(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6801907
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】こてユニット及びこてユニットを備えたはんだ付ロボット
(51)【国際特許分類】
B23K 3/02 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
B23K3/02 V
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-82685(P2020-82685)
(22)【出願日】2020年5月8日
【審査請求日】2020年5月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515196919
【氏名又は名称】昭立電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】特許業務法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】中島 浩介
(72)【発明者】
【氏名】山本 忍
(72)【発明者】
【氏名】三村 猛
(72)【発明者】
【氏名】小見山 謙司
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−185530(JP,A)
【文献】
特開昭61−259876(JP,A)
【文献】
特開2011−156552(JP,A)
【文献】
実開昭59−185066(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のこて先を備え、
前記複数のこて先のうちはんだ付に使用するこて先を使用位置に配置し、
待機させるこて先を待機位置に配置するこて先配置手段を備え、
前記こて先配置手段が、前記複数のこて先を備えた回転体を備え、前記こて先は前記回転体の回転という一つの動作により前記使用位置と前記待機位置に配置されることを特徴とする
はんだ付ロボットの作業アームに取り付けて用いるこてユニット。
【請求項2】
備えた前記複数のこて先は、それぞれはんだ付対象に適したこて先であることを特徴とする請求項1に記載のこてユニット。
【請求項3】
はんだ付対象に適したこて先が順に用いられるように作成されたはんだ付作業の手順のプログラムに従い、はんだ付に使用するこて先が前記使用位置に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のこてユニット。
【請求項4】
前記複数のこて先は前記回転体に取付けられ、前記回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のこてユニット。
【請求項5】
前記複数のこて先は前記回転体である主軸から分岐して成り、前記複数のこて先の先端が前記回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ存することを特徴とする請求項1に記載のこてユニット。
【請求項6】
前記複数のこて先が、前記回転体の回転軸と直交する一つの平面上に備わることを特徴とする請求項1に記載のこてユニット。
【請求項7】
前記こて先は、前記回転体に軸止めされ、軸止めされた軸を中心に回転体に対して回転自在とされ、自重により鉛直方向に吊り下げられることを特徴とする請求項6に記載のこてユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のこてユニットを備えたはんだ付ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プリンタ配線基板に自動で電子部品をはんだ付するはんだ付ロボットの、ロボットアームに用いられるこてユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板に電子部品をはんだ付するために、自動ではんだ付を行うはんだ付ロボットが用いられる。はんだ付対象によって用いるべきこて先は様々であるため、一つのプリント配線基板のはんだ付けを完成させるにあたり、はんだ付ロボットにあっては、途中でこて先の交換が必要となる。はんだ付ロボットにあっては、作業が効率よく行われるよう、同じこて先を用いる対象が複数ある場合には、はんだ付対象の基板における位置も考慮しつつ、それらが一続きの作業で済む工程となるようプログラムする、等の工夫がなされている。
【0003】
図7に、従来の一般的なはんだ付ロボットにおける、作業アーム100と、こて先とはんだノズルのユニット105と、こて先交換セット110と、はんだ付対象である基板120の位置関係を示す。(a)は正面から見た図であり、(b)は側面から見た図である。はんだ付ロボットの作業アーム100にはこて先とはんだノズルのユニット105が取り付けられている。作業台115には、はんだ付対象である基板120が置かれている。
