(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、又はそれらの2種以上の混合物である、請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、従来のフィラーによる検討を進めたところ、充填量が増えるにつれて、溶融粘度や表面粗度が上昇してしまい、微細配線の形成が困難となりやすいという問題を見出した。
本発明の課題は、低線熱膨張率、低粗度でありながらピール強度が高い硬化物、更には優れたラミネート性を有するシート状積層材料をもたらす樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を重ねたところ、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーを含む樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
〔1〕 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーを含む、樹脂組成物。
〔2〕 樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーを5〜80体積%含む、〔1〕記載の樹脂組成物。
〔3〕 (C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーの平均粒径が0.01〜10μmである、〔1〕又は〔2〕記載の樹脂組成物。
〔4〕 (C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーの比重が1〜7g/cm
3である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔5〕 (C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーが球状無機フィラー又は破砕状無機フィラーである、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔6〕 (C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーが、ガラスフィラー及びリン酸ジルコニウム系フィラーから選択される1種以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔7〕 (C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーが、チタンドープ型ガラスフィラーである、〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔8〕 (B)硬化剤が活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤から選択される1種以上である、〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔9〕 (A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、又はそれらの2種以上の混合物であり、
(B)硬化剤が、活性エステル系硬化剤であり、
(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーが、チタンドープ型ガラスフィラーである、〔1〕〜〔8〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔10〕 該樹脂組成物の硬化物の25℃から150℃までの平均線熱膨張率が20ppm以下であり、
該樹脂組成物の硬化物における、粗化処理後の硬化物表面のRaが400nm以下であり、かつ
該樹脂組成物の硬化物を形成し、該硬化物の粗化処理後の硬化物表面にメッキにより導体層を形成し、該硬化物表面と該導体層とのメッキピール強度が0.4kgf/cm以上である、〔1〕〜〔9〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔11〕 多層プリント配線板の絶縁層用である、〔1〕〜〔10〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔12〕 〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の樹脂組成物を含む接着フィルム。
〔13〕 該接着フィルムの樹脂組成物層の100℃における溶融粘度が35000poise以下である、〔12〕記載の接着フィルム。
〔14〕 〔1〕〜〔11〕のいずれか記載の樹脂組成物の硬化物。
〔15〕 25℃から150℃までの平均線熱膨張率が20ppm以下である、〔14〕記載の硬化物。
〔16〕 粗化処理後の硬化物表面のRaが400nm以下である、〔14〕又は〔15〕記載の硬化物。
〔17〕 硬化物の粗化処理後の硬化物表面にメッキにより導体層を形成したとき、該硬化物表面と該導体層とのメッキピール強度が0.4kgf/cm以上である、〔14〕〜〔16〕のいずれか記載の硬化物。
〔18〕 〔14〕〜〔17〕のいずれか記載の硬化物を有する多層プリント配線板。
〔19〕 〔18〕記載の多層プリント配線板を用いることを特徴とする半導体装置。
〔20〕 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーを含む多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物であって、
該(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、又はそれらの2種以上の混合物であり、
該(B)硬化剤が、活性エステル系硬化剤であり、
該(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーが、チタンドープ型ガラスフィラーであり、
該樹脂組成物の硬化物の25℃から150℃までの平均線熱膨張率が20ppm以下であり、
該樹脂組成物の硬化物における、粗化処理後の硬化物表面のRaが400nm以下であり、かつ
該樹脂組成物の硬化物を形成し、該硬化物の粗化処理後の硬化物表面にメッキにより導体層を形成し、該硬化物表面と該導体層とのメッキピール強度が0.4kgf/cm以上である、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低熱膨張率、低粗度でありながらピール強度が高い硬化物、更には優れたラミネート性を有するシート状積層材料をもたらす樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーを含む。
【0011】
<(A)エポキシ樹脂>
本発明で使用される「エポキシ樹脂」としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン4官能型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、及びそれらの2種以上の混合物が好ましい。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0012】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。
【0013】
また、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、温度20℃で固形状のエポキシ樹脂(以下、「固形状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固形状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を硬化して形成される絶縁層の破断強度も向上する。
【0014】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「EXA4032SS」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)等が挙げられる。液状エポキシ樹脂としては、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)が特に好ましい。液状エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0015】
固形状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂がさらに好ましい。固形状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP7200H」、「HP7200K−65I」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ESN475V」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。特に、日本化薬(株)製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、DIC(株)製の「HP7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)が好ましい。固形状エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0016】
