(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、
受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、
を管理サーバが備えるコンテンツ配布システムの実行するコンテンツ配布方法であって、
前記管理サーバが、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、
前記管理サーバが、前記複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、
配信要求クライアントが、受信済みクライアントのうちの管理サーバから通知された取得先から断片データを取得して結合することで、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データの結合されたコンテンツを再生するコンテンツ再生手順と、
を順に備えるコンテンツ配布方法。
複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、
受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、
配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照して配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与し、前記複製ID管理表を参照して新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを特定する情報処理部と、
新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信部と、
を備える管理サーバ。
情報処理部が、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、
情報処理部が、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、
送信部が、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信手順と、
を順に実行する管理サーバのコンテンツ配布方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、配信サーバに負荷をかけずに、コンテンツの流出元を特定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、管理サーバが、オリジナルコンテンツの複製をもつクライアント名を管理するハイブリッド型P2P(Peer to Peer)コンテンツ配布システムである。
【0007】
本開示のコンテンツ配信システムは、
複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する複数の受信済みクライアントと、
受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表、及び、断片データに埋め込まれている複製IDの組み合わせで構成される配布IDと受信済みクライアントとを対応付ける配布ID管理表を参照し、新たなコンテンツの配信要求元である配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として前記配信要求クライアントに通知する管理サーバと、
受信済みクライアントのうちの管理サーバから通知された取得先から断片データを取得して結合することで、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データの結合されたコンテンツを再生する前記配信要求クライアントと、
を備える。
【0008】
本開示のコンテンツ配信システムでは、
前記取得先情報は、コンテンツ及び断片データの識別子を含む仮のアドレスであり、
管理サーバは、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントの現実のアドレスを、前記仮のアドレスに関連付けて記憶し、
配信要求クライアントを通信網に接続するスイッチは、
前記仮のアドレス宛でありかつ新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを要求する旨の断片要求を配信要求クライアントから受信すると、前記管理サーバから仮のアドレスに対応する現実のアドレスを取得して宛先アドレスを現実のアドレスに書き換え、宛先アドレスを書き換えた断片要求を、受信済みクライアントの現実のアドレスに向けて送信し、
