(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のように、分離部材を、案内面と平行且つ給送方向下流に向かう方向に移動可能に設けるだけでは、空送りを十分に抑制できないことが考えられる。特に、分離片の分離性能を高めるために、分離片を案内面から突出させる高さを高くした場合には、給送方向上流の分離片により分離された記録用紙が給送方向下流の分離片に引っ掛かることがあり、空送りは発生しやすくなる。
【0006】
また、特許文献2のように、分離部材を、支持面と平行且つ給送方向下流に向かう方向に移動可能に設けた場合には、重ね送りを十分に抑制できなくなることが考えられる。特許文献2における分離部材の移動方向は、給送部により給送される記録用紙が実際に進む方向とは異なるため、記録用紙から分離片に力が掛かり難くなり、重ね送りが発生しやすくなる。これを避けるために分離片を案内面から十分に高く突出させた場合には、例えば光沢紙などの変形しにくい記録用紙を使用した場合に記録用紙が分離片に引っかかりやすくなり、空送りを抑制することが困難になる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することができる給送装置及び、それを備えた画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の一実施形態に係る給送装置は、シートを積層した状態で支持する支持面を有する支持部材と、上記支持面により支持されたシートを給送方向に給送する給送部と、上記支持面より上記給送方向下流に設けられており、上記支持面に対して傾斜し且つ上記給送部によって給送されるシートと当接して、該シートを案内する傾斜面を有する案内部材と、上記案内部材に設けられており、上記給送方向に沿って複数が上記傾斜面から突出し且つ上記給送部によって給送されるシートのうち最上のシートを他のシートから分離する分離片、を有している分離部材と、上記案内部材に設けられており、単位方向ベクトルv1が下記式により定義される第1方向及び、該第1方向の反対の第2方向に上記分離部材を移動可能に支持する支持部と、を備える。
式:v1=a×v2+b×v3
ただし、v2:上記傾斜面と平行であり且つ上記給送方向下流に向かう第3方向の単位方向ベクトル、v3:上記支持面と平行であり且つ上記給送方向下流に向かう第4方向の単位方向ベクトル、a及びb:0より大きく且つ1より小さい定数、である。
【0009】
(2) あるいは、本発明の一実施形態に係る給送装置は、シートを積層した状態で支持する支持面を有する支持部材と、上記支持面により支持されたシートを給送方向に給送する給送部と、上記支持面より上記給送方向下流に設けられており、上記支持面に対して傾斜し且つ上記給送部によって給送されるシートと当接して、該シートを案内する傾斜面を有する案内部材と、上記案内部材に設けられており、上記給送方向に沿って複数が上記傾斜面から突出し且つ上記給送部によって給送されるシートのうち最上のシートを他のシートから分離する分離片、を有している分離部材と、を備え、上記案内部材に設けられており、上記傾斜面と平行であり且つ上記給送方向下流に向かう第3方向と成す鋭角θ1及び上記支持面と平行であり且つ上記給送方向下流に向かう第4方向と成す鋭角θ2が零より大きく、且つ上記傾斜面と上記支持面に平行な平面とが成す鋭角θ3より小さい第1方向、及び、該第1方向の反対の第2方向に、上記分離部材を移動可能に支持する支持部と、を備える。
【0010】
上記構成によれば、支持部材の支持面により積層した状態で支持されるシートは給送部により給送方向に給送される。支持面により支持されたシートのうち、上層の複数のシートが給送部により重なった状態で給送された場合には、それらの複数のシートは傾斜面に当接し、分離片に当接する。それらの複数のシートのうち最上のシートは、例えば給送ローラである給送部との間の比較的に大きな摩擦力に起因する給送力により給送方向に給送される。他のシートは、最上のシートなどとの間の比較的に小さな摩擦力に起因する給送力により給送方向に給送される。上記複数のシートが分離片と当接すると、分離部材は第1方向へ移動し、複数のシートは、その反力を受ける。
【0011】
第1方向は、第3方向と第4方向の間の方向である。第3方向は、給送部により給送されるシートが実際に進む方向であり、第4方向は、分離片の傾斜面から突出する高さが低くなる方向である。上記反力は、第3方向の反対方向の成分と、第4方向の反対方向の成分とを有している。第3方向の反対方向の成分により他のシートは制止され、比較的に大きな給送力により給送される最上のシートだけが第3方向に送られて、他のシートから分離される。また、分離部材が第4方向にも移動可能であることにより、例え最上のシートに第3方向の反対方向の大きな反力が働いた場合にも、分離部材が第1方向に移動することによって、分離片が傾斜面から突出する高さが小さくなる。これにより、最上のシートが分離片に引っ掛かることが抑制され、空送りが抑制される。
【0012】