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固形状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固形状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:4の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固形状エポキシ樹脂との量比をかかる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する絶縁層を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固形状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固形状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:3.5の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲がさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲が特に好ましい。
【0017】
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、20質量%〜50質量%が好ましく、25質量%〜45質量%がより好ましく、30質量%〜40質量%がさらに好ましい。
【0018】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、さらに好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗度の低い絶縁層をもたらす。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
【0019】
<(B)硬化剤>
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤等が挙げられる。なかでも、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤から選択される1種以上を使用することが好ましく、活性エステル系硬化剤がより好ましい。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0020】
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
【0021】
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、なかでもジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。
【0022】
ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル硬化剤としては、より具体的には下式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0024】
式(1)中、2個あるRは、互いに独立にフェニル基又はナフチル基である。kは0又は1を表す。nは繰り返し単位の平均で0.05〜2.5である。
【0025】
誘電正接を低下させ、耐熱性を向上させるという観点から、Rはナフチル基であることが好ましい。kは0であることが好ましい。また、nは0.25〜1.5であることが好ましい。
【0026】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
【0027】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート))、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0028】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層(回路配線)との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。なかでも、耐熱性、及び導体層との密着性(剥離強度)の観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることが好ましい。
【0029】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
【0030】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
【0031】
樹脂組成物中の硬化剤の量は、エポキシ樹脂を硬化できる限り特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば15〜50質量%、好ましくは20〜45質量%、より好ましくは25〜40質量%である。
【0032】
<(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラー>
フィラーの30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率の測定方法としては、例えば、レーザー干渉計により試料の伸びを検出する熱膨張計やX線回折法など既知の方法により測定することができる。
「30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラー」としては、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の無機フィラーが好ましく、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状無機フィラー、破砕状無機フィラーがより好ましく、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状無機フィラーがさらに好ましい。具体例として、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下である、ガラスフィラー、リン酸ジルコニウム系フィラー、コーディエライト系フィラー、シリコン酸化物系フィラー、タングステン酸ジルコニウム系フィラー、及びマンガン窒化物系フィラー等が挙げられる。なかでも、硬化物を低粗度とできる点や接着フィルムの溶融粘度を低下させることができる点からガラスフィラー及びリン酸ジルコニウム系フィラーから選択される1種以上を用いることが好ましい。ガラスフィラーとしては、チタンドープ型ガラスフィラーが好ましく、チタンドープ型球状ガラスフィラーがより好ましい。
【0033】
上記チタンドープ型ガラスフィラーとしては、例えば、TiO
2−SiO
2ガラスのガラス形成原料であるTiCl
4とSiCl
4を、それぞれガス化させた後に混合させ、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO
2−SiO
2ガラス微粒子がある。かかるチタンドープ型ガラスフィラーとしては、国際公開第2010/134449号に記載されている方法によって製造することができ、市販品の例としては、旭硝子(株)製の「AZフィラー」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):0.2ppm/℃のチタンドープ型球状ガラスフィラー)が挙げられる。上記リン酸ジルコニウム系フィラーの市販品の例としては、共立マテリアル(株)製の「ZWP」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):−0.3ppm/℃)が挙げられる。上記破砕状ガラスフィラーの市販品の例としては、日本電気硝子(株)製の「DL7400」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):−1.1ppm/℃)が挙げられる。
【0034】
(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーの平均粒径は、硬化物を低粗度とし微細配線形成を可能とする点や樹脂組成物の流動性を高めてラミネート性を向上させる観点から、0.01μm〜10μmの範囲が好ましく、0.05μm〜8μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜5μmの範囲がさらに好ましく、0.2μm〜3μmの範囲がさらに一層好ましい。該フィラーの平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、該フィラーの粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、該フィラーを超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
【0035】
(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーの比重は、ワニスの分離防止、フィルム内の組成均一性の観点から、1g/cm
3〜7g/cm
3の範囲が好ましく、1g/cm
3〜5g/cm
3の範囲がより好ましく、1.5g/cm
3〜3g/cm
3の範囲がさらに好ましい。
【0036】
(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーの含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、硬化物の低熱膨張化の観点から、5体積%以上が好ましく、10体積%以上がより好ましく、15体積%以上が更に好ましい。また、樹脂組成物の流動性の観点から、80体積%以下が好ましく、70体積%以下がより好ましく、65体積%以下が更に好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物においては、本発明の効果が発揮される範囲で、必要に応じて(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーとともにそれ以外のフィラーを含んでいてもよい。
【0038】
