特許第6801863号(P6801863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊丸産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6801863-遊技機 図000002
  • 特許6801863-遊技機 図000003
  • 特許6801863-遊技機 図000004
  • 特許6801863-遊技機 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801863
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-192015(P2016-192015)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-51063(P2018-51063A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 哲守
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠紀
【審査官】 堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−213650(JP,A)
【文献】 特開2007−330314(JP,A)
【文献】 特開2015−096142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入賞可能な特定入賞口、および、扉部材によって開閉可能な入賞装置が遊技領域内に設けられているとともに、前記特定入賞口に遊技球が入賞した場合に、一定回数の扉部材の開閉動作を所定のラウンド回数だけ断続的に繰り返すことによって入賞装置への遊技球の入賞を可能とする遊技機であって、
ラウンド回数を決定するためのラウンド回数振分決定装置が設けられており、
そのラウンド回数振分決定装置が、
ラウンド回数を第一数値に決定する第一通過領域を設けた回転可能な第一回転体と、
その第一回転体と同軸状に重ねられており、ラウンド回数を第一数値より小さい数値に決定する第二通過領域を設けた回転可能な第二回転体とを有しているとともに、
遊技球を第一回転体へ導く確率が遊技球を第二回転体へ導く確率よりも高くなるように設けられた高特典流路と、遊技球を第二回転体へ導く確率が遊技球を第一回転体へ導く確率よりも高くなるように設けられた低特典流路とを有したものであり、
特定入賞口に入賞した遊技球を、高特典流路あるいは低特典流路に振り分けて流下させて第一通過領域あるいは第二通過領域に導くことによってラウンド回数を決定するものであり、かつ、
遊技球を第一回転体と第二回転体とに振り分けて導く第三回転体が、第一回転体および第二回転体と同軸状に回転可能に積層されているとともに、高特典流路が特定入賞口に入賞した遊技球を第三回転体に導くものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機として、特許文献1の如く、遊技球の流下路を振り分けるための振分装置を遊技盤面に設けたものが知られている。かかる特許文献1の振分装置は、モータによって一定のタイミングで回転する振分部材を備えており、遊技球が振分装置の進入口に進入すると、その遊技球が、回転している振分部材によって第1始動口または第2始動口の何れかに振り分けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−120060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の如き振分装置を有するパチンコ機は、遊技球の流下路を振り分ける振分部材の作動内容が単純であるため、趣向性が低く、短期間の内に遊技者の遊技意欲を減退させてしまう、という不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来のパチンコ機の問題点を解消し、振分部材の作動内容が斬新で趣向性が高く、長期間に亘って遊技者の遊技意欲を高く保持することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明のうち、請求項1に記載の発明は、遊技球が入賞可能な特定入賞口、および、扉部材によって開閉可能な入賞装置が遊技領域内に設けられているとともに、前記特定入賞口に遊技球が入賞した場合に、一定回数の扉部材の開閉動作を所定のラウンド回数