(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デザイン印刷媒体の前記非装飾領域が取り込まれた前記取込画像の非装飾領域取込部分の上から前記情報画像を合成することで前記デザイン画像を形成する画像合成工程を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷容器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る印刷容器である印刷缶の斜視図である。
図2は、第1実施形態における容器本体である缶本体に印刷されるデザイン画像の展開図である。
図3は、第1実施形態における透明体を載置したデザイン媒体の斜視図である。
図4は、
図3のA矢視図であり、スキャン処理を説明するための図である。
図5(a)は、第1実施形態における取込画像を示す図であり、
図5(b)は、取込画像に合成される情報画像を示す図である。
図6は、第1実施形態における印刷缶の製造処理を説明するためのフローチャートである。
【0024】
[缶本体]
印刷容器の一例である印刷缶100は、円筒状の缶本体101を有している。容器本体の一例である缶本体101の上部には、開口部102が形成されている。缶本体101の下部には、底部104が設けられている。缶本体101の外周面103には、デザイン画像110(疑似3D印刷画像)が印刷されている。
【0025】
このような印刷缶100は、後に、缶本体101の内部に開口部102から内容物の飲料が充填され、開口部102が図示しない蓋部によって塞がれることで、缶入りの飲料商品となる。
【0026】
缶本体101に充填される飲料は、複数の果物の果汁、果肉等を含む果実チューハイである。この場合、缶本体101に果実チューハイが充填されて開口部102が蓋部によって塞がれることで、缶入りの果実チューハイが、飲料商品として提供される。
【0027】
なお、缶本体101に充填される飲料は、特に限定されるものではなく、非アルコール系飲料(例えば、清涼飲料、果実飲料、茶、スープ飲料、アルコール飲料の風味を有するノンアルコール飲料等)、アルコール系飲料(例えば、ビール、チューハイ、サワー、カクテル、日本酒、ワイン等)の何れの飲料であってもよい。
【0028】
缶本体101は、金属缶であり、例えばアルミニウム板、アルミニウム合金板、ティンフリースチール等の表面処理鋼板、ブリキ板、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、スズニッケルメッキ鋼板、その各種の合金メッキ鋼板等の各種金属板を、絞り加工、絞りしごき加工、再絞り加工等によって成形したシームレス缶、溶接缶等、各種のタイプの金属缶であってよい。また、この金属缶の表面には、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロプレンフィルム等の樹脂フィルムがラミネートされていてもよい。
【0029】
[デザイン画像]
図2に示すように、缶本体101に印刷されるデザイン画像110は、商品画像領域111と、情報画像領域112とを有する。
図3を用いて後述するように、デザイン画像110は、デザイン対象物であるデザイン印刷媒体200上に実物の氷である透明体300を載置し、その状態で画像取込装置(図示せず)による画像の取り込みを行い、これにより得られた取込画像が含まれている。
【0030】
商品画像領域111は、飲料商品に係る画像であって飲料商品に対する消費者の購買意欲を促進させるような装飾性のある画像を有する領域である。情報画像領域112は、消費者に提示すべき飲料商品についての詳細な情報からなる装飾性の無い画像(情報画像113)を有する領域である。
【0031】
商品画像領域111は、商品名画像111aと、効果文字画像111bと、アルコール分画像111cと、酒マーク画像111dと、果実画像111eと、透明体画像111fとを有する。
【0032】
商品名画像111aは、缶本体101に果実チューハイを充填してなる飲料商品の商品名である「フルーツミックス」という比較的大きな文字からなる商品名文字画像111a−1を楕円形の中に表示する画像である。
【0033】
効果文字画像111bは、果実チューハイの飲み心地(風味、後味等)を表現する「ジューシー&すっきり」という文字の画像である。この効果文字画像111bは、商品名画像111aの上側に表示される。印刷缶100は、このような効果文字画像111bを表示することで、飲料商品の宣伝効果を向上させることができる。
【0034】
アルコール分画像111cは、果実チューハイのアルコール分(%)を表す「アルコール3%」という文字を長方形の中に表示するものである。このアルコール分画像111cは、商品名画像111aの右側に表示される。