以上により、分離片の分離性能を高めるために分離片が傾斜面から突出する高さを高くした場合に例えば光沢紙などの変形しにくい記録用紙を使用しても、記録用紙が分離片に引っ掛かることが抑制され、空送りが抑制される。以上により、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することができる。なお、鋭角θ1、鋭角θ2及び鋭角θ3は、傾斜面に垂直且つ法線が給送方向に垂直な平面内の角度として定義することができる。
【0013】
(3) 好ましくは、該給送装置は、上記案内部材に設けられており、上記支持部により支持された上記分離部材を上記第2方向に付勢する付勢部材を更に備える
【0014】
上記構成によれば、給送部により給送されるシートが分離片に当接したときに、適切な大きさの反力を分離片からシートに作用させることが容易になり、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することが容易になる。
【0015】
(4) 好ましくは、該給送装置は、上記案内部材に設けられており、上記付勢部材の付勢力を調節する調節機構を更に備える。
【0016】
上記構成によれば、使用するシートの剛性などに応じて付勢部材の付勢力を調節して、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することができる。よって、例えば画像記録装置であれば、光沢紙などの一般の記録用紙よりも剛性が高く変形しにくい記録用紙を使用する場合に付勢部材の付勢力を適切に調節することによって、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することができる。
【0017】
(5) 好ましくは、該給送装置においては、上記分離部材は、上記分離片が配置される第1表面、該第1表面と交差する第2表面、及び該第2表面の反対にある第3表面を有しており、上記第2表面及び上記第3表面にそれぞれ複数が設けられた凸部を有しており、上記支持部は、上記案内部材に設けられており、上記第2表面と対向する第1対向部と、上記案内部材に設けられており、上記第3表面と対向する第2対向部と、上記第1対向部及び上記第2対向部に、複数の上記凸部と対応してそれぞれ複数が設けられており、上記第1方向及び上記第2方向に沿って延びており、上記凸部が移動可能に嵌合する嵌合部と、を有する。
【0018】
上記構成によれば、複数の凸部が複数の嵌合部と移動可能に嵌合することにより分離部材が移動可能に支持されるので、分離部材を第1方向及び第2方向に円滑に移動させることができる。
【0019】
(6) 好ましくは、該給送装置においては、複数の上記分離片のうち第1片が上記傾斜面から突出する高さは、複数の上記分離片のうち上記第1片より上記給送方向上流に位置する第2片が上記傾斜面から突出する高さよりも大きくなっている。
【0020】
上記構成によれば、複数の分離片のうち、第2片より給送方向下流に位置する第1片が傾斜面から突出する高さが第2片の高さよりも大きくなっている。傾斜面からの高さが大きく、分離性能が高い分離片を給送方向下流に配置することによって、シートの空送りを最小限度に抑え、且つ複数の分離片の分離性能を全体として向上させることができる。よって、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することが容易になる。
【0021】
(7) 好ましくは、該給送装置においては、上記分離片は、上記給送部により給送されるシートと当接する当接面を有し、複数の上記分離片のうち第3片の上記当接面と上記傾斜面とが成す鋭角θ4は、複数の上記分離片のうち上記第3片より上記給送方向上流に位置する第4片の上記当接面と上記傾斜面とが成す鋭角θ5よりも、大きくなっている。
【0022】
上記構成によれば、複数の分離片のうち、第4片より給送方向下流に位置する第3片の当接面の鋭角θ4が、第4片の当接面の鋭角θ5よりも大きな角度になっている。これにより、第3片は第4片より高い分離性能を有する。分離性能が高い第3片を給送方向下流に配置することにより、傾斜面からの高さが大きい分離片を給送方向下流に配置する場合と同様に、シートの空送りを最小限度に抑え、且つ複数の分離片の分離性能を全体的に向上させることができる。よって、シートの重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することが容易になる。
【0023】
(8) 好ましくは、該給送装置においては、上記分離部材は樹脂成形品である。
【0024】
上記構成によれば、加工が容易であり、金属などに比較すると安価である樹脂から分離部材を形成することができ、給送装置の製造を容易にし、製造コストを抑えることができる。
【0025】