だけ断続的に繰り返すことによって入賞装置への遊技球の入賞を可能とする遊技機であって、ラウンド回数を決定するためのラウンド回数振分決定装置が設けられており、そのラウンド回数振分決定装置が、ラウンド回数を第一数値に決定する第一通過領域を設けた回転可能な第一回転体と、その第一回転体と同軸状に重ねられており、ラウンド回数を第一数値より小さい数値に決定する第二通過領域を設けた回転可能な第二回転体とを有しているとともに、遊技球を第一回転体へ導く確率が遊技球を第二回転体へ導く確率よりも高くなるように設けられた高特典流路と、遊技球を第二回転体へ導く確率が遊技球を第一回転体へ導く確率よりも高くなるように設けられた低特典流路とを有したものであり、特定入賞口に入賞した遊技球を、高特典流路あるいは低特典流路に振り分けて流下させて第一通過領域あるいは第二通過領域に導くことによってラウンド回数を決定するものであり、かつ、遊技球を第一回転体と第二回転体とに振り分けて導く第三回転体が、第一回転体および第二回転体と同軸状に回転可能に積層されているとともに、高特典流路が特定入賞口に入賞した遊技球を第三回転体に導くものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
また、請求項1に記載の遊技機は、特定入賞口に入賞した遊技球が回転する第三回転体によって、第一回転体あるいは第二回転体に導かれるため、特定入賞口に入賞した遊技球の振り分け方がより複雑であるので、遊技内容がスリリングであり、趣向性が非常に高く、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することができる。
【0010】
請求項2に記載の遊技機は、特定入賞口に入賞した遊技球が回転する第三回転体によって、第一回転体あるいは第二回転体に導かれるため、特定入賞口に入賞した遊技球の振り分け方がより複雑であるので、遊技内容がスリリングであり、趣向性が非常に高く、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】パチンコ機の正面図である。
図2】遊技盤の正面図である。
図3】ラウンド回数振分決定装置を示す説明図である(aはパチンコ機の正面から見た場合の斜視図であり、bは左側面図である)。
図4】ラウンド回数振分決定装置の上段回転体(a)、中段回転体(b)、下段回転体(c)を示す説明図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
<遊技機の構成>
図1は、本発明に係るパチンコ機を示したものであり、パチンコ機1は、周囲を覆う機枠2の片側縁に、前面枠3が、左端縁を中心として片開き自在に蝶着されている。当該前面枠3の下側には、遊技球を発射装置(図示せず)へ供給するための供給皿5と、遊技球を貯留させるための貯留皿6とが上下に併設されており、その貯留皿6の右側には、発射装置を操作するための発射ハンドル7が突設されている。
【0015】
また、前面枠3の中央よりやや上側には、遊技盤4が設置されており、その遊技盤4の前面には、透明なガラス板を嵌め込んだガラス扉9が、左端縁を中心として片開き自在に蝶着されている。図2は、遊技盤4を示したものであり、遊技盤4の表面には、金属製で帯状のガイドレール8が円弧状に立設されており、当該ガイドレール8によって、略円形の遊技領域10が区画された状態になっている。
【0016】
遊技領域10には、略T字状の大型遊技部材11が設置されており、その大型遊技部材11の内部には、後述する「大当たり状態」生起時における一定回数の羽根部材13,13(扉部材)の開閉動作の繰り返し回数(ラウンド回数)を決定するための振分部材であるラウンド回数振分決定装置39が設けられている。また、図2の如く、遊技領域10には、大型遊技部材11の他に、55a,55b・・、電飾ランプ、風車等が設置されているとともに、多数の障害釘(図示せず)等が植設されている。
【0017】
<ラウンド回数振分決定装置の構成>
大型遊技部材11は、図2の如く、遊技盤4の盤面に対して直交するように設けられた一定幅の周壁体12によって周囲が覆われている。そして、その周壁体12によって内部と外部とが区分された状態になっている。また、大型遊技部材11の上端際には、左右一対の扉部材である羽根部材13,13が設けられており、それらの羽根部材13,13が、下端際を中心として回動することによって、大型遊技部材11の内部への入球(入賞)が可能になっている。
【0018】