30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラー以外のフィラーとしては、例えば、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃超の、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。フィラーは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」(30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率:0.5ppm/℃)、「SOC1」(30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率:0.5ppm/℃)が挙げられる。
【0039】
(C)30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーと、該フィラー以外のフィラーの体積比は、例えば、100:0〜10:90であり、100:0〜20:80が好ましく、100:0〜30:70がより好ましい。
【0040】
本発明の樹脂組成物中における、全フィラーの含有量(30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のフィラーとそれ以外のフィラーとの合計含有量)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、硬化物の低熱膨張化という観点から、40体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましい。また、樹脂組成物のラミネート時の流動性という観点から、80体積%以下が好ましく、70体積%以下がより好ましく、65体積%以下が更に好ましい。
【0041】
上記フィラーは、耐湿性、分散性を向上させるため、シランカップリング剤(エポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤等)、チタネート系カップリング剤、シラザン化合物等の表面処理剤で表面処理してあるものが好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0042】
エポキシシラン系カップリング剤としては、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられ、アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、メルカプトシラン系カップリング剤としては、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。市販のカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂組成物には、さらに以下のその他の成分、例えば、熱可塑性樹脂、硬化促進剤及び難燃剤等の添加剤を含めることができる。
【0044】
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0045】
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0046】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
【0047】
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
【0048】
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
【0049】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0050】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0051】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0052】
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚みやバルク性状の均一な樹脂組成物を形成することができる。
【0053】
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましい。
【0054】
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
【0055】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセンが好ましい。
【0056】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
【0057】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
【0058】
金属系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。金属系硬化促進剤としては、有機コバルト錯体を用いることが好ましく、特に、コバルト(III)アセチルアセトナートを用いるのが好ましい。
【0059】
硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.01質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0060】
−難燃剤−
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。難燃剤の含有量は特に限定はされないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましく、1.5質量%〜8質量%がさらに好ましい。
【0061】
本発明の樹脂組成物は、上記成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または撹拌することにより、樹脂ワニスとして製造することができる。
【0062】
本発明の樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途の広範囲に使用できる。なかでも、本発明の樹脂組成物は、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物として好適に使用することができ、メッキにより導体層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)や多層プリント配線板のビルドアップ層形成用樹脂組成物としてより好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるし、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いることもできる。
【0063】
<シート状積層材料>
(接着フィルム)
接着フィルムは、支持体上に樹脂組成物層が形成されたものである。該接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0064】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組みわせて用いてもよい。
【0065】
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層における有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分間程度乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。この樹脂組成物層は、Bステージフィルムと呼ばれることもあり、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得るものである。
【0066】
この樹脂組成物層の100℃における溶融粘度は、ラミネート性や埋め込み性が良好な接着フィルムを得る観点から、35000poise以下であることが好ましく、20000poise以下であることがより好ましく、15000poise以下であることがさらに好ましく、10000poise以下であることがさらにより好ましく、絶縁層表面の凹凸差を抑制し、微細配線形成性を向上させるという観点から8000poise以下、7000poise以下、6000poise以下、又は5000poise以下であることが特に好ましい。また、ラミネート時の浸みだし防止の観点から、500poise以上が好ましく、1000poise以上がより好ましく、1500poise以上が更に好ましい。樹脂組成物層をラミネートする際は、通常100℃付近で行うことになるため、100℃における溶融粘度値により、接着フィルムのラミネート性を評価することが可能である。
【0067】
本発明の樹脂組成物層の100℃における溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができる。具体的には、樹脂量1g、直径18mmのパラレルプレートを使用し、開始温度60℃から200℃まで、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz/degの測定条件にて動的粘弾性測定を行うことにより、樹脂組成物層の100℃における溶融粘度を測定することができる。そのような動的粘弾性測定装置としては、例えば、(株)ユー・ビー・エム製型式Rheosol−G3000が挙げられる。
【0068】
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、導体層の厚さ以上とするのが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層は10〜100μmの厚さを有するのが好ましい。薄膜化の観点から、15〜80μmがより好ましく、20〜50μmが更に好ましい。
【0069】