(9) また、本発明の一実施形態に係る画像記録装置は、上記給送装置と、シートに画像を記録する記録部と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シートの重ね送り及び空送りを両方とも良好に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態を基準として上方向7A及び下方向7Bが定義され、複合機10の開口13が設けられている面を手前(前面)として前方向8A及び後方向8Bが定義され、複合機10を手前(前面)から見て左方向9A及び右方向9Bが定義される。
【0029】
[複合機10の全体構成]
複合機10は、
図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で記録用紙12(シートの一例であって、
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部11は、給送装置を備えた画像記録装置の一例である。
【0030】
プリンタ部11は、概ね直方体に形成された筐体14を有している。筐体14の正面に、開口13が形成されている。給送トレイ20(支持部材の一例)及び排出トレイ21が、開口13から筐体14の内部へ前方向8A及び後方向8Bに挿入及び脱抜可能である。なお、給送トレイ20及び排出トレイ21は、筐体14から完全に脱抜されるものであってもよいし、筐体14から完全に脱抜されるのではなく、筐体14に装着された状態から中途まで引き出されるものであってもよい。給送トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙12が積層した状態で載置される。
【0031】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙12を搬送する搬送ローラ対58及び排出ローラ対59、記録用紙12に画像を記録するインクジェット方式の記録部24、及び給送装置などを備えている。なお、記録部24は、インクジェット方式に限らず、例えば電子写真方式であってもよい。
【0032】
給送装置は、記録用紙12を積層した状態で支持する支持面23を有する給送トレイ20(支持部材の一例)と、給送トレイ20の支持面23により支持された記録用紙12を給送方向17(給送方向の一例)に給送する給送部15と、案内部材72(案内部材の一例)とを備えている。案内部材72は、支持面23に対して傾斜した傾斜面67(傾斜面の一例)を有している。傾斜面67は、給送方向17において支持面23より下流に設けられており、給送部15によって給送方向17に給送される記録用紙12と当接して、当該記録用紙12が進む方向を、傾斜面67に沿った方向に変える。その結果、記録用紙12は、傾斜面67によって、
図2に一点鎖線の矢印により示される搬送方向16に沿って記録用紙12を搬送する搬送路65に案内される。
【0033】
搬送路65は、給送トレイ20の後端部から延出している。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、後方向8Bを湾曲外方向とし前方向8Aを湾曲内方向として湾曲しつつ延びている。直線部34は、前方向8Aに延びている。湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する第1ガイド部材18と第2ガイド部材19とによって形成されている。各ガイド部材18、19は、
図2における紙面と直交する方向である左方向9A及び右方向9Bに延設されている。直線部34は、記録部24が配置されている位置において所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。
【0034】
第1ガイド部材18は、下部に形成された軸48を中心として、矢印66の方向に回動可能に構成されている。第1ガイド部材18は、
図2に実線で示される位置のときに湾曲部33を形成し、
図2に破線で示される位置のときに湾曲部33を外部に露出させる。複合機10のユーザは、第1ガイド部材18を
図2に破線で示される位置に回動させることにより、湾曲部33に詰まった記録用紙12を取り出すことができる。なお、第1ガイド部材18は、回動以外によって状態変化してもよい。例えば、第1ガイド部材18は、プリンタ部11に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0035】
給送部15によって給送方向17に給送された記録用紙12は、筐体14内に配置された案内部材72と当接する。これにより、記録用紙12が送られる方向が、給送方向17から傾斜面67に沿い且つ左方向9A及び右方向9Bに垂直な方向に変わる。その後、記録用紙12は、給送部15及び搬送ローラ対58によって、搬送方向16に沿って搬送される。その際、記録用紙12は、第1ガイド部材18及び第2ガイド部材19によって搬送路65を案内される。そのため、記録用紙12の搬送方向16は、後方向8Bと上方向7Aの中間の方向から概ね上方向7Aに変わる。その後、記録用紙12が湾曲部33を通過して直線部34へ到達すると、記録用紙12の搬送方向16は、概ね上方向7Aから前方向8Aに変わる。記録部24は、直線部34を搬送される記録用紙12に画像を記録する。排出ローラ対59は、画像を記録された記録用紙12を前方向8Aに搬送して、排出トレイ21に排出する。