また、大型遊技部材11の内部の上端際には、導球体14が設けられており、その導球体14の下方には、導球部材15が設けられている。導球体14は、断面L字状の壁体を左右対称に配置したものであり、中央に落下口16が形成されている。また、導球部材15は、屈曲状通路17、クルーン18、第一通路体19、第二通路体20、左転動部材21、右転動部材22等によって構成されている。クルーン18は、下向きに凸な皿形状を有しており、前方に第一排出孔が穿設されており、後方に第二排出孔が穿設されている。
【0019】
さらに、導球部材15の下側には、液晶画面を有する図柄表示装置23が設けられており、その図柄表示装置23の左右には、それぞれ回転部材24a,24bが設けられている。それらの回転部材24a,24bは、遊技盤2の盤面に対して平行に配置された円板状の基台の表面に、遊技球を受け入れ可能な4つの長尺な筒状体26a,26a・・と4つの短尺な筒状体26b,26b・・とを設置したものである。そして、回転部材24a,24bは、駆動装置(図示せず)によって、基台の中心を軸として回転可能になっている。
【0020】
加えて、図柄表示装置23の下端際には、第一ステージ27と第二ステージ28とが、上下二段に併設されている。第一ステージ27は、水平面を形成するように設けられており、当該水平面の中央に断面逆U字状のアーチ部材29が、駆動装置(図示せず)によって鉛直軸を中心として回転可能に設けられている。また、そのアーチ部材29の下側には、導出部材30が設けられており、その導出部材30の左右には、それぞれ、入賞口31,31が設けられている。
【0021】
一方、第二ステージ28も、第一ステージ27と同様に、水平面を形成するように設けられている。そして、中央の前方に、特定入賞口であるV入賞口32が設けられており、当該V入賞口32の左右の後方には、それぞれ、入賞口33,33が設けられている。また、V入賞口32の上方には、ガイド体34が設けられている。
【0022】
そして、左側の回転部材24aの前面の右下部と第一ステージ27との間に、第一通路35、第二通路36が懸架されており、右側の回転部材24bの前面の左下部と第一ステージ27との間に、第三通路37が懸架されており、右側の回転部材24bの前面の左下部と第二ステージ28との間に、第四通路38が懸架されている。そして、第二ステージ28の下側には、ラウンド回数振分決定装置39が設けられている。
【0023】
<ラウンド回数振分決定装置の構造>
ラウンド回数振分決定装置39は、シーソー体40、第三回転体である上段回転体41、第一回転体である中段回転体42、第二回転体である下段回転体43、誘導路形成体44等によって構成されている。シーソー体40は、図示しない駆動装置によって、所定角度の時計回り方向の回転、反時計回り方向の回転を繰り返すようになっている。また、誘導路形成体44の左側は、ラウンド回数振分決定装置39の内部へ入った遊技球を下段回転体43(第二回転体)へ導くための低特典流路として機能する第二誘導路46になっており、誘導路形成体44の右上方は、ラウンド回数振分決定装置39の内部へ入った遊技球を上段回転体41(第三回転体)へ導くための高特典流路として機能する第一誘導路47になっている。
【0024】
上段回転体41、中段回転体42、下段回転体43は、扁平な円柱状に形成されており、上段回転体41、中段回転体42、下段回転体43の順に、径が大きくなっている。そして、それらの上段回転体41、中段回転体42、下段回転体43は、鉛直方向に対して所定の角度(15°)だけ前方へ傾斜した同一の回転軸(図示せず)を中心として、図示しない駆動装置(モータ)によって、一定の速度で別々に(独立して)回転可能になっている。
【0025】
図3は、各回転体41〜43を示したものであり、中段回転体42は、外周縁際に、第一通過領域として機能する3つの第一入賞口49a,49a・・と、同様に第一通過領域として機能する3つの第一入賞口49b,49b・・とが、等間隔で互い違いに設置されている。また、下段回転体43は、外周縁際に、第二通過領域として機能する4つの第二入賞口50,50・・と、4つの一時入賞口51,51・・とが、等間隔で互い違いに設置されている。一方、上段回転体41は、外周縁際に、入り込んだ遊技球を中段回転体42の第一入賞口49a,49a・・へ導く2つの誘導入賞口52a,52a・・と、入り込んだ遊技球を中段回転体42の第一入賞口49b,49b・・へ導く2つの誘導入賞口52b,52b・・と、入り込んだ遊技球を下段回転体43の何れかの入賞口へ導く2つの誘導入賞口53,53・・とが、等間隔で互い違いに設置されている。加えて、上段回転体41は、第一誘導路47と連通した状態になっており、下段回転体43は、第二誘導路46と連通した状態になっている。