【0004】
作業台には、こて先交換セット110が置かれている。こて先交換セット110には、基板120のはんだ付に必要な複数種のはんだこてと、使用済みのこて先を置く空所(図示せず)が備わる。
【0005】
はんだ付ロボットのCPUに記録されたプログラムに基づき以下の作業が行われる。
【0006】
作業アーム100は、はんだこてのこて先が基板120のはんだ付部位に当接する位置に来るように、こて先とはんだノズルのユニット105を動かす。次にはんだ供給ノズルから供給される線状ハンダがこて先により溶融され、溶融したはんだによりはんだ付部位がハンダ付される。この作業は、共通のこて先が用いられる間、はんだ付部位を移動しつつ繰り返される。
【0007】
用いるこて先を交換する際の作業は次の通りである。作業アーム100は、はんだこてのこて先が、こて先交換セット110の使用済みのこて先を置く空所に来るように、こて先とはんだノズルのユニット105を動かす。次に、こて先が、こて先とはんだノズルのユニット105から取り外され、こて先交換セット110の使用済みのこて先を置く空所に載置される。次に、こて先とはんだノズルのユニット105のこて先が取り外された箇所が、こて先交換セット110のこて先のうち交換対象のこて先に移動し、こて先が取り外された箇所に、交換対象のこて先が取り付けられる。
【0008】
すなわち、用いるこて先を交換する際には、こて先を、こて先交換セットのある位置まで移動させ、使用済みこて先を取り外し、取り外したこて先を配置するべき場所に配置し、交換するべきこて先の位置まで移動し、交換するべきこて先を取り付ける、という複数工程の作業が必要であった。複数工程であるために時間がかかることに加え、誤作動が生じる原因にもなるため、このような作業を不要とする装置が求められていた。
【0009】
特許文献1には、はんだコテの交換作業をドライバー等の工具を使用することなく簡単に迅速に行うことができるはんだ付ヘッドが記載されている。しかし、こて先交換セットを不要とすることについての示唆は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−297453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こて先を交換するための時間を短くすることを課題とする。また、こて先を交換するための作業工程を少なくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)複数のこて先を備え、前記複数のこて先のうちはんだ付に使用するこて先を使用位置に配置し、待機させるこて先を待機位置に配置するこて先配置手段を備えたはんだ付ロボットの作業アームに取り付けて用いるこてユニットによって課題を解決する。
複数のこて先を備えこて先配置手段を備えたこて先ユニットを採用することにより、こて先交換のための時間を著しく短縮できる。
一台のはんだごてユニットで複数のコテ先を自動で、容易に切り替えることができるため、様々な部品、様々なパターンの配線基板に対し、ロボットを用いてはんだ付けすることが可能となる。これにより、はんだ付けロボットの自動化が促進され、作業効率が向上する。
(2)備えた前記複数のこて先は、それぞれはんだ付対象に適したこて先である
ことを特徴とする(1)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
備えたこて先の数は問わない。一連の作業におけるはんだ付対象に適したこて先を、こてユニットに備える。
(3)はんだ付対象に適したこて先が順に用いられるように作成されたはんだ付作業の手順のプログラムに従い、はんだ付けに使用するこて先が前記使用位置に配置されることを特徴とする(1)又は(2)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
(4)前記こて先配置手段が、前記複数のこて先を備えた回転体を備え、前記こて先は前記回転体の回転により前記使用位置と前記待機位置に配置されることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のこてユニットによって課題を解決する。
はんだ付ロボットのこて先の周辺には、糸はんだ供給装置、吸煙器等の周辺機器が備わる。また、はんだ付の対象であるプリント配線基板には大きさや形状が様々な電子部品が取り付けられており、こて先はこれらの電子部品と衝突しないように配置する必要がある。そこで、こて先ユニットにあっては、周辺機器の自由度が高くなるように、また、プリント配線基板の電子部品と衝突しないようにされる。