【0035】
酒マーク画像111dは、消費者に非アルコール系飲料(清涼飲料等)と誤認されないように飲料中のアルコール分(%)を表示するものであり、「お酒」という文字を円形の中に表示するものである。
【0036】
果実画像111eは、果実チューハイの原材料である複数種類の果実(りんご、ぶどう、苺、オレンジ、桃)の画像である。なお、果実画像111eの種類は、これに限定されず他の果実であってもよい。
【0037】
透明体画像111fは、実物の氷である透明体300の取込画像である。この透明体画像111fは、商品名画像111aの複数の部分の画像、「ジューシー&すっきり」という効果文字画像111bの複数の部分の画像、果実画像111eの複数の部分の画像の手前に重畳して表示されている。そのため、透明体画像111fの背後にあるこれらの画像は、透明体画像111fにより歪んだ形状となっている。
【0038】
このように、デザイン画像110の商品画像領域111は、リアルな氷を再現した透明体画像111fを有する装飾性の高い領域となっている。この商品画像領域111は、透明体画像111fによってその背後にある画像が歪むことで装飾性が高められている。
【0039】
その一方、商品画像領域111において、アルコール分画像111c及び酒マーク画像111dは、消費者に明確且つ正確に認識させる必要がある文字画像である。そこで、商品画像領域111において、透明体画像111fは、これらの文字画像の何れの手前にも重畳しないように表示される。
【0040】
すなわち、アルコール分画像111c及び酒マーク画像111dは、透明体画像111fにより歪んでおらず、明確に表示されている。その結果、印刷缶100に印刷されたデザイン画像110は、これらの文字画像を消費者に確実に認識させることができる。
【0041】
情報画像領域112は、飲料商品(缶入りの果実チューハイ)についての詳細な商品情報を示す情報画像113を表示している。この情報画像領域112には、情報画像113として、缶本体101に充填される内容物(果実チューハイ)の原材料、内容量、賞味期限、製造者の住所等の基本的な情報の文字列を記載した基本情報画像113a、バーコード画像113b、内容物の栄養成分及び熱量の文字を記載した栄養情報画像113c、空き缶のリサイクルに必要なリサイクルマーク画像113d、及び、その他の注意事項(例えば「開缶後はすぐにお飲み下さい」等)の文字列を記載した注意事項画像113eが表示されている。
【0042】
このような情報画像113は、消費者に明確且つ正確に認識させる必要がある画像である。そのため、デザイン画像110の情報画像領域112では、透明体画像111fにより情報画像113を歪ませないようにしている。また、情報画像領域112において、情報画像113の手前には、何れの画像も重畳させないようにしている。
【0043】
[透明体の載置]
図2に示すデザイン画像110は、
図3に示す透明体300(実物の氷)を載置したデザイン印刷媒体200を用いて形成される。このデザイン印刷媒体200は、事前に印刷がなされた印刷媒体であり、透明体300が載置されて透明体300下の印刷画像が歪むことで装飾性を高めることが可能な装飾領域201と、情報画像113を形成するための非装飾領域202とを有する。
【0044】
図2及び
図3に示すように、デザイン画像110の商品画像領域111は、デザイン印刷媒体200の装飾領域201に対応する領域である。また、デザイン画像110の情報画像領域112は、デザイン印刷媒体200の非装飾領域202に対応する領域である。
【0045】
デザイン印刷媒体200は、紙、板材等からなる平面状の基材の一方の面に画像が印刷されてなるものである。画像としては、例えば絵柄画像、写真画像、後述の3Dスキャナによる取込画像、文字画像等であってよい。画像を基材に印刷する方式としては、後述のインクジェット印刷等の公知の印刷方式を用いることができる。
【0046】
このデザイン印刷媒体200は、装飾領域201に、
図2に示す商品画像領域111の画像の内の透明体画像111f以外の画像の元となる画像(元画像)が印刷されている。具体的に、装飾領域201には、商品名画像111aの元となる商品名元画像201a(「フルーツミックス」という商品名文字画像111a−1の元となる商品名文字元画像201a−1を含む)と、効果文字画像111bの元となる効果文字元画像201bと、アルコール分画像111cの元となるアルコール分元画像201cと、酒マーク画像111dの元となる酒マーク元画像201dと、果実画像111eの元となる果実元画像201eと、透明体画像111fの元となる透明体元画像201fとが印刷されている。