【0036】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線部34の上方向7Aに設けられている。記録部24の下方向7B且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、記録用紙12を支持する部材である。記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。
【0037】
キャリッジ40は、前方向8A及び後方向8Bに間隔を空けて配置された2つのガイドレール(不図示)によって左方向9A及び右方向9Bへ往復移動可能に支持されている。記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左方向9A及び右方向9Bに移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、搬送方向16に搬送されてプラテン42に支持された記録用紙12に画像が記録される。
【0038】
[搬送ローラ対58及び排出ローラ対59]
図2に示されるように、直線部34における記録部24より搬送方向16上流には、搬送ローラ対58が配置されている。直線部34における記録部24より搬送方向16下流には、排出ローラ対59が配置されている。
【0039】
搬送ローラ対58は、直線部34の下方向7Bに配置された搬送ローラ60と、直線部34の上方向7Aに搬送ローラ60と対向して配置されており、コイルばね(不図示)などによって搬送ローラ60に向かって付勢されたピンチローラ61とを備えている。排出ローラ対59は、直線部34の下方向7Bに配置された排出ローラ62と、直線部34の上方向7Aに排出ローラ62と対向して配置されたおり、コイルばね(不図示)などによって排出ローラ62に向かって付勢された拍車63とを備えている。
【0040】
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動力が伝達されて回転する。これにより、搬送ローラ対58及び排出ローラ対59に挟持されている記録用紙12は、搬送方向16に搬送される。
【0041】
[給送トレイ20]
図3に示されるように、給送トレイ20は、上方が開放された箱形に形成されている。給送トレイ20は、概ね長方形の底板81と、底板81の左方向9A及び右方向9Bの両端部において、上方向7Aに立設され且つ前方向8A及び後方向8Bに延びた一対の側板82と、底板81の前方向8Aの端部において、上方向7Aに立設され且つ左方向9A及び右方向9Bに延びた前板83とを備えている。底板81は、前方向8A及び後方向8Bと左方向9A及び右方向9Bとに沿った平面を有する板状である。底板81の上方向7Aの面は、記録用紙12を積層した状態で支持する支持面23を構成している。
【0042】
底板81には、左方向9A及び右方向9Bに移動可能な一対のサイドガイド78が取り付けられている。サイドガイド78は、底板81に載置された記録用紙12の左端又は右端と当接する。一対のサイドガイド78のうちの一方が移動されると、他方が連動して相反する方向へ移動する。以上のようなサイドガイド78により、底板81には、種々のサイズの記録用紙12が、底板81の左方向9A及び右方向9Bの中央を基準として載置可能である。なお、
図3においては、一対のサイドガイド78のうち、底板81の右方向9Bに設けられたサイドガイド78だけが見えている。底板81の左方向9Aに設けられたサイドガイド78は、側板82に隠れている。
【0043】
給送トレイ20は、支持面23に積層される記録用紙12の支持面23からの最大高さを規定する積層制限部79を有している。積層制限部79は、一対のサイドガイド78のそれぞれの前方向8Aの端部近傍に配されている。積層制限部79は、サイドガイド78の上方向7A及び下方向7Bにおける最大高さに対応する位置に爪部79Aを有している。爪部79Aは、給送トレイ20の左方向9A又は右方向9Bの中央部に向かって、左方向9A又は右方向9Bに突出している。ユーザは、最上の記録用紙12の左方向9A及び右方向9Bの端部上面が爪部79Aの下面に当接する高さまで、支持面23に記録用紙12を積層することができる。
【0044】
なお、サイドガイド78は、上述したような構成に限らない。例えば、サイドガイド78は、一対ではなく1つで構成されており、記録用紙12は、サイドガイド78と一対の側板82の一方とによって位置合わせされてもよい。この場合、種々のサイズの記録用紙12が、一対の側板82の一方、つまり底板81の左端または右端を基準として載置可能である。
【0045】
[排出トレイ21]
給送トレイ20の開放された上部には排出トレイ21が配置可能である(
図1参照)。排出トレイ21は、給送トレイ20の前板83及び一対の側板82により支持される。排出トレイ21は、後方向8Bの端部に設けられた図示しない回転軸が、給送トレイ20の前方向8A及び後方向8Bの中央部に設けられた軸受部85により回転可能に支持される。これにより、排出トレイ21は、給送トレイ20の上方を開閉するように回動可能である。ユーザは、給送トレイ20の上方が開放されるように排出トレイ21を回動させた状態で、記録用紙12を給送トレイ20に対して出し入れすることができる。
