(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リターン調節弁は、前記第1冷凍回路における前記圧縮機の下流側で且つ前記凝縮器の上流側の部分を通流する前記冷媒の圧力と、前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器の下流側で且つ前記圧縮機の上流側の部分であって前記分岐流路の接続位置よりも下流側の部分を通流する前記冷媒の圧力との圧力差に応じて、その開度を調節するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
前記凝縮器に接続され、前記凝縮器を通流する前記冷媒を凝縮させるための熱媒体を前記凝縮器内に供給するとともに前記凝縮器から流出した前記熱媒体を通流させる第1冷却流路と、前記第1冷却流路における前記凝縮器に対して上流側に位置する部分および下流側に位置する部分を前記熱媒体が通流可能となるように連通させる第2冷却流路と、前記第2冷却流路に設けられた冷却用熱交換器と、を有する熱媒体通流装置をさらに備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した温度制御装置では、温度制御された液体を複数の温度制御対象物に供給することが望まれる場合があり、この際、複数の冷凍装置に対して複数の液体循環装置を設ける構成を採用してもよい。しかしながら、この構成では、装置サイズが大型となり、エネルギー消費量も増加する。
【0005】
とりわけ複数の温度制御対象物のうちの一部が要求する温度制御範囲が他のものと異なる際に、冷凍装置及び液体循環装置の各組み合わせにおいて、同じ冷凍装置及び液体循環装置を使用して温度制御装置を構成した場合には、過剰に高性能となることで、エネルギー消費量及び製造コストが不所望に増加する状況が生じ得る。一方で、冷凍装置及び液体循環装置の各組み合わせにおいて、要求される温度制御範囲に応じて異なる冷凍装置及び液体循環装置を使用して温度制御装置を構成した場合であっても、装置サイズが大型化する問題を十分に解消できず、また取り扱う部品の点数が増加するため、組立作業の負担が増加するという問題も生じ得る。
【0006】
本発明は、このような実情を考慮してなされたものであって、複数の温度制御対象物又は空間を、装置サイズを抑制しつつ効率的に冷却することができる冷凍装置及びそれを備える温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の冷凍装置は、
圧縮機、凝縮器、第1膨張弁及び第1蒸発器が、この順に冷媒を循環させるように接続された第1冷凍回路と、
前記第1冷凍回路における前記凝縮器の下流側で且つ前記第1膨張弁の上流側に位置する部分および前記第1冷凍回路における前記圧縮機又は前記圧縮機の上流側で且つ前記第1蒸発器の下流側に位置する部分を、前記冷媒が通流可能となるように連通させる過冷却用バイパス流路と、前記過冷却用バイパス流路を通流する前記冷媒の流量を制御する過冷却用制御弁と、前記過冷却用バイパス流路における前記過冷却用制御弁の下流側に設けられ、前記過冷却用制御弁の下流側へ通流した前記冷媒を、前記第1冷凍回路における前記凝縮器の下流側で且つ前記第1膨張弁の上流側に位置する部分であって前記過冷却用バイパス流路との接続位置よりも下流側の部分を通流する前記冷媒と熱交換させる過冷却用熱交換器と、を有する過冷却回路と、
前記第1冷凍回路における前記凝縮器の下流側で且つ前記第1膨張弁の上流側の部分であって前記過冷却用バイパス流路との接続位置よりも上流側の部分および前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器の下流側で且つ前記圧縮機の上流側の部分を、前記冷媒が通流可能となるように連通させる分岐流路と、前記分岐流路に設けられ、受け入れた前記冷媒を膨張させて流出させる第2膨張弁と、前記分岐流路における前記第2膨張弁の下流側に設けられ、前記第2膨張弁から流出した前記冷媒を蒸発させるための第2蒸発器と、を有する第2冷凍回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の冷凍装置では、第1膨張弁及び第1蒸発器と第2膨張弁及び第2蒸発器とが、それぞれの上流側において共通の圧縮機及び凝縮器に接続される。そして圧縮機から吐出され凝縮器から流出する冷媒を、第1膨張弁を介して第1蒸発器に通流させるとともに、第2膨張弁を介して第2蒸発器に通流させることができ、各蒸発器で異なる温度制御対象物又は空間を冷却することが可能となる。これにより、複数の温度制御対象物又は空間を、装置サイズを抑制しつつ効率的に冷却することができる。とりわけ複数の温度制御対象物又は空間のうちの一部が要求する温度制御範囲が他のものと異なる際に、広い温度制御範囲を要求する温度制御対象物又は空間を過冷却用熱交換器によって過冷却された冷媒が通流する第1蒸発器で冷却し、他の温度制御対象物又は空間を第2蒸発器で冷却することで、特に効果的に冷凍装置の装置サイズを抑制しつつエネルギー消費量を抑制することができる。