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。また離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを使用してもよい。中でも、汎用性の点から、プラスチックフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。支持体及び後述する保護フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
【0070】
支持体の厚さは特に限定されないが、取扱性が向上するという点で10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。また、コストパフォーマンス向上や支持体上から穴あけを行う場合に効率的な穴あけを行うことができるという観点から、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。
【0071】
樹脂組成物層の支持体が密着している面の反対側の面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。この場合、接着フィルムは、支持体と、該支持体の上に形成された樹脂組成物層と、該樹脂組成物層の上に形成された保護フィルムとを含む。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
【0072】
(プリプレグ)
プリプレグは、本発明の樹脂組成物をシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱して半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物がシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。シート状補強基材としては、例えば、ガラスクロスやアラミド繊維等のプリプレグ用繊維として常用されている繊維からなるものを用いることができる。そして支持体上にプリプレグが形成されたものが好適である。
【0073】
ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、支持体上に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様にして樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。また、接着フィルムをシート状補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで調製することもできる。支持体や保護フィルム等
も接着フィルムと同様に用いることができる。
【0074】
<シート状積層材料を用いた多層プリント配線板>
次に、上記のようにして製造したシート状積層材料を用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
【0075】
まず、シート状積層材料を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネート(積層)する。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0076】
シート状積層材料が保護フィルムを有している場合には、該保護フィルムを除去した後、必要に応じてシート状積層材料及び回路基板をプレヒートし、シート状積層材料を加圧及び加熱しながら回路基板にラミネートする。好適な一実施形態では、真空ラミネート法により減圧下で、シート状積層材料を、回路基板にラミネートする。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力(ラミネート圧力)を好ましくは1〜11kgf/cm
2(9.8×10
4〜107.9×10
4N/m
2)とし、圧着時間(ラミネート時間)を好ましくは5〜180秒間とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0077】
シート状積層材料を回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、樹脂組成物を熱硬化して硬化物を形成する。これにより、回路基板上に絶縁層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20〜180分間、より好ましくは160℃〜210℃で30〜120分間の範囲で選択される。絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、必要によりここで剥離することもできる。
【0078】
また、シート状積層材料を、真空プレス機を用いて回路基板の片面又は両面に積層することもできる。減圧下、加熱及び加圧を行う積層工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことが可能である。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体層側からプレスすることにより行うことができる。プレス条件は、減圧度を通常1×10
−2MPa以下、好ましくは1×10
−3MPa以下の減圧下とする。加熱及び加圧は、1段階で行うこともできるが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cm
2の範囲で行い、2段階目のプレスを、温度が150〜200℃、圧力が1〜40kgf/cm
2の範囲で行うのが好ましい。各段階の時間は30〜120分で行うのが好ましい。このように樹脂組成物層を熱硬化することにより回路基板上に絶縁層を形成することができる。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200((株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
【0079】
本発明の樹脂組成物では、その硬化物の25℃から150℃までの平均線熱膨張率は20ppm以下であることが好ましく、17ppm以下であることが好ましく、14ppm以下であることが更に好ましい。下限値に制限はないが、一般的に4ppm以上となる。線熱膨張率は、(株)リガク製熱機械分析装置(Thermo Plus TMA8310)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行うことで測定することができる。
【0080】
また、本発明のシート状積層材料を回路基板にラミネートし、熱硬化により硬化物を作成したときに、回路上の硬化物表面と、回路上以外の表面との凹凸差(アンジュレーション)は、3μm以下であることが好ましい。この凹凸差は非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて測定することができる。
【0081】
次いで、回路基板上に形成された絶縁層に穴あけ加工を行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけ加工は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができる。中でも、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ加工が最も一般的な方法である。また、シート状積層材料を回路基板に積層し、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成し、回路基板上に形成された絶縁層に支持体上から穴あけ加工してビアホールを形成することで多層プリント配線板を製造することが好ましく、穴あけ加工後に支持体を剥離することが好ましい。このように、支持体上から穴あけ加工してビアホールを形成することにより、スミアの発生を抑制することができる。また、多層プリント配線板の薄型化に対応するため、ビアホールのトップ径(直径)は15〜70μmが好ましく、20〜65μmがより好ましく、25〜60μmが更に好ましい。
【0082】
次いで、絶縁層表面の粗化処理を行う。乾式の粗化処理としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。乾式、湿式のいずれの粗化処理を採用してもよいが、湿式の粗化処理の方が、絶縁層表面に凸凹のアンカーを形成しながら、ビアホール内のスミアを除去することができる点で好ましい。膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50〜80℃で5〜20分間(好ましくは55〜70℃で8〜15分間)、膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。酸化剤による粗化処理は、絶縁層を60〜80℃で10〜30分間(好ましくは70〜80℃で15〜25分間)、酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10重量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。中和液による中和処理は、絶縁層を30〜50℃で3〜10分間(好ましくは35〜45℃で3〜8分間)、中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPが挙げられる。
【0083】
本発明の硬化物の粗化処理後の硬化物表面のRa(算術平均粗さ)は、微細配線形成を可能とする点から、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることがさらにより好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。下限値に制限はないが、一般的に20nm以上となる。硬化物表面の算術平均粗さ(Ra値)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ社製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
【0084】