【0047】
そして、この装飾領域201は、特定の印刷画像を歪ませない非歪み領域201Aを有している。この非歪み領域201Aは、特定の印刷画像(アルコール分元画像201c及び酒マーク元画像201d)の表示領域からなり、これらの特定の印刷画像を透明体300によって歪ませないようにしている。すなわち、デザイン印刷媒体200上に透明体300を載置する際には、
図3に示すように、装飾領域201における非歪み領域201A以外の領域に複数の透明体300を載置するようにする。
【0048】
具体的に、透明体300は、商品名元画像201aの複数の部分の画像上と、効果文字元画像201bの複数の部分の画像上と、果実元画像201eの複数の部分の画像上とに載置される。
【0049】
透明体300下にあるこれらの画像は、透明体300を透過した光が屈折することにより歪んだ形状を有している。また、非歪み領域201Aの特定の印刷画像(アルコール分元画像201c及び酒マーク元画像201d)上には透明体300が載置されていないことから、この特定の印刷画像は、透明体300により歪むことなく、明確に表示されている。
【0050】
デザイン印刷媒体200上に載置される複数の透明体300の高さ(
図4のZ軸方向の高さT)は、最大でも30mm以下であることが好ましい。透明体300の高さTを30mm以下とすることにより、デザイン印刷媒体200における透明体300下の画像は、歪みつつも消費者に認識可能な程度の形状が維持されたものとなる。
【0051】
デザイン印刷媒体200の非装飾領域202は、
図2に示す情報画像領域112内の情報画像113(基本情報画像113a、バーコード画像113b、栄養情報画像113c、リサイクルマーク画像113d、注意事項画像113e)を形成するための領域であり、装飾性を有しない領域である。この
図3に示す例では、非装飾領域202には、何れの画像も表示されていない。また、この例では、透明体300は、この非装飾領域202には載置されない。
【0052】
[画像の取り込み]
図4に示すA矢視図は、
図3に示すデザイン印刷媒体200をその短手方向(Y軸方向)と平行な矢印Aの方向から見た様子が示されている。
図4に示すように、複数の透明体300(実物の氷)は、デザイン印刷媒体200の装飾領域201の長手方向(X軸方向)の全体に亘って載置されている。これら複数の透明体300のZ軸方向の高さTは、最大でも30mm以下である。このような複数の透明体300を載置したデザイン印刷媒体200(取込対象物)を画像取込装置により取り込むことで、取込画像が取得される。
【0053】
画像取込装置は、物体を走査(スキャン)する3D(3次元)スキャナ(図示せず)であってよい。この場合、複数の透明体300を載置したデザイン印刷媒体200は、3Dスキャナによる走査(スキャン)が行われる3Dスキャン対象物である。
【0054】
3Dスキャナは、3Dスキャン対象物である複数の透明体300を載置したデザイン印刷媒体200の高さ方向(Z軸方向)において、異なる高さで複数回走査(スキャン)を行い、この複数回の走査(スキャン)により得られた複数のスキャン画像を1つのスキャン画像に合成する。3Dスキャナは、取込画像として、この合成されたスキャン画像からなる疑似3D画像を取得する。
【0055】
この疑似3D画像は、3Dスキャン対象物である透明体300を載置したデザイン印刷媒体200をその高さ方向(Z軸方向)の上方から見たものを2D(2次元)の画像として再現している。
【0056】
図4に示す例では、3Dスキャナは、3Dスキャン対象物(複数の透明体300を載置したデザイン印刷媒体200)の高さ方向(Z軸方向)において、その3Dスキャン対象物に対し、デザイン印刷媒体200からの距離である高さD1〜D3のそれぞれで走査を行う。具体的に、3Dスキャナは、3Dスキャン対象物に対し、高さD1で第1の走査を行った後、高さD2で第2の走査を行い、最後に高さD3で第3の走査を行う。これにより、3Dスキャナは、第1〜第3の各走査により得られた走査(スキャン)データに基づく疑似3D画像を
図5(a)に示す取込画像400として取得する。
【0057】
[画像の合成]
図5(a)に示すように、取込画像400は、透明体300下のデザイン印刷媒体200の画像を屈折により歪ませた状態で3Dスキャナにより取り込まれた画像である。この取込画像400は、第1取込領域401と、第2取込領域402とを有する。第1取込領域401は、
図3に示す透明体300を載置した装飾領域201を取り込んでなる画像領域である。また、第2取込領域402は、
図3に示す非装飾領域202を取り込んでなる画像領域である。
【0058】
そこで、