【0009】
本発明の冷凍装置は、前記第1冷凍回路における前記凝縮器の下流側で且つ前記第1膨張弁の上流側の部分であって前記過冷却用熱交換器によって前記冷媒が熱交換される位置よりも下流側の部分および前記分岐流路における前記第2蒸発器の下流側または前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器の下流側で且つ前記圧縮機の上流側の部分を、前記冷媒が通流可能となるように連通させるインジェクション流路と、前記インジェクション流路を通流する前記冷媒の流量を調節可能なインジェクション弁と、を有するインジェクション回路をさらに備えていてもよい。
【0010】
この構成では、インジェクション回路を通してバイパスされる凝縮された冷媒を、第1蒸発器の下流側に流出した冷媒と混合させることが可能であるため、圧縮機に流入する冷媒の温度や圧力を所望の状態に容易に制御することができる。これにより、圧縮機の動作を安定させて温度制御の安定性を向上させることができる。
【0011】
また本発明の冷凍装置は、前記第1冷凍回路における前記圧縮機の下流側で且つ前記凝縮器よりも上流側の部分および前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器の下流側で且つ前記圧縮機よりも上流側の部分を、前記冷媒が通流可能となるように連通させるリターン流路と、前記リターン流路を通流する前記冷媒の流量を調節可能なリターン調節弁と、を有するリターン回路をさらに備えていてもよい。
【0012】
この構成では、圧縮機の上流の冷媒が不所望に低温又は低圧の際に、リターン回路を介して圧縮機から吐出された高温且つ高圧の冷媒を圧縮機の上流側に戻すことによって、圧縮機の上流の冷媒を望ましい状態に調節して圧縮機に流入させることができる。
【0013】
前記リターン調節弁は、前記第1冷凍回路における前記圧縮機の下流側で且つ前記凝縮器の上流側の部分を通流する前記冷媒の圧力と、前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器の下流側で且つ前記圧縮機の上流側の部分であって前記分岐流路の接続位置よりも下流側の部分を通流する前記冷媒の圧力との圧力差に応じて、その開度を調節するように構成されていてもよい。
【0014】
この構成では、圧縮機の上流の冷媒が不所望に低温又は低圧である際に、構成を複雑化することなく、圧縮機の上流の冷媒を望ましい状態に調節して圧縮機に流入させることができる。
【0015】
また本発明の冷凍装置は、前記凝縮器に接続され、前記凝縮器を通流する前記冷媒を凝縮させるための熱媒体を前記凝縮器内に供給するとともに前記凝縮器から流出した前記熱媒体を通流させる第1冷却流路と、前記第1冷却流路における前記凝縮器に対して上流側に位置する部分および下流側に位置する部分を前記熱媒体が通流可能となるように連通させる第2冷却流路と、前記第2冷却流路に設けられた冷却用熱交換器と、を有する熱媒体通流装置をさらに備えていてもよい。
【0016】
この構成では、第1冷凍回路を通流する冷媒を凝縮するための熱媒体を冷却用熱交換器側に通流させることで、冷却用熱交換器による温度制御が可能となり、装置の大型化を抑制しつつ、温度制御可能な温度制御対象物又は空間をさらに増やすことができる。
【0017】
また本発明の温度制御装置は、前記の冷凍装置と、前記第1冷凍回路における前記第1蒸発器に接続され、前記第1蒸発器を通流する前記冷媒によって冷却される第1の液体を前記第1蒸発器内に供給するとともに前記第1蒸発器から流出した前記第1の液体を通流させる第1液体通流路を有する第1液体通流装置と、前記第2冷凍回路における前記第2蒸発器に接続され、前記第2蒸発器を通流する前記冷媒によって冷却される第2の液体を前記第2蒸発器内に供給するとともに前記第2蒸発器から流出した前記第2の液体を通流させる第2液体通流路を有する第2液体通流装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0018】
この構成では、互いに異なる第1の液体及び第2の液体を、装置サイズを抑制しつつ効率的に冷却することができる。
【0019】
本発明の温度制御装置において、前記第1液体通流装置は、前記冷媒によって冷却された前記第1の液体を加熱する第1ヒータを有し、前記第2液体通流装置は、前記冷媒によって冷却された前記第2の液体を加熱する第2ヒータを有していてもよい。
【0020】
この構成では、冷却された第1の液体又は第2の液体を加熱することで、各液体を所望の温度に精度良く制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の温度制御対象物又は空間を、装置サイズを抑制しつつ効率的に冷却することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0024】
<温度制御装置の概略構成>