【0046】
給送トレイ20は、後方向8Bの端部を先にして筐体14の開口13に差し込まれ、
図1に示されているように、前板83が筐体14の前面と面一になる状態まで後方向8Bに移動される。これにより、給送トレイ20は、プリンタ部11に装着された状態(
図2の状態)となる。給送トレイ20がプリンタ部11に装着された状態において、給送トレイ20の後方向8Bの端部は、給送部15により給送方向17に給送される記録用紙12を搬送路65へ案内する案内部材72に近接している。また、給送トレイ20は、プリンタ部11に装着された状態から前方向8Aに移動されることによって、プリンタ部11から引き出された状態になる。給送トレイ20が
図2に示されるようにプリンタ部11に装着されている状態において、給送トレイ20に載置された記録用紙12は、給送部15によって搬送路65へ給送可能である。
【0047】
[給送部15]
図2に示されるように、給送トレイ20の上方には、給送部15が設けられている。給送部15は、給送ローラ25、給送アーム26、及び軸22を備えている。給送アーム26は、給送ローラ25を回転駆動する給送用モータ(不図示)の駆動力を給送ローラ25に段達する伝達機構(不図示)を有している。伝達機構は、ギヤ、プーリ、ベルトなどから構成することができる。
【0048】
図2に示されているように、軸22は、給送アーム26の一方の端部に設けられている。これにより、給送アーム26は、軸22を中心として矢印51、52により示す方向に回動する。給送ローラ25は、給送アーム26の他方の端部において回転可能に軸支されている。給送アーム26は、自重またはばねなどの付勢部材によって矢印52の向きに付勢されている。これにより、給送ローラ25は、支持面23により積層した状態で支持される記録用紙12のうち最上の記録用紙12と当接する。
【0049】
[案内部材72]
案内部材72は、筐体14の内部において筐体14に取り付けられている。給送トレイ20をプリンタ部11に装着した状態において、案内部材72は、
図3に示されているように、給送トレイ20の後方向8Bの端部が近接する位置に配置されている。案内部材72は、支持面23に対して傾斜した傾斜面67を有している。傾斜面67は、支持面23より給送方向17下流に位置している。傾斜面67は、案内部材72の前方向8Aの面であり、上方向7Aの端部が下方向7Bの端部より給送方向17下流に位置している。案内部材72は、
図4(b)及び
図5に示されているように、傾斜面67を一方の表面(前方向8Aに位置する表面)に有する概略長方形の板状部72Aを有している。案内部材72は、板状部72Aの他方の表面(後方向8Bに位置する表面)に背面72Cを有している。案内部材72は、板状部72Aの左方向9A及び右方向9Bの端部において板状部72Aと垂直且つ後方向8Bに延設されており、案内部材72を筐体14に支持させる概略三角形の支持板部72Bを有している。
【0050】
[第1分離片74]
図4(a)、
図6(a)、及び
図7(a)に示されるように、傾斜面67の左方向9A及び右方向9Bにおける中央部には、第1分離片74(分離片の一例)が設けられている。第1分離片74は、給送方向17に沿って複数が傾斜面67から突出している。給送トレイ20がプリンタ部11に装着された状態において、左方向9A及び右方向9Bにおける記録用紙12の中央部と案内部材72の中央部とは概ね一致する。第1分離片74は、給送トレイ20から複数の記録用紙12が重ね送りされた場合、当該複数の記録用紙12と当接することによって、最上の記録用紙12を他の記録用紙12から分離する。これにより、最上の記録用紙12だけが傾斜面67によって搬送路65へ案内される。
【0051】
図8に示されているように、複数の第1分離片74のうち給送方向17の最も下流にある第1分離片74(74A、ここでは第1片の一例)が傾斜面67から突出する高さH1は、当該第1分離片74(74A)より給送方向17上流に位置する他の第1分離片74(74B、ここでは第2片の一例)が傾斜面67から突出する高さH2よりも高くなっている。また、第1分離片74はそれぞれ記録用紙12の給送方向17の先端部と当接する当接面70を有している。複数の第1分離片74のうち給送方向17の最も下流にある第1分離片74(74A、ここでは、第3片の一例)の当接面70と傾斜面67とが成す鋭角θ4は、当該第1分離片74(74A)より給送方向17上流に位置する他の第1分離片74(74B、ここでは第4片の一例)の当接面70と傾斜面67とが成す鋭角θ5よりも大きくなっている。
【0052】
[分離部材80]
第1分離片74は、
図4(b)及び
図5に示されているように、板状部72Aの背面72Cに対向配置される分離部材80に一体的に形成されている。分離部材80は、傾斜面67と平行に配置される長方形の第1表面80A(第1表面の一例、
