくとも上側延出片38及び下側延出片39と上側保持部40及び下側保持部41とは金属製である。
【0057】
上記の構成によれば、少なくとも上側延出片38及び下側延出片39と上側保持部40及び下側保持部41とは金属製なので、上側延出片38及び下側延出片39と、これら上側延出片38及び下側延出片39に設けられた上側保持部40及び下側保持部41により絶縁被覆32を強固に保持することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、上側保持部40及び下側保持部41は、上側延出片38及び下側延出片39の後端部から斜め前方に延出されている。上記の構成によれば、上側保持部40及び下側保持部41は斜め前方に延出しているので、電線14に対して後方に引っ張る力が加えられた場合に、上側保持部40及び下側保持部41が絶縁被覆32を一層強固に保持することができる。
【0059】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態2を、図7から図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電線保持部材50においては、前壁51の上端部と上側延出片58とは、側方から見て滑らかな曲面状に連なっている。これにより、前壁51の内面と、上側延出片58の内面とは、曲面によって滑らかに連結されている。換言すると、上側延出片58と前壁51との境界部分には明瞭な段差が形成されていない。
【0060】
図8に示すように、前壁51の下端部と下側延出片59とは側方から見て滑らかな曲面状に連なっている。これにより、前壁51の内面と、下側延出片59の内面とは、曲面によって滑らかに連結されている。換言すると、下側延出片59と前壁51との境界部分には明瞭な段差が形成されていない。
【0061】
図9に示すように、リアホルダ53の収容空間54の前壁55は、電線保持部材50の前壁51の前面に倣った形状に形成されている。これにより、電線保持部材50はリアホルダ53内に前止まり状態で保持されるようになっている。
【0062】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態によれば、電線保持部材50の前壁51の内面は、上側延出片58の内面及び下側延出片59の内面と、曲面によって滑らかに連結されている。これにより、芯線15を挿通孔52に挿通させる際に、芯線15の先端が上側延出片58の内面又は下側延出片59の内面に当接することにより、芯線15の先端が滑らかに前壁51の内面へと案内され、更に前壁51に設けられた挿通孔52へと案内されるようになっている。これにより、芯線15を挿通孔52に挿通させる作業の効率を向上させることができる。
【0064】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0065】
(1)電線保持部材は、前壁が合成樹脂製であって、前壁の端部に金属製の延出片が固定される構成としてもよい。
【0066】
(2)実施形態1及び2においては、1つの電線保持部材に2つの延出片が形成される構成としたが、これに限られず、1つの電線保持部材に、3つ以上の延出片が設けられる構成としてもよい。
【0067】
(3)実施形態1及び2においては、保持部は斜め前方に突出する構成としたが、これに限られず、保持部は、延出片から絶縁被覆に向けて直角に曲がって突出する構成としてもよい。
【0068】
(4)実施形態1及び2に係る芯線15は単芯線としたが、これに限られず、芯線15は、複数の金属細線が撚り合わされた撚り線でもよい。
【0069】
(5)雌端子11と芯線15とは、圧接により接続されてもよく、半田付けやロウ接により接続されてもよく、超音波溶接、レーザー溶接等の溶接により接続されてもよく、任意の方法で接続することができる。
【0070】
(6)実施形態1及び2においては、端子として雌端子11が用いられたが、端子は雄端子であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10,50:電線保持部材
14:電線
15:芯線
32:絶縁被覆
37,51:前壁
38,58:上側延出片
39,59:下側延出片
40:上側保持部
41:下側保持部
42,52:挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9