図1は、本発明の一実施の形態に係る温度制御装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る温度制御装置1は、冷凍装置10と、第1液体通流装置101と、第2液体通流装置102と、第3液体通流装置103と、を備えている。温度制御装置1は、第1液体通流装置101を通流する第1の液体、第2液体通流装置102を通流する第2の液体及び第3液体通流装置103を通流する第3の液体を冷凍装置10によって各別に冷却し、これにより各液体によって互いに異なる温度制御対象物又は空間を温度制御することが可能となっている。本実施の形態では、第1〜第3の液体としてブラインを用いることを想定しているが、その他の液体が使用されてもよい。
【0025】
(冷凍装置)
まず、冷凍装置10について詳述する。冷凍装置10は、第1冷凍回路20と、過冷却回路30と、第2冷凍回路40と、熱媒体通流装置50と、インジェクション回路60と、リターン回路70と、を備えている。
【0026】
第1冷凍回路20は、圧縮機21、凝縮器22、第1膨張弁23及び第1蒸発器24が、この順に冷媒を循環させるように配管によって接続されることで構成されている。第1冷凍回路20では、圧縮機21によって圧縮された冷媒が、凝縮器22に流入し、凝縮器22に流入した冷媒は、本実施の形態では上述の熱媒体通流装置50が通流させる熱媒体によって凝縮される。その後、冷媒は、第1膨張弁23によって減圧されて低温となり、第1蒸発器24に流入する。第1蒸発器24に流入した冷媒は、熱交換を行った後に、圧縮機21に流入し、その後、圧縮機21によって再度圧縮される。本実施の形態における第1冷凍回路20は、第1蒸発器24を通流する冷媒を、第1液体通流装置101を通流する第1の液体と熱交換させることで、第1の液体を冷却するように構成されている。
【0027】
過冷却回路30は、過冷却用バイパス流路31と、過冷却用制御弁32と、過冷却用熱交換器33と、を有している。過冷却用バイパス流路31は、第1冷凍回路20における凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側に位置する部分および第1冷凍回路20における圧縮機21を、冷媒が通流可能となるように連通(接続)させている。なお本実施の形態では、過冷却用バイパス流路31の一対の端部のうちの一方の端部が凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側に位置する配管部分に接続され、他方の端部が圧縮機21に接続されるが、他方の端部は、圧縮機21の上流側で且つ第1蒸発器24の下流側に位置する部分に接続されてもよい。
【0028】
過冷却用制御弁32は、過冷却用バイパス流路31を通流する冷媒の流量を制御するものである。また過冷却用熱交換器33は、過冷却用バイパス流路31における過冷却用制御弁32の下流側に設けられ、過冷却用制御弁32の下流側へ通流した冷媒を、第1冷凍回路20における凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側に位置する部分であって過冷却用バイパス流路31との接続位置よりも下流側の部分を通流する冷媒と熱交換させるものである。過冷却用熱交換器33では、過冷却用制御弁32を開くことで、凝縮器22の下流側を通流する凝縮された冷媒を、過冷却用バイパス流路31における過冷却用制御弁32の下流側で膨張させて低温とすることで、凝縮器22から過冷却用熱交換器33を介して第1膨張弁23側へ通流する冷媒に対して過冷却度を付与できるようになっている。一方、過冷却用バイパス流路31を通流した冷媒は、圧縮機21に流入する。この際、過冷却用バイパス流路31からの冷媒は、第1蒸発器24側からの冷媒を圧縮させる圧縮機21による圧縮工程の途中で、圧縮機21に流入し、第1蒸発器24側からの冷媒とともに圧縮されることになる。
【0029】
第2冷凍回路40は、分岐流路41と、第2膨張弁42と、第2蒸発器43と、を有している。分岐流路41は、第1冷凍回路20における凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側の部分であって過冷却用バイパス流路31との接続位置よりも上流側の部分および第1冷凍回路20における第1蒸発器24の下流側で且つ圧縮機21の上流側の部分を、冷媒が通流可能となるように連通(接続)させている。第2膨張弁42は、分岐流路41に設けられ、受け入れた冷媒を膨張させて流出させるものである。第2蒸発器43は、分岐流路41における第2膨張弁42の下流側に設けられ、第2膨張弁42から流出した冷媒を蒸発させるためのものである。第2冷凍回路40は、第2蒸発器43を通流する冷媒を、第2液体通流装置102を通流する第2の液体と熱交換させることで、第2の液体を冷却するように構成されている。
【0030】