【0026】
<遊技機の作動内容>
上記の如く構成されたパチンコ機1においては、発射ハンドル7の回動操作によって発射装置(図示せず)から遊技球が発射され、発射された遊技球が入賞装置55aあるいは入賞装置55bに入賞した場合に、2つの羽根部材13,13が、1回のみ観音開きの開成動作を実行する。そして、その羽根部材13,13の開成動作中にのみ、発射された遊技球は、大型遊技部材11内へ入賞する(内部へ入り込む)ことが可能となる。
【0027】
大型遊技部材11内へ入賞した遊技球は、落下口16から落下して、導球部材15によってクルーン18まで導かれる。クルーン18に導かれた遊技球は、略皿状のクルーン18の表面で円周状に転動して、前方の第一排出孔あるいは後方の第二排出孔からクルーン18の下方へ流下する。
【0028】
そして、前方の第一排出孔から落下した遊技球は、第一通路体19によって右転動部材22上へ導かれ、左右に転動した後、右転動部材22の中央の凹部から、回転部材24bの長尺の筒状体26a,26a・・あるいは短尺の筒状体26b,26b・・の何れかに導かれる。一方、後方の第二排出孔に入賞した遊技球は、第二通路体20によって左転動部材21上へ導かれ、左右に転動した後、左転動部材21の中央の凹部から、回転部材24aの長尺の筒状体26a,26a・・あるいは短尺の筒状体26b,26b・・の何れかに導かれる。
【0029】
さらに、右側の回転部材24bの短尺の筒状体26b,26b・・の何れかに導かれた遊技球は、第三通路37を通って、第一ステージ27上に導かれる。そのように第一ステージ27上に導かれた遊技球は、その一部のみが、回転しているアーチ部材29の内部を通って下方へ導かれ、導出部材30から流下してV入賞口32に入り込む(入賞する)。一方、アーチ部材29の内部へ入賞しなかった遊技球は、入賞口31,31の何れかに入り込んで、そのまま内部(遊技盤4の盤面の後方)へと回収される。そのように内部へ遊技球が回収されると、その遊技球が検知装置(図示せず)によって検知され、所定個数の遊技球が、賞品球として遊技球タンク(図示せず)から供給皿5へと払い出される。なお、パチンコ機1においては、第一ステージ27上に導かれた遊技球は、アーチ部材29よりも高い確率で入賞口31,31の何れかに入り込むように設計されている。
【0030】
また、右側の回転部材24bの長尺の筒状体26a,26a・・の何れかに導かれた遊技球は、第四通路38を通って、第二ステージ28上に導かれる。そのように第二ステージ28上に導かれた遊技球は、その一部がV入賞口32に入り込み(入賞し)、V入賞口32へ入賞しなかった遊技球は、入賞口33,33の何れかに入り込んで、そのまま内部へと回収される。そのように内部へ遊技球が回収されると、所定個数の遊技球が賞品球として供給皿5へと払い出される。なお、パチンコ機1においては、第二ステージ28上に導かれた遊技球は、入賞口33,33よりも高い確率でV入賞口32に入り込むように設計されている。
【0031】
一方、左側の回転部材24aの短尺の筒状体26b,26b・・の何れかに導かれた遊技球は、第一通路35を通って、第一ステージ27の上に導かれる。また、左側の回転部材24aの長尺の筒状体26a,26a・・の何れかに導かれた遊技球は、第二通路36を通って、第一ステージ27上に導かれる。そして、そのように第一ステージ27上に導かれた遊技球は、その一部のみが、回転しているアーチ部材29の内部を通って下方へ導かれ、導出部材30から流下してV入賞口32に入り込む。また、アーチ部材29の内部へ入賞しなかった遊技球は、入賞口31,31の何れかに入り込んで、そのまま内部へと回収される。
【0032】
そして、遊技球がV入賞口32へ入り込むと、その入賞が図示しない入賞検知装置(近接センサ等)によって検知されて、羽根部材13,13が一定回数(たとえば、16回)の開成動作を所定回数(ラウンド回数)だけ繰り返す「大当たり状態」が生起する。また、V入賞口32へ入り込んだ遊技球は、ラウンド回数振分決定装置39に流下して、そのラウンド回数振分決定装置39によって、ラウンド回数が決定される。
【0033】
すなわち、遊技球がラウンド回数振分決定装置39に流下すると、その遊技球は、シーソー体40によって、右方向あるいは左方向に振り分けられる。そして、右方向に振り分けられた遊技球は、第一誘導路47を通って、上段回転体41(第三回転体)へと導かれる。
【0034】
