特許第6801905号(P6801905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801905
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】簡易自立機構を備える回転ダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/14 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   F16F9/14 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-517499(P2019-517499)
(86)(22)【出願日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】JP2018014555
(87)【国際公開番号】WO2018207511
(87)【国際公開日】20181115
【審査請求日】2019年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-95087(P2017-95087)
(32)【優先日】2017年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【弁理士】
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】織田 信寿
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 孝行
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−163472(JP,A)
【文献】 特開2005−98441(JP,A)
【文献】 特開2015−227719(JP,A)
【文献】 特開2009−293697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/14
A47K 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開口し他端が閉塞して粘性流体が充填される、軸心に向かって所定高さで突出する隔壁が深さ方向の内周に形成される圧力室を有するハウジングと、
前記圧力室に回転自在に収容され外周が前記隔壁と近接する軸部、前記軸部の軸心方向において前記隔壁を挟む閉塞端側および開口端側に前記圧力室を区画する圧力作用板、閉塞端側に区画される前記圧力室における前記軸部の外周に前記軸部の軸心方向に所定高さで突出して形成される羽根部、および、前記軸部に同軸に形成されて前記ハウジングから突出する、開閉部材が取り付けられる被取付部を有する回転部材と、
前記圧力室を封止する封止部材とを備えて構成され、
前記回転部材が一方向に回転すると前記軸部の周りに粘性流体の主流路を形成し、前記回転部材が他方向に回転すると前記主流路を閉じる回転ダンパにおいて、
前記ハウジングは内周の対向する位置に前記隔壁を一対備え、
前記回転部材は前記軸部の外周の対向する位置に前記羽根部並びに第1の溝および第2の溝を一対備え、
前記第1の溝は、前記羽根部の根元から前記軸部の外周に周方向に所定長形成され、前記開閉部材が自立する前記回転部材の回転位置において、前記主流路の副流路を前記隔壁との間に形成し、
前記第2の溝は、前記第1の溝との間に前記軸部の周方向に所定の間隔をあけて、前記軸部の外周に周方向に所定長形成され、前記回転部材が前記一方向に回転して前記開閉部材が直立するまでの前記回転部材の回転位置において、前記主流路の副流路を前記隔壁との間に形成し、
前記第1の溝と前記第2の溝との間にあけられた前記所定の間隔に存在する前記軸部の外周は、前記開閉部材が直立する前記回転部材の回転位置において前記隔壁の頂部に近接して、前記第1の溝または前記第2の溝によって前記隔壁との間に形成される前記主流路の副流路を閉じる
ことを特徴とする簡易自立機構を備える回転ダンパ。
【請求項2】
前記第2の溝は、前記第1の溝側の一端部が最も深く、前記第1の溝から離れるにしたがって浅くなり、前記第1の溝から離れた他端部が前記軸部の外周面と面一になる底面をしていることを特徴とする請求項1に記載の簡易自立機構を備える回転ダンパ。
【請求項3】
前記羽根部または前記軸部に装着され、前記回転部材が前記一方向に回転すると前記羽根部との間または前記圧力室の内面との間における前記軸部の周りに粘性流体の前記主流路を形成し、前記回転部材が前記他方向に回転すると前記主流路を閉じる弁部材を一対備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の簡易自立機構を備える回転ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材の開閉動作に制動力を与えて緩衝する回転ダンパに関し、特に、開閉部材を簡易的に自立させる自立機構を備える回転ダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の回転ダンパとしては、例えば、特許文献1に開示された、洋式トイレの便蓋を簡易的に自立させる回転ダンパがある。