熱媒体通流装置50は、凝縮器22に接続され、凝縮器22を通流する冷媒を凝縮させるための熱媒体を凝縮器22内に供給するとともに凝縮器22から流出した熱媒体を通流させる第1冷却流路51と、第1冷却流路51における凝縮器22に対して上流側に位置する部分および下流側に位置する部分を熱媒体が通流可能となるように連通(接続)させる第2冷却流路52と、第2冷却流路52に設けられた冷却用熱交換器53と、を有している。
【0031】
第1冷却流路51は、凝縮器22を通過するように凝縮器22に接続されており、図示省略したポンプによって吐出された熱媒体を通流させるようになっている。熱媒体は、凝縮器22を通過する冷媒を冷却する冷却水であり、本実施の形態では熱媒体として水が用いられるが、その他の冷却水が用いられてもよい。また第1冷却流路51には、凝縮器22内を通流する熱媒体の流量を調節するための弁が凝縮器22の上流側及び下流側のそれぞれに設けられている。なお、本実施の形態では、ポンプによって吐出される水を第1冷却流路51が通流させて凝縮器22の通過後に排出する構成が採用されるが、第1冷却流路51は、冷凍サイクルを行う冷凍機の一部であってもよい。
【0032】
熱媒体通流装置50における第2冷却流路52は、第1冷却流路51から分岐させた熱媒体を、冷却用熱交換器53を介して第1冷却流路51に戻すために設けられている。また冷却用熱交換器53は、熱媒体によって温度制御対象物又は空間を冷却可能であり、本実施の形態では、通流させる熱媒体を、第3液体通流装置103を通流する第3の液体と熱交換させることで、第3の液体を冷却するように構成されている。
【0033】
インジェクション回路60は、第1冷凍回路20における凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側の部分であって過冷却用熱交換器33によって冷媒が熱交換される位置よりも下流側の部分および分岐流路41における第2蒸発器43の下流側の部分を、冷媒が通流可能となるように連通(接続)させるインジェクション流路61と、インジェクション流路61を通流する冷媒の流量を調節可能なインジェクション弁62と、を有している。
【0034】
インジェクション回路60では、インジェクション弁62の開度を調節することにより、凝縮器22の下流側で過冷却用熱交換器33によって冷却された冷媒を圧縮機21の上流側にバイパスすることができる。これにより、第1蒸発器24から流出した冷媒の温度又は圧力を下げることが可能となっている。なお本実施の形態では、インジェクション回路60の一対の端部のうちの一方の端部が凝縮器22の下流側で且つ第1膨張弁23の上流側の部分であって過冷却用熱交換器33によって冷媒が熱交換される位置よりも下流側の配管部分に接続され、他方の端部が分岐流路41に接続されるが、他方の端部は、第1冷凍回路20における第1蒸発器24の下流側で且つ圧縮機21の上流側の部分に接続されてもよい。
【0035】
またリターン回路70は、第1冷凍回路20における圧縮機21の下流側で且つ凝縮器22よりも上流側の部分および第1蒸発器24の下流側で且つ圧縮機21よりも上流側の部分を、冷媒が通流可能となるように連通(接続)させるリターン流路71と、リターン流路71を通流する冷媒の流量を調節可能なリターン調節弁72と、を有している。
【0036】
本実施の形態では、リターン調節弁72が、第1冷凍回路20における圧縮機21の下流側で且つ凝縮器22の上流側の部分を通流する冷媒の圧力と、第1冷凍回路20における第1蒸発器24の下流側で且つ圧縮機21の上流側の部分であって分岐流路41の接続位置よりも下流側の部分を通流する冷媒の圧力との圧力差に応じて、その開度を調節するように構成されている。より詳しくは、リターン調節弁72は、圧縮機21の上流側と下流側との圧力差が大きい程、その開度を大きくする。これにより、圧縮機21の上流側の圧力を所望の値に自動的に調節することが可能となっている。
【0037】
また
図1に示すように、冷凍装置10には複数の温度センサ及び複数の制御装置が設けられている。例えば第1冷凍回路20における圧縮機21の上流側には、圧縮機上流温度センサ81が設けられている。圧縮機上流温度センサ81は、第1冷凍回路20における圧縮機21の上流側で且つ第1蒸発器24の下流側の部分であって、分岐流路41の接続位置の下流側で且つリターン流路71の接続位置の下流側の部分を通流する冷媒の温度を検出する。圧縮機上流温度センサ81は、インジェクション制御装置91に電気的に接続され、インジェクション制御装置91は、インジェクション弁62に電気的に接続されている。本実施の形態におけるインジェクション制御装置91は、圧縮機上流温度センサ81が検出する温度が所望の値になるようにインジェクション弁62の開度を制御可能となっている。
【0038】
また第1冷凍回路20における過冷却用熱交換器33の下流側には、過冷却下流温度センサ82が設けられている。過冷却下流温度センサ82は、第1冷凍回路20における過冷却用熱交換器33によって冷媒が熱交換される位置よりも下流側であって第1膨張弁23の上流側の部分を通流する冷媒の温度を検出する。過冷却下流温度センサ82は、過冷却制御装置92に電気的に接続され、過冷却制御装置92は、過冷却用制御弁32に電気的に接続されている。本実施の形態における過冷却制御装置92は、過冷却下流温度センサ82が検出する温度が所望の値になるように過冷却用制御弁32の開度を制御可能となっている。