(5)前記複数のこて先は前記回転体に取付けられ、前記回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ取り付けられることを特徴とする(4)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
回転体に取り付けられるこて先の数は問わない。
こて先は、回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ取り付けられるため、こて先同士が成す角度は、例えばこて先が3つ取付けられる場合には60度であり、こて先が5つ取付けられる場合には108度である。こて先ユニットにおいて、こて先が占める空間以外の空間をこて先周辺機器の配置に利用できる。よって、こて先周辺機器の配置に利用できる空間は、こて先が3つ取付けられる場合には300度であり、こて先が5つ取付けられる場合には252度である。こて先が2つ取付けられた場合、こて先の太さに応じてこて先が占める空間以外の360度、周辺機器を配置できる。こて先を取り付ける数は、必要なこて先の数の要請と、周辺機器配置の自由度の要請との兼ね合いで決めることができる。
(6)前記複数のこて先は前記回転体である主軸から分岐して成り、前記複数のこて先の先端が前記回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ存する
ことを特徴とする(4)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
(7)前記複数のこて先が、前記回転体の回転軸と直交する一つの平面上に備わることを特徴とする(4)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
(8)前記こて先は、前記回転体に軸止めされ、軸止めされた軸を中心に回転体に対して回転自在とされ、自重により鉛直方向に吊り下げられることを特徴とする(7)に記載のこてユニットによって課題を解決する。
(9)前記こて先配置手段が前記回転体を回転させるモーターを備え、前記モーターの回転軸に取り付けたギアと、前記ギアと一体に設けられ水平方向に延びるカムと、前記ギアの回転により前記カムに対して平行移動し水平方向に延びるラックと、ラックの長軸に沿って並びラックと一体にされたこて先とを備え、前記ラックの平行移動に伴って前記カムに対して平行移動する前記こて先のうち前記カムに設けられた凸部に上方から押されたこて先が、前記作業位置に配置されることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のこてユニットによって課題を解決する。
(10)(1)から(9)に記載のこてユニットを備えたはんだ付ロボットによって課題を解決する。
【発明の効果】
【0013】
こて先を交換するための時間が従来よりも短くなった。また、こて先を交換するための作業工程が従来よりも少なくなった。
【0014】
この結果、はんだ付ロボットにおけるこて先の交換が容易になった。このことはこて先の交換を積極的に行うことにつながり、こて先の交換が問題であるためにこれまではんだ付の自動化・ロボット化ができなかった対象を、自動化・ロボット化の対象にできるようになった。
【0015】
一台のはんだ付ロボットで複数のこて先の交換が容易にできるため、はんだ付の自動化が促進され作業効率が向上した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照し説明する。いずれの実施例も、こて先は、モーターの回転により作業位置と待機位置に配置される。はんだ付ロボットでは、基板にはんだ付作業を行う際、作業対象の基板の全ての作業部位に関し、各部位の位置、各部位で用いるべきこて先、等から、作業の順番、時間に関するプログラムを作成し、ロボットのCPUに記録して作業を行う。本願の各実施例では、用いるべきこて先を作業位置に配置するためのプログラムとして、モータを回転させるためのプログラムが加わる。
【実施例1】
【0018】
実施例1に係るこて先ユニットを
図1及び
図2に示す。
【0019】
図1及び
図2を参照して、こて先ユニット1は、こて先ボックス10の上方の接続軸15を介してロボット5(図示せず)に接続している。制御線27を介してはんだ付ロボットのCPUと信号をやり取りする。こて先ボックス10には、モーターボックス25を介してモーター20が取り付けてある。モーター20の回転軸にレボルバー30が取り付けてあり、レボルバー30には、様々な種類のこて先を取り付けることができるこて先取付部(31a、31b、31c)が備わる。こて先取付部(31a、31b、31c)には、はんだ付作業に用いるこて先(40a、40b、40c)を取り付ける。
図1及び
図2に示すこて先ユニット1では、三種類のこて先を取り付けている。通常、一つの基板のはんだ付作業には、3種類くらいのこて先を用いれば足りる。