図5(a)に示す取込画像400の第2取込領域402の画像データの上から、
図5(b)に示す背景が白色無地の情報画像410の画像データを合成する処理を行う。この画像の合成処理は、公知の画像処理装置(公知の画像処理ソフトが起動可能なコンピュータ等)を用いて行ってよい。
【0059】
これにより、
図2に示すようなデザイン画像110(疑似3D印刷画像)の画像データが形成される。
図2、
図5(a)及び(b)に示すように、デザイン画像110の商品画像領域111は、取込画像400の第1取込領域401に対応する領域である。また、デザイン画像110の情報画像領域112は、取込画像400の第2取込領域402(すなわち、情報画像410の画像データの合成領域)に対応する領域である。
【0060】
デザイン画像110の商品画像領域111に表示される画像は、リアルな氷を再現した透明体画像111f(実物の氷の画像)を含んでおり、その透明体画像111fの背後にある画像が屈折により歪んだ形状を有している。このようなデザイン画像100は、リアルな氷によって清涼感(透明感、瑞々しさ等)が表現された装飾性の高い画像となっている。また、デザイン画像100におけるこのような画像の歪みは、特別な画像処理を行うことなく、デザイン印刷媒体200への透明体300(実物の氷)の載置といった簡易な処理により実現されている。
【0062】
このように形成されたデザイン画像110は、缶本体101の外周面103に印刷される。これにより、缶本体101の外周面103に、印刷されたデザイン画像110が形成されてなる印刷缶100が製造される。デザイン画像110を缶本体101の外周面103に印刷する方式としては、公知の印刷方式を用いることができる。印刷方式としては、特に限定されず、インクジェット印刷、水なし平版印刷、グラビア印刷、樹脂凸版印刷、フレキソ印刷、ダイレクト製版印刷、スクリーン印刷等を挙げることができる。
【0063】
缶本体101の外周面103へのデザイン画像110の印刷は、複数の印刷方式により印刷されていてもよい。缶本体101の外周面103において、デザイン画像110は、外周面103において、その全部に印刷されていても部分的に印刷されていてもよい。
【0064】
デザイン画像110は、立体感のある画像を鮮明に再現する観点から、使用する色数として4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)以上のインキから再現されていることが望ましく、必要に応じて特色を使用することで、より精細な印刷再現を表現することができる。
【0065】
また、通常の印刷インキを用いて印刷されていても、表面凹凸等が精度よく再現された立体感のある印刷画像を形成できる。しかしながら、印刷インキ中に熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを用いて印刷されるか、インクジェット印刷による厚盛り印刷や、タクタイル印刷により印刷されることにより、缶本体101の外周面103において、立体感が強調された意匠性の高い印刷画像を実現することができる。
【0066】
[最表面層]
缶本体101のデザイン画像110を印刷した外周面103においては、デザイン画像110における3Dスキャン対象物が有する表面形態の特徴をよりリアルに疑似3D印刷画像として再現されることが好ましい。そこで、缶本体101の外周面103に印刷されたデザイン画像110の層(デザイン画像層)上に、最表面層として光沢層又は乱反射層を形成させるようにしてもよい。
【0067】
光沢層は、ニス層又はトップコート層とも呼ばれ、印刷されたデザイン画像110の保護及び艶出しの効果を奏する。ニス層を形成するためのニスとしては、特に限定されないが、例えば、透明な熱硬化性樹脂が使用可能であり、さらにパラフィン、シリコンオイル等の滑剤成分を配合させるようにしてもよい。
【0068】
乱反射層は、印刷されたデザイン画像110の表面に微細な凹凸を形成する等してその表面の光沢を可能な限り低減するものである。このような乱反射層は、特に限定されないが、例えば、艶消しニス層、艶消しフィルム等からなることが好ましい。
【0069】
艶消しニス層としては、トップコート層用の仕上げニスに艶消し剤を配合するものが好ましい。また、艶消しフィルムとしては、熱硬化性樹脂等からなる透明樹脂フィルムに艶消し剤を配合してなるものが好ましい。艶消し剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機粒子、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の有機材料のパウダー、ビーズ等からなるものが挙げられる。
【0070】
[他の層]