【0039】
また第1膨張弁23には、第1膨張弁制御装置93が電気的に接続され、第1膨張弁制御装置93は、第1液体通流装置101に設けられた冷却側第1温度センサ111に電気的に接続され、第1の液体の温度に応じて第1膨張弁23の開度を制御可能となっている。また第2膨張弁42には、第2膨張弁制御装置94が電気的に接続され、第2膨張弁制御装置94は、第2液体通流装置102に設けられた冷却側第2温度センサ121に電気的に接続され、第2の液体の温度に応じて第2膨張弁42の開度を制御可能となっている。
【0040】
(液体通流装置)
次に、第1〜第3液体通流装置101〜103について説明する。
【0041】
まず、第1液体通流装置101は、第1冷凍回路20における第1蒸発器24に接続され、第1蒸発器24を通流する冷媒によって冷却される第1の液体を第1蒸発器24内に供給するとともに第1蒸発器24から流出した第1の液体を通流させる第1液体通流路101Aを有している。第1液体通流路101Aは、第1蒸発器24から流出した第1の液体を受け入れて通流させる下流部101Dと、第1蒸発器24内に第1の液体を供給する上流部101Uと、を有しており、このうちの下流部101Dの側に、上述した冷却側第1温度センサ111と、第1ヒータ112と、第1ポンプ113と、加熱側第1温度センサ114と、が設けられている。
【0042】
下流部101Dの第1蒸発器24側とは反対側の端部には、第1の液体を吐出する吐出部115が設けられ、吐出部115には、第1の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。一方、上流部101Uの第1蒸発器24側とは反対側の端部には、第1の液体を受け入れ可能な受け入れ部116が設けられ、受け入れ部116には、第1の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。
【0043】
また冷却側第1温度センサ111は、第1蒸発器24から流出した直後の第1の液体の温度を検出するようになっており、上述したように第1膨張弁制御装置93に電気的に接続されている。第1ヒータ112は、下流部101Dにおける冷却側第1温度センサ111の下流側に配置され、第1蒸発器24側から流入する第1の液体を加熱して流出させるようになっている。第1ポンプ113は、下流部101Dにおける第1ヒータ112の下流側に配置され、下流部101D内の第1の液体を第1蒸発器24側から吐出部115側へ通流させるために駆動する。また加熱側第1温度センサ114は、下流部101Dにおける第1ポンプ113の下流側に設けられる。ここで、加熱側第1温度センサ114及び第1ヒータ112は、第1加熱量制御装置117に電気的に接続され、本実施の形態における第1加熱量制御装置117は、加熱側第1温度センサ114が検出する温度が所望の値となるように、第1ヒータ112の加熱量を制御することが可能となっている。
【0044】
以上のような本実施の形態における第1液体通流装置101では、例えば
図1に示すように、吐出部115と受け入れ部116との間に二点鎖線で示す配管X1を設け、配管X1の途中で第1の液体により温度制御対象物X2の熱を吸熱するか又は温度制御対象物X2に熱を放熱することで、温度制御対象物X2を温度制御することができる。具体的に本実施の形態では、第1の液体によって温度制御対象物X2の熱を吸熱することで、温度制御対象物X2を冷却することができる。
【0045】
次に第2液体通流装置102は、第2冷凍回路40における第2蒸発器43に接続され、第2蒸発器43を通流する冷媒によって冷却される第2の液体を第2蒸発器43内に供給するとともに第2蒸発器43から流出した第2の液体を通流させる第2液体通流路102Aを有している。第2液体通流路102Aは、第2蒸発器43から流出した第2の液体を受け入れて通流させる下流部102Dと、第2蒸発器43内に第2の液体を供給する上流部102Uと、を有しており、このうちの下流部102Dの側に、上述した冷却側第2温度センサ121と、第2ヒータ122と、第2ポンプ123と、加熱側第2温度センサ124と、が設けられている。
【0046】
そして下流部102Dの第2蒸発器43側とは反対側の端部には、第2の液体を吐出する吐出部125が設けられ、吐出部125には、第2の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。一方、上流部102Uの第2蒸発器43側とは反対側の端部には、第2の液体を受け入れ可能な受け入れ部126が設けられ、受け入れ部126には、第2の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。
【0047】