【0003】
この簡易自立機構を備える回転ダンパは、粘性流体を充填する圧力室を具備した円筒形状のハウジングと、このハウジングに組み込む回転部材と、回転部材に設置する弁部材とを備える。回転部材には圧力室に組み込む軸部を備え、この軸部には粘性流体の流路となる凹空間が形成されている。凹空間は、軸部の外周に形成された羽根部の根元部から近い位置が最も深く、徐々に浅くなって軸部の外周面と面一になる。洋式トイレの便蓋を開ける方向に動かすと回転部材は時計回りに回転し、ハウジングの内周に形成された隔壁先端と凹空間とで粘性流体の流路が形成される。この流路の大きさは、便蓋を開くのに連れて徐々に大きくなり、便蓋が自立する手前で最大となる。したがって、便蓋を開ける力は、流路の大きさが徐々に大きくなるのに伴って徐々に軽くなる。その後、便蓋を開ける動作の終盤で流路は閉塞して断たれ、便蓋を開ける力は、便蓋が自立する手前で重くなる。この閉塞位置を超えて便蓋が開けられると、便蓋の自立が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−227719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された上記従来の簡易自立機構を備える回転ダンパでは、便蓋を開ける動作の終盤で、便蓋の開方向から閉方向への反発力が便蓋に生じ、便蓋が跳ね返る不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
一端が開口し他端が閉塞して粘性流体が充填される、軸心に向かって所定高さで突出する隔壁が深さ方向の内周に形成される圧力室を有するハウジングと、
圧力室に回転自在に収容され外周が隔壁と近接する軸部、軸部の軸心方向において隔壁を挟む閉塞端側および開口端側に圧力室を区画する圧力作用板、閉塞端側に区画される圧力室における軸部の外周に軸部の軸心方向に所定高さで突出して形成される羽根部、および、軸部に同軸に形成されてハウジングから突出する、開閉部材が取り付けられる被取付部を有する回転部材と、圧力室を封止する封止部材とを備えて構成され、
回転部材が一方向に回転すると軸部の周りに粘性流体の主流路を形成し、回転部材が他方向に回転すると主流路を閉じる回転ダンパにおいて、
前記ハウジングは内周の対向する位置に前記隔壁を一対備え、
前記回転部材は前記軸部の外周の対向する位置に前記羽根部並びに第1の溝および第2の溝を一対備え、
前記第1の溝は、前記羽根部の根元から前記軸部の外周に周方向に所定長形成され、前記開閉部材が自立する前記回転部材の回転位置において、前記主流路の副流路を前記隔壁との間に形成し、
前記第2の溝は、前記第1の溝との間に前記軸部の周方向に所定の間隔をあけて、前記軸部の外周に周方向に所定長形成され、前記回転部材が前記一方向に回転して前記開閉部材が直立するまでの前記回転部材の回転位置において、前記主流路の副流路を前記隔壁との間に形成し、
前記第1の溝と前記第2の溝との間にあけられた前記所定の間隔に存在する前記軸部の外周は、前記開閉部材が直立する前記回転部材の回転位置において前記隔壁の頂部に近接して、前記第1の溝または前記第2の溝によって前記隔壁との間に形成される前記主流路の副流路を閉じることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、回転部材の被取付部を洋式トイレの便蓋等の開閉部材に固定して取り付け、第1の溝および第2の溝を軸部の外周に所定の位置関係に形成することで、開閉部材は、開けられて自立する手前まで、第2の溝と隔壁との間に形成される副流路を主流路と共に粘性流体が通ることで、開ける力が軽くなる。しかし、開閉部材は、開けられて自立する手前で、第2の溝および第1の溝間の軸部の外周によって副流路が塞がれるので、制動力が加えられ、開ける力が重くなる。開閉部材は、開ける力が重くなるこの位置を超えて開けられると、この制動力によって自立することが可能になる。また、開閉部材は、開ける力が重くなるこの位置を超えて開けられると、第1の溝によって隔壁との間に再び粘性流体の副流路が主流路と共に形成されて、自立動作の最終時には制動力がかからなくる。このため、開閉部材を開ける動作の終盤で、開閉部材の開方向から閉方向への反発力が開閉部材に生じることで従来生じた、開閉部材が跳ね返る不都合は、解消される。
また、本構成によれば、回転部材の軸部の軸心を挟む対向する位置に、粘性流体の流路が対象に形成される。このため、回転部材の回転制動に偏った力がかからなくなり、回転部材の回転制動は安定して行われる。また、回転制動力を確保することができ、開閉部材の回転制動を確実に行える。
【0008】
また、本発明は、第2の溝が、第1の溝側の一端部が最も深く、第1の溝から離れるにしたがって浅くなり、第1の溝から離れた他端部が軸部の外周面と面一になる底面をしていることを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、開閉部材を開けて開閉部材が自立する手前まで、第2の溝と隔壁との間に形成される粘性流体の副流路は徐々に大きくなり、開閉部材を開ける力は徐々に軽くなる。このため、開閉部材の開操作を滑らかに行え、開閉部材の操作性が向上する。