上段回転体41へと導かれた遊技球は、導球入賞口52a,52a、導球入賞口52b,52bあるいは導球入賞口53,53の内の何れかに入り込む。そして、遊技球が導球入賞口52a,52aに入り込むと、その遊技球は、中段回転体42の第一入賞口49a,49a・・の内の何れかに導かれてその中に入り込み、ラウンド回数が“15”に決定される。一方、遊技球が導球入賞口52b,52bに入り込むと、その遊技球は、中段回転体42の第一入賞口49b,49b・・の内の何れかに導かれてその中に入り込み、ラウンド回数が“8”に決定される。また、遊技球が誘導入賞口53,53・・へ入り込むと、その遊技球は、下段回転体43へと導かれて、第二入賞口50,50・・あるいは一時入賞口51,51・・の内の何れかに入り込む。
【0035】
一方、シーソー体40によって左方向に振り分けられた遊技球は、第二誘導路46を通って、下段回転体43へと導かれ、第二入賞口50,50・・あるいは一時入賞口51,51・・の内の何れかに入り込む。そして、遊技球が第二入賞口50,50・・の内の何れかに入り込むと、ラウンド回数が“3”に決定される。また、遊技球が一時入賞口51,51・・の内の何れかに入り込むと、その遊技球は、下段回転体43の回転に伴ってリフトアップされて、中段回転体42の第一入賞口49a,49a・・あるいは第一入賞口49b,49b・・の内の何れかに導かれてその中に入り込む。そして、遊技球が第一入賞口49a,49a・・の内の何れかに入り込むと、ラウンド回数が“15”に決定され、第一入賞口49b,49b・・の内の何れかに入り込むと、ラウンド回数が“8”に決定される。
【0036】
なお、遊技球が、最終的に、第一入賞口49a,49a・・、第一入賞口49b,49b、第二入賞口50,50・・に入り込むと(入賞すると)、その遊技球が入賞検知装置(図示せず)によって検知され、所定個数の遊技球が、賞品球として遊技球タンク(図示せず)から供給皿5へと払い出される。
【0037】
そして、上記の如く、ラウンド回数が決定されると、羽根部材13,13が、一定回数(たとえば、16回)の開成動作を、そのラウンド回数だけ繰り返す「大当たり状態」を生起させる。したがって、遊技者は、「大当たり状態」が発生した場合には、多くの遊技球を大型遊技部材11の内部に入り込ませる(結果的に入賞させる)ことによって、多くの賞品球を獲得することができる。
【0038】
また、ラウンド回数振分決定装置39に流下した遊技球が、第二入賞口50,50・・の内の何れかへ入賞したとき(すなわち、ラウンド回数が“3”に決定されたとき)よりも第一入賞口49b,49b・・の内の何れかへ入賞したとき(すなわち、ラウンド回数が“8”に決定されたとき)の方が、多くの賞品球を獲得することが可能であり、遊技球が、第二入賞口50,50・・あるいは第一入賞口49b,49b・・の内の何れかへ入賞したときよりも第一入賞口49a,49a・・の内の何れかへ入賞したとき(すなわち、ラウンド回数が“15”に決定されたとき)の方が、多くの賞品球を獲得することが可能である。なお、一旦、「大当たり状態」が生起すると、その「大当たり状態」が終了するまで、上記したラウンド回数の決定は実行されない。
【0039】
また、上記の如く、「大当たり状態」が生起したとき、および、ラウンド回数が決定されたときには、図柄表示装置23の液晶画面において、動画等を利用して、その旨が遊技者に報知される。
【0040】
<遊技機の効果>
パチンコ機1は、ラウンド回数を決定するためのラウンド回数振分決定装置39が設けられており、そのラウンド回数振分決定装置39が、ラウンド回数を“8”あるいは“15”に決定する第一通過領域(第一入賞口49a,49a・・、第一入賞口49b,49b・・)を設けた中段回転体42(第一回転体)と、その中段回転体42と同軸状に重ねられており、ラウンド回数を“3”に決定する第二通過領域(第二入賞口50,50・・)を設けた下段回転体43(第二回転体)とを有しているとともに、遊技球を中段回転体42へ導く確率が遊技球を下段回転体43へ導く確率よりも高くなるように設けられた第一誘導路47(高特典流路)と、遊技球を下段回転体43へ導く確率が遊技球を中段回転体42へ導く確率よりも高くなるように設けられた第二誘導路46(低特典流路)とを有したものであり、V入賞口32(特定入賞口)に入賞した遊技球を、第一誘導路47あるいは第二誘導路46に振り分けて流下させて第一通過領域(第一入賞口49a,49a・・、第一入賞口49b,49b・・)あるいは第二通過領域(第二入賞口50,50・・)に導くことによってラウンド回数を決定するものである。したがって、パチンコ機1は、遊技球がV入賞口32に入賞してからラウンド数が決定されるまでのプロセス(遊技内容)がユニークかつ斬新である上、相当の時間を要するため、趣向性が高く、遊技者の遊技意欲を高く保持することができる。