デザイン画像110の印刷層は、缶本体101の外周面103に直接形成するが、白ベタ印刷層、アンカーコート層等のベースコート層や、ベースフィルム等を介してデザイン画像110の印刷層を形成するようにしてもよい。
【0071】
缶本体101の外周面103に白ベタ印刷層を形成することにより、缶本体101の色がデザイン画像110に影響することを低減することができる。白ベタ印刷層は、例えば、酸化チタン等の白色顔料を熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等の樹脂とともに溶剤中に分散した白色インクを塗布及び乾燥し、熱等により硬化することで形成される。
【0072】
また、缶本体101の外周面103にアンカーコート層を形成することにより、デザイン画像110の印刷層の缶本体101の外周面103への密着性を向上させることができる。アンカーコート層は、熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等の樹脂が溶剤中に分散或いは溶解してなる塗布液を塗布及び乾燥し、熱等により硬化することで形成される。
【0073】
[異形加工]
缶本体101の外周面103は、デザイン画像110を印刷するとともに、異形加工を施すようにしてもよい。この場合、デザイン画像110における疑似3D印刷画像を部分的に或いは全体的に取り囲むように凹凸を形成する異形加工を施すことにより、消費者に視覚及び触覚の両方で立体感を認識させることができ、疑似3D印刷画像の立体感をより高めることができる。異形加工としては、折り曲げ等の機械加工、エンボス加工、型押し等の公知の方法を用いることができる。
【0074】
[印刷缶の製造処理]
次に、印刷缶100の製造処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0075】
(ステップS1:透明体載置工程)
ステップS1の透明体載置工程では、
図3に示すように、デザイン印刷媒体200の装飾領域201における非歪み領域201A以外の領域に、複数の透明体300(実物の氷)を載置する。この透明体300下のデザイン印刷媒体200の画像は、透明体300を通過する光の屈折により歪んだ形状となる。
【0076】
(ステップS2:画像取得工程)
ステップS1に続くステップS2の画像取得工程では、
図4に示すように、複数の透明体300を載置したデザイン印刷媒体200(3Dスキャン対象物)に対し、3Dスキャナにより、その高さ方向(Z軸方向)において高さD1〜D3で合計3回の走査(スキャン)を行う。これにより、3Dスキャナは、この3回の走査(スキャン)により得られた3つのスキャン画像を1つのスキャン画像に合成し、この合成されたスキャン画像からなる疑似3D画像を取込画像400(
図5(a))として取得する。
【0077】
(ステップS3:画像合成工程)
ステップS2に続くステップS3の画像合成工程では、
図5(a)に示す取込画像400の第2取込領域402の画像データ上に、
図5(b)に示す情報画像410の画像データを合成する処理を行う。これにより、
図2に示すデザイン画像110の画像データが形成される。
【0078】
(ステップS4:画像形成工程)
ステップS3に続くステップS4の画像形成工程では、ステップ3で形成されたデザイン画像110を缶本体101の外周面103に印刷する。これにより、缶本体101の外周面103に印刷されたデザイン画像110が形成された印刷缶100が製造される。
【0079】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態における第1実施形態と同一の構成については、説明を省略する。
【0080】
図7は、第2実施形態における透明体500を載置したデザイン対象物600の斜視図である。
図8は、第2実施形態における缶本体101に印刷されるデザイン画像700の展開図である。
【0081】
図7に示すように、デザイン対象物600は、2つの果実部分600a(2つの半分に切断した実物のオレンジ)と、その2つの果実部分600aの周囲に配置した多数の透明体600b(実物の氷)とから構成される。
【0082】
第2実施形態では、第1実施形態のステップS1の透明体載置工程とは異なり、デザイン対象物600の内の2つの果実部分600a(2つの半分に切断した実物のオレンジ)上に複数の透明体500(実物の氷)を載置する。これにより、透明体500下の果実部分600aは、透明体500を通過する光の屈折により歪んで見えるようになる。
【0083】
また、第2実施形態では、第1実施形態のステップS2の画像取得工程とは異なり、