【0010】
また、本発明は、羽根部または軸部に装着され、回転部材が一方向に回転すると羽根部との間または圧力室の内面との間における軸部の周りに粘性流体の主流路を形成し、回転部材が他方向に回転すると主流路を閉じる弁部材を一対備えることを特徴とする。
【0011】
本構成によれば、弁部材によって粘性流体の主流路の開閉が行われる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、便蓋等の開閉部材を開ける動作の終盤で開閉部材が跳ね返る不都合が生じない簡易自立機構を備える回転ダンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを一方の側から見た分解斜視図である。
図2】第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを他方の側から見た分解斜視図である。
図3】第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを構成するハウジングの圧力室を臨む正面図である。
図4図3に示すハウジングをIV−IV線に沿って破断した縦断面図である。
図5】(a)は、第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを構成するシャフトの正面図、(b)は側面図である。
図6】第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパの一部破断断面図である。
図7】第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを構成するシャフトの軸部の横断面図である。
図8】(a)は、第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパを構成するベーンの正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図である。
図9】第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパが適用された洋式トイレの一部破断平面図である。
図10】(a)〜(e)は、図9に示す便座・便蓋の開操作時における、第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパ内部の動きを示す断面図、(f)〜(j)は閉操作時における回転ダンパ内部の動きを示す断面図である。
図11】第1実施形態の第1変形例による回転ダンパを示し、(a)は、この第1変形例による回転ダンパが備えるシャフトの側面図、(b)は、第1変形例による回転ダンパの一部破断断面図である。
図12】第1実施形態の第2変形例による回転ダンパを示し、(a)は、この第2変形例による回転ダンパが備えるシャフトの側面図、(b)は、第2変形例による回転ダンパの一部破断断面図である。
図13】本発明の第2実施形態による回転ダンパを示し、(a)は、この第2実施形態による回転ダンパを一方の側から見た分解斜視図、(b)は、他方の側から見た分解斜視図である。
図14】本発明の第3実施形態による回転ダンパを示し、(a)は、この第3実施形態による回転ダンパを一方の側から見た分解斜視図、(b)は、他方の側から見た分解斜視図である。
図15】本発明の第4実施形態による回転ダンパを示し、(a)は、この第4実施形態による回転ダンパを一方の側から見た分解斜視図、(b)は、他方の側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明による簡易自立機構を備える回転ダンパを実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態による簡易自立機構を備える回転ダンパ1を一方の側から見た分解斜視図、図2は他方の側から見た分解斜視図である。
【0018】
回転ダンパ1は、ハウジング2、シャフト3、ベーン4、摺動部材5、Oリング6、およびキャップ7を主な構成要素として備える。
【0019】
ハウジング2は、一端が開口し、他端が閉塞した円筒形状をしており、その内部空間に形成される圧力室2aには、シリコーンオイル等の図示しない粘性流体が充填される。この圧力室2aには、その深さ方向の内周に隔壁2bが形成されている。また、ハウジング2の閉塞端側の外部には、略直方体状をした係止部2cが設けられている。隔壁2bは、図3の正面図に示すように、圧力室2aの内周の対向する位置に一対備えられ、断面形状が略扇形形状をして、ハウジング2の軸心に向かって所定高さで突出している。
【0020】
図4は、図3のIV−IV線に沿って破断したハウジング2の縦断面図である。ハウジング2の内部の閉塞端側の端面には、小径の円柱状に開口する軸支部2dが軸部2aと同軸に形成されている。また、ハウジング2の開放端側には、圧力室2aよりも少し大径で幅の小さな接合内径部2eが形成されている。