新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを受信済みクライアントの現実のアドレスから受信すると、送信元アドレスを前記仮のアドレスに書き換え、送信元アドレスを書き換えた断片データを、前記配信要求クライアントに向けて送信する態様を採用しうる。
【0009】
本開示のコンテンツ配信システムでは、
配信要求クライアントを通信網に接続するスイッチは、
新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを要求する旨の断片要求を配信要求クライアントから受信すると、送信元アドレスを自装置のネットワークアドレス内の仮のアドレスに書き換え、送信元アドレスを書き換えた断片要求を、受信済みクライアントに向けて送信し、
宛先アドレスが自装置のネットワークアドレスでありかつ新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを受信済みクライアントから受信すると、宛先アドレスを配信要求クライアントの現実のアドレスに書き換え、宛先アドレスを書き換えた断片データを配信要求クライアントに向けて送信する態様を採用しうる。
【0010】
本開示のコンテンツ配信システムでは、前記コンテンツは、画像データ及び音声データを含み、前記コンテンツにおいて前記断片データに分割されている時刻が画像データと音声データとで異なっている態様を採用しうる。
【0011】
本開示のコンテンツ配信システムでは、前記断片データの少なくとも1つに、前記配布IDの冗長符号が含まれる態様を採用しうる。
【0012】
本開示のコンテンツ配布方法は、
複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、
受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、
を管理サーバが備えるコンテンツ配布システムの実行するコンテンツ配布方法であって、
前記管理サーバが、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、
前記管理サーバが、前記複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、
配信要求クライアントが、受信済みクライアントのうちの管理サーバから通知された取得先から断片データを取得して結合することで、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データの結合されたコンテンツを再生するコンテンツ再生手順と、
を順に備える。
【0013】
本開示の管理サーバは、
複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表と、
受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表と、
配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、前記配布ID管理表を参照して配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与し、前記複製ID管理表を参照して新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを特定する情報処理部と、
新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信部と、
を備える。
【0014】
本開示の管理サーバのコンテンツ配布方法は、
情報処理部が、配信要求クライアントから新たなコンテンツの配信要求を受けると、複数の断片データに分割されかつ各断片データに複製IDが電子透かしで埋め込まれたコンテンツを保持する受信済みクライアントと前記複製IDの組み合わせで構成される配布IDとを対応付ける配布ID管理表を参照し、配信要求クライアントに対して新たな配布IDを付与する配布ID付与手順と、
情報処理部が、受信済みクライアントに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける複製ID管理表を参照し、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントを選択するクライアント選択手順と、
送信部が、新たな配布IDを構成しうる複製IDの埋め込まれた断片データを保持する受信済みクライアントに関する情報を取得先情報として、配信要求クライアントに通知する送信手順と、
を順に実行する。
【0015】
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、配信サーバに負荷をかけずに、コンテンツの流出元を特定可能にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0019】