図7に示すデザイン対象物600の内の2つの果実部分600a上に複数の透明体500を載置したものを3Dスキャン対象物とし、この3Dスキャン対象物の取込画像(疑似3D画像)を取得する。
【0084】
そして、第2実施形態では、第1実施形態のステップS3の画像合成工程とは異なり、
図7に示す3Dスキャン対象物から得られた取込画像を用いて
図8に示すデザイン画像700の画像データを形成する。すなわち、この取込画像の画像データ上に、商品名画像701の画像データと、アルコール分画像702の画像データと、酒マーク画像703の画像データと、情報画像704の画像データとを合成することで、
図8に示すデザイン画像700の画像データが形成される。
【0085】
第2実施形態では、第1実施形態のステップS4の画像形成工程とは異なり、
図8に示すデザイン画像700を缶本体101の外周面103に印刷する。これにより、缶本体101の外周面103に印刷されたデザイン画像700が形成された印刷缶100が製造される。
【0086】
図8に示すデザイン画像700において、透明体画像705、透明体画像706、果実画像707は、それぞれ、
図7に示す透明体500(実物の氷)、透明体600b(実物の氷)、果実部分600a(実物のオレンジ)を取り込んだ取込画像である。デザイン画像700において、透明体画像705下の果実画像707の一部は、透明体画像705により歪んだ形状を有している。
【0087】
その一方、このデザイン画像700において、商品名画像701、アルコール分画像702、酒マーク画像703、及び情報画像704は、
図7に示す3Dスキャン対象物から得られた取込画像の上から合成した画像であることから、歪んでおらず、明確に表示されている。その結果、印刷缶100に印刷されたデザイン画像700は、これらの画像を消費者に確実に認識させることができる。
【0088】
〔変形例〕
上述の第1、第2実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の第1、第2実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0089】
上述の
図3に示す例では、デザイン画像200の装飾領域201には、事前にアルコール分元画像201c及び酒マーク元画像201dが印刷されているが、これに限定されず、デザイン画像200に事前にアルコール分元画像201c及び酒マーク元画像201dが印刷されていなくてもよい。この場合、アルコール分元画像201c及び酒マーク元画像201dを有しないデザイン画像200に透明体300を載置した状態で画像取込装置による取り込みを行い、その取込画像上に、
図2に示すアルコール分画像111c及び酒マーク画像111dの画像データを合成する処理を行うようにする。
【0090】
また、上述の
図3に示す例では、デザイン印刷媒体200の非装飾領域202には、何れの画像も表示されていないが、これに限定されず、情報画像以外の何れの画像であっても、非装飾領域202に印刷されていてもよい。また、
図3に示す例では、非装飾領域202には、透明体300が載置されないが、これに限定されず、1つ又は複数の透明体300が非装飾領域202上に載置されるようにしてもよい。何れの場合であっても、この非装飾領域202を取り込んだ取込画像の非装飾領域202の取込部分の画像データの上から、
図5(b)の情報画像410のように背景が白色無地の情報画像の画像データを合成する。これにより、デザイン画像200中の情報画像を消費者に明確且つ正確に認識させることができる。
【0091】
また、情報画像の背景は、上述の白色無地に限定されない。例えば、情報画像の背景は、無色透明であってもよい。この場合、情報画像の背後にある取込画像部分に透明体の画像やそれ以外の画像が表示されている場合には、デザイン画像において、それらの画像を情報画像の背景として消費者に見せることができる。
【0092】
また、情報画像は、事前にデザイン印刷画像200の非装飾領域202に印刷されていてもよい。この場合、デザイン印刷画像200を取り込んでなる取込画像の画像データに、情報画像の画像データを合成する処理を行うことなく、そのまま
図2に示すデザイン画像110の画像データとなる。但し、この場合よりも、
図5(a)、(b)に示す、取込画像400の第2取込領域402の画像データ上に情報画像410の画像データを合成する処理を行った場合の方が、デザイン画像110における情報画像の画質は良好なものとなる。
【0093】
また、3Dスキャナによる走査の回数は、上述の3回でなく他の回数であってもよい。例えば3Dスキャン対象物の高さ方向(
図4のZ軸方向)の所定の高さ(例えば
図4の高さD2)で、その3Dスキャン対象物に対して1回のスキャナによる走査(スキャン)を行うことで得られた1つのスキャン画像を取込画像としてもよい。