【0021】
図5(a)はシャフト3の正面図、図5(b)は側面図である。シャフト3は、軸部3a、圧力作用板3b、羽根部3c、および被取付部3dを主な構成要素とする回転部材を構成する。
【0022】
軸部3aは端部に小径部3a3を有する。シャフト3は、この小径部3a3がハウジング2の軸支部2dに挿入され、圧力作用板3bが接合内径部2eの内周に外周が近接して、図6に示す回転ダンパ2の一部破断断面図に示すように、ハウジング2に取り付けられる。シャフト3のこの取付により、軸部3aはハウジング2の圧力室2aに回転自在に収容される。隔壁2bの頂部2b1は、軸部3aの外周と極僅かな隙間を有する曲面形状をしており、軸部3aの外周は隔壁2bの頂部2b1に近接する。
【0023】
圧力作用板3bは、軸部3の軸心方向において、隔壁2bを挟むハウジング2の閉塞端側、およびハウジング2の開口端側に、圧力室2aを区画する。ハウジング2の開口端側の圧力室2aに面する圧力作用板3bの端面の面積S2は、閉塞端側の圧力室2aに面する圧力作用板3bの反対側の端面の面積S1よりも大きく設定されている。
【0024】
閉塞端側に区画される圧力室2aにおける軸部3aの外周には、軸部3aの軸心方向に所定高さで突出して延び、断面形状が台形形状の羽根部3cが形成されている。羽根部3cは、軸部3aの外周の対向する位置に一対備えられており、両端部に挟まれた中央部の一部が所定長さに切り欠かれて、切り欠き部3c1が形成されている。羽根部3cの長手方向の長さL2は、隔壁2bの長さL1よりも僅かに短く設定されている。また、羽根部3cの一側面Aには出っ張りが無いが、他側面Bには、切り欠き部3c1の基部3c2が軸部3aの周方向に張り出して形成されている。
【0025】
各羽根部3cの他側面B側には、羽根部3cの根元から軸部3aの外周に第1の溝3a1が周方向に所定長で所定幅に形成されている。また、この第1の溝3a1と所定の間隔をあけた軸部3aの外周には、第2の溝3a2が周方向に所定長で所定幅に形成されている。図7に示す軸部3aの横断面図に示すように、本実施形態では、第2の溝3a2は、第1の溝3a1側の一端部が最も深く、第1の溝3a1から離れるにしたがって浅くなり、第1の溝3a1から離れた他端部が軸部3aの外周面と面一になる底面をしている。第1の溝3a1は、第2の溝3a2の最も深い深さと同じ一定深さの底面をしている。第2の溝3a2の底面は、軸部3aの軸心から離れた位置に軸心を持つ円柱面になっている。しかし、第2の溝3a2の底面は、このような形状に限られることはなく、例えば、平坦な面や、正定曲率の面、負定曲率の面などにしてもよい。
【0026】
軸部3aに同軸に、圧力作用板3bを挟んで被取付部3dが形成されている。被取付部3dは、軸部3aが圧力室2aに収容されると、ハウジング2から突出する。被取付部3dと圧力作用板3bとの間には、図5に示すように、圧力作用板3bの側から、摺動部材取付部3eおよびOリング装着部3fが形成されている。
【0027】
図8(a)はベーン4の正面図、図8(b)は平面図、図8(c)は底面図、図8(d)は左側面図である。
【0028】
ベーン4は、一対の側壁4a,4bおよび連結部4cを主要な構成要素とし、弁部材を構成する。連結部4cは各側壁4a,4b間を連結する。一方の側壁4aは、羽根部3cの一側面Aに内側面aが当接して、羽根部3cの切り欠き部3c1を塞ぐ。他方の側壁4bは、羽根部3cの他側面Bに内側面bが当接する。他方の側壁4bには、この際に、羽根部3cの切り欠き部3c1を開口させる切り欠き部4b1が形成されている。ベーン4は、各側壁4a,4bが所定の遊びを持って各羽根部3cを挟んで跨がり、シャフト3に一対設けられる。この際、連結部4cの内周4c1は羽根部3cの頂部を摺接し、外周4c2は閉塞端側に区画される圧力室2aの内周に摺接する。
【0029】
ベーン4の長手方向の長さL3は、羽根部3cの長さL2と同程度の長さに設定されている。ベーン4は、羽根部3cに跨がって取り付けられることで、切り欠き部4b1が羽根部3cの基部3c2を僅かな遊びを持って挟む。これにより、ベーン4は、長手方向両端が、圧力室2aの閉塞端および圧力作用板3bとの間に、僅かな隙間を形成する。
【0030】
摺動部材5は、薄肉の中空円板で、シャフト3の摺動部材取付部3eに取り付けられて、シャフト3とキャップ7との間に介在する。この摺動部材5により、シャフト3とキャップ7の接触により生じる摩耗が低減される。本実施形態では、摺動部材5は高分子化合物で形成され、その耐摩耗性が確保されている。Oリング6はゴム等の弾性部材から形成され、シャフト3のOリング装着部3fに取り付けられる。このOリング6により、シャフト3とキャップ7との間から、圧力室2aに充填された粘性流体が漏れるのが防止されている。キャップ7およびOリング6は圧力室2aを封止する封止部材を構成する。
【0031】
キャップ7は、一端にフランジ部を有する中空円筒形状をしている。このキャップ7は、円筒部外周の接合外径部7a(図1図2参照)がハウジング2の接合内径部2e(図4参照)に接してハウジング2に取り付けられることで、ハウジング2の開口端を塞ぐ。キャップ7とハウジング2とは、接合外径部7aと接合内径部2eとが超音波溶着等によって接合されることで、相互に固定される。