また冷却側第2温度センサ121は、第2蒸発器43から流出した直後の第2の液体の温度を検出するようになっており、上述したように第2膨張弁制御装置94に電気的に接続されている。第2ヒータ122は、下流部102Dにおける冷却側第2温度センサ121の下流側に配置され、第2蒸発器43側から流入する第2の液体を加熱して流出させるようになっている。第2ポンプ123は、下流部102Dにおける第2ヒータ122の下流側に配置され、下流部102D内の第2の液体を第2蒸発器43側から吐出部125側へ通流させるために駆動する。また加熱側第2温度センサ124は、下流部102Dにおける第2ポンプ123の下流側に設けられる。ここで、加熱側第2温度センサ124及び第2ヒータ122は、第2加熱量制御装置127に電気的に接続され、本実施の形態における第2加熱量制御装置127は、加熱側第2温度センサ124が検出する温度が所望の値となるように、第2ヒータ122の加熱量を制御することが可能となっている。
【0048】
以上のような本実施の形態における第2液体通流装置102では、例えば
図1に示すように、吐出部125と受け入れ部126との間に二点鎖線で示す配管Y1を設け、配管Y1の途中で第2の液体により温度制御対象物Y2の熱を吸熱するか又は温度制御対象物Y2に熱を放熱することで、温度制御対象物Y2を温度制御することができる。具体的に本実施の形態では、第2の液体によって温度制御対象物Y2の熱を吸熱することで、温度制御対象物Y2を冷却することができる。
【0049】
また第3液体通流装置103は、熱媒体通流装置50における冷却用熱交換器53に接続され、冷却用熱交換器53を通流する熱媒体によって冷却される第3の液体を冷却用熱交換器53内に供給するとともに冷却用熱交換器53から流出した第3の液体を通流させる第3液体通流路103Aを有している。第3液体通流路103Aは、冷却用熱交換器53から流出した第3の液体を受け入れて通流させる下流部103Dと、冷却用熱交換器53内に第3の液体を供給する上流部103Uと、を有しており、このうちの下流部103Dの側に、第3ヒータ132と、第3ポンプ133と、加熱側第3温度センサ134と、が設けられている。
【0050】
そして下流部103Dの冷却用熱交換器53側とは反対側の端部には、第3の液体を吐出する吐出部135が設けられ、吐出部135には、第3の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。一方、上流部103Uの冷却用熱交換器53側とは反対側の端部には、第3の液体を受け入れ可能な受け入れ部136が設けられ、受け入れ部136には、第3の液体を通流させるための配管を接続することが可能となっている。
【0051】
また第3ヒータ132は、冷却用熱交換器53側から流入する第3の液体を加熱して流出させるようになっており、第3ポンプ133は、下流部103Dにおける第3ヒータ132の下流側に配置され、下流部103D内の第3の液体を冷却用熱交換器53側から吐出部135側へ通流させるために駆動する。また加熱側第3温度センサ134は、下流部103Dにおける第3ポンプ133の下流側に設けられる。ここで、加熱側第3温度センサ134及び第3ヒータ132は、第3加熱量制御装置137に電気的に接続され、本実施の形態における第3加熱量制御装置137は、加熱側第3温度センサ134が検出する温度が所望の値となるように、第3ヒータ132の加熱量を制御することが可能となっている。
【0052】
以上のような本実施の形態における第3液体通流装置103では、例えば
図1に示すように、吐出部135と受け入れ部136との間に二点鎖線で示す配管Z1を設け、配管Z1の途中で第3の液体により温度制御対象物Z2の熱を吸熱するか又は温度制御対象物Z2に熱を放熱することで、温度制御対象物Z2を温度制御することができる。具体的に本実施の形態では、第3の液体によって温度制御対象物Z2の熱を吸熱することで、温度制御対象物Z2を冷却することができる。
【0053】
(温度制御装置の動作)
次に、温度制御装置1の動作の一例について説明する。本例では、まず、第1の液体による温度制御対象物X2の冷却、第2の液体による温度制御対象物Y2の冷却及び第3の液体による温度制御対象物Z2の冷却が可能となるように、第1〜第3液体通流装置101〜103のそれぞれに、対応する配管X1,Y1,Z1を接続する。その後、圧縮機21、熱媒体通流装置50及び第1,第2,第3ポンプ113,123,133が駆動される。
【0054】
圧縮機21が駆動されると、冷凍装置10の第1冷凍回路20では、圧縮機21によって圧縮された冷媒が、凝縮器22に流入し、熱媒体通流装置50の熱媒体によって凝縮される。その後、冷媒は、過冷却用熱交換器33を通過する。この際、本実施の形態では、過冷却用制御弁32が常時開いており、凝縮器22の下流側を通流する凝縮された冷媒の一部が、過冷却用バイパス流路31へ通流し過冷却用制御弁32の下流側で膨張されて低温となることで、凝縮器22から過冷却用熱交換器33を介して第1膨張弁23側へ通流する冷媒に対して過冷却度が付与される。過冷却用制御弁32によって膨張された冷媒は、吸熱した状態で圧縮機21へ流入する。そして第1膨張弁23を通過した冷媒は、減圧されて低温となり、第1蒸発器24に流入する。