図6(b)参照)、第1表面80Aの左方向9Aの端部において第1表面80Aと垂直に交差する第2表面80B(第2表面の一例、
図4(b)参照)、及び第1表面80Aの右方向9Bの端部において第1表面80Aと垂直に交差する第3表面80C(第3表面の一例)を有している。第1分離片74は、第1表面80Aに突出して設けられている。第1表面80Aは、その形状に対応する長方形形状の板状部材に形成されている。第2表面80Bは、台形形状を有し、一辺が第1表面80Aの左方向9Aの端部に沿って延びており、その対辺は第1表面80Aの左方向9Aの端部と平行であり、上方向7Aの辺は第1表面80Aと垂直であり、下方向7Bの辺は前方向8A及び後方向8Bと平行である。第2表面80Bは、その形状に対応する台形形状の板状部材に形成されている。第3表面80Cも第2表面80Bと同じ台形形状を有し、一辺が第1表面80Aの右方向9Bの端部に沿って延びており、その対辺は第1表面80Aの右方向9Bの端部と平行であり、上方向7Aの辺は第1表面80Aと垂直であり、下方向7Bの辺は前方向8A及び後方向8Bと平行である。第3表面80Cは、その形状に対応する台形形状の板状部材に形成されている。
【0053】
分離部材80は、第2表面80B及び第3表面80Cと平行に設けられた補強リブ80Dを有している。分離部材80は、後方向8Bに開口した円筒状のバネ受け部80Eを有している。バネ受け部80Eは、補強リブ80Dの上方向7A及び下方向7Bの中央部に設けられた凹部において、補強リブ80Dに一体に設けられている。バネ受け部80Eには例えばコイルバネであるバネ80Fの一端部が嵌合している。バネ80Fの他端部は、筐体14に設けられた当接部80Gに当接している。
【0054】
バネ80Fの軸線は第1方向51A(第1方向の一例)及び第2方向51B(第2方向の一例)と平行である。これにより、バネ80Fは、第1方向51A及び第2方向51Bへ移動可能に設けられた分離部材80を第2方向51Bへ付勢している。また、当接部80Gは第1方向51A及び第2方向51Bへ移動可能に筐体14に設けられており、周面にピン孔80Hが第1方向51A及び第2方向51Bに沿って複数設けられている。筐体14には、ピン80Iが、第1方向51A及び第2方向51Bと垂直な方向に沿って移動可能且つピン孔80Hと嵌合可能に設けられている。ピン80Iを複数のピン孔80Hの1つと嵌合させることによって、当接部80Gを第1方向51A及び第2方向51Bに沿った各位置において位置決め可能である。以上により、バネ80Fが分離部材80を第2方向51Bへ付勢する付勢力は調節可能である。
【0055】
[凸部75]
分離部材80は、
図4、
図5、及び
図7に示されているように、第2表面80B及び第3表面80Cから突出する概略方形板状の凸部75を有している。凸部75は、第2表面80B及び第3表面80Cのそれぞれに複数(図示例では2つ)が設けられている。凸部75は、
図7に示されているように、第1方向51A及び第2方向51Bに平行な一対の表面S1及びS2を有している。凸部75は、第2表面80B及び第3表面80Cのそれぞれに、第1方向51A及び第2方向51Bに垂直な方向において、互いに異なる位置に2つ配置されている。これにより、分離部材80に左方向9A及び右方向9Bに平行な軸周りの回転力が働いたときに、分離部材80の回転を抑制することができ、分離部材80を第1方向51A及び第2方向51Bに円滑に移動させることができる。したがって、第2表面80B及び第3表面80Cのそれぞれに3つ以上の凸部75が設けられる場合には、そのうちの少なくとも2つは、第1方向51A及び第2方向51Bに垂直な方向において、互いに異なる位置に設けることが好ましい。
【0056】
[第1対向部71A、第2対向部71B]
案内部材72は、板状部72Aの背面72Cに垂直に立設され、第2表面80Bと対向する長方形板状の第1対向部71A、及び板状部72Aの背面72Cに垂直に立設され、第3表面80Cと対向する長方形板状の第2対向部71Bとを有している。
【0057】
[嵌合部71C]
図7(a)に示されるように、第1対向部71Aは、第1方向51A及び第2方向51B(第2方向の一例)に延びる長孔状の嵌合部71Cを有している。嵌合部71Cは、凸部75の表面S1及びS2と摺接可能な表面S3及びS4を有しており、凸部75が嵌合部71Cに嵌合した状態で、分離部材80は、第1方向51及び第2方向51Bへ移動可能である。第1対向部71Aには、第2表面80Bに設けられた複数の凸部75と対応して、複数(図示例では2つ)の嵌合部71Cが設けられている。また、
図5に示されているように、第2対向部71Bも同様に、第1方向51及び第2方向51Bに延びる長孔状の嵌合部71Cを有している。第2対向部71Bにも、第3表面80Cに設けられた複数の凸部75と対応して、複数(図示例では2つ)の嵌合部71Cが設けられている。
【0058】
図7(a)は、分離部材80の第1表面80Aが板状部72Aの背面72Cに当接する位置(第1位置)まで、凸部75が嵌合部71Cに沿って移動した第1状態P1を示している。