【0020】
こて先は、作業位置では鉛直方向下を向くように設定されている。レボルバー30は、
図2に示す回転軸を中心に回転し、その結果、こて先(40a、40b、40c)の先端は図の矢印に示すように交代する。
図2に40aで示すこて先が作業位置にあるこて先であり、40bと40cで示すこて先は待機位置にあるこて先である。レボルバー30の回転方向は右回り、左回りのいずれでも構わない。
【0021】
図7に示すような従来のこて先交換では、(1)使用していたコテをこてユニットから取り外す、(2)次に使用するこて先を保管場所まで迎えに行きこてユニットに取り付ける、という動作を、レボルバーの回転動作、という一つの動作で完了できる。具体的には、
図7に示すような従来の手段では、こて先の交換に10秒要していたところ、実施例1の手段では約2秒でこて先の交換が完了する。
【0022】
三つのこて先取付部(31a、31b、31c)は、正三角形の頂点に相当する位置に配置されており、三つのこて先同士が為す角度は60度である。従って、これらの三つが占める空間以外の空間(水平方向に300度)を、こて先周辺機器の配置に利用でき自由度が高い。
【実施例2】
【0023】
実施例2に係るこて先ユニットを
図3に示す。
【0024】
実施例2では、実施例1のレボルバー30、こて先取付部(31a、31b、31c)及びこて先(40a、40b、40c)に代えて、分岐式こて先50を用いる。
図3を参照して、分岐式こて先50は軸体55を備える。軸体55は主軸54とこて先(50a、50b、50c)を備える。主軸54はモーター20(
図2)の軸とつながる。
【0025】
実施例1と同様、主軸54は
図2に示す回転軸を中心に回転し、その結果、こて先の先端(59a、59b、59c)は
図2の矢印に示すように動く。
図2の40aで示す位置にはこて先58aが位置し、作業位置にあるこて先となる。
40bで示す位置にはこて先58bが位置し、また40cで示す位置にはこて先58cが位置し、いずれも待機位置にあるこて先となる。
【0026】
三つのこて先同士が為す角度が60度であり、これらの三つが占める空間以外の空間(水平方向に300度)を、こて先周辺機器の配置に利用でき自由度が高い点は、実施例1と同じである。実施例2ではさらに、予め複数のこて先が一体化されているため、例えば3種類のこて先の脱着を一括してできる、という利点がある。頻繁に用いられるこて先や、組合せるべきこて先はある程度判明しているため、それらのこて先をこて先の先端(59a、59b、59c)に取り付けた製品とすることにより、脱着が一括でできることによる効果を得られる。
【0027】
実施例2のような分岐式こて先にあっては、こて先を暖めるためのヒーターが一つで済む、という利点もある。
【実施例3】
【0028】
実施例3に係るこて先ユニットを
図4に示す。
【0029】
図4を参照して、こて先ユニット60は、上方の接続軸61を介してロボット5と接続している。はんだ付ロボットのCPUと信号をやり取りする制御線も備える(図示せず)。モーター64を備え、モーター64の回転軸に回転プレート66が取り付けてある。回転プレート66には様々な種類のこて先を取り付けることができるこて先取付部(67a、67b、67c)が備わる。こて先取付部(67a、67b、67c)には、はんだ付作業に用いるこて先(68a、68b、68c)を取り付けてある。
【0030】
68bで示すこて先が作業位置のこて先であり、68aと68cで示すこて先は待機位置のこて先である。こて先の位置は、図の矢印で示す通りに交代する。
【0031】
実施例3では、モーターの回転によるこて先の軌道が水平方向に延びる直線で成るため、この軌道以外の空間を周辺機器の配置に利用でき自由度が高い。
【実施例4】
【0032】
実施例4に係るこて先ユニットを
図5に示す。
【0033】
図5を参照して、こて先ユニット70は、上方の接続軸71を介してロボット5と接続している。はんだ付ロボットのCPUと信号をやり取りする制御線も備える(図示せず)。モーター74を備え、モーター74の回転軸に回転プレート76が取り付けてある。回転プレート76には様々な種類のこて先を取り付けることができるこて先取付部(77a、77b、77c)が備わる。こて先取付部(77a、77b、77c)には、はんだ付作業に用いるこて先(78a、78b、78c)が、軸止めされており、各こて先は、回転プレート76に対して、軸止めされた軸を軸に回動可能にされている。このため、各こて先は、自重により、鉛直方向に回転プレート76に吊り下げられたような状態になる。
【0034】
78bで示すこて先が作業位置のこて先であり、78aと78cで示すこて先は待機位置のこて先である。
【0035】