(実施形態1)
図1に、本開示の実施形態に係るコンテンツ配布システムの概略構成図を示す。本実施形態に係るコンテンツ配布システムは、管理サーバ1と、配信サーバ2と、複数のクライアント3A〜3Eと、を備える。各クライアント3A〜3Eは通信網5にスイッチ(以下、SW)4A〜4Eで接続されている。管理サーバ1、配信サーバ2、及びクライアント3A〜3Eは、記憶部、情報処理部及び送受信部を備えた任意のコンピュータを用いることができる。
【0020】
配信サーバ2は、コンテンツCを保持し、任意のクライアント3A〜3Eから配信要求を受けると、配信要求のあったクライアント3A〜3Eに配信するサーバである。コンテンツCは、動画データ、音声データ、またはこれらの組みあわせである。本実施形態では、クライアント3A〜3Dが配信サーバ2にコンテンツCの配信要求を行い、その後、クライアント3Eが配信サーバ2にコンテンツCの配信要求を行う例について説明する。クライアント3A〜3Dが受信済みクライアントとして機能し、クライアント3Eが配信要求クライアントとして機能する。
【0021】
コンテンツCには、電子透かしを用いて配布IDが埋め込まれている。管理サーバ1は、コンテンツCごとに、配布IDとユーザIDとを関連付けた配布ID管理表を保持する。配信サーバ2は、配布ID管理表に従って、配布IDの異なるコンテンツCをクライアント3A〜3Dに配信する。
図2に、配布IDの一例を示す。配信サーバ2がクライアント3A〜3Dに配布する場合、クライアント3Aには配布ID「00000000」のコンテンツCを、クライアント3Bには配布ID「11111111」のコンテンツCを、クライアント3Cには配布ID「01010101」のコンテンツCを、クライアント3Dには配布ID「10101010」のコンテンツCを配信する。
【0022】
図3に、配布するコンテンツCの生成方法の一例を示す。配信サーバ2は、コンテンツCの複製(ステップS1)、コンテンツCへの複製IDの付与及び断片化(ステップS2)を実行する。
【0023】
ステップS1では、配信サーバ2は、コンテンツCを複製する。
ステップS2では、配信サーバ2は、コンテンツCを複製した各コンテンツCにそれぞれ異なる複製IDを電子透かし技術により埋め込む。ただし、複製する個数は配布数に比べて小さい値で十分である。また、配信サーバ2は、複製したコンテンツC間での断片が置換可能になるように分割し、断片化する。例えば、断片番号1〜4の断片データP1〜P4に分割する。例えば、コンテンツCが動画である場合、同じフレームで分割する。コンテンツがストリームの場合、2〜10秒単位で動画をチャンク化する場合、1以上のチャンクを1つの断片データとして扱ってもよい。なお、複製と分割はどちらを先に行ってもよい。
【0024】
ここで、ステップS2において、配信サーバ2は、各断片データをDRM暗号鍵により暗号化することが好ましい。この場合、リバースエンジニアリングが困難な専用ソフトを使用し、送信されたDRM鍵を用いることで、各断片データを再生する。これにより、本開示は、リバースエンジニアリングが困難な専用ソフトを使用して、送信されたDRM鍵を用いて各断片データを再生できるとともに、OS(Operating System)や他のアプリケーションからは隠蔽して、後にアップロードできるように断片データを保存することができる。
【0025】
なお、
図3では理解が容易になるよう、1つのコンテンツCを4分割することとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図4に示すように、1つのコンテンツCを複数の区分に区切り、各区分を4分割することで断片データを構成してもよい。
【0026】
クライアント3A〜3Dが配信サーバ2から断片データP1〜P4の取得が可能なよう、管理サーバ1は、コンテンツCごとに、断片番号と各断片の取得先とを関連付けた断片リストを保持する。
図5は、管理サーバの保持する断片リストの一例を示す。管理サーバ1内に、各断片データP1〜P4のURLをリスト化した断片リストをコンテンツCごとに一つ設置する。これにより、URLは、コンテンツCと1組の断片データP1〜P4をユニークにIPアドレスで表現する。ここで、本実施形態は、各断片データP1〜P4に複製IDが埋め込まれている。そのため、各断片データP1〜P4のURLは、断片データに埋め込まれている複製IDごとに設定されている。
【0027】
管理サーバ1は、断片データP1〜P4ごとに、複製ID管理表を保持する。複製ID管理表は、クライアント3A〜3Dに保持されている断片データと当該断片データに埋め込まれている複製IDとを対応付ける。複製ID管理表は、例えば、コンテンツCごと、断片データごとに、複製IDとユーザIDとを関連付ける。