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキとしては、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて導体層を形成する方法、導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成する方法、等が挙げられる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。そして、上述の一連の工程を複数回繰り返すことで、ビルドアップ層を多段に積層した多層プリント配線板を製造することができる。
【0085】
本発明の樹脂組成物を硬化した硬化物のメッキ導体層の引き剥がし強さは、0.4kgf/cm以上であることが好ましく、0.5kgf/cm以上であることがより好ましい。上限値に制限はないが、一般的に1.0kgf/cm以下となる。メッキ導体層の引き剥がし強さは、粗化処理後の硬化物表面にメッキにより導体層を形成し、該硬化物表面と該導体層とのメッキピール強度を測定する。引っ張り試験機としては、例えば、(株)TSE製の「AC−50C−SL」等が挙げられる。
【0086】
<半導体装置>
本発明の多層プリント配線板を用いることで半導体装置を製造することができる。本発明の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。「導通箇所」とは、「多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0087】
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0089】
<測定方法・評価方法>
まず各種測定方法・評価方法について説明する。
【0090】
<線熱膨張係数の評価>
実施例及び比較例で得られた接着フィルムを190℃で90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた。その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、(株)リガク製熱機械分析装置(Thermo Plus TMA8310)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定においてガラス転移温度と、25℃から150℃までの平均線熱膨張率を算出した。
【0091】
<算術平均粗さ(Ra値)及びピール強度測定用サンプルの調製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製CZ8100にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
【0092】
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製)を用いて、内層回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
【0093】
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムを100℃、30分、さらに180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化して絶縁層を形成した。その後PETフィルムを剥離した。
【0094】
(4)粗化処理
絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO
4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。80℃で30分乾燥後、この粗化処理後の絶縁層表面について、算術平均粗さ(Ra値)、二乗平均平方根粗さ(Rq値)の測定を行った。
【0095】
(5)セミアディティブ工法によるメッキ
絶縁層表面に回路を形成するために、内層回路基板を、PdCl
2を含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、25μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて30分間行った。この回路基板についてメッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定を行った。
【0096】
<粗化処理後の算術平均粗さ(Ra値)の測定>
非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。そして、10点の平均値を求めることにより測定値とした。
【0097】
<メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定>
回路基板の導体層に、幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具((株)ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC−50CSL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。
【0098】
<溶融粘度測定>
実施例及び比較例で作製した接着フィルムにおける樹脂組成物層の100℃の溶融粘度を測定した。(株)ユー・ビー・エム製型式Rheosol−G3000を使用して、樹脂量は1g、直径18mmのパラレルプレートを使用し、開始温度60℃から200℃まで、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz/degの測定条件にて溶融粘度を測定した。
【0099】
<ラミネート性試験>
実施例及び比較例で作製した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製)を用いて、導体厚35μmでL(ライン:配線幅)/S(スペース:間隔幅)=160/160μmの櫛歯状の導体パターン上にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、100℃、30分、さらに180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化して、絶縁層を形成した。絶縁層における導体上とそれ以外の部分の凹凸差(Rt:最大のpeak−to−valley)の値は非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、10倍レンズにより測定範囲を1.2mm×0.91mmとして得られる数値により求めた。なお、ラミネート後に導体上とそれ以外の部分の凹凸差が3.0μm以下の場合を○、ラミネート後に導体上とそれ以外の部分の凹凸差が3.0μmより大きい場合を×と評価した。
【0100】
[実施例1]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)5部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)8部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)8部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)8部とを、MEK8部、シクロヘキサノン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)26部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製「1B2PZ」)1部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの84部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状ガラスフィラー(旭硝子(株)製「AZフィラー」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):0.2ppm/℃のチタンドープ型球状ガラスフィラー、平均粒径0.2μm、比重2.2g/m
3)をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM573」)で表面処理したもの)36部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下「PET」と略称する。)上に、乾燥後の樹脂組成物の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(残留溶媒量約2質量%)。次いで樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507mm×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
【0101】
[実施例2]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)5部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)8部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)8部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)8部とを、MEK10部、シクロヘキサノン10部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)26部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製「1B2PZ」)1部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの84部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下のリン酸ジルコニウム系フィラー(共立マテリアル(株)製「ZWP」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):−0.3ppm/℃、平均粒径2.3μm、破砕状、比重3.8g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの62部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0102】