【0032】
このような構成をした回転ダンパ1は、例えば、図9に示す洋式トイレ11における便座・便蓋11bを開閉させるヒンジ装置に用いられる。この場合、ハウジング2の係止部2cは、洋式トイレ11の本体11aに固定され、シャフト3の被取付部3dは、回転制動がかけられる制動対象物、つまり、便座・便蓋11bに取り付けられる。
【0033】
図10(a)〜(e)は、便座・便蓋11bの開操作時における回転ダンパ1の内部の動きを示す断面図、図10(f)〜(j)は便座・便蓋11bの閉操作時における回転ダンパ1の内部の動きを示す断面図である。これら各断面図は、図9に示す側と反対側の便座・便蓋11bの側部に取り付けられる回転ダンパ1の内部をハウジング2の開放端側から見た図である。
【0034】
ハウジング2の閉塞端側の圧力室2aは、隔壁2bとシャフト3の軸部3aによって軸部3aの軸心周りに第1の圧力室P1と第2の圧力室P2とに区画される。また、圧力作用板3bによりハウジング2の開放端側に区画される圧力室2aは、第3の圧力室P3(図6参照)になる。これら各圧力室P1,P2およびP3には粘性流体が充填されている。
【0035】
図10(a)は便座・便蓋11bが閉じた開き角度0°の状態における回転ダンパ1の内部状態を示している。この状態では、羽根部3cの側面Aはベーン4の側壁4aの内側面aに当接し、羽根部3cの側面Bとベーン4の側壁4bの内側面bとは離れている。便座・便蓋11bをこの状態から開け始めると、シャフト3はハウジング2の開放端側から見ると反時計回りに左回転する。シャフト3が左回転すると、図10(b)に示すように、羽根部3cの側面Aはベーン4の側壁4aの内側面aから離れ、羽根部3cの側面Bはベーン4の側壁4bの内側面bに当接する。この状態では、羽根部3cの側面Aとベーン4の側壁4aの内側面aとの間に隙間ができ、ベーン4の切り欠き部4b1および羽根部3cの切り欠き部3c1を介してこの隙間を通る第1の流路F1が主流路として形成される。また、ベーン4の長手方向の一端と圧力室2aの閉塞端との間に形成される隙間に第2の流路F2、ベーン4の長手方向の他端と圧力作用板3bとの間に形成される隙間に第3の流路F3が形成される(図6参照)。このため、シャフト3の左回転によって圧力室P1,P2の粘性流体は、回転方向前方から、第1の流路F1、第2の流路F2および第3の流路F3を通って、回転方向の後方に移動する。しかし、第2の流路F2および第3の流路F3は第1の流路F1に比べて小さく、第1の流路F1は十分大きな大きさに設定されているため、粘性流体は第1の流路F1を大きな抵抗を受けずに通過する。このため、シャフト3の回転には軽い回転トルクがかかり、便座・便蓋11bは総体的に軽い力で動く。
【0036】
図10(b)に示す状態から便座・便蓋11bがさらに開けられ、図10(c)に示す状態になると、軸部3aの外周に形成された第2の溝3a2を通る第4の流路F4が、隔壁2bの頂部2b1との間に副流路として形成される。第4の流路F4が形成されると、回転方向前方から回転方向の後方に移動する粘性流体にかかる抵抗は弱まる。便座・便蓋11bがさらに開けられと、第4の流路F4の大きさは、第2の溝3a2の深さが深くなるのにつれて大きくなり、粘性流体にかかる抵抗は図10(d)に示す便座・便蓋11bが直立する状態まで、さらに弱まっていく。このため、この間、シャフト3の回転にかかる回転トルクは次第に弱まり、便座・便蓋11bを開ける力は次第に軽くなる。
【0037】
便座・便蓋11bが図10(d)に示す直立状態になると、第2の溝3a2および第1の溝3a1間に存在する軸部3aの外周が隔壁2bの頂部2b1に接し、第4の流路F4が断たれる。このため、シャフト3の回転にかかる回転トルクは増大し、便座・便蓋11bを開ける力は重くなる。この状態を超えると、便座・便蓋11bは自立が可能になる。その後、便座・便蓋11bがさらに開けられ、軸部3aの外周に形成された第1の溝3a1が隔壁2bの頂部2b1にさしかかるようになると、第5の流路F5が副流路として形成される。第5の流路F5が形成されると、シャフト3の回転にかかる回転トルクは再び弱まり、便座・便蓋11bを開ける力は再び軽くなる。この状態で便座・便蓋11bがさらに開けられると、便座・便蓋11bは最終的に図10(e)に示す110°の角度に開き、自立状態を保つ。
【0038】
一方、便座・便蓋11bの閉操作時に、図10(f)に示す110°の角度に開いた状態から、便座・便蓋11bを閉め始めると、シャフト3はハウジング2の開放端側から見ると時計回りに右回転する。シャフト3が右回転すると、図10(g)に示すように、羽根部3cの側面Aはベーン4の側壁4aの内側面aに当接し、羽根部3cの側面Bはベーン4の側壁4bの内側面bから離れる。この状態では、羽根部3cに形成された切り欠き部3c1がベーン4の側壁4aの内側面aに塞がれ、ベーン4の切り欠き部4b1および羽根部3cの切り欠き部3c1を通る第1の流路F1が閉じる。したがって、圧力室P1,P2の粘性流体は、僅かな隙間によって形成される第2の流路F2および第3の流路F3を通り、回転方向前方から回転方向の後方に移動する。このため、粘性流体にかかる抵抗は大きく、シャフト3の回転にかかる回転トルクは強くなる。よって、便座・便蓋11bの閉動作に制動がかけられ、便座・便蓋11bは総体的にゆっくりと閉まる。