【0028】
図6に、複製ID管理表の一例を示す。クライアント3Aには配布ID「00000000」のコンテンツCが、クライアント3Bには配布ID「11111111」のコンテンツCが、クライアント3Cには配布ID「01010101」のコンテンツCが、クライアント3Dには配布ID「10101010」のコンテンツCが配布されている。この場合、断片データP1の複製ID管理表には、複製ID「00」とユーザID「ID−A」とが、複製ID「01」とユーザID「ID−C」とが、複製ID「10」とユーザID「ID−D」とが、複製ID「11」とユーザID「ID−B」とが対応付けられる。
【0029】
複製ID管理表は、断片データP1〜P4の作成直後のユーザIDは空白である。ユーザIDは、ユーザの特定が可能な任意の値を用いることができ、例えば、IPアドレスなどの固定値である。なお、ユーザIDは、固定値に限らず、ユーザの特定が可能な任意の変動値を用いてもよい。
【0030】
図7に、本実施形態に係るシーケンスの一例を示す。本実施形態では、クライアント3Eが、配信サーバ2に対してコンテンツCの配信要求を行った場合の動作について説明する。
【0031】
管理サーバ1は、クライアント3Eから配信サーバ2への配信要求を受信する(S11)。すると、管理サーバ1は、配布ID管理表を参照し、クライアント3EのユーザIDが格納されていないことを確認し、どのユーザにも割り当てられていない新規配布ID「10000111」を特定する。そして、管理サーバ1は、断片データP1〜P4が含む必要がある複製IDを決定し、当該複製IDを含む断片データを持つクライアント3A〜3Dのなかから、断片データを取得するクライアントを選択する(S12)。当該複製IDを含む断片データを持つクライアントが存在しない場合は、配信サーバ2を選択する。このように、本開示は、ファイルを構成する各断片データの複製IDの組合せを配布IDとして用い、複製IDの結合をクライアント3Eで行う。これにより、クライアント3Eは、適正な配布IDの埋め込まれたコンテンツCを再生することができる。
【0032】
例えば、配布ID「10000111」は、複製ID「10」の断片データP1、複製ID「00」の断片データP2、複製ID「01」の断片データP3、複製ID「11」の断片データP4が結合されてなるコンテンツCである。そこで、管理サーバ1は、複製ID管理表を参照し、複製ID「10」の断片データP1を保持するユーザID「ID−D」、複製ID「00」の断片データP2を保持するユーザID「ID−A」、複製ID「01」の断片データP3を保持するユーザID「ID−C」、複製ID「11」を保持するユーザID「ID−B」を選択する。
【0033】
ここで、アップロード側のクライアント3A〜3Dの都合により、任意のタイミングでネットワークから離脱できる必要がある。クライアント3A〜3Dがネットワークから離脱しても、ダウンロード側のクライアント3Eが動画の視聴を継続できる仕組みが必要である。そこで、ステップS12において、管理サーバ1は、複製IDを含む断片データを持つクライアント3A〜3Dのなかで、ネットワークに接続しているクライアントを、断片データを取得するクライアントとして選択することが好ましい。これにより、本開示は、動画視聴の継続問題を解決する。
【0034】
さらに、管理サーバ1は、選択した各ユーザID−A〜ID−Dに対し、クライアント3Eへの断片データの送信について、承諾を得ることが好ましい。この場合、管理サーバ1は、クライアント3A〜3Dに対して断片送信要求を送信し(S13)、クライアント3A〜3Dから断片データの送信を許可する旨の断片送信許可を受信する(S14)。
【0035】
管理サーバ1は、断片データを取得するクライアント3A〜3Dを選択すると、配信要求元のクライアント3Eに対し、
図8に示すような、各断片データP1〜P4の取得先を記載した断片リストを通知する(S15)。この断片リストには、クライアント3A〜3Dに通知したものとは異なり、断片データの取得先の情報として、受信済みクライアントの情報が記載されている。断片データの取得先の情報は、例えば、クライアント3A〜3Dの現実のアドレスである。
【0036】
配信要求元のクライアント3Eは、断片リストに記載の各ユーザに対し、ユーザに対応した断片データの送信要求を行い(S16)、配布IDを構成するために必要な各断片データP1〜P4を受信する(S17)。
【0037】
配信要求元のクライアント3Eは、断片データP1〜P4の受信が完了すると、受信完了通知をクライアント3A〜3Dに送信するとともに(S18)、取得した各断片データP1〜P4を結合し、コンテンツCを構成する(S20)。クライアント3A〜3Dは、受信完了通知を受信すると、送信完了通知を管理サーバ1に送信する(S19)。