図7(b)は、分離部材80が、第1分離片74が傾斜面67から突出しない位置(第2位置)まで、凸部75が嵌合部71Cに沿って移動した第2状態P2を示している。
【0059】
図10に模式的に示されるように、第1方向51Aは、第3方向51Cと、第4方向51Dとの間の方向である。第1方向51Aの単位方向ベクトルv1は、下記式1により定義することができる。ただし、v2:傾斜面67と平行であり且つ給送方向17下流に向かう第3方向51Cの単位方向ベクトル、v3:平面23Aと平行であり且つ給送方向17下流に向かう第4方向51Dの単位方向ベクトル、a及びb:0より大きく且つ1より小さい定数、である。
v1=a×v2+b×v3 (1)
【0060】
あるいは、
図10に模式的に示されるように、第1方向51Aが第3方向51Cと成す鋭角θ1、及び第1方向51Aが第4方向51Dと成す鋭角θ2は、零より大きく、且つ傾斜面67と平面23Aとが成す鋭角θ3より小さくなっている。鋭角θ1、鋭角θ2及び鋭角θ3は、傾斜面67と平行であり且つ法線が給送方向17に垂直な平面内の角度である。鋭角θ1及び鋭角θ2は、上記式1の定数a及びbの値が変化すると、それに対応して変化する。第3方向51Cは、傾斜面67に平行且つ給送方向17下流に向かう方向であり、記録用紙12が傾斜面67に沿って実際に送られる方向である。第4方向51Dは、支持面23に平行な平面23Aに平行且つ給送方向17下流に向かう方向であり、この方向に分離部材80が移動した場合に、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さが小さくなる方向である。
【0061】
第1方向51Aは、第3方向51Cと、第4方向51Dとの間の方向であればよいが、例えば第1分離片74の当接面70と垂直な方向に第1方向51Aを設定することができる。例えば、
図8に示されているように、当接面70が傾斜面67と成す鋭角(θ4)が特に大きい第1分離片74(74A)がある場合には、その第1分離片74(74A)の当接面70に垂直且つ給送方向17下流に向かう方向D1と同じ方向に第1方向51Aを設定することができる。また、第1分離片74の当接面70が傾斜面67と成す鋭角は、全ての第1分離片74において等しくすることもできる。その場合に、当接面70が傾斜面67と成す鋭角がθ11であれば(
図8参照)、第1方向51Aを、その当接面70に垂直且つ給送方向17下流に向かう方向D2に設定することができる。以上により、実施において、当接面70が傾斜面67と成す角度と、分離部材80を移動させる第1方向51Aとを最適化する場合に、両者を関連づけて最適化することができる。
【0062】
[コロ76]
図4に示されるように、案内部材72には、第1分離片74に対して左方向9A及び右方向9Bの所定位置に、コロ76が回転可能に取り付けられている。コロ76は、第1分離片74に対して左方向9A及び右方向9Bの所定位置において、2つずつが給送方向17に沿って設けられている。コロ76は、案内部材72の傾斜面に形成された開口から、周面の一部が突出するように配置されている。コロ76は、傾斜面67から一部が露出した状態において、給送方向17に垂直且つ傾斜面67に平行な回転軸76Bにより回転自在に支持される。これにより、コロ76は、給送部15によって給送される記録用紙12と当接して回転する。複数のコロ76のそれぞれの給送方向17上流には、コロ76に記録用紙12を誘い込むリブ73が傾斜面67から突出して設けられている。
【0063】
[第2分離片77]
図4に示されるように、案内部材72には、第1分離片74に対して左方向9A及び右方向9Bの所定位置に第2分離片77が設けられている。第2分離片77も第1分離片74と同様に給送部15によって給送方向17に給送される記録用紙12のうち最上の記録用紙12を他の記録用紙12から分離する機能を有している。第2分離片77は、上記所定位置において給送方向17に沿って複数が傾斜面67から突出している。
図7に示されているように、第2分離片77が傾斜面67に配される傾斜面67と平行且つ左方向9A及び右方向9Bに垂直な方向の間隔は、第1分離片74が傾斜面67に配される傾斜面67と平行且つ左方向9A及び右方向9Bに垂直な方向の間隔より小さくなっている。
図7に示されているように、第2分離片77が傾斜面67から突出する高さは、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さより小さくなっている。
【0064】
[給送動作]
以下、給送トレイ20に積載された記録用紙12を給送部15により給送する給送動作について詳述する。
【0065】
給送トレイ20の支持面23に積層した状態で支持される記録用紙12のうち上層の複数の記録用紙12が、給送ローラ25の給送動作によって給送方向17に移動した場合には、それらの記録用紙12の先端が第1分離片74に当接する。それらの記録用紙12は、分離部材80を第1方向51Aへ押圧し、バネ80Fの付勢力に抗して分離部材80を第1方向51Aへ移動させる。