【0039】
図10(g)に示す状態は、便座・便蓋11bが図10(f)に示す110°の角度から90°の角度に直立した状態であり、この間、第1の溝3a1によって第5の流路F5が隔壁2bの頂部2b1との間に形成される。したがって、便座・便蓋11bの閉動作にかかる制動は幾分弱められる。しかし、便座・便蓋11bが図10(g)に示す直立した状態になると、第1の溝3a1および第2の溝3a2間に存在する軸部3aの外周が隔壁2bの頂部2b1に接して、第5の流路F5が閉じるので、便座・便蓋11bの閉動作にかかる制動は大きくなる。このため、便座・便蓋11bは直立した状態になると、一旦、閉まる速度が遅くなる。
【0040】
その後、シャフト3aが図10(h)に示す状態になると、第2の溝3a2によって第4の流路F4が隔壁2bの頂部2b1との間に形成される。この第4の流路F4は、シャフト3aが図10(i)に示す状態になるまで、第2の溝3a2が次第に浅くなるのに連れて、次第に小さくなる。このため、シャフト3の回転にかかる制動は第4の流路F4の形成によって再び幾分弱まるが、次第に大きくなる。したがって、便座・便蓋11bは、図10(h)に示す状態になると、閉まる速度が幾分速まるが、その後、図10(i)に示す状態になるまで、次第に遅くなる。その後、便座・便蓋11bは、図10(j)に示す、完全に閉まった0°の角度になるまで、一定の遅い速度でゆっくりと閉まる。
【0041】
また、シャフト3の圧力作用板3bの第3の圧力室P3に面する端面の面積S2は、圧力室P1,P2に面する反対側の端面の面積S1よりも大きいので、圧力室P1,P2には圧力室P3からシャフト3の軸方向に圧力作用板3bによって圧力が加わる。したがって、圧力室P1,P2側にある流路F1,F2,F3,F4およびF5はその体積が縮小させられ、圧力室P1,P2側にある粘性流体はその流動抵抗が増す。ここで、この事象を圧力作用板効果と称する。
【0042】
便座・便蓋11bを開ける方向に動かすと、この圧力作用板効果により、流路F1,F2,F3,F4およびF5は縮小する。しかし、流路F1は十分な大きさに設定してあるので、粘性流体の流路F1の通過に大きく影響することは無い。反対に便座・便蓋11bを閉める方向に動かすと、圧力作用板効果により、流路F2,F3,F4およびF5は縮小する。したがって、粘性流体の流動抵抗が増し、便座・便蓋11bの自立状態はしっかりと保たれ、より大きな自立感触を得ることができる。
【0043】
このような本実施形態による回転ダンパ1によれば、シャフト3の被取付部3dを洋式トイレ11の便座・便蓋11bに固定して取り付け、第1の溝3a1および第2の溝3a2を軸部3aの外周に所定の位置関係に形成することで、便座・便蓋11bは、開けられて自立する手前まで、第2の溝3a2と隔壁2bとの間に形成される第4の流路F4を粘性流体が通ることで、開ける力が軽くなる。しかし、便座・便蓋11bは、開けられて自立する手前で、第2の溝3a2および第1の溝3a1間の軸部3aの外周によって第4の流路F4が塞がれるので、制動力が加えられ、開ける力が重くなる。便座・便蓋11bは、開ける力が重くなるこの位置を超えて開けられると、この制動力によって自立することが可能になる。また、便座・便蓋11bは、開ける力が重くなるこの位置を超えて開けられると、第1の溝3a1によって隔壁2bとの間に第5の流路F5が形成されて、自立動作の最終時には制動力がかからなくる。このため、便座・便蓋11bを開ける動作の終盤で、便座・便蓋11bの開方向から閉方向への反発力が便座・便蓋11bに生じることで従来生じた、便座・便蓋11bが跳ね返る不都合は、解消される。
【0044】
また、本実施形態による回転ダンパ1によれば、便座・便蓋11bを開けて便座・便蓋11bが自立する手前まで、第2の溝3a2と隔壁2bとの間に形成される粘性流体の第4の流路F4は徐々に大きくなり、便座・便蓋11bを開ける力は徐々に軽くなる。このため、便座・便蓋11bの開操作を滑らかに行え、便座・便蓋11bの操作性が向上する。
【0045】
また、本実施形態による回転ダンパ1によれば、シャフト3の軸部3aの軸心を挟む対向する位置に、粘性流体の流路F1,F2,F3,F4およびF5が対象に形成される。このため、シャフト3の回転制動に偏った力がかからなくなり、シャフト3の回転制動は安定して行われる。また、回転制動力を確保することができ、便座・便蓋11bの回転制動を確実に行える。
【0046】
なお、本実施形態は、圧力作用板3bをシャフト3に一体に形成しているが、それぞれ別体として形成し、組み合わせても構わない。
【0047】