【0094】
また、画像取込装置は、上述のスキャナに限定されず、他の装置であってもよい。例えば、画像取込装置は、物体を撮像する撮像装置(カメラ)であってもよい。この場合、画像取込装置による画像取込の対象物(取込対象物)である、透明体300(又は透明体500)を載置したデザイン印刷媒体200(又はデザイン対象物600)に対し、その高さ方向(Z軸方向)の所定の高さ(例えば
図4の高さD3)で撮像装置(カメラ)により撮像することで、取込画像を取得する。
【0095】
また、取込対象物の下に、光源(蛍光灯、LED等)を配置して取込画像を取得するようにしてもよい。例えば、取込対象物である
図7に示す透明体500を載置したデザイン対象物600の下に、光源(蛍光灯、LED等)を配置し、透明体500を載置したデザイン対象物600にその光源からの光を照射して取込画像を取得するようにしてもよい。これにより、透明体500及びデザイン対象物600の透明体600bの画像として、鮮明な実物の氷の画像を取得することができる。
【0096】
なお、光源は、フリッカーレス機能を搭載した光源(フリッカーレス光源)であってもよい。取込対象物の下にフリッカーレス光源を配置して取込画像を取得する場合、その光源から照射される光のフリッカー(ちらつき)を抑制し、取込画像における画像の取込ムラ、色ムラ等を防止することができる。
【0097】
また、デザイン対象物の上に載置する透明体は、上述の実物の氷に限定されず、他の無色透明又は有色透明の物体又は液体の1種又は2種以上であってもよい。
【0098】
デザイン対象物の上に載置する透明体は、例えば透明な素材(ガラス、プラスチック等)からなる物体(ガラス玉、プラスチックボール、氷の模型等)であってもよい。また透明体は、例えば水滴、その他の透明な液体の滴であってもよい。また透明体は、例えば水又はその他の透明な液体を収容する透明な任意の容器(透明容器)であってもよい。また透明体は、水又はその他の透明な液体と実物の氷又はその他の透明な物体(ガラス玉、プラスチックボール、氷の模型等)とを収容する透明な任意の容器であってもよい。また透明体は、これらの1種又は2種以上であってもよい。
【0099】
また、取込対象物である透明体を載置したデザイン対象物は、上述の例に限定されない。透明体を載置したデザイン対象物は、例えば水又はその他の透明な液体を収容する透明又は非透明な任意の容器(任意容器)であってもよい。また透明体を載置したデザイン対象物は、水又はその他の透明な液体と、実物の氷又はその他の透明な物体(ガラス玉、プラスチックボール、氷の模型等)とを収容する透明又は非透明な任意の容器であってもよい。
【0100】
また、上述の例では、容器として飲料用缶を例に挙げて説明したが、容器の種類はこれに限定されず、何れの容器であってもよい。容器を構成する材料は、何れであってもよく、例えば金属、樹脂、紙、ガラス、陶器等を挙げることができる。また、容器の形状は何れであってもよく、ボトル状、箱状、袋(パウチ)状等を挙げることができる。このような容器としては、例えばPET(Poly Ethylene Terephthalate)ボトル、プラスチック製又は紙製の箱状の容器、アルミニウム製の袋(パウチ)状の容器、ガラス製の瓶等を挙げることができる。
【0101】
また、上述の例では、容器本体(缶本体)にデザイン画像を印刷する例について説明したが、容器本体への印刷されたデザイン画像の形成の仕方はこれに限定されない。例えば、容器本体の外面にデザイン画像が印刷されたラベルを貼着してなるラベル容器であってもよい。また例えば、容器本体の外面に、デザイン画像が印刷されたシュリンクフィルムが装着された容器であってもよい。また例えば、容器本体の外面に、デザイン画像が印刷されたロールラベルが装着された容器であってもよい。シュリンクフィルムは、容器本体の外面に巻き付けられた後に加熱によって収縮することで容器本体に装着される。また、ロールラベルは、容器本体の外面に巻き付けられた後にラベル(フィルム)のオーバーラップ(重なり)部分同士が糊付けされることで容器本体に装着される。
【0102】
ラベル容器としては、例えばデザイン画像が印刷されたラベルを貼着したラベル缶、ラベル瓶等を挙げることができる。また、シュリンクフィルム或いはロールラベルを装着してなる容器としては、例えばデザイン画像が印刷されたシュリンクフィルム或いはロールラベルが外周面に装着されたPETボトル等を挙げることができる。
【解決手段】容器本体の外面に、印刷されたデザイン画像を有する印刷缶であって、前記デザイン画像は、デザイン対象物上に透明体を載置した状態で画像取込装置により取り込まれた取込画像を含んで構成されている。