こて先は、全て鉛直方向に向き上下方向に移動するのみである。よって、こて先は、こて先取付部77aとこて先取付部77cの間の空間以外には移動しない。このため、はんだ付の対象であるプリント配線基板に取り付けられた電子部品との衝突を避ける、という観点で優れた特徴を備える。
【実施例5】
【0036】
実施例5に係るこて先ユニットを
図6に示す。
図6を参照して、こて先ユニット80は、上方の接続軸81を介してロボット5と接続している。はんだ付ロボットのCPUと信号をやり取りする制御線も備える(図示せず)。
【0037】
こて先ユニット80は、モーター84を備え、モーター84の回転軸にギア86が取り付けてある。ギアの回転移動によってラック87が平行移動する。
【0038】
ラック87は、躯体であるこてホルダー90と一体化しており、こてホルダー90の下方には支持棒(83a、83b、83c)が取り付けてある(図示せず)。
【0039】
はんだ付作業に用いるこて先(88a、88b、88c)が、支持棒(83a、83b、83c)と、横桟91に係合している。これにより、ラック87と、こてホルダー90と横桟91と、支持棒(83a、83b、83c)と、こて先(88a、88b、88c)は一体化している。
【0040】
横桟91と各こて先の間にはバネ(85a、85b、85c)が設けてあり、各こて先がカム89と横桟91の両方を押す方向に力が働いている。
【0041】
モーター84の下方にカム89が取り付けてあり、これによりカムは、モーター84と、モーター84と軸を共通にするギア86と一体にされている。カム89の中央付近には、下方に向いた凸部89が設けてある。
【0042】
こて先(88a、88b、88c)は、水平方向に同じ高さに並んでおり、こて先の頭部がカム89の裏側面と近い位置に位置するようにされている。
【0043】
ギアの回転移動によってラック87が平行移動すると、ラック87と一体にされたこて先(88a、88b、88c)も同様に平行移動する。ギアと一体化したカム89は停止しているため、こて先(88a、88b、88c)の頭部はカム89の裏面とすれすれの位置で平行移動する。図に示す通り、こて先(88a、88b、88c)のうち、頭部がカム89の裏側の凸部89と接したこて先は、バネ85bの力に抗して下方に下がる。ギアとこて先がさらに平行移動してこて先88bの頭部がカム87の凸部89と離れると、バネ85bの力で、こて先88bは、水平方向もとの高さに戻る。ラックギアの平行移動により、凸部89は、こて先88aの頭部及びこて先88cの頭部のいずれとも接し、こて先88aとこて先88cは、こて先88bと同様に作業位置に配置され得る。
【0044】
すなわち、
図6では、88bで示すこて先が作業位置のこて先であり、88aと88cで示すこて先は待機位置のこて先である。
【0045】
実施例5では、こての左右方向の移動はラック87の平行移動によって得る、またこての上下方向の移動はカム87に設けた凸部89との接触により得る。このため、左右方向の移動量と上下方向の移動量を独立して設定できる。例えば、使用こて先と待機こて先の高低差を大きく設定することができ、これによりはんだ付する箇所の近くに背の高い部品がある場合に、そのような部品と衝突せずにはんだ付ができる。
【符号の説明】
【0046】
1 こて先ユニット
5 ロボット
10 こて先ボックス
15 接続軸
20 モーター
25 モーターボックス
27 制御線
30 レボルバー
31a、31b、31c こて先取付部
40a、40b、40c こて先
50 分岐式こて先
54 主軸
55 軸体
58a、58b、58c こて先
59a、59b、59c こて先先端
60 こて先ユニット
61 接続軸
64 モーター
66 回転プレート
67a、67b、67c こて先取付部
68a、68b、68c こて先
70 こて先ユニット
71 接続軸
74 モーター
76 回転プレート
77a、77b、77c こて先取付部
78a、78b、78c こて先
80 こて先ユニット
83a、83b、83c 支持棒
84 モーター
85a、85b、85c バネ
86 ギア
87 ラック
88a、88b、88c こて先
89 カム
90 こてホルダー
91 横桟
100 作業アーム
105 こて先とはんだノズルのユニット
110 こて先セット
115 作業台
120 基板
【要約】
【課題】
こて先を交換するための時間を短くすること、及び、こて先を交換するための作業工程を少なくすることを課題とする。
【解決手段】
複数のこて先を備え、複数のこて先のうちはんだ付に使用するこて先を使用位置に配置し、待機させるこて先を待機位置に配置するこて先配置手段を備えたはんだ付ロボットの作業アームに取り付けて用いるこてユニットによって課題を解決する。また、複数のこて先が前記回転体に取付けられ、回転体の回転軸を中心に回転対称な位置に1つずつ取り付けられたこてユニットによって課題を解決する。
【選択図】
図1