また、第1実施形態では、第1の溝3a1が、羽根部3cの根元の中央部から軸部3aの外周に、第2の溝3a2の端部との間に所定間隔をあけて、第2の溝3a2と同じ幅で所定長形成されている場合について、説明した。しかし、図11に示すシャフト3Aのように、羽根部3cの根元の中央部を挟む両側の軸部3aの外周に、第2の溝3a2の端部の周位置との間に所定間隔をあけて、羽根部3cの根元から周方向に所定長、第1の溝3a1に代えて第1の溝3a11,3a11を形成するように構成してもよい。図11(a)はシャフト3Aの側面図、図11(b)はシャフト3に代えてシャフト3Aを備える第1変形例による回転ダンパ1Aの一部破断断面図である。なお、図11において図5および図6と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。第1の溝3a11,3a11も第1の溝3a1と同様に一定深さの底面をしているが、その形成面積は第1の溝3a1よりも広いので、その深さを第2の溝3a2の最も深い深さよりも浅くしても、第5の流路F5を流れる粘性流体の流量を第1実施形態と同じにすることができる。
【0048】
また、図12に示すシャフト3Bのように、羽根部3cの根元の全域の軸部3aの外周に、第2の溝3a2の端部の周位置との間に所定間隔をあけて、羽根部3cの根元から周方向に所定長、第1の溝3a1に代えて第1の溝3a12を形成するように構成してもよい。図12(a)はシャフト3Bの側面図、図12(b)はシャフト3に代えてシャフト3Bを備える第2変形例による回転ダンパ1Bの一部破断断面図である。なお、図12において図5および図6と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。第1の溝3a12も第1の溝3a1と同様に一定深さの底面をしているが、その形成面積は第1の溝3a1よりも広いので、その深さを第2の溝3a2の最も深い深さよりも浅くすることができる。
【0049】
また、第1実施形態では、シャフト3の回転に応じて、ベーン4が一方の側壁4aと羽根部3cの側面Aとの間に隙間を形成することにより、他方の側壁4bに形成された切り欠き部4b1と羽根部3cの切り欠き部3c1とで第1の流路F1を開通させ、また、ベーン4の一方の側壁4aが羽根部3cの切り欠き部3c1を塞ぐことで、第1の流路F1を閉じるタイプの弁機構について、説明した。
【0050】
しかし、図13に示す本発明の第2実施形態による回転ダンパ1Cが備えるC型ベーン弁機構によっても、第1実施形態と同様に第1の流路F1を開通させたり、閉じたりすることができる。なお、図13において図1および図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。このC型ベーン弁機構では、羽根部3cAはその断面形状が円形状をしており、切り欠き部3c1のような切り欠きは無い。ベーン4Aは、その長手方向に沿って羽根部3cAの円形断面と略同一円の凹状部4A1が内周に形成されている。この凹状部4A1が羽根部3cAに嵌合してベーン4Aが羽根部3cAに装着されることで、ベーン4Aは羽根部3cAの円形断面の中心の周りに所定角度分回動可能になる。ベーン4Aの外周面には、圧力室2aの内周に密着して粘性流体の流動を阻止する密着面4A2と、粘性流体が流動可能な切り欠き部4A3とが形成されている。また、ベーン4Aの側面には平坦部4A4が形成されている。
【0051】
シャフト3Cがハウジング2の閉塞端側から見て反時計回りに左回転すると、ベーン4Aの平坦部4A4は粘性流体により流動抵抗を受け、密着面4A2と圧力室2aの内周とが密着する。これにより、第1の流路F1が閉じ、第1の圧力室P1と第2の圧力室P2との間における粘性流体の流動は大きな抵抗を受け、被取付部3dに取り付けられる制動対象物の回転には高いトルクがかかる。一方、シャフト3Cが閉塞端側から見て時計回りに右回転すると、ベーン4Aは羽根部3cAの円形中心の周りに逆方向に回動する。これにより、密着面4A2と圧力室2aの内周との密着が解け、ベーン4Aの切り欠き部4A3と圧力室2aの内周との間に隙間が生じて、第1の流路F1が開通する。したがって、制動対象物の回転にかかるトルクは低くなる。
【0052】
このC型ベーン弁機構を備える回転ダンパ1Cにおいても、第5の流路F5を隔壁2bとの間に形成する第1の溝3a1が、羽根部3cAの根元から軸部3aの外周に周方向に所定長形成され、第4の流路F4を隔壁2bとの間に形成する第2の溝3a2が、第1の溝3a1と所定の間隔をあけて軸部3aの外周に周方向に所定長形成されることで、第1実施形態と同様な作用効果が奏される。
【0053】
また、図14に示す本発明の第3実施形態による回転ダンパ1Dが備えるb型ベーン弁機構によっても、第1実施形態と同様に第1の流路F1を開通させたり、閉じたりすることができる。なお、図14において図1および図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。このb型ベーン弁機構では、羽根部3cBには、軸部3aの回転方向に貫通する流通路3cB1と、ベーン4Bが突き当たる段部3cB2とが形成されている。段部3cB2の頂部は圧力室2の内周に摺接する。ベーン4Bは、軸部3aの外周に沿った湾曲部4B1と、この湾曲部4B1に連続し、軸部3aからその直径方向に延びる弁部4B2とを有する。軸部3aの外周には、湾曲部4B1の湾曲長さよりも長く周方向に帯状凹部3aBが形成されている。ベーン4Bは、湾曲部4B1が帯状凹部3aBに嵌められて軸部3aに装着される。