[実施例3]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)5部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)8部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)8部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)8部とを、MEK10部、シクロヘキサノン10部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)26部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製「1B2PZ」)1部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの84部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の破砕状ガラスフィラー(日本電気硝子(株)製「DL7400」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):−1.1ppm/℃、平均粒径4.8μm、比重2.5g/m
3)をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの)41部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0103】
[実施例4]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)10部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)18部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「EXA4032SS」)3部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP−4700」)5部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をメチルエチルケトン(以下「MEK」と略称する。)とシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)18部とを、MEK12部、シクロヘキサノン12部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、ナフトールアラルキル系硬化剤(フェノール性水酸基当量215、新日鐵住金化学(株)製「SN485」)9部、フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量120、DIC(株)製「LA7052」の固形分60%のMEK溶液)15部、硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジン0.2部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」)で表面処理したもの119部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状ガラスフィラー(旭硝子(株)製「AZフィラー」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):0.2ppm/℃のチタンドープ型球状ガラスフィラー、平均粒径0.2μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM573」)で表面処理したもの51部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0104】
[実施例5]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)6部と、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)16部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「EXA4032SS」)9部、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(エポキシ当量266、DIC(株)製「EXA7311」)6部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)5部とを、MEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(シアネート当量235、不揮発成分75質量%のMEK溶液、ロンザジャパン(株)「BA230S75」)20部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(シアネート当量124、不揮発成分80質量%のMEK溶液、ロンザジャパン(株)製「PT30」)8部、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)12部、硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジン0.02部、コバルト(III)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の1質量%のMEK溶液4部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」で表面処理したもの)140部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状ガラスフィラー(旭硝子(株)製「AZフィラー」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):0.2ppm/℃のチタンドープ型球状ガラスフィラー、平均粒径0.2μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM573」)で表面処理したもの60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0105】
[実施例6]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)5部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)8部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)8部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)8部とを、MEK8部、シクロヘキサノン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)26部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製「1B2PZ」)1部、30℃から150℃までの間の平均の線熱膨張率が300ppb/℃以下の球状ガラスフィラー(旭硝子(株)製「AZフィラー」(線熱膨張率(30−150℃の平均値):0.2ppm/℃のチタンドープ型球状ガラスフィラー、平均粒径0.2μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM573」)で表面処理したもの105部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0106】
[比較例1]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828US」)5部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)8部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量332、新日鉄住金化学(株)製「ESN−475V」)8部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」(重量平均分子量38000)をMEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した不揮発分30質量%の樹脂溶液)8部とをMEK12部、シクロヘキサノン12部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC(株)製「HPC8000−65T」)26部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製「1B2PZ」)1部、球状シリカ(アドマテックス(株)製「SOC1」(ヘキサメチルジシラザン処理付、平均粒子径0.25μm、比重2.2g/m
3))をN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、「KBM573」で表面処理したもの150部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0107】
【表1】
【0108】
この結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、低線熱膨張率、低粗度でありながらピール強度が高い硬化物、更には優れたラミネート性を有するシート状積層材料をもたらす樹脂組成物を提供できる。