【0041】
また、パチンコ機1は、遊技球を中段回転体42(第一回転体)と下段回転体43(第二回転体)とに振り分けて導く上段回転体41(第三回転体)が、中段回転体42および下段回転体43と同軸状に回転可能に積層されているとともに、第一誘導路47(高特典流路)がV入賞口32(特定入賞口)に入賞した遊技球を上段回転体41に導くものであるため、V入賞口32に入賞した遊技球の振り分け方がより複雑であるので、遊技内容がスリリングであり、趣向性が非常に高く、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することができる。
【0042】
さらに、パチンコ機1は、中段回転体42(第一回転体)および下段回転体43(第二回転体)の回転軸が傾斜状になっているとともに、下段回転体43が中段回転体42よりも下側に設けられており、一旦、下段回転体43に導かれた遊技球の一部が、下段回転体43の回転に伴って上方へ引き上げられて中段回転体42に導かれるため、遊技球が一旦下段回転体43に導かれた場合でも、その遊技球が上方に引き上げられて中段回転体42の第一通過領域(第一入賞口49a,49a・・、第一入賞口49b,49b・・)へ導かれ、ラウンド回数が大きな数値(“8”あるいは“15”)に設定されることがあり得るので、趣向性がきわめて高く、遊技者の遊技意欲を非常に長い期間に亘って高く保持することができる。
【0043】
<遊技機の変更例>
本発明のパチンコ機の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、機枠、前面枠、遊技盤、供給皿、貯留皿、発射ハンドル、図柄表示装置、ラウンド回数振分決定装置等の形状、構造、材質等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【0044】
たとえば、ラウンド回数振分決定装置は、上記実施形態の如く、遊技球を第一回転体から第二回転体へ昇格させる機構を設けたものに限定されず、そのような昇格機構のないものでも良い。また、ラウンド回数振分決定装置は、上記実施形態の如く、上段回転体、中段回転体および下段回転体との3種類の回転体を設けたものに限定されず、2種類あるいは4種類以上の回転体を設けたものでも良い。加えて、第一回転体の第一入賞口や第二回転体の第二入賞口への入賞によって決定されるラウンド回数も、上記実施形態の数値に何ら限定されず、必要に応じて、適宜変更することができる。
【0045】
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、遊技領域、遊技盤、大型遊技部材、ラウンド回数振分決定装置、制御装置等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、上述した全ての要素のうちの複数の要素を一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、あえて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であればきわめて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることが明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることに疑いの余地はない。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異しかない遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由にするのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0046】
1・・パチンコ機(遊技機)
4・・遊技盤
11・・大型遊技部材
32・・V入賞口32(特定入賞口)
39・・ラウンド回数振分決定装置
41・・上段回転体(第三回転体)
42・・中段回転体(第一回転体)
43・・下段回転体(第二回転体)
46・・第二誘導路(低特典流路)
47・・第一誘導路(高特典流路)
49a,49b・・第一入賞口(第一通過領域)
50・・第二入賞口(第一通過領域)
図1
図2
図3
図4