【0055】
第1蒸発器24に流入した冷媒は、第1液体通流装置101を通流する第1の液体と熱交換して第1の液体を冷却する。ここで、第1液体通流装置101は、第1蒸発器24に流入した冷媒によって冷却された第1の液体を、第1ヒータ112によって加熱することで、第1の液体を所望の値に調節する。そして、このように所望の値に調節された第1の液体によって、温度制御対象物X2が温度制御される。また第1の液体と熱交換した冷媒は、圧縮機21側へ通流して、再度、圧縮機21によって圧縮されることになる。
【0056】
第2冷凍回路40においては、過冷却用熱交換器33の上流側で分岐流路41へ分岐した冷媒が、第2膨張弁42によって減圧されて低温となり、第2蒸発器43に流入する。そして第2蒸発器43に流入した冷媒は、第2液体通流装置102を通流する第2の液体と熱交換して第2の液体を冷却する。ここで、第2液体通流装置102は、第2蒸発器43に流入した冷媒によって冷却された第2の液体を、第2ヒータ122によって加熱することで、第2の液体を所望の値に調節する。そして、このように所望の値に調節された第2の液体によって、温度制御対象物Y2が温度制御される。また第2の液体と熱交換した冷媒は、インジェクション流路61からの冷媒を混合されて又は混合されずに、第1冷凍回路20における第1蒸発器24の下流側へ通流して、再度、圧縮機21によって圧縮されることになる。
【0057】
また熱媒体通流装置50においては、第2冷却流路52へ通流した熱媒体が、冷却用熱交換器53を通流して、その後、第1冷却流路51における凝縮器22の下流側に戻る。冷却用熱交換器53に流入した冷媒は、第3液体通流装置103を通流する第3の液体と熱交換して第3の液体を冷却する。ここで、第3液体通流装置103は、冷却用熱交換器53に流入した冷媒によって冷却された第3の液体を、第3ヒータ132によって加熱することで、第3の液体を所望の値に調節する。そして、このように所望の値に調節された第3の液体によって、温度制御対象物Z2が温度制御される。
【0058】
本実施の形態では、第1蒸発器24から流出した冷媒と第2蒸発器43から流出した冷媒とが混合して、圧縮機21側へ流入することになり、この場合、混合された冷媒の温度又は圧力が変動し易くなる。このような変動を抑制するために、本実施の形態では、インジェクション回路60とリターン回路70とが設けられている。具体的には、インジェクション回路60は、圧縮機21の上流側の冷媒の温度又は圧力が所望の値よりも大きい場合に、過冷却用熱交換器33を通過した低温且つ低圧の冷媒をインジェクション流路61から圧縮機21の上流側へ供給する。またリターン回路70は、圧縮機21の上流側の冷媒の温度又は圧力が所望の値よりも小さい場合に、高温且つ高圧の冷媒をリターン流路71から圧縮機21の上流側へ供給する。これにより、本実施の形態では、圧縮機21に不所望な状態の冷媒が流入することを抑制できることで、温度制御が不安定となることを抑制することが可能となっている。
【0059】
ここで、
図2はインジェクション回路60とリターン回路70とが動作する際の第1冷凍回路20のモリエル線図を示し、
図3は、
図2のモリエル線図上に示された複数の冷媒の状態を示す点が冷凍装置10上に便宜的に図示された冷凍装置10、特に第1冷凍回路20の拡大図である。
図2及び
図3に示される第1冷凍回路20における冷凍サイクルでは、圧縮機21に吸入された冷媒は、点Aから点Bへの移行に示されるように、圧縮される。圧縮機21によって吐出された冷媒は、凝縮器22によって凝縮されることで冷却されて、点Bから点Cへの移行に示されるように、その比エンタルピーが低減する。
【0060】
次いで凝縮器22によって凝縮された冷媒の一部は、過冷却用熱交換器33において、過冷却度を付与されて、点Cから点C’への移行に示されるように、その比エンタルピーが低減する。この際、過冷却用熱交換器33において過冷却度を付与する過冷却用バイパス流路31を通流する冷媒は、過冷却用制御弁32によって膨張され、点Cから点Eへの移行に示されるように、例えば中圧程度に減圧され、この状態で過冷却用熱交換器33において過冷却度を付与している。その後、過冷却度を付与した冷媒は、比エンタルピーを増加させた状態で、点Eから、点A−点B間の移行において圧縮されている冷媒と混合されて、点Bに至る。
【0061】
次いで上述のように過冷却用熱交換器33において過冷却度を付与された冷媒は、点C’から点Dへの移行に示されるように、第1膨張弁23によって減圧されて低温となる。その後、第1膨張弁23から吐出された冷媒は、第1蒸発器24において、第1の液体と熱交換し、この例では、点Dから点A’への移行に示されるように、吸熱して、その比エンタルピーが増加する。
【0062】