【0066】
このとき、それらの記録用紙12は、第1分離片74から第2方向51Bへの反力を受ける。その反力は、記録用紙12が実際に送られる方向である第3方向51Cに対して反対方向の成分を含んでおり、その成分により最上の記録用紙12が第1分離片74によって他の記録用紙12から分離される。これにより重ね送りが防止される。また、第1方向51Aは、第3方向51Cと、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さが小さくなる第4方向51Dとの間の方向である。分離部材80が第1方向51Aへ移動することによって、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さが低くなる。このため、記録用紙12の先端が第1分離片74に引っ掛かることが抑制され、空送りが抑制される。
【0067】
また、1つの第1分離片74により最上の記録用紙12が分離されない場合にも、当該第1分離片74より給送方向17下流にある他の第1分離片74により最上の記録用紙12が分離される。特に、
図8に示されているように、複数の第1分離片74のうち給送方向17において最も下流にある第1分離片74(74A)は傾斜面67から突出する高さH1が比較的に大きくなっている。これにより、最上の記録用紙12がより確実に他の記録用紙12から分離される。また、当該第1分離片74(74A)の当接面70と傾斜面67とが成す鋭角θ4も比較的に大きくなっている。これにより、最上の記録用紙12が更に確実に他の記録用紙12から分離される。また、複数の第2分離片77は、例えば最上の記録用紙12の給送方向17の先端部を他の記録用紙12の先端部から僅かに離間することにより、第1分離片74により最上の記録用紙12が分離されるのを補助する。
【0068】
以上のようにして分離された最上の記録用紙12は、給送方向17先端が傾斜面67に接触しつつ移動する。これにより、記録用紙12の先端付近は、給送方向17に沿った形状から傾斜面67に沿った形状に変形し、記録用紙12は送られる方向が変化して、搬送方向16に沿った移動を開始する。
【0069】
最上の記録用紙12が傾斜面67に沿って更に移動し、コロ76に到達すると、コロ76の回転により、記録用紙12は円滑に搬送方向16に送られ、搬送路65を、湾曲部33を介して直線部34に送られる。
【0070】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、第1分離片74の分離性能を高くするために、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さを大きくした場合に例えば光沢紙などの変形しにくい記録用紙を使用しても、記録用紙12が第1分離片74に引っ掛かることが抑制され、空送りが抑制される。以上により、記録用紙12の重ね送り及び空送りを共に良好に抑制することができる。
【0071】
[変形例]
図9に、上記実施形態の変形例を示す。この変形例の案内部材84においては、板状の凸部75に代えて、円柱状の凸部75Aが分離部材80の第2表面80B及び第3表面80Cにそれぞれ複数が突出して設けられている。凸部75Aが円柱状であることによって、凸部75Aと嵌合部71Cとの摺動抵抗を小さくすることができ、分離部材80を、第1方向51A及び第2方向51Bへ円滑に移動させることができる。これにより、特に、記録用紙12の空送りを抑制する効果を増大できることが期待される。
【0072】
また、上記実施形態においては、画像記録装置としてのインクジェット記録装置に搬送装置を使用する場合を説明した。しかし、本発明の搬送装置は、インクジェット記録装置に限らず、レーザプリンタなどの他の画像記録装置にも使用することができる。また、本発明の搬送装置は、画像記録装置への使用に限定されるものではなく、シートを使用する全ての機器に使用可能である。また、案内部材72は、実施形態においてはプリンタ部11の筐体14により支持されているが、給送トレイ20の後方向8Bの端部により支持させてもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、複数の第1分離片74のうち給送方向17において最も下流にある第1分離片74(74A)が傾斜面67から突出する高さH1は、他の第1分離片74が傾斜面67から突出する高さ(例えばH2)より高くなっている。これに限られず、第1分離片74が傾斜面67から突出する高さは、全ての第1分離片74において等しくともよい。全ての第1分離片74の傾斜面67から突出する高さが等しい場合において、当接面70が傾斜面67と成す鋭角は、全ての第1分離片74において等しくしてもよく、例えば最も下流にある第1分離片74の当接面70が傾斜面67と成す鋭角を、他の第1分離片74の当接面70が傾斜面67と成す鋭角より大きくしてもよい。
【0074】
凸部75及び75Aは、第2表面80B及び第3表面80Cのそれぞれに、第1方向51A及び第2方向51Bに垂直な方向において同じ位置に配置することもできる。