【0054】
シャフト3Cがハウジング2の閉塞端側から見て反時計回りに左回転すると、ベーン4Bの弁部4B2が羽根部3cBの段部3cB2に突き当たって流通路3cB1を塞ぐ。これにより、第1の流路F1が閉じ、第1の圧力室P1と第2の圧力室P2との間における粘性流体の流動は大きな抵抗を受け、被取付部3dに取り付けられる制動対象物の回転には高いトルクがかかる。一方、シャフト3Dが閉塞端側から見て時計回りに右回転すると、ベーン4Bの湾曲部4B1が軸部3aの帯状凹部3aB内を移動し、弁部4B2が段部3cB2から離れて流通路3cB1が開放される。これにより第1の流路F1が開通する。したがって、制動対象物の回転にかかるトルクは低くなる。
【0055】
このb型ベーン弁機構を備える回転ダンパ1Dにおいても、第5の流路F5を隔壁2bとの間に形成する第1の溝3a1が、羽根部3cBの根元から軸部3aの外周に周方向に所定長形成され、第4の流路F4を隔壁2bとの間に形成する第2の溝3a2が、第1の溝3a1と所定の間隔をあけて軸部3aの外周に周方向に所定長形成されることで、第1実施形態と同様な作用効果が奏される。
【0056】
また、図15に示す本発明の第4実施形態による回転ダンパ1Eが備えるJ型ベーン弁機構によっても、第1実施形態と同様に第1の流路F1を開通させたり、閉じたりすることができる。なお、図15において図1および図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。このJ型ベーン弁機構では、羽根部3cCは、第1側壁3cC1と第2側壁3cC2との間に溝3cC3を備えて構成される。第1側壁3cC1および第2側壁3cC2にはそれぞれ切り欠きが形成されている。ベーン4Cは、弁部4C1と、Uの字状に曲げられたバネ部4C2とから構成され、弁部4C1の頂部は圧力室2aの内周に摺接する。弁部4C1の下方およびバネ部4C2の端部にも、それぞれ切り欠きが形成されている。ベーン4Cは、バネ部4C2が羽根部3cCの溝3cC3に嵌挿されて、羽根部3cCに装着される。
【0057】
シャフト3Eの非回転時、ベーン4Cは、バネ部4C2のUの字状の壁部が溝3cC3の壁部に着いており、第1側壁3cC1に形成された切り欠きが弁部4C1によって塞がれて、第1の流路F1は閉じている。シャフト3Eがハウジング2の閉塞端側から見て反時計回りに左回転しても、第1の流路F1が閉じた状態に変化は生じない。このため、第1の圧力室P1と第2の圧力室P2との間における粘性流体の流動は大きな抵抗を受け、被取付部3dに取り付けられる制動対象物の回転には高いトルクがかかる。一方、シャフト3Eが閉塞端側から見て時計回りに右回転すると、ベーン4Cは、弁部4C1の外側から粘性流体の圧力を受けて、バネ部4C2のUの字状の壁部が溝3cC3の壁部から離間する。このため、第1側壁3cC1の切り欠きと弁部4C1の下方の切り欠きとによって形成される流体通路、および、第2側壁3cC2の切り欠きとバネ部4C2の端部の切り欠きとによって形成される流体通路によって、第1の流路F1が開通する。したがって、制動対象物の回転にかかるトルクは低くなる。
【0058】
このJ型ベーン弁機構を備える回転ダンパ1Eにおいても、第5の流路F5を隔壁2bとの間に形成する第1の溝3a1が、羽根部3cCの根元から軸部3aの外周に周方向に所定長形成され、第4の流路F4を隔壁2bとの間に形成する第2の溝3a2が、第1の溝3a1と所定の間隔をあけて軸部3aの外周に周方向に所定長形成されることで、第1実施形態と同様な作用効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上記実施形態では、本発明による簡易自立機構を備える回転ダンパを洋式トイレのヒンジ装置に適用した場合について、説明した。しかし、本発明による簡易自立機構を備える回転ダンパは、洋式トイレのヒンジ装置に限ることなく、物体間を開閉自在に支持する他の開閉装置にも同様に適用することが出来、上記の実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0060】
1…回転ダンパ、2…ハウジング、2a…圧力室、2b…隔壁、2b1…隔壁2bの頂部、2c…係止部、2d…軸支部、2e…接合内径部、2f…雌ねじ部、3…シャフト(回転部材)、3a…軸部、3a1…第1の溝、3a2…第2の溝、3a3…小径部、3b…圧力作用板、3c…羽根部、3c1…切り欠き部、3c2…基部、3d…被取付部、3e…摺動部材取付部、3f…Oリング装着部、4…ベーン(弁部材)、4a,4b…側壁、4b1…側壁4bの切り欠き部、4c…連結部、4c1…連結部4cの内周、4c2…連結部4cの外周、5…摺動部材、6…Oリング(封止部材)、7…キャップ(封止部材)、A…羽根部3cの一側面、B…羽根部3cの他側面、a…側壁4aの内側面、b…側壁4bの内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13
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図15