【0038】
以上説明したように、本実施形態は、該当する配布IDになるよう複製IDを組み合わせることで、クライアント3A〜3Dからクライアント3EへコンテンツCの配信を可能にする。これにより、新たにクライアント3Eが参加する場合でも、クライアント3A〜3D間同士でクライアント3Eに配信できるため、配信サーバ2に負荷がかからない。
【0039】
本開示は、コンテンツのダウンロード元を管理サーバ1が制御するハイブリッド型P2Pコンテンツ配布システムを採用し、配信サーバ2及びクライアント3A〜3Dおける電子透かし情報の書き換えを実施せずに、各クライアントが受信した動画中に埋め込まれた配布IDを管理サーバ1が制御可能としている。このため、電子透かし情報の埋め込みを実施時に問題となるクライアントによる電子透かし情報の書き換えやエンコードなどの処理量の増大や、動画や音楽の品質低下を起こさずに、動画が第三者に流出時に流出元のクライアントを特定可能となる。
【0040】
コンテンツ配布システムは、サーバ型コンテンツ配布システムと比較し、サーバの負荷が少ない。また、同一のコンテンツが複数のピアに保存されるため、激甚災害に強い、などの特徴を持つ。さらに、著作権管理が必要なコンテンツについても処理量の増大や品質低下の問題を生じさせずにP2P型コンテンツ配布システムの使用が可能になる。
【0041】
(実施形態2)
プライバシ情報の漏洩の観点からは、各クライアント3A〜3Eの情報は秘匿化することが好ましい。そこで、本実施形態では、SW4A〜4Eを用いて、各クライアント3A〜3Eのアドレスを秘匿化する。
【0042】
本実施形態では、SW4A〜4Eが、宛先アドレスや送信元アドレスの書き換えの可能な機能スイッチである。SW4A〜4Eは、SDN(Software−Defined Networking)に用いられる任意のスイッチが適用可能であるが、例えば、OpenFlow対応スイッチが例示できる。
【0043】
図9に、本実施形態に係るシーケンスの一例を示す。本実施形態においても、クライアント3Eが、配信サーバ2に対してコンテンツCの配信要求を行った場合の動作について説明する。なお、ステップS11〜S14までは実施形態1と同様であるため、本実施形態においては省略する。
【0044】
本実施形態では、管理サーバ1は、配信要求元のクライアント3Eに対し、クライアント3A〜3Dのアドレスに代えて仮のアドレスを記載した断片リストを通知する(S15)。このように、断片リストの取得先情報を、クライアント3A〜3Dの現実のアドレスではなく、仮のアドレスとすることで、クライアント3A〜3Dのプライバシ情報の漏洩を防ぐことができる。
【0045】
ここで、断片要求時のIPアドレスの宛先として用いる仮のアドレスは、コンテンツ配布用のIPアドレスである。仮のアドレスは、コンテンツCの識別子と断片データP1〜P4の断片番号をIP(Internet Protocol)アドレスで表現したものであることが好ましい。コンテンツ配布用にネットワークアドレスを割り当てておき、当該ネットワークアドレス内のホストアドレス宛のパケットについては、管理サーバ1にpacket−inメッセージにカプセル化して転送するように、SW4A〜4Eを設定しておいてもよい。当該アドレス以外についてはIPルータとして動作させる。
【0046】
クライアント3Eは、受信した断片リストを参照し、断片データに該当するIPアドレス宛に、断片要求を送る(S21)。SW4Eは受け取った断片要求の宛先がコンテンツ配布用のネットワークアドレスなので、断片要求の最初のパケット(以下、先頭パケット)を含むpacket−inメッセージを生成し、管理サーバ1に転送して、アドレス問合せを行う(S22a)。
【0047】
管理サーバ1は、
図10に示すような、ユーザIDと現実のアドレスとを対応付けるアドレス管理表を保持する。管理サーバ1は、SW4Eから送られてきた情報を用いて、断片要求を送信するユーザIDを特定し、特定したユーザIDの現実のアドレス、すなわちクライアント3A〜3DのアドレスをSW4Eに通知する(S22b)。例えば、packet−inメッセージに含まれる先頭パケットのIPアドレスから、送信元アドレス、コンテンツの識別子及び断片番号を特定し、これらを配布ID管理表、アドレス管理表、複製ID管理表と照合することで、断片要求を転送するクライアントのユーザID及びその現実のアドレスを特定する。
【0048】