この際、点A’に示すように冷媒に過度に過熱度が付与されている場合に、インジェクション回路60が、点C’から点D’への移行に示されるように、過冷却用熱交換器33を通過した冷媒を、低温且つ低圧の冷媒として、過度に過熱度が付与され冷媒と混合させることで、点A’から点A’’への移行に示されるように、冷媒の過熱度を低減させることができる。そして、この際、本例では、点A’’に示すように冷媒の比エンタルピーが過度に低減されており、冷媒の温度又は圧力が不所望に低下しているが、この場合においては、点Bから点B’への移行に示されるように、リターン回路70によって圧縮機21の下流側の高温且つ高圧の冷媒を過度に温度又は圧力が低下した冷媒と混合させることで、冷媒が、点A’’から点Aへの移行に示されるように望ましい状態となり得る。このようにして圧縮機21に不所望な状態の冷媒が流入することを抑制できることで、温度制御が不安定となることを抑制することができる。
【0063】
以上に説明した本実施の形態では、第1膨張弁23及び第1蒸発器24と第2膨張弁42及び第2蒸発器43とが、それぞれの上流側において共通の圧縮機21及び凝縮器22に接続される。そして圧縮機21から吐出され凝縮器22から流出する冷媒を、第1膨張弁23を介して第1蒸発器24に通流させるとともに、第2膨張弁42を介して第2蒸発器43に通流させることができ、各蒸発器で異なる温度制御対象物又は空間を冷却することが可能となる。これにより、複数の温度制御対象物又は空間を、装置サイズを抑制しつつ効率的に冷却することができる。とりわけ複数の温度制御対象物又は空間のうちの一部が要求する温度制御範囲が他のものと異なる際に、広い温度制御範囲を要求する温度制御対象物又は空間を過冷却用熱交換器33によって過冷却された冷媒が通流する第1蒸発器24で冷却し、他の温度制御対象物又は空間を第2蒸発器43で冷却することで、特に効果的に冷凍装置の装置サイズを抑制しつつエネルギー消費量を抑制することができる。
【0064】
また冷凍装置10は、インジェクション回路60を通してバイパスされる凝縮された冷媒を、第1蒸発器24の下流側に流出した冷媒と混合させることが可能であるため、圧縮機21に流入する冷媒の温度や圧力を所望の状態に容易に制御することができる。これにより、圧縮機21の動作を安定させて温度制御の安定性を向上させることができる。さらに、冷凍装置10は、圧縮機21の上流の冷媒が不所望に低温又は低圧の際に、リターン回路70を介して圧縮機21から吐出された高温且つ高圧の冷媒を圧縮機21の上流側に戻すことによって、圧縮機21の上流の冷媒を望ましい状態に調節して圧縮機21に流入させることができる。これによっても、圧縮機21の動作を安定させて温度制御の安定性を向上させることができる。
【0065】
また本実施の形態におけるリターン調節弁72は、第1冷凍回路20における圧縮機21の下流側で且つ凝縮器22の上流側の部分を通流する冷媒の圧力と、第1冷凍回路20における第1蒸発器24の下流側で且つ圧縮機21の上流側の部分であって分岐流路41の接続位置よりも下流側の部分を通流する冷媒の圧力との圧力差に応じて、その開度を調節するように構成されている。これにより、圧縮機21の上流の冷媒が不所望に低温又は低圧である際に、構成を複雑化することなく、圧縮機21の上流の冷媒を望ましい状態に調節して圧縮機に流入させることができる。
【0066】
また冷凍装置10は、凝縮器22を通流する冷媒を凝縮させるための熱媒体を凝縮器22内に供給するとともに凝縮器22から流出した熱媒体を通流させる第1冷却流路51と、第1冷却流路51における凝縮器22に対して上流側に位置する部分および下流側に位置する部分を熱媒体が通流可能となるように連通させる第2冷却流路52と、第2冷却流路52に設けられた冷却用熱交換器53と、を有する熱媒体通流装置50をさらに備えている。これにより、第1冷凍回路20を通流する冷媒を凝縮するための熱媒体を冷却用熱交換器53側に通流させることで、冷却用熱交換器53による温度制御が可能となり、装置の大型化を抑制しつつ、温度制御可能な温度制御対象物又は空間をさらに増やすことができる。
【0067】
(温度制御装置の適用例)
図4は、本実施の形態に係る温度制御装置1をプラズマエッチング装置200に接続することにより構成された半導体製造システムの概略図である。プラズマエッチング装置200は、下部電極201と、上部電極202と、下部電極201及び上部電極202を収容する容器203と、を備えている。エッチングを行う場合、下部電極201、上部電極202、容器203の順で温度が高温となる。このようなプラズマエッチング装置200に対して、本実施の形態にかかる温度制御装置1は、第1液体通流装置101を下部電極201に接続し、第2液体通流装置102を上部電極202に接続し、第3液体通流装置103を容器203に接続する。これにより、本実施の形態にかかる温度制御装置1によってプラズマエッチング装置200を効率的に冷却することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、温度制御装置1が、冷凍装置10と、第1〜第3液体通流装置101〜103と、を備えるが、液体循環装置を設けずに、冷凍装置10を空気調和装置として用いてもよい。