次に、管理サーバ1は、先頭パケット及びIPアドレスの変換ルールを含むPacket−outメッセージをSW4Eに転送する。SW4Eは、Packet−outメッセージに含まれる先頭パケットの宛先アドレス及び送信元アドレスを当該変換ルールに基づき書き換える(S23)。SW4Eは、書換えの前後のアドレスを定めたアドレス変換テーブルを記憶する。すなわち、アドレス変換テーブルには、当該断片の送信元となるクライアントの現実のアドレス及び当該断片に対応する仮のアドレス、クライアント3Eの現実のアドレス及び仮のホストアドレス、が記憶される。なお、仮のホストアドレスとは、SW4Eのネットワークアドレス内で他のクライアントに使用されていないホストアドレスを割り当てたものである。また、ステップS21の断片要求は、断片単位に実施し、断片を送信するクライアントは一度に1つであることが好ましい。
【0049】
ステップS23では、具体的には、宛先アドレスについては、当該断片に対応する仮のアドレスを、管理サーバ1から受信した断片送信元クライアントの現実のアドレスに書き換える(S23)。送信元アドレスについては、クライアント3Eの現実のアドレスを、クライアント3Eの仮のホストアドレスに書き換える(S23)。以後、クライアント3Eが同一の宛先アドレス宛に送信するIPパケットは、管理サーバを介さず、SW4Eにおいてアドレス変換され、変更後のアドレス宛に転送される。
【0050】
そして、SW4Eは、宛先アドレス及び送信元アドレスの書き換えられた断片要求を、クライアント3A〜3Dの現実のアドレスに向けて送信する(S24)。これにより、クライアント3Eのプライバシ情報の漏洩を防ぐことができる。
【0051】
断片送信元クライアントは、断片要求で要求された断片データを、断片要求の送信元アドレスに返信する(S25)。断片送信元クライアントから送信された断片データの宛先アドレスはSW4Eのネットワークアドレスの空き番号となっているため、断片送信元クライアントから送信された断片データはSW4Eが受信する。
【0052】
SW4Eは、断片送信元クライアントから受信した断片データの宛先アドレス及び送信元アドレスを書き換える(S26)。このとき、ステップS23で記憶したアドレス変換テーブルを参照して書き換える。具体的には、宛先アドレスについては、クライアント3Eの仮のホストアドレスを、クライアント3Eの現実のアドレスに書き換える。送信元アドレスについては、断片送信元クライアントの現実のアドレスを当該断片の仮のアドレスに書き換える。これにより、断片送信元クライアントのプライバシ情報の漏洩を防ぐことができる。
【0053】
そして、SW4Eは、宛先アドレス及び送信元アドレスの書き換えられた断片データを、クライアント3Eに送信する(S27)。その後の受信完了通知S18についても断片要求(S24)と同様に、宛先アドレス及び送信元アドレスを書き換える(S28)。
【0054】
したがって、本開示は、クライアント3E及び断片送信元クライアントのプライバシ情報の漏洩を防ぐことができるため、動画視聴の継続問題、プライバシ情報の漏洩問題を解決することができる。
【0055】
また、各断片の送信元クライアントは、各断片要求を管理サーバ1が受信した時点で通信網5に接続しているクライアントの中からそれぞれ選択する。このため、クライアント3Eがコンテンツの視聴を開始後に、断片送信元候補のクライアントの一部がネットワークから離脱したとしても、コンテンツの視聴に影響なくダウンロードを継続することが出来る。
【0056】
(実施形態3)
本開示では断片データごとに独立に電子透かしを埋め込む。このため、断片データを入れ替えることで、改竄を検出されずに配布IDを書き換えられる可能性がある。そこで、本実施形態では、配布IDの書き換えを防止する。
【0057】
A.断片データのオーバーラッピング
画像と音声を異なる断片データとする。例えば、画像を4つの断片データP1〜P4に分割し、音声データを5つの断片データに分割する。このように、画像データと音声データとで開始時刻と終了時刻をずらす。これにより、キャプチャデータを時間で区切って入れ替えられた場合、画像と音声の少なくともどちらかの断片データの途中で複製IDが変化するため、改竄を検出することができる。
【0058】
B.冗長符号
一部の断片データについて複製IDを配布IDの冗長符号として使用する。冗長符号としては、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)、パリティ・チェック、ハミングコードが例示できる。冗長符号としてCRC−32を使用すると、攻撃者が断片データの入れ替えに成功したとして、見逃す確率は1/10億になる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態は、配布IDの書き換えによる改竄を検出することができる。配布IDの書き換えによる改竄を検出することで、コンテンツCの流出元を特定することができる。したがって、本実施形態は、配布IDの書き換えを防止することができる。